JP3057813B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびその製造方法

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JP3057813B2
JP3057813B2 JP14650191A JP14650191A JP3057813B2 JP 3057813 B2 JP3057813 B2 JP 3057813B2 JP 14650191 A JP14650191 A JP 14650191A JP 14650191 A JP14650191 A JP 14650191A JP 3057813 B2 JP3057813 B2 JP 3057813B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ワ−ドプロセッサ、パ
−ソナルコンピュ−タ等の出力装置としてのサ−マルプ
リンタやファクシミリ等に使用される熱記録装置用のサ
−マルヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図13〜図15(C)は従来のサーマル
ヘッドの一例を示す図で、図13はサーマルヘッドHo
の斜視図、図14は前記図13の矢視XIV部分の拡大
図、図15(A)は前記図14の矢印XVAから見た図で
あってサーマルヘッドHoの部分平面図、図15(B)
は前記図15(A)のXVB−XVB線断面図、図15
(C)は前記図15(B)の要部拡大図である。
【0003】図13において、図示しないプラテンロー
ルの外周に沿って搬送される感熱記録紙に熱記録を行う
ためのサーマルヘッドHo は、支持板01表面に接着さ
れた絶縁基板02を備えている。この絶縁基板02は図
14〜図15(C)に詳しく示すように、セラミック製
の絶縁基板本体02aと、その表面に形成された非晶質
ガラス製のアンダーグレーズ層02bとから構成されて
いる。前記絶縁基板02表面には、主走査方向Xに沿っ
て延びる帯状の共通電極本体部03aおよびこの本体部
03aから櫛歯状に副走査方向Yに突出する多数の共通
電極接続部03bを有する共通電極03が形成されてい
る。また、絶縁基板02表面には、副走査方向にYに沿
って延びると共に、前記共通電極接続部03bに対向す
るように配置された多数の個別電極04が形成されてい
る。そしてこれらの前記各個別電極先端部04aおよび
前記各共通電極接続部03b間は、それぞれ主走査方向
Xに列設された個別の発熱抵抗体05によって接続され
ている。
【0004】これら共通電極03、個別電極04、およ
び発熱抵抗体05が形成された絶縁基板02の表面はグ
レーズ製の耐摩耗層06によって被覆されている。そし
て、各発熱抵抗体05の表面を覆う前記耐摩耗層06の
表面によって印字部06aが形成されている。前述の従
来のサ−マルヘッドHo においては、個別電極04に選
択的に電圧が印加されると、選択された個別電極04と
それに対向する前記共通電極接続部03bとを接続する
発熱抵抗体05に電流が流れてその発熱抵抗体05が発
熱する。従って、発熱抵抗体05の前記発熱部分の表面
を覆う耐摩耗層06の表面部分すなわち印字部06aに
図15(B)に示すように感熱記録紙Pを圧接したり、
またはインクリボンを介して印字用紙を圧接すると、前
記印字部06aと接触する感熱記録紙Pが発色したり、
または前記印字用紙にインクが転写されて熱記録(印
字)が行われる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ところで,前記従来の
サーマルヘッドHoにおいて、前記発熱抵抗体05で発
生した熱量は、図15(C)に白抜矢印で示すように、
発熱抵抗体上方の耐摩耗層06に伝達される上方伝達熱
量07と、下方の絶縁基板02に伝達される下方伝達熱
量08とに分かれる。前記耐摩耗層06に伝達される上
方熱量07は前記印字部06aにおいて熱記録に利用さ
れる。そしてこの従来例の場合、印字部06aより前記
感熱記録紙Pまたは前記印字用紙に伝達される熱量は、
全発熱量の約3割程度である。しかし前記絶縁基板02
に伝達される下方伝達熱量08は利用されず無駄とな
る。、したがって、前記発熱抵抗体05下方の絶縁基板
02に伝達される熱量は少ない方がエネルギー効率が良
くなる。
【0006】そこで、従来、前記エネルギー効率を良く
するため、発熱抵抗体下方のアンダーグレーズ層を多孔
質体に形成したものが、例えば、特開昭62ー5016
0号公報に記載されている。このように発熱抵抗体下方
のアンダーグレーズ層を多孔質体に形成してあると、こ
の多孔質体部分が断熱層となって発熱抵抗体からアンダ
ーグレーズ層下方の絶縁基板本体に伝達される熱量を少
なくすることができる。そして前記公報に記載されたも
のの場合には、前記印字部より感熱記録紙または印字用
紙に伝達される熱量が発熱抵抗体の全発熱量の約4割程
度となって、前記従来例と比べてサーマルヘッドのエネ
ルギー効率が向上する。
【0007】ところで、前記公報に記載されたもので
は、前記アンダーグレーズ層は多孔質体に形成されてお
りその表面が粗いので、その表面に電極形成用金属材料
膜または抵抗体形成用材料膜を形成してからエッチング
により電極パターンまたは抵抗体パターンを形成する
際、精密な形状の電極パターンまたは発熱抵抗体パター
ンを得ることができないという問題点があった。
【0008】そこで前述のような問題点を解決するため
に前記アンダーグレーズ層を、平滑な表面層とその下部
の多孔質体層の二層で構成したものが特開昭63ー19
270号公報に記載されている。そしてこの公報に記載
されたものによれば、アンダーグレーズ層の表面を平滑
に形成しているので、精密な形状の電極パターンまたは
発熱抵抗体パターンを得ることができる。
【0009】ところが、前記特開昭63ー19270号
公報に記載された二層構造のアンダーグレーズ層は、セ
ラミック製の絶縁基板本体上に先ず前記多孔質体層を形
成してから、この多孔質体層の表面部のみをその軟化点
に近い温度で短時間加熱することにより形成される。そ
してこの加熱は輻射エネルギーによる方法が最も有効で
あり、この輻射エネルギーを得るためには前記公報に記
載のような大がかりな表面加熱溶融装置を必要とする。
しかしながらこのような大がかりな装置を必要とするこ
とは、サーマルヘッドの製造コストのアップにつながる
という問題点がある。
【0010】本発明は前述の事情に鑑み、エネルギー効
率の優れたサーマルヘッド、すなわち、発熱抵抗体で発
生した熱量の中で下方へ無駄に伝達される熱量をできる
だけ少なくしたサーマルヘッドを、通常のサーマルヘッ
ド製造技術、すなわち、印刷(塗布)技術、焼成技術に
よって、製造できるようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本出願の発明を説明するが、本発明の
要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするた
め、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記し
ている。なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させ
て説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであ
り、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0012】前記課題を解決するために、本出願の第1
発明のサーマルヘッドの製造方法は、絶縁基板本体(2
a)とこの絶縁基板本体(2a)表面に形成されたアンダ
ーグレーズ層(2b)とから構成された絶縁基板(2)
表面に、主走査方向(X)に沿って延びる共通電極
(3)と、主走査方向(X)に沿って列設されるととも
に先端部(4a)が前記共通電極(3)に対向して配設
された多数の個別電極(4)と、前記共通電極(3)お
よび個別電極先端部(4a)を接続する発熱抵抗体
(5)とが形成され、前記発熱抵抗体(5)下方のアン
ダーグレーズ層(2b)内部に主走査方向(X)に沿う
熱伝達率の低い帯状断熱層(2c)が形成されたサーマ
ルヘッドの製造方法において、次の各工程(a),(b)
を有することを特徴とする。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に蒸
発する主走査方向(X)に沿う帯状の蒸発成分層(V)
を形成する工程。 (b) 前記帯状の蒸発成分層(V)の主走査方向(X)
の両端部が露出するようにアンダーグレーズ表層形成用
ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、下部内部に
帯状空洞(2c)が形成されたアンダーグレーズ表層
(2b2)を形成する工程。
【0013】前記課題を解決するために、本出願の第2
発明のサーマルヘッドの製造方法は、絶縁基板本体(2
a)とこの絶縁基板本体(2a)表面に形成されたアンダ
ーグレーズ層(2b)とから構成された絶縁基板(2)
表面に、主走査方向(X)に沿って延びる共通電極
(3)と、主走査方向(X)に沿って列設されるととも
に先端部(4a)が前記共通電極(3)に対向して配設
された多数の個別電極(4)と、前記共通電極(3)お
よび個別電極先端部(4a)を接続する発熱抵抗体
(5)とが形成され、前記発熱抵抗体(5)下方のアン
ダーグレーズ層(2b)内部に主走査方向(X)に沿う
熱伝達率の低い帯状断熱層(2c′)が形成されたサー
マルヘッドの製造方法において、次の各工程(a)〜
(c)を有することを特徴とする。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に成
分が蒸発して帯状多孔質層(2c′)となる主走査方向
(X)に沿う帯状の多孔質層形成用ペースト(V′)
を、塗布乾燥する工程。 (b) 前記塗布乾燥した多孔質層形成用ペースト層
(V′)を焼成して帯状多孔質層(2c′)を形成する
工程。 (c) 帯状多孔質層(2c′)表面に、アンダーグレーズ
表層形成用ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、
下部内部に帯状多孔質層(2c′)が形成されたアンダ
ーグレーズ表層(2b2)を形成する工程。
【0014】
【作用】前記第1発明および第2発明のサーマルヘッド
の製造方法により構成されたサーマルヘッドは、発熱抵
抗体(5)下方のアンダーグレーズ層(2b)内部に主
走査方向(X)に沿う熱伝達率の低い帯状断熱層(2
c,2c′)が形成されているので、発熱抵抗体で発生し
た熱量のうち、発熱抵抗体上方の耐摩耗層に伝達される
上方伝達熱量の方が発熱抵抗体下方の絶縁基板に伝達さ
れる下方伝達熱量よりも大きくなる。従って印字時に必
要とされるエネルギー効率が良好となる。
【0015】また前記第1発明のサーマルヘッドの製造
方法は次の工程(a),(b)を有している。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に蒸
発する主走査方向(X)に沿う帯状の蒸発成分層(V)
を形成する工程。 (b) 前記帯状の蒸発成分層(V)の主走査方向(X)
の両端部が露出するようにアンダーグレーズ表層形成用
ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、下部内部に
帯状空洞(2c)が形成されたアンダーグレーズ表層
(2b2)を形成する工程。したがって、発熱抵抗体
(5)下方のアンダーグレーズ表層(2b2)下部内部に
主走査方向に沿う熱伝達率の低い帯状の断熱層すなわち
帯状空洞(2c)を、通常のサーマルヘッドの製造技
術、すなわち、印刷(塗布)技術、焼成技術によって容
易に形成することができる。また、前記第2発明ではア
ンダーグレーズ表層形成用ペースト(Pe)を焼成する
際に同時に帯状空洞(2c)が形成されるので、帯状空
洞(2c)を形成するのに必要な余分な工程は、帯状の
蒸発成分層(V)を形成する印刷(または塗布)工程だ
けである。したがって、サーマルヘッドの製作工程をあ
まり増やすことなく、前記帯状空洞(2c)、すなわち
帯状断熱層を形成することができる。
【0016】さらに前記第2発明のサーマルヘッドの製
造方法は次の工程(a)〜(c)を有している。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に成
分が蒸発して帯状多孔質層(2c′)となる主走査方向
(X)に沿う多孔質層形成用ペーストを、帯状に塗布乾
燥して多孔質層形成用ペースト層(V′)を形成する工
程。 (b) 前記多孔質層形成用ペースト層(V′)を焼成し
て帯状多孔質層(2c′)を形成する工程。 (c) 帯状多孔質層(2c′)表面に、アンダーグレーズ
表層形成用ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、
下部内部に帯状多孔質層(2c′)が形成されたアンダ
ーグレーズ表層(2b2)を形成する工程。したがって、
発熱抵抗体(5)下方のアンダーグレーズ表層(2b2)
下部内部に主走査方向(X)に沿う熱伝達率の低い帯状
の断熱層である帯状多孔質層(2c′)を、通常のサー
マルヘッドの製造技術、すなわち、印刷(塗布)技術、
焼成技術によって容易に形成することができる。
【0017】
【実施例】以下、図面により本発明のサーマルヘッドお
よびその製造方法の実施例を説明する。なお、各実施例
において対応する構成要素には同一の符号を付してい
る。まず、図1(A)〜図7(B)により本発明の第1
実施例を説明する。図1(A)は本発明の第1実施例の
サーマルヘッドHの部分平面図、図1(B)は図1
(A)のIB−IB線断面図、図1(C)は図1(A)
のIC−IC線断面図、図1(D)は図1(A)の要部
拡大図、図2(A)〜図7(B)は同サーマルヘッドの
製造工程を示す図である。
【0018】図1(A)〜(D)に示すように、本発明
のサーマルヘッドHは絶縁基板2を備えている。この絶
縁基板2は、セラミック製の絶縁基板本体2aと、その
表面全体に形成された非晶質ガラス製のアンダーグレー
ズ層2bとから構成されている。このアンダーグレーズ
層2bの内部には、主走査方向Xに沿って帯状の断熱層
としての帯状空洞2Cが形成されている。そしてこの帯
状空洞2Cは後述する発熱抵抗体の下方に位置してい
る。
【0019】前記アンダーグレーズ層2bの表面には、
主走査方向Xに沿って延びる帯状の共通電極本体部3a
およびこの本体部3aから櫛歯状に副走査方向Yに突出
する多数の共通電極接続部3bを有する共通電極3が形
成されている。また、アンダーグレーズ層2bの表面に
は、副走査方向にYに沿って延びると共に、前記共通電
極接続部3bに対向するように配置された多数の個別電
極4が形成されている。そしてこれらの前記各個別電極
先端部4aおよび前記各共通電極接続部3b間は、主走査
方向Xに沿って列設された個別の島状発熱抵抗体5によ
ってそれぞそ接続されている。
【0020】これら共通電極3、個別電極4、および発
熱抵抗体5が形成された絶縁基板2の表面はグレーズ製
の耐摩耗層6によって被覆されている。そして、各発熱
抵抗体5の表面を覆う前記耐摩耗層6の表面によって印
字部6aが形成されている。
【0021】次に、図2(A)〜図7(B)により前記
構成を備えたサーマルヘッドHの製造方法を説明する。
先ず、前記絶縁基板本体2a表面にアンダーグレーズ下
層形成用ペーストを塗布乾燥後、約1300゜Cで焼成
して図2(A),(B)に示すような厚さ約20μmの
アンダーグレーズ下層2b1を形成する次に、図3(A)
〜(C)に示すように、前記アンダーグレーズ下層2b1
表面に、セルロース系樹脂(沸点が約300゜C)から
成る厚さ約20μmの蒸発成分層(V)を主走査方向X
に沿って帯状に印刷し、その後乾燥させる。この場合、
前記蒸発成分層Vは図3(A)に示すように、絶縁基板
本体2aの長手方向両端まで達するように印刷する。
【0022】次に、図4(A)〜(C)に示すように前
記帯状の蒸発成分層Vが形成されたアンダーグレーズ下
層2b1表面に、前記アンダーグレーズ下層形成用ペース
トと同一成分のアンダーグレーズ表層形成用ペーストP
eを約40μmの厚さで塗布し乾燥させる。この場合、前
記アンダーグレーズ表層形成用ペーストPeは図4
(A)に示すように、前記蒸発成分層Vの両端部V1,
V1を露出させるように塗布する。次に、前記アンダー
グレーズ下層2b1、蒸発成分層Vおよびアンダーグレー
ズ表層形成用ペーストPeが表面に形成された前記絶縁
基板本体2aを約1300゜Cで焼成する。すると前記
蒸発成分層Vがその両端部V1,V1より蒸発して、絶縁
基板本体2a表面に、図5(A),(B)に示すような
下部内部に帯状空洞2cを有するアンダーグレーズ表層
2b2が形成される。前記アンダーグレーズ下層2b1およ
びアンダーグレーズ表層2b2からアンダーグレーズ層2
bが構成される。
【0023】次に、内部に帯状空洞2cが形成された前
記アンダーグレーズ層2b表面にMOD(Metallo Organ
ic Deposition)法により、電極パターンを形成する。
すなわち、前記アンダーグレーズ層2bの表面に電極形
成用有機金属材料膜を形成してからホトリソエッチング
により図6(A),(B)に示すような共通電極3およ
び個別電極4を形成する。ところで、前記両電極3,4
の形成工程において、電極形成用有機金属材料膜をエッ
チングする場合、前記アンダーグレーズ層2bの表面は
平滑であるので、前記電極形成用有機金属材料膜を精密
にエッチングすることができる。従って精密な形状の電
極パターンを絶縁基板2表面に形成することができる。
【0024】次に、前記電極パターンが形成された絶縁
基板2表面にリフトオフ法により、発熱抵抗体5を形成
する。すなわち、前記発熱抵抗体5を形成するための開
口部を備えたレジスト層を前記帯状空洞2c上方の絶縁
基板2表面に形成してから前記開口部に抵抗体ペースト
を充填し、これを乾燥、研削後焼成して、図7(A),
(B)に示すような主走査方向Xに沿って列設された多
数の島状の発熱抵抗体5を形成する。次に、前記両電極
3,4および発熱抵抗体5が形成された絶縁基板2表面
を耐摩耗層6で被覆して図1(A)〜(D)に示すよう
なサーマルヘッドHを得る。
【0025】次に、図1(D)を参照して前記サーマル
ヘッドHの作用について説明する。このサーマルヘッド
Hで印字を行う場合には、選択した個別電極4に印字エ
ネルギー(電力)を印加する。すると電流が前記個別電
極4とその先端部4aに対向して配設された共通電極3
間を接続する発熱抵抗体5を流れて、発熱抵抗体5が発
熱する。そして、この発熱抵抗体5で発生した熱量は図
1(D)に白抜矢印で示すように、発熱抵抗体5上方の
耐摩耗層6aに伝達される上方伝達熱量7と、下方の絶
縁基板2に伝達される下方伝達熱量8とに分かれる。
【0026】ところで、前述のように、本実施例のサー
マルヘッドHは、発熱抵抗体5下方のアンダーグレーズ
層2b内部に主走査方向Xに沿って帯状空洞2Cが形成さ
れているので、この帯状空洞2cにより前記下方伝達熱
量8の一部が断熱される。その結果、この断熱された下
方伝達熱量8の一部が上方に伝わり、下方伝達熱量8の
ほうが、上方伝達熱量7よりも少なくなる。従って、絶
縁基板2に伝達されて無駄となる下方伝達熱量8が従来
よりも少なくなって、エネルギー効率が良好となる。そ
のため、発熱抵抗体5の表面を覆う耐摩耗層6の表面部
分すなわち印字部6aに図1(B)に示すように感熱記
録紙Pを圧接して印字を行う場合、少ない印字エネルギ
ーにより印字が可能となる。
【0027】次に、図8(A)〜図12(B)により本
発明の第2実施例を説明する。この第2実施例は前記第
1実施例の帯状空洞2cの代わりに多孔質層2c′を設
けた点が前記第1実施例と異っている。
【0028】即ち、この第2実施例のサーマルヘッドH
は、図8(A)〜(D)に示すように、発熱抵抗体5下
方のアンダーグレーズ層2bの内部に、主走査方向Xに
沿って延びる帯状のグレーズ製の断熱層としての多孔質
層2c′が形成されている。
【0029】次に、前記多孔質層2c′を備えたこの第
2実施例のサーマルヘッドHの製造方法を図9(A)〜
図12(B)により説明する。先ず、図9(A),
(B)に示すように、絶縁基板本体2a表面にアンダー
グレーズ下層形成用ペーストPe′を塗布乾燥後、この
乾燥したアンダーグレーズ下層形成用ペーストPe′表
面に、焼成時に蒸発する成分とグレーズ成分とを含んだ
多孔質層形成用ペーストV′を主走査方向Xに沿って帯
状に塗布乾燥する。次に、前記アンダーグレーズ下層形
成用ペーストPe′および多孔質層形成用ペーストV′
が表面に形成された絶縁基板本体2aを約1300゜C
で焼成する。すると、前記多孔質層形成用ペーストV′
から蒸発成分が蒸発して、図10(A),(B)に示す
ように、前記絶縁基板本体2a表面に主走査方向Xに延
びる帯状のグレーズ製多孔質層2c′を有するアンダー
グレーズ下層2b1が形成される。
【0030】次に、図11(A),(B)に示すよう
に、前記アンダーグレーズ下層2b1表面に、前記アンダ
ーグレーズ下層形成用ペーストPe′と同一成分のアン
ダーグレーズ表層形成用ペーストPeを塗布し乾燥させ
る。次に、前記アンダーグレーズ下層2b1、多孔質層2
c′およびアンダーグレーズ表層形成用ペーストPeが表
面に形成された前記絶縁基板本体2aを約1300゜C
で焼成する。すると絶縁基板本体2a表面に、図12
(A),(B)に示すような帯状多孔質層2c′を下部
内部に有するアンダーグレーズ表層2b2が形成される。
【0031】次に、前記アンダーグレーズ層2b表面に
前記第1実施例と同じ方法で共通電極3、個別電極4、
および発熱抵抗体5を形成して図8(A)〜(D)に示
すようなサーマルヘッドHを得る。そして、この第2実
施例のサーマルヘッドHも前記第1実施例と同じ作用、
効果を奏する。
【0032】以上、本発明のサーマルヘッドの実施例を
詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱する
ことなく、種々の小設計変更を行うことが可能である。
例えば、前記第1実施例の断熱層としての帯状空洞2c
に空気の代わりにN2等の気体を封入することも可能で
ある。また前記各実施例では帯状空洞2cおよび多孔質
層2c′を1層、1列配置した例を示したが、これを複
数層、複数列配置することも可能である。さらに、本発
明は、絶縁基板2表面に主走査方向Xに沿って多数の島
状の発熱抵抗体5が形成されたサーマルヘッドに限ら
ず、帯状の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドに関
しても適用することができる。さらにまた、前記電極
3,4および発熱抵抗体5の形成方法としては従来公知
の厚膜技術または薄膜技術を採用することができる。
【0033】
【発明の効果】以上のように 本出願の第1発明および
第2発明のサーマルヘッドの製造方法により製造された
サーマルヘッドは、発熱抵抗体下方のアンダーグレーズ
層内部に主走査方向に沿う熱伝達率の低い帯状断熱層を
形成したので、発熱抵抗体で発生した熱量のうち、発熱
抵抗体上方の耐摩耗層に伝達される上方伝達熱量の方が
発熱抵抗体下方の絶縁基板に伝達される下方伝達熱量よ
りも大きくなる。従って印字時に必要とされるエネルギ
ー効率が向上する。また本出願の第1発明のサーマルヘ
ッドの製造方法によれば、発熱抵抗体下方のアンダーグ
レーズ層内部に主走査方向に沿う熱伝達率の低い帯状空
洞を通常のサーマルヘッドの製造方法で使用されている
印刷技術、焼成技術によって容易に形成することができ
る。また本出願の第2発明のサーマルヘッドの製造方法
によれば、発熱抵抗体下方のアンダーグレーズ層内部に
主走査方向に沿う熱伝達率の低い帯状多孔質層を通常の
サーマルヘッドの製造方法で使用されている印刷技術、
焼成技術によって容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のサーマルヘッドの第1実施例
を示しており、図1(A)はその平面図、図1(B)は
図1(A)のIB−IB線断面図、図1(C)は図1
(A)のIC−IC線断面図、図1(D)は図1(A)
の要部拡大図である。
【図2】 図2は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図2(A)はその平面図、図2(B)は図2(A)
のIIB−IIB線断面図である。
【図3】 図3は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図3(A)は絶縁基板本体部の全体平面図、図3
(B)は図3(A)のIIIB矢視図、図3(C)は図
3(B)のIIIC−IIIC線断面図である。
【図4】 図4は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図4(A)は絶縁基板本体部の全体平面図、4
(B)は図4(A)のIVB矢視図、図4(C)は図4
(B)のIVC−IVC線断面図である。
【図5】 図5は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図5(A)はその平面図、図5(B)は図5(A)
のVB−VB線断面図である。
【図6】 図6は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図6(A)はその平面図、図6(B)は図6(A)
のVIB−VIB線断面図である。
【図7】 図7は同第1実施例の製造工程を示してお
り、図7(A)はその平面図、図7(B)は図7(A)
のVIIB−VIIB線断面図である。
【図8】 図8は本発明のサーマルヘッドの第2実施例
を示しており、図8(A)はその平面図、図8(B)は
図8(A)のVIIIB−VIIIB線断面図、図8
(C)は図8(A)のVIIIC−VIIIC線断面
図、図8(D)は図8(A)の要部拡大図である。
【図9】 図9は同第2実施例の製造工程を示してお
り、図9(A)はその平面図、図9(B)は図9(A)
のIXB−IXB線断面図である。
【図10】 図10は同第2実施例の製造工程を示して
おり、図10(A)はその平面図、図10(B)は図1
0(A)のXB−XB線断面図である。
【図11】 図11は同第2実施例の製造工程を示して
おり、図11(A)はその平面図、図11(B)は図1
1(A)のXIB−XIB線断面図である。
【図12】 図12は同第2実施例の製造工程を示して
おり、図12(A)はその平面図、図12(B)は図1
2(A)のXIIB−XIIB線断面図である。
【図13】 図13は従来のサーマルヘッドの要部斜視
図である。
【図14】 図14は前記図13の矢印XIVの部分の拡
大図である。
【図15】 図15は前記図14の部分詳細説明図で、
図15(A)は図14の部分平面図、図15(B)は図
15(A)のXVB−XVB線断面図、図15(C)は図1
5(B)の要部拡大図である。
【符号の説明】
2…絶縁基板、2a…絶縁基板本体、2b…アンダーグレ
ーズ層、2b1…アンダーグレーズ下層、2b2…アンダー
グレーズ表層、2c…断熱層としての帯状空洞、2c′…
断熱層としての帯状多孔質層、3…共通電極、4…個別
電極、4a…個別電極先端部、5…発熱抵抗体、Pe…ア
ンダーグレーズ表層形成用ペースト、Pe′…アンダー
グレーズ下層形成用ペースト、V…蒸発成分層、V′…
多孔質層形成用ペースト、X…主走査方向、Y…副走査
方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 和善 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 遠藤 登 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社海老名事業所内 (56)参考文献 特開 平2−212160(JP,A) 特開 平1−118448(JP,A) 実開 昭63−3448(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板本体(2a)とこの絶縁基板本
    体(2a)表面に形成されたアンダーグレーズ層(2b)
    とから構成された絶縁基板(2)表面に、主走査方向
    (X)に沿って延びる共通電極(3)と、主走査方向
    (X)に沿って列設されるとともに先端部(4a)が前
    記共通電極(3)に対向して配設された多数の個別電極
    (4)と、前記共通電極(3)および個別電極先端部
    (4a)を接続する発熱抵抗体(5)とが形成され、前
    記発熱抵抗体(5)下方のアンダーグレーズ層(2b)
    内部に主走査方向(X)に沿う熱伝達率の低い帯状断熱
    層(2c)が形成されたサーマルヘッドの製造方法にお
    いて、次の各工程(a),(b)を有するサーマルヘッド
    の製造方法。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
    れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に蒸
    発する主走査方向(X)に沿う帯状の蒸発成分層(V)
    を形成する工程。 (b) 前記帯状の蒸発成分層(V)の主走査方向(X)
    の両端部が露出するようにアンダーグレーズ表層形成用
    ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、下部内部に
    帯状空洞(2c)が形成されたアンダーグレーズ表層
    (2b2)を形成する工程。
  2. 【請求項2】 絶縁基板本体(2a)とこの絶縁基板本
    体(2a)表面に形成されたアンダーグレーズ層(2b)
    とから構成された絶縁基板(2)表面に、主走査方向
    (X)に沿って延びる共通電極(3)と、主走査方向
    (X)に沿って列設されるとともに先端部(4a)が前
    記共通電極(3)に対向して配設された多数の個別電極
    (4)と、前記共通電極(3)および個別電極先端部
    (4a)を接続する発熱抵抗体(5)とが形成され、前
    記発熱抵抗体(5)下方のアンダーグレーズ層(2b)
    内部に主走査方向(X)に沿う熱伝達率の低い帯状断熱
    層(2c′)が形成されたサーマルヘッドの製造方法に
    おいて、次の各工程(a)〜(c)を有するサーマルヘッ
    ドの製造方法。 (a) 前記基板本体(2a)表面またはその表面に形成さ
    れたアンダーグレーズ下層(2b1)表面に、焼成時に成
    分が蒸発して帯状多孔質層(2c′)となる主走査方向
    (X)に沿う帯状の多孔質層形成用ペースト(V′)
    を、塗布乾燥する工程。 (b) 前記塗布乾燥した多孔質層形成用ペースト層
    (V′)を焼成して帯状多孔質層(2c′)を形成する
    工程。 (c) 帯状多孔質層(2c′)表面に、アンダーグレーズ
    表層形成用ペースト(Pe)を塗布乾燥後、焼成して、
    下部内部に帯状多孔質層が形成されたアンダーグレーズ
    表層(2b2)を形成する工程。
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