JP3056839B2 - 無機繊維質保温材の製造方法 - Google Patents

無機繊維質保温材の製造方法

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健一 大島
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寿行 石田
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L59/00Thermal insulation in general
    • F16L59/04Arrangements using dry fillers, e.g. using slag wool which is added to the object to be insulated by pouring, spreading, spraying or the like

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  • Thermal Insulation (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばオーステナイ
ト系ステンレス鋼製のパイプ等に巻き付け保温層を形成
するときに使用する無機繊維質保温材の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶融スラグを繊維化して得られたロック
ウール,スラグウール等の無機繊維は、優れた耐火性,
耐熱性,遮音性,電気絶縁性を活用して、建築用資材,
詰め物等として種々の分野で使用されている。また、た
とえば鋼管外周面に無機繊維を巻き付けて保温層を形成
し、内部に流れる流体の温度低下や凍結を防止すること
も知られている。
【0003】しかし、無機繊維をオーステナイト系ステ
ンレス鋼製の構造材料に適用した場合、基材であるオー
ステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れを促進する。
この応力腐食割れは、無機繊維に含まれるハロゲンイオ
ンに起因するものとされている。或いは、潮風等で運ば
れて来る海水が保温層に取り込まれ、この海水に含まれ
ているハロゲンイオンにより基材の応力腐食割れが生起
されることも考えられる。
【0004】この応力腐食割れによって、配管系にあっ
ては予期せぬ漏洩事故が発生する。そのため、ロックウ
ール,スラグウール等の無機繊維は、オーステナイト系
ステンレス鋼に対する保温層形成材料として不適当であ
るとされていた。
【0005】しかし、基材に対する悪影響を排除するこ
とができれば、無機繊維が本来有する断熱性,耐薬品
性,耐久性等を活かした保温層が形成される。そこで、
特開昭51−118150号公報においては、無機繊維
の表面に熱硬化性樹脂及び水ガラスを付着させることに
より、基材に与える腐食作用を抑えることが提案されて
いる。無機繊維に配合された水ガラスは、応力腐食割れ
の発生要因であるハロゲンイオンを捕捉するものと考え
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭51−1181
50号公報で提案されている繊維質保温材は、熱硬化性
樹脂水溶液と共に珪酸アルカリを水溶液として無機繊維
に添加することにより製造している。しかし、珪酸アル
カリ水溶液、すなわち水ガラスは、アルカリ性であるた
め、ロックウール,スラグウール等の無機繊維と反応し
繊維自体を脆弱なものにする。そのため、得られた繊維
をフェルト状或いはマット状に編成するとき、繊維屑と
なる割合が増加すると共に、所期の充填密度や被圧縮性
を持ったものが得られない。
【0007】また、熱硬化性樹脂の硬化反応が水ガラス
を添加した後で行われるため、水ガラスの水分を除去す
るための加熱工程が必要となる。そのため、熱量が余分
に消費され、加熱時間も長くなる。
【0008】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、珪酸アルカリを粉末状態で使用す
ることにより、無機繊維の脆化を防止しながら、熱経済
的に無機繊維に防食作用を付与することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の無機繊維質保温
材製造方法は、その目的を達成するため、溶融スラグを
繊維化してロックウールとするに際し、繊維表面に熱硬
化性樹脂バインダーを噴霧し、次いで粉末状珪酸アルカ
リを添加した後、加熱炉において前記熱硬化性樹脂バイ
ンダーを硬化させ前記繊維を一体化することを特徴とす
る。
【0010】無機繊維としては、溶融スラグから繊維化
されたロックウールが使用される。また、粉末状珪酸ア
ルカリは、繊維化されたスラグ表面に熱硬化性樹脂バイ
ンダーを付着させた後で添加される。
【0011】
【作 用】現在製造されているロックウールは、他の無
機繊維に比較して、たとえば10ppm以下の低いCl
- イオン濃度値を示す。しかし、Cl- イオンを無害化
するNa+ イオンやSiO3 -イオンのバラツキが大き
い。そのため、安定して低い溶出Cl- イオン濃度を示
す製品とするためには、Na+ 源やSiO3 -源を添加す
ることが必要である。また、海浜近くの配管設備等のよ
うに潮風に運ばれて使用環境から持ち込まれるCl-
オンもある。
【0012】本発明においては、このNa+ 源やSiO
3 -源として粉末状の珪酸アルカリを使用している。粉末
状の珪酸アルカリは、水溶液と異なり中性の物質であ
り、無機繊維をアルカリアタックすることがない。その
ため、スラグウールの脆弱化が防止される。また、粉末
状で無機繊維に配合されるため、添加量の調整が比較的
容易であり、しかも供給配管等の構造部材に対する腐食
や珪酸アルカリの塊状化による配管の閉塞等のトラブル
を発生させることがない。更には、珪酸アルカリを水溶
液として噴霧する場合に比較して、添加手段自体として
も簡単な設備を使用することができる。
【0013】そして、粉末状アルカリと共に熱硬化性樹
脂が添加された無機繊維を加熱して結合するとき、水ガ
ラスの場合のように溶媒である水を蒸発させる必要がな
いため、加えた熱量は熱硬化性樹脂の硬化反応に効率よ
く使用される。したがって、無機繊維相互を結合させる
熱硬化性樹脂の粘着力の発現を熱経済的に短時間で行う
ことが可能となる。
【0014】粉末状珪酸アルカリの添加量は、無機繊維
を基準として0.2〜10重量%の範囲に維持すること
が好ましい。これにより、無機繊維を保温層として使用
する段階におけるNa+ イオン濃度及びSiO3 -イオン
濃度がそれぞれ110〜5600ppm及び330〜1
7000ppmの範囲に保たれ、ハロゲンイオンに起因
したオーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れが抑
制される。
【0015】粉末状珪酸アルカリの添加に際しては、固
結化を防止するため、粉末状珪酸アルカリを不活性ガス
でバブリングすることが好ましい。不活性ガスとして
は、公知のものが使用できるが、なかでも窒素ガスが特
に好ましい。また、不活性ガスを、粉末状珪酸アルカリ
添加時の移送用ガスとして使用することもできる。
【0016】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂,
尿素変性フェノール樹脂等が使用される。熱硬化性樹脂
の添加量は、製造されるフェルト,マット等の被圧縮性
や充填密度等に応じて調整されるものであるが、一般的
には無機繊維を基準として0.5〜10重量%の範囲で
定められる。熱硬化性樹脂の添加量が多いと、無機繊維
相互が多数の結束点で結合され、比較的硬いフェルト
状,マット状の製品となる。また、熱硬化性樹脂の添加
量低下に応じて結束点が少なくなり、柔軟性に富む製品
となるが、単体繊維が分離し易くなる。
【0017】無機繊維に配合した熱硬化性樹脂の粘着性
発現は、使用する熱硬化性樹脂の種類によって異なる
が、一般的には温度170〜260℃で1〜15分間の
加熱によって行われる。このとき、水分を含まない珪酸
アルカリが使用されているので、加えた熱量が無機繊維
の結合反応に効率よく消費されると共に、水蒸気等の発
生によって作業環境が悪化することがない。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。溶融スラグを製綿機にかけて平均径4μmのロッ
クウールに繊維化する際、熱硬化性樹脂としてフェノー
ル樹脂を1.8重量%を噴霧し、次いで窒素ガスと共に
粉末状珪酸アルカリを0.3重量%添加しつつ集綿し、
搬出コンベア上で積層一体化させた。
【0019】このとき、ホッパーから搬出コンベア上に
供給される粉末状珪酸アルカリの凝集を防止するため、
乾燥した窒素ガスをキャリアとして使用した。これによ
り、供給配管の閉塞等がなくなり、安定した条件下で粉
末状珪酸アルカリを均一な分布でロックウール層内に定
量供給することができた。
【0020】熱硬化性樹脂及び粉末状珪酸アルカリが配
合されたロックウールを、マット状或いはシート状に編
成した後、同一方向或いは異なる方向に適宜枚数積み重
ね、全体を上下方向に圧縮しながら水平方向に押し縮め
ることによって厚み25mmのシート状に製造した。こ
の製造の過程で、240℃×2分間の加熱処理によって
熱硬化性樹脂の粘着力を発現させ、ロックウールの繊維
相互を接合した。
【0021】得られた無機繊維質フェルトは、繊維の充
填密度が80g/m3 で、曲げ強度0.27kgf/c
2 及び圧縮復元率99.2%であった。また、圧縮率
と圧縮荷重との関係は、表1に示す通りである。
【0022】
【表1】
【0023】次いで、この無機繊維質フェルトをオース
テナイト系ステンレス鋼製のパイプに巻き付け、厚み7
5mmの保温層を形成した。そして図1に示すように、
パイプ1を脱イオン処理した蒸留水2に浸漬した。この
とき、蒸留水2の水面Lから7mmの深さに保温層3の
下端が位置するように、蒸留水2を逐次補給した。
【0024】この条件下で、水温を95〜105℃に保
ち、パイプ1に加熱水蒸気を導入しながら28日間放置
した。そして、28日経過後に保温層3から蒸留水2に
溶出したCl-,Na+,SiO3 -等のイオン量を測定し
た。その結果、Cl- イオン濃度が8ppm,Na+
オン濃度が230ppm,またSiO3 -イオン濃度が6
90ppmであった。また、パイプ1の表面状態を観察
したところ、若干の変色がみられるものの割れ等の欠陥
が検出されなかった。
【0025】比較のために、ロックウールからフェルト
を製造する段階で、粉末状珪酸アルカリに代えて水ガラ
スを使用することを除き、他は同じ条件で厚み75mm
の無機繊維質フェルトを製造した。得られた無機繊維質
フェルトを圧縮したところ、繊維屑としてフェルト本体
から離脱する割合が比較的多くなっていた。これは、水
ガラスのアルカリ反応でスラグウールが脆弱化したもの
と考えられる。
【0026】この無機繊維質フェルトを同様なオーステ
ナイト系ステンレス鋼製のパイプに巻き付け、図1に示
した浸漬試験を行ったところ、28日経過後の蒸留水2
のCl- イオン濃度が10ppm,Na+ イオン濃度が
103ppm,SiO3 -イオン濃度が69ppmであっ
た。このように溶出Cl- イオン濃度が高いことに起因
して、パイプ1の表面に微細な亀裂が散見された。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、スラグウール,ロックウール等の無機繊維に配合す
る水ガラスに代えて粉末状の珪酸アルカリを使用するこ
とによって、アルカリアタックによる繊維の脆弱化を招
くことなく防食作用を付与すると共に、良質のマット
状,フェルト状等の保温材が得られる。しかも、粉末状
の珪酸アルカリであるため、添加量の調整が容易であ
り、供給配管等の設備に腐食や閉塞等の問題を発生させ
ることもない。更には、珪酸アルカリを水溶液として噴
霧する場合に比較して、添加手段自体としても簡単な設
備を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オーステナイトステンレス鋼製のパイプに巻
き付けた無機繊維質保温層から溶出するイオンを測定す
るときに使用した試験設備の概略を示す。
【符号の説明】
1 オーステナイトステンレス鋼製のパイプ 2 脱イオン処理した蒸留水 3 無機繊維質保温層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16L 59/147 F16L 59/147 (56)参考文献 特開 昭51−118150(JP,A) 特開 平4−74750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/04 - 5/10 B29B 15/08 - 15/14 C04B 32/00 - 32/02 F16L 59/04,59/147

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融スラグを繊維化してロックウールと
    するに際し、繊維表面に熱硬化性樹脂バインダーを噴霧
    し、次いで粉末状珪酸アルカリを添加した後、加熱炉に
    おいて前記熱硬化性樹脂バインダーを硬化させ前記繊維
    を一体化することを特徴とする無機繊維質保温材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 粉末状珪酸アルカリを不活性ガスと共に
    噴霧して添加することを特徴とする請求項1記載の無機
    繊維質保温材の製造方法。
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