JP3056415B2 - 高周波誘電加熱装置 - Google Patents

高周波誘電加熱装置

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JP3056415B2
JP3056415B2 JP12271096A JP12271096A JP3056415B2 JP 3056415 B2 JP3056415 B2 JP 3056415B2 JP 12271096 A JP12271096 A JP 12271096A JP 12271096 A JP12271096 A JP 12271096A JP 3056415 B2 JP3056415 B2 JP 3056415B2
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康二 山本
雄一 杉崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】高周波誘電加熱装置には、対
峙させた二つの電極間に高周波電流を印加するだけでな
く、電極を加熱し、加熱された電極の熱による熱伝導加
熱すなわち外部加熱と、高周波誘電加熱による内部加熱
を併用し、被加熱材の全体を均一に加熱しようとするも
のが知られている。本発明は、加熱された電極による外
部加熱と、高周波誘電加熱による内部加熱を併用する、
高周波誘電加熱装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】高周波誘電加熱の電極と定盤は、高周波
絶縁体によって一定間隔を保持し、対峙する電極間にお
いてのみ誘電加熱が行われるようにしている。電極と定
盤は、比較的断面積の小さい柱状の高周波絶縁体で連結
し、定盤をエアーシリンダーなどで昇降駆動するのが普
通である。また、特公平4−79282号公報には、定
盤と電極の間に、盤状の高周波絶縁体を装着して三盤一
体とする思想が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電極と定盤の高周波絶
縁としては、空間が最も好ましい。しかしながら、定盤
と電極は、構造上高周波絶縁体で連結している。特公平
4−79282号公報に開示されている三盤一体構造の
電極では、被加熱材を均等に加圧することができる反
面、高周波絶縁盤への熱伝導によって電極の熱が逃げる
とともに、高周波絶縁盤といえども完全な高周波絶縁体
とすることは困難で、幾分かは誘電加熱されるという加
熱ロスを生じる。さらに、高周波絶縁に必要な厚みの高
周波絶縁盤を得ることは、非常に高価なものとなり、現
実には困難であるとともに、平面的な被加熱材をなるべ
く偏りなく誘電加熱するには、電極の中心部やバランス
の良い位置に高周波電源を接続する必要があるが、三盤
一体構造では例えば、孔を穿設して端子を配置しなけれ
ばならないというように、その接続が困難となる。
【0004】一方、柱状その他、小さい断面積の高周波
絶縁体で電極と定盤を連結する従来のものでは、電極と
定盤の間の空気の対流、特に低温の外気の流通によって
電極が冷却され、加熱効率が低下するという問題があ
る。このような点に鑑み、本発明は電極と定盤の間の大
きな高周波絶縁状態を確保しつつ、加熱した電極がなる
べく冷却されないように工夫したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】電極と定盤とは、柱状、
コアー状その他比較的小さな断面積の高周波絶縁体によ
って接続し、電極と定盤の間の大半を空間とする。この
空間の外周部には、絶縁体によって、空気の流通をなる
べく妨げる壁を形成する。これによって、電極と定盤間
の空間における自由な空気の流れによる電極の冷却を少
なくすることができる。
【0006】電極と定盤の間の空間に形成する壁は、必
ずしも全周にわたって囲繞する必要はないが、全周を囲
繞し、かつその内部を区画壁によって小室に区画すれ
ば、より電極の保温性に優れたものとすることができ
る。また、壁そのものを定盤と電極の接続手段とするこ
ともできる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明高周波誘電加熱装置
の実施の態様を、添付の図面に基づいて説明する。高周
波誘電加熱装置は、例えば木材単板の積層接着や小片木
材を接着する集成材の製造などに利用される。図1は、
高周波誘電加熱装置の一例を概略的に示す正面図であ
る。
【0008】高周波誘電加熱装置は、対峙させた二つの
電極、ここでは下部電極1と上部電極2で被加熱材Aを
挟圧し、下部電極1と上部電極2の間に高周波電流を印
加することによって、内部発熱によって被加熱材を加熱
する。図示例では、下部電極1をアース電極、上部電極
2を電源電極として高周波電源3に接続する。図2に示
す態様では、アース及び電源の端子9は、板状である電
極のほぼ中心(図心)に配置している。
【0009】高周波誘電加熱の特性として被加熱材は、
厚み方向の温度分布で、電極近辺よりも中心部が高温に
加熱(発熱)される。そのため、図1に点線で示すよう
に上下の電極をスチームや電熱ヒーターで加熱し、高周
波誘電加熱による内部発熱と併用して、外部からの熱伝
導加熱で被加熱材を加熱し、被加熱材Aの厚み方向の全
体にわたってなるべく均等に加熱できるようにする。
【0010】下部電極1は、固定されている定盤すなわ
ち下部定盤4に対して、柱状の高周波絶縁体5で固定す
るとともに、上部電極2は、シリンダー6によって昇降
駆動される上部定盤7に対して、柱状の高周波絶縁体8
で固定している。これにより、下部電極1上に供給され
る被加熱材Aを、昇降する上部電極によって挟圧し、加
熱することができる。
【0011】下部電極1と下部定盤4の間の空間、及び
上部電極2と上部定盤7の間の空間は、その外周部分を
絶縁体の板で形成した壁10によって囲繞し、機外の冷気
が流通しないようにする。これにより、電極の熱が、定
盤との間の空間の空気の流通、対流によって失われるの
を少なくすることができる。なお、図1及び図2に示す
態様では、電極と定盤の間の空間の全周を、連続する壁
10によって囲繞しているが、周壁の一部が途切れたり、
壁を千鳥状に配置するなど、電極と定盤の間の空間は、
必ずしも壁10によって完全に囲繞するものでなくても、
機外の冷気の流通をできるだけ妨げるものであればよ
い。
【0012】図3は、電極と定盤の間の空間に形成す
る、壁10の別の態様を示す断面図である。この態様で
は、空間の外周を壁10で完全に囲繞するとともに、その
内部を、区画壁11によって多数の小室に区画している。
電極と定盤の間の空間を多数の小室12に区画することに
よって、空気の対流を少なくし、保温性を向上させるこ
とができる。
【0013】壁10及び区画壁11は、いずれも耐力構造で
ある必要はなく、例えばシートのようなものでもよく、
電極と定盤とは柱状の高周波絶縁体5及び8によって連
結させればよい。しかしながら、壁10及び区画壁11を耐
力構造とし、被加熱材への押圧力が作用するようにする
こともできる。このようなものでは、電極の押圧力が分
散され、被加熱材に対しなるべく均一な押圧力を作用さ
せることができる。
【0014】図4に示す実施の態様は、電極と定盤の間
の空間を囲繞する壁10、及びその内部を複数の小室に区
画する区画壁11を一体的に構成し、かつ電極と定盤との
連結そのものを壁10によって行い、図2や図3の柱状の
高周波絶縁体を省略したものである。なお、図4に示す
実施態様では、高周波電源及びアース線の接続の端子
9,9を、電極の二箇所に設け、平面的に大きな被加熱
材Aをなるべく均等に加熱できるように工夫している。
【0015】電極と高周波絶縁盤と定盤とで、三盤一体
構成とする従来の電極の一つの特長は、被加熱材Aに対
し、均一な押圧力を作用させることである。しかるに、
図2や図3に示す態様において、壁10や区画壁11を耐力
壁構造とし、定盤の押圧力が柱状の高周波絶縁体8だけ
でなく、壁にも分散して作用するようにしておくと、被
加熱材を比較的均等に押圧することができる。図4に示
すように、壁10や区画壁11が定盤と電極の接続構造を兼
ね、柱状の高周波絶縁体を省略したものでは、従来の三
盤一体構造の電極と同じように、比較的広い面積の被加
熱材Aを、均等に加圧することができる。
【0016】高周波誘電加熱においては、電極が大きく
なると高周波波長との関係で電極面電圧が不均一とな
り、一つの平面的な電極の位置によって発熱量にバラつ
きを生じる。したがって、電極の大きさ、長さはあまり
大きくできないものである。通常高周波誘電加熱に使用
される、13.56MHzの周波数であれば、電極長は一般的に
6メートル程度が最大となる。この問題に対し、図5に
示す実施態様は、下部電極を同一平面上に配置した二つ
の下部電極1a,1bで、上部電極を二つの上部電極2a,2b
でというように、複数の電極で構成し、これを同一平面
上に配置し、全体として大きな電極、換言すれば大きな
加熱押圧盤を実現したものである。
【0017】図5に示す高周波誘電加熱装置は、大きな
下部定盤4上に柱状の高周波絶縁体5,5に支持させ
て、複数の下部電極1a,1bを同一平面上に配置してい
る。同一平面上の下部電極1aと1bの間には、継ぎ目とし
て面一の状態で高周波絶縁体13を介在させている。同様
に、二本のエアーシリンダー6,6によって昇降駆動さ
れる大きな上部定盤7に、複数の上部電極2a,2bをそれ
ぞれ柱状の高周波絶縁体8,8で垂設し、電極面が同一
平面となるように配置している。上部電極2aと2bの間
は、面一状態で高周波絶縁体14を介在させている。上部
電極2a,2bには、それぞれの中心位置に高周波電源3と
の接続の端子を、下部電極1aと1bそれぞれの中心部にア
ース線の接続端子を設けている。また、下部電極1aと1b
及び上部電極2aと2bを加熱するには、電熱ヒーターすな
わち、低周波加熱や流体加熱とすることができる。例え
ば、図5に示すように、電極の内部に設けたスチーム配
管の途中に、高周波絶縁管15を介在させてボイラー16か
ら蒸気を供給する。
【0018】複数の下部電極1a,1bで構成する下部電極
と、大きな下部定盤4の間の空間の外周部は、絶縁体の
板で形成する壁10で囲繞する。同じように、複数の上部
電極2aと2bとで構成する上部電極と、大きな上部定盤7
の間の空間の外周部は、絶縁体の板で形成する壁10で囲
繞する。これにより、電極と定盤間の空間に、機外の冷
気が流通して電極が冷えるのをなるべく防止することが
できる。勿論、図3や4に示すように、電極と定盤の間
の空間を、区画壁によって複数の小室に区画することも
できる。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の本発明高周波誘電加熱装
置によれば、電極と定盤の間が開放された従来の高周波
誘電加熱装置に比較して、熱効率を大きく向上させるこ
とができる。すなわち、高周波電流に対する絶縁体とし
て、あるいは熱伝導の断熱層として、最も好ましい空気
層の効果を維持しながら、空気の対流、外気の流通によ
って失われる熱量を少なくすることができる。また、電
極と高周波絶縁体及び定盤とを三盤一体構造とする、従
来の高周波誘電加熱装置のように、高周波絶縁体の内部
における発熱ロスや、高周波絶縁体自体の製造の困難
性、電極の端子配置の選択の困難性といった欠点を回避
することができる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、電極と定盤
間への外気の流通を完全になくし、熱効率をより向上す
ることができる。
【0021】請求項3記載の発明によれば、電極と高周
波絶縁体及び定盤との三盤一体構造の特長である、電極
の押圧力を被加熱材の全面にわたって均等に作用させる
ことができる効果を維持しつつ、請求項1及び2の電極
加熱の熱効率を向上させるという効果を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波誘電加熱装置の一例を示す正面図、
【図2】図1の高周波誘電加熱装置における、電極と定
盤の間の横断面図、
【図3】別の実施形態の、電極と定盤の間の横断面図、
【図4】さらに別の実施形態の、電極と定盤の間の横断
面図、
【図5】上部電極及び下部電極を、それぞれ複数の電極
によって構成する高周波誘電加熱装置の正面図。
【符号の説明】
1,1a,1b…下部電極、 2,2a,2b…上部電極、 3
…高周波電源、 4…下部定盤、 5,8…高周波絶縁
体、 6…シリンダー、 7…上部定盤、 9…端子、
10…壁、 11…区画壁、 12…小室、 13,14…高周
波絶縁体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/54 H05B 6/64 B29C 65/04 B29L 9:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高周波絶縁体を介して定盤に装着されて対
    峙する電極に、電極自体を加熱する加熱手段を設け、加
    熱された電極の熱伝導加熱と、高周波電流の印加による
    高周波誘電加熱によって、電極間に挟んだ被加熱材を加
    熱する高周波誘電加熱装置において、 電極と定盤は、小さな断面積の高周波絶縁体によって接
    続し、電極と定盤の間の空間の外周部に、絶縁体によっ
    て空気の流通を妨げる壁を形成したことを特徴とする高
    周波誘電加熱装置。
  2. 【請求項2】電極と定盤の間の空間は、その外周部を絶
    縁体の壁によって囲繞し、さらにその内部を絶縁体によ
    る区画壁で小室に区画してなる請求項1記載の高周波誘
    電加熱装置。
  3. 【請求項3】高周波絶縁体を介して定盤に装着されて対
    峙する電極に、電極を加熱する加熱手段を設け、加熱さ
    れた電極の熱伝導加熱と、高周波電流の印加による高周
    波誘電加熱によって、電極間に挟んだ被加熱材を加熱す
    る高周波誘電加熱装置において、 電極と定盤の間の空間の外周部に、絶縁体によって空気
    の流通を妨げる壁を設け、この壁によって、電極と定盤
    を接続したことを特徴とする高周波誘電加熱装置。
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