JP3056317B2 - Zn−Ni系合金電気めっき浴への亜鉛イオンの補給方法 - Google Patents

Zn−Ni系合金電気めっき浴への亜鉛イオンの補給方法

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JP3056317B2
JP3056317B2 JP4029254A JP2925492A JP3056317B2 JP 3056317 B2 JP3056317 B2 JP 3056317B2 JP 4029254 A JP4029254 A JP 4029254A JP 2925492 A JP2925492 A JP 2925492A JP 3056317 B2 JP3056317 B2 JP 3056317B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続電気めっきライン
において不溶性陽極を用いて Zn-Ni合金めっき鋼板を製
造する際の、めっき浴への亜鉛イオンの補給方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電製品等の耐食性向上
の要求が強く、表面処理鋼板の需要が増加している。こ
の高耐食性の要求に応えるため、鉄鋼メーカでは Zn-Ni
や Zn-Feなどの合金めっき鋼板を開発した。その中で Z
n-Niめっき鋼板は、裸の耐食性がZnめっき鋼板の5〜10
倍あるため、最も一般的な合金めっき鋼板として著しく
需要が増加している。
【0003】こうした需要増に対処するには、効率的な
生産が可能である高電流密度による高速めっき法が必要
である。高速めっき法においては、陽極交換を頻繁にお
こなう可溶性陽極よりも、陽極交換のほとんどない不溶
性陽極を用いる方が有利である。しかし、不溶性陽極を
用いる場合には、めっきにより消費される金属イオンを
連続的に補給する必要がある。
【0004】めっきの高速化に伴い、めっき浴中の金属
イオンの消費速度が比例的に大きくなるため、金属イオ
ンの補給特に消費量(析出量)の多いZnイオンの補給を
低コストにて実施することが極めて重要になる。不溶性
陽極を用いる電気亜鉛めっき浴におけるZnイオンの補給
方法としては、次の2つの方法が一般的である。 亜鉛を炭酸塩など可溶性薬品の形でめっき液に溶解す
る方法。 亜鉛金属をめっき液と直接接触させることにより溶解
する方法。
【0005】しかし、の方法は、の方法に比較して
溶解性が優れている反面、コストが高いという欠点があ
る。一方の方法は、コストは安いが溶解性が劣る欠点
がある。電気亜鉛めっき浴への金属亜鉛の溶解を促進さ
せる方法として、亜鉛や亜鉛合金をステンレスと接触さ
せる方法(特開昭55-32701号公報)、あるいは、亜鉛め
っき浴中に微量のNi2+またはFe3+イオンを存在させる方
法(特開昭61-600号公報、特開昭 61-3900号公報参照)
などが開示されている。これらの方法は、金属亜鉛にス
テンレス、Ni、Fe等亜鉛より貴な電位を持ちかつ水素過
電圧の小さな金属を接触させることにより、金属亜鉛の
溶解速度を速くしたものである。
【0006】Zn-Niめっき液中に亜鉛を供給する場合
は、炭酸塩などの薬品の形で行う。亜鉛金属をめっき液
と直接溶解する方法は、Znめっき液の場合上述のように
すでに実施されているが、 Zn-Niめっき液では行われて
いない。これは、めっき液中に存在する多量のNiの標準
還元電位がZnよりも 0.5V程度貴であるため、亜鉛が溶
解するとき、その金属表面にNiが析出し、経時とともに
亜鉛の溶解速度が低下するためである。
【0007】Niの析出を防止する方法として、特開昭 6
3-238300号公報が開示されているが、金属亜鉛を溶解す
るために、Co、Moなどを添加している。Co、Moなどの金
属は高価であり、また、 Zn-Niめっきに及ぼす影響が明
確ではなく、溶解のためにめっき液中に元素を添加する
ことには問題が残る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決した、異種金属を添加するなどのめっき自身の品
質に影響を及ぼすことのない、 Zn-Niめっき浴への亜鉛
イオンの補給方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 Zn-Ni系合金
電気めっき浴中に充填層を用いて金属亜鉛を溶解して亜
鉛イオンを補給する方法において、溶解に用いる金属亜
鉛の比表面積X(m2/kg)と、 Zn-Niめっき液の浴温T
(℃)を下記の条件で溶解することを特徴とする Zn-Ni
系合金電気めっき浴への亜鉛イオンの補給方法である。
【0010】 −149.5logX−89.5≦T≦−149.5logX+ 119.5
【0011】
【作用】本発明者らは、 Zn-Ni合金めっき液への金属亜
鉛の溶解を鋭意検討した結果、亜鉛の溶解時に析出する
Niは、経時とともにその量が増し亜鉛の溶解速度を低下
させるが、めっき液温度と金属亜鉛の比表面積の大きさ
を適切にとると、亜鉛溶解が最後まで進行するという知
見を得て本発明を完成した。
【0012】ここで、本発明者らが行った溶解速度の実
験結果を図1に示す。実験条件は以下のとおりである。 溶解液組成 ZnSO4 ・7H2O :120g/l NiSO4 ・6H2O :250g/l Na2SO4 : 50g/l 溶解液 pH : 1.5 溶解液 液量 : 10l ショット亜鉛 :150g 50mmφの筒の中にショット亜鉛を充填し、下から1〜5
cm/sec の空塔速度で溶解液を流した。pHは、硫酸によ
りコントロールした。溶解時間は6時間として、溶解前
後の重量測定により溶解速度を求めた。
【0013】図1の評価は、6時間の平均溶解速度が 7
0g/kg・hr(金属亜鉛1kg当りの単位時間当りの溶解
量)以上を良好(○)、 70g/kg・hr未満を不良(×)
として行った。ここで、6時間の平均溶解速度が 70g/
kg・hr以上を良好(○)、未満を不良(×)としたの
は、既存の鋼板の連続めっきラインに適用するには溶解
速度が高く、設備がコンパクトである必要があり、この
ような要請から平均溶解速度が70g/kg・hr以上必要とさ
れることによる。
【0014】一方、金属亜鉛の溶解時には、不可避的に
Zn-Ni めっき液中のNiの置換析出が生じるが、この析出
したNiは、一般的に用いられている Zn-Niめっき液へは
化学溶解しないため、めっき液中のZnとNiの比率を一定
に保持するためには析出した分は別途炭酸ニッケルで添
加するか、この析出したNiをなんらかの方法でめっき液
中に溶解する必要がある。従って、投入した亜鉛量に対
して析出するNiの割合Aが少ないほど余分な薬剤や付帯
設備が省略できるので好ましい。このような観点から金
属亜鉛溶解が工業的に優位となる臨界点か、この割合A
がほぼ5重量%のときであるから、A≦5wt%を良好
(○)、A>5wt%を不良(×)と評価した。
【0015】実験結果を図2に示す。比表面積が大きく
なるに従って、また、浴温が高くなるに従って割合Aの
値は大きくなる。なお、図1〜3の比表面積は空気透過
法により求めた値である。本発明は、 Zn-Niめっき浴へ
の亜鉛イオン供給であるから、めっき浴の温度と著しく
かけ離れた温度で金属亜鉛を溶解すると、供給系とめっ
き系の間で液のやり取りをするとき、多大のエネルギー
が必要となるため、ランニングコストが高くなり経済上
問題である。従って、金属亜鉛の溶解時の液温は、15〜
60℃が望ましい。
【0016】溶解速度の観点より求めた図1およびNi析
出の観点より求めた図2を合わせて、 Zn-Niめっき液へ
の溶解の適正な範囲を図3に示す。なお、ここで述べた
Zn-Ni系合金めっきとは、Zn-Ni めっきおよび Zn-Niに
第3元素を添加しためっき例えば、Zn-Ni-Cr、Zn-Ni-Co
なども含む。
【0017】
【実施例】一般的に用いられる Zn-Niめっき液に対し
て、種々の比表面積の亜鉛ショットを溶解した結果を表
1に示す。表1に示されていない溶解条件は前述のとお
りで、pH調整等をおこなっている。本発明法により、溶
解速度が速く、しかも亜鉛表面に析出するNiの割合が低
いため、極めて経済的な亜鉛溶解が可能である。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、連続電
気めっきラインにおいて不溶性陽極を用いて Zn-Ni合金
めっき鋼板を製造する際の、めっき浴への亜鉛イオンの
補給方法において、金属亜鉛の溶解速度が速く、しかも
亜鉛表面に析出するNiの割合が低いため、極めて経済的
な亜鉛溶解が可能である。また、異種金属を添加するな
どのめっきの品質に悪影響を及ぼすことなく、 Zn-Ni合
金めっき浴への亜鉛イオンの補給を効率的に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属亜鉛の溶解試験における溶解速度から、適
正な比表面積と浴温の関係を示したグラフである。
【図2】金属亜鉛の溶解試験におけるNi析出割合から、
適正な比表面積と浴温の関係を示したグラフである。
【図3】本発明における Zn-Niめっき浴への金属亜鉛の
溶解条件の範囲を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 21/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn-Ni系合金電気めっき浴中に充填層を
    用いて金属亜鉛を溶解して亜鉛イオンを補給する方法に
    おいて、溶解に用いる金属亜鉛の比表面積X(m2/kg)
    と、 Zn-Niめっき液の浴温T(℃)を下記の条件で溶解
    することを特徴とする Zn-Ni系合金電気めっき浴への亜
    鉛イオンの補給方法。 −149.5logX−89.5≦T≦−149.5logX+ 119.5
JP4029254A 1992-02-17 1992-02-17 Zn−Ni系合金電気めっき浴への亜鉛イオンの補給方法 Expired - Fee Related JP3056317B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101639751B1 (ko) * 2015-11-26 2016-07-15 박승동 조립형 장식구

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KR101639751B1 (ko) * 2015-11-26 2016-07-15 박승동 조립형 장식구

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