JP3055788B2 - 振動特性解析方法及び装置 - Google Patents

振動特性解析方法及び装置

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JP3055788B2
JP3055788B2 JP2021604A JP2160490A JP3055788B2 JP 3055788 B2 JP3055788 B2 JP 3055788B2 JP 2021604 A JP2021604 A JP 2021604A JP 2160490 A JP2160490 A JP 2160490A JP 3055788 B2 JP3055788 B2 JP 3055788B2
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  • Testing Electric Properties And Detecting Electric Faults (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、工作機械、電子機器、自動車、航空機など
の一般産業機械を対象にした、加振試験などの実験デー
タに基づく振動特性の解析方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕
工作機械、電子機器、自動車、航空機などの一般産業
機械の振動特性を解析する従来の方法及び装置を、工作
機械を例に説明する。
第3図は工作機械の加振試験を示したもので、ベッド
21にテーブル23を載置し、コラム22に主軸頭を取付け、
テーブル23と主軸頭26の間に加振機24を挟み、該加振機
24に正弦波あるいはランダム波の振動を発生させてテー
ブル23と主軸頭26間に相対加振を行い、加振機24に取り
付けた荷重センサ25と、主軸頭26に取り付けた変位セン
サあるいは加速度センサ27で振動の時間応答波形を検出
する。
第4図は振動特性解析装置のブロック図を示す。入力
Xを加振力、入力Yを振動の応答波形信号として、それ
ぞれのアナログ信号を増幅器1,2で増幅した後、アナロ
グ/デジタル変換器3,4でデジタルデータに変換し、メ
モリ5に記憶する。CPU6は所謂マイクロコンピュータで
あり、メモリ5のデータに基づいてX及びYの時間応答
波形を高速フーリエ変換手法を用いて周波数領域の特性
に変換し、XとYの関係を表す伝達関数、すなわち機械
構造物のコンプライアンスまたは動剛性を測定する。測
定した伝達関数はキーボード付のCRTディスプレイ装置
7やX−Yプロッタ8に出力されたり、必要に応じてフ
ロッピーディスク9に記録される。さらに、CPU6では、
測定した伝達関数から機械系の等価剛性、固有振動数、
減衰比、振動モードなどのモードパラメータを計算す
る。この実機の加振試験の結果から求めたモードパラメ
ータを基にして、振動モードの動画表示すなわち振動モ
ードアニメーションや機械の構造変更に伴う動特性のシ
ミュレーションを行うことが可能である。第5図は、全
体の処理フローチャートを示したものである。
この種の実験モード解析システムは、ハードウェア、
ソフトウェアとも既に市販されており、一般に広く利用
されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術の振動特性解析法の大きな問題点は、モ
ード解析の理論式そのものが線形を仮定して構成されて
いるために、非線形特性を考慮することが困難であるこ
とである。すなわち、測定した伝達関数が線形特性か、
非線形特性が含まれているのか判断することができな
い。また、伝達関数に非線形特性が含まれるとき、曲線
適合法を伝達関数に適用して、固有振動数、減衰比など
のモードパラメータを同定した場合、そのモードパラメ
ータに大きな誤差が生じ、同定したモードパラメータに
基づく任意外力に対する応答計算や構造変更シミュレー
ションの結果などに大きな誤差を引き起こすこととな
る。
また、得られたモードパラメータの結果を、地震など
の影響を予測計算するための耐震設計に利用する場合な
どにおいては、特に減衰比において同定して求めた値が
真値より数倍、または桁違いとなるほど誤差を含むこと
が予想されるので、その結果を用いる場合にはきわめて
危険であることが指摘されている。すなわち、実際の構
造物の動特性は、完全な線形ではなく、厳密には非線形
特性を含むことが多いにもかかわらず、適当な解析法が
ないため、従来は線形系として解析を行わざるを得なか
ったが、これはモード解析の精度を低下させる問題を有
していた。
本発明の目的は、これらの従来の実験モード解析法の
問題点を改善し、線形系および非線形系に対しても適用
することが可能な振動特性解析方法及び装置を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明では、被測定物を
加振試験して伝達関数を測定し、該伝達関数から等価質
量、等価剛性、振動モードで構成される関数(これをMS
F関数という)、減衰の項、振動モードで構成される関
数(これをVDF関数という)を求め、該MSF関数、VDF関
数の特性から伝達関数の線形性、非線形性を判別し、該
線形性、非線形性を考慮して被測定物の振動特性を表す
モードパラメータを同定するようにしたことである。
〔作 用〕
MSF(Mass and Stiffness Function)関数は、振動系
の剛性が線形のときは単純な放物線となるが、剛性が非
線形のときは、関数が零と交わる部分で変化が見られ
る。振動系を1自由度系で考えると、MSF関数は質量と
剛性からなる関数である。質量は非線形になるというこ
とはあり得ないので、MSF関数が零で交わる部分におい
て変化しているとすれば、それは振動系の剛性(バネに
相当する)が非線形になっていることを意味する。従っ
て、任意のモードに対してMSF関数の特性を調べること
により、振動系が線形系であるか、非線形系であるか容
易に判別できる。
また、VDF(Viscous Damping Function)関数は粘性
減衰からなる関数である。振動系の減衰の発生メカニズ
ムが純粋な粘性減衰系の場合には、横軸周波数に対して
負の傾きをもつ直線となり、減衰が構造減衰系の場合に
は、周波数にかかわらず傾きが零の直線となる。しか
し、実際の非線形の振動系においては、VDF関数は数学
モデルに合う理想的な直線とはならず、なんらかの曲線
となることが多い。従って、VDF関数の特性を調べるこ
とにより、振動系が線形系であるが、非線形系であるか
容易に判別できる。
線形性、非線形性が判別できると、該線形性、非線形
性を考慮して被測定物の振動特性を表すモードパラメー
タを正しく同定することが可能になる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例について図面により説明す
る。
第1図は本発明による振動特性解析装置の一実施例の
ブロック図である。第1図において、1および2はチャ
ネルCH1,CH2の増幅器であり、それぞれ入力信号X,Yを適
当な大きさに増幅する。入力信号Xは加振力、入力Yは
機械構造物の任意の点における変位または加速度の時間
応答信号が一般に用いられる。例えば第3図に示した工
作機械の加振試験の場合、荷重センサ25の信号が入力信
号X、変位センサあるいは加速度センサ27の信号が入力
信号Yとなる。加振試験を行う場合、FFT演算用CPU6は
加振信号発生器12を制御して、ランダム信号あるいは正
弦波信号などの加振波信号を発生せしめる。この加振信
号をパワー増幅器13で増幅し、動電型または油圧型など
の加振機14により、実際の構造物を加振する。例えば第
3図の加振機24が該加振機14に相当する。なお、ランダ
ム信号波形は、全く規則性のない純ランダム信号であ
り、ダイオードなどの熱雑音信号などから発生させるこ
とができる。このランダム信号は、波形の波高率を大き
くするために、ローパスフィルタにより測定周波数帯域
のみの周波数成分をもたせるようにする。
アナログ/デジタル変換器3,4は、増幅器1,2で増幅さ
れた入力信号X,Yについて、FFT演算用CPU6から与えられ
るサンプリング信号に従って例えばデータのサンプル長
が1024点のデジタルデータに変換する。該デジタルデー
タは、一旦、メモリ5に記憶される。入力信号X,Yのサ
ンプリングが終了すると、FFT演算用CPU6はメモリ5よ
り入力信号X,Yのデータを読出し、それぞれのチャネル
について高速フーリエ変換(FFT)を実行して、伝達関
数を求める。ここで、伝達関数HX,y(ω)は、信号X
のパワースペクトラムをGXX、信号XとYのクロスパワ
ースペクトラムをGXyとして により求めることができる。
伝達関数の測定結果はディスク装置10に記憶される
が、同時にフロッピーディスク9に記録することも可能
である。さらに、キーボード付のCRTディスプレイ装置
7またはX−Yプロッタ8に出力することも可能であ
る。
全データの測定後、モード解析用CPU11はディスク装
置10から伝達関数データを逐次読出して解析を行う。こ
こで、モード解析用CPU11では、直線及び非線形特性を
考慮したモード解析(モードパラメータの同定、振動モ
ードの計算など)を行う。モード解析結果はフロッピー
ディスク9に記録され、さらに、必要に応じてCRTディ
スプレイ装置7またはX−Yプロッタ8に出力される。
第1図の構成では、FFT演算用CPU6とモード解析用CPU
11の二つのCPU(マイクロプロセッサ)を用いるとした
が、これらは一つCPUに結合することも可能である。
第2図は、直線及び非線形特性を考慮した本発明によ
るモード解析の処理フローチャートの一例である。第2
図において、手順1〜4がFFT演算用CPU6での処理、手
順5〜8がモード解析用CPU11での処理である。以下、
第2図に従って説明する。
手順1 初めに正弦波掃引加振試験を行う理由は、正弦波によ
る加振が、線形系、非線形系のいずれの振動系において
も最も正確に伝達関数を測定できることによる。ここ
で、正弦波掃引加振試験で測定された伝達関数、すなわ
ち機械構造物のコンプライアンスをVNとする。
いま、正弦波掃引加振試験により測定した伝達関数、
すなわちコンプライアンスVNが第6図に示すように、山
頂が1個の場合には、近似的に1自由度系の振動系とし
てみることができ、この場合には、手順5にすすむ。一
方、第7図に示したように、山頂が複数個の場合には、
多自由非線形系として扱う必要があり、手順2に進み、
ランダム信号波形により加振試験を行う。1自由度系、
多自由度系の伝達関数がCRTディスプレイ装置7に表示
されるので、オペレータは速やかにその判断をすること
ができる。
手順2 ランダム信号波形による加振を行い伝達関数を測定す
る。ランダム信号波形としては、加振力に充分なパワー
をもたせるために、例えば帯域制限型ランダム信号波形
を用いる。また、高速フーリエ変換における漏れ誤差を
少なくするために、バーストランダム加振法などを用い
て伝達関数を測定する。ランダム信号を用いる理由は、
構造物に非線形を有する場合、非線形性のために発生す
る高調波歪成分を除去でき、あたかも線形系の構造物を
加振した場合と同じ結果が得られるからである。したが
って、この加振法で測定した伝達関数には、非線形特性
の影響が表れず、線形化された特性が得られるので、こ
れを線形のコンプライアンスVLとする。
手順3 VLはほぼ線形に近い結果が得られるので、従来から行
われている線形系を仮定したMDOF法、例えば偏分反復
法、または複素指数法などを利用してモードパラメータ
を同定することができる。線形の伝達関数から同定する
モードパラメータは、等価質量m*L,l、等価剛性k*
L,l、等価減衰c*L,l、振動モードφLp,l、φLq,lなど
である。
手順4 正弦波掃加振法によって得られたコンプライアンスVN
を対象に、注目している任意のモードに関して、他のモ
ードの影響を除去し、1自由度系の伝達関数を以下に示
す方法により計算する。
p点加振、q応答のl次モードの1自由度非線形系の
コンプライアンスVNS,pq,lは、手順1で求めて保持さ
れているVN,pqと手順3で同定された線形のモードパラ
メータm*L,l,k*L,l、c*L,l、φl,pl、φL,ql
ら、 により計算することができる。この式はモードが互いに
離れ、それぞれのモードの非線形特性が、l次モードに
ほとんど影響していないことを仮定することにより成り
立つものである。
l次モードのp点加振、qw点応答の、1自由度非線形
系の伝達関数VNS,pq,lと表すことができる。ここでm*L,lは非線形系におけ
るl次モードの等価質量、k*L,lは同じくl次モード
の等価剛性であり、δk*N,lはk*L,lからの偏差分で
ある。またc*L,lはl次モードの等価減衰である。非
線形の場合にはモー僅か変化することが考えられるの
で、線形のモードと区別してp点におけるl次モードを
φN,p,lとしている。
手順5 MSF関数とVDF関数は、伝達関数VNS,pq,lから次のよ
うに導びいて定義する。VNS,pq,lの実数部は と表され、虚数部は、 により表される。また、|VNS,pq,l|2と導かれるから、MSFNS,pq,l、VDFNS,pq,lはそれぞれ、 と与えられる。ここでΦpq,lである。ここで、(7)式の関数をMSF(Mass and Stif
fness Function)関数、(8)式の関数をVDF(Viscous
Damping Function)関数と称す。
手順6 MSF関数とVDF関数から線形、非線形の判断は以下のよ
うに行われる。
MSF関数は、(7)式より振動系の等価質量と等価剛
性のモードパラメータにより、特性曲線が構成される。
第8図は線形系と非線形系のMSF関数の比較を示してい
る。振動系の剛性が線形のときは、第8図に点線で示す
ように、上を凸とする放物線となるが、剛性が非線形の
場合は、実線で示すように、MSF関数が零と交わる部分
で線形の場合と比較して変化が見られる。このように任
意のモードに対してMSF関数を調べることにより、振動
系の剛性が線形系であるか、非線形であるかを容易に判
断することが可能である。
VDF関数は、(8)式より振動系の減衰項によって構
成される。第9図はVDF関数の一例を示している。振動
系の減衰の発生メカニズムが粘性減衰系の場合には、第
9図に点線で示すように、横軸周波数に対して負の傾き
をもつ直線となる。また、減衰が構造減衰系の場合に
は、1点鎖線で示すように、周波数にかかわらず傾きが
零の直線となる。実際の振動系においては、VDF関数は
数学モデルに合う理想的な直線とはならず、第9図の実
線に示すように、なんらかの曲線となることが多い。こ
れは実際の減衰特性は単なる粘性減衰系や構造減衰では
なく、非線形の特性を示し、減衰発生のメカニズムが複
雑であることを示している。
このように、MSF関数、VDF関数は、例えば伝達関数の
実数部や虚数部をみるだけでは得られない多くの情報を
含んでおり、振動系が線形か非線形か判定するのに適し
ている。振動系が線形か非線形かの判定は、MSF関数、V
DF関数をCRTディスプレイ装置7に表示し、これを見て
オペレータが判定するか、あるいは、装置が曲線の性質
を調べ、自動的に判定するようにしてもよい。
手順7 振動系が線形のモードパラメータを以下のようにして
同定する。
線形系のMSF関数、VDF関数はそれぞれ MSFLS,pq,l=Φpq,l(−m*L,lω+k*L,l) (10) VDFNS,pq,l=Φpq,l(−ωc*L,l) (11) と表され、Φpq,lである。いま、m*L,pq,l′,k*L,pq,l′,c*L,pq,l
をそれぞれ m*L,pq,l′=Φpq,lm*L,l (13) k*L,pq,l′=Φpq,lk*L,l (14) c*L,pq,l′=Φpq,lc*L,l (15) とおくと、MSFLS,pq,lは、 MSFLS,pq,l=−m*L,pq,l′ω+k*L,pq,l′ (1
6) と与えられる。またVDFNS,pq,lは、 VDFNS,pq,l=−ωc*L,pq,l′ (17) と与えられる。MSFNS,pq,lのデータは、角振動数毎の値
が得られるので、 と表すことができる。(18)を {MSF}=[U]{ξ} (19) と書き、最小二乗法を適用する。両辺に[U][W]
を掛けると、 [U][W]{MSF}=[U][W][U]
{ξ} (20) が得られる。ここで[W]は対角行列とした重み行列で
ある。これから{ξ}は {ξ}=[[U][W][U]]-1[U][W]{MSF} (21) により求められる。ここで[W]は全データをすべて一
様に使用する場合には単位行列とする。このときの固有
振動数ωnL,lは、 により求めることができる。減衰比ζL,lはVDFLS,pq,l
関数から により求めることができる。
手順8 非線形におけるモードパラメータを以下のようにして
同定する。MSFNS関数とVDFNS関数から同定されるパラメ
ータは[m*],[k*],[δk*],[c*
],[φ]等である。
m*N,pq,l′,k*N,pq,l′,δk*N,pq,l′,c
N,pq,l′をそれぞれ m*N,pq,l′=Φpq,lm*N,l (24) k*N,pq,l′=Φpq,lk*N,l (25) δk*N,pq,l′=Φpq,lδk*N,l (26) c*N,pq,l′=Φpq,lc*N,l (27) とおくと、MSFNS,pq,lは、 MSFNS,pq,l=−m*N,pq,l′ω+k*N,pq,l′ +δk*N,pq,l′ (28) と与えられる。振動系の剛性が非線形特性を有する場合
は、δk*N,pq,l′を考慮する。δk*N,pq,l′は等価
剛性k*N,pq,l′の偏差分として考えることができ、応
答振幅の関数として多項式で表すと、 δk*N,pq,l′=ε1A2+ε2A4+ε3A6+ε4A8(29) で与えられる。多項式の項数は任意でよいが、ここでは
A2,A4,A6,A8までの項を採用する。なお、A3,A5,A7,A9
項を考慮していない理由は、理論的に有り得ない項であ
ること、また計算を容易にするためである。一方、振幅
Aは A=VN,pq,lF(ω) (30) である。ここでF(ω)は加振したときの各周波数の加
振力である。
等価剛性を多項式で表したときのMSF関数は、 MSFNS,pq,l=−m*N,pq,l′ω+k*N,pq,l′ +ε1A2+ε2A4+ε3A6+ε4A8 (31) により表すことができるので、各周波数ε毎にMSF関数
を表すと、 となり、これを {MSF}=[U]{ξ} (33) と表し、最小二乗法を適用する。(33)の両辺に[U]
[W]を掛けると、 [U][W]{MSF}=[U][W][U]
{ξ} (34) となる。ここで[W]は対角行列として重み行列であ
る。これから{ξ}は {ξ}=[[U][W][U]-1[U][W]{MSF} (35) により求められる。ここで[W]は、全データをすべて
一様に使用する場合には単位行列とする。
第8図に示したように、MSF関数は共振周波数近傍で
線形系と異なった挙動を示すから、[W]の要素を共振
周波数近傍で零とすることにより、共振周波数近傍の影
響をほとんど考慮しないm*N,pq,l′,k*N,pq,l′を求
めることになり、このことはm*N,pq,l′,k*N,pq,l
が近傍的に線形系の値として同定することが可能とな
る。
(35)式の計算により、m*N,pq,l′,k*N,pq,l′,
ε12,…εを求めることができる。ε12,…ε
がすべて零であれば、振動系が線形特性である。
MSF関数を上記に示したような多項式で完全に表すこ
とができるのは、第10図に示すような、Duffing型非線
形ばねや、ばねの復元力特性が fnk=kX+β1X3+β2X6+β3X9+… (36) で表される化合物である。
一方、第11図に示されるような断片線形型の非線形ば
ね形特性の場合には、上述のように多項式で表した場合
には、近似的なモデル化となるので、以下に示す方法に
より同定を行う。
(28)式から、MSF関数から線形のモードパラメータ
項、すなわち、mN,pq,l′,kN,pq,l′の影響を除去する
ことにより、線形からの偏差分δfN,pq,l′を求めるこ
とができる。この場合、δkfN,pq,l′は、 δk*N,pq,l′=MSFNS,pq,l+mN,pq,l′ω −kN,pq,l′ (37) と表される。
(37)式で示されたδk*N,pq,l′は、一見するとω
の関数となっているが、振幅Aの関数でもある。非線形
特性を表しているδk*N,pq,l′は、問題の性質によっ
てωに強く依存する場合と、Aに強く依存する両方の場
合が考えられる。δk*N,pq,l′の性質を調べる方法と
して、δk*N,pq,l′が与えられたときの振幅Aは、
(30)式から求められるので、Aの小さい順から大きい
順にδk*N,pq,l′を並び変えてA−δk*N,pq,l′の
関係を求めることができ、この関係からAに対するδk
N,pq,l′の関係を最小二乗法により、任意の数学モデ
ルの適合させ、非線形特性を定式化することが可能であ
る。
一例として、第11図に示されるような断片線形型非線
形ばねが振動系に含まれている場合には、近似的に断片
線形型非線形ばねの記述関数、または等価伝達関数でモ
ードパラメータを同定することができる。これを以下に
示す。
第11図に示した断片線形型の非風形ばねをもつ、1自
由度非線形系の場合を例として同定法を示す。1自由度
非線形系の線形剛性からの偏差分をδkN(A)とする
と、δkN(A)は、 δkN(A)=2μk1/π+(1−2μ/π)k2−k1 (38) で表すことができる。但しAは、 A≧Xe (39) であり、λ、μは、 λ=Xe/A (40) により与えられる。ここで非線形特性を表すパラメータ
はk1,k2,k0であり、XeはA−δkN(A)線図の関係から
既知とすると、(38)式から が導びかれ、これを、 {Gn}=[x]{} (43) とおいて、正規方程式に基づく最小二乗法を適用すれ
ば、 {}=[[x][x]]-1[x]{Gn}(44) によりk1,k2を求めることができる。
次にモード行列[φ]を求める方法を示す。非線形
系のコンプライアンス行列を[VN]とすると、[VN
は、 と書ける。二重枠線の{VN11,VN21,…VNh1}の列は、加
振点を1に固定して、応答点を移動して測定した場合の
コンプライアンス列であり、実線枠の[VN11,VN12,…V
N1h]は応答点を1に固定して、加振点を移動する場合
のコンプライアンス行を示している。線形の場合は、行
または列いずれからでも同じモードが得られる。
非線形系の場合はできるだけ正確な伝達関数を測定す
る必要性から、加振機の使用が前提となること、また実
際の現象を観察する点から、実機の振動源となる位置に
加振機を固定して各点応答をみる必要性から{VN11,V
N21,…VNh1}のように列のコンプライアンスからモード
の特性を求めることが行われる。
上記に示した方法により各々のコンプライアンスから
m*N,pq,i′,k*N,pq,i′,δk*N,pq,i′を同定して
おき、この結果からモード[φ]を求める。
モードの値のスケーリングとして、すべてのモードに
おいて等価質量m*N,iが m*N,i=1 (46) となるように[k*],[φ]をスケーリングす
る。このようにモードパラメータを正規化する理由は、
同定結果に一連の互換性が得られることと、FEM等によ
る解析結果などとの比較を容易にするためである。
(12)式を(24)式に代入し、m*N,iを1とする
と、 が得られる。qを加振して、q点の応答から が得られる。ここで、m*N,qq,l′及びm*N,pq,l′は
最小二乗法により求められているとすると、(48)式か
らφN,q,lは、 により計算できる。またφN,q,lを(47)式に代入する
とφN,q,lは、 による計算できる。
非線形系としての固有振動数ωnN,lにより求めることができる。ここでδk*N,pq,l′を考
慮しない場合は等価剛性が変化しない場合を想定して、
系を線形としてみることができる。このときの固有振動
数ωnNL,lは、 により表すことができる。
VDFNS,pq,l関数は1自由度線形系の場合と同様に傾き
が−Φpq,lc*N,lの直線で表され、この関数から減衰
比ξN,lを求めることができる。ξN,lにより求められる。(8)からc*N,lにより表され、このc*N,lを(53)に代入するとξN,l
は、 により求めることができる。また、ξを求めるときに
δk*を考慮しない場合は、ωnNL,lの場合と同様
に、等価剛性が変化しない場合を想定しているので、系
を線形としてみた場合の減衰比とすることができる。こ
のときの減衰比をξNL,lとすると、モードが線形と非線
形とで変化が極めて少ないとすると、(55)式のωnN,l
をωnL,lとすることにより、ξNL,lは、 と求められる。
線形を仮定した、従来の同定法では、コンプライアン
スにおける虚数部の特性から、減衰比を同定する方法が
一般に採用されているが、この従来方法では、モードの
減衰法が低い場合には、FFTの周波数分解能が充分でな
く、減衰比の同定精度が低下する。しかし、VDFNS関数
から減衰比を計算する本方法は、ばねが非線形であって
も、VDFNS関数は固有振動数近傍で山頂の性質を示さな
いことから、同定に際して誤差が少なく、精度よく減衰
比を求めることができる。
全モードの同定が終了するまで、手順4から手順8
で、以上述べた操作を繰り返して同定計算を行う。
次に実験例として、本発明による同定法を非線形振動
系に適用した結果を示す。
第12図は実験装置を示している。非線形振動系として
は、梁の3点のうち、2点を支持し(支持ブロックA,
B)、他の1点は微小隙間±3μm与えた支持とし(支
持ブロックC)、梁の先端を電磁加振機で加振する振動
系とした。コンプライアンスの測定結果は第13図に示し
ている。第13図の一点鎖線は、従来の複素指数法により
同定した結果を示しているが、同定の精度が脇めて悪い
ことが示されている。
第14図は、第13図のコンプライアンスのMSF関数を示
している。コンプライアンスの図からは、非線形である
と判断することができないが、第14図に示したMSF関数
は、MSFが零の部分で折れ曲がっているので、非線形特
性を有する伝達関数であることが分かる。本発明方法に
よりMSF関数に最小二乗数を適用し、m*N,k*につい
て同定し、同定したモードパラメータからMSF関数を再
計算した結果を破線で示したが、非線形の特性があるに
もかかわらず、MSF関数の同定結果は実線の実験結果と
ほぼ一致することが示されている。
第15図は、モードパラメータの同定結果に基づいてコ
ンプライアンスを計算し(破線)、測定結果(実線)と
合わせて示したものであるが、同定結果は、伝達関数が
非線形特性を有するにもかかわらず、本発明によるモー
ドパラメータ同定法では、元のデータとよく一致するこ
とが示されている。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明による振動特
性解析方法及び装置によれば、MSF関数、VDF関数を用い
たことにより、測定した伝達関数が線形として扱っても
よいかどうか、また非線形特性を有するかどうかを明瞭
に判断することができ、振動系が非線形特性を有する場
合には、非線形特性を考慮した固有振動数、等価剛性、
減衰比、モードなどのモードパラメータを正しく同定す
ることが可能となる。また、線形系に対しても、無理な
く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の振動特性解析装置の一実施例のブロッ
ク図、第2図は本発明によるモード解析の一実施例の処
理フローを示す図、第3図は工作機械の加振試験を説明
する図、第4図は従来の振動特性解析装置のブロック
図、第5図は従来のモード解析の処理フローを示す図、
第6図は1自由度系とみなしうる伝達関数の例を示す
図、第7図は多自由度系とみなしうる伝達関数の例を示
す図、第8図は線形系と非線形系のMSF関数を示す図、
第9図は線形系と非線形系のVDF関数を示す図、第10図
はDuffing型非線形ばねの復元力と変位の関係を示す
図、第11図は断片線形型非線形ばねの復元力と変化の関
係を示す図、第12図は非線形振動梁の加振試験装置の一
例を示す図、第13図は非線形振動梁のコンプライアンス
測定結果と従来の複素指数法による同定結果を示す図、
第14図はMSF関数の測定結果と同定結果を示す図、第15
図はコンプライアンスの測定結果と同定結果を示す図で
ある。 1,2……信号増幅器、 3,4……アナログ/ディジタル変換器、 5……メモリ、6……FFT演算用CPU、 7……CRTディスプレィ装置、 8……X−Yプロッタ、 9……フロッピーディスク、 10……ディスク装置、 11……モード解析用CPU、 12……加振信号発生器、13……パワー増幅器、 14……加振機。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定物の振動特性を解析する方法におい
    て、被測定物を加振試験して伝達関数を測定し、該伝達
    関数から等価質量、等価剛性の項、振動モードで構成さ
    れる関数(以下、MSF関数という)、減衰の項、振動モ
    ードで構成される関数(以下、VDF関数という)を求
    め、該MSF関数、VDF関数の特性から伝達関数の線形性、
    非線形性を判別し、被測定物の振動特性を表すモードパ
    ラメータを、該線形性、非線形性に応じて同定すること
    を特徴とする振動特性解析方法。
  2. 【請求項2】MSF関数が単純な放物線のとき、VDF関数が
    直線のときに線形性と判別し、MSF関数が零と交わる部
    分で変化するとき、VDF関数が直線を示さないときに非
    線形性と判別することを特徴とする請求項(1)記載の
    振動特性解析方法。
  3. 【請求項3】MSF関数に最小二乗法を適用して、線形
    性、非線形性の振動系の等価質量と等価剛性を同定し、
    VDF関数から減衰比を同定することを特徴とする請求項
    (1),(2)記載の振動特性解析方法。
  4. 【請求項4】MSF関数から、等価剛性の非線形特性を同
    定する場合、等価剛性の線形特性からの偏差分を多項式
    で表し、この数学モデルに対して最小二乗法により非線
    形系に対する同定を行うことを特徴とする請求項(3)
    記載の振動特性解析方法。
  5. 【請求項5】MSF関数から、線形の等価剛性からの偏差
    分δk*の項を抜き出し、振幅Aとδk*に対応し
    たAの関係から、Aの小さい順から大きい順にδk* を並び変えて、A−δk*の関係から任意の数学モデ
    ルを用いて非線形系のモードパラメータを同定すること
    を特徴とする請求項(3)記載の振動特性解析方法。
  6. 【請求項6】被測定物の振動特性を解析する装置におい
    て、被測定物を加振する手段と、振動の時間応答波形を
    検出する手段と、該検出されたアナログ信号をデジタル
    データに変換する手段と、時間領域の該データについて
    高速フーリエ変換を行い伝達関数を計算する手段と、該
    伝達関数からMSF関数、VDF関数を求める手段と、該MSF
    関数、VDF関数の特性から伝達関数の線形性、非線形性
    を判別する手段と、該線形性、非線形性に応じて、被測
    定物の振動特性を表すモードパラメータを同定する手段
    とを有することを特徴とする振動特性解析装置。
  7. 【請求項7】伝送関数の線形性、非線形性を判別する手
    段は、MSF関数が単純な放物線のとき、VDF関数が直線の
    ときに線形性と判別し、MSF関数が零と交わる部分で変
    化するとき、VDF関数が直線を示さないときに非線形性
    と判別することを特徴とする請求項(6)記載の振動特
    性解析装置。
  8. 【請求項8】MSF関数、VDF関数を表示する手段を備え、
    該表示されたMSF関数、VDF関数の特性から、オペレータ
    が線形性、非線形性の判別をできるようにしたことを特
    徴とする請求項(6)記載の振動特性解析装置。
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