JP3055556U - 電磁波防護肌着 - Google Patents

電磁波防護肌着

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JP3055556U JP1998004884U JP488498U JP3055556U JP 3055556 U JP3055556 U JP 3055556U JP 1998004884 U JP1998004884 U JP 1998004884U JP 488498 U JP488498 U JP 488498U JP 3055556 U JP3055556 U JP 3055556U
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典裕 松岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、人体内に植え込まれた心臓のペー
スメーカの誤作動の防止に鑑み、人体のあらゆる角度か
ら入射する電磁波を遮断する電磁波防護肌着を提供す
る。 【解決手段】 本考案の電磁波防護肌着5は、芯糸2
に、細線の導電性物質3を螺旋状に巻き付けた導電性糸
1を肉厚で網目の詰まったスムース編みで電磁波遮断布
4を編成し、あるいは芯糸2に、導電性物質3をコーテ
ィングした導電性糸13を、リブ編みで電磁波遮断布1
5を編成し、人体11が着用した際に該人体11に植え
込まれたペースメーカ12が覆い包まれるように該電磁
波遮断布4、15を開口部にゴム編み部分を有して裁断
・縫製した。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、電気製品等から発生する電磁波を遮断して、電磁波による人体への 影響を防止できる電磁波防護肌着に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今では、電気製品からの電磁波が、人体に悪影響を及ぼしていることが報じ られている。 しかしながら、このような電磁波を発する電気製品は、居住室内においては、 例えば、テレビジョン、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、蛍光灯等があり、現代社 会での生活に必要不可欠なものとなっている。 また、多くの企業では、OA機器を導入しており、このOA機器から発せられ る電磁波も、また人体に悪影響を及ぼすとして指摘されている。 さらに、このところ急激に増加した移動通信機器(以下、「携帯電話」という 。)からもかなりの量の電磁波が発せられており、病院内等では、点滴器の誤作 動や、停電、手術室の電子機器等の誤作動が生じるため、携帯電話の使用を制限 している。
【0003】 このような、電磁波の影響を防御するために、最近では、特に、OA機器使用 者用に対して、電磁波遮断エプロン等が開発され、OA機器の操作中に着用する 事を奨励している。 また、電磁波を高効率で遮断する布として、裏地が開発され、スーツ等の裏地 として使用されている。 この裏地は、ナイロン長繊維の周りを銀でコーティングした超導電繊維とポリ エステル繊維を組み合わせた織物であり、この裏地を取り付けたスーツを着用す ることにより、外部からの電磁波を遮断している。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、上記したような電磁波遮断エプロンや電磁波遮断裏地を取り付 けたスーツ等は、健康な人体への電磁波の防護用として開発されたものである。 ところが、心臓疾患にため、ペースメーカを植え込んだ人体への電磁波の影響 は、ただ単に悪影響を及ぼすにとどまらず、このペースメーカの誤作動を引き起 こし、ひいては生命の危険さえ危ぶまれることとなる。 このようなペースメーカが、外部からの電磁波を受けると、例えば、心臓の心 室からの波長と間違えて、心室が順調に動作していると誤認してしまう。その結 果、実際には、機能不全であるのに、ペースメーカの誤認により、一時的に心臓 の機能が停止し、めまいや動悸を引き起こしてしまう。
【0005】 また、近代における高齢化にともない、高齢者の就業率も高く、前記したペー スメーカを植え込んだまま、就業している人も少なくない。このような場合、周 囲には、OA機器が配置され、近辺では、携帯電話が使用され、また、ペースメ ーカを植え込んだ本人も、これらOA機器や携帯電話を使用せざるをえなくなっ ている。 この携帯電話使用にあたって、先よりペースメーカに悪影響を及ぼすとして、 胸ポケットに入れない。また、携帯電話使用については、ペースメーカから最低 22cm離して使用するように指導しているが、ペースメーカを植え込んだ本人 が気を付ける以外に防護する方法がなく、例えば、満員電車の中で、隣の人が携 帯電話を使用すると、その電磁波が、ペースメーカに影響してしまうといった問 題が発生している。
【0006】 また、このペースメーカを植え込んだ人は、定期的にペースメーカの動作を記 録したり、ペースメーカの電池の寿命を測定したり、また、病状に応じて設定を 調整する必要がある。このとき、マグネットを用いておこなうため、ペースメー カ自体を電磁波から完全に遮断した機構にすることができない。 さらに、最近のペースメーカは、小型軽量で、電池寿命も5年〜15年と長く 、人体内に植え込まれて使用され、このようなペースメーカは、そのほとんどが 外部から変動磁界によりプログラムの切り替えが可能なプログラマブルタイプが 用いられているため、このペースメーカが電磁波(ノイズ)を受けると、誤って プログラムを切り替えてしまうといった問題が発生していた。
【0007】 そこで、本考案は、人体内に植え込まれた心臓のペースメーカの誤作動の防止 に鑑み、人体のあらゆる角度から入射する電磁波を遮断する電磁波防護肌着を提 供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る考案は、電磁波防護肌着において、芯糸が導電性物質でコ ーティングされた所定径の導電性糸2本を、1本目の導電性糸で表面側に裏面か ら表面に通るループを作り、2本目の導電性糸で裏面側に表面から裏面に通るル ープを作り、さらに、前記1本目の導電性糸と前記2本目の導電性糸を途中で交 差させた後、前記2本目の導電性糸で表面側に裏面から表面に通るループを作り 、前記1本目の導電性糸で裏面側に表面から裏面に通るループを作り、これらを 所定幅繰り返して1段目とし、次に段については、前記1段目の前記2本目の導 電性糸で前記1本目の導電性糸のループに裏面から表面に前記2本目の導電性糸 を通して表面側にループを作り、前記1段目の前記1本目の導電性糸で前記2本 目の導電性糸のループに表面から裏面に前記1本目の導電性糸を通して裏面側に ループを作り、さらに、前記1本目の導電性糸と前記2本目の導電性糸を交差し て、前記1段目の2本目の導電性糸のループに裏面から表面に1本目の導電性糸 を通して表面側にループを作り、つぎに前記1段目の前記1本目の導電性糸のル ープに裏面から表面に前記2本目の導電性糸を通して表面側にループを作り、こ れらを所定幅繰り返して2段目とし、これを所定段目まで繰り返して電磁波遮断 布を編成し、開口部にゴム編み部を有して裁断・縫製したことを特徴とする。 また、本願請求項2に係る考案は、前記請求項1に記載の電磁波防護肌着にお いて、前記電磁波遮断布は、前記導電性糸で裏面から表面にループを作り、つぎ に表面から裏面に通るループを作り、さらに、これら裏面から表面へのループと 表面から裏面のループを交互に作り、これらを所定幅繰り返して1段目とし、次 に段については、前記1段目の裏面から表面に作られたループに裏面から表面に ループを作り、つぎに前記1段目の表面から裏面に作られたループに表面から裏 面に通るループを作り、これらを所定幅繰り返して2段目とし、これを所定段目 まで繰り返して電磁波遮断布を編成したことを特徴とする。 さらに、本願請求項3に係る考案は、前記請求項1または前記請求項2に記載 の電磁波防護肌着において、前記電磁波防護肌着の裏面に、非金属性の繊維で編 成した裏地を張り付けたことを特徴とする。 そして、本願請求項4に係る考案は、前記請求項1または前記請求項2に記載 の電磁波防護肌着において、前記電磁波防護肌着を形成する導電性糸は、糸状の 導電性物質を、前記芯糸と2本取りで成ることを特徴とする。 また、本願請求項5に係る考案は、前記請求項1または前記請求項2に記載の 電磁波防護肌着において、前記電磁波防護肌着を形成する導電性糸は、糸状の導 電性物質を、前記芯糸に螺旋状に巻いて成ることを特徴とする。
【0009】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る電磁波防護肌着の一実施の形態について、図面を参照して 詳細に説明する。 最初に、使用する糸およびその糸による編み方について検討する。 電磁波等を防護するためには、次の一般式が妥当する。 例えば、周波数をυ、波長をλとすると、υ・λ=3x1010cm/sec が成り立ち、いま、便宜的に携帯電話等が使用する周波数を(υ=1000MH z)とすると、λ=3cmであり、編み目の間隔が、λ/10以下でなければ、 シールドの効果がないことを知りうる。 この結果から、高周波領域でのシールド特性を向上させるためには、編み目 を細くするか、生地の厚みを大きくすることが重要なことが知りうる。 本願考案者は、上記の検討を下に、より細かな編み目であり、かつ、生地の厚 みが厚くなる編み方を選定して、次のような本考案の一実施の形態を工夫するに 至った。
【0010】 図1は、本考案の一実施の形態に係る電磁波防護肌着を形成する導電性糸1の 概略構成図である。 導電性糸1は、ポリエステルからなる芯糸2に、糸状の導電性物質3を螺旋状 に巻き付けたもの(カバードヤーン)である。 上記の編み目の細かさおよび生地厚を考慮して、この実施の形態に使用する導 電性糸1は、本実施の形態では、太さ30デニール(太さは、約100ミクロン )のものを用い、太さ30デニールのポリエステルの芯糸2の表面に、導電性物 質として、銀の細線を螺旋状に巻き付けた構成のものである。 これは、銀の電気伝導度が非常に大きいため、受けた電磁波が、熱エネルギー に変換されることを利用するからである。 このような導電性糸1を使用することにより、出来上がる布地を比較的細かな 編み目とすることができ、かつ、前記導電性物質3を前記芯糸2に螺旋状に巻き 付けることにより、広い領域で電磁波を受けることができ、人体に植え込まれた ペースメーカを人体ごとくるみこんで、電磁波からの高い防護効果を得られる構 成とした。 なお、前記芯糸2は、ポリエステル糸の他に綿糸やナイロン糸等を用いてもよ い。
【0011】 つぎに、図2は、前記導電性糸1を使用して作成したスムース編みによる電磁 波遮断布4の網目構成図であり、このうち図2(a)は、スムース編みによる電 磁波遮断布4の前面における網目構成図であり、図2(b)は、同電磁波遮断布 4の断面における網目構成図である。 この電磁波遮断布4は、着心地および電磁波防護効果を考慮して、スムース編 みによる編み地で編成し、伸縮性に富み、形状の安定性が高くなる構成とし、本 実施の形態においては、この電磁波遮断布4は、ゲージ(1インチ間の針数)は 、22G、表裏間Aは、0.6mmとして編成されている。 すなわち、スムース編みは、導電性糸1a、導電性糸1bからなり、これら2 本の導電糸1a、1bで1段目の網目が編成される。図2(a)に示すように、 まず、導電性糸1aで表面側に裏面から表面にループ1aを作り、導電性糸1 bで裏面側に表面から裏面にループ1bを形成するように編成する。つぎに、 導電性糸1aと導電性糸1bが交差して、導電性糸1bが前面に配置され、表面 側に裏面側からループ1bを作り、次いで、裏面に配置された導電性糸1aで 裏面側に表面側からループ1aを形成するように編成する。このように、導電 性糸1aと導電性糸1bで表面側と裏面側に交互にループが形成されるように編 成して、1段目の網目を編成する。
【0012】 つぎに、2段目は、前記1段目で作られた表面側のループ1aに導電性糸1 bを通して裏面から表面にループ1bを作り、前記1段目で作られた裏面側の ループ1bに導電性糸1aを通して表面から裏面にループ1aを作る。そし て、導電性糸1bと導電性糸1aを交差して、導電性糸1aを表面側のループ1 bに裏面から表面に通してループ1aを作り、導電性糸1bを裏面側のルー プ1bに表面から裏面に通してループ1bを作成する。 そして、繰り返して導電性糸1aと導電性糸1bを表面側と裏面側で交互にル ープを作り、所定幅で所定長編成して該電磁波遮断布4を作成する。 このように、本実施の形態に係る電磁波遮断布4は、いわゆるスムース編みに より編成したが、これは、2本の導電性糸1からなる編み地が2重の厚さで構成 され、単に平編みで形成される「メリヤス地」(または、「天竺編み」とも称さ れる。)等に比して、肉厚の編み地を形成することができるため、この結果、電 磁波を受けても電磁波の透過がなく、また、肉厚の編み生地故に、大きな電磁波 減衰率を得ることができることとなる。
【0013】 そこで、本実施の形態に係る前記電磁波遮断布4の透過電磁波の減衰を測定し た。 図3、図4は、本実施の形態に係る前記電磁波遮断布4に関し、前記電磁波遮 断布4を携帯電話等で使用される周波数帯の800MHz、1.5GHzの周波 数の電磁波が透過した場合に、どの程度の低減できるかを測定した結果を示した グラフである。
【0014】 図3において、横軸は、周波数100kHzから1GHzの周波数からなる測 定周波数値(Hz)であり、縦軸は、電磁波減衰量(dB)を示す。 前記電磁波遮断布4を配置しないときの電磁波量を、0dB(基準量)として 、該電磁波遮断布4を配置したときの電磁波量を測定すると、100kHzから 100MHzまでは平均して、約マイナス40dB(10MHzでの測定値は、 マイナス39.70dB)であり、200MHzを越えたあたりから、除々に電 磁波量が増加し、600MHzでは、約マイナス35dB、1GHzでは、マイ ナス30dBを上回っている(1GHzでの測定値は、マイナス29.10dB )。 したがって、このような電磁波遮断布4を配置しない場合には、安全を考慮す ると、およそ22cmの近接しか許容されないペースメーカーと携帯電話等の安 全距離を、前記電磁波遮断布4を配置することで、電磁波を、基準量より、30 dBないし40dBを減衰することができ、およそ3.8cmの近接距離を確保 することができるようになる。
【0015】 また、1GHzの周波数帯域の場合、基準量0dBを100%としたとき、マ イナス30dBの電磁波量は、−30dB=−(√(20+20+20))dB 、−30dB=(√(1/10×1/10×1/10)で算出され、−30dB ≒0.0316≒3.2(%)が得られ、電磁波量が、マイナス30dBのとき の減衰率は、約97%となる。したがって、上述の22cmの近接距離は、3. 8cmの近接距離を確保することができ、実用上の危険は、ほとんど無視できる 程度の携帯電話等とペースメーカーとの接近距離を確保することができる。
【0016】 また、図4は、前記図3と同様に、電磁波遮断布4を配置したときの電磁波の 減衰を示したグラフ(周波数1GHzから2.5GHz)であり、縦軸は、電磁 波減衰量(dB)、横軸は周波数値(Hz)である。 この図4のグラフは、横軸の周波数を1GHzから開始し、2.5GHzまで を測定した。これは、前記携帯電話の周波数に1.5GHzが使用されているこ とを考慮して測定を行った。 この図4のグラフによると、1GHzでは、上記したように、マイナス30d Bを上回る程度から始まり、1.7329GHzでは、マイナス20.85dB で最高となる。そして、周波数が高くなるにつれて、除々に電磁波量が減少し、 2.5GHzでは、前記1GHzとほぼ同量のマイナス30dBを上回る程度と なる。 上記同様、基準量0dBを100%としたとき、マイナス20dBの電磁波量 は、マイナス20dB=1/10により、10%となり、該電磁波遮断布4の減 衰率は、90%となる。この場合も上述するように、安全を考慮すると、およそ 22cmの近接しか許容されないペースメーカーと携帯電話等の接近距離を、お よそ7cm程度の近接距離があれば、一応の危険回避距離とすることができ、携 帯電話等を使用する場合の実用上の安全性が向上するものとなる。
【0017】 つぎに、上述した第一の実施の形態の電磁波防護肌着の他の例として、第二の 実施の形態について説明する。 本考案の電磁波防護肌着に係る第二の実施の形態は、ポリエステルからなる芯 糸に、導電性物質をコーティングした導電性糸を使用する。 図5は、本第二の実施の形態に係る導電性糸13の概略構成図であり、図5中 、2は、前記第一の実施の形態と同様の芯糸、14は、導電性物質である。 導電性糸13は、ポリエステルからなる芯糸2に、導電性物質14を厚さ0. 3ミクロンでコーティングしたものである。 上記の編み目の細かさおよび生地厚を考慮して、この実施の形態に使用する導 電性糸1は、上記第一の実施の形態と同様に、太さ30デニール(太さは、約1 00ミクロン)のものを用い、この太さ30デニールのポリエステルの芯糸2の 表面を、コーティング材として、ニッケル導電性物質14で覆ってなるものを使 用した。これは、前記導電性物質14を前記芯糸2にコーティングすることによ り、前記第一の実施の形態と同様に、該導電性糸13の電磁波を受ける表面積を 大きくし、また、隣り合う導電性糸13間を電気的に同電位にして、広い面積が 確保され、人体に植え込まれたペースメーカを人体ごとくるみこんで、電磁波か らの高い防護効果を得られる構成とした。
【0018】 つぎに、図6は、前記導電性糸13を使用して作成した電磁波遮断布15の網 目構成図であり、このうち図6(a)は、電磁波遮断布15の前面における前記 導電性糸13の配置を示した網目構成図であり、図6(b)は、電磁波遮断布1 5の断面における前記導電性糸13の配置を示した網目構成図である。 電磁波遮断布15は、1本の前記導電糸13によりリブ編みで編成され、該遮 断布15のゲージ(1インチ間の針数)は、22G、表裏間Bは、約0.5mm である。 この電磁波遮断布15は、着心地および電磁波防護効果を考慮して、1本の前 記導電性糸13により、リブ編みによる編み地で編成され、該遮断布15のゲー ジ(1インチ間の針数)は、22G、表裏間Bは、約0.5mmである。 また、この電磁波遮断布15は、前記第一の実施の形態で使用した導電性糸1 より電磁波を受ける表面積が大きいため、前記スムース編みよりも薄く、さらに 伸縮性に富み、フィット感が高くなる構成とした。 すなわち、リブ編みは、1本の前記導電性糸13ので1段目の網目が編成され る。図6(a)に示すように、まず、導電性糸13で裏面から表面にループ13 を作り(いわゆる表編み)、つぎに導電性糸13で表面から裏面にループ13 を形成(いわゆる裏編み)して編成する。ついで、導電性糸13裏面から表面 にループ13を作り、そして裏面から表面にループ13を形成するように編 成する。このように、導電性糸13で表面側からと裏面側からと交互にループが 形成されるように編成して、1段目の網目を編成する。
【0019】 つぎに、2段目は、前記1段目で作られた1個目のループ13に導電性糸1 3を通して裏面から表面にループ13を作り、前記1段目で作られた2個目の ループ13に導電性糸13を通して表面から裏面にループ13を作る。そし て、導電性糸13をループ13に裏面から表面に通してループ13を作り、 ついで導電性糸13を4個目のループ13に表面から裏面に通してループ13 を作成する。そして、導電性糸13で、このような表編みと裏編みを繰り返し 、所定幅で所定長編成すると該電磁波遮断布15となる。 このように、本第二の実施の形態に係る電磁波遮断布15は、リブ編みにより 編成したので、図6(b)に示すように、表編みと裏編みの組み合わせで、肉厚 の編み地が形成される。 また、この電磁波遮断布15においても前記第一の実施の形態の電磁波遮断布 4と同様に、電磁波を受けても電磁波の透過がなく、大きな電磁波減衰率が得ら れる。
【0020】 そこで、本第二の実施の形態に係る前記電磁波遮断布15においても、透過電 磁波の減衰を測定した。 図7は、本第二の実施の形態に係る前記電磁波遮断布15に関し、携帯電話等 で使用される周波数帯の電磁波が透過した場合に、どの程度の低減できるかを測 定した結果を示したグラフである。
【0021】 図7において、横軸は、本第二の実施の形態では、周波数10kHzから1G Hzの周波数からなる測定周波数値(Hz)であり、縦軸は、電磁波減衰率(d B)を示す。 前記電磁波遮断布15を配置しないときの電磁波量を、0dB(基準量)とし て、該電磁波遮断布15を配置したときの電磁波量を測定すると、10kHzか ら3MHzまでは平均して、約マイナス60dBであり、10MHzでは、約マ イナス57.5dB、1GHzでは、マイナス20.9dBとなる。 したがって、上記第一の実施の形態と同様に、電磁波遮断布15を配置するこ とで、基準量より、20dBないし50dBの電磁波を減衰することができ、お よそ7cmの近接距離が確保される。
【0022】 つぎに、上記した電磁波遮断布4および電磁波遮断布15を用いて作成した電 磁波防護肌着を、ペースメーカを植え込んだ人体が着用した様子を図8に基づい て説明する。 図8は、ペースメーカを植え込んだ人体が電磁波防護肌着5を着用した様子を 示す説明図であり、6は、見頃、7は、袖、8は、見頃6の首部分に設けられた ゴム編み部、9は、袖口に設けられたゴム編み部、10は、見頃6の裾部分に設 けられたゴム編み部である。また、11は、該電磁波防護肌着5を着用した人体 であり、12は、前記人体11に植え込まれたペースメーカである。 なお、本実施の形態では、心臓が人体11の左胸部にあるものとし、これに伴 いペースメーカ12も人体11の左側(左脇腹)に配置されたものとして説明す る。
【0023】 見頃6は、人体11の胴体部分のほぼ全体を覆い、この見頃6の両袖刳り部分 に袖7が設けられ、これは、電磁波が、人体11に植え込まれたペースメーカ1 2から22cm(電磁波の最低隔離距離)以内に入らないように考慮されている 。 また、該電磁波防護肌着5の首部分、両袖口部分、裾部分には、それぞれゴム 編み部8、9、10が設けられている。 首部分のゴム編み部8は、該電磁波防護肌着5の首部分が、人体11の首に隙 間なくフィットさせるために設けられ、両袖口のゴム編み部9は、袖口が人体1 1の腕に隙間なくフィットさせるために設けられ、また、裾部分のゴム編み部1 0は、人体11の腰部分に隙間なくフィットさせるために設けられている。 この電磁波防護肌着5の首部分、袖口部分、裾部分が、人体11の首、腕、腰 に隙間なくフィットしていれば、隙間から電磁波が入ることなく、7cm以下の の距離をもってペースメーカ12を覆うことができる。
【0024】 この電磁波防護肌着5を着用することにより、人体11の近隣で発生した電磁 波は、そのほとんどが遮断されて、少なくとも人体11に植え込まれたペースメ ーカ12が覆い包まれ、該ペースメーカ12を中心に最低7cm以下の接近距離 を確保することができ、あらゆる角度で発せられる電磁波に対しても、実用上問 題にならない程度の影響しか受けなくなるようにすることができる。 すなわち、電磁波が、電磁波防護肌着5に編み込まれた導電性物質3にあたる と、電磁波は熱エネルギーに変換されて、90%以上が遮断され、実用上大幅に 向上した携帯電話等とペースメーカーの接近距離を保つことができる。
【0025】 なお、上記第一の実施の形態では、2本の導電性糸で前記電磁波遮断布4を作 成したが、所定の太さの綿糸と前記導電性糸を2本を1組として、2組の綿糸と 前記導電性糸で電磁波遮断布を作成してもよい。 また、上記第一の実施の形態では、電磁波遮断布4を作成する場合に、2本の 導電性糸1をスムース編みで形成、また、1本の導電性糸でリブ編みとしたが、 電磁波減衰量が所定量減衰されればリバーシブル編み等でもよく、その編み方は 特に限定されない。
【0026】 なお、本第二の実施の形態では、電磁波遮断布15をリブ編みとしたため、該 電磁波遮断布15で作成した電磁波防護肌着5は、伸縮性が非常に高く、人体1 1にフィットするため、人体11に植え込まれたペースメーカ12が覆い包まれ て、最低7cm以下の接近距離を確保することができ、特に、首部分に設けられ たゴム編み部8、袖口に設けられたゴム編み部9、見頃6の裾部分に設けられた ゴム編み部10を設けなくてもよい。 また、本第二の実施の形態では、芯糸2に導電性物質14をコーティングした 導電性糸13を用い、電磁波を受ける表面積を大きくしたため、リブ編みによる 電磁波遮断布15以外に、天竺編み等の電磁波遮断布としてもよい。 なお、上記実施の形態では、2本の導電性糸で電磁波防護肌着を編成して、人 体へ植え込まれたペースメーカを電磁波から防護させたが、電磁波防護肌着の裏 面に非金属性の繊維から成る裏地を張ってもよく、これにより、人体の皮膚に直 接導電性糸が接触しないため、金属アレルギーを引き起こしたり、また、既に金 属アレルギーの人も着用することができる。
【0027】 なお、上記実施の形態では、導電性糸に30デニールものを使用したが、所定 の電磁波減衰率が得られれば、その太さは特に限定されない。 また、上記実施の形態では、導電性物質に銀を用いたが、電磁波を減衰できれ ば、銀に限定されない。 なお、上記実施の形態では、導電性糸は、芯糸に銀をコーティングして構成し たが、芯糸に糸状の銀を螺旋状に巻き付けてもよく、また、芯糸を用いず、金属 糸のみで構成してもよい。 また、本実施の形態では、導電性糸をゲージ22Gで編み、電磁波防護肌着を 形成したが、このゲージ数は、所定の電磁波減衰率が得られれば、特に限定され ない。 なお、上記実施の形態では、電磁波防護肌着を丸首半袖のシャツ状に形成した が、袖は、長袖であってもよく、また、首周りをハイネック等にしてもよい。 また、上記実施の形態では、電磁波防護肌着として、上半身に着用する肌着を 例に説明したが、人体に植え込まれたペースメーカの位置に個人差があるため、 下方からの電磁波に対しても防護できるように、下半身に着用するズボン下等の 下着であってもよい。
【0028】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の電磁波防護肌着によると、電磁波防護肌着を着 用することにより、人体に植え込まれたペースメーカの電磁波による誤作動を、 ほぼ完全に防止することができる。 また、本考案の電磁波防護肌着は、首周り、袖口、裾部分にゴム編み部を設け たため、人体に隙間なくフィットし、人体の前後左右からの電磁波の進入を防止 できると共に、首周り、袖口等からの電磁波の進入を防止できる。 さらに、本考案の電磁波防護肌着は、洗い替え用に数枚所持していれば、その 上に着用する衣類に左右されることなく、例えば、就業時には、今までと同様に スーツを着用し、休日には、スーツ以外のセーターやシャツ等を着用することが でき、また、就寝時には、本考案の電磁波防護肌着の上にパジャマ等を着用する ことができる。 このように、該電磁波防護肌着を身につけているのみで、ペースメーカが植え 込まれた人体の近隣で発生する電磁波に特別注意を払う必要がなくなる。 すなわち、本考案の電磁波防護肌着を着用することで、1日中(ほぼ24時間 )、四季を問わず、電磁波から、人体に植え込まれたペースメーカを始めとする 電子機器および人体を防護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施の形態に係る導電性糸の構成を
示した概略構成図である。
【図2】本考案の一実施の形態に係る電磁波防護肌着を
形成する電磁波遮断布の網目構成図である。
【図3】本考案の一実施の形態に係る電磁波遮断布の電
磁波減衰特性(100kHzから1GHz)を表したグ
ラフである。
【図4】本考案の一実施の形態に係る電磁波遮断布の電
磁波減衰特性(1GHzから2.5MHz)を表したグ
ラフである。
【図5】本考案の第二の実施の形態に係る導電性糸の構
成を示した概略構成図である。
【図6】本考案の第二の実施の形態に係る電磁波防護肌
着を形成する電磁波遮断布の網目構成図である。
【図7】本考案の第二の実施の形態に係る電磁波遮断布
の電磁波減衰特性を表したグラフである。
【図8】本考案の実施の形態に係る電磁波防護肌着を人
体が着用した様子の説明図である。
【符号の説明】
1、13・・・導電性糸 2・・・芯糸 3、14・・・導電性物質 4、15・・・電磁波遮断布 5・・・電磁波防護肌着 6・・・見頃 7・・・袖 8、9、10・・・ゴム編み部 11・・・人体 12・・・ペースメーカ

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯糸が導電性物質でコーティングされた
    所定径の導電性糸2本を、1本目の導電性糸で表面側に
    裏面から表面に通るループを作り、2本目の導電性糸で
    裏面側に表面から裏面に通るループを作り、さらに、前
    記1本目の導電性糸と前記2本目の導電性糸を途中で交
    差させた後、前記2本目の導電性糸で表面側に裏面から
    表面に通るループを作り、前記1本目の導電性糸で裏面
    側に表面から裏面に通るループを作り、これらを所定幅
    繰り返して1段目とし、次に段については、前記1段目
    の前記2本目の導電性糸で前記1本目の導電性糸のルー
    プに裏面から表面に前記2本目の導電性糸を通して表面
    側にループを作り、前記1段目の前記1本目の導電性糸
    で前記2本目の導電性糸のループに表面から裏面に前記
    1本目の導電性糸を通して裏面側にループを作り、さら
    に、前記1本目の導電性糸と前記2本目の導電性糸を交
    差して、前記1段目の2本目の導電性糸のループに裏面
    から表面に1本目の導電性糸を通して表面側にループを
    作り、つぎに前記1段目の前記1本目の導電性糸のルー
    プに裏面から表面に前記2本目の導電性糸を通して表面
    側にループを作り、これらを所定幅繰り返して2段目と
    し、これを所定段目まで繰り返して電磁波遮断布を編成
    し、開口部にゴム編み部を有して裁断・縫製したことを
    特徴とする電磁波防護肌着。
  2. 【請求項2】 前記電磁波遮断布は、前記導電性糸で裏
    面から表面にループを作り、つぎに表面から裏面に通る
    ループを作り、さらに、これら裏面から表面へのループ
    と表面から裏面のループを交互に作り、これらを所定幅
    繰り返して1段目とし、次に段については、前記1段目
    の裏面から表面に作られたループに裏面から表面にルー
    プを作り、つぎに前記1段目の表面から裏面に作られた
    ループに表面から裏面に通るループを作り、これらを所
    定幅繰り返して2段目とし、これを所定段目まで繰り返
    して電磁波遮断布を編成したことを特徴とする前記請求
    項1に記載の電磁波防護肌着。
  3. 【請求項3】 前記電磁波防護肌着の裏面に、非金属性
    の繊維で編成した裏地を張り付けたことを特徴とする前
    記請求項1または前記請求項2に記載の電磁波防護肌
    着。
  4. 【請求項4】 前記電磁波防護肌着を形成する導電性糸
    は、糸状の導電性物質を、前記芯糸と2本取りで成るこ
    とを特徴とする前記請求項1または前記請求項2に記載
    の電磁波防護肌着。
  5. 【請求項5】 前記電磁波防護肌着を形成する導電性糸
    は、糸状の導電性物質を、前記芯糸に螺旋状に巻いて成
    ることを特徴とする前記請求項1または前記請求項2に
    記載の電磁波防護肌着。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000071793A1 (en) * 1999-05-24 2000-11-30 Gunze Limited Electro-magnetic wave shielding knitted material and electro-magnetic wave shielding clothes
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JP2016216885A (ja) * 2016-07-14 2016-12-22 グンゼ株式会社 導電性伸縮編地
WO2023135880A1 (ja) * 2022-01-13 2023-07-20 セーレン株式会社 面状発熱編物、及び面状発熱体

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