JP3055090B2 - 車両の走行速度抑制用舗装体 - Google Patents

車両の走行速度抑制用舗装体

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JP3055090B2 JP8190402A JP19040296A JP3055090B2 JP 3055090 B2 JP3055090 B2 JP 3055090B2 JP 8190402 A JP8190402 A JP 8190402A JP 19040296 A JP19040296 A JP 19040296A JP 3055090 B2 JP3055090 B2 JP 3055090B2
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伸嗣 若林
大 神戸
芳夫 加地
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日本鋪道株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両の走行速度抑制
機能を付与してなる舗装体に関する。
【0002】
【従来の技術】暴走行為による交通事故の増大や騒音問
題を背景として、車両に設計速度あるいは制限速度内の
走行を行わせる対策が求められている。従来の対策技術
としては、車両の進行方向に車道を屈曲させるシケイ
ン、出入口部において車道を物理的に狭くする狭さく、
車道の縦断方向に凸形の舗装を設けるハンプなどがあ
る。これらのうち、シケインや狭さくは、住宅地域や公
園内の道路において効果が得られているものの、大型車
交通のある一般道路や構内道路には不適で、特に既設道
路への適用が難しいという欠点がある。一方、ハンプの
従来技術としては、図2に示すように、円弧あるいは台
形の形状を有し、この上を車両が通過したときに上下方
向の振動を与え、運転車に不快感を与えることによっ
て、速度を抑制するものが知られている。しかしなが
ら、従来のハンプは、設計速度が20〜30km/hの
道路への適応を前提としているため、設計速度が増した
場合には適応することができないばかりでなく、ハンプ
の存在に気づかずに40〜50km/hで進入してきた
車両に対し、運転の危険、荷崩れ、車体の損傷、安全面
で悪影響を及ぼすという欠点がある。また、従来のハン
プは、局所的に設ける形状であるため、その前後での減
速・加速という速度変化による騒音増大の難点があると
ともに、連続的な速度の抑制効果が得られないという欠
点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術のハンプにみられる欠点を解消することにあり、設
計速度あるいは制限速度内での車両走行を連続的に行わ
せる機能と、その速度内であれば安全な運転を確保させ
る機能とを併せ持つ新規ハンプを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は道路表面に縦断
方向に波形形状を有し横断方向に位相差をもつ舗装面を
設けてなるハンプ即ち車両の走行速度抑制用舗装体舗装
体である。本発明において波形形状の典型例は正弦波形
状だが異なる曲率を組合せたもの等ハンプとして機能し
うる形状であれば他の形状も用いうる。通常ハンプを設
けるべき道路の制限速度に応じその最適形状が選定され
る。以下本発明のハンプの設計の好ましい態様について
具体的に説明する。
【0005】まず位相差0°の検討を行う。正弦波形状
の1波長は、制限速度+αkm/hで走行する車両の振
動が1Hz〜2Hzになるように選定する。これは、一
般的な車両のばね上共振周波数が1.5Hz付近である
ことに起因する。制限速度をV1 km/hとすると正弦
波の1波長は、 αkm/hは20〜30 である。正弦波の繰り返し回
数の基本回数は3波長とするが、運転者がハンプの中で
ブレーキをかけ超過速度αkm/hの速度低減を行える
距離を考慮して決定する。しかし、道路条件等により不
適当である場合は、この限りではない。また、αkm/
hの速度低減を行える距離は、道路構造例に定めるとこ
ろによる。(減速度−3.0m/s2
【0006】ハンプを通過する車両は、その通過速度及
びハンプの波長と波高により上下に加振される。それら
の関係を調べるためハンプを築造し一般的な車両を使用
して実験を行い次の関係を導いた。
【0007】
【数1】
【0008】また、多くの被験者による官能試験を行
い、a≧7m/s2 で不快を感じることを確認した。こ
れは、Meisterの振動感覚曲線に適応させると
「やや不快」の領域に入りほぼ一致する。よって、V1
+αkm/hでa≧7m/s2 、V1 でa<7m/s2
になるような波高hを設定する。また、式でZを計算
し過度に大きくなりすぎないことを確認する。
【0009】次に、位相差を自動車の左右輪位置(w=
1.5m)に付加した場合の検討を行う。位相差につい
ては、以下の計算結果と道路条件により適宜0°〜90
°まで付加することとする。位相差を設けた正弦波形状
の路面上を一般的な車両が通過する時のローリング方向
の動きは、以下の式で導かれる。これは、実験により求
めた式である。 γ=±(1.4×10-4×L×H×sinθ) γ:ローリング最大角度(°) L:波長(m) H:波高(mm) θ:車輪位置での位相差(°) ここで、ローリングの変化が正弦波であると仮定する
と、その変位及び加速度は ロール変位×(deg)=γ・sinωt ロール加速度×”(deg/s2 )=−γ・ω2 sinωt ↓ −1〜1 ω:角速度(rad/s) ω=2π/(L/v) L:波長(m) v:車速m/s t:時間(s) よって加速度の最大値は±γω2 である。実験により最
大加速度を70(deg/s2 )以上に設定するとロー
ルリングによる不快感を感じる。しかし、ローリング変
位が大きくなりすぎないように設定しなければいけませ
ん。次に、位相差を設けることによって上下振動が抑え
られ目標とする不快感・不安感が感じなくなる場合があ
る。よって、位相差を設けた場合には以下のような波高
の補正を行う。 h’=h・a h’:補正波高(mm) h :補正前波高(mm) a :補正倍率 a=1+2.75×10-9×V3 ×θ V :車両速度(km/H) θ :位相差(°) 以上の計算により位相差をも正弦波形状のハンプ路面を
設計できる。正弦波形状の場合1波長が5〜35m、波
高が10〜130mm、位相差が5〜80°の範囲で正
弦速度に応じそれぞれ最適値を選定できる。波長数は前
記では3波長を基本としたが、通常2〜10、好ましく
は3〜5である。尚隣接する波の波長や波高は必ずしも
同じでなくてもよい。
【0010】ハンプの端部は、任意の直線あるいは曲線
形状ですりつけるようにする場合もある。これにより、
ハンプを既設路面上に設ける際、波形形状の谷部におい
て所望の舗装厚を確保することが可能となる。波形形状
は正弦波形が好ましいが、現場条件などに応じて、その
機能が損なわない範囲で、類似形状としても差し支えな
い。ハンプを構成する舗装材料としては、従来知られた
適宜の建設材料を使用できる。具体的にはセメント、樹
脂、アスファルトあるいはこれらを組み合わせたバイン
ダを用いるコンクリートやモルタルのほか、タイルやブ
ロック等が好ましく使用される。また、視覚的な注意喚
起機能を得るため、発色や発光機能を有する材料と組み
合わせた複合材として構成してもよいし、発色や発光機
能を有する表面処理を施しても差し支えない。
【0011】ハンプは、通常粒状路盤、アスファルトコ
ンクリート、セメントコンクリート等からなる基盤上に
敷設される。その際、基盤とプレキャスト舗装版の間に
アスファルト乳剤等の接着剤を介在させるようにしても
差し支えない。アスファルトコンクリートの施工には、
従来知られた舗設機械を用いることができるが、出来形
の精度を高めるためには、本出願人の発明による波形路
専用敷きならし機械や締固め機械を使用することが好ま
しい。この敷きならし機械は、小分割されたスクリード
をコンピュータ制御することにより、舗装材料を所定の
形状に仕上げることが容易である。また、専用の締め固
め機械は、前後輪の複数のタイヤそれぞれが波形に合わ
せて揺動し、路面の波形に沿った転圧が可能となる。
【0012】〔設計例〕本発明によるハンプの適応範囲
例を下記する。
【0013】
【表1】
【0014】
【実施例】本発明によるハンプの一実施例を図面によっ
て説明する。ハンプとして、30km/hの制限速度内
では運転に支障がなく、60km/h以上の暴走速度に
対して不快感を与える振幅、波長および位相差を有する
ハンプを選定した。1波長の長さは式のαを20km
/h・V1 を30km/hとすると13.8m〜6.9
mの範囲となる。ここで、1波長を7mとする。道路構
造例によると減速に必要な距離は、21mになる。よっ
て、7mの3波長とした。波高は、h=50mmと仮定
し式により車両の動きを計算すると、 30km/h 50KM/H 60KM/H Z 89.4 115.7 128.9 a 5.8 16.3 23.5 よって、V1 +αkm/hでa≧7m/s2 、V1 でa
<7m/s2 になるような波高は、h=50mmであ
る。位相差は、左右輪位置で20°を与え、さらに両端
部にすりつけを設けたものであり、その波形図を図1に
示す。
【0015】構内道路の既設舗装上に上記形状のハンプ
を数カ所施工した。実施例では、舗装材としてアスファ
ルト混合物を使用し、舗設機械には波形路線用の敷きな
らし機械と締固め機械を用いた。施工完了後、構築した
ハンプ上を複数の被験者が20〜60km/hで走行
し、効果の評価を行った。4段階の評価項目及び各速度
において最も比率の高かった評価項目は次のとおりであ
る。 走行速度 最も比率の高かった評価項目 20km/h 気にならない 30km/h やや感じる 40km/h はっきり感じるが不快ではない 50km/h 不快・不安(やや不快を含む) 60km/h 不快・不安 評価の結果から、実施例のハンプは、走行速度20〜3
0km/hにおいて滑らかな走行が可能であり、40〜
50km/hにおいても振動は感じるものの走行に支障
をきたすものでないことが確認された。一方、60km
/h以上の走行では、運転者に著しい不快を与え、ハン
プとしての機能が十分発揮されていることが明らかとな
った。さらに交通車両に解放して数カ月間の経過観察を
行った結果、かって群がり集まって暴走行為を繰り返し
ていたローリング族は、全く姿を消した。一方、制限速
度を遵守して走行する車両に対しては悪影響を及ぼすこ
ともなかった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、ハンプが波形形状によ
って形成されることから、設計速度あるいは制限速度内
での車両走行を行わせる速度抑制効果が局所的ではな
く、連続的な効果として得ることができる。しかもハン
プの前後での減速・加速といった速度変化を緩和し、騒
音を低減することができるという効果も奏する。また本
発明では、波形形状に横断方向に位相差をもたせること
により、舗装表面にローリングを発生させることがで
き、一層顕著な速度抑制効果がえられる。さらに、設計
速度あるいは制限速度内であれば不快感を著しく低減で
きる効果を奏するとともに、ハンプの存在に気づかずに
進入してきた車両に対しても、所定の速度域であれば安
全な走行を確保させる効果も得られる。さらに、従来の
ハンプは設計速度あるいは制限速度が20〜30km/
hといった中低速域の道路への適用に限られていたが、
本発明によれば波形形状の波高、波長、位相差を変化さ
せることにより、60km/h以上の高速域の道路にも
適用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のハンプの一例の波形図である。
【図2】 従来のハンプの一例を示す断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 蓮田 秀仁 東京都中央区京橋一丁目19番11号 日本 鋪道株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−233101(JP,A) 実開 平5−38004(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01C 9/00 E01C 5/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 道路表面に縦断方向に波形形状を有し横
    断方向に位相差をもつ舗装面を設けてなる車両の走行速
    度抑制用舗装体。
  2. 【請求項2】 波形形状が波長5〜35mの正弦波形状
    である請求項1記載の舗装体。
  3. 【請求項3】 波高が10〜130mmである請求項1
    又は2記載の舗装体。
  4. 【請求項4】 波長数が2〜10である請求項1〜3の
    いずれか1項記載の舗装体。
  5. 【請求項5】 位相差が5〜80℃である請求項1〜4
    のいずれか1項記載の舗装体。
  6. 【請求項6】 視覚的な注意喚起機能を付与してなる請
    求項1〜5のいずれか1項記載の舗装体。
  7. 【請求項7】 道路の制限速度に応じ波長と波高と位相
    差を選定することを特徴とする舗装道路表面に設ける縦
    断方向に波形形状を有し横断方向に位相差をもつ走行速
    度抑制用舗装体の設計方法。
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