JP3054552B2

JP3054552B2 - 吸収式冷温水機の故障診断装置

Info

Publication number: JP3054552B2
Application number: JP6187755A
Authority: JP
Inventors: 和明水上; 芳男小澤; 雅裕古川; 昌司安田
Original assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Current assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Priority date: 1994-07-18
Filing date: 1994-07-18
Publication date: 2000-06-19
Anticipated expiration: 2015-06-19
Also published as: JPH0829026A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吸収式冷温水機の故障
を診断する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】吸収式冷温水機は、図３に示す如く、上
胴(１)に配置された凝縮器(11)及び低温再生器(12)、下
胴(２)に配置された蒸発器(21)及び吸収器(22)、バーナ
(31)を内蔵した高温再生器(３)、高温熱交換器(４)、低
温熱交換器(５)等を相互に配管接続し、吸収液ポンプ
(６)によって、吸収液を高温再生器(３)、低温再生器(1
2)及び吸収器(22)の間で循環させ、冷凍サイクル或いは
放熱サイクルを実現するものである。蒸発器(21)及び凝
縮器(11)を貫通する冷却水配管には、クーリングタワー
(図示省略)からの冷却水が流れる。

【０００３】ところで、吸収式冷温水機においては、冷
却水の汚れ、吸収液循環量の異常、真空度の異常、冷媒
への吸収液の混入(冷媒混入)等、各種の異常が発生する
虞れがある。冷却水汚れが進行すると、冷却水配管の内
面にごみ等の異物が付着して熱伝達率が低下し、凝縮器
(11)や吸収器(22)における冷却効果が不十分となるの
で、冷凍能力が低下する。冷媒に吸収液が混入すると、
冷媒の沸点が上がり、この結果、下胴(２)内の温度が上
昇して、蒸発器(21)及び吸収器(22)の能力低下を招来す
る。又、下胴(２)の真空度が低下した場合も蒸発器(21)
及び吸収器(22)の能力が低下することになる。

【０００４】そこで、冷温水機内部の各種異常を診断す
るべく、蒸発器(21)、吸収器(22)、凝縮器(11)等の各種
熱交換器について、対数平均温度差の変化を監視するこ
とが行なわれる(1994年3月11日日本機械学会 RC123 第
77〜82頁参照)。尚、各熱交換器の出入口の流体温度を
測定するために、熱電対やサーミスタ等の温度センサー
が各熱交換器の出入口に取り付けられる。

【０００５】又、冷温水機各部の異常の度合いを示す指
標として、下記数２で表わされる異常度Ａを定義して、
該異常度に基づいて各種故障を診断することが行なわれ
る。

【数２】Ａ＝(ΔＴ−ΔＴｎ)／ΔＴｎここで、ΔＴは対数平均温度差の測定値、ΔＴｎは対数
平均温度差の正常値である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】特に吸収器(22)の異常
度は、各種の異常を検出する際の重要な指標となるが、
吸収器(22)の内部を冷却水が流れているので、冷却水汚
れが発生した場合には、その影響が大きく現われる。し
かしながら、冷温水機が正常な運転状態を継続している
過程においても、冷却水の汚れは運転時間の経過に伴っ
て徐々に進行するものであるから、吸収器の異常度が増
大したことを以て、冷却水汚れ以外の何らかの異常が発
生したものと判断することは出来ない。

【０００７】従って、従来の吸収器異常度に基づく故障
診断においては、冷却水汚れとそれ以外の原因を区別す
ることが出来ず、冷媒混入や真空異常等の真に問題とな
る異常の検出が困難であった。本発明の目的は、吸収器
の異常を検出する際に、冷却水汚れによる影響を排除す
ることが出来る故障診断装置を提供することである。

【０００８】

【課題を解決する為の手段】本発明に係る吸収式冷温水
機の故障診断装置は、凝縮器(11)及び吸収器(22)を流れ
る流体の温度を測定するセンサー手段と、センサー手段
による測定データに基づいて、凝縮器(11)及び吸収器(2
2)を流れる流体の平均温度差を表わす凝縮器温度差デー
タ及び吸収器温度差データを算出し、各温度差データを
夫々の正常値と対比して、凝縮器(11)及び吸収器(22)の
異常度を表わす凝縮器異常度データ及び吸収器異常度デ
ータを算出する演算回路と、凝縮器異常度データの大き
さに応じて吸収器異常度データを修正する吸収器異常度
修正回路(83)と、修正された吸収器異常度データに基づ
いて故障判定を行なう故障判定回路(84)とを具えてい
る。

【０００９】具体的構成において、温度差データは対数
平均温度であって、異常度データは上記数２で定義され
る異常度Ａである。

【００１０】

【作用】吸収式冷温水機において、冷却水は、吸収器(2
2)を通過した後、凝縮器(11)を通過する。従って、冷却
水汚れが発生した場合、吸収器(22)のみならず、凝縮器
(11)にもその影響が現われる。ところで、一般に吸収器
(22)は蒸発器(21)と共に下胴(２)に配置されているか
ら、吸収器(22)の異常には、蒸発蒸気や吸収液等が複雑
に関係している。一方、凝縮器(11)は上胴(１)に配置さ
れ、吸収器(22)と凝縮器(11)とは隔壁で分離されてい
る。従って、吸収器(22)の真空異常や冷媒混入の影響は
凝縮器(11)には現われず、凝縮器(11)及び吸収器(22)の
異常の原因としては、冷却水汚れが共通している。この
ため、凝縮器(11)及び吸収器(22)の異常度は、冷却水汚
れに関して互いに連動しており、両者の間に一定の相関
が存在することになる。

【００１１】そこで本発明においては、凝縮器(11)及び
吸収器(22)の異常度を表わす凝縮器異常度データ及び吸
収器異常度データを算出し、凝縮器異常度データの大き
さに応じて吸収器異常度データを修正するのである。デ
ータの修正量は、例えば凝縮器異常度データに補正係数
を乗じて算出することが可能であって、この場合、吸収
器異常度データから該修正量を減算して、修正された吸
収器異常度データを得る。一般的には、修正された吸収
器異常度ｎＡａｂｓｏは、そのときの冷凍負荷Ｌｃをパ
ラメータとする吸収器異常度データＡａｂｓｏ(Ｌｃ)と
凝縮器異常度データＡｃｏｎｄ(Ｌｃ)の関数ｆとして、
下記数３の如く表わされる。

【数３】ｎＡａｂｓｏ＝ｆ｛Ａａｂｓｏ(Ｌｃ)，Ａｃｏ
ｎｄ(Ｌｃ)｝

【００１２】図２は、冷凍負荷の増大に伴って吸収器(2
2)及び凝縮器(11)の異常度が増大する過程で、両者の差
が、上記修正された吸収器異常度を表わしていることを
示すものである。この修正された吸収器異常度データ
は、冷却水汚れの進行に拘わらず、冷却水汚れ以外の真
空異常や冷媒混入等の異常によって変動し、これらの異
常の度合いを表わす適確な指標となる。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係る吸収式冷温水機の故障診断
装置によれば、吸収器の異常を判定する際に、冷却水汚
れによる影響を排除することが出来、これによって信頼
性の高い故障診断が可能となる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明を図３に示す二重効用型の吸収
式冷温水機に実施した一例につき、図面に沿って詳述す
る。図１は故障診断装置の構成を表わしており、図３に
示す凝縮器(11)や吸収器(22)等の各熱交換器の対数平均
温度差等を測定するべく、温度センサー等のセンサー群
(７)を具えており、測定データは、マイクロコンピュー
タから構成される演算装置(８)へ供給される。

【００１５】演算装置(８)には、センサー群(７)からの
測定データに基づいて吸収器の異常度を算出する回路(8
1)と、凝縮器の異常度を算出する回路(82)とが設けられ
ている。吸収器(22)の対数平均温度差ΔＴａｂｓは下記
数４によって、凝縮器(11)の対数平均温度差ΔＴｃｏｎ
ｄは下記数５によって夫々算出される。

【００１６】

【数４】ΔTabs＝{(Tv_eva−Tco_mid)−(Tw_lo−Tco_i
n)}／ln{(Tv_eva−Tco_mid)／(Tw_lo−Tco_in)}

【００１７】

【数５】ΔTcond＝{(Tv_cond−Tco_out)−(Tabs_out−T
co_mid)}／ln{(Tv_cond−Tco_out)／(Tabs_out−Tco_mi
d)} ここで、Ｔｖ＿ｅｖａ：蒸発器の蒸気温度Ｔｖ＿ｃｏｎｄ：凝縮器の蒸気温度Ｔｗ＿ｌｏ：吸収液(稀液)の吸収器出口温度Ｔａｂｓ＿ｏｕｔ：冷媒の凝縮器出口温度Ｔｃｏ＿ｉｎ：冷却水入口温度Ｔｃｏ＿ｍｉｄ：冷却水中間温度Ｔｃｏ＿ｏｕｔ：冷却水出口温度

【００１８】これによって得られた対数平均温度差ΔＴ
ａｂｓ、ΔＴｃｏｎｄから、吸収器(22)の異常度Ａａｂ
ｓと凝縮器(11)の異常度Ａｃｏｎｄが上記数２に基づい
て算出される。この際、吸収器(22)と凝縮器(11)の対数
平均温度差の正常値は、予め冷凍負荷を変数として関数
化され、或いはテーブル化されている。

【００１９】更に演算装置(８)には、算出された吸収器
異常度及び凝縮器異常度に基づいて、吸収器異常度を修
正する回路(83)が設けられる。該吸収器異常度修正回路
(83)は、下記数６の算出式に基づいて、冷却水汚れの影
響を除去した吸収器異常度の修正値ｘＡａｂｓを算出す
るものである。

【００２０】

【数６】ｘＡａｂｓ＝Ａａｂｓ−Ｋ・Ａｃｏｎｄここで、Ｋは実験的に決定される係数であって、通常は
１.２程度に設定される。Ｋの設定に際しては、例え
ば、吸収器(22)及び凝縮器(11)の異常度の時間変化を実
験によりデータ採取し、これらのデータを上記数６に代
入して得られる修正値ｘＡａｂｓが一定となる様、Ｋの
値を試行錯誤的に決定する方法が採用出来る。

【００２１】例えば下胴(２)の真空異常が発生した場
合、この異常は上胴(１)には及ばず、凝縮器(11)は真空
異常の影響を受けない。又、高温再生器(３)で吸収液が
蒸気に混入して、冷媒混入の異常が発生すると、吸収液
の混入した蒸気は、凝縮器(11)を通過するので、その
際、一時的に凝縮器(11)の対数平均温度差が変化して、
凝縮器異常度も変化する。しかし、凝縮器(11)を通過し
た吸収液は、その直後に下胴(２)の蒸発器(21)内に移動
して、以後は冷媒の循環経路を循環するだけで、再び凝
縮器(11)へ戻ることはない。従って、経時的には、凝縮
器異常度は冷媒混入の影響を受けないと言えるのであ
る。よって上記数５によれば、冷却水汚れの影響を排除
し、然も他の異常の影響はそのまま残した吸収器異常度
が得られる。

【００２２】この様にして修正された吸収器異常度ｘＡ
ａｂｓは図１に示す故障判定回路(84)へ供給され、必要
に応じて他の熱交換器の異常度や測定データを参酌し
て、真空異常や冷媒混入等の異常が検出され、この結
果、冷温水機各部の故障が判定される。故障判定回路(8
4)による判定結果は、必要に応じてディスプレイやプリ
ンター等の表示装置(９)へ出力され、運転員に報知され
る。

【００２３】上記故障診断装置によれば、経時変化によ
って冷却水汚れが進行した場合にも、冷却水汚れの影響
を排除して、真に問題となる真空異常、冷媒混入等の異
常検出が可能であり、これによって信頼性の高い故障判
定が実現される。

【００２４】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る故障診断装置の構成を示すブロッ
ク図である。

【図２】修正された吸収器異常度の変化を表わすグラフ
である。

【図３】本発明を実施すべき吸収式冷温水機の構成を示
す図である。

【符号の説明】

(７) センサー群 (８) 演算装置 (81) 吸収器異常度算出回路 (82) 凝縮器異常度算出回路 (83) 吸収器異常度修正回路 (84) 故障判定回路 (９) 表示装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者安田昌司大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号三洋電機株式会社内 (56)参考文献特開昭63−297970（ＪＰ，Ａ) 特開平７−91783（ＪＰ，Ａ) 高田秋一著，「吸収冷凍機」，第１版，社団法人日本冷凍協会，1982年３月 15日，ｐ．252−253 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F25B 49/04

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】凝縮器(11)及び吸収器(22)の内部を冷却
水配管が貫通した吸収式冷温水機の故障診断装置であっ
て、凝縮器(11)及び吸収器(22)を流れる流体の温度を測定す
るセンサー手段と、センサー手段による測定データに基づいて、凝縮器(11)
及び吸収器(22)を流れる流体の平均温度差を表わす凝縮
器温度差データ及び吸収器温度差データを算出し、各温
度差データを夫々の正常値と対比して、凝縮器(11)及び
吸収器(22)の異常度を表わす凝縮器異常度データ及び吸
収器異常度データを算出する演算回路と、凝縮器異常度データの大きさに応じて吸収器異常度デー
タを修正する吸収器異常度修正回路(83)とを具え、修正
された吸収器異常度データに基づいて故障判定を行なう
ことを特徴とする吸収式冷温水機の故障診断装置。
【請求項２】温度差データは対数平均温度差であっ
て、異常度データは、対数平均温度差の測定値ΔＴ及び
正常値ΔＴｎを変数として下記数１で定義される異常度
Ａである請求項１に記載の故障診断装置。【数１】Ａ＝(ΔＴ−ΔＴｎ)／ΔＴｎ