JP3054147U - 合成樹脂製装飾品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性及び多量生産に適し、且つ発光によっ
て鮮美な輝きを発揮する趣のある成形装飾品を提供す
る。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂に蓄光顔料を添
加して成形されてなり、蓄光顔料が硬質であるにもかか
わらず、流動性に優れた不飽和ポリエステル樹脂によっ
て成形機を傷めることなく外観が良好な装飾品を成形で
きると共に蓄光顔料が紫外線等の不可視光線によって発
光し、不可視光線の照射がなくなっても長時間、発光を
続けて、暗所においても鮮明に輝く趣のある成形装飾品
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は装飾用玉、ボタン、胸飾りなどの装身具として使用する合成樹脂製装 飾品の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、合成樹脂製の装飾品としては種々の形状のものが市販されており、 天然石に比べて安価で体裁がよいために装身具として広く着用されているが、い ずれも形状、色彩等による装飾性に大きな重点をおいているものである。一方、 蛍光顔料を混入して不可視光線が照射された時に発光する蛍光顔料を含有してな る合成樹脂成形品も知られており、このような合成樹脂成形品によれば、夜間等 において、発光によりその使用個所や形状等を鮮明に顕現して雅趣に富んだ装身 具としての着用が可能となる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のような合成樹脂成形品によれば、不可視光線を照射しな ければ発光しないために、暗所では普通の成形品と変わらないという問題点があ る。このため、不可視光線の照射を受けなくなっても相当の時間、発光を続ける 蓄光顔料を合成樹脂材に添加することも考えられるが、蓄光顔料は硬度が高い一 方、通常、装飾品は熱可塑性の合成樹脂材料を射出成形機によって所定の形状に 成形することにより製造されるものであるから、成形時に蓄光顔料によって成形 機が摩損し、多量生産に適さないという問題点がある。

【０００４】 さらに、熱可塑性合成樹脂材料によって成形された成形品は、表面が粗いため に研磨処理を必要とするばかりでなく、表面硬度、耐熱性に劣るために、短期間 で損傷を受けて外観を損し商品価値が低下するという問題点があった。

【０００５】 本考案はこのような問題点に鑑みてなされたもので、精度のよい成形品の多量 生産が可能であると共に強度等の品質的にも優れ、且つ発光によって鮮美な輝き を発揮する合成樹脂製装飾品の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の合成樹脂製装飾品は、不飽和ポリエステ ル樹脂の成形装飾品であって、希土類元素を含んだアルカリ土類アルミン酸塩か らなる蓄光顔料を混入してなる構造を有している。

【０００７】

【作用】

不飽和ポリエステル樹脂は流動性が良好な樹脂であるから、硬度の大きい蓄光 顔料を混練させて成形しても成形機を摩損させることがなく、成形性が良好であ って多量生産に適すると共に、透明性を有して成形装飾品の意匠的外観を向上せ ることができる。さらに、不飽和ポリエステル樹脂は表面硬度及び耐熱性に優れ ているから傷等が生じ難く、且つ表面が平滑で美麗な成形装飾品を提供し得る。 その上、暗所においては混入している蓄光顔料が鮮明に発光し、雅趣に富んだ装 身具として使用することができる。

【０００８】

【考案の実施の形態】

本考案の実施例を図面に基づき説明すると、図１は球状の成形装飾品１を複数 個、糸条物３によって連結して腕環に形成してなるものであり、図２はブローチ としての成形装飾品１を示すものである。これらの成形装飾品１は、希土類元素 を含んだアルカリ土類アルミン酸塩からなる蓄光顔料２を含有した透明性を有す る不飽和ポリエステル樹脂成形品である。

【０００９】 上記蓄光顔料２は紫外線のような不可視光線の照射を受けたときに発光し、照 射をやめたのちにおいても長時間、発光を続ける物性を有しているものであり、 従って、この蓄光顔料２を含有してなる上記成形装飾品１は暗所において鮮明に 輝いてアクセサリーとしての商品価値を向上させることができる。

【００１０】 また、この蓄光顔料２は、一般に装飾品の成形材料として使用される熱可塑性 合成樹脂に混練して所定の形状を有する成形品に成形したものではなく、熱硬化 性の不飽和ポリエステル樹脂に混合して上記成形装飾品１に成形してなるもので あるから、不飽和ポリエステル樹脂のもつ優れた流動性によって成形機を摩損さ せることなく製造することができる上に、耐熱性、耐候性、加工性に優れた成形 装飾品１を得ることができる。

【００１１】 このような成形装飾品１得るための製造方法の一例を示すと、まず、成形材料 としては次に示す配合割合からなる組成物を調製した。

【００１２】 〔組成〕 不飽和ポリエステル樹脂 100 重量部 硬化剤 0.75〜１部 蓄光顔料 11部 ゲル化剤 ３〜14部 添加剤 １部

【００１３】 なお、以上の成形材料において、不飽和ポリエステル樹脂としては無色透明性 のボタン用BS110 （大日本インキ化学工業製）、硬化剤としては日本油脂製のバ ーヘキサTMH （商品名）、蓄光顔料としてはアルミニウムアルコレート（大日本 インキ化学工業製「GXー４」）、添加剤としては日本油脂製の「ノフマーMSD 」 を使用した。

【００１４】 そして、ポリ容器に不飽和ポリエステル樹脂を投入したのち、硬化剤、蓄光顔 料、添加剤を順次添加、攪拌して混合し、最後にゲル化剤を徐々に添加して充分 に攪拌混合し、ゲル化が始まる前に攪拌を停止してビニールのシートよりなるパ ット上に流し込んだのち、２〜３日熟成させ、充分にゲル化させた。この成形材 料を直径10mmの玉、169 ケ取りの注型成形機に注入し、温度110 〜120 ℃、余熱 ３〜10分、硬化時間４〜５分、圧力99％の条件で成形した。

【００１５】 こうして得られた不飽和ポリエステル樹脂製成形品（玉）は、透明性と表面平 滑性に富み、且つ耐熱性、耐候性等に優れていると共に、暗所においては発光し て鮮明な輝きを発揮し、趣のある装飾品として着用することができる。なお、本 考案における蓄光顔料を混入してなる合成樹脂成形品は、装飾品以外に交通標識 等にも採用することもできる。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本考案の合成樹脂性装飾品によれば、不飽和ポリエステル樹脂の 成形装飾品であって、希土類元素を含んだアルカリ土類アルミン酸塩からなる蓄 光顔料を混入してなるものであるから、蓄光顔料が硬度が大きいにもかかわらず 流動性の良好な不飽和ポリエステル樹脂に混入しているので、注型成形等によっ て成形する際に、成形機を傷付けることなく円滑に成形することができて多量生 産に適するものであり、さらに、不飽和ポリエステル樹脂は耐熱性、耐気性、強 度等に優れているので、表面が平滑で長期の使用にもかかわず、変色したり損傷 する虞れのない装飾品を提供できるものである。

【００１７】 さらに、不飽和ポリエステル樹脂に混入している蓄光顔料は、紫外線等の不可 視光線の照射によって発光し、照射をやめても長時間自己発光を続けるものであ るから、暗所においては、その発光によって鮮明な輝きを発揮し、不飽和ポリエ ステル樹脂からなる成形品を顕現させて優れた意匠的外観を呈するものであり、 雅趣に富んだ体裁のよい装身具として多大な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】腕環としての成形装飾品の簡略正面図、

【図２】ブローチとしての成形装飾品の正面図。

【符号の説明】

１ 成形装飾品 ２ 蓄光顔料

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 不飽和ポリエステル樹脂の成形装飾品で
   あって、希土類元素を含んだアルカリ土類アルミン酸塩
   からなる蓄光顔料を混入してなる合成樹脂製装飾品。