JP3053735B2 - ダイヤフラム構造体 - Google Patents

ダイヤフラム構造体

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JP3053735B2
JP3053735B2 JP6175320A JP17532094A JP3053735B2 JP 3053735 B2 JP3053735 B2 JP 3053735B2 JP 6175320 A JP6175320 A JP 6175320A JP 17532094 A JP17532094 A JP 17532094A JP 3053735 B2 JP3053735 B2 JP 3053735B2
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秀夫 増森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、薄肉ジルコニアダイヤフラム構
造体及びその製造法並びにそれを用いた圧電/電歪膜型
素子に係り、特に、薄肉のジルコニアダイヤフラム部位
に凹みやクラック等の欠陥のない構造体及びそれを有利
に製造する方法、更にはそのような構造体を用いた、品
質の良好な圧電/電歪膜型素子に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、少なくとも一つの窓部を有する
基体を支持体として、そのような窓部を可撓性の薄肉膜
材料にて覆蓋してダイヤフラムとした構造体が、各種セ
ンサの構成部材等として用いられてきており、また近年
では、圧電/電歪アクチュエータの構成部材としても、
注目を受けている。例えば、センサ構成部材として用い
られる場合にあっては、そのようなダイヤフラム構造体
のダイヤフラムが測定すべき対象によって受ける屈曲変
位を、適当な検出手段にて検出するように構成され、ま
た圧電/電歪アクチュエータの構成部材として用いられ
る場合にあっては、かかるダイヤフラム構造体のダイヤ
フラムが圧電/電歪素子によって変形せしめられて、例
えば、該構造体の内部に形成された加圧室に圧力を生ぜ
しめるようにして、用いられることとなるのである。
【0003】しかして、そのようなダイヤフラム構造体
は、それを構成する支持体としての基体と、ダイヤフラ
ムを与える膜部材とを、一体的に組み付けることによっ
て製造されることとなるが、その一体的構造の信頼性
や、耐熱、耐食性の付与等の点より、そのようなダイヤ
フラム構造体をセラミックスの一体焼成体にて構成する
ことが考えられ、本願出願人も、先に、特願昭62−1
29360号(特開昭63−292032号)や特願平
3−203831号(特開平5−29675号)等とし
て、一体焼成にて得られたセラミックス製のダイヤフラ
ム構造体を用いた圧力検出器や、圧電/電歪アクチュエ
ータ等に用いる圧電/電歪膜型素子を明らかにした。
【0004】ところで、このような一体焼成により得ら
れるセラミックス製のダイヤフラム構造体は、一般に、
窓部を有する所定形状のセラミックスグリーン基体と該
窓部を覆蓋する薄肉のセラミックスグリーンシートとの
一体的な積層物を焼成せしめることにより、得られるも
のであるが、そのような一体焼成操作において、かかる
セラミックスグリーン基体の窓部に位置し、セラミック
スグリーンシートから形成されるダイヤフラム部位が凹
状に変形したり、該ダイヤフラム部位にクラックを生じ
たりする問題が内在していることが、本発明者らの検討
により明らかとなったのである。そして、そのようなダ
イヤフラム部位の凹みやクラックの発生は、ダイヤフラ
ムの機能乃至は作動を阻害し、またその信頼性を低下さ
せているのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、ダイヤフラム部位における凹みやクラック等の
発生のない、信頼性の高い、薄肉ジルコニアダイヤフラ
ム構造体を提供することにあり、またそのようなダイヤ
フラム構造体を有利に製造する方法を提供することにあ
り、更には、そのようなダイヤフラム構造体を用いた素
子、特に品質の良好な圧電/電歪膜型素子を提供するこ
とにある。
【0006】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明は、少なくともつの窓部を有するジルコニア基体
と、該窓部を覆蓋する薄肉のジルコニアダイヤフラム板
とを含んで構成される一体焼成物であって、該窓部にお
いて薄肉のジルコニアダイヤフラムが形成されてなる構
造体において、前記ジルコニア基体が、0.1〜3.0
重量%の割合のアルミナ成分、0.1〜3.0重量%の
割合のシリカ成分、合計量で0.1〜5.0重量%の割
合のアルミナ成分及びシリカ成分、合計量で0.1〜
5.0重量%の割合のアルミナ成分及びマグネシア成
分、または合計量で0.1〜5.0重量%の割合のアル
ミナ成分、シリカ成分及びマグネシア成分を含有するこ
とを特徴とする薄肉ジルコニアダイヤフラム構造体を、
その要旨とするものである。
【0007】 また、本発明においては、少なくとも一
つの窓部を有するジルコニアグリーン基体に対して、該
窓部を覆蓋するように薄肉のジルコニアグリーンシート
を一体的に積層せしめてなる構造を有する積層物を、一
体焼成することにより、かかる窓部において薄肉のジル
コニアダイヤフラムが形成されてなる構造体にして、前
記ジルコニアグリーン基体に、焼成体中のアルミナ成分
の含有量が0.1〜3.0重量%となる割合のアルミナ
源材料、焼成体中のシリカ成分の含有量が0.1〜3.
0重量%となる割合のシリカ源材料、焼成体中のアルミ
ナ成分とシリカ成分との合計含有量が0.1〜5.0重
量%となる割合の(アルミナ+シリカ)源材料、焼成体
中のアルミナ成分とマグネシア成分との合計含有量が
0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+マグネ
シア)源材料、または焼成体中のアルミナ成分とシリカ
成分とマグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.0
重量%の割合の(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材
料を含有せしめたことを特徴とする薄肉ジルコニアダイ
ヤフラム構造体をも、その要旨とするものである。
【0008】なお、このような本発明に従う薄肉ジルコ
ニアダイヤフラム構造体にあっては、それを与える一体
的な積層物を構成するジルコニアグリーン基体及びジル
コニアグリーンシートが、それぞれ、部分安定化ジルコ
ニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる
材料を用いて形成されていることが望ましく、これによ
り焼成後に高強度、耐熱、耐食性、加えて薄肉で可撓性
に優れた特性が発揮され、ダイヤフラム構造体の用途
が、更に拡大せしめられ得ることとなる。
【0009】 また、本発明にあっては、かかる薄肉ジ
ルコニアダイヤフラム構造体を製造するために、(a)
焼成体中のアルミナ成分の含有量が0.1〜3.0重量
%となる割合のアルミナ源材料、焼成体中のシリカ成分
の含有量が0.1〜3.0重量%の割合となるシリカ源
材料、焼成体中のアルミナ成分とシリカ成分との合計含
有量が0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+
シリカ)源材料、焼成体中のアルミナ成分とマグネシア
成分との合計含有量が0.1〜5.0重量%の割合の
(アルミナ+マグネシア)源材料、または焼成体中のア
ルミナ成分とシリカ成分とマグネシア成分との合計含有
量が0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+シ
リカ+マグネシア)源材料を含有せしめた、少なくとも
一つの窓部を有するジルコニアグリーン基体を準備する
工程と、(b)所定厚さの薄肉のジルコニアグリーンシ
ートを準備する工程と、(c)前記ジルコニアグリーン
基体に対して、その窓部を覆蓋するように、該薄肉のジ
ルコニアグリーンシートを積層し、それらジルコニアグ
リーン基体及びジルコニアグリーンシートを少なくとも
含む一体的な積層物と為す工程と、(d)該積層物を焼
成して一体的な焼結体と為し、前記ジルコニアグリーン
基体の窓部部位において薄肉のジルコニアダイヤフラム
を形成する工程とを含む製造手法が、有利に採用される
のである。
【0010】このような製造手法においては、有利に
は、前記ジルコニアグリーンシートを与える部分安定化
ジルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニア
となる材料の平均粒子径が、前記ジルコニアグリーン基
体を与える部分安定化ジルコニア材料若しくは焼成後に
部分安定化ジルコニアとなる材料の平均粒子径よりも小
さくなるようにされる。加えて、ジルコニアグリーンシ
ートは、平均粒子径:0.05〜0.5μmの部分安定
化ジルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニ
アとなる材料を用いて形成され、またジルコニアグリー
ン基体は、平均粒子径:0.1〜1.0μmの部分安定
化ジルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニ
アとなる材料を用いて形成されており、更にジルコニア
グリーンシートは、30μm以下の厚さのジルコニアダ
イヤフラムを与える厚さにおいて用いられることとな
る。
【0011】 さらに、本発明に従う上記した薄肉ジル
コニアダイヤフラム構造体は、特に、圧電/電歪膜型素
子として有利に用いられ得るものであって、少なくとも
一つの窓部を有するジルコニアグリーン基体に対して、
該窓部を覆蓋するように薄肉のジルコニアグリーンシー
トを一体的に積層せしめてなる構造を有する積層物を、
一体焼成することにより、かかる窓部において薄肉のジ
ルコニアダイヤフラムが形成されてなる構造体と、該構
造体のジルコニアダイヤフラムの外面上に膜形成法によ
って形成された電極及び圧電/電歪層からなる圧電/電
歪作動部とを含んで構成されるアクチュエータにして、
前記ジルコニアグリーン基体に、焼成体中のアルミナ成
分の含有量が0.1〜3.0重量%となる割合のアルミ
ナ源材料、焼成体中のシリカ成分の含有量が0.1〜
3.0重量%の割合となるシリカ源材料、焼成体中のア
ルミナ成分とシリカ成分との合計含有量が0.1〜5.
0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ)源材料、焼
成体中のアルミナ成分とマグネシア成分との合計含有量
が0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+マグ
ネシア)源材料、または焼成体中のアルミナ成分とシリ
カ成分とマグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.
0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ+マグネシ
ア)源材料を含有せしめたことを特徴とする圧電/電歪
膜型素子として、実現されることとなる。
【0012】なお、このような圧電/電歪膜型素子にお
いても、その構造部材たるダイヤフラム構造体を与える
ジルコニアグリーン基体及びジルコニアグリーンシート
は、それぞれ、部分安定化ジルコニア材料若しくは焼成
後に部分安定化ジルコニアとなる材料にて形成されるこ
とが望ましく、それによって前記と同様な利点を享受す
ることが出来る。
【0013】
【具体的構成・作用】このように、本発明は、所定のジ
ルコニアグリーン基体と薄肉のジルコニアグリーンシー
トとの積層物の一体焼成により形成される薄肉ジルコニ
アダイヤフラム構造体において、かかるジルコニアグリ
ーン基体にて与えられる支持体としてのジルコニア基体
における窓部に形成される、ジルコニアグリーンシート
の焼成体からなる、ダイヤフラム部位における凹みやク
ラックの発生等の問題を、該ジルコニアグリーン基体に
所定の物質乃至は材料を含有せしめて、焼成することに
よって、解消しようとするものであるが、そのような本
発明の対象とするダイヤフラム構造体の基本的な構造の
一例が、図1及び図2に示されている。なお、ここに例
示の具体例では、窓部は一つとされている。
【0014】すなわち、それらの図において、ダイヤフ
ラム構造体2は、所定大きさの矩形の窓部6を有する支
持体としてのジルコニア基体4と、その一方の面に重ね
合わされて窓部6を覆蓋する薄肉のジルコニアダイヤフ
ラム板8とから、一体的に構成されており、かかるジル
コニアダイヤフラム板8の前記ジルコニア基体4におけ
る窓部6に位置する部分が、ダイヤフラム部位10とさ
れているのである。そして、このようなダイヤフラム構
造体2は、図3に示されているように、ジルコニアダイ
ヤフラム板8を与える薄肉のジルコニアグリーンシート
12をジルコニア基体4を与えるジルコニアグリーン基
体14に対して、その窓部16を覆蓋するようにして重
ね合わせ、一体的な積層体とした後、それを一体焼成す
ることにより、製造されることとなる。なお、かかるジ
ルコニアグリーンシート12やジルコニアグリーン基体
14は、それぞれ、複数枚のシート成分や基体成分の重
ね合わせによって形成することも可能である。また、こ
こでは、ダイヤフラム構造体2の窓部6の形状、換言す
ればダイヤフラム部位10の形状は、矩形(四角形)形
状とされているが、これに限定されるものではなく、ダ
イヤフラム構造体2の用途に応じて、例えば円形、多角
形、楕円形等、またはこれらを組み合わせた形状等、任
意の形状が適宜に選択されることとなる。
【0015】ところで、かかるダイヤフラム構造体を与
えるジルコニアグリーンシート12及びジルコニアグリ
ーン基体14は、何れも、公知のジルコニア材料を用い
て形成されており、それによって、高強度及び耐熱・耐
食性と共に、薄肉でフレキシブルという優れた特性を発
揮し、有効なダイヤフラム構造体を与えることとなる
が、特にそのような特性は、所定の化合物で結晶層が部
分安定化された酸化ジルコニウム、換言すれば部分安定
化ジルコニア若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアと
なる材料の使用によって、より一層高められることとな
る。
【0016】なお、ここで言う部分安定化ジルコニアと
は、熱や応力等が加えられた時に結晶変態が部分的にし
か起こらないように、結晶相を部分的に安定化せしめた
酸化ジルコニウムを意味するものである。また、この酸
化ジルコニウム(ジルコニア)を安定化する化合物とし
ては、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシ
ウム、酸化カルシウム等があり、少なくともそのうちの
一つの化合物を単体で若しくは組み合わせて、添加、含
有せしめることにより、ジルコニアは、部分的に安定化
されることとなる。更に、それぞれの化合物の添加含有
量としては、酸化イットリウムに関しては2〜7モル
%、酸化セリウムに関しては6〜15モル%、酸化マグ
ネシウムや、酸化カルシウムに関しては、5〜12モル
%とすることが好ましいが、その中でも、特に酸化イッ
トリウムを部分安定化剤として用いることが好ましく、
その場合においては2〜7モル%、更に好ましくは2〜
4モル%とすることが望ましい。そのような範囲で酸化
イットリウムを添加、含有せしめてなるジルコニアは、
その主たる結晶相が正方晶、若しくは立方晶と正方晶と
単斜晶のうち、少なくとも2種以上の混晶において部分
安定化され、ダイヤフラム構造体としての優れた特性を
与えることとなる。なお、このダイヤフラム構造体にお
いて、ダイヤフラム板8を構成するジルコニア材料とし
ては、部分安定化ジルコニアの100%にて構成される
ことが望ましいが、必要に応じて10重量%以下の通常
の添加剤や助剤が加えられていても何等差支えない。ま
た、ジルコニア基体4を構成するジルコニア材料にあっ
ても、部分安定化ジルコニアの使用効果が損なわれない
程度に、その他の添加剤等が含まれていても、何等差支
えない。
【0017】しかも、そのような部分安定化ジルコニア
材料若しくは焼成によって該部分安定化ジルコニアを与
える材料を用いて、ジルコニアグリーンシート12やジ
ルコニアグリーン基体14を形成するに際しては、本発
明の目的を有利に達成する上において、かかる部分安定
化ジルコニア材料粒子若しくはそのような部分安定化ジ
ルコニアを焼成後に与える材料粒子の粒子径を選定する
ことが望ましい。具体的には、ジルコニアグリーンシー
ト12を形成するには、平均粒子径が0.05〜0.5
μm、好ましくは0.1〜0.3μmの部分安定化ジル
コニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとな
る材料の使用が推奨され、またジルコニアグリーン基体
14の形成に際しては、平均粒子径が0.1〜1.0μ
m、好ましくは0.3〜0.6μmの部分安定化ジルコ
ニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる
材料の使用が推奨されるのである。そして、有利には、
ジルコニアグリーンシート12を形成する部分安定化ジ
ルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアと
なる材料の平均粒子径の方が、ジルコニアグリーン基体
14を形成する部分安定化ジルコニア材料若しくは焼成
後に部分安定化ジルコニアとなる材料の平均粒子径より
も小さくされることとなる。
【0018】このような平均粒子径の部分安定化ジルコ
ニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる
材料を組み合わせて用いることにより、得られるダイヤ
フラム構造体2におけるダイヤフラム部位10の強度等
の特性に優れたものが得られ、またジルコニアグリーン
シート12とジルコニアグリーン基体14との一体的な
焼成が良好に行なわれ得て、ダイヤフラム部位10にお
ける凹みやクラックの発生等の問題の解消に、有利に寄
与せしめ得るのである。なお、それらジルコニアグリー
ンシート12やジルコニアグリーン基体14を与える部
分安定化ジルコニア若しくは焼成後に部分安定化ジルコ
ニア材料となる材料の平均粒子径が余りにも小さくなり
過ぎると、シート成形が困難となり(スラリーの経時変
化が大きく、クラックの発生がみられる)、製品として
の安定性を失う問題があり、またそれらの平均粒子径が
大きくなり過ぎると、基体部位及びダイヤフラム部位の
強度低下や、凹み、クラック等の欠陥が惹起され易くな
る等の問題がある。
【0019】 そして、かかるジルコニア材料に対し
て、従来と同様にバインダーや有機溶媒を加えて、スラ
リー乃至はペーストと為し、それを用いて、従来と同様
にして所定厚さの薄肉のジルコニアグリーンシート12
及びジルコニアグリーン基体14が形成されることとな
るが、本発明にあっては、それらのうちのジルコニアグ
リーン基体14に対して、焼成体中のアルミナ成分の含
有量が0.1〜3.0重量%となる割合のアルミナ源材
料、焼成体中のシリカ成分の含有量が0.1〜3.0重
量%となる割合のシリカ源材料、焼成体中のアルミナ成
分とシリカ成分との合計含有量が0.1〜5.0重量%
となる割合の(アルミナ+シリカ)源材料、焼成体中の
アルミナ成分とマグネシア成分との合計含有量が0.1
〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+マグネシア)
源材料、または焼成体中のアルミナ成分とシリカ成分と
マグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.0重量%
の割合の(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材料を含
有せしめるようにしたものであって、そのような特定成
分を含有せしめたジルコニアグリーン基体14を用い、
それとジルコニアグリーンシート12との一体的な積層
物を一体焼成することにより、それら両部材(12,1
4)の焼結進行状態や焼結特性等を近似せしめ、以てダ
イヤフラム部位10における凹みやクラック等の欠陥の
発生を、効果的に回避せしめ得たのである。
【0020】このようなジルコニアグリーン基体14に
含有せしめられるアルミナ源材料、シリカ源材料、(ア
ルミナ+シリカ)源材料、(アルミナ+マグネシア)源
材料、又は(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材料の
含有量に関して、その添加効果を充分に発揮させるに
は、所定割合以上の添加が必要であることは勿論である
が、その割合が多くなり過ぎると、ジルコニアグリーン
基体14の焼結速度に悪影響をもたらし、却ってダイヤ
フラム部位10にしわや凹み等の欠陥を惹起させるよう
になるところから、前記アルミナ源材料は、焼成体中に
0.1〜3.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量
%の範囲内の含有量のアルミナ成分を与えるように含有
せしめられ、またシリカ源材料は、焼成体中に0.1〜
3.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%の割合
の含有量のシリカ成分を与えるように含有せしめられ、
更に(アルミナ+シリカ)源材料にあっては、焼成体中
に合計量で0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜
2.0重量%の割合のアルミナ成分とシリカ成分とを与
えるように含有せしめられ、更にまた(アルミナ+マグ
ネシア)源材料にあっては、焼成体中に合計量で0.1
〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の割
合のアルミナ成分とマグネシア成分とを与えるように、
そして(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材料にあっ
ては、焼成体中に合計量で0.1〜5.0重量%、好ま
しくは0.3〜3.0重量%の割合のアルミナ成分とシ
リカ成分とマグネシア成分とを与えるように、それぞれ
含有せしめられることとなる。特に、これらの添加源材
料の中でも、アルミナ源材料並びにマグネシア源材料
は、他の源材料と共に併用添加される場合において、何
れも、それら添加源材料にて与えられる各成分の合計量
のうちの1%以上を占めるような割合で用いられること
が望ましく、中でもそれぞれ10%以上となるような割
合で使用されることが、更に望ましいのである。なお、
薄肉ダイヤフラム構造体の凹みやクラック等の問題に対
する効果は、すべての添加成分について等価ではなく、
なかでも、好ましい添加成分としては、(アルミナ+マ
グネシア)、(アルミナ+シリカ+マグネシア)、(ア
ルミナ+シリカ)、及びアルミナであり、より好ましく
は(アルミナ+マグネシア)、(アルミナ+シリカ+マ
グネシア)である。また、この構造体を圧電/電歪膜型
素子に適用する場合においては、圧電体特性の点より、
アルミナまたは(アルミナ+マグネシア)の使用が好ま
しい。
【0021】なお、上記した各種の源材料のうち、アル
ミナ成分を与えるアルミナ源材料としては、アルミナの
他に、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の無機ア
ルミニウム化合物や、アルミニウムアルコキシド、アル
ミニウムアセチルアセトネート等の有機アルミニウム化
合物があり、またシリカ成分を与えるシリカ源材料とし
ては、二酸化珪素粉末の他に、シリカゲル、塩化珪素等
の無機珪素化合物や、アルコキシド、フェノキシド等の
有機珪素化合物があり、更に(アルミナ+シリカ)源材
料としては、アルミナ粉末と二酸化珪素粉末、カオリ
ン、木節粘土等の粘土類や、ムライト等が用いられるこ
ととなる。また、(アルミナ+マグネシア)源材料や
(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材料におけるマグ
ネシア成分としては、酸化物の吸湿性が強いために、他
の化合物形態で添加することが、本発明においては好適
に採用され、以て均一な混合や作業性の点での有利さを
享受することが出来る。具体的には、炭酸マグネシウム
粉末で添加したり、MgCl2を水溶液混合したあと、
沈殿させて、添加したり、ジルコニウム塩と共沈させ
て、添加する等の方法が採用されるのである。また、ス
ピネル(MgAl24 )やコーディエライトとして、
同時添加するのも、効果的である。
【0022】本発明に従う薄肉ジルコニアダイヤフラム
構造体2を与える、ジルコニアグリーンシート12やジ
ルコニアグリーン基体14は、上記した原料を用いて常
法に従って調製されたスラリー乃至はペーストから、ド
クターブレード装置やリバースロールコーター装置等の
一般的な装置によりグリーンシートを成形し、次いで必
要に応じて複数枚の積層を行なったり、切断・切削・打
ち抜き等の加工を行なって、所定厚さ及び形状の成形物
とされることとなる。なお、かかるスラリー乃至はペー
ストの調製に際しては、よく知られているように、バイ
ンダとしてブチラール系樹脂、アクリル系樹脂、セルロ
ース系樹脂等が用いられ、そして可塑剤としてジオクチ
ルフタレート、ジブチルフタレートの如きフタル酸エス
テル類等が用いられ、また分散剤としてはソルビタンモ
ノオレート、ソルビタンラウレート等のソルビタン系分
散剤等が用いられ、更に溶媒としてはトルエン、キシレ
ン、アルコール等が用いられる。そして、このようにし
て得られるジルコニアグリーンシート12やジルコニア
グリーン基体14の厚さは、目的とする薄肉ジルコニア
ダイヤフラム構造体2におけるジルコニアダイヤフラム
板8やジルコニア基体4の厚さに応じて、適宜に決定さ
れることとなるが、かかるジルコニアダイヤフラム板8
にて与えられるダイヤフラム部位10の厚さが、そこに
おける凹みやクラック等の欠陥の発生をより良く防止す
べく、1μm以上、30μm以下、好ましくは3〜15
μm程度とすることが望ましいところから、ジルコニア
グリーンシート12は、ジルコニアダイヤフラム板8の
厚さが30μm以下となるような厚さにおいて、用いら
れることが望ましいのである。また、ジルコニアグリー
ン基体14にあっても、ジルコニア基体4の厚さが、一
般に50μm以上、好ましくは100μm以上とされる
こととなるところから、そのような厚さのジルコニア基
体を焼成によって与える厚さにおいて用いられることと
なる。
【0023】そして、かかるジルコニアグリーンシート
12とジルコニアグリーン基体14とは、常法に従って
重ね合わされ、熱圧着等によって一体的な積層物とされ
た後、焼成せしめられ、以て一体的な焼結体であるダイ
ヤフラム構造体2が形成されるのである。なお、かかる
一体的な積層物の焼成操作にあっても、焼成温度とし
て、一般に1200〜1600℃程度、好ましくは13
00〜1500℃程度が採用される等、従来からのジル
コニア材料の焼成と同様な条件が採用されることとな
る。
【0024】このようにして得られる本発明に従う薄肉
のジルコニアダイヤフラム構造体2は、そのダイヤフラ
ム部位10において、凹みやクラック等の欠陥のない、
品質の良好な、且つ信頼性の高いものであって、センサ
やアクチュエータ等の各種の用途に有利に用いられ得る
ものである。また、ジルコニアの高強度、耐熱・耐食
性、更には薄肉でフレキシブルである特性より、例えば
腐食性の厳しい装置、配管等の一部に適用すれば、歪み
ゲージ等の各種検知手段と併用することで、内圧等をモ
ニターする耐食性の圧力センサとすることが出来、また
空気圧や押棒等の駆動源と併用することで、周波数が低
いものの、変位量が大きいアクチュエータ等として用い
ることも出来るのである。
【0025】尤も、本発明に従う薄肉ジルコニアダイヤ
フラム構造体は、そのダイヤフラム部位の一方の側の面
に圧電/電歪作動部を設けて、各種センサや、圧電/電
歪アクチュエータとして有利に用いられ得るものであ
り、中でも、主にディスプレイ、加速度センサや衝撃セ
ンサ、マイクロホン、発音体(スピーカ等)、動力用や
通信用の各種振動子や発振子の他、内野研二著(日本工
業技術センター編)「圧電/電歪アクチュエータ 基礎
から応用まで」(森北出版)に記載のサーボ変位素子、
パルス駆動モータ、超音波モータ等に用いられるユニモ
ルフ型やバイモルフ型等の、屈曲変位を発生させるタイ
プの圧電/電歪膜型アクチュエータとして、特に有利に
用いられ得るものである。因みに、図4には、本発明に
従う薄肉ジルコニアダイヤフラム構造体を用いた圧電/
電歪膜型素子の一例が概略的に示されており、また図5
には、その分解斜視図が示されている。そして、そこに
図示された圧電/電歪膜型素子20は、ダイヤフラム構
造体22とそのダイヤフラム部位の外表面に配置された
圧電/電歪作動部24とが接合一体化されることによっ
て、形成されており、かかる圧電/電歪作動部24が、
印加電圧に従いダイヤフラム構造体22のダイヤフラム
部位を屈曲変形せしめるようにしたものである。
【0026】より詳細には、ダイヤフラム構造体22
は、本発明に従う構成を採用するものであって、それぞ
れジルコニア材料からなる薄肉の平板形状を呈する閉塞
プレート26と接続プレート28が、同じくジルコニア
材料からなるスペーサプレート30を挟んで重ね合わさ
れてなる構造をもって、一体的に形成されている。そし
て、接続プレート28には、所定の間隔を隔てて連通用
開孔部32の複数(ここでは3個)が形成され、外部と
の連通部となるように構成されている。また、スペーサ
プレート30には、正方形状の窓部36が複数個(ここ
では3個)形成され、その長手方向に所定の間隔を隔て
て配列されている。そして、それら各窓部36に対し
て、前記接続プレート28に設けられた各一つの連通用
開孔部32が開孔せしめられるように、かかるスペーサ
プレート30が、接続プレート28に対して重ね合わさ
れているのである。なお、連通用開孔部32は、圧電/
電歪膜型素子20の用途に応じて各窓部36につき適宜
の個数において設定されるものであって、例示の如き1
個のみの場合だけでなく、2個或いはそれ以上の個数に
おいて配設されるものである。また、このスペーサプレ
ート30における接続プレート28が重ね合わされた側
とは反対側の面には、閉塞プレート26が重ね合わされ
ており、この閉塞プレート26にて窓部36の開孔が覆
蓋されている。それによって、ダイヤフラム構造体22
の内部には、連通用開孔部32を通じて、外部に連通さ
れた加圧室38が形成されているのである。
【0027】そして、このようなダイヤフラム構造体2
2は、上述せるように、ジルコニア材料を用いて一体焼
成品として形成されているものである。即ち、その具体
的な製造工程としては、先ず、ジルコニア材料とバイン
ダ並びに溶媒等から調製されるスラリー乃至はペースト
より、ドクターブレード装置、リバースロールコーター
装置、スクリーン印刷装置等の一般的な装置を用いてグ
リーンシートを成形、成膜し、次いで必要に応じて該グ
リーンシートに切断・切削・打ち抜き等の加工を施し
て、窓部36や連通用開孔部32等を形成し、各プレー
ト26、28、30の前駆体を形成する。その後、それ
ら各前駆体を積層し、焼成することによって、一体的な
ダイヤフラム構造体22を得るのである。
【0028】また、かかるダイヤフラム構造体22に
は、その閉塞プレート26の外面上において、各加圧室
38に対応する部位に、それぞれ、圧電/電歪作動部2
4が設けられている。ここにおいて、この圧電/電歪作
動部24は、閉塞プレート26上に、下部電極40、圧
電/電歪層42及び上部電極44を膜形成法によって順
次形成することにより、構成されたものである。そし
て、特に好適には、かかる圧電/電歪作動部24とし
て、本願出願人が先に特願平3−203831号(特開
平5−29675号)等において提案した圧電/電歪作
動部の構成が採用されることとなる。
【0029】また、そのような圧電/電歪作動部24を
与える電極膜(上下の電極40、44)及び圧電/電歪
層42は、公知の各種の膜形成法、例えばスクリーン印
刷、スプレー、ディッピング、塗布等の厚膜形成手法、
イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレ
ーティング、CVD、メッキ等の薄膜形成手法によっ
て、焼成一体化されてなるダイヤフラム構造体22の閉
塞プレート26の外面上に形成されることとなる。な
お、その際の電極膜40、44の形成材料や、圧電/電
歪層42の形成材料としては、公知の各種の材料や、先
に引用の本願出願人の特許出願に開示の材料等が、適宜
に採用されることとなる。また、そのようにして形成さ
れる電極膜40、44と圧電/電歪層42とから構成さ
れる圧電/電歪作動部24の厚さとしては、一般に10
0μm以下とされ、また電極膜40、44の厚さとして
は、一般に20μm以下、好ましくは5μm以下とされ
ることが望ましく、更に圧電/電歪層42の厚さとして
は、低作動電圧で大きな変位等を得るために、好ましく
は50μm以下、更に好ましくは3μm以上40μm以
下とされることが望ましい。
【0030】従って、このようなダイヤフラム構造体2
2のダイヤフラム部位(26)上に圧電/電歪作動部2
4が一体的に設けられてなる圧電/電歪膜型素子20に
あっては、その圧電/電歪作動部24の作動に基づき、
振動や変位を利用したり、加圧室38内が加圧せしめら
れることとなり、以てかかる加圧室38内の流体の吐出
が効果的に実現され得るのである。
【0031】このように、本発明に従う薄肉ジルコニア
ダイヤフラム構造体は、圧電/電歪膜型素子の構成部材
として有利に用いられ得るものであるが、そのような圧
電/電歪膜型素子の構造としては、上例以外のものも採
用され、各種構造のアクチュエータの構成部材として利
用される他、各種ディスプレイ、圧電スピーカー、セン
サ、振動子、発振子、フィルター、トランス等における
構成部材としても、有利に用いられ得るものである。
【0032】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の実施例として図4及び図5に示される
圧電/電歪膜型素子におけるダイヤフラム構造体の製造
例について、詳細に説明することとするが、本発明が、
そのような実施例の記載によって、何等制限的に解釈さ
れるものでは決してなく、本発明には、その趣旨を逸脱
することなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等が加えられ得るものであって、そのような
実施態様が、何れも、本発明の範囲内に含まれるもので
あることは、言うまでもないところである。なお、以下
の実施例中の部及び百分率は、特に断りのない限りにお
いて、何れも、重量基準にて表されている。
【0033】先ず、図4及び図5に示される圧電/電歪
膜型素子に用いられるダイヤフラム構造体22を得るた
めに、各種のジルコニア原料を調製した。なお、それら
ジルコニア原料は、何れも、3mol %のイットリアにて
部分安定化されたジルコニア材料からなるものであっ
て、下記表1及び表2に示される種々なる平均粒子径を
有し、また焼成後において表1及び表2に示される各種
添加成分の所定量を与える源材料をそれぞれ含有してい
る。また、各々の添加成分に関して、アルミナ成分は、
ジルコニア原料との共沈添加において、そしてシリカ成
分及びマグネシア成分は、それぞれ、石英粉末及び炭酸
マグネシウム(MgCO3 )粉末を源材料として、それ
らをジルコニア原料のスラリー混合に際して添加するこ
とにより、目的量の添加が行なわれている。なお、炭酸
マグネシウムについては、表1、2に示されるMgO含
有量となるように添加されている。
【0034】 次いで、かか各種のジルコニア原料を
用いて、常法に従って、それぞれ各種厚さのグリーンシ
ートを成形し、更に必要に応じて切断、切削、打ち抜き
等の加工を施して、図4及び図5に示される圧電/電歪
膜型素子20用ダイヤフラム構造体22の形成に用いら
れる各種の閉塞プレート26、接続プレート28及びス
ペーサプレート30を作製した。なお、その際、バイン
ダとしては、ポリビニルブチラール樹脂、フタル酸エス
テル系可塑剤及びソルビタン系分散剤を、総量におい
て、ジルコニア原料の100部あたり13.4部〜1
8.5部の各種割合において使用した。また、溶媒とし
ては、トルエン:イソプロピルアルコール=50:50
(容量比)の混合物を用いた。そして、下記表1、2に
示される閉塞プレート構成とスペーサプレート・接続プ
レート構成との各種組合せにおいて、8箇所の窓部36
を有するダイヤフラム構造体22の積層一体化物を作成
し、1400℃の温度にて焼成することにより、目的と
する各種ダイヤフラム構造体22を得た。なお、表1、
2における焼成割掛は、それぞれのプレート単独で焼成
した場合の焼成前寸法を焼成後寸法にて除した値であ
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】そして、かくして得られた各種のダイヤフ
ラム構造体22について、その窓部36に位置する閉塞
プレート26部分にて構成されるダイヤフラム部位の凹
み量並びにクラック発生の有無について調べ、その結果
を下記表3に示した。なお、表3における凹み量評価に
おいては、大:50μm以上、中:50μm未満15μ
m以上、小:15μm未満10μm以上、微小〜無:1
0μm未満の凹みが、それぞれ存在することを示してお
り、またクラック評価においては、各ダイヤフラム構造
体の8箇所の窓部について、クラックの発生の有無を調
べた結果を示している。
【0038】
【表3】
【0039】かかる各種のダイヤフラム構造体22の作
製の結果から明らかなように、スペーサプレート30や
接続プレート28を与えるジルコニア原料に対して、A
23 成分、SiO2 成分、及び/又はMgO成分を
与える各種源材料を添加せしめることによって、その薄
肉のダイヤフラム部位における凹み量を著しく微小乃至
は零とすることが出来、またクラックの発生も効果的に
回避され、以てかかるダイヤフラム部位における信頼性
を向上し、また量産性に優れたものとなるのである。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、薄肉ジルコニアダイヤフラム構造体における
ダイヤフラム部位に発生する凹み、クラック等の問題が
良好に解消され、以て品質の良好な薄肉ジルコニアダイ
ヤフラム構造体を得ることが出来ることとなったのであ
る。
【0041】そして、そのようなダイヤフラム部位に凹
みやクラックのない、品質の良好な薄肉ジルコニアダイ
ヤフラム構造体を用いて得られる圧電/電歪膜型素子
は、また、その作動信頼性の著しく向上されたものとな
り、以てアクチュエータ、ディスプレイ、各種センサ、
マイクロホン、発音体(スピーカ等)、動力用や通信用
の各種振動子や発振子等に有利に用いられ得るのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う薄肉ジルコニアダイヤフラム構造
体の基本的な構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示されるダイヤフラム構造体の底面図で
ある。
【図3】図1に示されるダイヤフラム構造体の製造工程
の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る薄肉ジルコニアダイヤフラム構造
体を用いた圧電/電歪膜型素子の一例を示す断面図であ
る。
【図5】図4に示される圧電/電歪膜型素子の分解斜視
図である。
【符号の説明】
2 ダイヤフラム構造体 4 ジルコニア
基体 6 窓部 8 ジルコニア
ダイヤフラム板 10 ダイヤフラム部位 12 ジルコニ
アグリーンシート 14 ジルコニアグリーン基体 16 窓部 20 圧電/電歪膜型素子 22 ダイヤフ
ラム構造体 24 圧電/電歪作動部 26 閉塞プレ
ート 28 接続プレート 30 スペーサ
プレート 32 連通用開孔部 36 窓部 38 加圧室 40 下部電極
膜 42 圧電/電歪層 44 上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 勝之 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−21331(JP,A) 特開 平4−43680(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/08 C04B 35/48 G01L 1/18 G01L 9/00 H01L 29/84

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともつの窓部を有するジルコニ
    ア基体と、該窓部を覆蓋する薄肉のジルコニアダイヤフ
    ラム板とを含んで構成される一体焼成物であって、該窓
    部において薄肉のジルコニアダイヤフラムが形成されて
    なる構造体において、 前記ジルコニア基体が、0.1〜3.0重量%の割合の
    アルミナ成分、0.1〜3.0重量%の割合のシリカ成
    分、合計量で0.1〜5.0重量%の割合のアルミナ成
    分及びシリカ成分、合計量で0.1〜5.0重量%の割
    合のアルミナ成分及びマグネシア成分、または合計量で
    0.1〜5.0重量%の割合のアルミナ成分、シリカ成
    分及びマグネシア成分を含有することを特徴とする薄肉
    ジルコニアダイヤフラム構造体。
  2. 【請求項2】 少なくとも一つの窓部を有するジルコニ
    アグリーン基体に対して、該窓部を覆蓋するように薄肉
    のジルコニアグリーンシートを一体的に積層せしめてな
    る構造を有する積層物を、一体焼成することにより、か
    かる窓部において薄肉のジルコニアダイヤフラムが形成
    されてなる構造体にして、 前記ジルコニアグリーン基体に、焼成体中のアルミナ成
    分の含有量が0.1〜3.0重量%となる割合のアルミ
    ナ源材料、焼成体中のシリカ成分の含有量が0.1〜
    3.0重量%となる割合のシリカ源材料、焼成体中のア
    ルミナ成分とシリカ成分との合計含有量が0.1〜5.
    0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ)源材料、焼
    成体中のアルミナ成分とマグネシア成分との合計含有量
    が0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+マグ
    ネシア)源材料、または焼成体中のアルミナ成分とシリ
    カ成分とマグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.
    0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ+マグネシ
    ア)源材料を含有せしめたことを特徴とする薄肉ジルコ
    ニアダイヤフラム構造体。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニアグリーン基体及びジルコ
    ニアグリーンシートが、それぞれ、部分安定化ジルコニ
    ア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる材
    料を用いて形成されている請求項2に記載の薄肉ジルコ
    ニアダイヤフラム構造体。
  4. 【請求項4】 焼成体中のアルミナ成分の含有量が0.
    1〜3.0重量%となる割合のアルミナ源材料、焼成体
    中のシリカ成分の含有量が0.1〜3.0重量%となる
    割合のシリカ源材料、焼成体中のアルミナ成分とシリカ
    成分との合計含有量が0.1〜5.0重量%となる割合
    の(アルミナ+シリカ)源材料、焼成体中のアルミナ成
    分とマグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.0重
    量%となる割合の(アルミナ+マグネシア)源材料、
    たは焼成体中のアルミナ成分とシリカ成分とマグネシア
    成分との合計含有量が0.1〜5.0重量%となる割合
    の(アルミナ+シリカ+マグネシア)源材料を含有せし
    めた、少なくとも一つの窓部を有するジルコニアグリー
    ン基体を準備する工程と、 所定厚さの薄肉のジルコニアグリーンシートを準備する
    工程と、 前記ジルコニアグリーン基体に対して、その窓部を覆蓋
    するように、該薄肉のジルコニアグリーンシートを積層
    し、それらジルコニアグリーン基体及びジルコニアグリ
    ーンシートを少なくとも含む一体的な積層物と為す工程
    と、 該積層物を焼成して一体的な焼結体と為し、前記ジルコ
    ニアグリーン基体の窓部部位において薄肉のジルコニア
    ダイヤフラムを形成する工程と、 を含むことを特徴とする薄肉ジルコニアダイヤフラム構
    造体の製造法。
  5. 【請求項5】 前記ジルコニアグリーンシートを与える
    部分安定化ジルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化
    ジルコニアとなる材料の平均粒子径が、前記ジルコニア
    グリーン基体を与える部分安定化ジルコニア材料若しく
    は焼成後に部分安定化ジルコニアとなる材料の平均粒子
    径よりも小さい請求項4に記載の薄肉ジルコニアダイヤ
    フラム構造体の製造法。
  6. 【請求項6】 前記ジルコニアグリーンシートが、平均
    粒子径:0.05〜0.5μmの部分安定化ジルコニア
    材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる材料
    を用いて形成されており、また前記ジルコニアグリーン
    基体が、平均粒子径:0.1〜1.0μmの部分安定化
    ジルコニア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニア
    となる材料を用いて形成されている請求項4または請求
    項5に記載の薄肉ジルコニアダイヤフラム構造体の製造
    法。
  7. 【請求項7】 前記ジルコニアグリーンシートが、30
    μm以下の厚さのジルコニアダイヤフラムを与える厚さ
    を有している請求項4乃至請求項6の何れかに記載の薄
    肉ジルコニアダイヤフラム構造体の製造法。
  8. 【請求項8】 少なくとも一つの窓部を有するジルコニ
    アグリーン基体に対して、該窓部を覆蓋するように薄肉
    のジルコニアグリーンシートを一体的に積層せしめてな
    る構造を有する積層物を、一体焼成することにより、か
    かる窓部において薄肉のジルコニアダイヤフラムが形成
    されてなる構造体と、該構造体のジルコニアダイヤフラ
    ムの外面上に膜形成法によって形成された電極及び圧電
    /電歪層からなる圧電/電歪作動部とを含んで構成され
    る圧電/電歪膜型素子にして、 前記ジルコニアグリーン基体に、焼成体中のアルミナ成
    分の含有量が0.1〜3.0重量%となる割合のアルミ
    ナ源材料、焼成体中のシリカ成分の含有量が0.1〜
    3.0重量%の割合となるシリカ源材料、焼成体中のア
    ルミナ成分とシリカ成分との合計含有量が0.1〜5.
    0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ)源材料、焼
    成体中のアルミナ成分とマグネシア成分との合計含有量
    が0.1〜5.0重量%となる割合の(アルミナ+マグ
    ネシア)源材料、または焼成体中のアルミナ成分とシリ
    カ成分とマグネシア成分との合計含有量が0.1〜5.
    0重量%となる割合の(アルミナ+シリカ+マグネシ
    ア)源材料を含有せしめたことを特徴とする圧電/電歪
    膜型素子。
  9. 【請求項9】 前記ジルコニアグリーン基体及びジルコ
    ニアグリーンシートが、それぞれ、部分安定化ジルコニ
    ア材料若しくは焼成後に部分安定化ジルコニアとなる材
    料にて形成されている請求項8に記載の圧電/電歪膜型
    素子。
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