JP3053159B2 - 炎検出装置および炎検出方法 - Google Patents

炎検出装置および炎検出方法

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JP3053159B2
JP3053159B2 JP6301556A JP30155694A JP3053159B2 JP 3053159 B2 JP3053159 B2 JP 3053159B2 JP 6301556 A JP6301556 A JP 6301556A JP 30155694 A JP30155694 A JP 30155694A JP 3053159 B2 JP3053159 B2 JP 3053159B2
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慎太郎 野村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炎を検出する炎検出装
置および炎検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、火災を検知する装置として、例え
ば特開平1−251297号に示されているような火災
検知装置が知られている。この火災検知装置は、図15
に示すように、炎40からの光を検出する受光素子列
(CCD)10と、上記炎40と上記受光素子列10との
間に設けられたスリットマスク50とを有しており、各
受光素子からの各データのうち所定レベル以上のものが
あるか否かを判断し、所定レベル以上のデータがあれ
ば、そのデータに基づくパターンが火災パターン認識の
対象であるか否かを判断し(通常の炎は、8Hz程度の
ちらつきを有しているので、この周波数に基づいて火災
パターン認識の対象か否かを判断し)、炎と判断したと
きには、上記スリットマスク50と上記受光素子列10
との間の距離と、上記受光素子列10上の上記炎40の
端部位置Q7〜P7,Q8〜P8とに応じて、上記炎4
0までの距離を求め、また、このようにして求めた上記
炎40の端部a,bまでの距離に基づいて、さらに、上
記炎40の幅Wを求め、この炎の幅Wが所定量WC以上
である状態が所定時間持続するとき、警報を出力するよ
うになっている。なお、図15において、符号51はス
リットであり、符号52は赤外線フィルタである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の火災検知装置では、受光素子列(CCD)10の
前面にスリットマスク50を設ける必要があり、炎40
からの距離および炎の幅Wを検出するのにスリットマス
ク50と受光素子列10との間の距離を用いなければな
らないので、炎を確実に検出するためには、スリットマ
スク50,すなわちスリット51に相当の加工精度が要
求され、また、スリットマスク50の受光素子列10に
対する位置および距離の設定等が僅かにずれただけでも
炎に関する情報を正確に検出することができなくなるな
どの問題があった。
【0004】本発明は、炎を撮像して炎に関する情報を
検知する場合に、スリットマスクなどを設置したりせず
とも、炎に関する情報を常に安定して確実かつ正確に検
出することの可能な炎検出装置および炎検出方法を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、本発明は、所定の視野角の範囲の画像を
所定の撮像手段により撮像した画像データに基づき、炎
の検出に関する画像処理演算を行なう際、この画像処理
演算において、撮像手段の視野角と撮像手段の設置条件
とを用いるようになっている。これにより、スリットマ
スクなどを設置したりせずとも、撮像手段の視野角と設
置条件だけにより、炎に関する情報,具体的には炎の規
模や位置などの情報を確実かつ正確に検出することがで
きる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明に係る炎検出装置の一実施例の構成
図である。図1を参照すると、本実施例の炎検出装置
は、所定の視野角を有し、該視野角の範囲の画像を撮像
する撮像部1と、該撮像部1の設置条件を入力する設置
条件入力部2と、撮像部1により撮像された画像データ
に基づき炎の検出に関する画像処理演算を行なう演算部
3と、炎の検出結果を出力する出力部4と、電源を供給
する電源部5とを有している。
【0007】図1の例では、撮像部1は、撮像素子(例
えばCCDセンサなど)11と、所定の視野角(画角)を
有する光学手段(例えば光学レンズ)12とを有してい
る。図2には、撮像素子11としてのCCDセンサに光
学レンズ12が組み込まれた撮像部1の具体例(平面図)
が示されている。なお、図2において、光学レンズ12
とCCDセンサ11とは重なり合った状態で示されてい
る。また、図2において、符号13は動作灯であり、C
CDセンサ11に電源部5から電源が供給され、CCD
センサ11が作動しているときに、作動灯13が点灯す
るようになっている。
【0008】また、太陽光などによる影響を抑え、炎の
みを確実に撮像するため、撮像部1には、例えば図3に
示すような赤外透過特性をもつフィルタ(例えばシャー
プカットフィルタ;フィルタ番号IR−82,IR−8
4,IR−86,IR−88,またはIR−90)がさ
らに設けられているのが良い。図4は主に紫外,可視領
域の炎(ガス炎)と太陽光の分光特性を示す図であり、図
4からわかるように、紫外,可視領域では、炎(ガス炎)
は、太陽光に比べて相対感度(相対強度)が低い。また、
図5は赤外領域の炎の分光特性を示す図であり、図5か
ら、炎(炎から放射される光)は、4.3μmの波長のと
ころに最大の相対強度をもつことがわかる。従って、図
4,図5の分光特性から、例えば800〜1000nm
よりも短かい波長の光をカットし、800〜1000n
mよりも長い波長の光を透過する図3に示すようなフィ
ルタが設けられていることで、太陽光等の影響を抑えて
炎の画像を得ることができる。このようなフィルタは、
例えば光学手段(光学レンズ)12と撮像素子(CCDセ
ンサ)11との間に設けられても良いし、あるいは、光
学手段(光学レンズ)12上にコーティングされて設けら
れていても良い。
【0009】図6は建物内の部屋の一例を示す透視図で
あって、撮像部1は、図6に示すように、例えば、建物
内の所定の部屋101の天井102あるいは壁面103
の高い位置などに設置されるようになっており、撮像素
子11によって撮像される画面は、光学レンズ12の視
野角(画角)と撮像部1の設置条件(部屋101の床10
4からの撮像部1の高さh,および撮像部1の設置角度
(傾き角度)θ)とによって定められる。従って、部屋1
01内の所望の監視区域を監視しようとする場合、光学
レンズ12に所定の視野角のものを用い、また、部屋1
01内の所定の位置に所定の角度θで撮像部1を予め設
置する必要がある。
【0010】図7(a),(b)はそれぞれ図6のx軸方
向,y軸方向の断面図であり、図7(a),(b)には、部
屋101内の所望の監視区域105を監視するように、
所定の視野角θ0x0,θy0)をもつ撮像部1が所定の
位置に所定の傾き角度(鉛直線zからの傾き角度)θ
x,θy)で設置された状態が示されている。なお、θ
x,θyはそれぞれ傾き角度θのx軸方向成分,y軸方向
成分であり、θx0,θy0はそれぞれ視野角θ0のx軸方
向成分,y軸方向成分である。
【0011】また、図8には、撮像部1が図7(a),
(b)に示すように設置されたときに、CCDセンサ11
によって撮像された画面の一例が示されている。図8の
例では、この画面は、例えば、CCDセンサの画素数
(素子数)N×Mに対応させて、x軸方向,y軸方向にそ
れぞれN個,M個(例えば60個,60個)の画素に分け
られている。すなわち、撮像された画面の1画素がCC
Dセンサの1画素に対応したものとなっている。
【0012】なお、CCDセンサには、数10万画素程
度の高解像度のものから、数10画素程度の低解像度の
ものがあり、これらのいずれのものをも用いることがで
きる。この場合、低解像度のCCDセンサを用いるとき
には、このCCDセンサの各画素の出力をそのまま処理
対象である画像データとすることができ、この場合、画
面の各画素は、上述のように、CCDセンサの各画素と
一対一対応となる。また、高解像度のCCDセンサを用
いるときには、このCCDセンサの各画素出力をそのま
ま処理対象である画像データとすることもできるが、以
後の画像処理を簡単なものとするため、撮像部1におい
てあるいは演算部3において、CCDセンサの複数の画
素出力をまとめて(例えばこれら複数の画素出力の平均
をとって)、1画素としたものを画像データとすること
もできる。例えば、CCDセンサが64×64画素,す
なわち4096画素のものである場合、4画素を1画素
に圧縮することで(例えば4画素のレベルの平均値をと
って、これを1画素のレベルにすることで)、16×1
6画素,すなわち256画素の画像データとなり、画像
処理に要する時間を短縮することができる。但し、その
分、解像度は低下する。
【0013】演算部3は、このように撮像された画面を
例えば定期的に(一定の時間間隔Tで)監視し、基本的に
は、現時点の画面の画像データと前時点の画面の画像デ
ータとを比較し、現時点の画面の画像データと前時点の
画面の画像データとの間に変化した部分があるときに、
この変化した部分が炎であるか否か(例えば火災による
炎であるか否か)の判断処理等を行なうようになってい
る。
【0014】図1の例では、演算部3は、撮像部1から
のアナログ画像データ(すなわち例えばCCDセンサ1
1の各画素出力)に対し、アナログ−デジタル変換を行
なうA/D変換器20と、デジタル変換された画像デー
タに基づき上記監視処理,判断処理等を行なうプロセッ
サ(CPU)21と、プロセッサ21の処理プログラム等
が記憶されているROM22と、プロセッサ21のワー
クエリアとして機能するRAM23とを有し、上記処理
に用いられる現時点の画面の画像データ,前時点の画面
の画像データなどはRAM23に格納されるようになっ
ている。
【0015】なお、上記A/D変換器20は、プロセッ
サ21の処理能力等に応じ、アナログ画像データを所定
の閾値により2値のデジタル画像データに変換する機能
を有しているものであっても良いし、アナログ画像デー
タを例えば焦点座標位置の輝度(階調レベル)を閾値とし
て多値のデジタル画像データに変換する機能を有するも
のであっても良い。すなわち、プロセッサ21が多値の
デジタル画像データに対する処理能力を有している場合
には、多値のデジタル画像データに変換する機能を有す
るA/D変換器が用いられることで、より精度良く炎に
関する検知を行なうことができるが、プロセッサ21が
2値のデジタル画像データに対する処理能力しか有して
いない場合には、2値のデジタル画像データに変換する
機能を有するA/D変換器が用いられるか、あるいは、
多値のデジタル画像データに変換する機能を有するA/
D変換器が用いられる場合、さらに多値のデジタル画像
データを2値のデジタル画像データに変換する必要があ
る。
【0016】以下の説明では、便宜上、撮像部1からの
アナログ画像データは、最終的に2値の画像データに変
換され、プロセッサ21は、2値の画像データに対して
所定の画像処理演算を行なうものとする。また、画像デ
ータが変化したか否かを判断するための現時点の画像デ
ータと前時点の画像データとの比較は、これらの差をと
って、差分画像データとすることによってなされるもの
とする。なお、この場合に、画像データが2値化されて
いることによって、この差分画像データは、変化がない
ときには全ての画素の値が“0”であり、変化がある部
分についてのみ“0”以外の値となることから、これに
より、変化した部分があるか否かを即座に判断すること
ができる。
【0017】ところで、演算部3において、画面の変化
した部分が炎によるものであるか否かの判断等を確実に
行なうために、演算部3では、撮像部1の設置条件(撮
像部1の高さhおよび撮像部1の傾き角度θ(θx
θy))が必要であり、このため、本実施例では、撮像部
1の設置条件を入力する設置条件入力部2が設けられて
いる。
【0018】設置条件入力部2は、例えば、撮像部1の
高さ(すなわち床104からの距離)hを自動測定する距
離計、および/または、撮像部1の鉛直方向zからの傾
き角度θ(θx,θy)を自動測定する傾斜計として構成す
ることができる。この場合、これらの測定器を撮像部1
に予め取り付け、これらの測定器からの出力を演算部3
に入力させることで、設置条件を自動入力することがで
きる。なお、この場合、上記高さ(距離)hを測定する装
置すなわち距離計としては、超音波あるいはレーザ光を
床104に向けて出射した時点から、床104により反
射された超音波あるいはレーザ光を受信する時点までの
時間を計測することによって床104までの距離を測定
する装置などを用いることができる。また、傾斜計とし
ては、例えば米国ルーカス社製の低価格・高性能小型化
傾斜角センサなどを用いることができる。
【0019】また、このような距離計,傾斜計のかわり
に、設置条件入力部2を、撮像部1の高さhおよび設置
角度θ(θx,θy)をアナログ電圧として入力させるため
のアナログ電圧調整器として構成することもできる。こ
の場合、オペレータがアナログ電圧調整器を操作して
(例えばボリュームを操作して)、撮像部1の高さhおよ
び設置角度θ(θx,θy)にそれぞれ対応したアナログ電
圧に調整することで、高さhおよび設置角度θ(θx,θ
y)をアナログ電圧として演算部3に入力させることがで
きる。
【0020】あるいは、設置条件入力部2を、撮像部1
の高さhおよび設置角度θ(θx,θy)をデジタル情報と
して入力させるための例えば8ビットのディップスイッ
チとして構成することもできる。この場合、オペレータ
がディップスイッチを操作して高さhおよび角度θ
x,θy)を設定することで、高さhおよび角度θ
x,θy)をデジタル情報として、演算部3に入力させ
ることができる。
【0021】演算部3は、設置条件入力部2から入力さ
れた設置条件に基づき、先ず、図8に示すような画面上
において、撮像部1の直下の位置(xC,yC)がどこにあ
るかを算出し、次いで、撮像部1の設置位置から画像デ
ータの変化した部分CHに対応する対象物OBJ(図1
参照)の位置までの角度ψに関する情報と、撮像部1の
設置位置から画像データの変化した部分に対応する対象
物OBJまでの距離LXYと、画像データの変化した部分
に対応する対象物OBJの大きさとを算出し、これらの
算出情報等に基づいて、画像データの変化した部分に対
応する対象物OBJの規模(大きさ)や位置等を割り出し
て、対象物OBJが炎であるか否かを判断するようにな
っている。
【0022】ここで、画面上における撮像部1の直下の
位置(xC,yC)の算出は、次のようになされる。すなわ
ち、いま例えば図7(a),(b)に示すように、撮像部1
がx軸方向,y軸方向にそれぞれ視野角θx0,θy0を有
し、x軸方向に傾き角θx,y軸方向に傾き角θyで傾い
て設置されているとするとき、図8に示すような画面の
x軸,y軸上での1画素(1区画)の角度dθx,dθ
yは、それぞれ次式で計算される。
【0023】
【数1】dθx=θx0/N dθy=θy0/M
【0024】なお、N,Mはそれぞれx軸方向,y軸方
向の画素数(区画数)である。x軸,y軸上での1画素
(1区画)の角度dθx,dθyが数1により計算される
と、画面上における撮像部1直下の位置(xC,yC)は次
式により求められる。
【0025】
【数2】xC=N/2−θx/dθxC=M/2−θy/dθy
【0026】図8には、このように求められた画面上で
の撮像部1直下の位置(xC,yC)が示されている。な
お、図8からもわかるように、傾き角θx,θyが0のと
き、すなわち、撮像部1が傾いていないときには、その
直下の位置(xC,yC)は画面の中央になり、傾き角θx
あるいはθyが大きい程、(xC,yC)は画面の縁に近く
なる。
【0027】このようにして、画面上における撮像部1
直下の位置(xC,yC)が算出されると、これを基準にし
て、撮像部1の設置位置から画像データの変化した部分
に対応する対象物OBJの位置までの角度ψ(鉛直線z
に対する角度)に関する情報を求めることができる。よ
り詳細には、いま例えば、前時点では対象物OBJが存
在せず前時点での画面が図9(a)に示すようなものであ
り、現時点において図1のように対象物OBJが出現し
現時点での画面が図9(b)に示すようなものとなって、
画面上で画像データの変化した部分が符号CHの部分で
あると検出されたとき、すなわち、例えば図9(b)の画
像データと図9(a)の画像データとの差をとって図9
(c)に示すような差分画像データが得られ、この差分画
像データにおいて“0”以外の画素値をもつ部分(図9
(c)の例では黒画素の部分)CHが画像データの変化し
た部分として検出されたとき、この変化した部分CHに
対応する実際の対象物OBJまでの角度ψに関する情報
を次のように求めることができる。
【0028】すなわち、画面上において画像データの変
化した部分CHが、図9(c)に示すように、(x1,y1)
〜(x2,y2)の範囲である場合、撮像部1の設置位置か
ら画像データの変化した部分CHに対応する実際の対象
物OBJまでのx軸方向の角度範囲ψx1〜ψx2,y軸方
向の角度範囲ψy1〜ψy2は、それぞれ次式のようにして
求まる。
【0029】
【数3】ψx1=dθx×(x1−xC) ψx2=dθx×(x2−xC) ψy1=dθy×(y1−yC) ψy2=dθy×(y2−yC)
【0030】これにより、撮像部1の設置位置から対象
物OBJまでの距離LXY(対象物OBJの最も遠い部分
までの距離)を次式のようにして求めることができる。
【0031】
【数4】 LXY=(h/cosψx2)×(1/cosψy2)
【0032】また、これにより、対象物OBJのx軸方
向,y軸方向の実際の大きさ|X|,|Y|と、対象物
OBJの実際の大きさSとを、次式のように算出するこ
とができる。
【0033】
【数5】|X|=LXY×(ψx2−ψx1) |Y|=LXY×(ψy2−ψy1) S=|X|×|Y|
【0034】このように、対象物OBJの大きさに関す
る情報として、S,|X|,|Y|を得ることができ、
対象物OBJの位置に関する情報として、LXY,ψを得
ることができる。
【0035】なお、上述したような対象物OBJの各情
報は、部屋101の監視区域105となるべき床104
部分が平らな平面であり、対象物OBJが床104の平
らな平面に沿ったものであるとの前提の下で得られ、監
視区域105となるべき床104の部分に階段等の凹凸
がある場合には、これに応じた補正を対象物OBJの各
情報に施す必要がある。なお、以下では、説明の便宜
上、監視区域105となるべき床104部分は、平らな
平面であるとする。
【0036】また、上述の例では、撮像部1は、任意の
傾き角度θ(θx,θy)で取り付けることができるとした
が、必要に応じ、この傾き角度θ(θx,θy)に制約をも
たせることもできる。すなわち、撮像素子11にCCD
素子が用いられる場合、CCD素子は一般に長方形状の
ものであり、x軸方向あるいはy軸方向のいずれか一方
が他方に比べて長く、画素数の多いものとなっている。
いま例えばx軸方向の長さが長くなっている場合、x軸
方向の傾き角度θxが“0゜”でないとき(すなわち、こ
のCCD素子のx軸が床104と平行でないとき)に
は、x軸方向の実際の監視エリアに不足が生じたり、あ
るいは、対象物OBJの特徴パラメータ(大きさ等)の算
出が複雑となって、特徴パラメータに誤差が生じたりす
る恐れがあり、また、対象物OBJをモニタ表示した場
合、これを見ずらいなどの問題が生じることがある。従
って、撮像素子11にCCD素子が用いられる場合、上
記例ではCCD素子のx軸を床と平行になるよう(すな
わち、傾き角度θxが“0゜”となるよう)、撮像部1を
取り付けるのが良い。換言すれば、上記のような例の場
合、撮像素子1の鉛直線zからの傾き角度θのx軸方向
成分θx,y軸方向成分θyの少なくともいずれか一方を
“0゜”とするのが良い。このときには、xCの位置,
あるいはyCの位置は、撮像画面x軸上の中心,あるい
はy軸上の中心となる。
【0037】演算部3は、このように、画面の画像デー
タを定期的に(例えば一定の時間間隔で)収集する毎に、
画像データの変化をその都度監視し、画像データに変化
があったとき、この変化した場合に対応する対象物につ
いて上記のような情報を求め、さらにこの対象物の変化
の様子を調べてこの対象物が炎(例えば火災による炎)か
否かを判断するようにしている。
【0038】この判断処理は、対象物が火災による炎で
ある場合には、その規模(大きさ,面積)が、タバコなど
の炎の規模よりもかなり大きな規模(大きさ,面積)のも
のであり、また、所定の揺らぎ(例えば8Hz程度のち
らつき)を有していること、また、対象物の位置が時間
的に急激には変化しないこと(例えば、その移動速度
が、撮像部1との距離LXYに応じて例えば0cm/秒〜
50cm/秒程度の範囲内にあること)、などの特徴に
基づいてなされる。
【0039】すなわち、演算部3は、例えば、画像デー
タの変化した部分に対応した対象物OBJの全体の大き
さ(面積)Sから、この部分の大きさ(面積)が火災による
炎として妥当な規模のものであるか否か、また、対象物
OBJの時間的変化をさらに監視し、対象物OBJが所
定の揺らぎを有しているか否か、また、対象物の位置の
時間的変化が所定の速度以内であるか否か、などを判断
するようになっている。
【0040】なお、上述の例では、画像データの変化し
た部分が1つの画素連結領域CHだけであり、従って、
1つの対象物OBJだけが検出される場合について述べ
たが、画像データの変化した部分が図10に示すように
複数の画素連結領域CH1〜CHnであって、複数の対象
物OBJ1〜OBJnが検出される場合には、各画素連結
領域CH1〜CHn,各対象物OBJ1〜OBJnのそれぞ
れについて上述のような演算処理がなされ、各対象物O
BJ1〜OBJnについて大きさ,揺らぎ,位置の時間的
変化などの情報が求められる。
【0041】なお、画像データの変化した部分に対応す
る対象物の大きさは、Sによって得ることもできるし、
x軸方向,y軸方向の大きさ|X|,|Y|により、x
軸方向,y軸方向各々について得ることもできる。ま
た、x軸方向,y軸方向の大きさ|X|,|Y|の比|
Y|/|X|などによって、対象物の形状に関する情報
を得ることもでき、大きさSに関する情報にさらに形状
に関する情報を加味して、炎の判断を行うこともでき
る。
【0042】次にこのような構成の炎検出装置の処理動
作例を図11のフローチャートを用いて説明する。図1
1を参照すると、プロセッサ21は、先ず、初期化処理
を行なう。例えばワークエリアとして機能するRAM2
3等の初期化を行なう(ステップS1)。しかる後、画像
監視処理,および炎の検出処理を開始する(ステップS
2乃至S8)。
【0043】すなわち、プロセッサ21は、撮像部1か
らの画像データ(より詳しくはA/D変換器20からの
デジタル画像データ)を例えば所定の時間間隔Tごとに
取り込む(ステップS2)。例えば図12に示すように、
画像処理の開始時刻がt1であり、時刻t1,t2,t3
…の画像データがDij(t1),Dij(t2),Dij(t3),
…であるとき、プロセッサ21は、各時刻t1,t2,t
3,…に画像データDij(t1),Dij(t2),Dij(t3),
…を取り込み、RAM23に格納する。
【0044】このとき、RAM23の容量を節約するな
どのために、基本的には、時間的に隣接する2つの時刻
k,tk+1の画像データDij(tk),Dij(tk+1)がRA
M23に保持されるようにする。具体的に、プロセッサ
21は、時刻t1に画像データDij(t1)を取り込むと、
これをRAM23のエリアWK1に図13(a)に示すよ
うに格納し、次いで、時刻t2に画像データDij(t2)を
取り込むと、これをRAM23のエリアWK2に図13
(b)に示すように格納する。この時点で、RAM23に
は、2つの時刻t1,t2の画像データDij(t1),D
ij(t2)が保持される。次いで、時刻t3に画像データD
ij(t3)を取り込むと、RAM23のエリアWK1に保持
されている時刻t1の画像データDij(t1)を消去して、
これのかわりに時刻t3の画像データDij(t3)を図13
(c)に示すように格納する。このように、奇数番目の時
刻の画像データをRAM23のエリアWK1に格納し、
偶数番目の時刻の画像データをRAM23のエリアWK
2に格納する。
【0045】このようにして、2つの時刻tk,tk+1
画像データDij(tk),Dij(tk+1)を取得すると、プロ
セッサ21は、これら2つの画像データDij(tk),D
ij(tk+1)を比較し、画像データDij(tk+1)が画像デー
タDij(tk)に対し変化したか否かを判断する(ステップ
S3)。例えば、2つの2値化画像データDij(tk+1),
ij(tk)の差をとり、その差分画像データ(D
ij(tk+1)−Dij(tk))の全ての画素値が“0”のとき
は変化がないと判断し、“0”以外の画素値をもつ部分
があるときは変化したと判断する。
【0046】このような判断の結果、変化していない場
合には、再びステップS3に戻り、次の時刻について同
様の処理を行なう。具体的に、いま、図12の例におい
て、時刻t1,t2の画像データDij(t1),Dij(t2)間
に変化がないときには、時刻t2,t3の画像データDij
(t2),Dij(t3)を比較し、画像データDij(t2),D
ij(t3)にも変化がないときには、時刻t3,t4の画像
データDij(t3),Dij(t4)を比較するというように、
2つの時刻tk,tk+1の画像データDij(tk),Dij(t
k+1)の比較を繰り返し行なう(ステップS2,S3)。
【0047】このような繰り返し処理において、いま例
えば、時刻t4,t5の画像データDij(t4),Dij(t5)
を比較した結果、変化が認められると、プロセッサ21
は、さらに、この画像データの変化が炎によるものであ
るか否かの判断を行なう。すなわち、前述のように、こ
の変化した部分に対応する対象物OBJの大きさ(およ
び/または形状)が炎の大きさ(あるいは形状)として妥
当であるか否かを判断し、また、この対象物OBJが所
定の揺らぎを有しているか否かを判断し、さらには、こ
の対象物OBJの位置の時間的変化が炎の時間的変化と
して妥当であるか否かを判断する。
【0048】この判断を行なうため、プロセッサ21
は、変化が認められたときは、単に2つの時刻t4,t5
の画像データDij(t4),Dij(t5)のみならず、それ以
後の時刻t6,…,tmの画像データDij(t6),…,D
ij(tm)を用いて処理を行なう。
【0049】すなわち、炎によるものであるか否かの判
断処理を行なうのに、変化が認められた時点での2つの
時刻t4,t5の画像データDij(t4),Dij(t5)だけを
用いて(1つの差分画像データだけによって)、変化した
部分に対応する対象物の大きさ(および/または形状)を
求め(大きさについてはSあるいは|X|,|Y|とし
て求め、また、形状については、例えば比|Y|/|X
|として求め)、これが炎として妥当であるか否かを判
断し、炎であるか否かを判断することもできる。しかし
ながら、単に2つの画像データDij(t4),Dij(t5)の
比較結果だけでは(すなわち、一時点での比較結果だけ
では)、対象物OBJの大きさ(および/または形状)の
情報しか得られず、対象物OBJが炎であるとの正確な
判断を行なうことはできない。さらには、1つの差分画
像データだけでは、一瞬のライトなどの光の作用等によ
り誤報が生じたりする場合がある。従って、より正確な
判断を行なうため、ステップS3において変化有りの判
断がなされたときは、時刻t4,t5の画像データD
ij(t4),Dij(t5)の比較結果のみならず、さらに、以
後の時刻t6,…,tmの画像データをも取得し、時刻t
5の画像データDij(t5)をも含めた複数の時刻の画像デ
ータに基づいて判断を行なうのが良い。例えば、時刻t
4,t5の画像データDij(t4),Dij(t5)の比較結果の
みならず、以後の時刻t5,t6の画像データD
ij(t5),Dij(t6)の比較結果,…,時刻tm-1,tm
画像データDij(tm-1),Dij(tm)の比較結果をも用い
て、対象物の時間的変化を監視することで、対象物が炎
であるか否かの判断を行なうのが良い。
【0050】このため、図11の例では、ステップS4
において変化有りの判断がなされたときには、プロセッ
サ21は、さらに、以後の時刻の画像データを取得する
(ステップS4)。そして、プロセッサ21は、例えば上
記のようにして対象物の時間的変化を監視し、対象物の
時間的変化の少なくともある1つの時点においてその大
きさ(および/または形状)が炎として妥当なものである
か否かを判断し(ステップS5)、また、対象物の時間的
変化から対象物が所定の揺らぎを有しているか否かを判
断し(ステップS6)、さらには、対象物の位置の時間的
変化が炎の時間的変化として不自然なものでないか否か
を判断する(ステップS7)。例えば、対象物の大きさS
あるいは|X|,|Y|の時間的変化を監視すること
で、所定の揺らぎを有しているか否かを判断することが
できる。また、対象物の位置の時間的変化は、対象物ま
での距離LXY,角度ψの時間的変化を監視することで検
出でき、対象物OBJが画面から突然消えたり、あるい
は、画面内で急に位置が変わったり、あるいは画面内で
行ったり来たりしたり、あるいは、全く動かなかったり
する場合には、対象物の位置の時間的変化が炎の時間的
変化として不自然であると判断し、上記以外の場合に
は、対象物の位置の時間的変化が炎として自然であると
判断する。
【0051】これらの判断の結果、炎の形状および大き
さとして妥当であり、かつ、炎として妥当な揺らぎを有
し、かつ、炎の時間的変化として妥当であるときには、
出力部4から火災警報を出力させる(ステップS8)。例
えば、警告ランプを点灯したり、警報音を発生させたり
する。また、炎の形状および大きさとして妥当でない
か、炎として妥当な揺らぎを有しないか、あるいは、炎
の時間的変化として妥当でないときには、炎と判断せず
に、再びステップS2に戻る。
【0052】なお、画像データに変化が確認された以後
の処理,すなわち、画像データDij(t4),Dij(t5)の
比較処理,…,画像データDij(tm-1),Dij(tm)の比
較処理では、2つの画像データ,例えばDij(tm-1),
ij(tm)間の単純な差をとって、変化した部分の大き
さ(および/または形状),揺らぎ,動き(位置)を監視す
ることもできるが、画像データに変化が確認された以後
は、前時点の画像データに対象物が存在するため、単純
な差をとると、その差分画像データには、図14に示す
ように、現時点での対象物の部分CH(tk)の他に、前
時点での対象物の部分CH(tk-1)が現われてしまい、
処理が煩雑になる恐れがある。
【0053】この問題を回避するため、例えば、変化が
認められる直前(時刻t4)の画像データDij(t4)を標準
画像データとし、時刻t5以後の画像データDij(t5),
ij(t6),…,Dij(tm)が順次に得られたときに、各
画像データDij(t5),Dij(t6)…,Dij(tm)と標準
画像データDij(t4)との差をとり、各差分画像データ
(Dij(t5)−Dij(t4)),(Dij(t6)−Dij(t4)),
…,(Dij(tm)−Dij(t4))において、それぞれ、変化
している部分の大きさ(および/または形状),揺らぎ,
位置等を算出し、その時間的経過からこの部分に対応す
る対象物が炎であるか否かを判断するようなこともでき
る。
【0054】あるいは、上述したような画像処理以外の
任意所望の画像処理によって、炎であるか否かの判断を
行なうこともできる。
【0055】また、上述の例では、画像データに変化が
認められたとき、画像データの変化した部分に対応する
対象物が、炎の大きさ(および/または形状)として妥当
であり、かつ、炎としての揺らぎを有し、かつ、炎の時
間的変化として妥当であるとき、火災警報を出力すると
したが、その前段階として、画像データに変化が認めら
れた時点以後の各時刻の画像データをディスプレイ等に
表示することもできる。すなわち、画像データの変化し
た部分を動画像としてディスプレイ等に可視表示するこ
ともできる。
【0056】さらに、炎の判断を行なうために得られた
対象物の大きさの情報S,|X|,|Y|や位置に関す
る情報LXY,ψなどをも出力して、オペレータに知らせ
ることも可能である。
【0057】以上のように、本実施例によれば、炎を撮
像して炎に関する情報を検知する場合に、スリットマス
クなど設置したりせずとも、撮像部1の設置条件だけに
より、炎に関する情報を常に安定して確実かつ正確に検
出することができる。
【0058】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、所定の視野角の範囲の画像を所定の撮像手段により
撮像した画像データに基づき、炎の検出に関する画像処
理演算を行なう際、この画像処理演算において、撮像手
段の視野角と撮像手段の設置条件とを用いるようになっ
ているので、スリットマスクなどを設置したりせずと
も、撮像手段の視野角と設置条件だけにより、炎に関す
る情報を常に安定して確実かつ正確に検出することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炎検出装置の一実施例の構成図で
ある。
【図2】撮像部の具体例を示す図である。
【図3】赤外透過フィルタの透過特性を示す図である。
【図4】紫外,可視領域の炎の分光特性を示す図であ
る。
【図5】赤外領域の炎の分光特性を示す図である。
【図6】建物内の部屋の一例を示す透視図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ図6のx軸方向,y軸方
向の断面図である。
【図8】撮像された画面の一例を示す図である。
【図9】(a)乃至(c)は画像データの変化した部分を検
出する仕方を説明するための図である。
【図10】画像データの変化した部分が複数の画素連結
領域からなる場合を示す図である。
【図11】図1の炎検出装置の処理動作例を示すフロー
チャートである。
【図12】画像データの取り込みタイミングを示すタイ
ムチャートである。
【図13】(a)乃至(c)は画像データのRAMへの格納
の仕方を説明するための図である。
【図14】差分画像データの一例を示す図である。
【図15】従来の火災検知装置を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 撮像部 2 設置条件入力部 3 演算部 4 出力部 5 電源部 11 撮像素子 12 光学手段 20 A/D変換器 21 プロセッサ 22 ROM 23 RAM 101 部屋 102 天井 103 壁面 104 床 105 監視区域 h 撮像部の高さ θ(θx,θy) 撮像部の設置角度(傾き角度)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08B 17/02 - 17/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の視野角を有し、該視野角の範囲の
    画像を撮像する撮像手段と、該撮像手段の設置条件を入
    力する設置条件入力手段と、前記撮像手段により撮像さ
    れた画像データに基づき炎の検出に関する画像処理演算
    を行なう演算手段とを有し、前記演算手段は、炎の検出
    に関する画像処理演算において、前記撮像手段の視野角
    と前記設置条件入力手段から入力された設置条件とを用
    いることを特徴とする炎検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の炎検出装置において、前
    記設置条件入力手段は、前記撮像手段の設置された高さ
    と前記撮像手段の設置角度とを設置条件として入力する
    ことを特徴とする炎検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の炎検出装置において、前
    記設置条件入力手段は、前記撮像手段に取り付けられた
    距離計と傾斜計とを有し、距離計により前記撮像手段の
    床からの高さを測定し、傾斜計により前記撮像手段の設
    置角度を測定して、演算手段に入力することを特徴とす
    る炎検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の炎検出装置において、前
    記設置条件入力手段は、前記撮像手段の高さおよび設置
    角度をアナログ電圧として入力するための電圧調整手段
    を有していることを特徴とする炎検出装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の炎検出装置において、前
    記設置条件入力手段は、前記撮像手段の高さおよび設置
    角度を所定ビット数のコードとして入力するためのデジ
    タル入力手段を有していることを特徴とする炎検出装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の炎検出装置において、前
    記画像データは、前記撮像手段の解像度に依らずに、必
    要に応じて、撮像手段の1画素を1画素として処理さ
    れ、あるいは、撮像手段の複数の画素をまとめて1画素
    として処理されるようになっていることを特徴とする炎
    検出装置。
  7. 【請求項7】 所定の視野角の範囲の画像を所定の撮像
    手段により撮像した画像データに基づき、炎の検出に関
    する画像処理演算を行なう炎検出方法であって、炎の検
    出に関する画像処理演算において、前記撮像手段の視野
    角と前記撮像手段の設置条件とを用いることを特徴とす
    る炎検出方法。
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