JP3052555B2 - 小径電縫管の製造方法 - Google Patents

小径電縫管の製造方法

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JP3052555B2
JP3052555B2 JP4084264A JP8426492A JP3052555B2 JP 3052555 B2 JP3052555 B2 JP 3052555B2 JP 4084264 A JP4084264 A JP 4084264A JP 8426492 A JP8426492 A JP 8426492A JP 3052555 B2 JP3052555 B2 JP 3052555B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属帯板を丸めて小
径管状体を作る高周波電縫管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に管体の製造手段には、高周波溶接
法、又は熱間押出し法等が用いられている。
【0003】従来、高周波溶接法として行われている誘
導式の電縫管製造手段には、図7に示す如きものがあ
る。これは図7の概略図に示す如く帯状金属板である管
素材1を管状に丸めるように曲げながら対向配置した一
対の加圧ロール2a,2b間に挿入し、管素材1を図の
矢印S方向に移動させるようにする。このとき、管素材
1の進行方向にみて加圧ロール2a,2bの手前側に
は、管素材1の対向する縁部5a,5b間にシームガイ
ド3を挿入し、V字状ギャップ5を形成する。このV字
状ギャップ5部分の所定位置には、管素材1の外周を取
り巻くように誘導コイル6を配置する。
【0004】そして、誘導コイル6には、電源7から高
周波電流Iを流し、これにより管素材1に誘起した誘導
電流iをV字状ギャップ5の対向する縁部5a,5bに
流すことにより両縁部5a,5bを加熱し、Vシーム溶
接点4部分の温度が溶融点近傍に達するようにする。
【0005】さらに、加圧ロール2a,2bによりV字
状ギャップ5が閉じて両縁部5a,5bが接するVシー
ム溶接点4を加圧する。
【0006】このようにしてVシーム溶接点4では両縁
部5a,5bが溶融点近傍に加熱され同時に圧接される
ことにより、溶接接合が行われる。なお、溶接点4の下
流側には、ビードカットのためのバイト9を配置し、溶
接部の外周側に盛り上がった溶接ビード8を切除し電縫
管を製造するようにしていた。
【0007】従来の熱間押出し法は、図示しないが、加
熱した金属の押出し素材(ビレット)をシリンダ状のコ
ンテナに入れて、ピストン状の押板を介して押出しラム
で加圧し、コンテナの出口側につけた環状の溝をもつダ
イスから管体を押し出して造管するものである。
【0008】上述の如き造管方法によって製造された管
体は種々の用途に用いられるが、その用途の一つにエア
コンディショナにおける熱交換器用チューブがある。エ
アコンディショナは快適空間を作るという基本使命をも
つことから、小形化し居住者の使用空間を増すことが求
められており、同一空調性能を維持したままで小形化す
ることが求められている。このように小形化を図るため
には、エアコンディショナのうちで大きな空間を占める
熱交換器を小形化することが第1であり、そのためには
チューブを小径管とすることが必要になる。
【0009】従来熱交換器のチューブの如き小径管を造
管するには、例えば熱間押出し法により製造した管体2
2を図9に例示する如き一種の転造法によって小径に絞
っていた。これは、領域Aにおいて支持ダイス10と支
持プラグ11とにより、若干の絞り加工を行い、この加
工力で領域Bにおいて溝加工を行う溝プラグ13を浮遊
状態で一定位置にバランスをとって保持するようにす
る。領域Bでは数個の遊星回転するロール12を用いて
内面に溝を転造する。このとき遊星回転及び自転するロ
ール12により材料は回転方向及び半径方向へ流れ易く
なる。そして領域Cでは溝加工した管体22を仕上げダ
イス14を通し真円度のある製品寸法に仕上げるもので
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】エアコンディショナ用
熱交換器のチューブに用いる如き小径管を熱間押出し法
及び数個の遊星回転するロールを用いた転造法で造管す
る場合、ビレットからの加工度が多く、最終工程に近づ
くにつれ小形となって加工が難しくなり、生産能率が極
めて低下し、例えば外径が4mmの管の製造コストは外径
が9.5mmの管の場合の4〜5倍という高額になってし
まう。そこで従来より誘導式の電縫管製造手段で熱交換
器用チューブに用いることができる小径電縫管を造管す
ることが望まれていた。しかし、従来の電縫管製造装置
で直径8mm以下の小径管を造管することはできなかっ
た。これは次の理由による。まず第1に、小径管の場合
V字状ギャップ5の長さ分の距離Lvが管素材1の内周
面の距離より比較的長くなる。このため誘導コイルによ
り生ずる誘導電流iは、管素材1のV字状ギャップ5部
分に流れるよりも、図8に例示する如く、誘導コイル6
と対向する管素材1の外周面から内周面へと循環して流
れる。これによりV字状ギャップの縁部5a,5bを溶
接に必要な温度まで加熱することが困難になると共に管
素材1が全周に亘って加熱され、材料が軟化して加圧ロ
ール2a,2bで圧接できなくなったり、管素材1が酸
化してしまう。あるいは、管素材1におけるV字状ギャ
ップ5の進入角θを安定して維持できなくなり、またシ
ームガイド3とV字状ギャップの衝突点である溶接点4
の間における縁部5a,5bの振動が大きくなって溶接
が不安定になり溶接不良を生ずることになる。よって従
来装置では小径管の造管ができなかった。
【0011】また、第2に従来装置では、管素材1の円
周部の長さより、誘導コイル6から加圧ロール2a,2
bの中心までの距離Lvを比較的短くして管素材1が全
周に亘って加熱することを防止できなかった。この理由
は以下の通りである。まず加圧ロール2a,2bは、帯
板状の材料を管状に曲げ成形して成る管素材1をVシー
ム溶接点4において元の管素材1の巾寸法より溶接後の
円形周長が板厚程度縮むように圧接するものである。従
って、管素材1に強い圧接力を与えるため、加圧ロール
2a,2bの軸孔を通した軸棒と、この軸棒を支受する
スライドブロックの軸受部分の強度を所定の高い強度に
保たねばならず、加圧ロール2a,2bを小径にした
り、その軸受部分を小形化できない。よって距離Lvを
短くしようとすると、誘導コイル6が加圧ロール2a,
2b及びこれを支受するスライドブロック部分と機械的
に干渉し、実行できないためである。
【0012】第3に、溶接のため管素材1におけるV字
状ギャップ5部分には、図7に示す如きルートで高周波
溶接用の誘導電流iが流れる。このとき、加熱されるV
字状ギャップの縁部5a,5bは、熱分子運動により電
子を放出し易い状態となっている。またV字状ギャップ
5部分は誘導加熱による熱膨張のため、冷材のときより
V字状ギャップ5の間隔が狭まる。さらに誘導電流iが
V字状ギャップ5部分を流れると、その両縁部5a,5
bの間に電位差が発生する。この電位差は両縁部5a,
5bの衝合点で零となり、この点よりV字状ギャップ5
が開く手前側にいくに従って電位差が急速に上昇するも
のである。
【0013】上述のようなことから、管素材1の直径を
小さくしていくとこれにつれてV字状ギャップ5の進入
角θも小さくなり、衝合点より手前の縁部5a,5b間
における放電開始電圧に達する部位で放電を起こす(い
わゆるプリアークする)ことになる。さらにV進入角θ
が小さくなるにつれてプリアークする点が衝合点より手
前側に移動し、それらの間隔が広がり、結果的に電流通
路がバイパスされ、そのときに衝合点とプリアーク点と
の間の縁部5a,5bには誘導電流iが流れず加熱され
ないこととなって冷接状態となる。これとともに、プリ
アークした点では急激に誘導電流が流れて過熱されスポ
ット状に溶けることになる。このようにして管素材1は
間欠的に溶接されることとなり、不良品となってしま
う。
【0014】以上説明したような諸種の理由から、従来
の電縫管製造手段では、小径電縫管を製造できないとい
う問題があった。
【0015】本発明は上述の点に鑑み、管径8mm以下
の小径電縫管の製造手段を新たに提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の小径電縫管の製
造方法は、板巾11mmから25mmまでの任意の巾の
板材で構成する管素材をV字状ギャップを有する管状に
形成し、このV字状ギャップの対向する縁部を誘導コイ
ルで加熱し、この縁部同志が接合する溶接点を加圧ロー
ルで圧接し、連続的に電気溶接する小径電縫管の製造方
法において、上記加圧ロールのロール部と軸部とをセラ
ミックスで一体に形成し、この軸部を支受部材の軸孔で
軸受レスで支受し、加圧ロールの最大外径部の径を、製
造すべき管径(mm)に、2.5から5.5までの範囲の任
意の係数を掛けた値(mm)に設定し、及び(又は)、V
字状ギャップの両縁部のなす角度である進入角の値を、
製造すべき管径(mm)に、0.6から1.5までの範囲の
任意の係数を掛けた値(度)に設定して小径電縫管を製
造するようにしたことを特徴とする。
【作用】上述のように構成することにより、加圧ロール
の径を小さくすることが可能となるので、誘導コイルか
ら加圧ロールの中心までの距離を適正に設定し、管素材
の円周方向に流れる誘導電流を著しく減少せしめてV字
状ギャップ部分を効率良く加熱し、加圧ロールによって
溶接点を適度に加圧して溶接するとともに、V字状ギャ
ップ部分の進入角を適正に設定することにより、溶接に
不都合なプリアークを生じないようにし、管素材の接合
すべきV字状ギャップ両縁部に変形やしわ等を生じない
ようにし,また溶接ビードを著しくスムーズなものに改
善して良好に溶接するようにしたものである。
【0018】
【実施例】以下、本発明の小径電縫管の製造方法の一実
施例を図1ないし図6によって説明する。なお、この図
1ないし図6において、前述した図7ないし図9に示す
従来例に対応する部分には同一符号を付すこととし、そ
の詳細な説明を省略する。まず本発明の製造方法を実施
するための製造装置の概要について図5及び図6を参照
しながら説明する。これらの図で、1は管素材、4はV
シーム溶接点、5はV字状ギャップ、6は誘導コイル、
15はスライドブロック、16は送り螺子棒、17は雌
螺子部、19は左右一対の加圧ロールである。
【0019】加圧ロール19は全体をセラミック材で一
体に形成したもので、中央のロール部19aの上下にそ
れぞれ軸部19bを設けて成る。ロール部19aは太径
の円柱状でその全周側部に電縫管の外径より若干大きな
断面半円形の環状溝18を形成して成る。軸部19bは
円柱形でロール部19aと同軸となるよう、その上下に
一体に設けたものである。
【0020】上述のように構成した各加圧ロール19
は、各スライドブロック15に所定間隔を開けて平行と
なるよう締結した2枚の支受部材20の間部分にロール
部19aが位置するよう軸着する。支受部材20は平面
略台形状の厚肉部材であって、その尖頭角部に軸孔21
を穿孔して成る。そして図6に示す如く、加圧ロール1
9の図の上部軸部19bを図の上部支受部材20の軸孔
21に直接軸挿し、図の下部軸部19bを図の下部支受
部材20の軸孔21に直接軸挿し、加圧ロール19が回
動自在となるように支受せしめる。
【0021】また、各軸孔21には寸法上で許されれば
図示しないがオイレスメタル又は特殊軸受けメタル等の
ブッシュを設置しても良い。
【0022】上述の如く各スライドブロック15に軸着
した各加圧ロール19は、図示するように、そのロール
部19aを並列に対応させた状態に配置し、これら並列
されたロール部19a間の距離が適正となるよう微調整
する。このようにして、並列したロール部19aの間の
これらの環状溝18が合わさってできる丸穴部分に管素
材1を通しVシーム溶接点4に加圧力を加えるようにす
る。
【0023】管素材1の矢印Sで示す進行方向にみて、
加圧ロール19の手前側近傍には誘導コイル6を配置す
る。このとき、加圧ロール19はその大きさを従来の最
小のものに比較して1/2〜1/3の大きさにまで縮小
できる。また、加圧ロール19の軸部19bを支受する
軸受を不要とすることにより、各スライドブロック15
の端部に加圧ロール19を臨ませることができる。よっ
て誘導コイル6から加圧ロール19の中心までの距離L
vを、従来の最小距離に比較して約半分にまで短縮でき
る。
【0024】このため、管素材1のV字状ギャップ5部
分に流れる電流iの比率を管素材1の円周方向に流れる
電流の比率に比較して大幅に向上し、管素材1の縁部5
a,5bの加熱効率を良好とし、投入する電力量である
電力原単位を減少させることができる。さらに、管素材
1の円周方向の温度上昇が小さくなるので、管素材1全
体の温度を下げることができ、パイプの品質を向上でき
る。また、加圧ロール19はセラミック等の絶縁材であ
るから、これに誘導コイル6を接近させても加圧ロール
19が誘導加熱されることはないので、加圧ロール19
の冷却装置を不要とできる。
【0025】次に上述の如く構成した電縫管の製造装置
によって加圧ロール19の最大外径部の径DSQR,V字
状ギャップ5の進入角θ等を設定して種々の径をもつ小
径電縫管を製造する手段について説明する。まず、図3
及び図4に示す加圧ロール19の最大外径部の径DSQR
(本例ではロール部19aの最大径となる)と管素材1
を溶接して得られる管の管径Dpとの関係についてみ
る。加圧ロール19は断面円形に曲げ成形された管素材
1を挿通するとともに、溶接点4で管素材1に所要の圧
接力を加えねばならない。このため、加圧ロール19が
この圧接力強度不足とならない範囲で最大外径部の径D
SQRを小型化せねばならない。
【0026】これと同時に、加圧ロール19の最大外径
部の径DSQRが大きくなると、誘導コイル6から加圧ロ
ール19の中心までの距離Lvが大きくなる。そして、
誘導電流が管素材1のV字状ギャップ5部分よりも円周
方向に流れる成分が多くなって、溶接の能率が低下した
り溶接ができなくなったりすると共に、管素材1の全周
が加熱し材料が軟化するため進入角θの安定状態を維持
できなくなる。よってこのようなことが起こらない範囲
で加圧ロール19の最大外径部の径DSQRを設定せねば
ならない。
【0027】前述の理由から、板巾11mmから25m
mの種々の巾の銅帯板を管素材1として種々の管径Dp
の管を溶接するとともに、加圧ロール19の最大外径部
の径DSQRを種々に変化させて実験を行ったところ図1
に示す如き結果を得た。この結果より加圧ロール19の
最大外径部の径を、次の式で求めて設定すればよいこと
が解った。すなわち、加圧ロール最大外径部の径DSQR
(mm)=(係数2.5から5.5)×(管径Dpmm)
の式で求める。具体的に例示すると、管径Dp=6.3
5mmのとき、加圧ロール最大外径部の径DSQRの取り
得る範囲は最小値15.9mmと最大値32.9mmとの
間である。また、管径Dp=4mmのときの最大外径部
の径DSQRの取り得る範囲は、最小値10.1mmと最大
値20.8mmとの間である。
【0028】次に、図3に示すV字状ギャップ5の進入
角θと管素材1を溶接して得られる管の管径Dpとの関
係についてみる。小径電縫管を製造する際には、プリア
ークが問題となるが、進入角θを拡げるとプリアークの
点を衝合点に近づけることができる。しかし、進入角θ
を拡げすぎると、V字状ギャップ5部分の成形に無理を
生じ、縁部5a,5bに変形やしわを生じ、成形不良を
生ずることになる。すなわち、管素材1は、銅製の帯板
を複数段の成形ロール間を通すことにより、徐々に曲げ
ながらその両側端部を接合させるようにして管状に成形
するものである。よってV字状ギャップ5部位において
進入角θを拡げるため両縁部5a,5b間にシームガイ
ド3を挿入して両縁部5a,5bを拡げるように曲げ、
シームガイド3と衝合点である溶接点4との間のわずか
の距離Lsgの間に衝合点で接合するようにさせるため
には、両縁部5a,5bを大きく変形しなければならな
いことになる。このように両縁部5a,5bを大きく変
形させると、両縁部5a,5b部分がそれぞれ別々に延
びる等の塑性変形を生じ、衝合点において両縁部5a,
5bの側端の位置がずれ溶接突き合わせのための加圧ロ
ール19による水平均等圧力が得られなくなり、成形不
良を生ずることになる。よって進入角θの値を、成形不
良を生ぜず、しかもプリアークが問題とならない範囲で
設定せねばならない。
【0029】このような理由から、板巾11mmから2
5mmの種々の巾の銅帯板を管素材1として種々の管径
Dpの管を溶接するとともに、進入角θの値を種々に変
化させて実験を行ったところ図2に示す如き結果を得
た。この結果より進入角θの値を次の式で求めて設定す
れば良いことが解った。すなわち、進入角θ(度)=
(係数0.6から1.5)×(管径Dpmm)の式で求め
る。
【0030】具体的に例示すると、管径Dp=6.35
mmのとき進入角θの取り得る範囲は、最小値4.06
度と最大値8.83度との間である。
【0031】また管径Dp4mmのときの進入角θの取
り得る範囲は、最小値2.56度と最大値5.56度との
間である。
【0032】なお、進入角の値θはシームガイド3と加
圧ロール19の中心間の距離Lsgとシームガイド3の
端部の厚さFWとによって形成されるV字状の角度とす
る。
【0033】次に誘導コイル6に供給する高周波の周波
数についてみると、周波数が低すぎると溶接効率が落
ち、溶接不良を生じ、溶接能率が落ちて生産性が悪化す
る。また周波数が高すぎると、V字状ギャップ5の両縁
部5a,5b間の電位差が高くなって放電しやすくな
り、プリアークによる問題を生ずることになる。このた
め周波数を種々に変化させて試験をした結果、適正範囲
としては200KHzから3400KHzが好ましいこ
とが解った。なお、高周波のリップルは少ない方が良い
が、全波整流程度の脈動があっても良い。また本例では
溶接部にインピーダを使用していないが、使用するよう
にしても良い。
【0034】次に溶接速度は、35m/minから80
m/minの範囲内ならどのような値でも良い。なお、
本実施例では、管素材1を銅とした場合について説明し
たが、管素材1を銅合金,アルミニウムとその合金,チ
タンとその合金,ステンレス合金,炭素鋼にした場合に
も当てはまるものである。
【0035】また、管素材1の溶接点4部分の雰囲気
は、大気、又はソリブル水等であっても良いが、アルゴ
ンガス等の不活性ガスにすると酸化防止となって好まし
い。なお還元性ガスの場合は、放電開始電圧を下げるよ
うな性質のものとすることは好ましくない。
【0036】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
てその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の小径電縫管
の製造方法によれば、板巾11mmから25mmまでの
任意の巾の帯板材で構成した管素材をV字状ギャップを
有する管状に形成し、このV字状ギャップの対向する縁
部を誘導コイルで加熱し、この縁部同志が接合する溶接
点を加圧ロールで圧接し、連続的に電気溶接する小径電
縫管の製造方法において、上記加圧ロールのロール部と
軸部とをセラミックスで一体に形成し、この軸部を支受
部材の軸孔で軸受レスで支受し、加圧ロールの最大径
を、製造すべき管径に、2.5から5.5までの範囲の任
意の係数を掛けた値に設定し、及び(又は)、V字状ギ
ャップの両縁部のなす角度である進入角の値を、製造す
べき管径に、0.6から1.5までの範囲の任意の係数を
掛けた値に設定して小径電縫管を製造するようにしたの
で、誘導コイルから加圧ロールの中心までの距離を適正
に設定でき、管素材の円周方向に誘導電流が極力流れな
いようにしてV字状ギャップ部分を効率良く加熱し、加
圧ロールによって溶接点を適度に加圧して溶接するとと
もに、V字状ギャップ部分の進入角を適正に設定するこ
とにより、溶接に不都合なプリアークを生じないように
し、管素材の接合すべきV字状ギャップ両縁部に変形や
しわ等を生じないようにして良好に溶接するようにした
ので、従来は不可能であった管径8mm以下の小径電縫
管を製造可能とするという効果がある。
【0038】また、小径管を高周波溶接によって高速生
産(40m/min以上の高速で生産)可能なので、従
来の如く熱間押出し法や圧延,抽伸法により比較的遅い
生産速度で製造していたのに比べ生産コストを大幅に削
減でき、廉価な製品を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小径電縫管の製造方法の一実施例を示
す製造方法実施の際の管径と加圧ロールの最大外径部の
関係の説明線図。
【図2】上記実施例における管径とV字状ギャップの進
入角との関係を示す説明線図。
【図3】上記実施例の製造方法を実施するための電縫管
製造装置における要部拡大平面図。
【図4】上記実施例の製造方法を実施するための電縫管
製造装置における要部拡大側面図。
【図5】上記実施例の製造方法を実施するための電縫管
製造装置における要部概略平面図。
【図6】上記実施例の製造方法を実施するための電縫管
製造装置における一部断面要部概略正面図。
【図7】従来の電縫管製造装置を例示する要部斜視図。
【図8】上記従来例の要部縦断面説明線図。
【図9】従来における一種の転造法により小径管製造方
法を例示する縦断面説明線図。
【符号の説明】
1…管素材 5…V字状ギャップ 5a,5b…縁部 6…誘導コイル 19…加圧ロール 19a…ロール部 19b…軸部 20…支受部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−3691(JP,A) 特開 平1−150484(JP,A) 特開 平3−57572(JP,A) 特開 平3−81075(JP,A) 実開 平2−70883(JP,U) 実開 昭58−170183(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 13/00 - 13/08 542

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板巾11mmから25mmまでの任意の
    巾の帯板材より成る管素材をV字状ギャップを有する管
    状に形成し、上記V字状ギャップの対向する縁部を誘導
    コイルで加熱し、上記縁部同志が接合する溶接点を加圧
    ロールで圧接し、連続的に電気溶接する小径電縫管の製
    造方法において、上記加圧ロールのロール部と軸部とを
    セラミックスで一体に形成し、この軸部を支受部材の軸
    孔で軸受レスで支受し、上記加圧ロールの最大外径部の
    径を製造すべき管径(mm)に2.5から5.5の範囲の任
    意の係数を掛けた値(mm)に設定するようにしたことを
    特徴とする小径電縫管の製造方法。
  2. 【請求項2】 板巾11mmから25mmまでの任意の
    巾の帯板材より成る管素材をV字状ギャップを有する管
    状に形成し、上記V字状ギャップの対向する縁部を誘導
    コイルで加熱し、上記縁部同志が接合する溶接点を加圧
    ロールで圧接し、連続的に電気溶接する小径電縫管の製
    造方法において、上記加圧ロールのロール部と軸部とを
    セラミックスで一体に形成し、この軸部を支受部材の軸
    孔で軸受レスで支受し、上記V字状ギャップの両縁部の
    なす角度である進入角の値を上記製造すべき管径(mm)
    に0.6から1.5までの範囲の任意の係数を掛けた値
    (度)に設定するようにしたことを特徴とする小径電縫
    管の製造方法。
  3. 【請求項3】 板巾11mmから25mmまでの任意の
    巾の帯板材より成る管素材をV字状ギャップを有する管
    状に形成し、上記V字状ギャップの対向する縁部を誘導
    コイルで加熱し、上記縁部同志が接合する溶接点を加圧
    ロールで圧接し、連続的に電気溶接する小径電縫管の製
    造方法において、上記加圧ロールのロール部と軸部とを
    セラミックスで一体に形成し、この軸部を支受部材の軸
    孔で軸受レスで支受し、上記加圧ロールの最大外径部の
    径を製造すべき管径(mm)に2.5から5.5の範囲の任
    意の係数を掛けた値(mm)に設定し、上記V字状ギャッ
    プの両縁部のなす角度である進入角の値を上記製造すべ
    き管径(mm)に0.6から1.5までの範囲の任意の係数
    を掛けた値(度)に設定するようにしたことを特徴とす
    る小径電縫管の製造方法。
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