JP3051760B2 - ワクチンアジュバントとしての、ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキシダーゼ - Google Patents

ワクチンアジュバントとしての、ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキシダーゼ

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はワクチンアジュバントに関するものである。
予防接種は、ヒトにおける天然痘の撲滅、および動物
およびヒトの両方における、その他の多くの感染性作用
体の防御に主として寄与している。古典的なワクチンは
弱体化されているか、または殺されている、全有機物で
あった。組換えDNAテクノロジイの出現および免疫学の
理解の増大によって、サブユニットワクチンの製造がか
なり進歩した。このようなワクチンは、古典的ワクチン
が付随する問題の可能性を有していない。
しかしながら、これらの新しい世代のワクチンは、全
体として、免疫学的に弱く、したがって、アジュバント
(すなわち、特異的免疫応答を強化する作用物質)の存
在を必要とする。
アジュバント活性を有する物質は周知である。しかし
ながら、現時点で、ヒト用に認可されているアジュバン
トはアルム(Alum)(Al(OH))、および類似するア
ルミニウムゲルのみである。アルムのアジュバント活性
は、1926年にGlennyによって、初めて発見された(Chem
istry and Industry、1926年6月15日;J.Path.Bacterio
l、34、267)。アジュバント活性を有するものとして公
知のその他の物質には、次の物質が含まれる:Freundの
完全アジュバント、これは油相中に、殺し、乾燥したミ
コバクテリアを含有する鉱油中水型エマルジョンであ
る;Freundの不完全アジュバント、これはミコバクテリ
アを含有していない弱い製剤である;サポニン、これは
樹木クイリア サポナリア(Quillia saponaria)から
抽出した膜活性グルコシドである;非イオン性ブロック
共重合体界面活性剤、これはタンパク質を細胞表面に結
合させる傾向を有する、未代謝合成分子である;ISCOM
S、これは、物理的観点で、感染性粒子を偽装する、ク
イル(Quil)A(サポニン)を混入した液状ミセルであ
る;およびムラミルジペプチド、これは殺したミコバク
テリアの活性成分の一つである白血球刺激分子である。
これらの作用物質はいずれも、毒性を有し、かつまた
投与量によって、受入れられない慢性反応を示す特徴を
有することから、アルムの強力な代用物質としての使用
が、現在制限されている。他方で、アルムは細胞性免疫
付与を刺激しない。アルムはまた、広い活性スペクトル
を有するが、ペプチドワクチン類では、ペプチドの大き
さが小さいことから、アルム上への吸着が貧弱であるこ
とがあり、全部の潜在性ワクチンに有効ではない。時に
は、アルムの強力な効力を有するプロテアーゼによる抗
原の分解を誘発させることもある。
ノイラミニダーゼとガラクトースオキシダーゼとの組
合せであるNAGOは当技術において、細胞膜におけるアル
デヒドの誘発により、Tリンパ球増殖を生じさせること
が知られている(J.Immunol、115(4)巻、932−8
頁)。
ここに、本発明によって、ノイラミニダーゼとガラク
トースオキシダーゼとの組合せ(NAGO)が強力なアジュ
バント性を有することが見い出された。NAGOは、T細胞
応答の誘発に関して、先例のないほど強力な非反応原性
アジュバントであることが見出された。特に、ペプチド
により誘発され、生きているウイルスに感染した細胞を
認識する、細胞毒性T細胞の誘発に関して、Freund完全
アジュバントよりも、有効もしくは良好であった。NAGO
はまた、ヒト免疫不全ウイルスのエンベロープ糖タンパ
ク質gp120に対するT細胞のプライミングに関して、Fre
und完全アジュバントよりも、効果が大きい。強力なア
ジュバント効果は、ペプチドならびにバクテリア、ウイ
ルスおよび原生動物由来の多糖類抗原およびタンパク質
抗原により証明された。NAGOによって生じる局所反応は
非常に温和であり、ヒト用に認可されている由一のアジ
ュバントであるアルヒドロゲルによって生じる反応と差
違がないか、あるいはアルヒドロゲルよりも小さい。
したがって、本発明は、抗原成分およびアジュバント
成分として、ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキ
シダーゼを含有うるワクチン製剤を提供する。本発明は
また、ワクチンアジュバントとして、ノイラミニダーゼ
およびガラクトースオキシダーゼを使用することを包含
する。したがって、抗原成分を、アジュバントとして
の、ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキシダーゼ
とともに製剤形成することにより、ワクチンを製造する
ことができる。
ガラクトースオキシダーゼおよびノイラミニダーゼは
適当な供給源のいずれからも得ることができることは勿
論、明白であるが、好まいしくは、ガラクトースオキシ
ダーゼは、ガクチリウム デンドロイデス(Dactylium
dendroides)から単離する。ダクチリウム デンドロイ
デス(Ec1.1.3.9)からのガラクトースオキシダーゼ
は、200〜900単位(すなわち、u)/タンパク質mgの活
性を有することができる。ノイラミニダーゼは好ましく
は、ビブリオ コレラエ(Vibrio cholerae)またはク
ロストリジウム ペルフリンゲンス(Clostridium perf
ringens)から単離される。ビブリオ類(Ec3.2.1.18)
は好ましくは、25u/タンパク質μgの活性を有する(販
売元のBDH.Poole.Dorset.英国によって規定された活
性)。クロストリジウムから単離された場合に、この酵
素は好ましくは、150〜400単位/タンパク質mgの活性を
有するが、1単位/固体mgの部分的に精製されたものも
また、有効であることが示されている。これらの酵素は
両方ともに、たとえばSigma Chemical Company,Poole.D
orset.英国から、市販されている。
好適には、ノイラミニダーゼ対ガラクトースオキシダ
ーゼの比率は、活性単位として、1:2−1:10、最適には
約1:5である。注射用製剤100μl当りのNAの量は0.05〜
12u、好ましくは0.2〜1.2uであることができる。注射用
製剤100μl当りのGOの量は、0.1〜25u、好ましくは2
〜8uであることができる。注射用製剤100μl当りの最
適量はNAluとGO5uである。
ワクチン製剤に特に有用であることができる抗原に
は、ペプチド、タンパク質および炭水化物抗原が含まれ
る。抗原はバクテリア、菌類、原生動物またはウイルス
抗原であることができる。抗原はまた、インフルエンザ
ウイルスからのサブユニット抗原(j.Immunol.143、300
7頁、1989)、ヒト免疫不全ウイルスからのサブユニッ
ト抗原(Lancet 335、1081頁、1990)、たとえばgp12
0、および肝炎ウイルスからのサブユニット抗原(Lance
t 335、1142頁、1990)であることもできる。加熱によ
り殺した、またはその他の弱体化した、全有機物ワクチ
ンもまた、NAGOと一緒に使用するのに適する。その他の
抗原の例には、ポリオウイルス、サイトメガロウイル
ス、ヘルペスシンプレックスウイルス、呼吸器系シンシ
チウムウイルス、ライノウイルス、およびエプスタイン
−バールウイルスが含まれる。NAGOと適合できる動物ウ
イルスの例には、狂犬病、口蹄疫、エクイリン'fluネコ
免疫不全症およびネコ白血病のウイルスが含まれる(La
ncet 335、587頁、1990)。
下記の群などからのバクテリア性抗原は、本発明に係
るワクチン製剤に有利に含有させることができる:B.ペ
ルタシス(pertussis)、C.テタニ(tetani)、E.コリ
(coli)、C.ジフテリアエ(diphtheriae)、P.アエル
ギノザ(Aeruginosa)、V.コレラエ(cholrae)、H.イ
ンフルエンザ(influenzae)、N.メニンギチジス(meni
ngitidis)、S.プヌモニアエ(pneumoniae)、N.ゴノル
ヘア(gonorrhea)およびその他の適当なタンパク質成
分またはタンパク質と組合された多糖類を含有するバク
テリア(Bacterial Vaccines.R.Germanier編、Academic
Press Inc.New York、1984)。
特に、B.ペルタシスに関しては、NAGOをアジュバント
として使用した場合に、下記の成分が単独で、または組
合せて使用できる抗原要素として認められており、B.ペ
ルツシスに対する効果的な非細胞性ワクチンを提供する
もとの認識されている:糸状赤血球凝集素(FHA)、P.6
9(ペルタクチン)およびペルタシス毒素(LPF)(Bact
erial Vaccines,R.Germainier編、第3章、Pertussis、
Academic Press.New York.1984)。P.フアルチパリウチ
(falciparum)およびL.メージャー(major)などの病
原体からの抗原(Lancet 335、1263頁、1990)にもま
た、アジュバントとしてNAGOを使用することができる。
このような抗原は原則的に、部分接合体表面抗原物質で
ある。
アルムはアジュバント効果を発揮するが、我々の実験
では、NAGOはin vivo抗体応答の発現に関して、実質的
に効果が大きいことが証明された。アジュバントとして
のNAGOの効力は自己抗原に対する、望ましくない、許容
されない自己免疫応答を惹起する可能性を呼び起す。し
かしながら、我々の実験はこの予想が全く違うことを示
した。すなわち、NAGOは、遺伝子的に決定される無応答
性の規則に違反しない。したがって、マウスにおける既
知のMHC制限性のインフルエンザペプチドの場合に、ア
ジュバントとしてのNAGOによる応答は、MHCハプロタイ
プが許容される場合には生じるが、限局性リンパ結節リ
ンパ球数が、非許容の場合にNAGOに対する応答を増加さ
せても、指定ペプチドに関して非許容である場合には生
じない。
本発明のワクチン製剤はまた、適当な担体、代表的に
は注射用ワクチンに慣用の担体を含有することができ
る。NAGOは原則的に、単独または脂質担体と組合せた、
可溶性もしくは粒状抗原を含有する水性稀釈液中で使用
される。NAGOはまた、追加の免疫刺激要素、たとえばム
ラミルジペプチドを含有する油中水型エマルジョンおよ
び(または)ベヒクル中に混合することもできる。注射
用ワクチン製剤の患者に対する適量は200μl〜2ml、代
表的には、500μlである(皮下または皮内注射では少
ない方の量で、筋肉内注射では多い方の量で使用す
る)。
以下の例は本発明を説明するためのものであって、本
発明を制限しようとするものではない。添付図面におい
て: Fig1Aは、キイホール リンペット ヘモシアニン(K
eyhole limpet haemocyanin)(KLH)に対する応答に係
るNAGOの効果を示しており、in vitro KLHの濃度(μg
/ml;x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配合、cpm×10-3
se;y軸)に対してグラフに描かれている;このグラフに
おいて、●は500μgKLH+NAGOを表わし、▲は500μgKLH
を表わし、そして□はNAGOのみの場合を表わす。
Fig1BはインフルエンザAの核タンパク質からのペプ
チド(167)に対する応答に係るNAGOの効果を示してお
り、抗原の濃度(μg/ml;x軸)がリンパ球DNA合成(3H
−TdR配合、cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに描かれ
ている;このグラフにおいて、■はペプチド167+NAGO
を表わし、▲はペプチド167のみの場合を表わし、□はN
AGOのみの場合を表わし、そして○は抗原が存在しない
場合を表わす。
Fig1Cはペプチド167に対する応答に係るGOおよびアフ
イニテイ精製したNAの効果を示しており、抗原の濃度
(μg/ml、x軸)が、リンパ球DNA合成(3H−TdR配合、
cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに描かれている;こ
のグラフにおいて、■は粗製NA+GO+ペプチド167を表
わし、▲はアフイニテイ精製したNA+GO+ペプチド167
を表わし、●はペプチド167のみの場合を表わし、そし
て○は抗原が存在しない場合を表わす。
Fig1DはNAGOの加熱不活性化による効果を示してお
り、抗原の濃度(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合成(3
H−TdR配合、cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに描か
れている;このグラフにおいて、■はNAGO+ペプチド16
7を表わし、▲は加熱不活性化したNAGO+ペプチド167を
表わし、○はペプチド167のみの場合を表わし、そして
○は抗原が存在しない場合を表わす。
Fig2はペプチド167に、NAGO(■)、水酸化アルミニ
ウム(◆)およびFreunds完全アジュバント(FCA、▲)
を加えた場合の比較を示しており、抗原の濃度(μg/m
l、x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配合、cpm×10-3
se、y軸)に対してグラフに描かれている;このグラフ
において、●はペプチド167のみの場合を表わし、そし
て○は抗原が存在しない場合を表わす。
Fig3Aは、Balb/cマウスにおいて、NAGOがBIOSエプト
ープペプチド167に対する応答を破壊しないことを示し
ている。Fig3Aでは、抗原濃度(μg/ml、x軸)がリン
パ球DNA合成(3H−TdR配合、cpm×10-3se、y軸)に対
してグラフに描かれており、●はペプチド167(10μ
g)を表わし、■はNAGO+Balb/c T−細胞エピトープ
インフルエンザA核タンパク質ペプチド(171)(10μ
g)を表わし、□はペプチド171(10μg)を表わし、
そして○は抗原が存在しない場合を表わす。
Fig3Bは、NAGOがBalb/cマウスにおけるペプチド171の
アジュバントとして作用することを示している。Fig3B
において、抗原濃度(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合
成(3H−TdR配合、cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに
描かれており、■はペプチド171+NAGOを表わし、○は
ペプチド171を表わし、そして△は抗原が存在しない場
合を表わす。
Fig4はB10Sマウスにおけるオボアルブミンに対する一
時抗体応答を示しており、血清稀釈度(x軸)が450nm
における光学濃度(OD450nm、y軸)に対してグラフに
描かれており、このグラフにおいて、■はオボアルブミ
ン+NAGOを表わし、◆はオボアルブミン+アルムを表わ
し、●はオボアルブミンのみの場合を表わし、そして○
は抗原が存在していない場合を表わす。
Fig5はNAGOによるHIV gp120に対するT−細胞のプラ
イミングを示しており、gp120/mlの濃度(x軸)がリン
パ球DNA合成(3H−TdR配合、cpm×10-3se、y軸)に対
してグラフに描かれている;このグラフにおいて、●は
gp120+NAGOを表わし、□はgp120のみの場合を表わし、
そして○は抗原が存在しない場合を表わす。
Fig6Aは、NAGOによるペルタシスのp69サブユニットに
対するT−細胞プライミングを示しており、P69の濃度
(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配合、cp
m×10-3se、y軸)に対してグラフに描かれている;こ
のグラフにおいて、▲はp69+NAGOを表わし、●はp6の
みの場合を表わし、そして○は抗原が存在しない場合を
表わす。
Fig6Bは、p69に対する抗体応答を示しており、血清稀
釈度(x軸)がOD450nm(y軸)に対してグラフに描か
れている;このグラフにおいて、▲はp69+NAGOを表わ
し、●はp69のみの場合を表わし、そして○は対照を表
わす。
Fig7は、NAGOによる細胞毒性T細胞の誘発を示してお
り、エフェクター対ターゲット比率(x軸)がインフル
エンザペプチドp110により(●)、またはインフルエン
ザウイルスPR8により(■)パルスされている、あるい
は抗原によってパルスされていない、洗剤溶解した細胞
から放出された総51Crのパーセンテージに対してグラフ
に描かれている。
Fig8Aはバクロウイルス系(gp120bac)において、NAG
OまたはFCAにより発現された、HIV gp120により免疫付
与したマウスからT細胞の応答を示している。gp120の
濃度(μg/ml、x軸)が、リンパ球DNA合成(3H−TdR配
合、cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに描かれてお
り、●はgp120bacにより再刺激されたgp120 bac+NAGO
を表わし、▲はチャイニーズハムスター卵巣細胞で発現
したgp120(gp120CHO)により再刺激されたgp120bac+N
AGOを表わし、■はgp120 bacにより再刺激されたgp120b
ac+FCAを表わし、▲はgp120CHOにより再刺激されたgp1
20 bac+FCAを表わし、△はgp120 bacにより再刺激され
たgp120 bacを表わし、そして○はgp120CHOにより再刺
激されたgp120 bacを表わす。
Fig8Bはgp120CHOで免疫付与されたマウスからのT細
胞のNAGOまたはFCAによる応答を示している。gp120の濃
度(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配合、
cpm×10-3se、y軸)に対してグラフに描かれており、
●はgp120CHOにより再刺激されたgp120CHO+NAGOを表わ
し、▼gp120CHOにより再刺激されたgp120CHO+NAGOを表
わし、■はgp120CHOにより再刺激されたgp120CHO+FCA
を表わし、▲はgp120 bacにより再刺激されたgp120CHO
+FCAを表わし、△はgp120CHOにより再刺激されたgp120
CHOを表わし、そして○はgp120 bacにより再刺激された
gp120CHOを表わす。
Fig9Aは、gp120CHOに対する抗体応答を示しており、
血清稀釈度(x軸)がOD450(y軸)に対してグラフに
描かれている。このグラフにおいて、■はNAGO+gp120C
HOを表わし、□はFCA+gp120CHOを表わし、▲はNAGO+g
p120CHOを表わし、△はアルム+gp120CHOを表わし、○
はgp120CHOのみの場合を表わし、そして●は抗原が存在
しない場合を表わす。
Fig9Bは、FCA(I)、サポニン(II)、NAGO(II
I)、アルム(IV)およびアジュバントなし(V)に係
るIgG抗体力価を比較するものである。
Fig10は、主要マラリア部分接合体表面抗原(γPMMS
A)に対する、NAGO、FCA、サポニンまたはアルムによる
T細胞プライミングを示している。γPMMSAの濃度(μg
/ml、x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配合、cpm×10
-3se、y軸)に対してグラフに描かれており、▲はNAGO
+γPMMSAを表わし、■はFCA+γPMMSAを表わし、●は
サポニン+γPMMSAを表わし、□はアルム+γPMMSAを表
わし、△はγPMMSAのみの場合を表わし、そして○は抗
原が存在しない場合を表わす。
Fig11は、γPMMSAに対する抗体応答を示しており、血
清稀釈度(x軸)がOD450(y軸)に対してグラフに描
かれている;このグラフにおいて、△はNAGO+γPMMSA
を表わし、▲はFCA+γPMMSAを表わし、▼はサポニン+
γPMMSAを表わし、■はアルム+γPMMSAを表わし、○は
γPMMSAのみの場合を表わし、そして○は抗原が存在し
ない場合を表わす。
Fig12は、メニンゴコッカル(meningococcol)ワクチ
ンMB6400に対する抗体応答を示している。メニンゴコッ
カル多糖類に対する特異抗体(μg/血清ml)が、(I)
ワクチン+NAGO、(II)ワクチン+アルヒドロゲル、
(III)ワクチンのみ、(IV)NAGOのみ、(V)ワクチ
ン+GO、(VI)ワクチン+1時間先に与えたNAGOおよび
(VII)免疫付与しない場合に関して記録されている。
Fig13Aは、NAGO、FCA、サポニンまたはアルムによ
る、細胞毒性T細胞の誘発を比較するものであり、エフ
ェクター対ターゲット細胞比(x軸)が、(a)インフ
ルエンザウイルスPR8または(b)インフルエンザAの
核タンパク質の残基216−229に結合したインフルエンザ
Aの核タンパク質のアミン酸残基147−169からなるハイ
ブリドペプチド、によりパルスされているか、あるいは
未処理の(c)細胞の特異的溶解(51Cr放出、yo:y軸)
に対してグラフに描かれている。この図において、▲は
生きているウイルスの感染を表わし、●はNAGO+ハイブ
リドペプチドを表わし、○はFCA+ハイブリペプチドを
表わし、□はサポニン+ハイブリドペプチドを表わし、
■はアルム+ハイブリドペプチドを表わし、そして△は
アジュバントのみの場合を表わす。
Fig13Bは免疫付与したマウスにおける、細胞毒性T細
胞発現に係る増殖応答を示すものである。Fig13Bにおい
ては、ペプチド濃度(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合
成(3H−TdR配合、cpm×10-3se、y軸)に対してグラフ
に描かれており、Aはハイブリドペプチドに対する応答
を表わし、BはインフルエンザA核タンパク質アミノ酸
残基216−229からなるヘルパーT細胞ペプチドに対する
応答を表わし、CはインフルエンザA核タンパク質アミ
ノ酸残基147−169からなる細胞毒性T細胞エプトープペ
プチドに対する応答を表わし、●はNAGO+ハイブリドペ
プチドを表わし、□はサポニン+ハイブリドペプチドを
表わし、○はFCA+ハイブリドペプチドを表わし、■は
アルム+ハイブリドペプチドを表わし、そして△はアジ
ュバント単独を表わす。
Fig14Aは、インフルエンザA核タンパク質の免疫優性
アミノ酸残基260−283からなるペプチドにより免疫付与
されたマウスからのT細胞応答を示すものである。ペプ
チドの濃度(μg/ml、x軸)がリンパ球DNA合成(3H−T
dR配合、cpm×10-3se;y軸)に対してグラフに描かれて
おり、■はペプチド+NAGO(たたし、このNAはクロスト
リジウムペルフリンゲンスに由来する)を表わし、▲は
ペプチド+NAGO(ただし、このNAはビブリオコレラエに
由来する)を表わし、●はペプチド+GOを表わし、□は
ペプチドのみの場合を表わし、そして○は抗原が存在し
ない場合を表わす。
Fig14Bは、NA:GOの濃度を単位/mlで比較するものであ
り、単位/ml(x軸)がリンパ球DNA合成(3H−TdR配
合、cpm×10-4se;y軸)に対してグラフに描かれてい
る。このグラフにおいて、▲は抗原0.1μg/mlを表わ
し、△は抗原0.4μg/mlを表わし、■は抗原1.6μg/mlを
表わし、□は抗原6μg/mlを表わし、●は抗原25μg/ml
を表わし、そして○は抗原100μg/mlを表わす。
Fig14Cは1:3のNA:GOの固定比率において、リンパ球DN
A合成(3H−TdR配合、cpm×10-4se;y軸)がNA:GOの濃度
(単位/ml;x軸)により如何に変化するかを示してい
る。
Fig14Dおよび14Eはそれぞれ、NA濃度およびGO濃度
(単位/ml、x軸)によって、リンパ球DNA合成(3H−Td
R配合、cpm×10-4se;y軸)が如何に変わるかを示してい
る。
例 1 ノイラミニダーゼ/ガラクトースオキシダーゼ物質のア
ジュバント効果および方法 限局性リンパ結節におけるT細胞プライミング。マウ
スを、その尾基底部の背側に、抗原を皮下注射すること
によって免疫付与した。7日後に、限局性遠位(ソケイ
部)リンパ結節を無菌下に、取り出した。組織をおだや
かにホモジネートし、細胞を4×106細胞/mlの濃度で、
0.5%正常マウス血清含有クリック(Click)の培地に再
懸濁することによって、リンパ結節細胞の中の1個の細
胞の懸濁液を調製した。この懸濁液の一定量100μlを9
6のくぼみを有する微量滴定プレートの各くぼみに入
れ、抗原含有培養液100μlを次いで加えた。3日後
に、培養物を3H−チミジン(1μCi/くぼみ)によりパ
ルス処理した。さらに18時間後に、細胞をガラスマイク
ロファイバーフイルターに採取し、DNA中へのチミジン
取り込みの程度を液体シンチレーションスペクトロスコ
ーピイによって測定した。
抗体応答。尾の基底部の背側に、抗原を皮下注射する
ことによって、マウスに免疫付与した。21日後に、動物
から採血し、血清をELISAにより抗体に関して検査し
た。96個のくぼみを有する平底のプレートを100μl量
の炭酸塩緩衝液(pH9.6)中の抗体で、24時間、4℃に
おいて被覆し、その後で、このプレートを3回洗浄し
た。プレートを、リン酸塩緩衝した塩類溶液中の0.2%
カゼインにより遮へいした(200μl/くぼみ、37゜で2
時間、引続いて2回洗浄)。0.05%tween 80および10%
FCSを含有するPBS中に稀釈した血清試料を加え(100μl
/くぼみ)、次いで37゜で2時間、インキュベートし
た。これらのプレートを次いで、3回洗浄した。抗マウ
ス免疫グロブリン抗体に、同一稀釈緩衝液中の種々の濃
度(市販品の1/100〜1/300)で、結合させた西洋ワサビ
パーオキシダーゼ(Sigma Chemical Co.Poole Dorset.
英国)を次いで加え(100μl/くぼみ)、これらのプレ
ートを次いで、37゜で1−2時間インキュベートした。
プレートを次いで、3回洗浄した。同一稀釈緩衝液中の
種種の濃度(市販品の1/100〜1〜/300)で、抗マウス
免疫グロブリン抗体に結合させた西洋ワサビパーオキシ
ダーゼ(Sigma Chemical Co.Poole Dorset.英国)を次
いで加え(100μl/くぼみ)、プレートを次いで37゜で
1−2時間インキュベートした。プレートは次いで3回
洗浄した。酢酸塩緩衝溶液中にテトラメチルベンジジン
および過酸化水素を含有する基質溶液を次いで、加え
(100μl/くぼみ)、プレートを20℃で10−30分間、イ
ンキュベートした。反応は1M硫酸の添加によって止め
た。次いで、450nmにおけるODを、自動式プレートリー
ダーによって測定した。プライムされたマウスの追加免
疫を静脈投与によって行ない、7〜12日後に血液試料を
採取した。
結果 1a T細胞プライミング:NAGOキーホールリンペットヘ
モシアニン Fig1Aのデータは、NAGOをAgと混合し、単次皮下投与
した場合の、500μgキーホールリンペットヘモシンア
ニン(Sigma Chemical Co.Poole Dorset)に対する応答
に係るNAGO(2.5uNA+5uGO)の効果を示している。
1bおよびc T細胞プライミング:NAGOおよびインフル
エンザペプチド167 Fig1Bのデータは、インフルエンザAの核タンパク質
からのペプチド(167)(これはB10SマウスにおけるNP
に対する主要T細胞認識抗原であると定義される)に対
する応答に係るT細胞プライミングの、同一の衝撃的増
強を示している。同一程度の増強が、200倍高い純度を
有するアフイニテイ精製NAを使用して見い出された(Fi
g1C)。粗製品質のNAから調製したNATOの加熱不活性化
は、Fig1Dに示されているように、アジュバント効果を
完全に阻害した。これらのデータは、市販品質の酵素製
品中に存在する熱安全性または熱不安定性のバクテリア
夾雑物による、アジュバント効果に対する関与をいずれ
も、排除する。
例 2 NAGO、Freund完全アジュバントおよび水酸化アルミニウ
ムの比較 Fig2のデータは、B10SマウスにおけるNPペプチド167
に対する応答に係るNAGOのアジュバント効果を、水酸化
アルミニウムおよびFreund完全アジュバント(FCA)の
場合と比較するものである。NAGOは、アルムに対して劇
的に優れており、またin vitro二次チャレンジに使用
された高濃度の抗原の下でも、FCAよりも格別に優れて
いる。
例 3 NAGOが遺伝子的に決定される非応答性の規則を破るもの
ではないことの証明 アジュバントとしてのNAGOの効力によって、自己抗原
(すなわち、補助細胞上のMHCクラスII分子のグローブ
を占拠する自己ペプチド)に対する許容されない自己免
疫応答も誘導するNAGOの可能性をもたらす。この可能性
はFig3Aのデータによって、ほとんど否定された。すな
わち、Fig3Aのデータは、NAGOがBalb/cマウスにおいて
遺伝的に決定される非応答性の規則を破らないことを示
している。NAGOはBalb/cマウスにおけるB10Sエピトープ
NP167に対する応答を扇動しない。これに反して、NAGO
はこれらのマウスにおける、Balb/c T細胞エピトープ
NP171に対して、アジュバント効果を発揮する。
例 4 抗体応答 Fig4のデータは、B10Sマウスにおけるタンパク質オボ
アルブミンに対する一次抗体応答を示している。NAGO
は、等量の抗体を含有する抗血清の希釈に関して、アル
ムに比較して15〜20倍の利益を提供する。ペプチドに対
する抗体応答もまた、NAGOによってアジュバント作用を
受ける。
例 5 NAGOによるHIV抗原に対するT細胞プライミング Fig5のデータは、HIVエンベロープ抗原(Ag)gp120に
対するT細胞プライミングを示している。Agのみではプ
ライミングは生じないが、強力なアジュバント効果がNA
GOによって達成されている。B10Sマウスに、その尾の基
底部に、gp120(バクロウイルスから)1μgを、標準
容量のNAGOとともに、またはNAGOを投与することなく、
皮下に投与した。7日後に、限局性(ソケイ部)リンパ
結節を取り出し、このリンパ結節細胞を、指示濃度のgp
120により、in vitro再刺激した。リンパ球DNA合成は
さらに4日後に測定した。
例 6 ペルタシスのp69(ペルタクチン)サブユニットに対す
る、NAGOによるT細胞プライミングおよび抗体応答 Fig6Aのデータは、ペルタシスのp69に対するT細胞プ
ライミングを示している。Agのみではプライミングは生
じないが、NAGOにより強力なアジュバント効果が得られ
た。B10Sマウスには、その尾基底部からp69(ピチアパ
ストラリス=Pichia pastoralisから)1μgを、標準
用量のNAGOとともに、またはNAGOを使用することなく、
皮下投与した。7日後に、限局性(ソケイ部)リンパ結
節を取り出し、このリンパ結節を特定濃度のp69によりi
n vitro再刺激した。さらに4日後に、リンパ球DNA合成
を測定した。Fig6bのデータは、p69により免疫付与され
たB10Sマウスの血清IgG抗体応答が、まさに同一の様相
であることを示している。p69 1μgの単次皮下注射
の後の14日後に、血清試料を採取した。NAGOによって、
実質的量の抗体が発現されたのに対し、Agのみによって
は抗体発現は生じなかった。
例 7 細胞毒性T細胞(CTL)のNAGOによる誘発 体液性免疫に加えて、細胞性エフエクターメカニズム
は、特にウイルス感染に関して、重要な防御機構であ
る。アルムなどの慣用のアジュバントは細胞毒性T細胞
を誘発しない。これに対して、NAGOはこのようなCTLを
誘発することが見い出された。Fig7のデータは、アジュ
バントとしてNAGOを作用して、インフルエンザペプチド
により免疫付与されたマウスからの細胞毒性T細胞によ
って、ウイルス抗原を発現するターゲット細胞が殺され
ることを示している。マウスには、標準用量のNAGOとと
もに、ペプチドp110を皮下投与し、5週間後に、同一材
料により追加免疫付与した。さらに7週間後に、脾臓を
採取し、この脾臓細胞をペプチドにより、5日間、in v
itro再刺激した。6時間のインキュベーション中に、タ
ーゲット細胞の殺滅が測定された。この測定は、51Crの
放出によって行なわれ、洗剤溶解した細胞からの総放出
パーセンテージとして表わされる。この殺滅はエフェク
ター対ターゲット細胞比の函数として測定される。
例 8 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のgp120サブユニットに対
するT細胞応答におけるNAGOとFreund完全アジュバント
との比較 NAGOがHIVのgp120エンベロープ糖タンパク質サブユニ
ットに対するT細胞プライミングにおいて有効であるこ
とは確立されており、この観点で、NAGOを強力な慣用の
アジュバントであるFreund完全アジュバント(FCA)と
直接に比較した、殺したミコバクテリアを含有する非代
謝性油性アジュバントであるFCAは、ヒトに使用するに
は過激すぎ、かつまた解消できない慢性肉芽腫を発症さ
せる傾向を有する。比較に際しては、バクロウイルス系
(American Biotechnologies Inc.からのgp120 bac)ま
たはチャイニーズハムスター卵巣細胞(Celltech Ltd.
からのgp120CHO)で発現したgp120を抗原として使用し
た(前者のgp120 bacはグリコシル化度が小さい)。Fig
8Aのデータは、NAGO(1uNA+5uGO)を用いて、また標準
用量のFCAを用いて、gp120 bacによって免疫付与された
動物からのT細胞の応答を示している。
マウスには、その尾基底部の背側中央に、gp120 1
μgを皮下投与した。7日後に、限局性(ソケイ部)リ
ンパ結節を標準方法により採取し、この細胞をgp120 ba
cまたはgp120CHOによって、in vitro再刺激した。この
系で、NAGOは、FCAと比較してT細胞応答を明確に5〜1
0倍増加させた。同様にして、アジュバントとしてNAGO
またはFCAを用いて、gp120CHO1μgにより免疫付与され
たマウスのT細胞応答をFig8Bで比較した。T細胞はgp1
20CHOまたはgp120 bacのどちらかで再刺激した。この場
合にも、NAGOはFCAに比較して、2倍有利であった。
例 9 HIVのgp120サブユニットに対する一次および二次抗体応
答の誘発における、NAGOとFreund完全アジュバント。ア
ルヒドロゲム(アルム)およびサポニンとの比較 CBAマウスに、次のアジュバントの中の1種とともにg
p120CHO1μgを使用して、免疫付与した:アルヒドロゲ
ル(100μg)、サポニン(50μg)またFCA(等量のFC
Aととも、乳化させた50μlAg溶液の標準用量)。2週間
後に、血清試料を採取し、グループ毎に集めた。gp120
に対する抗体を次いで、ELISAにより測定した。Fig9Aの
データは、NAGOがアルヒドロゲル(ヒト用の標準的アジ
ュバント)に比較して格別に優れており、アポニンの効
果に匹敵する効果を有することを示している。FCAは、
この一次応答においては、僅かに効果が高い。最初の免
疫付与から12週間後に、プライミングとして同一の方法
(1μg gp120CHO+アジュバント)を用いて、マウス
を追加免疫付与した。1週間後に、血清を採取し、抗体
レベルをELISAによって測定した。滴定最終点がFig9Bに
示されている。アルム(標準的ヒト用アジュバント)は
無視できる量の抗−gp120抗体を生じさせた。これに対
して、NAGOは4匹のうち2匹で、サポニンおよびFCAに
よってもたらされる結果に匹敵する、高力価をもたらし
た。
例 10 バクロウイルス由来の主要マラリア部分接合体表面抗原
(γPMMSA)に対するT細胞プライミングにおける、NAG
OとFreund完全アジュバント、サポニンおよびアルムと
の比較 B10Sマウスを、次のアジュバントとともに、マラリア
ワクチン候補抗原γPMMSA2μgにより免疫付与した:ア
ルム(100μg)、サポニン(50μg)、FCA(標準用
量)、またはNAGO(1単位NA+5単位GO)。7日後に、
標準的方法によりリンパ結節細胞を採取し、γPMMSAに
より再刺激した。Fig10のデータは、NAGOにより、およ
びまたFCAにより、強力なT細胞プライミングが生じた
こと、およびまたこれらの2種のアジュバントが広く匹
敵しうるものであるのに対し、サポニンでは、弱いプラ
イミングが生じたのみであり、またアルムでは有意のプ
ライミングが生じなかったことを示している。
例11 γPMMSAに対する一次抗体応答における、NAGOとFreund
完全アジュバント、サポニンおよびアルムとの比較 B10Sマウスに、例10に記載のとおりの4種のアジュバ
ントの標準用量とともに、γPMMSA2μgを投与した。2
週間後に、血清試料を採取した。この場合に、NAGOはア
ルムに匹敵する実質的なアジュバント効果を生じて。サ
ポニンおよびFCAはこの抗原に対して、さらに強い応答
を生じた。このデータはFig11に示されている。
例12 グループBメニンゴコッカルワクチン(MB6400)に対す
る抗体応答に係るプライミングにおける、NAGOとアルヒ
ドロゲルとの比較 マウスに、リン酸塩緩衝した塩類溶液中のグループB
メニンゴコッカルワクチンMB6400 0.1mlをアジュバン
トとともに、またはアジュバントを使用することなく、
一次皮下免疫付与投与した。標準用量(100μg)のア
ルヒドロゲルを、標準用量(NA1単位+GO5単位)のNAGO
と比較した。一群には、このワクチンとともにGO(5単
位)を投与した。対照群には、ワクチンのみ、またアジ
ュバントのみを投与した。ワクチンの投与量はそれぞ
れ、多糖類に共有結合したタンパク質10μgからなる。
28日後に、全部のマウスに、ワクチンをアルヒドロゲル
100μgとともに、二次皮下免疫付与投与した。7日後
に、血清試料を採取し、酵素結合免疫吸着検定法(ELIS
A)によって、特異抗−多糖類抗体に関して評価した。
これらの結果は、特異抗体の重量/血清の単位容積で表
わされ、Fig12に示されている。NAGOはアルヒドロゲル
に比較して5倍有利な結果をもたらした。
例13 インフルエンザ抗原を認識する細胞毒性T細胞の誘発に
係る、NAGOとサポニン、アルムおよびFreund完全アジュ
バントとの比較 NAGOはT細胞増殖応答の誘発に非常に強力であるが
(FCAに匹敵するか、またはFCAよりも良好である)、こ
の効力は抗体誘発に係るその効力(この効力はFCAまた
はサポニンに比較して幾分劣る)に反映しない。T細胞
の機能は抗体産生を助け、ウイルス感染細胞に対する細
胞毒性応答を作り出すことにある。したがって、NAGOに
よって誘発されるT細胞応答は細胞毒性T細胞誘発傾向
をもたらす。この点を、インフルエンザAの核タンパク
質からのペプチドを使用して試験した。BALB/cマウス
を、この種のマウスに係る主要T−ヘルパー細胞エプト
ープ(216−229)に結合したドミナント細胞毒性T細胞
(CTL)エピトープ(aa147−169)を含有するハイブリ
ドペプチド100μgの皮下投与により、初回抗原刺激し
た。各場合に、標準用量のアジュバントを使用した(FC
A1:1容積/容積、サポニン5μg、アルム100μgまた
はNAGO1単位NA+5単位GO)。3週間後に、同一アジュ
バント中の同一用量のペプチドの皮下投与により、マウ
スを追加免疫付与した(ただし、FCA群では、肉芽腫形
成応答を最低にするために、ミコバクテリアを含有して
いないFreund不完全アジュバントを投与した)。対照マ
ウスには、ペプチドのみ、またはアジュバントのみを投
与した。全群の応答を、生きているA/PR8ウイルスを鼻
内感染させたマウスで比較した。
この方法は以下のとおりである:二次免疫後の少なく
とも3週間の時点で、脾臓を取り出し、この脾臓細胞
を、PR8感染脾臓細胞、または同種免疫付与性ペプチド
でパルスした脾臓細胞あるいは未処置脾臓細胞により、
in vitro刺激した。5日後に、PR8ウイルスに感染して
いるか、またはペプチドaa147−160(CTLにより認識さ
れるペプチド)によりパルスされているか、または対照
として未処置の、ラベルしたP815腫瘍細胞から放出され
51Crを使用して、CTL発現を測定した。9組のデータ
が得られる。すなわち、細胞が3種の方法(ウイルス感
染した、ペプチドパルスした、または未処置の脾臓細
胞)でin vitro再刺激されており、これらの3種の方法
のそれぞれについて、ウイルス感染した。ペプチドパル
スした、または未処置のP815−5細胞からなる3種のタ
ーゲットが存在していた。
このデータはFig13Aに示されている。A欄は、上記3
種のターゲット、すなわちウイルス感染したターゲット
(a)、ペプチドパルスしたターゲット(b)、または
未処置のターゲット(c)に対するウイルス感染した脾
臓細胞によるin vitro刺激後の応答を示している。B欄
は、同一の3種のターゲットに対するペプチドパルスし
た脾臓細胞によるin vitro刺激後の応答を示している。
C欄は、同一の3種のターゲットに対する正常脾臓細胞
によるin vitro刺激後の応答が示されている。
A欄のデータは、生きているウイルスによる鼻内感染
が、ウイルス感染細胞によるin vitro再刺激に係るCTL
の初回抗原刺激に関し、最も強力な方法であることを示
しており、これは予想外のことではない。しかしなが
ら、ペプチドによる非常に良好なプライミングがまた、
FCAおよびNAGOを用いて得られ、この2種の効果は匹敵
するものである。サポニンはまた、ペプチドによる良好
な初回抗原刺激をもたらすが、効果は僅かに劣る。ペプ
チドによる有意のプライミングはまた、アルムの場合に
も見出されたが、この効果は他の3種のアジュバントよ
りも小さかった。同様の様相がペプチド−パルスしたタ
ーゲットにおいても得られた。一番下の図はAg−陰性タ
ーゲット細胞からの51クロムの非特異的放出を示してい
る。
B欄のデータは、ペプチド−パルスした脾臓細胞によ
るin vitro再刺激に係るT細胞プライミングにおいて、
NAGOがFCA、サポニンまたはアルムよりも強力であるこ
とを示している。これは、ウイルス−パルスしたターゲ
ットおよびペプチド−パルスしたターゲットの両方によ
る場合であった。ウイルス感染ターゲットの場合には、
NAGO+ペプチドは、ペプチド−パルスした脾臓細胞によ
り再刺激のための最も強力なプライマーとして、生きて
いるウイルス感染と同等であった。C欄のデータは、in
vitro二次刺激が存在しない場合には、有意細胞毒性が
検出されなかったことを示している。
この例で証明された細胞毒性T−リンパ球は抗−CD8
抗体によって阻害されるが、抗−CD4抗体によっては阻
害されなかった。これらの細胞はMHCクラスI陽性ター
ゲット細胞を溶解するが、クラスII陽性ターゲット細胞
は溶解しなかった。このことは、これらが通常のクラス
I−制限CD8+CTLであることを示している。このような
細胞はウイルス感染に対する防御の主要メデイエーター
であるように見える。NAGOが生きているウイルスに感染
した細胞を認識するペプチド特異性CTLの誘発に有効な
アジュバントであることに留意することも重要である。
この性質がペプチド基材ワクチンのいずれにとっても、
必要であることは勿論のことである。
免疫付与したマウスにおいて、CTL発現に関する増殖
応答をまた、追跡試験した。この方法は上記の方法にし
たがった。二次免疫付与後の3週間目に、脾臓細胞を採
取した。増殖応答に係るプライミング能力はCTL応答の
誘発能力と充分に相関関係を有していた。アルヒドロゲ
ルは、NAGO、FCAまたはサポニンに比較して、その効果
は実質的に小さかった。このデータはFig13Bに示されて
いる。ハイブリド(CTL+ヘルパー)ペプチドに対する
応答はAに示されている。ヘルパーデターミナントのみ
に対する応答はBに示されており、CTLデターミナント
のみに対応する応答はCに示されている。明白なよう
に、大部分の増殖応答はヘルパーデターミナントに向け
られている。
例14 新規アジュバントNAGOの最適用量 GO単独(5単位)のアジュバント効果を、同一用量の
GOを下記2種の微生物源からのノイラミニダーゼ2.5単
位と組合せた場合と比較した:クロストリジウム ペル
フリンゲンス(Clostridium perfringens)およびビブ
リオ コレラエ(Vibrio cholerae)。使用抗原は、BIO
Sマウスの'flu NPからの免疫優性(immunodominant)ペ
プチドaa260−283(1μg/マウス)であった。T細胞プ
ライミングは標準法により測定した。この結果はFig14A
に示されている。GO単独でも良好なアジュバント効果が
生じるが、NA+GO組合せは実質的に優れていた。2種の
異なる微生物源からのノイラミニダーゼは均等に有効で
あった。
1:2のノイラミニダーゼ:ガラクトースオキシダーゼ
の固体比率におけるNAGO(ビブリオ コレラエからのNA
を使用)の最適用量の測定をFig14Bに示す。in vivo使
用NAGO濃度はx軸に示されている。各曲線は、in vitro
抗原の一定濃度における応答を示す。NA0.75単位+GO1.
5単位に、明白な最適値が見い出された。用量を多くし
た場合にアジュバント効果の減少が生じる可能性が、in
vitroで検出され、このデータはFig14C−Eに示されて
いる。NAGOの直接(Ag−独立性)分裂誘発効果(mitoge
nic effect)を、末梢血液単核細胞(PMBC)培養物にNA
GOを加えることによって評価した。上記で見出された最
適値以上の1:3NA:GOの固定比率で、非常に顕著な抑制が
見出された(Fig14C)。ノイラミニダーゼとガラクトー
スオキシダーゼとを次いで、PBMC増殖に体するそれらの
効果に関して、別々に試験した。NAのみによっては、若
干の増殖が生じたが、これは用量を増加することによっ
て、急激に制限された(Fig14D)。これに対して、GOの
分裂誘発効果は用量を10単位/mlまで増加しても制限さ
れなかった(Fig14E)。ノイラミニダーゼは用量を増加
することによってその応答が制限され、ガラクトースオ
キシダーゼは制限されないことから、100μl当りで、N
A1単位で+GO5単位の標準用量がin vivo用途に適してい
た。
例15 NAGOの非反応原性 マウスに皮下投与したNAGOは顕微鏡レンズでも見るこ
とはできなかった。NAGO皮下投与の顕微鏡的作用を検査
するために、NAGOとアルヒドロゲルとの比較組織学的試
験を行なった。8周令の雌のマウスを使用した。第一群
(6匹のマウス)には、標準用量(100μg)のアルヒ
ドロゲルを皮下投与し、第二群には標準用量(ノイラミ
ニダーゼ1単位+ガラクトースオキシダーゼ5単位)の
NAGOを皮下投与した。試験は2種のマウス:BALB/Cおよ
びBIOSで重複して行なった、注入後の1週間目、3週間
目および6週間目に、各群から2匹のマウスを犠牲に
し、注入部位付近の組織を採取し、組織学検査用に固定
した。初めに、皮膚試料を顕微鏡検査し、存在する病巣
を同定し、次いで重篤度を尺度評価した。この後で、試
料のさらに詳細な評価を行なった。この評価には、各皮
膚試料の皮下組織に存在する組織タイプの定量およびそ
れらの分布パーセンテージが含まれる。NAGOを与えた2
匹のマウスに反応が全く示されなかった場合を除いて、
全ての処置マウスが皮下注射部位に、極少から僅かなま
での重篤度で、低度の反応が見られた。どちらのアジュ
バントを皮下注射しても生じた、皮下組織の低度の炎症
応答は、若干の線繊芽細胞とともに、かつまたコラーゲ
ン沈着をともなう、マクロファージ、単球、好酸球およ
び好中球による細胞浸潤を特徴としていた。2種の動物
間の差違は明白でなく、また時間の経過にともなう病因
の差異に係る明白なパターンも見られなかった。炎症応
答はいずれも、非常なおだやかであったが、NAGOはアル
ヒドロゲルに比較して僅かに弱い炎症を生じさせた。
NAGOの反応原性に係る問題は、これらの酵素それら自
体の免疫原性の程度である。
バクテリア由来酵素は最も普遍的な群の抗原の一つで
あり、初めには、正常環境に存在する。正常なマウスの
血清が、ガラクトースオキシダーゼと反応する抗体を、
そしてまたノイラミニダーゼと僅かに少ない程度で反応
する抗体を検出できるレベルで含有することが見出され
たことは驚くようなことではない。標準用量のNAGO(マ
ラリアAg rPMMSAと一緒に投与した場合)は、ガラクト
ースオキシダーゼに対する抗体レベルの若干の増大のみ
をもたらし、かつまたノイラミニダーゼに対する抗体に
関しては、ほとんど検出できない増大をもたらした。最
適アジュバント効果に必要な酵素量は、細胞に対する局
所的作用の可能性があるのみであるほど非常に少なく、
このことは組織病理学的試験で見られる皮下組織細胞浸
潤で、有意の変化が存在しないことによって確認され
る。或る種のバクテリア感染の期間中に、ヒトにおいて
非常に高い前進レベルの微生物由来ノイラミニダーゼが
生じる。それらの病態生理学的作用は不明のままであ
る。
参考例1 ガラクトースオキシダーゼの活性検定 単位定義:1単位は、パーオキシダーゼおよびo−トルイ
ジン系中において、pH6.0、25℃で、1分間あたり1.0の
ΔA425nmを生じさせる。反応量=3.4ml、1cm光路。
活性検定 I.試薬 A.0.1Mリン酸カリウム緩衝液、25℃でpH6.0。
(これは、0.1M KH2PO4溶液と0.1M K2HPO4溶液とを混
合して、6.0の最終pHを得ることによって調製され
る)。
B.0.5(w/v)o−トルイジン溶液 (これは試薬品質のメタノール10ml中にoトルイジン、
Prod.No.T−3501、50mgを溶解して得られる。0〜5℃
で保存)。
C.染料−緩衝剤溶液 (これは、試薬Aリン酸カリウム緩衝液12ml中に試薬B.
o−トルイジン、0.1mlを添加し、充分に混合することに
よって得られる)。
D.10%(w/v)ガラクトース基質溶液 (これは、脱イオン化H2O約5.0ml中に、D(+)ガラク
トース、Prod.No.G−0750、1.0gを溶解し、脱イオンH2O
により、10mlの最終溶液まで希釈することによって得ら
れる)。
室温で2時間放置し、変旋光させる。
E.パーオキシダーゼ酵素溶液 (使用の直前に、約5プルプロガリン単位/mlを含有す
る脱イオン化H2O中の溶液として調製する)。
F.ガラクトース オキシダーゼ酵素溶液 (使用の直前に、約0.5単位/ml含有冷試薬A中で溶液と
して調製する)。
該当する場合に、上記試薬濃度はいずれも、無水分子
量にもとづいている。
II.方法 石英またはシリカ製のキュベット(1cm光路)中に、
下記のとおりにピペットで装入する: 試薬 C(染料−緩衝液) 1.70ml 試薬 D(ガラクトース) 1.50ml 試薬 E(パーオキシダーゼ) 1.10ml 反転により混合し、次いで25℃で平衡化する。空気を用
いる適当な温度制御スペクトロホトメーターまたは対照
として脱イオン化H2Oを有するキュベットを使用して、
一定になるまで、A425nmを追跡検査する。下記試薬を加
える: 試薬 F(ガラクトース オキシダーゼ) 直ちに、反転により混合し、次いでA425nmの増加を記録
する。最高線状比率を使用して、A425nm/mlを得る。
III.計算 参考例2 ノイラミニダーゼ活性の単位 ノイラミニダーゼ活性の1単位は、37℃で15分の間
に、ヒト血清(フラクション1、Dische)から得た糖タ
ンパク質からのN−アセチルノイラミン酸1μlを遊離
する酵素の量に等しい(N−アセチルノイラミン酸は、
Schuitze等、Biochem.1958,239,490の方法によって測定
される)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 39/39 CA(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗原成分およびアジュバント成分として、
    ノイラミニダーゼおよびガラクトース オキシダーゼを
    含有するワクチン製剤。
  2. 【請求項2】ノイラミニダーゼが、ビブリオ コレラエ
    (Vibrio cholerae)またはクロストリジュウム ペル
    フリンゲンス(Clostridium perfringens)に由来する
    ものである、請求項1に記載の製剤。
  3. 【請求項3】ガラクトース オキシダーゼが、ダクチリ
    ウム デンドロイデス(Dactylium dendroides)に由来
    するものである、請求項1または2に記載の製剤。
  4. 【請求項4】ノイラミニダーゼ対ガラクトースオキシダ
    ーゼの比率が活性単位で、1:2−1:10である、請求項1
    から3のいづれか一項に記載の製剤。
  5. 【請求項5】ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキ
    シダーゼを、当該製剤100μlあたりで、それぞれ0.2−
    1.2活性単位および2−8活性単位の量で含有する、請
    求項1から4のいづれか一項に記載の製剤。
  6. 【請求項6】ペプチド、タンパク質または炭水化物の抗
    原を含有する、請求項1から5のいづれか一項に記載の
    製剤。
  7. 【請求項7】抗原成分が、バクテリア、菌類、原生動
    物、またはウイルス抗原である、請求項1から6のいず
    れか一項に記載の製剤。
  8. 【請求項8】加熱殺滅したまたは弱体化した、全有機物
    ワクチンである、請求項1から7のいずれか一項に記載
    の製剤。
  9. 【請求項9】ノイラミニダーゼおよびガラクトースオキ
    シダーゼからなるワクチン アジュバント。
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