JP3051559B2 - 開閉ドームのシール構造 - Google Patents

開閉ドームのシール構造

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JP3051559B2
JP3051559B2 JP4101281A JP10128192A JP3051559B2 JP 3051559 B2 JP3051559 B2 JP 3051559B2 JP 4101281 A JP4101281 A JP 4101281A JP 10128192 A JP10128192 A JP 10128192A JP 3051559 B2 JP3051559 B2 JP 3051559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィールドの天井部を
構成するドームが、複数のドームセクションに分割さ
れ、前記複数のドームセクションが移動することによっ
て開閉する開閉ドームに用いられ、前記開閉ドームの閉
止状態で各ドームセクションの隙間をシールする開閉ド
ームのシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、競技場にドーム型の屋根(以下、
単にドームという)を取付けて全天候型の競技場とする
ことがなされている。これにより、天候に拘わらず競技
を行うことができる。また、空調も所望の温度及び湿度
に制御することができるため、季節に関係なく、様々な
競技やイベント等に利用することができる。
【0003】しかし、常時閉塞された競技場では、常に
照明、空調等の管理をする必要があり、これを解決する
ために、晴天等のように屋外での競技が可能な場合は屋
根を開き、雨天等のように屋外での競技が不可能な場合
には屋根を閉じる所謂開閉型のドームが考えられてい
る。
【0004】開閉型ドームの一例として、ドームを3分
割して各々(以下ドームセクションという)を所謂銀杏
の葉の如き扇型に形成し、各ドームセクションの円弧状
の外周を、フィールドの外周に立設された壁体の上部に
支持する構造がある。3分割されたドームセクションの
内の1個を固定ドームセクションとし、前記円弧状の外
周部分を壁体上部に固定する。また、他の2個を可動ド
ームセクションとし、円弧状の外周部分を前記壁体上部
に設けられた円弧状のレールに連結し、このレールに沿
って移動可能としてる。
【0005】各ドームセクションは同一形状であるた
め、開放時には、2つの可動ドームセクションが互いに
重なり合い、さらに固定ドームセクションにも重なるよ
うに可動ドームセクションを移動させる。これにより、
ドームの2/3が開放される。また、雨天等によりドー
ムを閉止する場合には、可動ドームセクションをそれぞ
れ同一回転中心で反対方向へ移動させ、3つのドームセ
クションの一部が重なった状態とする。これによりドー
ムは全閉状態となる。このように、ドームを複数のドー
ムセクションに分割して移動可能とすることにより開閉
ドームを実現することができる。
【0006】ところで、上記複数のドームセクションに
分割した場合、特に閉止状態での雨漏り等を防止し、空
調の効率を考慮してある程度の気密性を得るためには各
ドームセクションの隙間をシールする必要があるが、こ
のシールの構造が問題となる。例えば、ドームを閉止し
た状態で下段となるドームセクションの上面と、上段と
なるドームセクションの下面と、を弾性体等から成るフ
ィンを用いて常に接触させるようにしたシールが考えら
れるが、ドームの開閉に伴って前記フィンが摺動するこ
とになるので、フィンとしての弾性体が経時劣化し易
い。この経時劣化により気密性が失われ、雨漏り等を起
こすことがある。
【0007】このため、各隙間における下段側のドーム
セクション上面に、可撓性を有し断面が円形のチューブ
を配設し、ドーム開閉動作後に前記チューブ内に空気等
を送り込み内圧を高くして膨張させ、その外周を上段側
のドームセクションの下面に接触させる構造のシールが
考えられている。これにより、ドーム開閉動作時には内
圧を低くしてチューブの外周とドームセクションとを離
間させておくことができるので、経時劣化しにくい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チュー
ブの外周をドームセクションに接触させるためには、膨
張時のチューブの隙間方向の寸法をドームセクション間
の隙間よりも大きくしなくてはならない。チューブ内に
空気等を送り込むとチューブ内面に均等に圧力が加わ
り、断面が円形の状態を維持して均等に膨張するので、
外周がドームセクションに接触した状態におけるチュー
ブの断面積が大きく、チューブの外周をドームセクショ
ンに接触させるためにチューブ内に送り込む空気の量が
多いので、チューブを膨張させシール状態とするための
時間が増加し、ドームの開閉に時間を要することにな
る。
【0009】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、短時間でシール状態とすることができ、ドームの開
閉時間を短縮することができる開閉ドームのシール構造
を得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る開閉ドームのシール構造は、フィールド
の天井部を構成するドームが、複数のドームセクション
に分割され、前記複数のドームセクションが移動するこ
とによって開閉する開閉ドームに用いられ、前記開閉ド
ームの閉止状態で各ドームセクションの隙間をシールす
る開閉ドームのシール構造であって、前記閉止状態で下
段側となるドームセクションに前記隙間の全長に亘って
設けられたプレートと、前記ドームセクションの間に前
記隙間の全長に亘って配設され前記プレートと接触した
ときにプレートとの間をシールする弾性部材と、プレー
トに接触するように流体の圧力によって前記弾性部材を
移動させる移動手段と、前記閉止状態で上段側となるド
ームセクションと弾性部材との間を隙間の全長に亘って
シールすると共に弾性部材の移動に伴って伸縮する伸縮
部材と、を有している。
【0011】
【作用】本発明では、開閉ドームの閉止状態で下段側と
なるドームセクションに隙間の全長に亘ってプレートを
設け、ドームセクションの間に隙間の全長に亘って弾性
部材を配設している。弾性部材はプレートと接触したと
きにプレートとの間をシールする。また、閉止状態で上
段側となるドームセクションと弾性部材との間を隙間の
全長に亘ってシールすると共に弾性部材の移動に伴って
伸縮する伸縮部材を設けている。従って、移動手段によ
り弾性部材が移動され弾性部材とプレートとが接触する
と、閉止状態で上段側となるドームセクションと、閉止
状態で下段側となるドームセクションと、の隙間がシー
ルされる。このように、弾性部材を移動させることによ
ってシール状態とすることができるので、従来と比較し
てシールするためにチューブ等の部材を膨張させる必要
がなく、短時間でシール状態とすることができ、ドーム
の開閉時間を短縮することができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1及び図2には本実施例に係るドーム球
場10の平面図及び斜視図が示されている。このドーム
球場10は階段状の観客席14と競技が行われるフィー
ルド16とを備えている。この観客席14とフィールド
16とはフェンス18によって仕切られている。また、
観客席14及びフィールドの外周には円筒状の壁体12
が地上に立設されている。図2に示すように、壁体12
はその上部内周側が傾斜面とされ、この傾斜面上に2本
の溝20、22(図3も参照)が回転中心CLを中心と
して円形状に設けられている。この溝20、22よりも
下側には、前記ドーム球場10の屋根24(以下、ドー
ムという)の一部を構成する固定ドームセクション26
(判り易くするために図3に縦方向ハッチングで表示)
が支持されている。
【0013】図3に示すように、固定ドームセクション
26は、その外形が銀杏の葉に酷似した扇型とされてお
り、ドーム球場10の上方空間の約1/3を占めてい
る。固定ドームセクション26の外周側の円弧状部は壁
体12に固定されている。図4に示すように、この壁体
12からは略V字型の支持部材28が突出されており、
この支持部材28はトラス構造の固定ドームセクション
26の骨組に連結されている。これにより、固定ドーム
セクション26に加わる荷重が全てこの支持部材28を
介して壁体12へ伝達される。
【0014】図4に示すように、溝20、22は、その
開口部奥側の幅寸法が開口部の幅寸法よりも拡大されて
おり、支持台車30、32の収容部34、36とされて
いる。上側及び下側の溝20、22に於ける収容部3
4、36の所定の各部位にはレール38が、溝20、2
2に沿うように回転中心CLを中心として円形状に敷設
されている。レール38は1つの収容部内に合計6本配
設されており、それぞれ支持台車30、32に軸支され
たローラ40に対応している。従って、支持台車30、
32は、ローラ40を介して6本のレール38に支持さ
れている。
【0015】支持台車30、32からは、略V字型の支
持部材42、44が突出されており、この支持部材4
2、44は、前記固定ドームセクション26と共にドー
ム24を構成するトラス構造の可動ドームセクション4
6、48の骨組に連結されている。これにより、可動ド
ームセクション46、48に加わる荷重が全てこの支持
部材42、44及び支持台車30、32を介して壁体へ
伝達される。なお、図3において上側の可動ドームセク
ション46には右上がりハッチングを付し、下側の可動
ドームセクション48には右下がりハッチングを付して
示している。固定ドームセクション26及び可動ドーム
セクション46、48は、上記骨組が外板50によって
被覆され(図4では上側の可動ドームセクション46の
外板のみを図示)、ドームの内外を遮蔽している。
【0016】固定ドームセクション26と可動ドームセ
クション46、48とは縦断面が同心円上に構成され、
図2に示すように、固定ドームセクション26の上側に
可動ドームセクション46、48が重なった状態がドー
ム開放状態とされる。可動ドームセクション46、48
を支持する支持台車30、32は、図示しない駆動手段
の駆動力で前記レール38に沿って移動される。このと
き、上側の可動ドームセクション46及び下側の可動ド
ームセクション48は互いに反対方向(図3の矢印A方
向、B方向)へ移動され、それぞれ約120°回転移動
された時点で図3に示すように側縁一部が重なり合うこ
とになる(図3参照)。この状態がドーム閉止状態とさ
れている。
【0017】このドーム閉止状態において、上側の可動
ドームセクション46と下側の可動ドームセクション2
6との間には所定の隙間(図4及び図5に示す寸法C、
一例として約60cm)が生じている。また、下側の可動
ドームセクション48と固定ドームセクション26との
重なり合う部分にも所定の隙間(図4及び図5に示す寸
法C、一例として約60cm)が生じている。一方、固定
ドームセクション26には、ドーム閉止状態で上側の可
動ドームセクション46と重なり合う側縁の側端部26
Aから、上側の可動ドームセクション46に向けて、す
なわち垂直上方にリブ52(図2参照)が立設されてい
る。このリブ52の上端は下側の可動ドームセクション
48の上端と同高さとされており、これにより、ドーム
閉止状態におけるリブ52の上端部と上側の可動ドーム
セクション46の下端面との隙間も約60cmとされてい
る。
【0018】このように、3つのドームセクション2
6、46、48は、ドーム閉止状態において互いに重な
り合う部分の上下隙間が一定(約60cm)とされてお
り、可動ドームセクション46、48の移動時に互いに
干渉することはない。また、可動ドームセクション4
6、48の回転中心CL付近は、可動ドームセクション
46、48の位置に拘わらず平面的に見て3つのドーム
セクション26、46、48が常に重なり合っており、
各ドームセクションは2箇所のそれぞれの隙間部分(こ
の回転中心CL付近では可動ドームセクション46、4
8が薄肉とされ隙間寸法が広くされている)において、
図5に示すようにショックアブソーバ54、56によっ
て連結されている。
【0019】ショクアブソーバ54、56は、周知のよ
うにピストンによって分割された2室間を流体が所定の
径寸法のオリフィスを通過して移動することにより衝撃
を緩和する構成となっている。このショクアブソーバ5
4、56は、緊急時に例えば地震や強風等の外乱が加わ
った場合に、ドームセクション26、46、48が揺れ
て互いに接触しあうことを防止している。
【0020】このように構成されたドーム24は、晴天
等の天候の良い場合には開放し、雨天等の天候の悪い場
合には閉止することにより、全天候型でかつ開放感ある
ドーム球場10とすることができる。
【0021】また、図3に示すようにドーム閉止状態で
互いに重なり合う部分の隙間には、回転中心CLから外
周側の円弧状部に亘って略放射状にシール部58が配設
されている。以下、固定ドームセクション26と下側の
可動ドームセクション48との隙間に配設されたシール
部58を例に説明する。
【0022】図7に示すようにシール部58は、上段側
のドームセクション(可動ドームセクション48)に取
付けられたチューブ60と、下段側のドームセクション
(固定ドームセクション26)に設けられたステンレス
製の水切りプレート72と、を備えている。チューブ6
0及び水切りプレート72は、可動ドームセクション4
6、48が移動されドーム閉止状態になると、図7に示
すように対応する。
【0023】チューブ60は、上段側の可動ドームセク
ション48と下段側の固定ドームセクション26との間
に前記隙間の全長に亘って配設されたステンレス製のプ
レート63を備え、このプレート63の固定ドームセク
ション26側には隙間の全長に亘り弾性部材としての一
対のチューブ70が取付けられている。チューブ70は
クロロプレンゴム製で、内部の圧力が所定値となるよう
に予め空気が充填されている。後述する移動手段によっ
てプレート63が固定ドームセクション26に接近する
方向へ移動されると、チューブ70は固定ドームセクシ
ョン26に設けられた水切りプレート72に接触して密
着し、さらにプレート63が移動されることによって弾
性変形して密着し(図7に想像線で示す状態)、水切り
プレート72との間を隙間の全長に亘ってシールする。
【0024】また、プレート62の両端には、クロロプ
レンゴム製で蛇腹62A形成され前記隙間の全長に亘
って可動ドームセクション48とプレート63との間、
すなわち可動ドームセクション48とチューブ70との
間をシールする伸縮部材62が取付けられている。伸縮
部材62は蛇腹62Aによって、チューブ70及びプレ
ート63が固定ドームセクション26に接近離間する方
向へ移動した場合に容易に伸縮することができるように
なっている。
【0025】可動ドームセクション48には、チューブ
60の配設部位に対応する位置に、チューブ60の長手
方向に沿って所定間隔毎にロッド64が配設されてい
る。ロッド64は支持部材67を介して可動ドームセク
ション48に支持されており、軸線方向に沿って移動可
能とされている。ロッド64の先端部はブラケット68
を介してプレート63の内面に固定されている。また、
可動ドームセクション48はロッド64配設部位近傍
に、ピン69を介してシリンダ本体65を回動可能に支
持している。シリンダ本体65は、図示しない圧力変更
手段によって内部に収容している流体の圧力が変更され
ることによってシリンダ本体65からのシリンダロッド
66の突出長さを変化させることができる。シリンダロ
ッド66の先端部はロッド64の中間部に設けられたブ
ラケット64Aに連結されている。
【0026】シリンダ本体65、シリンダロッド66、
ロッド64は本発明の移動手段を構成しており、ドーム
が閉止された状態で、シリンダ本体65はシリンダロッ
ド66の突出長さを大きくする。これより、ロッド64
が図7矢印D方向へ移動し、伸縮部材63の折り畳まれ
ていた蛇腹62Aが伸長されると共に、チューブ70及
びプレート63が固定ドームセクション26に接近する
ように移動される。また、可動ドームセクション46、
48の移動時等においてシリンダロッド66の突出長さ
が小さくされると、ロッド66が図7矢印E方向へ移動
し、伸縮部材62の蛇腹62Aが折り畳まれると共に、
チューブ70及びプレート63が固定ドームセクション
48から離間する方向へ移動される。
【0027】一方、水切りプレート72が取付けられた
部位の側壁には、チューブ60の長手方向に沿って断面
略L字型の案内部材73が取付けられており、排水溝7
4が形成されている。排水溝74内には排水管75の一
端が開口しており、ドーム閉止状態で固定ドームセクシ
ョン26と可動ドームセクション48との隙間に侵入し
た雨水は、排水溝74、排水管75を通過して排水され
る。
【0028】このようなシール構造は、固定ドームセク
ション26に設けられたリブ52上端と上側の可動ドー
ムセクション46の下面との間、下側の可動ドームセク
ション48の上面と上側の可動ドームセクション46の
下面との間にもそれぞれ配設されている。
【0029】また、ショックアブソーバ54、56が取
付けられたドームセクション26、46、48の回転中
心CL付近では、ドーム閉止状態において各ドームセク
ションが図8に示すように重なり合う。この回転中心C
L付近では、図6(チューブ60のみ図示)に示すよう
に、固定ドームセクション26と下側の可動ドームセク
ション48との隙間にショックアブソーバ54を取り囲
むように円弧状シール部76が配設され、下側の可動ド
ームセクション48と上側の可動ドームセクション46
との隙間にショックアブソーバ56を取り囲むように円
弧状シール部76が配設されている。
【0030】なお、固定ドームセクション26上の円弧
状シール部76は約1/2円弧とされ、下側の可動ドー
ムセクション48の上面の円弧状シール部76は約3/
4円弧とされ、各々回転中心CLよりも固定ドームセク
ション26、可動ドームセクション48の扇型円弧状外
周部寄りに配置されている。この円弧状シール部76の
は前記シール部58が延長されて構成されている。
【0031】また、固定ドームセクション26のリブ5
2の側壁78(図9参照)には縦壁チューブ84が取付
けられており、ドーム閉止状態で前記リブ52の側壁チ
ューブ84取付部位に対応する下側の可動ドームセクシ
ョン48の側壁80(図9参照)には縦壁チューブ86
が取付けられている。この縦壁チューブ84、86は縦
壁シール部82を構成しており、各々の端部は閉塞され
ている。
【0032】前記リブ52の側壁78と可動ドームセク
ション48の側壁80とは、ドーム開放時に離間され、
ドーム閉止時には接近することになるが、縦壁チューブ
84、86がドーム閉止状態で互いに接触することによ
り縦壁78、80の隙間がシールされる。上記シール部
58、円弧状シール部76及び縦壁シール部82は、ド
ーム閉止状態では、図6に示される形状となり、3つの
ドームセクション26、46、48の隙間を全て埋め尽
くすことができる。
【0033】図9に示すように、縦壁78、80におけ
る縦壁チューブ84、86配設部位には、縦壁チューブ
84、86の長手方向に沿った複数箇所に孔88が設け
られている。孔88にはシリンダロッド90が貫通して
おり、このシリンダロッド90は縦壁チューブ84、8
6内に突出している。シリンダ本体92は、縦壁部7
8、80の縦壁チューブ84、86の配設側とは反対側
に固定されており、油圧によってシリンダロッド90を
伸縮させることができる。シリンダロッド90の先端部
には、押圧プレート94が取付けられており、ドーム閉
止状態で、シリンダロッド90を伸長させることによ
り、押圧プレート94が縦壁チューブ84、86を横方
向に押圧する構成となっている。これにより、縦壁チュ
ーブ84、86は重力によってだれることなく互いに密
着される。
【0034】次に本実施例を作用を説明する。天候が晴
天等の場合は、図2に示すように、可動ドームセクショ
ン46、48は固定ドームセクション26上に全面に亘
って重ね合わされる。これにより、壁体12に囲まれた
観客席14及びフィールド16の上方は、約2/3に亘
って開放され、開放感をもたせることができる。また、
ドーム24の開放により空調等を作動させる必要がなく
なり、さらに昼間は照明を点灯する必要もなくなるので
省エネルギーを実現できる。このとき、シリンダ本体6
5からのシリンダロッド66の突出長さは小さく、チュ
ーブ60は図7に実線で示す位置に保持されている。ま
た、側壁78と側壁80とが離反しているため、側壁チ
ューブ84、86も接触していない。
【0035】天候が雨天等の場合は、図示しない駆動手
段が駆動され、可動ドームセクション46、48を支持
している支持台車30、32がレール38に沿って移動
する。この移動は、上側の可動ドームセクション46と
下側の可動ドームセクション48とが互いに相反する方
向(図3の矢印A方向、B方向)へ回転移動する。この
可動ドームセクション46、48の回転移動によって、
可動ドームセクション46、48は徐々に固定ドームセ
クション26との重なり部分が減少していく。可動ドー
ムセクション46、48がそれぞれ約120°回転する
と、上側の可動ドームセクション46と下側の可動ドー
ムセクション48との外縁の一部(回転中心CL近傍側
から外周まで連続されている側部)が重なり合う。これ
によって、壁体12に囲まれた観客席14及びフィール
ド16の上方はドーム24が形成され、閉止される。
【0036】ところで、この可動ドームセクション4
6、48の回転移動中にチューブ70が水切りプレート
72を含む他の部材と接触、摺動することはないので、
このチューブ70を含むシール部58が損傷したり、摺
動によって早い時期に経時劣化することはない。しか
し、この状態では各ドームセクション26、46、48
間には隙間が生じており(約60cm)、気密性の低下及
び雨漏りの原因となる。
【0037】このため、本実施例では、可動ドームセク
ション46、48の回転移動でドーム24を形成し、チ
ューブ60と水切りプレート72が対応した後に、シリ
ンダ本体65からのシリンダロッド66の突出長さを長
くして、チューブ70及びプレート63が隙間を挟んで
対向する下段側のドームセクションに接近するように移
動させる。この移動によりチューブ70が下段側のドー
ムセクションに設けられた水切りプレート72に当接
し、さらにチューブ70が弾性変形することによって密
着する。
【0038】この状態で上段側のドームセクションとチ
ューブ70との間は伸縮部材62によってシールされて
いるので、ドームセクションの隙間は隙間の全長に亘っ
てシールされることになる。このように、チューブ70
を移動させることによってシール状態とすることができ
るので、従来と比較して短時間でシール状態とすること
ができ、ドーム開閉時間を短縮することができる。な
お、このシール状態でシール部58に雨水等が侵入した
場合、この雨水は排水溝74、排水管75を介して排水
される。
【0039】ところで、各ドームセクションの重なり部
分は上記シール部58によって確実にシールすることが
できるが、可動ドームセクション46、48の回転中心
部にも隙間が存在しており、この回転中心部の隙間もシ
ールする必要がある。さらに、各ドームセクションには
厚みがあるので、フランジ52の縦壁78と、ドーム2
4の開閉に応じて接近離間する下側の可動ドームセクシ
ョン48の側壁80との間をシールする必要がある。
【0040】このため、本実施例では図6に示すように
前記チューブ60及び水切りプレート72(図示せず)
を取回してショックアブソーバ54、56を取り囲むよ
うに円弧状シール部76を配設すると共に、縦壁78、
80にそれぞれ縦壁チューブ84、86を配設した。す
なわち、固定ドームセクション26のショックアブソー
バ54取付位置周りに沿って円弧状シール部76を連設
し、その先端部を固定ドームセクション26と下側の可
動ドームセクション48とのシール部58のチューブ6
0に連接した。さらに、固定ドームセクションのリブ5
2の先端に沿って可動ドームセクション46に配設した
チューブ60とは別に、リブ52の側壁78に縦壁チュ
ーブ84を配設した。
【0041】また、下側の可動ドームセクション48と
上側の可動ドームセクション46との間のシール部58
のチューブ60に連続して下側の可動ドームセクション
48の回転中心周りに沿って円弧状シール部76を配設
し、さらに下側の可動ドームセクション48の縦壁80
にチューブ60と別に縦壁チューブ86を配設した。こ
れにより、ショックアブソーバ54、56周りのシール
が完全となり、気密性の保持及び雨漏り等を防止するこ
とができる。
【0042】また、本実施例の可動ドームセクション4
6、48の回転中心部はショックアブソーバ54、56
によって連結しているため、地震や強風等の緊急時に各
ドームセクションが揺動しても、その揺動を緩和するこ
とができると共に互いに接触する等の不具合が生ずるこ
とはない。
【0043】なお、本実施例では弾性部材としてチュー
ブ70を用いていたが、対向するドームセクションに接
触し弾性変形して密着できるものであればよく、例えば
弾性変形可能なフィン等を用いることができる。
【0044】また、本実施例ではシリンダ本体65及び
シリンダロッド66によってチューブ70を移動させる
ようにしていたが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、例えば、チューブ60内部に空気を送り込むこと
によりチューブ60を膨張させてチューブ70を移動さ
せるようにしてもよい。この場合にも、伸縮部材62に
形成された蛇腹62により、チューブ60が対向するド
ームセクションに接近する方向以外の方向へ膨張するこ
とはなく、チューブ70が短時間で移動されシール状態
となる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、開閉ド
ームの閉止状態で下段側となるドームセクションに隙間
の全長に亘ってプレートを設け、ドームセクションの間
に隙間の全長に亘って弾性部材を配設し、伸縮部材によ
って閉止状態で上段側となるドームセクションと弾性部
材との間を隙間の全長に亘ってシールすると共に、プレ
ートと接触するように弾性部材を移動させるようにした
ので、短時間でシール状態とすることができ、ドームの
開閉時間を短縮することができる、という優れた効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドームの閉止状態を想像線で示すドーム球場の
平面図である。
【図2】ドーム閉止状態におけるドーム球場の斜視図で
ある。
【図3】ドームの閉止状態におけるドーム球場の平面図
である。
【図4】ドームの開放状態における図1のIV−IV線に沿
った断面図である。
【図5】ドーム開放状態におけるドーム回転中心部の骨
組のみを示す側面図である。
【図6】ドーム閉止状態におけるドームセクションの回
転中心部近傍のシール部の取回しを示す斜視図である。
【図7】図3のVII −VII 線に沿ったシール部の断面図
である。
【図8】ドーム閉止状態におけるドームセクションの回
転中心部のシール部の配置を示す平面図である。
【図9】縦壁シール部の断面図である。
【符号の説明】
10 ドーム球場 24 ドーム 26 固定ドームセクション 46 可動ドームセクション 48 可動ドームセクション 58 シール部 62 伸縮部材 65 シリンダ本体(移動手段) 66 シリンダロッド(移動手段) 70 チューブ(弾性部材) 72 水切りプレート(プレート)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 秀雄 東京都江東区南砂二丁目5番14号 株式 会社竹中工務店 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平3−93936(JP,A) 実開 昭60−29896(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 7/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィールドの天井部を構成するドーム
    が、複数のドームセクションに分割され、前記複数のド
    ームセクションが移動することによって開閉する開閉ド
    ームに用いられ、前記開閉ドームの閉止状態で各ドーム
    セクションの隙間をシールする開閉ドームのシール構造
    であって、前記閉止状態で下段側となるドームセクショ
    ンに前記隙間の全長に亘って設けられたプレートと、前
    記ドームセクションの間に前記隙間の全長に亘って配設
    され前記プレートと接触したときにプレートとの間をシ
    ールする弾性部材と、プレートに接触するように流体の
    圧力によって前記弾性部材を移動させる移動手段と、前
    記閉止状態で上段側となるドームセクションと弾性部材
    との間を隙間の全長に亘ってシールすると共に弾性部材
    の移動に伴って伸縮する伸縮部材と、を有する開閉ドー
    ムのシール構造。
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