JP3051252U - 魚釣り用オーバルリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚の強い引きに対してスムースな巻き上げを
可能とした釣り用リール 【解決手段】 スプールの糸巻き胴部をスプールの軸と
直交する断面が楕円または変形楕円となる形状であり、
該糸巻き胴部がスプールの軸に着脱自在な、例えば２分
割または単体の構造からなり、該断面がスプールの軸の
両端部から中央部にかけて次第に膨らんだ形状である魚
釣り用リールのオーバル状糸巻き胴部または同様のオー
バル状糸巻き胴部を有するスプールからなる魚釣り用リ
ール。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、魚釣り用のリール、特にそのスプールの糸巻き胴部の構造に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

魚釣り用のリールとしては、片軸受けリール、両軸受けリール、スピニングリ ールなどが一般に用いられ、釣りの対象となる魚の種類、大きさに応じて、使い 分けられている。特に最近は、素材の改良に伴い、より細くより強い釣糸、より 軽くより強靱な釣竿、より軽量化しより小型化したリール等の開発が図られ、川 、湖、海の釣り施設の充実などにより、女性や子供の釣り人口も増大しつつあり 、多様な釣りが楽しめるようになった。釣り用のリールは、その機構については 様々の工夫がなされているが、スプールの釣糸を巻き付ける胴部（以下、「糸巻 き胴部」という）については、交換スプールとして断面を単純な楕円形としたも のも知られてはいるが、糸巻き胴部がスプールの軸と直交する断面は円筒状が基 本であり、円の径の大小等の相違はあるが特別の工夫はなされていない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

魚釣り、特にスポーツフィッシングや磯の大物釣りは、釣針に掛かった魚を手 際良く確実に釣り上げることに醍醐味があるが、針に掛かった魚の引きの強さや 引きのパターンに構わずに強引な力で急速に釣糸を巻き取っても、魚の抵抗と引 き合いをする結果となって、ハリスが切れたり、針が外れたりして、いわゆるバ レてしまい、釣果を得られないことになる。このため、魚種や魚の大きさに応じ たリールが使用され、程よい巻き上げ力で、魚の引きとバランスを取りながら巻 き上げなければならない。それゆえ、中、小型でも引きの強い魚に対しては、慎 重にゆっくり巻き上げることとなるが、魚の引きが強いと巻き上げる力が不足し リールが巻けないか、巻き上げのスピードが低下してしまい、スムースな釣り上 げができなくなってしまう。

【０００４】 また、通常は、狙う魚の種類ごとに、形状や大きさ、ギヤ比などの異なるリー ルを使い分けるのが常識であるが、同じ魚種であっても、釣れる魚の大きさ、し たがって魚の引きは異なるものであり、大型魚を対象とするリールでは、ドラッ グ機構を用いるのが普通である。しかし、ドラッグ機構を用いる程でもない魚で も、同じ魚種であっても魚の引きの強弱は様々であり、また、海釣りの場合は多 種類の魚が一か所で釣れる場合もあり、針にかかった魚ごとに、上手なリールさ ばきで魚と駆け引きして、うまく釣り上げるのが魚釣りの醍醐味であり、そのよ うな釣趣が得られるリールの需要は大きい。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】

本考案者は、上記の課題に鑑みて、過大な巻き上げ力をかけずに、魚の引きに すばやく対応して適度な力でスムーズに巻き上げられる手段について、鋭意研究 し、実釣テストを続けて、スプールの軸と直交する断面を楕円または略楕円（以 下、「オーバル」という）状とした構造の有用性に着目し、簡便な糸巻き胴部の 構造を開発するとともに、さらに、断面がオーバルであるとともに、一回の巻き 付けの長さが異なる形状、構造に工夫することによって、上記課題の解決が図ら れ、魚の引きの強弱の変化にすばやく対応して巻き上げをスムースにでき、釣果 が向上しかつ快適な釣趣が得られることを確認した。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態の一つは、断面がオーバル状のアタッチメントをスプール 軸に着脱自在とした糸巻き胴部である。この形状としては、断面でみて左右同形 状になるように２分割してスプール軸を挟んで固定するものや、片側からスプー ル軸に押し当てるものがある。本考案の別の実施の形態は、断面がオーバル状で あるとともに膨らみ部を有する糸巻き胴部をスプール内枠部と一体的に成形した 構造のものである。さらに別の実施の形態は、断面がオーバル状であるとともに 好ましくは膨らみ部を有する糸巻き胴部と通常の断面が円形の糸巻き胴部を隣接 して一体に設けた構造のものである。

【０００７】 本考案は、一回の巻き付けの長さが異なるようにする手段の一つとして、スプ ールの軸と直交する断面が楕円状であり、かつその断面がスプールの軸の両端部 から中央部にかけて卵形に次第に膨らんだ形状である糸巻き胴部とする。糸巻き 胴部の素材は木、プラスチック、アルミニウム合金などの金属が用いられる。本 考案の糸巻き胴部とする場合は、スプール内枠部の形状も真円状でなく、スプー ル糸巻き胴部の形状に対応させて、内枠部の余剰部を削減して楕円形状とするこ とによりスプールの軽量化と共に従来のリールと異なるユニークな形としてデザ イン効果を著しく高めることもできる。

【０００８】 オーバル（楕円）の長軸と短軸の比は、深場釣り用やトローリング用などの大 型リールでは、糸巻き量を考慮して、例えば６：４、沖釣り用などの中型リール では、例えば７：３、ルアーフィッシング、フライフィッシング、クロダイ釣り 用などの小型リールでは、例えば８：２などにする。長軸の一方側が略楕円状で 長軸の他方側は略真円状の変形楕円としてもそれなりの効果はあり、通常のリー ルと異なる巻き上げの感触が得られ、意匠的にも独特の構造であり、本考案でい う楕円にはこのような変形楕円も含まれる。リールの型は、片軸受けリール、両 軸受けリール、スピニングリールのいずれでもよい。糸巻きツマミ、すなわちハ ンドルを対向する２カ所に有するリールの場合は、楕円の長軸方向は２カ所の糸 巻きツマミを結ぶ線と直交する方向が望ましい。

【０００９】

【作用】

糸巻き胴部をスプールの軸と直交する断面が真円状の従来のリールでは、魚を 釣り上げる際の巻き上げには均一の力を要するが、本考案のオーバル状断面の場 合、巻き上げの力は楕円の峰（長径方向両端）の部分で最も大きく、峰の部分か ら次の峰の部分への移行速度が早まるとともに、その断面がスプールの軸の両端 部から中央部にかけて次第に膨らんだ形状とした場合、一回の糸巻量の長い膨ら んだ部分を利用して巻いたり、一回の糸巻量の短い膨らみのない糸巻き胴部の両 端部、あるいは一個のスプールに隣接して設けた通常の円形断面の糸巻き胴部を 利用して巻いたりすることで、魚を釣り上げる力のいれ方を調節でき、強弱のリ ズミカルな巻き上げ力を魚に適宜与えることにより魚の引きの瞬発的な強弱をう まくかわしながら巻き上げをスムースに続けられることになる。

【００１０】 また、魚の引きが強力で過重負荷が増大した場合、従来のリールでは巻き上げ 速度は遅くなり、巻き上げ力は不足することになり、巻けなくなることも起きる が、本考案の場合、過重負荷が増大しても楕円形状と膨らみ部により慣性的な速 度増大があり、巻き上げ速度を早め、かつ巻き上げ力を強めることとなる。さら に、従来のリールでは、糸の繰出しに応じて巻いた糸の外径が小さくなっていく ので、糸巻き胴部からの糸の繰出し速度は段階的に減少していくのに対して、本 形状では、先に繰り出される部分を径の小さい膨らみのない糸巻き胴部の両端部 に巻き、後で繰り出される部分を径の大きい膨らみの大きい部分に巻いておけば 、糸の繰出しに応じた繰出し速度の減少は糸巻き部が真円状のものより少なくな る。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１〜図５は、本考案の実施例、 図６は従来例である。 図１は、本考案の着脱自在な糸巻き胴部の一例であり、図１ −Ｃは、本考案の糸巻き胴部をスプールの軸に取り付けた上面図、図１−Ａは、 図１−ＣのＸ−Ｘ線断面図であり、図１−Ｂは、糸巻き胴部をスプールの軸から 取り外した状態を示す側面図である。図１に示すように、糸巻き胴部３は、リー ルのスプール軸１に直接取り付けるようにしたもので、図１−Ｂに示すように、 枢軸９を軸に両側に開閉式となっている。様々な直径のスプールに合わせるため に、糸巻き胴部３の内側の部分の材質は、高密度のウレタンなどの伸縮性のある 材料を用いるとよい。図１では、糸巻き胴部３の両端は、スプールの縁２の部分 に接する例を示しているが、リールのスプールの幅（両側のスプール縁２相互間 の距離）はそれぞれ異なるため、糸巻き胴部３の幅は、スプールの幅より短くて もよい。また、糸巻き胴部３の幅を短くしてその両端にスプールの縁２と同様の 縁を設けたものとしてもよい。

【００１２】 なお、通常、スプールの縁２は図の２´の点線で示すように、円形であるが、 この例では、糸巻き胴部３の形状に併せて楕円形の縁２としたものであり、スプ ールの軽量化とともにユニークな形状として意匠的効果も得られる。釣糸１１は スプールの軸に通常設けられている釣糸先端の固定部に固定し、糸巻き胴部３の 中央部に糸通し孔１０を設けて通すことにより、釣糸１１を巻き付けることによ り糸巻き胴部３の固定ができるが、他の固定手段を用いてもよい。

【００１３】 図２は、図１と同様の糸巻き胴部３の断面図を示す。ただ、糸巻き胴部３を２ 分割せずに片側にスプール軸に挿入する開口部を設けてスプール軸１にはめ込む ものである。この糸巻き胴部３のスプール軸１の軸方向両端にはスプールの縁２ に相当する縁２を設けてスプールの幅の大きいリールにも適宜使用できるように した。スプールの軸１に通常設けられている糸固定部１２に釣糸１１の先端を固 定し、糸巻き胴部３の中央部に設けた糸通し孔１０を通して釣糸１１を巻き付け ることにより糸巻き胴部３の固定ができる。

【００１４】 図３は、糸巻き量調整環として通常知られているタイプの糸巻き胴部に本考案 を適用した例であり、図３−Ｂは、本考案の糸巻き胴部をスプールの軸に取り付 けた上面図、図３−Ｃは、図３−ＢのＹ−Ｙ線断面図であり、図３−Ａは、図３ −ＣのＸ−Ｘ線部分断面図である。この例では、２分割した糸巻き胴部３をスプ ール軸１にはめこむようにした。糸巻き胴部３の径を変更することで、糸巻き量 を調整できる。スプール軸１とスプールの縁２をネジ８を外して取り外さなくて もアタッチメントの取り付けが簡単にできる。図３では糸巻きツマミ４、すなわ ちハンドルは、楕円の長軸方向の下端に位置するが、その位置は、使用者が適宜 選定できる。

【００１５】 図４は、本考案のプラススチック製の特に軽量、小型のリール用スプールの例 であり、図４−Ａは、その側面図、図４−Ｂは、その上面図である。この例は、 スプールを製造する際に、糸まき胴部３をスプールの軸１と直交する断面が楕円 状でかつその断面がスプールの軸の両端部から中央部にかけて次第に膨らんだ形 状となるようにスプール枠と一体に製造した。胴部３を次第に膨らんだ形状とし ているために、糸を巻き付ける際に横すべりしないで、適宜の箇所に糸を巻き付 けられるように細い連続する凸条５を複数本周回させて設けるとよい。楕円の長 軸と短軸の比は約７：３とすればよい。スプールは、軸１によりリール本体枠に 取り付けられ、糸巻きツマミにより回転する。

【００１６】 図５は、断面が円形の通常の糸巻き胴部をオーバル状の糸まき胴部に隣接して 設けた本考案の実施例であり、図５−Ａは、その側面図、図５−Ｂは、その上面 図である。この例では、スプールの縁２、２の間に断面が円形の通常の糸巻き胴 部６に一体に隣接してオーバル状の糸まき胴部３を設けたものである。糸巻き胴 部６と糸まき胴部３との境界には、糸まき胴部３に巻いた糸が糸巻き胴部６に滑 り落ちないように、仕切り１３を周回させて設ける。また、仕切り１３の適宜箇 所は一部切り欠き部７を設け、釣糸１１が両糸巻き胴部間を矢印のように巻き易 くする。この例では、その使用に当たって、魚の引きに応じて糸巻き胴部６で巻 き取ったり、糸まき胴部３で巻き取ったり適宜使い分けることができる。また、 大きさの違う糸を糸巻き胴部６と糸まき胴部３に別々に巻、それぞれを適宜使い 分けることももちろん可能である。

【００１７】 図６は、スプールの縁２の間に設けた糸巻き胴部３の軸と直交する断面が楕円 状である従来の交換スプールの例であり、図６−Ａは、その側面図、図６−Ｂは 、その上面図である。

【００１８】

【効果】

上記の実施例の各リールに糸を巻き、魚の引きの強いクロダイ釣り、フライフ ィッシング等に実際に使用するテストを重ねた結果、本考案の製品はオーバル状 糸巻き胴部を簡便に使用でき、魚の引きに対して糸巻き胴部の断面形状が真円状 のものに比べて、本考案の製品を使用したリールは、バラシが少なく、リズミカ ルな巻き上げができ、釣果、釣趣とも向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の着脱自在な糸巻き胴部の実施
例であり、図１−Ｃは、スプールの軸に取り付けた上面
図、図１−Ａは、図１−ＣのＸ−Ｘ線断面図、図１−Ｂ
は、スプールの軸から糸巻き胴部を取り外した状態を示
す側面図である。

【図２】図２は、本考案の着脱自在な糸巻き胴部の実施
例であり、糸巻き胴部の断面図である。

【図３】図３は、本考案の着脱自在な糸巻き胴部を糸巻
き量調整環としてスプールの軸に取り付けた実施例であ
り、図３−Ｂは、その上面図、図３−Ｃは、図３−Ｂの
Ｙ−Ｙ線断面図であり、図３−Ａは、図３−ＣのＸ−Ｘ
線部分断面図である。

【図４】図４は、本考案のプラススチック製の特に軽
量、小型のリール用スプールの実施例であり、図４−Ａ
は、その側面図、図４−Ｂは、その上面図である。

【図５】図５は、断面が円形の通常の糸巻き胴部をオー
バル状の糸まき胴部に隣接して設けた本考案の実施例で
あり、図５−Ａは、その側面図、図５−Ｂは、その上面
図である。

【図６】図６は、従来例であり、図６−Ａは、その側面
図、図６−Ｂは、その上面図である。

【符号の説明】

１ スプールの軸 ２ スプールの縁 ３ オーバル状糸巻き胴部 ４ 糸巻きツマミ ５ 凸条 ６ 円形状糸巻き胴部 ７ 切欠き部 ８ ネジ ９ 枢軸 １０ 糸通し孔 １１ 釣糸 １２ 糸固定部 １３ 仕切り

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【手続補正書】

【提出日】平成１０年２月２６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項５

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スプールの軸と直交する断面が楕円状で
   あるとともにスプールの軸の両端部から中央部にかけて
   次第に膨らんだ形状である糸巻き胴部であり、該糸巻き
   胴部がスプールの軸に着脱自在な構造からなることを特
   徴とする魚釣り用リールのオーバル状糸巻き胴部。
2. 【請求項２】 スプールの軸と直交する断面が楕円状で
   あるとともにスプールの軸の両端部から中央部にかけて
   次第に膨らんだ形状である糸巻き胴部であり、該糸巻き
   胴部がスプールの軸に着脱自在な単体構造からなり、ス
   プールの軸にはめ込む開口部と糸通し孔を有することを
   特徴とする魚釣り用リールのオーバル状糸巻き胴部。
3. 【請求項３】 スプールの軸と直交する断面が楕円状で
   ある糸巻き胴部を有し、該断面がスプールの軸の両端部
   から中央部にかけて次第に膨らんだ形状であり、該糸巻
   き胴部に細い連続する凸条を複数本周回させて設けたこ
   とを特徴とするオーバル状糸巻き胴部を有する魚釣り用
   リール。
4. 【請求項４】 スプールの軸と直交する断面が楕円状で
   ある糸巻き胴部を有し、該糸巻き胴部に隣接してスプー
   ルの軸と直交する断面が円状である糸巻き胴部を設け、
   両糸巻き胴部の境界に細い連続する仕切りを周回させ、
   仕切りの一部に切欠き部を設けたことを特徴とするオー
   バル状糸巻き胴部を有する魚釣り用リール。
5. 【請求項５】 スプールの軸と直交する断面が楕円状で
   あるとともにさらにスプールの軸の両端部から中央部に
   かけて次第に膨らんだ形状であることを特徴とする請求
   項５に記載のオーバル状糸巻き胴部を有する魚釣り用リ
   ール。
6. 【請求項６】 スプールの枠体の縁の側面形状が楕円状
   であることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一に
   記載のオーバル状糸巻き胴部を有する魚釣り用リール