JP3050460U - 履物台 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】踵に掛かる荷重を、真っ直ぐに上から掛かった
時でも前後左右に付近等に偏って掛かった時でも弾力的
に支持できるようにすること。 【解決手段】踵を落とし込んで支持すべく踵対応部位９
がその外周縁９ａよりも凹んだ履物台１であって、前記
踵対応部位９の中央部に、中空に形成されるとともに内
部に緩衝媒体１０が封入されてクッション性を有し、上
面を球状面に形成した上面緩衝体５を、この上面緩衝体
５の球状面が履物台１の上面から突出するように装着す
るとともに、踵対応部位９の後側の外周面における上下
方向の中間部に切欠溝１３を形成して、該切欠溝１３内
に平面視略Ｕ字状の周面緩衝体６を、その外周面が露出
するように嵌着した履物台１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、サンダル等を構成するための履物台に関する。

【０００２】

【従来の技術】

履物台には、起立、歩行、走行時の足への負担を軽減する目的で、気体等を封 入した緩衝体を備えたものがある。しかしこの種の履物台は、特開平７−１５５ ２０６号公報に開示されているように、踵対応部位における上下方向中間部の外 周縁部を切欠いて、この切欠きにエアチューブを嵌着した構造である。つまり、 歩行や走行により踵対応部位に大きな荷重が掛かると上記切欠きとエアチューブ とが圧縮により変形し衝撃を柔らかく受け止めるのである。

【０００３】 しかしこれは、切欠きが変形する衝撃を受けた時であり、外周縁にある切欠き が変形するのはつまり、主として履物台に対し前後左右不均等の偏った力が掛か ったときである。このため、真っ直ぐに上から荷重が係る正しい状態のときには 、あまり作用しない。

【０００４】

【解決すべき課題及びそのための手段】

そこでこの考案は、正常な衝撃が掛かったときにも良好な緩衝が行なえるよう な履物台の提供を主たる課題とする。

【０００５】 そのための手段は、踵を落とし込んで支持すべく踵対応部位がその外周縁より も凹んだ履物台であって、前記踵対応部位の中央部に、中空に形成されるととも に内部に緩衝媒体が封入されてクッション性を有し、上面を球状面に形成した上 面緩衝体を、該上面緩衝体の球状面が履物台の上面から突出するように装着した 履物台であることを特徴とする。

【０００６】 なお、前記上面緩衝体は、外周縁に固定用鍔を有し上下両面とも曲面をなす偏 平な球状に形成するとよい。

【０００７】 また、前記上面緩衝体の周囲に、踵に対し押圧刺激する複数の突起を上面に有 したドーナツ形の突起部を形成するもよい。

【０００８】 さらに、前記踵対応部位の後側の外周面における上下方向の中間部に切欠溝を 形成し、中空に形成されるとともに内部に緩衝媒体が封入されてクッション性を 有した平面視略Ｕ字形の周面緩衝体を、該周面緩衝体の外周面が露出するように 上記切欠溝に嵌着するもよい。

【０００９】 また、前記周面緩衝体は断面円形に形成するとよい。 さらにまた、前記上面緩衝体と周面緩衝体とを一体に形成するもよい。 そしてまた、少なくとも足首に巻き付けて踵を安定させるバンドを取付け、サ ンダルとするもよい。

【００１０】

【作用及び効果】

すなわち、上述の構成によれば、内部に緩衝媒体を封入した上面緩衝体は履物 台の踵対応部位の上面から略半球状に上方へ突出している。このため、起立時に は踵が柔らかく押圧されるとともに、歩行時や走行時において踵が履物台に圧接 する時には、まず初めに上面緩衝体に当るので、この上面緩衝体が弾力的に支持 し、衝撃を緩和する。

【００１１】 しかも踵対応部位は、その外周縁よりも凹ませているので、踵は履物台上の所 定位置に安定しやすく、足首を捩じったりするような危険はない。また、上面緩 衝体はその上面が露出しているので、新規な意匠を得ることができる効果も有す る。さらに、起立時には常に踵の一点が柔らかく押圧されることになるので、今 までに無い履き心地を得ることができる。

【００１２】 請求項２のように上面緩衝体を外周縁に固定用鍔を有する偏平な形状に形成す ると、踵対応部位の中央部に装着するのに接着により行なう場合、その接着は、 固定用鍔の下側面のみに接着剤を塗布するとともにその上面側から圧力を掛けれ ばよいので、接着作業は容易である。

【００１３】 また、上面緩衝体を透視可能にするとともに、下面に文字等を形成すると、あ たかも凸レンズを通して覗くようにその文字等に妙味を持たせることができ、さ らに一そう意匠感を高めることが可能となる。

【００１４】 請求項３のように、上面緩衝体の周囲に複数の突起を有するドーナツ形の突起 部を形成すると、踵の柔らかく押圧された部位の周囲に対する刺激付与に加え、 正しい位置に乗る踵の位置ずれを摩擦抵抗により阻止することもできる。また、 突起部を別体に構成した場合で、上面緩衝体の固定用鍔の幅よりも広く形成した 場合には、固定用鍔の上から接着するようにすれば、固定用鍔を上から押さえる ことになり、上面緩衝体の固定状態の強化も図ることができる。

【００１５】 請求項４のように踵対応部位の外側の外周面に切欠溝を形成し、この切欠溝に 周面緩衝体を収納すると、履物台の踵対応部位と踵との間で前後左右に偏った荷 重が係ったときでも衝撃を和らげ、弾力的に支持することができる。しかも、周 面緩衝体は露出しているので、新規な意匠を得ることにも貢献する。

【００１６】 請求項５のように周面緩衝体を断面円形に形成すると、請求項２の構成が達成 する効果と同様に、周面緩衝体を透視可能にするとともに、内側の面に文字等を 形成すると、その文字等に妙味を持たせることができ、さらに一そう意匠感を高 めることが可能となる。

【００１７】 請求項６のように上面緩衝体と周面緩衝体とを一体に形成すると、部品点数を 低減し、製造工程を簡略化することができる。

【００１８】 請求項７のように踵を安定させるバンドを取付けてサンダルとすると、足の大 部分が露出するサンダルでも、靴の場合と同様に所望の効果を得ることができる 。

【００１９】

【実施例】

この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。 図１はこの考案の履物台１に足を固定するためのバンド２を固定して構成した サンダル３の斜視図である。このサンダル３は、足首部分と爪先部分とを、面フ ァスナ４ａにより係脱する係止帯４を有した上記バンド２で保持し、スリッパの 様に容易には脱げないようにしたものである。また、このサンダル３は踵の方に ２つの緩衝体（上面緩衝体５と周面緩衝体６）を備えて、衝撃を和らげ、踵を弾 力的に支持するようにしている。

【００２０】 図２は、そのサンダルの台、すなわち履物台１の断面図である。この履物台１ は、柔軟な合成樹脂からなる底部材７と上部材８とからなり、底面に適宜の溝７ ａを有した上記底部材７の上に、足が接触する上部材８を貼り合わせて構成して いる。前記バンド２は、この貼り合わせ時に固定する。そして、上記上部材８に 、２つの緩衝体、上面緩衝体５と周面緩衝体６を装着している。

【００２１】 なお、上記上部材８は、その上面を、人体の足の裏の凹凸形状に略合うよう３ 次元の凹凸曲面で形成している。つまり、踵対応部位９もその外周縁９ａよりも 凹んだ形に形成して、足の裏全体を落とし込んで支持するようにしている。

【００２２】 上記上面緩衝体５は、図３にも示すように、球を上下に潰したような偏平な形 の中空構造で、外周縁に、適宜幅の固定用鍔５ａを形成している。この上面緩衝 体５は透明で柔軟な樹脂で形成され、内部には内圧を高めるために、緩衝媒体１ ０として窒素等の適宜の気体を封入している。気体のほか、液体やゲル状の物質 など、荷重を受けた時に上面緩衝体５を変形可能にするものであればよい。

【００２３】 また、この上面緩衝体５の下面には、適宜の文字や図柄等をプリント等により 形成するとよい。封入する緩衝媒体１０を透光性を有するものとすることで、そ の文字や図柄等が、あたかも凸レンズを透かして見たように、見る者に妙味を与 えることができる。

【００２４】 そして、この上面緩衝体５を装着する位置、すなわち上部材８の踵対応部位９ の中央部には、上面緩衝体５の固定用鍔５ａよりも下側を略収容可能な程度の深 さの平面視円形の凹部１１を形成している。またこの凹部１１の上端開口縁には 、２段の段部１１ａ，１１ｂを形成している。内側の段部１１ａは、上記固定用 鍔５ａを接着するためのもので、外側の段部１１ｂはドーナツ形をなす突起部材 １２を接着するためのものである。

【００２５】 この突起部材１２は、図３にも示したように、内径は固定用鍔５ａと同一であ るがそれよりも幅広にした厚みの薄い形状で、上面には、多数の小さな突起１２ ａ…を形成している。この突起部材１２は、上面緩衝体５の固定用鍔５ａの上面 に接着するとともに、外周側を上部材８の外側の段部１１ｂに直接接合して固定 される。このため、上面緩衝体５も強固に固定されることになる。また外観も良 好になる。なお突起１２ａ…は、上面緩衝体５の固定用鍔５ａの上面に形成する も、上部材８における対応位置に形成するもよい。

【００２６】 上面緩衝体５を固定すると、その固定用鍔５ａよりも上側が上部材８の上面か ら突出する状態になり、上方から視認可能で、突起部材１２の突起１２ａ…が、 上面緩衝体５の周囲に林立することになる。

【００２７】 前記周面緩衝体６は、図４に示したように平面視Ｕ字形で断面円形をなす中空 構造であり、透明で柔軟な樹脂で形成している。上面緩衝体５と同様に緩衝媒体 １０として窒素等の適宜の気体を封入している。この場合も、気体以外のもので あるもよい。

【００２８】 そしてその固定は、図２に示したように上部材８の踵対応部位９の後側の外周 面における上下方向の中間部に、上記周面緩衝体６が入り込む切欠溝１３を形成 し、この切欠溝１３に、上記周面緩衝体６を接着により固定している。切欠溝１ ３は、断面円形をなす周面緩衝体６の半分以上が入るように「Ｃ」形に形成し、 上部材８の外周面に適宜幅開口するようにしている。このため、周面緩衝体６は 露出することになり、視認可能である。この周面緩衝体６も、上面緩衝体５の場 合と同様に、内側面に適宜文字や図形等をプリントしておけば、上面緩衝体５の 形状ゆえに見る目に妙味を与えることができる。

【００２９】 以上のように構成したサンダル３では、内部に緩衝媒体１０を封入した上面緩 衝体５は履物台１の踵対応部位９の上面から略半球状に上方へ突出している。こ のため、起立時には踵が柔らかく押圧されるとともに、歩行時や走行時において 踵が履物台１に圧接する時には、まず初めに上面緩衝体５に当るので、この上面 緩衝体５が弾力的に支持し、衝撃を緩和する。

【００３０】 しかも踵対応部位９は、その外周縁９ａよりも凹ませているので、踵は履物台 １上の所定位置に安定しやすく、足首を捩じったりするような危険はない。また 、上面緩衝体５はその上面が露出しているので、新規な意匠を得ることができる 効果も有する。さらに、起立時には常に踵の一点が柔らかく押圧されることにな るので、今までに無い履き心地を得ることができる。

【００３１】 また、上面緩衝体５が外周縁に固定用鍔５ａを有する偏平な形状であり、その 固定を固定用鍔５ａの接着により行なっているので、その作業は、固定用鍔５ａ の下側面のみに接着剤を塗布するとともにその上面側から圧力を掛ければよく、 接着作業は容易である。

【００３２】 さらに、上面緩衝体５の周囲に複数の突起１２ａ…を有するドーナツ形の突起 部材１２を固定したので、踵の柔らかく押圧された部位の周囲に対する刺激付与 に加え、正しい位置に乗る踵の位置ずれを摩擦抵抗により阻止することもできる 。しかも、突起部材１２は別体であり、上面緩衝体５の固定用鍔５ａの幅よりも 広く形成したので、固定用鍔５ａの上から接着すると固定用鍔５ａを上から押さ えることになり、上面緩衝体５の固定状態が強固になる。

【００３３】 さらにまた、周面緩衝体６を踵対応部位９の後側の外周面に切欠溝１３を形成 して収納したので、履物台１の踵対応部位９と踵との間で前後左右に偏った荷重 が係ったときでも衝撃を和らげ、弾力的に支持することができる。しかも、周面 緩衝体６は露出しているので、新規な意匠を得ることにも貢献する。

【００３４】 図５は、他の例に係る履物台１の断面図であり、上記上面緩衝体５と周面緩衝 体６とを一体に形成したものである。すなわち、図６に示したような形状の緩衝 体１４を透明で柔軟な樹脂で形成し、中空の内部には緩衝媒体１０を封入してい る。そして、上部材８は、その踵対応部位９に、上記緩衝体１４を組み込めるよ うに、球状面部１４ａを露出させる穴部１５と、板状部１４ｂの体積に相応する 切欠き１６を有した所定形状に形成している。製造に当っては、上部材８に緩衝 体１４を組み込んだ後に下側から底部材７を貼り合わせる。突起部材１２は、球 状面部１４ａの周囲に位置するように、緩衝体１４と上部材８とに跨がって接着 固定する。 このよう構成すると、部品点数を低減でき、製造工程を簡略化することができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】サンダルの斜視図。

【図２】履物台の断面図。

【図３】上面緩衝体と突起部材の斜視図。

【図４】周面緩衝体の斜視図。

【図５】他の例に係る履物台の断面図。

【図６】他の例に係る上面緩衝体と突起部材の斜視図。

【符号の説明】

１…履物台 ２…バンド ５…上面緩衝体 ５ａ…固定用鍔 ６…周面緩衝体 ９…踵対応部位 ９ａ…外周縁 １０…緩衝媒体 １２…突起部材 １２ａ…突起 １３…切欠溝 １４…緩衝体 １４ａ…球状面部 １４ｂ…板状部

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】踵を落とし込んで支持すべく踵対応部位が
   その外周縁よりも凹んだ履物台であって、前記踵対応部
   位の中央部に、中空に形成されるとともに内部に緩衝媒
   体が封入されてクッション性を有し、上面を球状面に形
   成した上面緩衝体を、該上面緩衝体の球状面が履物台の
   上面から突出するように装着した履物台。
2. 【請求項２】前記上面緩衝体を、外周縁に固定用鍔を有
   し上下両面とも曲面をなす偏平な球状に形成した請求項
   １記載の履物台。
3. 【請求項３】前記上面緩衝体の周囲に、踵に対し押圧刺
   激する複数の突起を上面に有したドーナツ形の突起部を
   形成した請求項１または請求項２記載の履物台。
4. 【請求項４】前記踵対応部位の後側の外周面における上
   下方向の中間部に切欠溝を形成し、中空に形成されると
   ともに内部に緩衝媒体が封入されてクッション性を有し
   た平面視略Ｕ字形の周面緩衝体を、該周面緩衝体の外周
   面が露出するように上記切欠溝に嵌着した請求項１から
   請求項３のうちのいずれか一項に記載の履物台。
5. 【請求項５】前記周面緩衝体が断面円形である請求項４
   記載の履物台。
6. 【請求項６】前記上面緩衝体と周面緩衝体とを一体に形
   成した請求項１から請求項５のうちのいずれか一項に記
   載の履物台。
7. 【請求項７】少なくとも足首に巻き付けて踵を安定させ
   るバンドを取付け、サンダルとする請求項１から請求項
   ６のうちのいずれか一項に記載の履物台。