JP3049700B2 - 光結合式表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、表示部での表示情報と
なる被測定対象の測定量に対応した情報信号および表示
部の照明光とを共通の光伝搬部にて光結合により伝搬す
る光結合式表示装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】一般に、表示装置において測定量を表示す
るものとしては、たとえば自動車用の表示装置（指示計
器）においてその装置内部に表示素子や指示計器本体を
駆動する駆動回路部を設け、センサ部からの測定量に応
じた電気信号の電気コードによる伝搬にて駆動表示する
ようにしており、また夜間等においてその照明を行うた
めの光源ランプを同様に内蔵して電源供給による照明表
示を行っている。

【０００３】また、表示装置における表示部としては、
センサ部からの電気信号により被測定対象の測定量（た
とえば走行速度や燃料量）を交差コイル式計器のような
可動体を有する計器や液晶素子のような光学表示部にて
構成されるものの他に、外部操作スイッチやセンサスイ
ッチにて点灯制御される表示ランプを配した警報表示部
があり、こうした照明表示ランプにおいても外部からの
電気コードを介した電源供給による構成となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
従来構造においては、表示部での情報表示用の電気コー
ドによる電気信号伝搬に、各々表示対象毎に対応した配
線コードが必要であり、情報量が多くなる程その配線が
複雑となってたとえば自動車の各センサ部から表示装置
までの引回しに困難な作業が強いられるとともに、エン
ジン等のノイズ対策も必要となっている。

【０００５】このような配線コードの複雑化を解消する
うえで近年はシリアル通信を利用したコードの共通化が
図られているが、情報増加によるコード化の複雑化でそ
の伝搬経路への外部ノイズによる影響が心配される。

【０００６】また、シリアル通信によるコードの共通化
が可能となっても、表示装置における照明光源はそのま
ま用いられているため、依然として照明のための専用電
源供給配線が必要であり、かつ表示装置内部での光源ラ
ンプの配設による発熱高温化の問題や表示装置の薄型化
小型化への障害といった問題が残されている。

【０００７】本発明は、少なくとも信号経路の共通化が
可能な表示情報と、表示部の照明や照明表示に必要な光
源の少なくとも一部とを共通の光伝搬路を用いて光結合
により伝搬することにより、表示情報信号と照明光の伝
搬を共通化して簡素な伝搬を可能とせんとするものであ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、透光性表示部
を有した表示部と被測定対象の測定量を表示する駆動部
とを備えた表示器を備えるとともに、被測定対象の測定
量を所定の光信号に変換し表示部の照明光とともに出力
する光情報生成部を設け、この出力光を前記表示器に伝
搬する光伝搬部にて伝搬された出力光を照明光と光信号
とに分離する光分離部を備え、分離された照明光を表示
部の背後に導く照明導光部と光信号を電気信号に変換し
前記駆動部に測定信号として供給する光電変換部とを有
して、照明光と測定信号を光により伝搬分離して表示器
の照明と駆動を行わせるよう構成した。

【０００９】

【作用】表示器の表示部照明と駆動の出力源を光情報生
成部にて照明光および光信号として伝搬し、表示器側に
て各々分離し表示部照明と駆動を行うことにより、表示
器内にランプ等の光源を全ての表示対象に設けることな
くまた電気信号伝搬による外部ノイズの影響を受けるこ
となく、その伝搬信号をきわめて簡素化しながら確実に
表示器の照明と駆動を行うことができる。

【００１０】

【実施例】図１は本発明のシステム概念図を示すもの
で、自動車用表示装置として適用した場合の構成にて以
下説明する。図において、表示器１は自動車のダッシュ
ボード上に配設され、走行速度，エンジン回転数や燃料
残量のような被測定対象の測定量を表示し、あるいはド
ア開放や温度上昇等の警報表示をなす表示部２と前記測
定量をアナログあるいはデジタルにて表示するべく駆動
する駆動部３とを有して構成される。

【００１１】前記表示部２における測定量の表示や警報
表示に用いられる表示手段としては、たとえば前者とし
て交差コイル式計器のような指針による回動指示計器が
あり、後者としてケースボックス表面に着色透光板を配
した背後照明表示構造が採用でき、あるいは、表示パネ
ルとして液晶表示装置を用いることもできる。

【００１２】いずれにしても測定量の表示部や警報表示
部は少なくとも夜間における照明が必要であり、前記警
報表示部のような背後からの透光照明が用いられ、その
照明光源を設ける構成となる。

【００１３】光情報生成部４は、車両の任意箇所に配設
され、車両の速度検出等各種被測定対象の測定量を検出
してそれに対応した電気信号や光信号として出力する検
出部５と、これら検出部５からの検出信号に基づいてこ
れをシリアル伝送信号（時分割多重信号）に変換すると
ともに、一定の照明用データを内包する制御部６と、こ
の制御部６によって発光制御されるランプやＬＥＤなど
の光源７とから構成される。

【００１４】前記制御部６は、検出部５からの測定信号
に基づいて所定のサイクルで表示データ信号に変換する
とともに、各種測定対象毎に定めた伝送サイクルにてシ
リアルデータ信号に変換し、光源７の発光強度を制御す
る。この際発光を「１」とし非発光を「０」とした光の
オンオフ制御にて電気信号と同様のシリアルデータを生
成伝送するが、「１」に相当する発光強度は照明用の伝
搬光との判別が成し得るようそのレベルを決定する必要
がある。また単なる光強度による照明用伝搬光との識別
を成す代わりに特定波長の光を用いて判別できるように
してもよい。

【００１５】従って照明用伝搬光としての所定の光量を
与えるための光源７の駆動信号とともに被測定対象の測
定量に対応した光情報を含んだ光信号を出力するための
光源７への制御信号とが生成され、光源７は照明情報と
測定表示情報とを含んだ光信号を出力することとなる。
この場合照明用と表示用の発光光源を１つの共通光源７
とした構成にしてもよいし、あるいは並設した２つの光
源にて独立して発光させるようにしてもよい。

【００１６】光源７の出力段には光ファイバーによる光
伝搬部８が接続され、表示器１側に照明情報と表示情報
を含む光信号を伝搬する。表示ユニット９は、表示器１
を含んで光伝搬部８の光信号出力部が接続される光分離
部10と、この光分離部10にて分離された表示情報光信号
を電気信号に変換する光電変換部11と、同様に分離され
た照明情報光信号を表示器１の被照明表示部位に導く照
明導光部12と、前記光電変換部11にて変換されたシリア
ル情報信号を各種測定量毎の電気信号に変換分配する信
号処理部13とから構成される。

【００１７】ここでは表示器１を１つのユニットとして
表示ユニット９内に構成したが、装置の構成や大きさに
従ってのケーシングに応じて表示器１内に全ての要素を
組み込んだ構成としてもよく、光伝搬部８から受信した
光信号を各々の表示部への照明用，表示用として処理で
きる構成であれば、その機械的外装的組合せは自由であ
る。

【００１８】なお、14は操作部であり、表示部２におけ
る表示項目の選択や駆動条件の設定等ユーザによってそ
の表示を変更できるよう外部に設けたものである。ま
た、充電器15は、表示ユニット９の特に信号処理部13や
表示器１の駆動部３に必要な駆動電源としての機能を果
たし、光情報生成部４の光源７から出力する光信号に照
明用光信号と同様の所定強度の光量からなる電源用光信
号を含ませ伝搬することにより、光電変換部11において
同様に電気変換された電気エネルギーを充電器15に蓄え
ることで、表示ユニット１側の駆動用電源を専用に設け
ることなく表示ユニット１への電気配線の必要もなくな
り、表示器１の表示や照明対象全てに対し光伝搬部８に
よる伝搬制御を行う構成の場合、電源供給ラインを含め
ての全ての電気ラインの配線引き回しが不要となる。

【００１９】光分離部10は、プリズムによる光分離方式
や光学フィルターによる光分離方式等にて構成すればよ
く、光信号の表示情報分を特定波長の光線にて伝搬する
ことで、この光分離部10において、照明用光信号（白色
光）と表示用光信号とに分離することができる。また、
プリズム系による屈折率を利用した分配出力によって各
光信号を分割することもできる。

【００２０】図２は、表示ユニット９を計器ハウジング
内にて構成した一実施例を示しており、ケース16内に交
差コイル式本体から成る指示計器17を収納したとえばこ
れにより走行速度を表示するものとする。指示計器17に
はその回転出力軸に指針18が固着され、その下方に透光
性の文字板19が配設されて、その透光性の数字, 目盛に
対応した指針18の回動指示にて被測定量である走行速度
を表示するよう構成している。

【００２１】指示計器17にはこれを電気駆動する駆動回
路部20がプリント板にて固定され、文字板19の背面には
透光性表示部を照明するための照明用導光体21が配設さ
れており、文字板19と隣接する位置には延長した導光体
21上に液晶表示セル22が配置されてたとえばギヤポジシ
ョン表示部や燃料量表示部が形成され駆動回路部20から
の駆動信号により各々表示されるよう構成している。

【００２２】また、液晶表示セル22と反対側の計器17と
隣接する位置には燃料残量警報等の照明表示警報部23が
設けられ、その表示部は透光性の着色表示板によって背
後からの照明による警報表示が行われるようになってい
る。

【００２３】導光体21の一部屈曲した導入部の先端に
は、プリズム等から成る光分離部24が配設され、その一
分離出力側には駆動回路部20に接続された光電変換部25
が設けられている。また、光分割部24の光入力面には、
図１にて示した車両の離間箇所にある光情報生成部４か
ら引き回された光ファイバーからなる光伝搬部８の光出
力端が対向配置されあるいは光学的に接合されて、光情
報生成部４から出力された光信号をそれに含まれる表示
情報信号と照明情報信号さらには電源用信号とに分離す
る。

【００２４】いま光信号にて伝搬される表示情報信号が
指示計器17を駆動する走行速度と液晶表示セル22にて表
示される燃料量に対応するものとすれば、これら複数の
表示情報信号は検出表示更新周期の短い走行速度の伝搬
サイクルに比して更新周期が比較的長くてよい燃料量の
伝搬サイクルを相当量の割合で低くしてシリアル伝送す
るようにしている。

【００２５】たとえば、走行速度データの伝送サイクル
10回に対して燃料量データの伝送サイクル１回といった
割合にて、シリアルデータ（特定波長の光信号での光パ
ルス列）を光信号送信し、これを光分割部10にて光電変
換部11に分割伝送することで、駆動回路部20に設けた信
号処理部13にて各々の情報に分配され各々の駆動回路に
よって各情報が表示されるものである。

【００２６】また、光伝搬路８によって伝搬される光信
号のうち、照明情報信号は、光分離部24によって分離さ
れ照明導光体21の屈曲部から入光され、指示計器17の文
字板19と液晶表示セル22を背後から照明する。この場合
照明情報信号は光情報生成部４において、外部夜間照明
スイッチの操作による制御部６の実行により、光源７か
ら所定強度の白色光を発光することによってなされ、光
伝搬路８を伝送した光信号が光分離部24によって表示情
報信号と分離され照明用光線として直接用いられること
となる。

【００２７】また、照明表示警報部23の照明表示には、
駆動回路部20のプリント板延長上に載置した発光ダイオ
ード26にて行うこととなり、これは導光体21のように伝
搬された光信号を直接照明用光線として使用するもので
はない。

【００２８】つまり、ここでの発光ダイオード26の発光
制御は光情報生成部４の検出部５にて検出されるたとえ
ばドア開放に応答して成されるものであり、表示情報信
号と同様のコード化されたデータを有する光信号として
シリアルデータの一部に入れることにより、駆動回路部
20でのドア開放情報信号の認識に基づいて発光制御され
るものである。

【００２９】このような単純照明とは異なる検出応答型
の発光表示対象については、前述したようにコード化し
たデータとして光伝送し、これを制御して発光ダイオー
ド26のような独立した発光素子を発光させる方式が容易
であるが、こうした発光素子自体も使用しない場合に
は、光情報生成部４において単純なる所定光強度の照明
光を特定波長として伝送すれば、光分離部24において導
光体21に分離出力する照明光とは別に、専用の導光体配
列による複数導光体への光分離にて文字板19と同様の直
接光による背後照明が可能となる。

【００３０】また、こうした光結合による光情報の伝搬
方式は、たとえば光ファイバーによる引き回しが当然必
要となるが、光結合自体は空中結合も可能であるため、
光情報生成体４と表示ユニット９との引き回し経路にて
ファイバーケーブル自体一本にて連続して引き回しでき
ないあるいは引き回ししにくい箇所があっても、一定の
間隔を置いての空中結合によって光信号の伝搬ができ
る。たとえば、自動二輪車のように表示ユニット９が車
体上に別体として離間配置され、車体と表示ユニット９
とに間隔がある場合、車体内を引き回された光伝搬路８
を直接その間隔を通して表示ユニット９にまで結合せ
ず、この間隔を置いての車体側でその出力端を表示ユニ
ット９側に向けて中断させ、その出力端から光信号を発
光し、表示ユニット９側でその光信号を受光するような
構成とすることもでき、外部への光伝搬路８の露出によ
る損傷等を防ぐことができる。

【００３１】

【発明の効果】以上のように、本発明になる光結合方式
表示装置によれば、表示器の表示部照明と表示駆動のた
めの信号を光信号として伝搬し、表示器側にて各々分離
し表示部照明と駆動を行うことにより、電気信号による
信号伝送ケーブルの多数本化による配線の複雑化なくき
わめて簡易な引き回しが可能となり、電気信号伝搬によ
る外部ノイズの影響も受けることなく表示器の照明と駆
動を行うことができる。また、表示部内へのランプ等の
専用光源を全ての対象表示部に対して設ける必要がな
く、光伝搬された光信号を用いての直接照明が可能とな
るため、表示器そのものの軽量化小型化が促進され、か
つ組立ても容易となる。さらに、光伝搬部として光ファ
イバー等を共通信号ラインで用いることができ、電気信
号ラインのようなリード線といった機械的連続引き回し
の必要がなく、たとえば光ファイバーを車体側で止め表
示器側対向部にて空中光結合させることにより信号伝搬
が可能となるため、電気信号ライン中のコネクタ接続と
いった付属品の露出もなく外観上もスッキリとしたもの
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる光結合式表示装置の基本的システ
ム構成図である。

【図２】本発明の光結合表示装置における表示ユニット
の一実施例を示す要部断面図である。

【符号の説明】

１ 表示器 ２ 表示部 ３ 駆動部 ４ 光情報生成部 ５ 検出部 ６ 制御部 ７ 光源 ８ 光伝搬部 ９ 表示ユニット 10, 24 光分離部 11, 25 光電変換部 12 照明導光部 13 信号処理部 14 操作部 15 充電器 16 ケース 17 指示計器 19 文字板 20 駆動回路部 21 照明用導光体 22 液晶表示セル 23 表示照明警報部 26 発光ダイオード

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透光性表示部を有した表示部と被測定対
   象の測定量を表示する駆動部とを備えた表示器と、被測
   定対象の測定量を所定の光信号に変換するとともに、前
   記表示部の透光性表示部を照明する照明光と前記光信号
   とを同一もしくは異なる光源により出力する光情報生成
   部と、この光情報生成部からの前記光源からの出力光を
   前記表示器に光伝搬する光伝搬部と、前記表示器に設け
   られ、光伝搬部の出力光を照明光と光信号に分離する光
   分離部と、この光分離部にて分離された照明光を前記透
   光性表示部の背後に導く照明導光部と、前記分離された
   光信号を電気信号に変換し、前記駆動部に測定信号とし
   て供給する光電変換部とからなる光結合式表示装置。
2. 【請求項２】 透光性表示部を有した表示部と被測定対
   象の測定量を表示する駆動部とを備えた表示器をケース
   内に収納するとともに、前記ケースには光情報を取り入
   れる受光部を備え、この受光部で受けた光情報を光信号
   と照明光とに分離する光分離部を設け、かつ光分離部に
   て分離された光信号を前記駆動部への測定信号として電
   気信号に変換供給する光電変換部と照明光を前記透光性
   表示部に導く照明導光部とを備えてなる光結合式表示装
   置。
3. 【請求項３】 前記光信号が被測定対象の測定量をデジ
   タル信号化した光強度パルス信号列であり、前記照明光
   が一定の光強度を有し、この光信号と照明光とが合成さ
   れて伝搬されることを特徴とする請求項１及び２に記載
   の光結合式表示装置。