JP3049667B2 - 共振型インバータ - Google Patents

共振型インバータ

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JP3049667B2 JP3172236A JP17223691A JP3049667B2 JP 3049667 B2 JP3049667 B2 JP 3049667B2 JP 3172236 A JP3172236 A JP 3172236A JP 17223691 A JP17223691 A JP 17223691A JP 3049667 B2 JP3049667 B2 JP 3049667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共振電圧発生回路出力
の高周波共振電圧を変調して、低周波の交流電圧を得る
共振型インバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、交流電源装置を、低雑音化・高効
率化・小型化する目的で、共振電圧発生回路出力の高周
波共振電圧を周波数変換して低周波の交流電圧を得る共
振型インバータが研究されている。
【0003】従来の共振型インバータのブロック図を図
6に示す。この共振型インバータAは共振電圧発生回路
1、極性切替回路2、制御回路3,低域通過フィルタ4
から構成され、さらに制御回路3は基準発振器5、パル
ス幅変調信号発生回路6、同期パルス幅変調信号発生回
路7、スイッチ決定論理回路8、正・負信号発生回路
9、駆動回路10,11から構成されている。また、パ
ルス幅変調信号発生回路6は例えば、正弦波発生器1
2、三角波発生器13、比較器14から構成される。
【0004】この回路の動作波形を図7に示す。基準発
振器5に同期した高周波共振出力電圧e1[図7
(a)]が共振電圧発生回路1により発生し、極性切替
回路2に入力される。一方、パルス幅変調信号発生回路
6では基準発振器5に同期した正弦波発生器12から出
力される基準正弦波V1とキャリア三角波発生器13の
出力信号V2[図7(b)]が比較器14で比較され、
正弦波V1の振幅に比例したパルス幅を持つパルス幅変
調信号V3[図7(c)]が発生し、このパルス幅変調
信号V3は同期パルス幅変調信号発生回路7により、共
振電圧発生回路1の出力電圧e1に同期した同期パルス
幅変調信号Vc[図7(d)]に変換される。
【0005】この同期パルス幅変調信号Vcは、共振電
圧発生回路1の出力電圧e1の一発生周期Tの最初の時
点(1T,2T,3T,…)での出力電圧e1の信号
を、その終了まで保持している。すなわち、一発生周期
Tの途中で信号が変化することはない。同期パルス幅変
調信号Vcは、スイッチ決定論理回路8に入力され、同
期パルス幅変調信号Vcが“L”であれば、高周波共振
出力電圧e1を通過させず、出力側の電流を極性切替回
路2のスイッチを通じて還流させるモードAとして、極
性切替回路2の制御スイッチを駆動回路11を介して動
作させる。
【0006】また、同期パルス幅変調信号Vcが“H”
で、正・負信号発生回路9からの正・負方向信号V4
[図7(e)]が“H”、すなわち、正方向であれば、
高周波共振出力電圧e1の極性の切り替えを行わずに極
性切換回路2を通過させ、正方向の極性を有する共振出
力電圧e2を出力させるモードBとして、極性切替回路
2の制御スイッチを駆動回路11を介して動作させる。
【0007】さらに、同期パルス幅変調信号Vcが
“H”で、正・負方向信号V4が“L”であれば、高周
波共振出力電圧e1の極性を変化させ、負方向の極性を
有する共振電圧を出力するモードCとして極性切替回路
2の制御スイッチを駆動回路11を介して動作させる。
これらの動作モードA〜Cを同期パルス幅変調信号Vc
と正・負方向信号V4に従って繰り返すことにより、極
性切替回路2の出力波形はe2[図7(f)]となり、
この電圧e2は低域通過フィルタ4を通過することによ
って、低周波の交流電圧e3[図7(g)]となる。
【0008】この従来の共振型インバータAは、同期パ
ルス幅変調信号Vcに従ってモードの切り替えを行って
いるため、共振電圧発生回路1の出力の途中でモードが
切り替わらないので、極性切替回路2においても、ゼロ
電圧状態でのスイッチングが可能となり、スイッチング
損失及びスイッチングサージを低減することが可能とな
る。従って、この従来の共振型インバータAは、高効率
であり、また、ノイズの発生が少ないという利点を有す
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その反面、こ
の共振型インバータAによれば、パルス幅変調信号V3
と同期パルス幅変調信号Vcとの間に図7(d)で示す
ような誤差が生じ、同期パルス幅信号Vcのパルス幅
と、基準正弦波V1の振幅との間に比例関係が成り立た
なくなるため、出力電圧波形e3に歪が生じ、低次高調
波成分の増加につながる。これを解決するためには、共
振電圧発生回路1の周波数を充分に高くするか、キャリ
ア三角波出力信号V2の周波数を共振電圧発生回路1の
出力電圧e1より充分低くするか、という2つの方法が
考えられるが、前者の方法では、共振電圧発生回路1の
共振周波数の上昇に伴い共振電圧発生回路1内の共振用
リアクタのインダクタンス及び共振用コンデンサの容量
が小さくなるため、配線等のインダクタンス成分及びキ
ャパシタンス成分の影響を受け易くなり、共振電圧発生
回路1の設計条件が厳しくなる。
【0010】また、後者の方法では、パルス幅変調によ
る出力高調波の抑制効果が小さくなり、低域通過フィル
タ4の大型化や出力インピーダンスの増加による電気的
特性の悪化という問題が生じる。ここにおいて、本発明
は、上記従来の共振型インバータの欠点に鑑みて、交流
電圧の低次高調波成分を抑制し、低域通過フィルタの高
周波化が図れる共振型インバータを提供せんとするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題の解決は、本発
明の次に列挙する新規な特徴的構成手段を採用すること
により達成される。すなわち、本発明の第1の特徴は、
高周波共振出力電圧を発生する共振電圧発生回路と、当
該共振電圧発生回路の高周波共振出力電圧の極性を切り
替える極性切替回路と、前記高周波共振出力電圧に同期
し所望の周波数の交流電圧の振幅に対応するパルス幅変
調信号により前記極性の切り替えを制御する制御回路
と、前記極性切替回路の出力のうち前記所望の周波数の
交流電圧を通過させて出力電圧を発生させる低域通過フ
ィルタとを有する共振型インバータにおいて、前記制御
回路内に基準発振器を共通する変調周期可変パルス幅信
号発生回路と正・負信号発生回路とを備えて、前記制御
回路を前記パルス幅変調信号の変調周期を前記所望の周
波数の交流電圧の振幅に対応して変化自在に回路構成し
てなる共振型インバータである。
【0012】本発明の第2の特徴は、前記第1の特徴に
おける制御回路において、変調周期可変パルス幅信号発
生回路が、共振電圧発生回路の高周波共振出力電圧と同
期し、かつ、前記制御回路が当該所望周波数の交流電圧
の振幅に比例したパルス幅になるような変調周期可変パ
ルス幅信号を出力することにより極性切替回路を制御せ
しめ、前記出力電圧の低次高調波成分を抑制自在に回路
構成してなる共振型インバータである。
【0013】
【作用】本発明は、前記のような手段を講じるので、パ
ルス幅変調信号の変調周期を、基準正弦波の振幅に応じ
て変化させ、共振電圧発生回路の出力電圧に同期し、か
つ、基準正弦波の振幅に比例したパルス幅となるような
変調周期可変パルス幅信号とするので、交流電圧の低次
高調波成分を抑制する。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を図について説明する。図1
は本実施例の共振型インバータ回路のブロック構成図、
図2は図1の本実施例における動作波形、図3は図1中
の変調周期可変パルス幅信号演算回路における演算のフ
ローチャート、図4は本実施例の極性切替回路の出力電
圧の高調波成分の分析グラフ、図5は図6の従来例の共
振型インバータAの極性切替回路の高調波成分の分析グ
ラフである。図中、Bは本実施例の共振型インバータ、
15は変調周期可変パルス幅信号発生回路、16は正弦
波発生器、17は変調周期可変パルス幅信号演算回路で
ある。なお、図中、図6の従来例と同一の要素には、同
一の符号を付した。
【0015】本実施例の共振型インバータBの仕様は、
このような具体的実施態様を呈し次にその動作を説明す
る。基準発振器5に同期した高周波共振出力電圧e1が
共振電圧発生回路1により発生し、極性切替回路2に入
力される。一方、変調周期可変パルス幅信号発生回路1
5では、基準発振器5の出力信号CPと基準発振器5に
同期した正弦波発生器6の基準正弦波V1出力信号とが
変調周期可変パルス幅信号演算回路17に入力され、変
調周期可変パルス幅信号演算回路17は図3に示すスタ
ート(START)からエンド(END)に至るステッ
プI〜VII を経るフローチャートに従って、パルス幅変
調周期及びその期間内でのパルス幅を決定する。
【0016】具体的には、初期手順としてパルス幅変調
周期内の共振電圧の個数n=1、これと対応するパルス
幅に正方向又は負方向に出力される共振電圧の個数k=
0から設定を始め(ステップI参照)、次いで、期間i
の変調周期及びパルス幅を決定するには、パルス幅変調
周期によって変化する基準正弦波V1の期間i内の平均
値bi(ステップII参照)と基準正弦波V1の最大振幅
aとの比bi/aと、個数nと個数kとの比k/nとの
比較を行い、その差|bi/a−k/n|が微少な許容
値D(ステップIII 参照)以下となるnとkの値を求め
る(ステップIV〜VI参照)ことにより、共振電圧発生回
路1の出力電圧e1に同期し、かつ、基準正弦波V1の
振幅に比例したパルス幅となるパルス幅変調周期niT
とパルス幅kiTの組合せが与えられ、各期間について
繰り返し演算する(ステップII,III 参照)ことによっ
て、図2(c)に示すような変調周期可変パルス幅信号
Vgを獲得する(ステップVII 参照)。
【0017】獲得された変調周期可変パルス幅信号Vg
は、スイッチ決定論理回路8に入力され、変調可変パル
ス幅信号Vgが“L”であれば、高周波共振出力電圧e
1を通過させず、出力側の電流を極性切替回路2のスイ
ッチを通じて還流させるモードAとして極性切替回路2
の制御スイッチを駆動回路11を介して動作させる。ま
た、変調周期可変パルス幅信号Vgが“H”で正・負方
向信号V4[図2(d)]が“H”、すなわち、正方向
であれば、高周波共振出力電圧e1の極性の切り替えを
行わずに極性変換回路2を通過させ、正方向の極性を有
する共振電圧を出力させるモードBとして極性切替回路
2の制御スイッチを駆動回路11を介して動作させる。
【0018】また、変調周期可変パルス幅信号Vgが
“H”で、正・負方向信号V4が“L”であれば、高周
波共振出力電圧e1の極性を変化させ、負方向の極性を
有する共振電圧を出力するモードCとして極性切替回路
2の制御スイッチを駆動回路11を介して動作させる。
これらのA〜Cの動作モードを変調周期可変パルス幅信
号Vgと正・負方向信号V4に従って繰り返すことによ
り、極性切替回路2の出力電圧e2波形は[図2
(e)]となり、この出力電圧e2を低域通過フィルタ
4を通すことによって、正弦波交流電圧e3[図2
(f)]を獲得する。なお、変調周期可変パルス幅信号
演算回路17には、高速なマイクロプロセッサを使用
し、瞬時に波形を演算する方法を用いる。
【0019】(比較例)本実施例及び従来例の共振型イ
ンバータB,Aを使用した際の、極性切替回路2の出力
電圧e2の高調波成分を分析したグラフを図4及び図5
に示す。図4は本実施例の共振型インバータBを使用し
た際の極性切替回路2の出力電圧[図2(e)]の高調
波成分を分析したグラフで、測定条件は、入力電圧10
0V,高周波共振出力電圧e1の発生周期100kH
z,図3における許容値D=0.005である。
【0020】図5は、従来例の共振型インバータAを使
用した際の、極性切替回路2の出力電圧e2[図7
(f)]の高調波成分を分析したグラフで、測定条件
は、入力電圧100V,高周波共振出力電圧e1の発生
周期100kHz,キャリア三角波V2の周波数は10
kHzである。この条件は、従来技術を用いた共振型イ
ンバータAでは、低次の高調波成分が最も少ない例であ
る。
【0021】図4及び図5を比較すると、本実施例にお
ける共振型インバータBの低次の高調波は、従来技術を
用いた共振型インバータAより小さく、特に3次から7
次の成分は、1/2から1/5程度に抑制されることが
わかる。なお、本実施例では、図3に示す許容値Dによ
って、低次高調波成分の抑制効果が変化するため、高周
波共振出力電圧e1の発生周期と、インバータ出力の交
流電圧の周波数に応じて、最適な許容値Dの値を選定す
ることが必要である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
パルス幅変調信号の変調周期を、基準正弦波の振幅に応
じて変化させ、共振電圧発生回路の出力電圧に同期し、
かつ、基準正弦波の振幅に比例したパルス幅を持つ変調
周期可変パルス幅信号とすることにより、交流電圧の低
次高調波成分を抑制することが可能となり、装置に使用
する低域通過フィルタのカットオフ周波数を高くするこ
とが可能となり、低域通過フィルタを小型・軽量化で
き、従って、共振型インバータ装置全体の小型・軽量化
が可能となる等優れた効用性、有用性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す共振型インバータ回路の
ブロック構成図である。
【図2】同上の動作波形である。
【図3】同上に備わった変調周期可変パルス幅信号演算
回路における演算のフローチャートである。
【図4】同上に備わった極性切替回路の出力電圧の高調
波成分の分析グラフである。
【図5】従来の共振型インバータの極性切替回路の高調
波成分の分析グラフである。
【図6】従来の共振型インバータ回路のブロック構成図
である。
【図7】同上の動作波形である。
【符号の説明】
A…従来の共振型インバータ B…本実施例の共振型インバータ 1…共振電圧発生回路 2…極性切替回路 3…制御回路 4…低域通過フィルタ 5…基準発振器 6…パルス幅変調信号発生回路 7…同期パルス幅変調信号回路 8…スイッチ決定論理回路 9…正・負信号発生回路 10,11…駆動回路 12,16…正弦波発生器 13…三角波発生器 14…比較器 15…変調周期可変パルス幅信号発生回路 17…変調周期可変パルス幅信号演算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−111261(JP,A) 特表 平1−501276(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高周波共振出力電圧を発生する共振電圧発
    生回路と、当該共振電圧発生回路の高周波共振出力電圧
    の極性を切り替える極性切替回路と、前記高周波共振出
    力電圧に同期し所望の周波数の交流電圧の振幅に対応す
    るパルス幅変調信号により前記極性切替回路の極性の切
    り替えを制御する制御回路と、前記極性切替回路の出力
    のうち前記所望の周波数の交流電圧を通過させて出力電
    圧を発生させる低域通過フィルタとを有する共振型イン
    バータにおいて、前記制御回路内に基準発振器を共通す
    る変調周期可変パルス幅信号発生回路と正・負信号発生
    回路とを備えて、前記制御回路を前記パルス幅変調信号
    の変調周期を前記所望の周波数の交流電圧の振幅に対応
    して変化自在に回路構成したことを特徴とする共振型イ
    ンバータ
  2. 【請求項2】制御回路において、変調周期可変パルス幅
    信号発生回路が、共振電圧発生回路の高周波共振出力電
    圧と同期し、かつ、当該所望周波数の交流電圧の振幅に
    比例したパルス幅になるような変調周期可変パルス幅信
    号を出力することにより極性切替回路を制御せしめ、前
    記出力電圧の低次高調波成分を抑制自在に回路構成する
    ことを特徴とする請求項1記載の共振型インバータ
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