JP3048651B2 - インクジェット記録ヘッド、該記録ヘッド用押圧治具および該記録ヘッドを具備したインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、該記録ヘッド用押圧治具および該記録ヘッドを具備したインクジェット記録装置

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JP3048651B2
JP3048651B2 JP474991A JP474991A JP3048651B2 JP 3048651 B2 JP3048651 B2 JP 3048651B2 JP 474991 A JP474991 A JP 474991A JP 474991 A JP474991 A JP 474991A JP 3048651 B2 JP3048651 B2 JP 3048651B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッド、該ヘッド用押圧治具および前記記録ヘッドを具備
したインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録ヘッドを
複数の構成部材で組立てることが知られており、部材相
互の結合にあたってば部材間にボルトを挿通したり、あ
るいは結合に係る部材を他の部材により挾持し、これら
挾持用部材をヘッド両端より離れた位置においてボルト
等により緊締するようにしたものである。
【0003】しかしながら、これらはいずれも記録ヘッ
ド全体の大型化を招き、さらに組立対象である部材間に
均一な圧力分布を得ることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
形態の押圧治具は、ばね部材の変形を行わしめる力の支
持は上記足部のみであったため、その足部に関して十分
な加工精度が確保されていなければならない。
【0005】また、加工精度を確保しても、最近では記
録ヘッドの吐出口数が増大してきており、(例えば、2
0〜64個から、80〜300個程度に増加してきてい
る)、接合された構成部材の封止剤の量も大となってい
るために、封止剤の変形ないし変形状態での固着の影響
による望ましくない力の作用を上記ばね部材が受け易
く、均一な圧力分布が得られなくなることも考えられ
る。
【0006】また、そのような記録ヘッドの吐出口の高
密度配置に伴って、一層高い押圧力を発生できる押圧治
具も望まれており、さらにはこれを安定して装着できる
ようにして組立工程を簡略化することも要求されてい
る。
【0007】そこで、本願出願人は、記録ヘッドの構成
部材、例えばインク吐出のために利用されるエネルギと
して熱エネルギを発生する素子を配列した基板(ヒータ
ボード)と、各素子に対応した液路を形成するための溝
が設けられるとともに各液路に対応したインク吐出口を
形成した部材を有してなる天板との接合について、吐出
口ないし液路近傍を集中的に押圧することができる押圧
治具を提案した(特願平1−241029号)。当該押
圧治具は略M字形状のばね部材であり、そのM字形の両
側の足部をヒータボードあるいはこれが設けられるベー
スプレートに引掛け、これによってばね部材をたわま
せ、中央部で吐出部近傍に線状圧力を作用するための板
状部材に押圧力を作用するものであり、かなり均一な分
布を有する押圧力をヘッド構成部材に付与することがで
きる技術的思想を開示するものであった。
【0008】
【目的】本発明は、相対的に多量の吐出口を備えたイン
クジェットヘッドにおいて適用され全体に均一な押圧力
を確実に発生することのできるインクジェット記録ヘッ
ド用押圧治具を提供することを主たる目的とする。
【0009】本発明の他の目的は、インクジェット記録
ヘッドに対して装着性が優れ、装着不良による圧力分布
不均一化の問題を解決できるインクジェット記録ヘッド
用押圧治具及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド
を提供することにある。
【0010】本発明の別の目的は、組立タイプのインク
ジェット記録ヘッドに対して、押圧治具を用いた場合の
製造後のバラツキを大幅に減少できる共通液室内構造に
特徴のあるインクジェット記録ヘッドを提供することに
ある。
【0011】本発明の目的としては、上記インクジェッ
ト記録ヘッドを具備することで耐久性に豊み、安定した
記録を良好に行えるインクジェット記録装置の提供も挙
げられる。
【0012】本発明の残りの目的は、本発明実施例の構
成及びその説明から理解されよう。
【0013】
【発明の概要】本発明は、上記課題を解決するものであ
って、インクジェット記録ヘッドを構成するために用い
られる押圧治具であって、複数の記録ヘッド吐出口部近
傍に作用する加圧部と、該加圧部から吐出口部から離反
する方向に延在した後反転して該加圧部側へ至る弾性U
字状部と、を具備したことを特徴とする押圧治具を提供
するものである。この治具によれば、多量の吐出口をも
つ吐出口領域への均一加圧を安定して行うことができ
る。
【0014】さらに、本発明治具は、前記記録ヘッドの
基準部材の裏面に係合して上記弾性U字状部の弾性力を
均一化するための第1足部を両側に有していると共に該
基準部材の同一表面に当接するための前記離反方向に延
在する第2足部を複数有している構成によって、より安
定したバランスを製造時の不安操作にもかかわらず確実
に得ることが可能である。
【0015】また、本発明記録ヘッドは、上記治具によ
って、不安定要素が解決され、信頼性に富む記録を達成
できるもので、その代表発明は、基準部材と、該基準部
材に一体に形成された熱エネルギー発生用電気熱変換素
子の複数と、該素子のそれぞれに対してインク路を形成
すると共に該複数インク路に共通の液室を形成する部材
と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、上記
基準部材に対して上記形成部材を押圧する押圧治具が、
複数の記録ヘッド吐出口部近傍に作用する加圧部と、該
加圧部から吐出口部から離反する方向に延在した後反転
して該加圧部側へ至る弾性U字状部と、を具備している
ことを特徴とする。
【0016】さらに、本発明記録装置においては、上記
記録ヘッドによって、長期的安定化が達成でき、振動や
外的要素に対しても安定した記録を可能にする他、イン
クタンク一体型ヘッドのタンク部の複数回の交換があっ
ても長期的記録を安価に行うことができる。
【0017】なお、本発明においては、液室に該当する
領域の基準部材表面の上記形成部材が当接する部分ま
で、上記電気熱変換素子の保護層すべてが一様に形成さ
れていることはより好ましい。
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。 (1)ヘッドカートリッジ (1.1)全体説明 図1は本実施例に係るインクジェット記録装置のキャリ
ッジ(図13につき後述する)に搭載可能なヘッドカー
トリッジの一構成例を示す。本例に係るカートリッジ
は、インクンタクユニット200とヘッドユニット10
0とを一体に有しており、また、ヘッドユニット100
はインクタンクユニット200に対し後述のように装着
できるようになっている。ヘッドユニット100のイン
ク吐出部101を駆動するための信号等を受容するとと
もにインク残量検知信号の出力を行うための配線コネク
タ102は、ヘッドユニット100およびインクタンク
ユニット200に並ぶ位置に設けてある。従って、この
カートリッジを後述のキャリッジに装填した際にとる姿
勢において、その高さHを低くすることができるととも
に、カートリッジの厚みを薄形化することができる。こ
れにより図19につき後述するようにカートリッジを並
べて配置するときにキャリッジを小さく構成することが
可能である。
【0018】ヘッドカートリッジのキャリッジへの装着
にあたっては、吐出部101を下側にした状態でインク
タンクユニット200に設けたつまみ201を把持して
キャリッジ上に配置することができる。そして、その装
着時にはキャリッジ側に設けたピンがヘッドユニット1
00のピン係合部103に係合し、ヘッドユニット10
0の位置決めがなされる。この態様については後述す
る。
【0019】本例に係るヘッドカートリッジには、イン
ク吐出部101の表面をワイピングしてこれを清掃する
部材をクリーニングするための吸収体104が、インク
吐出部101に並置されている。また、インク消費に伴
って空気を導入する大気連通口203が、インクタンク
ユニット200のほぼ中央に設けられている。
【0020】図2は図1に示したヘッドカートリッジの
分解斜視図である。本例に係るヘッドカートリッジは、
ヘッドユニット100とインクタンクユニット200と
から成っており、これらユニットの詳細な構成につい
て、本図等を用いて説明する。
【0021】(1.2)ヘッドユニット ヘッドユニット100の構成部品の実装の基準となるの
は、Al等で形成したベースプレート111であり、そ
の上にインク吐出に利用されるエネルギを発生するため
の素子群を形成した基板112と、素子に電力を供給す
るための配線等を有したプリント回路基板(PCB)1
15とが実装されており、これらはワイヤボンディング
等によって接続されている。基板112には、前記素子
として、ファクシミリ信号,複写機の読取り信号あるい
はホストからの記録信号に基づいた通電タイミングに応
じてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する
電気熱変換素子が本例では列状に128個設けられてい
る。ただし、その配置,個数は特に限定されるものでは
ない。そして以下ではこの基板112をヒータボードと
称する。
【0022】上述した配線コネクタ102はPCB11
5の一部をなすものであり、不図示の制御回路からの駆
動信号は配線コネクタ102に受容され、PCB115
を介してヒータボード112に供給される。PCB11
5は、本例では両面配線基板であって、さらにヘッド固
有の情報、例えば電気熱変換素子の適切な駆動条件,I
D番号,インク色情報,駆動条件補正用データ(ヘッド
シェーディング(HS)データ),PWM制御条件等を
記憶したROM形態のIC128およびコンデンサ12
9が配設されている。
【0023】図3はベースプレート111とPCB11
5とを一体化した状態で示す底面図であり、太い実線で
示す輪郭を有するのがPCB115、ハッチングを施し
た輪郭で示すのがベースプレート111である。図示の
ように、IC128およびコンデンサ129は、PCB
115のベースプレート111との接合面側に、かつベ
ースプレート111の切欠き部111Aに対応した位置
に配置されている。これによって、IC等の装着時の高
さがベースプレート111の厚み以下であれば、PCB
115とベースプレート111との接合時にIC等が表
面より突出することがない。従って、製造工程において
それらの突出に対応した収納態様を考慮する必要がなく
なる。
【0024】図2において、ヒータボード112上に
は、インクタンクユニット200側より供給されるイン
クを一時貯留する共通液室、および該液室と吐出口とを
連通する液路群を形成するための凹部を有する天板11
3が配置される。また、この天板113には、インク吐
出口を形成した吐出口形成部材(オリフィスプレート)
113Aが一体に形成されている。114は天板113
とヒータボード112とを密着させることによって吐出
部101を構成するため吐出口近傍に均一圧(線圧)を
与える押えばねであり、インクジェット記録ヘッドを構
成するために用いられる押圧治具をなすものである。
【0025】図4(a)および(b)は、図2に示した
かかる押えばね114の上面図および側面図をそれぞれ
示し、これらの図を用いて押圧治具たる押えばねの構成
および機能を説明する。本例に係る押えばね114は、
天板113に対し線状に弾性的に押圧力を作用するため
に断面略U字形状に折曲げ形成した部分114Uと、そ
の側方に位置し、ベースプレート111に設けた逃げ穴
111Fを利用し、ベースプレート111上に接着され
ているヒータボード112の下面に引掛かる爪114C
を設けた前脚部114Fと、部分114Uの後方に延在
した後に下方に折曲げられ、押えばね114に作用する
力をベースプレート111上で支える一対の後脚114
R,114Lとを有している。後脚114R,114L
は、延在部分の長さが異なっており、前者はPCB11
5に配線を避けて設けた貫通孔115Rを介して、後者
は直接に、共にベースプレート111上に当接する。そ
のような配線を避ける必要がなければ、上記延在部分の
長さは等しくてもよい。いずれにしても、後脚において
も作用力が支えられるため、後に吐出部周辺に位置づけ
られうる封止剤の変形、ないしは変形状態での固着の影
響による望ましくない力の作用を分散し、均一な圧力分
布を保持することができる。
【0026】部分114Uには、天板113に設けたイ
ンク導入管部の挿通を受容するための開口が設けられて
いる。また、部分114Uは、そのU字形状の開放され
た側の縁に沿って外方に突出する一対の立上げ部114
Bを有し、開口の形成による強度低下を補償している。
本例では、前脚部114Fの爪114Cをヒータボード
112の下面に引掛けることによって部分114Uがた
わみ、これによって生じる弾性力をU字形状部分114
Uの下側部分によって天板113に作用する。すなわ
ち、天板113とヒータボード112とは、吐出口配列
方向に沿って線状に、かつ均一に押圧され、これによっ
て両者は望ましくない間隙が生じることなく接合するこ
とになる。
【0027】なお、本発明は主たる特徴がU字状による
押圧力を発生し、その押圧力によって吐出口配列方向を
均一に強圧する治具にあるが、その効果を記録ヘッドに
おいてより一層優れたものにする構成について以下説明
する。
【0028】すなわち、記録ヘッドが複数吐出口,イン
ク路を持つ場合、これらに共通の共通液室が記録ヘッド
に設けられるのが一般的である。この共通液室は、通
常、天板に形成された一体の部材とヒータボード(吐出
用電気熱変換体やこれらの駆動に供する配線,パッドが
形成されている)に対して液室形成用の天板一体部材が
圧接されることによって構成される。
【0029】ところで、この圧接の際に、液室側で均一
な圧力を作用させて相互に押圧封止すると、吐出口側の
圧接力が不均一になる。この吐出口側での圧接力の不均
一性は、上記電気熱変換体が発する熱エネルギーが分散
し、吐出が良好に行えない等の問題点を生じる場合があ
る。このため、液室側は封止剤といわれるシリコーンシ
ーラント等の材料で封止し、吐出口側のその配列方向を
均一な圧接力で強圧する構成を採ることが多い。しかし
ながら、液室側の封止部分は、接着されている場合でも
ひずみが集中し易いためか、製造上封止性の低下するよ
うな不良品の発生が見られることがあった。この点につ
いて検討したところ、ヒータボード表面には多くの薄膜
が部分積層されているため段差が微少ではあるが存在
し、この段差によって上記ひずみの集中が生じるものと
推察できた。
【0030】実施例においては、図41に示すように、
この段差を無くすため、従来インク路や電気熱変換体の
配設される部分3021にのみ設けられていた保護層
(本例では金属系保護用Ta保護層)を、共通液室30
25内全域で、かつ液室形成用の隔壁3900の下面
(本例は壁部の幅の半分まで)までTa保護層3024
を形成する。これにより、この保護層3024と隔壁3
900との間のすき間を、吐出部,インク路側における
ヒータボード112と天板との間のすき間の大きさに近
づけた構成を採用した。これによってインク存在域にお
ける段差は大幅に改善され、シール性やその耐久性,信
頼性が高まるばかりでなく、上記吐出口側での強圧によ
っても、また、製造ばらつきがあっても、隔壁3900
のヒータボートからの剥れやインク流出の問題がほとん
ど発生しないほど優れたヘッドが得られた。
【0031】従って、本発明によれば、インク存在域、
特に共通液室側まで同一の保護層を設けることによって
上記接合における安定した信頼性の高い均一加圧保持状
態の記録ヘッドを提供できることとなった。
【0032】なお、上述のようにTa保護層を共通液室
全域に形成したことで温度調整や温度検知の検知精度が
向上でき、インク吐出状態も改善できたため、電気熱変
換体を吐出用に用いるヘッドや、図41中3023で示
される加温用ヒータをもつヘッドにおいてさらに好適な
構成となる。
【0033】再び図2を参照するに、116はヘッドユ
ニットカバーであり、インクタンクユニット200内に
進入するインク供給管部116A,これと天板側インク
導入管部とのインク連通を行うためのインク流路116
B,ベースプレート111への3点位置決めないし固定
用の3本のピン116C,ピン係合部103,吸収体1
04の取付け部およびその他必要な部分を一体にモール
ド成型してなる部材である。インク流路116Bに対し
ては、流路蓋117が配置される。また、インク供給管
116Aの先端には、気泡,塵埃除去用のフィルタ11
8が配設されるとともに、結合部からのインク漏洩防止
用のOリングが配設されている。
【0034】以上のヘッドユニットを組立てるにあたっ
ては、ベースプレートに突設したピン111PがPCB
115に設けた貫通孔115Pに挿通されるようにして
位置決めし、接着等により両者を固定する。この両者の
固定にあたっては精度はそれ程要求されない。ベースプ
レート111に対して精度高く装着されるべきヒータボ
ード112はPCB115とは別体に固定されるからで
ある。
【0035】次に、ヒータボード112をベースプレー
ト111上に精度よく配置・固定し、PCB115との
間で必要な電気的接続を行う。そして天板113および
ばね114の配設を行い、必要に応じて接着・封止を行
った後、カバーに突設した3本のピン116Cをベース
プレート111の孔111Cに挿通して位置決めを行
う。その後、これら3本のピン116Cを熱融着するこ
とにより、図5に示すようなヘッドユニットが完成す
る。
【0036】(1.3)インクタンクユニット 図2において、211はインクタンクユニットの本体を
なすインク容器、215はインクを含浸させるためのイ
ンク吸収体、216はインクタンク蓋である。212は
インク残量検知用の電極ピンであり、その先端部はイン
ク吸収体215内に挿入され、根本部を容器壁面に溶着
することにより封止,固定がなされている。213およ
び214はピン212に関する接点部材であり、これら
インクタンクユニット200の構成要素について詳述す
る。
【0037】図6,図7および図8は、それぞれ、イン
ク容器の上面図,底面図および側面図であり、これら図
を用いてインク容器の構成を説明する。
【0038】インク容器211は、概ね、ピン212、
接点部材213,214の取付けおよび上述したヘッド
ユニット100の装着を行うための部分220、インク
供給管部116Aの進入を受容する供給口231、並び
につまみ201を一体に有するとともに、図2中底面側
よりそのほぼ中央に立設した中空の筒状部233を有し
ている。筒状部233の高さは、インク容器の厚みとほ
ぼ等しい。かかるインク容器は、樹脂の一体成型により
形成することができる。
【0039】筒状部233の底面側は、インク充填工程
を考慮して開放されており、充填後には、図2に示すキ
ャップ217が取付けられて大気に対し閉塞される。一
方、図2中その上端面には、渦状もしくは蛇行形状とし
た溝235が設けられ(図示の例では渦状)、その溝の
一端235A(図示の例では渦状溝の中心)において筒
状部233の内部空間に通じる開孔が設けられている。
この開孔は、筒状部233の中心部に端部が開放されて
いる管(不図示)に連通している。この管の端部は、取
付けられたキャップ217と所定の間隔をおいて離間
し、タンク内の大気連通状態を達成する。また、その溝
の他端235Bは、タンク蓋216に設けられた大気連
通口203の部位に位置している。
【0040】筒状部233の側面には、等円周角度をも
って複数本(図示の例では4本)の溝237が設けられ
ており、筒状部233の内部空間と連通している。これ
により、インクタンクユニット内部と大気との連通は、
大気連通口203,渦状溝235,筒状部233の内部
空間,溝237を介してのものとなる。そして、筒状部
233の内部空間は、振動や揺動によるインク漏洩を防
止するためのバッファ部として機能する。また、大気連
通口203に至る経路を長くする渦状溝233が存在す
るため、インク漏洩はより一層有効に防止されることに
なる。
【0041】また、本例のようにインクタンクのほぼ中
央に位置する筒状部233の側面に、等円周角度をもっ
て複数の溝237を設けたことによって、その周囲に位
置する吸収体215に対し、均一化された大気とのバラ
ンス状態を確保し、吸収体内のインクの局部集中を防止
できる。これは、後述する吸収体圧縮域(供給口231
の周辺)に対して円滑なインクの供給性をも確保できる
ものである。
【0042】なお、この溝237は、図8中容器の厚み
W1の中心よりも下方域にまで延在し、かつ同図中供給
口231の存在する範囲Aを完全に包含する範囲にわた
って設けられる。また、残量検知用ピン212の位置を
も考慮した範囲に形成されており、これによりピンの存
在部位周囲に均等なインク存在状態もしくは大気連通状
態を確保し、残量検知の精度を向上することができる。
なお、スリット状の溝を設ける代りに、不連続開口群を
設けてもよい。
【0043】再び図2を参照するに、本例に係るインク
含浸用吸収体215には、筒状部233の挿通を受容
し、その周囲において圧縮域が生じないようにするため
の穴215Aが設けられている。この穴215Aに筒状
部233を位置するようにしたことによって、吸収体2
15は筒状部233に圧縮されることなく、負圧の高い
その圧縮部分にインク残留が生じることもない。一方、
本例に係る吸収体215は、インクタンク蓋216とイ
ンク容器211とにより形成される空間の形状(図2中
一点鎖線で示す)に対し、供給口231に位置する部位
がやや膨らんだ形状となっている。これにより、吸収体
215をインクタンクユニット内に収納したときに、そ
の膨らんだ部分が圧縮された状態となるので、吸収体2
15はその部分において毛管力が高くなり、吸収体21
5内のインク分布を常に供給口231側に集める。従っ
て、インクを円滑に供給口231側へ導入できることに
なる。
【0044】図9はタンク蓋216の裏面図であり、タ
ンク蓋216の裏面には、上記筒状部上面に設けた溝2
35とともに渦状の大気連通経路を形成するための部分
261が設けられている。
【0045】以上のような各部を有するインクタンクユ
ニットを組立てるにあたっては、まずインク容器211
に対し吸収体215を収納する。そして残量検知用のピ
ン212を容器211の側部に設けた穴241より挿通
し、接点部材213,214がピン212に接続する状
態で保持部245に保持させる。その後、タンク蓋21
6によりインク容器211を覆い、両者を圧入,接着,
熱溶着,超音波融着その他適宜の方法で結合する。次
に、大気連通口203,インク供給口231,筒状部底
面側開口の適宜の閉塞もしくは開放を行いつつエア抜き
およびインク注入を行う。そして、インク注入後に筒状
部底面側開口をキャップ217の圧入その他適宜の方法
で閉塞し、図10に示すようなインクタンクユニット2
00を得る。
【0046】本例に係るインクタンクユニットでは、イ
ンク漏洩を防止するためのバッファとなる空間を形成す
る部材(筒状部233)をインク容器211側に一体に
設けている。これにより、蓋216の取付け工程におい
て容器の縁と筒状部233上面とを同時かつ均一に溶着
等することが可能となり、封止性に優れることになる。
また、一体成型されたインク容器211に吸収体215
を収納した後に蓋216を溶着すればインクタンクユニ
ットが構成できるので、蓋側にバッファ形成用部材を配
置する場合に比して製造工程が簡略化する。
【0047】なお、本例ではインクタンクユニット20
0の一つの角に丸みを設けており、これによって後述の
キャリッジへの装着を行うレバー動作を円滑に行わせる
ことができるようになる。また、タンク蓋の誤装着も生
じない。
【0048】(1.4)ヘッドユニットのインクタンク
ユニットへの取付け 図5,図10および図11を用いてヘッドユニット10
0のインクタンクユニット200への取付けについて説
明する。なお、図11は取付け態様の模式図であって、
適宜の部位を破断し、かつ簡略化して描いている。
【0049】まず、図5および図10において、161
および221は、それぞれ、ヘッドユニット100のカ
バー116に設けた突起およびインクタンクユニット2
00の容器216に設けたばね性を有するラッチであ
り、両者の係合によってヘッドユニット100の脱落
(図11におけるZ′方向への変位)が防止される。図
5,図10および図11において163はヘッドカバー
116に設けられ、所定間隔をおいて対向する部分16
5と突当て部分167からなる嵌合部であり、部分16
5間に容器側の嵌入部223が係合し、突当て部分16
7に突当てられた状態となったときに、ヘッドユニット
100の図11中y,y′方向の移動並びに取付け方向
(図11中Z方向)への移動が規制される。
【0050】図10において、227および229は規
制部材であり、図中それぞれの下面部分がヘッドユニッ
ト装着時にベースプレート111の後端縁側の部分11
1B(図11参照)に係合してヘッドユニット100の
上方(図11におけるy′方向)への変位を規制する。
また、規制部材を利用してヘッドユニット100の後縁
部に係合させ、その右もしくは左方向(図11における
xもしくはx′方向)の変位を規制することもできる。
また、図11に示すように、ベースプレート111の後
端縁部に設けた凹部171には、容器のヘッドユニット
取付け部の最奥部に設けた凸部251が嵌合可能で、こ
の嵌合によってヘッドユニット装着時においてベースプ
レート111の1端側は、その左右方向(図11におけ
るx,x′方向)への変位が規制される。
【0051】253は容器211のヘッドユニット取付
け部に、ヘッドユニット取付け方向に沿って設けたレー
ルであり、その奥側にはヘッドユニット100を図10
の上方向(図11のy′方向)に僅かに変位させるため
の凸部253Aを設けてある。
【0052】一方、電極212,212に接続される接
点部材213,214は、両者の接触を避けるべく適切
に折曲げられつつ(なお、図11では図の簡略化のため
にその折曲げを図10とは異ならせているが、いずれの
ものでもよい)、ヘッドユニット装着方向奥側に延在し
ており、その先端部213A,214Aは図11中y方
向(図10中下方向)への付勢力を作用するように板ば
ね形状としてある。また、その板ばね状の先端部位置は
凸部253Aの近傍である。そして、PCB115に
は、接点部材先端部213A,214Aとそれぞれ接触
可能な接点面173,174が設けられている。すなわ
ち、ヘッドユニット100の装着時には、ヘッドユニッ
ト100は凸部253Aによって僅かに図10中上方
(図11中y′方向)に変位するとともに、その凸部近
傍にある接点部材先端部213A,214Aによって当
該方向と逆方向に付勢され、凸部253A上に突当てら
れた状態で保持されることになる。また、ヘッドユニッ
トは当該突当て部を構成する凸部253Aの近傍におい
て弾性的に付勢されるので、当該付勢方向におけるガタ
の発生も防止できる。
【0053】なお、図10,図11において259はピ
ン212および接点部材の先端部以外の部分より下方
(図11中y方向)側に設けた規制部材であり、接着動
作時にPCB115に係合し得るものである。
【0054】次に、ヘッドユニット100の装着動作を
主に図11を用いて説明する。
【0055】装着にあたっては、ヘッドユニットのベー
スプレート底面をスライドレール253により規制させ
つつ、またヘッドカバーおよびベースプレート側縁を容
器211の側面で規制させつつ、図11の矢印に示すよ
うにヘッドユニット100をスライドさせて行く。ま
た、そのスライドの過程でヘッドユニット100を図1
1中y′方向に変位しても、PCB115に規制部材2
59が係合するので、それ以上の変位が規制されるとと
もに、ピン112や接点部材にPCB115が接触して
これを損傷させることがない。
【0056】ヘッドユニット100をさらにスライドさ
せて行くと、やがて装着方向手前側にある接点部材先端
213AがPCB115の接点面174付近を押圧し、
ヘッドユニット100が仮押えされた状態となる。この
状態では、供給管116Aは供給口231に対向してい
る。
【0057】このように仮押えされたヘッドユニット1
00をさらに押込むと、やがて装着方向奥側にある接点
部材先端214Aが接点面174に当接しはじめる。こ
の状態では供給管116Aは供給口231内にほぼ嵌合
し、凹部171と凸部251,嵌合部163と嵌入部2
23がそれぞれ係合しはじめる。また、ラッチ221は
突起161の斜面に乗り上げ始める。
【0058】そして、装着動作の完了時には、接点部材
先端部213A,214Aがそれぞれ接点面173,1
74に当接し、かつ供給管116Aは完全に供給口23
1内に進入するとともに、当該当接に伴う付勢によって
凸部253A上の突当て面にベースプレート111が押
圧され、凹部171と凸部251、嵌合部163と嵌入
部223、突起161とラッチ221、規制部材22
7,229とベースプレート111、規制部材229と
ヘッドカバー後縁部169の係合により各方向への変位
が規制され、ヘッドユニット100がインクタンクユニ
ット200に取付けられた状態となる。また、上記各方
向並びに回転方向θx ,θy ,θz の規制には、上記し
た各部の係合関係の他、インク供給管116Aとインク
供給口231との嵌合も関与するものである。
【0059】なお、インクタンク内のインクが消費され
た場合、あるいはいずれかのユニットのメンテナンスを
行う場合等においてヘッドユニット100とインクタン
クユニット200とを取外す場合には、ラッチ221を
突起161から解放し、インクタンクユニット200か
らヘッドユニット100を装着と逆方向にスライドさせ
れば、両者の分離は容易である。
【0060】以上のような本実施例によれば、電極接点
面がPCB奥側にあるため、接点部材先端を装着方向奥
側に設けることで当該先端部のPCB上の摺動量を少な
くできる。また、スライド装着を案内するレール253
を設けたことでスライドが円滑に行われるとともに、当
該レールを補強部材としても機能させることができる。
また、接点部材先端部213A,214Aを板ばね形状
とし、突起253Aの突当て面近傍に配置して当該突当
て面への押圧部材として兼用したことにより、接点面と
の接触が確実に行われるのみならず、部品点数も減少
し、さらにはヘッドユニット100も大きなガタが生じ
ることなく保持できる。加えて、ヘッドユニット装着時
には、ヘッドカバー116とPCB115とにより形成
される空間内にピン212、接点部材213,214が
収納されるので、外部要因による位置ずれ、塵埃の付着
からそれら部材を確実に保護でき、該検出等も防止でき
る。
【0061】なお、以上のような構成を採ることによっ
てヘッドユニット100はインクタンクユニット200
に対し大きなガタがなく保持されるが、インク供給部の
結合状態を維持しうる程度およびガタによるヘッドユニ
ットの位置決め精度が低下しない程度であれば完全に剛
に保持されなくてもよい。具体的なわずかなガタ(装置
装着後固定保持される)は、±3μm以内のものが好適
である。要するに、ヘッドユニット100はこれを利用
するプリンタ本体に装着されたときに、その吐出部10
1が適正な位置に設定されるようにすればよいのであっ
て、ヘッドユニット100とインクタンク200との結
合は、使用時等における振動その他の影響による不都
合、例えばインク供給部からのインク漏洩や、後述のよ
うなヘッドユニットのガタつきによる位置決め精度の低
下が生じない程度に確保されていればよい。この意味で
は、本例のヘッドカートリッジはそのインクタンクユニ
ット200とヘッドユニット100とが上記不都合を生
じない程度にいわば仮保持されている(但し実施例では
図11中y方向のガタはない)ものであって、その観点
から両者の各係合部の構成,装着動作を著しく簡略にし
うるものである。このことは、各係合部をほぼヘッドユ
ニット後方、すなわち吐出部101とは反対側に配置し
たことによって一層効果的なものとなる。
【0062】以上の係合関係は、ヘッドユニット側、イ
ンクタンクユニット側が凹凸係合部の一方をもつ構成で
あればよいが、好ましくは、上例のように、複数係合部
をもちそれぞれに凸部、凹部をもつことがよい。また、
本例では規制部材227,229の図10中の下側の隙
き間にベースプレート111が嵌入するようにして、そ
の上下方向規制を行っている。これはベースプレート1
11を図10中の上下方向にある程度位置決めする意味
で好ましいものであるが、単に上方への変位が規制され
るようにしてもよい。また、ヒータボードと一体のPC
Bに対してそのような係合関係が達成されるものでもよ
い。
【0063】以上の思想は、特に吐出部の吐出口近傍の
位置決めのように微小部分のみの確実な位置決めだけで
なく、吐出部の面位置決めや、吐出部のクリーニングを
行う後述のブレード等のクリーニングする部材(吸収
体)に対する位置決めも容易となる効果がある。従っ
て、ヘッドユニットがこのような吸収体を持つものにも
特に優れるものである。
【0064】本例においては、上述のようにヘッドユニ
ット100がインクタンクユニット200に取付けられ
たときに、供給管116Aが供給口231内方に侵入
し、インク吸収体215を圧縮してその部分の毛管力を
高め、供給口ないし供給管側に円滑にインクが導入され
るような構成を採用している。そしてこれをさらに効果
あらしめるべく、本例ではさらに次のような構成を採
る。
【0065】ピン212は、供給管116Aの侵入前に
吸収体215内に挿入されているので、これらの配置関
係を次のように定めておけば、ピン212を少なくとも
その部分において吸収体215の最大圧縮部を形成する
ために供給管116Aと協働する部材として機能させる
ことができる。すなわち、ピン212を、当該圧縮を行
わしめることによって供給管116A方向にインクを案
内するための部材に兼用するわけである。
【0066】図12はその配置関係を説明するための図
であって、(a)は上面図、(b)はピン212に供給
管先端を投影(ハッチを施して示す)した状態の側面図
である。図12(a)に示すように、供給管116Aが
挿入されるインク容器内壁面からピン212までの距離
をL(例えば6mm)、装着時において供給管116A
が進入する量をl(例えば3mm)としたとき、適切な
圧縮状態を得るにはL/4≦l≦3L/4であることが
実用上好ましい(図ではl=L/2)。また、供給口2
31の中心とピン211の挿入口の高さとを適切にし、
同図(b)に示すようにピン212はハッチで示す投影
面のほぼ中心を通ることが強く望ましい。なお、当該圧
縮状態維持のためには、ピン212(少なくとも当該圧
縮に関与する供給管116Aに近い方のピン)の太さ
は、0.5〜2.0mm程度のものが好ましい。
【0067】以上のようにすれば、同図(c)に示すよ
うに、供給管116Aとピン212とによって、吸収体
の圧縮部分215Aを形成し、供給管側に対してより好
ましいインク供給状態を確保できる。 (2)ヘッドカートリッジを用いる装置例 (2.1)キャリッジへのヘッドカートリッジの取付け 図13および図14は、それぞれ、上述のヘッドカート
リッジを装着可能なシリアルプリンタ形態のインクジェ
ット記録装置における、カートリッジ搭載部材としての
キャリッジ周辺の構成例を示す斜視図および側面図であ
る。図は、キャリッジ2上に4個のヘッドカートリッジ
(それぞれ異なった色のインク(例えばイエロー,マゼ
ンタ,シアン,ブラック)を収容したもの。以下単にカ
ートリッジともいう)を位置決めして装填する例を示し
ている。
【0068】保持部材としてのコネクタホルダ40上に
は、4個の押しピン10が係合しており、バネ10aに
よって図14中左方向に付勢されている。ここで、保持
部材としてのコネクタホルダ40は、軸20を介してリ
ンク21と係合し、更にこのリンク21に係合する操作
レバー7の回転動作(時計方向・反時計方向)に従って
図14中左右方向に移動可能であって、右方向に移動し
て加圧を解除してカートリッジの交換を可能とし、一方
左方向に移動してカートリッジの装填を受容する構成に
なっている。
【0069】そこでカートリッジを装填部2fに装填す
る際には、まずカートリッジの記録ヘッド部86を装填
部2fの先端凹部2f1 に上方から落し込む。そして、
操作レバー7を軸9を中心に時計方向へ回動させれば、
ホルダ40が進んできてカートリッジの溝部190(図
1参照)にキャリッジ2側のガイド54(図14参照)
に侵入するとともに、ピン10がカートリッジと係合し
てカートリッジは装填部2fに装填される。59はバネ
であってキャリッジ2側に設けられており、装填部2f
に装填されたカートリッジを後方に押圧して位置決めを
より精度良く行うための付勢力を発生する。そして押し
ピン10の先端部10bはそれぞれ4個のカートリッジ
のピン係合部103に当接し、カートリッジを押圧す
る。また、押しピン10の外周面10はキャリッジ2上
の所定の突き当て面に当接し、発生する押しピン軸と直
角方向のスラスト力をそれぞれ独立に受ける構造になっ
ている。従って、保持部材40はバネ10aの反力のみ
を受けるだけであって、スラスト力が作用しないため
に、複数のカートリッジを同時に解除するときも解除レ
バー7を小さな操作力で操作して着脱動作が可能とな
る。
【0070】次にカートリッジ側の配線コネクタ102
と、これに係合させるべく本体側に設けたコネクタ(本
体コネクタ)6との嵌合および離脱のための機構ないし
動作について説明する。
【0071】本体コネクタ6に配線コネクタ102が挿
入されるときは、本体コネクタ6と一体の係合軸6aが
引張りバネ41(図14参照) の弾性力によってコネク
タホルダ40の係合穴嵌合部40bに嵌合した状態でレ
バー7を操作すると、本体コネクタ6とコネクタホルダ
40とが一体となって移動する。そしてキャリッジ2の
装填部2fに装填されたカートリッジCが装填されるこ
とによって大略位置決めされている配線コネクタ102
と、係合軸6aが嵌合部40bに嵌合することによって
大略位置決めされている本体コネクタ6とが出会い、本
体コネクタ6の斜面(図示せず)に案内されて本体コネ
クタ6が配線コネクタ102と嵌合(結合)する。この
後、コネクタホルダ40は図13中奥側に所定距離だけ
移動する(この移動はレバー7の回動によって行われ
る)。ここで、この所定距離とは、係合軸6aが嵌合部
40bから離れる距離であって本体コネクタ6を位置決
め状態から可動な可動(解放)状態にするためのコネク
タホルダ40の移動距離である。
【0072】そして本体コネクタ6は、配線コネクタ1
02と引張りバネ41(図14参照)よりも強い力で結
合しているので、本体コネクタ6はコネクタホルダ40
から解放される。すなわち係合が離れる。ここで係合穴
40aの大径部は、本体コネクタ6の係合軸6aよりも
径が大きいので両者の間にはギャップが生じる。従っ
て、本体コネクタ6とヘッドコネクタ85の嵌合(結
合) 時は、本体コネクタ6はコネクタホルダ40に対し
遊離状態になるので、カートリッジはキャリッジ2に対
し、押しピン10による押圧力のみで位置決めされる事
となり、記録ヘッド86のキャリッジ2に対する正確な
位置決めが確保されるわけである。
【0073】次に、カートリッジを取り外す(解放す
る)ときには、レバー7を立てた位置から横にした位置
(図13の位置)へ反時計方向へ回動させる。すると、
係合軸6aはヘッドコネクタ85と強い力で結合してい
るが、コネクタホルダ40が右方に移動するにつれて、
係合穴40aの大径部側面が係合軸6aに突き当たり、
図13中奥方向に係合軸6aを押しながら、本体コネク
タ6をヘッドコネクタ8から離脱(解放)させる。同時
に押しピン10もコネクタホルダ40と一体となって移
動し、ヘッドユニット100より離れることになる。
【0074】なお、図13または図14において、11
はキャリッジ2の主走査方向に延在し、キャリッジ2を
摺動自在に支持する走査レール、11aは軸受、51は
コネクタを介しカートリッジとの間で種々の信号を授受
するためのフレキシブルケーブル、52はキャリッジ2
を往復動させるための駆動力を伝達するベルトである。
また、17,18および15,16は、記録媒体搬送機
構で順にヘッドユニット100の吐出部101による記
録位置の前後に配置されて記録媒体の挟持搬送を行うた
めのローラ対、50は記録媒体の被記録面を平坦に規制
するプラテンである。
【0075】記録媒体に対し各ヘッド間でずれを生じる
ことなく記録を行うためには、各ヘッドユニット、特に
その吐出部がキャリッジ上に正確に位置決めされていな
ければならない。本例による記録装置では、斜面を有す
るピン係合部103に係合したピン10の付勢力の分力
により、図14に示すようにヘッドユニット,キャリッ
ジ双方の突当て部55が係合し、図14中左右方向の位
置決めがなされ、また同じく突当て部56の係合によっ
て高さ方向の位置決めがなされる。さらに、図13中走
査方向の位置決めは次のように行われる。
【0076】図15はインクジェットヘッドカートリッ
ジのキャリッジ2への装着時における正面図である。板
ばね形状の接点部材先端213A,214Aによって発
生する接点加圧力Fs によってヘッドユニット100の
ベースプレート111が押圧され、その突当て面がイン
クタンクユニット上の突当て面253Aに突当たり、ヘ
ッドユニット100とインクタンクユニット200とが
当該押圧方向にはガタなく固定されている。押圧力はF
S ×2≒800gで片寄せする加圧力として十分であ
る。ヘッドカートリッジはヘッドユニット100の突当
て面1bがキャリッジ2の突当て面2bに、タンクユニ
ット200の突当て面200aがキャリッジ側突当て面
2dに、押しピン10の加圧力Fによって発生する分力
b ,Fdで加圧当接され、位置決めがなされている。
従って、ヘッドユニット100を含むヘッドカートリッ
ジの図15中左右方向の確実な位置決めが達成できるこ
とになる。
【0077】なお、本例では接点部材先端213A,2
14Aを板ばね状とし、その弾性力によってヘッドユニ
ット100をインクタンクユニット200に押圧するこ
とにより当該押圧方向へのガタを無くし、以ってヘッド
ユニット100がキャリッジに確実に位置決めできるよ
うにしたが、このように接点部材自体を押圧部材として
兼用する代りに、図16に示すように、押圧部材299
を別途配設してもよい。これによっても図16中左右方
向のガタを無くし、当該方向へのキャリッジに対する位
置決め状態を確保することができる。
【0078】また、上例では、ピン10による確実な押
圧力の作用を確保すべく、ヘッドユニット側ピン係合部
103の斜面に、球面状の突起を設けている。
【0079】図17を用いてこの効果を説明する。同図
(a)に示すようにピン係合部103′が平坦なテーパ
面である場合、ピン先端10bのテーパ面とピン係合部
103′のテーパ面とが常に平行な姿勢で当接したり、
あるいはピン軸線が傾く等して両者が平行でなくても常
に同じ姿勢で当接するのであれば問題はないが、ヘッド
カートリッジの製造誤差等によって当接姿勢が均一でな
いと、両者の当接位置はピン先端10bのテーパ面の長
さだけずれ、従って押圧力の作用点がずれて各部に適切
な押圧力が作用しなくなるおそれがある。
【0080】これに対し、本例では、図(b)に示すよ
うに球面状突起103Aを設けているため、当接姿勢が
ずれても作用点をほぼ均一に保ちうるのである。
【0081】なお、このように作用点を保つための構成
としては、ピン係合部103のテーパ面に球面状突起を
設ける構成の代わりに、あるいはこれを設けるととも
に、ピン先端10bを球状にする、もしくは球面状部分
を設けるようにしてもよい。
【0082】(2.2)記録装置の概略 図14および図18は以上の構成を適用したプリンタま
たは複写機,ファクシミリ等の記録装置の概略図を示し
ている。
【0083】記録装置本体1000は、操作側手前が開
閉可能なカバー1101を有している。このカバー11
01が回転中心軸を中心として開状態にされると、本体
内部を開放する。この開放によって、前述したレバー7
の回転動作が可能となり、カートリッジの装置本体に対
する着脱操作を可能とする。図中の実線表示のレバー7
は図1のカートリッジを装着可能とする位置を示し、こ
の位置では、カバー1101の閉状態への移動を阻止す
る。なお、図中の破線表示のカートリッジは装着動作中
のものを示し、実線表示のカートリッジは装置本体に位
置決めされて記録可能な所定位置にある。このときカー
トリッジのヘッドユニット100の吐出口形成面は、プ
ラテン50の案内面に平行に対向し、突出した記録ヘッ
ド部はキャリッジから下方へ突出して、記録媒体搬送用
ローラ16,18間に位置している。1102は電気配
線部のフレキシブルシートを示し、12は前述したレー
ル11とともにキャリッジ2を支持して案内するための
レールである。
【0084】コネクタホルダ40は、カートリッジが装
着された後に、レバー7を破線の状態にしてカートリッ
ジのキャリッジに対する固定を完了した後の状態として
図示されている。20,2202は、前述したコネクタ
ホルダ40のキャリッジに対する相対移動方向に関して
両側面側に設けられている軸であり、互いに位置レベル
が同一の位置に並置されている。この軸は、キャリッジ
の両側側面の一直線上にその中心長軸を有する2つの長
穴の内部内で移動可能な円柱形状である。図中、軸2
0,2202は、実線で示す位置で実線図示のレバー7
に対応している。これらの軸20,2202はコネクタ
ホルダの平行移動を一層確実なものにしている。本例で
は、軸20,2202をコネクタ本体以外に設け、記録
ヘッド位置決め用押しピン10の上方近傍に配置してい
るので、記録ヘッド位置決め用押しピン10の位置精度
が向上する。なお、軸20,2202と同様な軸をコネ
クタ本体に設けて、コネクタ本体の平行移動を安定化
し、しかもコネクタ接続後は前後方向、側板との間隙分
の左右方向の自由度を与えるように構成することもでき
る。本実施例では、軸2202用の長穴を、コネクタ本
体がコネクタ接続をした後には軸2202を前後方向に
は固定せずに位置決め用押しピン10の位置決めは軸2
0にのみ支配的になるようにすることが好ましい。
【0085】図18はレバー7と軸20との係合関係を
側面から見た図で、図13の側面図に相当する。図13
で説明したように、リンク21はレバー7と軸20とを
連結している。なお、本図では上記装置本体を複写機に
適用したものとして図示しており、この構成について簡
単に説明しておくと、上方の原稿圧着板および原稿台ガ
ラスの下方に位置する光学系読み取り手段、読み取り情
報を電気信号に変換する手段212が設けられ、この信
号はフレキシブルシート1102を介して記録ヘッドの
駆動信号に変換されて、フルカラーインク画像を形成す
る。2210は排出トレイ2213側から本体下部に挿
入されて、記録媒体をこの挿入方向とは逆方向に搬出す
るためのカセット、2211はカセットの記録媒体搬出
部に対応して設けられた給送ローラである。
【0086】(2.3)回復系ユニットの概要 次に本例に係る回復系ユニットについて説明する。
【0087】図19はその回復系ユニットの配設部位お
よび概略構成を説明するためのインクジェット記録装置
の模式図であり、本例においては回復系ユニットを図1
3の右側にあるホームポジション側に配設してある。
【0088】回復系ユニットにおいて、300はヘッド
ユニット100を有する複数のカートリッジCにそれぞ
れ対応して設けたキャップユニットであり、キャリッジ
2の移動に伴って図中左右方向にスライド可能であると
ともに、上下方向に昇降可能である。そしてキャリッジ
2がホームポジションにあるときには、ヘッドユニット
の吐出部101と接合してこれをキャッピングする。こ
のキャップユニット300の構成については図20につ
き後述する。
【0089】また、回復系ユニットにおいて、401は
ワイピング部材としてのブレード、403はブレード4
01のクリーニングを完全に行うために、例えば吸収体
で形成したブレードクリーナである。本例においては、
キャリッジ2の移動によって駆動されるブレード昇降機
構によりブレード401を保持させ、これによりブレー
ド401を記録ヘッドユニット100の吐出口形成面部
分をワイピングすることによりクリーニングすべく突出
(上昇)した位置と、これと干渉しないように後退(下
降)した位置とに設定可能とする。そして本例では、キ
ャリッジ2が図中右側より左側に移動するときにブレー
ド401によるワイピングによるクリーニングがなされ
るようにする。これらブレード401の昇降機構につい
ては図20につき後述する。なお、ブレード401によ
ってワイピングされないヘッドユニット100の吐出口
形成面上の部分があるのであれば、これをワイピングす
る位置に補助のグレード(図19中符合402で示す)
を設けてもよい。
【0090】さらに、回復系ユニットにおいて、500
はキャップユニット300に連通したポンプユニットで
あり、キャップユニット300をヘッドユニット100
に接合させて行う吸引処理等に際してそのための負圧を
生じさせるのに用いる。
【0091】図20は、回復系ユニットの詳細な構成例
を示すそれぞれ正面図である。かかる回復系ユニットは
本出願人により提案された特願平2−126655号
(特願平1−122878号に基づく優先権主張出願)
に開示されたものを用いることができるので、ここでは
簡単にその構成について述べる。
【0092】まずキャップユニット300は、ヘッドユ
ニット100の吐出口のまわりに密着するキャップ30
2と、これを支持するホルダ303と、空吐出処理およ
び吸引処理に際してインクを受容する吸収体306と、
この受容されたインクを吸引するための吸引チューブ3
04と、さらにポンプユニット500に連通した接続チ
ューブ305等を有している。このキャップユニット3
00はカートリッジCのそれぞれに対応した位置に同個
数(本例では4個)だけ設けられ、キャップホルダ33
0により支持されている。
【0093】332および334はキャップホルダ33
0から突設したピンであり、固定の回復系ベース350
に設けられてキャップホルダ330を図中左右方向かつ
上下方向に案内するためのカム溝352および354に
それぞれ係合している。キャップホルダ330の一方の
ピン334と回復系ベース350の立ち上げ部364と
の間にはばね360を張架し、これによりキャップホル
ダ330に同図示の位置、すなわちキャップホルダが左
端位置かつ下降位置に保持されるように付勢力を与えて
いる。なお、この位置にあるキャップホルダ330ない
しキャップユニット300に対して、キャリッジ2上に
搭載されたカートリッジCのヘッドユニット100が対
向した位置が、1スキャンの記録処理時におけるキャリ
ッジ2のスタートポジションである。
【0094】342はキャップホルダ330から立ち上
げられ、スタートポジションより右方の位置においてキ
ャリッジ2と係合する係合部である。キャリッジ2がス
タートポジションより図中さらに右方に移動すると、こ
れに伴って係合部342によりキャップホルダ330は
ばね360の付勢力に抗して移動する。このときキャッ
プホルダ330はピン332および334を介してカム
溝352および354に沿って案内され、右方かつ上方
に変位する。従ってキャップ302がヘッドユニット1
00の吐出口の周囲と密着し、キャッピングが施され
る。なお、このキャッピングがなされるときのキャリッ
ジ2の位置を回復ポジションとする。
【0095】なお、キャップ302は弾性体からなり、
ホルダ303への接合固定部と、この固定部に管状構造
を張設するための縁部とからなり、これらが一体成型さ
れている。そして、キャップ302は、例えばシリコン
ゴム,ブチルゴム等の弾性体から形成することができ
る。
【0096】次にブレード401の昇降機構について説
明する。
【0097】図20を参照するに、410は昇降可能な
ブレードホルダであり、その上部に適宣の取付け具によ
りブレード401を取付けてある。412はブレードホ
ルダ410を下降位置に向けて付勢するためのホルダ復
帰ばねである。
【0098】430はブレードホルダ410に突設した
ピン414のまわりに回動可能で、ストッパ432の上
面部と係合することによりブレードホルダ410をその
上昇位置においてロックするためのロックレバーであ
り、ばね434により図中時計方向に付勢されている。
また、同図示の状態ではブレードホルダ410に突設し
た部分416に係合し、図示の位置に保持される。
【0099】440はブレードホルダ410から突設し
たピン418のまわりに回動可能で、ブレードホルダ4
10の上昇位置におけるロックレバー430のロック状
態を解除するための解除レバーであり、ピン418のま
わりに図中時計方向に回動することによって当該ロック
の解除を行う。すなわち、解除レバー440にはロック
レバー430と係合するピン442を立設してあり、解
除レバー440がピン418のまわりに同図中時計方向
に回動すると、ピン442はロックレバー430をピン
414のまわりに回動させ、ロックレバー430とスト
ッパ432の上面部との係合を解除させる。
【0100】450はキャリッジ2の移動に伴ってブレ
ードホルダ410を上昇させるための駆動力を伝達する
カム部材であり、回復系ベース350に突設したピン3
70のまわりに回動可能に保持されている。
【0101】上述のような機構により、キャリッジ2の
図19中右方への変位によるキャップユニット300の
スライドに伴いブレード401が上昇し、その後ポンプ
ユニット500を用いた吸引回復後におけるキャリッジ
2の左方への移動に伴ってワイピングが行われる。この
とき本例ではワイピングされてブレード401に受容さ
れたインクは、後述のヘッドユニットさらにはキャリッ
ジに設けた吸収体に吸収され、ヘッド間の混色その他の
問題が生じることはないが、一部はブレード401の表
面を伝って流れ落ちることもある。これは次のようにし
てクリーニングすることができる。
【0102】キャリッジ2が左方から移動してくるとき
にブレード401は下降する。ブレードクリーナ403
は、これがキャップユニット300に取付けられたもの
であっても、既にキャップユニット300が元の位置に
復帰しているためブレード401に接触している。従っ
て、ブレード401の下降に伴い、その表面にインクが
付着していてもこのインクはすべて吸収体形態のクリー
ナ403に受容され、ブレード401が確実に拭われる
ことになる。
【0103】なお、吐出口形成面と係合するブレード部
分は、次に述べるヘッドユニット側吸収体、さらにはキ
ャリッジ側吸収体によってクリーニングされるので、上
記付着しうる一部のインクはヘッド間の混色には影響を
与えないものである。また、ヘッドユニット側吸収体さ
らにはキャリッジ側吸収体によるクリーニングが完全で
あれば、クリーナ403は必ずしも設けなくても良い。
【0104】また、上例ではキャリッジとの機械的な係
合、移動に伴ってキャップおよびブレードの昇降を行う
機構を有する回復ユニットとしたが、上記機械的な係合
によらずにそれらの昇降を行わせる手段を別途設けたも
のでもよい。
【0105】(3)ブレードクリーニング (3.1)吸収体104の作用 図1に示したヘッドユニット100には、吐出口形成面
に隣接して第1の吸収部材としての吸収体104を設け
てある。そして、本実施例ではキャップ位置にあるキャ
リッジ2が図19中左方に移動するときに一つのヘッド
の吐出口形成面がブレード401によってワイピングさ
れ、さらに同ヘッドに設けた吸収体104がブレード4
01に係合してこれをクリーニングし、次のヘッドに対
する混色や、ワイピングされたインク9吐出面上への掃
き寄せ,ヘッドとキャリッジへのまわり込み,ヘッドカ
ートリッジ交換時の汚れなどの不都合を防止するように
している。この吸収体の詳細および作用について以下説
明する。
【0106】図21および図22は本実施例に係る回復
ユニットを、それぞれ正面側(図19とは逆の面側)か
ら見た断面図および拡大斜視図である。
【0107】上述のようにヘッドユニット100はキャ
リッジ2に固定され、キャリッジ2が主走査レール11
に保持され印字方向(矢印c方向)に移動可能な状態で
取付けられている。そして、例えばヘッドユニット10
0の吐出口101bに目詰りが発生した場合には非印字
ポジション(図21中(A)状態)においてヘッドに密
閉空間を形成するキャップ300を有するホルダ330
が矢印a方向に移動し、キャップ300が吐出面101
aと接触し、密閉形を形成できる位置で停止する。この
状態でチューブ304を介してポンプユニット500に
よって吸引回復を行う。吸引によってヘッドユニット1
00から引き出されたインクは、チューブ508を介し
て廃インク処理部材509へと運ばれる。吸引回復後に
はキャップ300を有するホルダ330は矢印b方向に
退避する。このとき、ヘッドユニット100の吐出面1
01aには吸引回復によって吐出口101bより引き出
されたインクIが残る。ここでキャリッジ2((A)状
態)が矢印c方向に移動し、ブレードホルダ410に保
持されたブレード401によって吐出面101aのワイ
ピングが行われ(図21中(B)状態)、吐出面101
a上のインクIが吐出面101aから除去される。
【0108】上述のように、ヘッドユニット100のワ
イピング下流側には、当該ヘッドユニット100に対し
て吸収体104が1個づつ、接着もしくは熱カシメ等の
手段により固定されている。またヘッド側の構成におい
て、吸収体104に隣接し、かつ吸収体104によりワ
イピング上流側に位置する吐出面101aの部分にはテ
ーパ部を形成してあり、吸収体104のエッジ部が突出
する構成になっている。
【0109】吸収体104の材質としてはポリオレフィ
ン系の多孔質性の部材で吸液時に膨潤をほとんどしない
性質のものである(例えばポリエチレンの多孔質焼結体
に親水化処理を行うもので、膨潤率が0.01〜0.0
2%のものである。商品名:サンファインAQ、旭化成
(株))。
【0110】次にワイピング時のインク滴の挙動につい
て図23(a),(b)を用いて説明する。
【0111】図23は図21の吐出面部分を拡大した図
である。吸引回復によって吐出面101aに付着したイ
ンクIがキャリッジ2の矢印c方向への移動に伴い、ブ
レード401によって吐出面101aより除去され、ブ
レード401と共に吐出面101a部を移動し、吐出面
101a部に形成されたテーパ部101cにおいてヘッ
ドの吸収体104のエッジ104aに当接することによ
り、インクIをブレード401から掻き取り、テーパ部
101cに一度インクを溜める。すると直ちにインク
I′は吸収体104に吸収される((a)のI′の状
態)。そしてさらにキャリッジ2が矢印c方向に移動
し、ブレード401が次にヘッドに到達するときにはブ
レード401のエッジ401a部からインクを完全に除
去する((b)状態)。よって、吐出面101aから除
去されたインクが次のヘッドに影響を及ぼすことがな
く、混色等の不都合の発生を防ぎ、またブレード401
のエッジ401aがいつも清浄な状態でワイピングを行
うことが可能となる。
【0112】このようにヘッドに隣接した領域に吸収体
を設けることでブレード401に付着したインクを良好
に除去できる。
【0113】本例では、前述した実施例のように記録ヘ
ッド基板側に情報を収納したIC等が取付けられてい
る。このIC等に対してはクリーニング動作等によって
飛散したインクが付着した場合に破損するおそれがあ
る。
【0114】従って、ICが配設された基板側面に吸収
体を設けることは好ましい。
【0115】なお、クリーニング方向に対してヘッド吐
出口の下流側に位置する基板側面に対してICが設けら
れていれば、前述のブレードクリーニング効果とあいま
って一層好ましい。
【0116】また、クリーニング方向に対して、本例の
ようにICとは逆面側に吸収体がある場合でも、複数ヘ
ッドを連続してクリーニングする場合ではヘッドクリー
ニング前にICの設けられた側面を通過するのでインク
の飛散等による破損は生じない。
【0117】なお、実施例においては、ヘッドユニット
100の構成として、吐出面101aの吸収体104と
隣接する部分にテーパ部101cを形成したが、図24
に示すように吸収体12と隣接する吐出面1a部に溝部
101dを形成しても同様の効果が得られる。
【0118】また、図25に示すように吐出面101a
に凹部を形成するのではなく吸収体104側を吐出面1
01aに対して突出させる構成でも良い。つまり、吸収
体104に隣接し、かつ吸収体104よりワイピング方
向上流側にある吐出面101aが吸収体104より凹に
なり、吸収体104のエッジ部104が突出していれば
同様の効果が得られるということである。さらに、その
双方を組合せてもよい。
【0119】さらに、実施例においては主走査方向(印
字方向)に対するワイピング構成について述べたが、主
走査方向に対して垂直方向にワイピングする構成でも本
実施例と同様の構成ができる。これについては図34に
ついて後述する。
【0120】(3.2)吸収体の諸元 ここで、吸収体の構成について説明する。
【0121】まず、前記構成においてヘッドユニット1
00からブレード401のクリーニング動作によって吸
収体104に移動するインク量について述べる。
【0122】本実施例のインクジェットヘッドの構成と
して、128個の吐出口を有し、400dpiの画像密
度を有するものとする。また、インクの供給は、上述の
ように、ヘッドユニット100と一体に構成されたイン
クタンクユニット200によって行われる。そして、イ
ンクタンクユニット200に収容されたインク重量は6
0g、インクの比重は1.05とする。このうち、印字
に使用可能なインク重量が40〜50gであるとする。
インク残量は、上述のようにタンク内にインク残量検知
用の電極ピンを配置し、インクの減少に伴なう電極間の
抵抗値変化を検出して、インクの安定した吐出ができな
くなる直前に操作者にインクカートリッジの交換時期を
知らせることができる。
【0123】以上のようなインクタンクユニットの印字
可能枚数について説明する。
【0124】通常最もよく使われる印字デューティとし
ては1ヘッドあたり10%〜30%であり、インクタン
ク内のインク重量60g(使用可能重量40〜50g)
とすると印字可能枚数は300枚〜1000枚と想定さ
れる。この想定にはインク消費量として印字に使用され
るインク、また前述の吸引回復時に使用されるインクさ
らに、各ノズルの吐出状態を一定にさせる目的から印字
前、印字後または、印字中(1ライン印字した後次の1
ライン印字を行う前)、さらには前記ブレード401に
よるクリーニング動作の後に全吐出口から一定の数の吐
出を行う空吐出,予備吐出と呼ばれる動作を行う時に使
用されるインクがあり、前述の印字可能枚数300〜1
000枚は、後に示すある印字モード,回復モードによ
って測定された実測値によって得られたものである。
【0125】次にブレード401のクリーニング動作に
よってヘッドユニットから吸収体104に移動するイン
ク量について述べる。
【0126】ブレード401のクリーニング動作につい
ては大きく2つに分かれて、 (イ)吸引回復によってヘッド面に残留するインクをク
リーニングする場合 (ロ)印字によってヘッド面に付着するインクをクリー
ニングする場合 の2種類である。
【0127】まず(イ)の吸引回復によってヘッド面に
残留するインクをクリーニングする場合のインク量につ
いて説明する。1回の吸引回復動作でヘッド面に残留す
るインクは、吐出口に残留するインクとキャップ300
がヘッドユニット100に当接した部分(キャップ跡)
に残るインク(キャップ跡インク)を含めて0.000
3g〜0.0015gになる。これは、ヘッド面(吐出
面101a部およびキャップ当接部)に撥水処理、キャ
ップ300のヘッド当接部周辺に撥水処理、また、キャ
ップ300内に吸収体(不図示)を配置し、キャッピン
グ(吸引)時に吐出面101a部と吸収体とのギャップ
が0.2〜1mmの条件における実験値より得られたも
のである。
【0128】また、吸引回復のシーケンスとしては所定
数(例えば10枚)の印字ごとに1回の吸引回復を行う
ように設定されていることがある。これは、印字によっ
てヘッドの液室内に泡が発生し、この泡の成長により泡
が液路をふさいで、不吐出を発生させる現象を、前記1
0枚の印字ごとの吸引により事前に防止することを目的
としている。
【0129】よって、上記シーケンスにおいてヘッド吸
収部材に移動するインク量を想定すると、最大は0.0
015g(残留インクのMAX値)×100回(=印字
枚数1000枚/10枚)=0.15g、最小は0.0
003g(残留インクのMIN値)×30回(=印字枚
数300枚/10枚)=0.009gとなる。
【0130】次に(ロ)の印字によってヘッド面に付着
するインクをクリーニングする場合のインク量について
説明する。印字によってヘッド面に付着するインク量
(濡れインクと呼ぶ)は印字デューティによって異な
り、図26に示すように印字デューティが低いと濡れイ
ンクは少なく、デューティが高くなるに従い濡れインク
の量が増加し、印字デューティが70〜100%の付近
ではその増加量が大きくなる傾向がある。A4サイズ紙
の1枚印字の濡れインク量は印字デューティ10%の時
0.5×10-5g、印字デューティ30%の時1.5×
10-5gとなる。
【0131】また濡れインク量は吐出面101aと記録
シート材とのギャップ(紙間ギャップ)によって変化
し、ギャップが狭くなるほど濡れインク量が多くなる傾
向がある。図26は紙間ギャップ0.5〜0.9mmに
設定した時の値を示す。また濡れインク量は吐出口数に
比例して増加する。図26は128ノズルの時の値を示
している。
【0132】1枚印字後に1回のクリーニングを行うシ
ーケンスを想定すると吸収体104に移動するインク量
は 最大で1.5×10-5g(印字デューティ30%の時の
濡れインク量)×1000回=0.015g、最小で
0.5×10-5g(印字デューティ10%の時の濡れイ
ンク量)×300回=0.0015gとなる。
【0133】(イ),(ロ)の結果を基に、クリーニン
グによって吸収体104に移動するインク量を想定する
と、最大で0.15g((イ)の最大値)+0.015
g((ロ)の最大値)=0.165g最小で0.009
g((イ)の最小値)+0.0015g((ロ)の最小
値)=0.0105gとなる。
【0134】よって上記計算結果により、ヘッドの吸収
体104には、最大インク量である0.165g以上の
インクを保持できなければならないことになる。
【0135】次に吸収体104の構成について述べる。
【0136】材質は前述のインク吸収を達成できるもの
であればどのようなものであってもよく、膨潤性を有す
るものでもよい。しかし装置の小型化や吸収インクの垂
れを防止する観点からは非膨潤性の材料が好ましい。す
なわち、先に述べたようにポリオレフィン系の多孔質焼
結体に親水化処理を行ったもの(商品名:サンファイン
AQ、旭化成(株)製等)で、膨潤率が0.01〜0.
02%と非常に小さいものが好ましい。よってインクを
吸収しても吸収部材自身の体積変化はほとんどないた
め、厳しい精度が要求される部分にも使用できるメリッ
トがある。すなわち、本実施例においてもヘッドに装着
されるものであるため、ヘッドカートリッジの着脱時お
よび装着状態における主走査キャリッジ2とのギャップ
の保証また、吸収体104と記録シートとのギャップ精
度を上げることに有効である。従って、膨潤性を有する
材料であっても用いることは十分に可能であるが、吸収
体の配設領域は非常に狭い空間であるため、その領域で
膨潤した場合インクの漏れ出しを生ずるおそれがあるの
で、この点を考慮した場合には非膨潤性材料が一層好ま
しい。かかる吸収体104の吸液率は35〜50%であ
る。
【0137】次にインクの蒸発量について説明する。イ
ンクの蒸発量は環境によって差がある。低湿環境(例え
ば10%以下)では大きく、インクの蒸発できる成分は
全て蒸発する。しかし、高湿環境(例えば80%以上)
では蒸発スピードが遅くなり、蒸発量が小さくなる。つ
まり、実使用においては高湿環境下での蒸発量を基に吸
収体の大きさを決めていかなければならない。実施例の
インクでは、低湿環境では80%が蒸発して20%が残
留し、高湿環境では30%が蒸発して70%が残留す
る。
【0138】上記条件を基に吸収体104の大きさを設
定する。
【0139】吸収体104の体積とヘッドユニット10
0から吸収体104に移動するインク量との間には次の
関係式が成り立つ。
【0140】ヘッド吸収体体積:A〔cm3 〕 ヘッド吸収体吸収率:B インク比重:C〔g/cm3 〕(1.0〜1.1とす
る) ヘッドからヘッド吸収体に移動するインク量:i〔g〕 蒸発後の残留インクの割合:D ABC>iD …(1) A>iD/BC …(2) (2)の式よりヘッド吸収体の体積Aを求める。
【0141】(a)最もAが大きくなる場合 i=A+Bの最大値=0.165g,D=高湿下での値
=0.7,B=最小値=0.35,C=インク比重最小
値=1.00であり、 A=(0.165×0.7)/(0.35×1.00) =0.33[cm3 ] (b)最もAが小さくなる場合 i=A+Bの最小値=0.0105g,D=低湿下での
値=0.2,B=最大値=0.5,C=インク比重最大
値=1.1であり、 A=(0.0105×0.2)/(0.5×1.1) =0.004[cm3 ] (c)本実施例における最低必要な体積A i=A+Bの最大値=0.165g,D=高湿下での値
=0.7,B=0.35,C=1.05として A=(0.165×0.7)/(0.35×1.05) =0.31[cm3 ] 次にインクカートリッジのインク容量をI〔g〕=60
〔g〕(印字可能インク量を40〜50g)とするとヘ
ッド吸収体の体積Aとの間には次の関係が成り立つ。
【0142】(a)A/I>0.33/60=11/2
000 (b)A/I>0.004/60=1/15000 (c)A/I>0.31/60≒1/200 つまり、最も良い条件を設定すればヘッド吸収体の体積
Aはインク容量Iの1/15000以上の関係が成り立
つものであれば良く、最悪の条件を考えると11/20
00以上の関係が成り立つ大きさのものでなければなら
ない。
【0143】1実施例のヘッド吸収体の体積は0.34
〜0.4〔cm3 〕であり、(c)の本実施例における
最低必要な体積0.31〔cm3 〕よりも大きく条件を
満たしている。
【0144】次に吸収体の体積Aの最大値を決定する要
因について説明する。まず上記(イ)の吸引回復によっ
てヘッド面に残留するインクをクリーニングする場合の
最大量を想定する。吸引回復を1枚に1回の吸引とす
る。よってインク量は0.0015g(残留インクのM
AX値)×1000回=1.5gとなる。さらに操作者
が指令する吸引回復を行うモードを追加し、操作が1枚
に1回の吸引を行わせた場合、 0.0015g(残留インクのMAX値)×1000回
=1.5g となる。よって(イ)の場合の最悪値を 1.5g+1.5g=3g とする。
【0145】次に、上記(ロ)の印字によってヘッド面
に付着するインクをクリーニングする場合の最大量を想
定する。印字デューティが100%で印字が行われると
すると、インク量は図26より 7×10-5g(印字デューティ100%の時の濡れ量)
×1000回 =0.07g となる。
【0146】よって、吸収体に移動するインク重量iの
最大値は、 (イ)+(ロ)=3g+0.07g=3.07g となる。
【0147】この値からヘッド吸収体の体積Aを計算す
ると、i=3.07g,D=0.7,B=0.35,C
=1.00より、 A=(3.07×0.7)/(0.35×1.00) =6.14[cm3 ] A/I=6.14/60≒1/6 よって、吸収体の体積Aは6.14g以上が強く望まし
く、A/Iが1/6以上の関係が成り立つことが必要と
なる。また実際の設計上では安全係数を考えて、上記設
定値の2倍位の体積に設定することが望まれる。つま
り、 6.14×2=12.28〔cm3 〕、 A/I=12.28/60≒1/5 となり、A/Iを1/5以上に設定すれば機能上問題な
い。
【0148】しかし、ヘッド周辺の空間が限られている
ことと、吸収体自体が体積の増加に伴なって価格も増大
するため、機能上問題のない範囲で最小にするのが最も
良く、Aの上限値をA/I=1/5に設定するのが良
い。
【0149】次にヘッド吸収体の体積Aとインクカート
リッジの印字可能インク重量I* について考えてみる
と、 最大値 A/I* <12.28/40≒3/10 最小値 A/I* >0.004/50=1/12500 の関係が成り立つ。
【0150】なお、本実施例においては、ヘッドの吸収
体の大きさを4ヘッドで同じ大きさとしたが、上述の条
件を満足するならヘッドごとに吸収体の大きさを変えて
も良い。これは、ヘッドの位置によって印字中に吐出面
101aに付着するインクの量が違う場合があるからで
ある。図21に示すように、印字方向が矢印C方向であ
る場合には、印字によってヘッド吐出面101aに付着
するインク量は、印字方向のヘッド配列順に従って大き
くなることがある。これは、印字方向の下流になるほど
印字中にヘッド周辺の空間に浮遊する微小インク滴の密
度が大きくなり、下流ヘッドほど吐出面にインクがより
多く付着する現象が発生するためである。よって、この
挙動に合わせてヘッドの吸収体の大きさを上記条件を満
たす範囲内でヘッド毎に異ならせて定めることができ
る。
【0151】(3.3)吸収体配設の他の実施例 上述の実施例においては、ヘッドユニット100に吸収
体104を設けて混色等の不都合を防止するものであっ
たが、これをさらに効果あらしめるようにした実施例に
ついて述べる。
【0152】図27および図28は、本実施例に係る回
復ユニットを、それぞれ正面側から見た断面図および拡
大斜視図であり、図21および図22に示した実施例と
同様に構成できる各部については対応箇所に同一符号を
付してある。
【0153】本例においても、図27に示すように、状
態Aから状態Bへのc方向のキャリッジ移動の過程でワ
イピングを行い、吸収体104によってブレード401
をクリーニングするようにするが、僅かにブレード40
1上に残り得るインクを、キャリッジ2に設けた第2吸
収部材としての吸収体73で吸収してブレード401の
より完全なクリーニングを行うようにする。なお、吸収
体73も吸収体104と同様の材料を用いることがで
き、また同様の固定方法にて配設することができる。
【0154】本例の動作を図29を用いて説明する。
【0155】吸引回復によって吐出面101aに付着し
たインクIがキャリッジ2の矢印c方向への移動に伴な
いブレード401によって吐出面101aより除去さ
れ、ゴムブレード401と共に吐出面101a部を移動
し、吐出面101a部に形成されたテーパ部101cに
おいてヘッドの吸収体104のエッジ104aに当接す
ることにより、インクIをブレード401から掻き取
り、テーパ部101cに一度インクを溜める。すると直
ちにインクI′は吸収体104に吸収される((a)の
I′状態)。そしてさらにキャリッジ2が矢印c方向に
移動すると、ブレード401は次にキャリッジの吸収体
73に摺擦して移動する。この時、ブレード401には
ヘッドの吸収体104で取りきれなかったわずかなイン
クI″を吸収体73に吸収させながら移動し、次のヘッ
ドに到達する時にはブレード401のエッジ104a部
からインクを完全に除去する((b)状態)。よって、
吐出面101aから除去されたインクが次のヘッドに影
響を及ぼすことがなく混色等を防ぎ、またブレード40
1のエッジ104aが常に清浄な状態でワイピングを行
うことが可能となる。
【0156】なお、キャリッジ側の吸収体73は、ヘッ
ドの交換によってヘッド吸収体104も一体に交換され
るのに対してキャリッジ側のものは容易に交換できない
ため、限られたスペース内でできるだけ大きくするのが
よい。換言すれば、ヘッド側吸収体は定期的にリフレッ
シュされるので、交換の難しいキャリッジ側の吸収体7
3の耐久性を向上させることにより、ヘッド側吸収体を
小型化することができ、ヘッドカートリッジひいては装
置の小型化およびコスト低減が実現できる。
【0157】ここで、本実施例における吸収体104,
73等の寸法の望ましい関係は次の通りである。
【0158】図30は各部寸法の関係の説明図であり、
WNは吐出口101bの配列範囲(いわゆるダミーノズ
ルを含む)の幅である。WCはキャップ300によって
覆われる範囲101eの幅であり、吐出口101b群は
すべてキャップ300によって形成される空間に位置す
べきであるので、WN<WCである。さらにWBはブレ
ード401の幅であり、範囲101e内にインク滴Iが
残留することが多いことに鑑みれば、この範囲101e
を完全にワイピングできるようにすることが強く望まし
く、従ってWC<WBである。また、WHはヘッドユニ
ット100に設けた吸収体104の幅であり、ブレード
401に当接してそのクリーニングを行うものであるこ
とから、WB≦WHである。なお、以上の関係は図2
1,図22に示した実施例についてもあてはまるもので
ある。
【0159】WKは本例に係るキャリッジに設けた吸収
体73の幅であり、吸収体104によるブレード401
のクリーニングの過程で吸収しきれなかったインクが外
方に拡がることがあり得ることを考慮すれば、WH≦W
Kである。すなわち、本例においては、WN<WC<W
B≦WH≦WKの関係が成り立つように各部寸法が定め
られている。
【0160】図31および図32はさらに他の2実施例
を示す。これらは、それぞれ、概ね図24および図25
に示した形状としたヘッドユニットであるが、ただし吐
出口1bはその保護を行うために吐出面のうちの凹部1
01a′に配置されているものである。
【0161】これらのようなヘッドに対しては、図33
のような関係が採用できる。すなわち、吐出面はキャッ
プ当接面101eとこの面よりくぼんだ被ワイピング面
である凹部101a′とにより形成されているが、実際
に吐出口周囲をワイピングする幅WB1の第1ブレード
とさらにその外側のキャップ当接面部分をワイピングす
る幅WB2の第2ブレードとの2つのブレードでワイピ
ングするようにすることができる。ちなみにキャップの
幅はWCである。
【0162】このときはブレードの幅WB′(WB1と
WB2とで形成される最大ブレード幅)とキャップの幅
WCとに次のような関係がある。
【0163】WB1<WC,WN<WB1であるが、W
B′>WC つまり、少なくとも吐出口周囲を拭くブレードの幅WB
1は吐出口配列幅WNよりも広くなければならないが、
必ずしもキャップ幅WCよりも広い必要がなく、キャッ
プ跡の拭きとしては第1ブレード幅WB1と第2ブレー
ド幅WB2との和による最大幅WB′がキャップ幅WC
よりも広ければ良いことを示している。
【0164】なお、このことは図21,図22または図
27,図28に示した形状のヘッドユニットであって、
その吐出口を凹部に配置したものに対しても同様に適用
できるのは言うまでもない。
【0165】さらに、以上の実施例では、主走査方向
(印字方向)に対してワイピングを行う構成について述
べたが、他の方向に行うもの、例えば図34に示すよう
に、主走査方向Cに対する直交方向eにワイピングを行
うものについても同様の構成で効果がある。また、この
ことはキャリッジ2に吸収体73を有さない構成であっ
ても同様である。
【0166】(3.4)吐出口形状とワイピング方向 次に、ワイピングによる塵埃等の吐出口内方への戻し,
吐出口からのインク引出し,混色等の不都合を防止すべ
く規定される本実施例における吐出口形状とワイピング
方向との関係について説明する。ちなみに、本例のワイ
ピング条件を示すと、ブレード401の材料にはウレタ
ンゴムを使用し、当接条件は、ゴム硬度65°(JIS
A),自由長L=9mm,吐出口内方への侵入量d=
1.5mm,厚みt=0.7mm,ワイピングスピード
v=180mm/secである。
【0167】図35において、ヘッドの吐出口形状は台
形(本例では等脚台形)であり、図中のX方向に複数の
吐出口が形成されている。
【0168】台形に対して、頂点P1,P4,P5,P
6を通るX2,X3,Y1,Y2,Y3,Y4の軸を考
え、台形各辺の長さは、上底の長さをa、下底の長さを
b、高さを(b−a)とした(但し、b>aとする)。
ちなみに、角度<(P5)(P1)(P2)は60°、
角度<(P1)(P5)(P6)は30°である。
【0169】次に、ワイピング方向CC(本例装置で
は、図21,図27におけるキャリッジ移動方向Cと逆
の方向)の軸に対して垂直方向の軸としてX1を考える
と、この軸に対して吐出口の台形形状が線対称になって
いないことがわかる。また、吐出口の周囲によって切り
とられるX1が最大となるとき(最大幅はbとなる)の
X1軸はX2軸(分離軸と呼ぶことにする)となり、こ
のX2軸と吐出口の周囲(輪郭を形成している線分)と
の交点P1とP4とによって切りとられる線分が2つで
きる。一つは、P1からP2,P3を通ってP4に至る
線分(周囲長成分1という。その長さL1=b)と、も
う一つはP1からP5,P6を通ってP4に至る線分
(周囲長成分2という。その長さL2=a+√3(b−
a))である。このとき、周囲長成分1,2の関係はL
1<L2となる。
【0170】本例においてワイピングを行うときには、
図35のように吐出口に対してCC方向にワイピングを
しており、これによって塵埃の混入、吐出口からのイン
クの引きだし、および混色を低減することが可能とな
る。
【0171】このような効果を生むワイピング方向と吐
出口形状との関係について詳細に述べる。
【0172】(イ)吐出口の周囲に付着した塵埃(塵,
紙粉等)や増粘,固着インクがブレードでワイピングさ
れるときに吐出口内に混入すると予想される量は、ワイ
ピングの方向によって異なる。つまり、吐出口の周辺部
に付着している塵埃や増粘,固着インクの量は、吐出口
の周囲長に比例しており、ブレードの移動方向に対して
吐出口最大幅を通過する時点で吐出口内への異物混入が
一番多くなる。吐出口周囲長とブレードとが接触した後
に吐出口の内側に接触する過程で吐出口に接触する前の
吐出口周囲長が長ければ長い程多くなる傾向を示す。
【0173】図35においては、ワイピンク方向CCか
らの清掃に対しては、L1(=b)分の塵埃・増粘・固
着インク(以下不純物とも称す)の吐出口内への混入で
すむが、逆方向からの清掃に対しては、L2(=a+√
3(b−a))分の不純物の混入が発生するため、差引
分(L2−L1=a−b+√3(b−a))の不純物量
が多く混入することになる。
【0174】(ロ)図36に示すように、ブレード10
4が吐出口101b内へ侵入し、ブレードの移動にとも
なって吐出口内に形成されたインクのメニスカスMと接
触しブレードに付着したインク(インク自身の表面張力
とブレードの撥液性能によってインクの引き出し量は変
化する)を吐出口の外に引き出す現象は、ワイピングの
方向によって異なる。つまり、ブレード104が吐出口
を通過し終わるときにブレードと吐出口とが接している
長さがインク引き出し量と関係し、吐出口の周囲部での
ブレードと平行の部分の長さが長い程インク引き出し量
が多くなる傾向を示す。また、インク引き出しはワイピ
ングスピードやブレードの吐出口内への侵入量と関係が
あり、スピードを増せばインク引き出し量は低下するが
ワイピングの基本である拭き性能が同時に低下する傾向
を示し、侵入量が多くなればなるほどインク引き出し量
は低下するが拭き性能が低下する傾向がある。つまり、
ブレードの当接条件との関係が深いわけだが、本例のよ
うにワイピング方向を規定すれば、当接条件の許容範囲
が広がるので望ましい。図35においては、ワイピング
方向CCからの清掃に対しては、吐出口からブレードが
外れるときに長さa分の接触(インク付着量と比例す
る)ですむが、逆方向からの清掃に対しては、長さb分
の接触をするため多くのインク引き出しが発生するため
差引(b−a)分のインク引き出しが多く発生すること
になる。図37(a)および(b)に、それぞれ、ワイ
ピング方向を本例のようにした場合およびこれと逆にし
た場合によるインク引き出しの差について示した。
【0175】(ハ)(ロ)で述べたのと同様な現象によ
りインクの引き出し量が多ければ多いほどブレードに付
着するインクの量も多くなり、ブレードの移動にともな
いワイピング方向下流側のヘッドへ異なった色のインク
を運んでゆき、吐出口内で再度接触することで混色が発
生する。ここでの現象は(ロ)と同様なので説明は省
く。
【0176】図38は他の実施例を説明する図である。
ここでの実施例では、簡易なヘッドの構成とワイピング
の方向についての説明をする。
【0177】図38において、(a)はヘッドの断面構
成図、(b)はヘッドの正面図で吐出口111b" の形
状を示している。ヘッド構成はアルミ等のベースプレー
ト111′の上にシリコンチップ812を載せ、チップ
上にヒータ,半導体などを形成したヒータボード11
2′が設けられている。その上に、共通液室813,液
路815形成用の溝を有し、吐出口形成プレートを一体
に有したPSF(ポリサルフォン)等の溝付き天板11
3′を上述と同様のばね114でシリコンチップに押さ
えつけている。ちなみに、ベースプレート111′と天
板113′とは角度にしてθ=15°傾いた形で接合さ
れている。また、ブレードによるワイピング方向は図中
のCC方向である。吐出口形状は台形を基本としている
が角部を丸めている。これは、インクが吐出口から離間
するときに吐出口111b′との分離性を高めると同時
に流路抵抗を少なくすることに役立たせており、吐出特
性をよくするために行っているものである。ヘッドの吐
出口形状が図中のようにヒータ側が広がった形状にして
るのは、吐出口内方の流路構造が発泡安定性を得るため
に台形形状としていることと、天板にレーザで吐出口の
穴開けをする場合の蹴られを防止するためである。
【0178】次に、この例のヘッド構成とワイピング方
向との関係について詳しく説明する。図39は、図38
を更に拡大したもので、ワイピング時のブレードが及ぼ
す力関係を示した図である。図中のような方向でワイピ
ングをすればブレードの当接圧力fと摩擦力μNによる
合力f′が加わり溝付き天板を合力方向に移動させよう
とする力が働く。本例のワイピング方向ではgap2が
狭まる方向となるが、、逆の方向でワイピングを行うと
gap2を広げようとする方向に力が働く。ここで、g
ap1とgap2との役割について述べると、gap1
は液路の配列方向(隣接液路との間)のクロストーク
(発泡パワーの逃げの発生)と関係し、gap2は1つ
の通路での前面側のクロストークと関係し、いずれもギ
ャップが広くなればなるほどクロストークが大きくな
る。クロストークの発生によって、吐出速度のムラ・吐
出量ムラ・ヨレ・不吐出等様々な弊害が発生する。ga
p1に関しては常に上部からのばね加重によって一定に
なるよう工夫されているが、gap2は溝付き天板とシ
リコンチップとの摩擦力だけに頼っており移動し易い。
従って、本例の方法でワイピングすることが望ましいの
である。
【0179】図40はさらに他の実施例を説明する図面
である。図中(a)は吐出口形状を三角形とした場合、
(b)は五角形とした場合である。それぞれ上例と同様
の思想に基づくワイピング方向を適用することで、
(a)の場合はCC1、(b)の場合はCC2の方向と
なる。
【0180】なお、以上の例では、多角形について説明
したが、曲線などで構成した場合も同様に適用可能であ
る。
【0181】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0182】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0183】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0184】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0185】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0186】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱
手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行な
うことも安定した記録を行なうために有効である。
【0187】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。
【0188】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいはインクジェット方式ではイ
ンク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を
行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制
御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。加えて、積極的
に熱エネルギによる昇温をインクの固形状態から液体状
態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで防
止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱
エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化
し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達す
る時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネ
ルギによって初めて液化する性質のインクを使用する場
合も本発明は適用可能である。このような場合のインク
は、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60
−71260号公報に記載されるような、多孔質シート
凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状
態で、電気熱変換体に対して対向するような形態として
もよい。本発明においては、上述した各インクに対して
最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもの
である。
【0189】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0190】
【発明の効果】本発明は、上述で理解できるように、少
数吐出口はむろんのこと、多数吐出口に対しても安定し
た均一圧力分布を形成できる押圧治具を提供でき、記録
ヘッドの製造上の不良品発生率を大幅に減少できる他、
記録特性の安定化を達成できる。本発明装置において
は、記録ヘッドの寿命や信頼性が向上できたので、イン
ク供給手段のより多くの変換に対して優れた耐久使用と
優れた記録を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるインクジェット記録
装置のキャリッジに搭載可能なヘッドカートリッジの外
観構成例を示す斜視図である。
【図2】その分解斜視図である。
【図3】そのヘッドカートリッジのヘッドユニットにお
けるベースプレートとPCBとの接合関係を説明するた
めの平面図である。
【図4】図4(a)および(b)は、それぞれ、そのヘ
ッドユニットにおいて用いられる押さえばねの構成例を
示す平面図および側面図である。
【図5】ヘッドユニットの外観構成例を示す一部破断斜
視図である。
【図6】本例に係るヘッドカートリッジのインクタンク
ユニットにおけるインク容器の上面図である。
【図7】同じくその底面図である。
【図8】同じくその側断面図である。
【図9】インクタンクユニットにおける蓋部材の裏面図
である。
【図10】インクタンクユニットの外観構成例を示す斜
視図である。
【図11】ヘッドユニットをインクタンクユニットに取
付ける際の動作説明を行うためのめ模式的斜視図であ
る。
【図12】図12(a),(b)および(c)は、ヘッ
ドユニット側に設けられるインク供給管とインクタンク
ユニット側に設けられるインク残量検知用ピンとの関係
およびその関係による作用を説明するための説明図であ
る。
【図13】図1に示したヘッドカートリッジが装着され
るインクジェット記録装置のキャリッジ周辺を示す斜視
図である。
【図14】同じくその模式的側面図である。
【図15】実施例に係るヘッドカートリッジのキャリッ
ジへの装着状態を説明するためのそれらの模式的正面図
である。
【図16】他の実施例に係るヘッドカートリッジのキャ
リッジへの装着状態を説明するためのそれらの模式的正
面図である。
【図17】図17(a)および(b)はキャリッジ側係
合ピンとヘッドカートリッジ側ピン係合部との係合関係
の説明図である。
【図18】本実施例に係るインクジェット記録装置を利
用して構成した複写装置を説明するための模式的側断面
図である。
【図19】当該インクジェット記録装置の模式的斜視図
である。
【図20】その回復系ユニットの詳細な構成例を示す正
面図である。
【図21】本発明の一実施例に係るヘッドカートリッジ
のヘッドユニットに対するワイピングおよびブレードク
リーニング動作を説明するための説明図である。
【図22】同じくその説明のための模式的斜視図であ
る。
【図23】図23(a)および(b)は同じくその説明
のための図21の部分拡大図である。
【図24】ヘッドユニットの被ワイピング部分およびブ
レードクリーニング部分の他の構成例を示す説明図であ
る。
【図25】同じくさらに他の構成例を示す説明図であ
る。
【図26】ヘッドユニットに設けられる吸収体の諸元を
決定するための一要因である印字デューティと漏れイン
ク量との関係を示す説明図である。
【図27】本発明の他の実施例に係るヘッドカートリッ
ジのヘッドユニットに対するワイピングおよびブレード
クリーニング動作を説明するための説明図である。
【図28】同じくその説明のための模式的斜視図であ
る。
【図29】図29(a)および(b)は同じくその説明
のための図27の部分拡大図である。
【図30】図27の実施例におけるインク吐出口配列範
囲,キャップ幅,ブレード幅,ヘッド側吸収体幅,キャ
リッジ側吸収体幅の関係を説明するための説明図であ
る。
【図31】図24の変形例としてインク吐出口配列面が
凹状になっているヘッドユニットを示す説明図である。
【図32】図25の変形例としてインク吐出口配列面が
凹状になっているヘッドユニットを示す説明図である。
【図33】図31および図32の構成に対するインク吐
出口配列範囲,キャップ幅,第1および第2ブレード幅
の関係を説明するための説明図である。
【図34】キャリッジ移動方向とワイピング方向とが異
なる構成に係るヘッドカートリッジを説明するための模
式的斜視図である。
【図35】台形状とした吐出口に対するワイピング方向
を説明するための説明図である。
【図36】同じくそのワイピングを説明するための模式
的側断面図である。
【図37】図37(a)および(b)は同じくワイピン
グ方向の違いにより生じた結果を説明するための説明図
である。
【図38】図38(a)および(b)は他の形状とした
吐出口に対するワイピング方向を説明するためのそれぞ
れ側断面図および正面図である。
【図39】同じくそのワイピングを説明するための説明
図である。
【図40】図40(a)および(b)はさらに他の形状
を採用した吐出口に対するワイピング方向を説明するた
めの説明図である。
【図41】本発明の一実施例に係るヒータボードの上面
図である。
【符号の説明】
2 キャリッジ 2f カートリッジ装着部 6 本体コネクタ 7 操作レバー 10 ピン 10a ばね 10b ピン先端部 11 走査レール 15,16,17,18 ローラ 40 コネクタホルダ 50 プラテン 52 ベルト 100 ヘッドユニット 101 吐出部 101a 吐出面 101b 吐出口 102 配線コネクタ 103 ピン係合部 104 ヘッド側吸収体 111 ベースプレート 112 ヒータボード 113 天板 114 押えばね 115 PCB 116 ヘッドカバー 128 ROM 161 突起 163 嵌合部 171 凹部 173,174 接点面 116A 供給管 200 インクタンクユニット 201 つまみ 203 大気連通口 211 インク容器 212 残量検知用ピン 213,214 接点部材 213A,214A 接点部材先端部 215 吸収体 216 容器蓋 217 キャップ 221 ラッチ 223 嵌入部 227,229 規制部材 233 筒状部 235 渦状溝 251 凸部 253 スライドレール 253A 凸部 300 キャップユニット 302 キャップ 303 ホルダ 304 吸引チューブ 401 ブレード 410 ブレードホルダ 500 ポンプユニット 1000 記録装置本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 刈田 誠一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 田鹿 博司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 小板橋 規文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 章雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 内田 春男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−108050(JP,A) 特開 平2−121843(JP,A) 特開 昭55−42862(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16 B41J 25/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット記録ヘッドを構成するた
    めに用いられる押圧治具であって、複数の記録ヘッド吐
    出口部近傍に作用する加圧部と、該加圧部から吐出口部
    から離反する方向に延在した後反転して該加圧部側へ至
    る弾性U字状部と、を具備したことを特徴とする押圧治
    具。
  2. 【請求項2】 前記押圧治具は、前記記録ヘッドの基準
    部材の裏面に係合して上記弾性U字状部の弾性力を均一
    化するための第1足部を両側に有していると共に該基準
    部材の同一表面に当接するための前記離反方向に延在す
    る第2足部を複数有していることを特徴とする請求項1
    に記載の押圧治具。
  3. 【請求項3】 上記第2足部の複数は長さが異なり、一
    方は配線板の貫通口を介して上記基準部材に当接するた
    めの足部であることを特徴とする請求項2に記載の押圧
    治具。
  4. 【請求項4】 基準部材と、該基準部材に一体に形成さ
    れた熱エネルギー発生用電気熱変換素子の複数と、該素
    子のそれぞれに対してインク路を形成すると共に該複数
    インク路に共通の液室を形成する部材と、を有するイン
    クジェット記録ヘッドにおいて、上記基準部材に対して
    上記形成部材を押圧する押圧治具が、複数の記録ヘッド
    吐出口部近傍に作用する加圧部と、該加圧部から吐出口
    部から離反する方向に延在した後反転して該加圧部側へ
    至る弾性U字状部と、を具備していることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 上記液室に該当する領域の基準部材表面
    の上記形成部材が当接する部分まで、上記電気熱変換素
    子の保護層すべてが一様に形成されていることを特徴と
    する請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 上記押圧治具は、前記記録ヘッドの基準
    部材の裏面に係合して上記弾性U字状部の弾性力を均一
    化するための第1足部を両側に有していると共に該基準
    部材の同一表面に当接するための前記離反方向に延在す
    る第2足部を複数有していることを特徴とする請求項5
    に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 記録媒体搬送手段と、該記録媒体にイン
    ク記録を行うインクジェット記録ヘッドと、を具えた記
    録装置において、上記記録ヘッドは、基準部材と、該基
    準部材に一体に形成された熱エネルギー発生用電気熱変
    換素子の複数と、該素子のそれぞれに対してインク路を
    形成すると共に該複数インク路に共通の液室を形成する
    部材と、押圧治具を有し、上記基準部材に対して上記形
    成部材を押圧する押圧治具が、複数の記録ヘッド吐出口
    部近傍に作用する加圧部と、該加圧部から吐出口部から
    離反する方向に延在した後反転して該加圧部側へ至る弾
    性U字状部と、を具備していることを特徴とする記録装
    置。
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