JP3048600B2 - 凝縮器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、カーエアコン用凝縮器等に用いられる凝
縮器に関する。

従来の技術 例えば、カーエアコン用の凝縮器に用いられる熱交換
器としては、複数本の偏平チューブが相互間にフィンを
介在させた状態で厚さ方向に積層されると共に、各チュ
ーブの両端にそれぞれ１本の中空パイプからなるヘッダ
ーが連通接続されてなるものが広く知られている（特開
昭63−34466号公報等参照）。また、上記のようなヘッ
ダーとして複数個の短尺ヘッダー単位を長さ方向に順次
連接したものを用いた、いわゆる積層タイプのものも既
知である（特開平２−29594号公報、特開昭63−273791
号公報参照）。

ところで、この種の熱交換器において熱交換性能を向
上させるためには、空気側の伝熱面積を増大させ、ある
いはチューブ相互間のフィンを含む空気流通間隙の空気
通過抵抗を低減せしめることが有効である。そのために
は偏平チューブとして、できるだけ薄く設定されたもの
を使用することが望まれる。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、この種の熱交換器の冷媒通路を構成す
る偏平チューブには、通常いわゆるハモニカチューブと
称される多孔押出型材が用いられている。かかる多孔押
出型材を用いるかぎりその厚さを薄くすることに対して
製造技術上の制約をうけ、所定以上にチューブ高さの低
いものを得ることは困難である。従って、隣接するチュ
ーブ間隔を大きく設定して空気側の伝熱面積（フィンの
表面積）を増大させると共に、空気流通間隙の空気通過
抵抗を低減させることによって、熱交換性能のより一層
の向上を図ることは困難である。

この発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであ
り、偏平チューブのより一層の薄肉化を図ってチューブ
高さを低く抑えることにより、限られた凝縮器コア面積
の中で空気側の伝熱面積の増大化、空気流通間隙の空気
通過抵抗の低減化を増進させ、もって放熱性能のより一
層の向上を図ることができる、いわゆるヘッダータイプ
の凝縮器を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段 而して、この発明は、複数本の偏平チューブ（１）が
相互間にフィン（２）を介在させた状態で厚さ方向に積
層されると共に、各チューブ（１）の両端に中空ヘッダ
ー（３）（４）が連通接続され、かつ両ヘッダー（３）
（４）が隣接チューブ間において連接された複数個の短
尺ヘッダー単位（７）（８）により構成されてなる凝縮
器において、 各チューブ（１）とその両端に連通接続された短尺ヘ
ッダー単位（７）（８）とが、積層方向に２分割された
チューブ半体（1a）（1b）と短尺ヘッダー単位半体（7
a）（8a）（7b）（8b）とを有するプレス一体成形品か
らなる１対の分割ユニット（B1）（B2）を対向状に重ね
合わせて接合一体化することにより形成されると共に、 前記チューブ半体（1a）（1b）には、その長さ方向に
沿って所定間隔ごとに、屈曲形成により折り返し状の２
重壁構造となされた仕切壁（1c）（1d）が形成されると
共に、前記２重壁の相接面同士がろう付接合一体化さ
れ、前記仕切壁（1c）（1d）の各頂部が対向するチュー
ブ半体（1a）（1b）側内面にろう付接合一体化されるこ
とにより、チューブ（１）内に長さ方向に連続する複数
の冷媒通路（ｃ）が形成されてなることを特徴とする凝
縮器。

作 用 各チューブとその両端の短尺ヘッダー単位を構成する
分割ユニットが、プレス一体成形品からなるものである
ことより、その成形用プレートとして薄肉状のものを用
いることができる。従って、チューブ高さの低いチュー
ブとすることができ、ひいては凝縮器における空気側の
伝熱面積が増大されると共に、空気流通間隙の空気通過
抵抗が低減される。従って、放熱性能がより一層向上さ
れる。

実施例 以下、この発明をカーエアコン用凝縮器に適用した図
示実施例に基づいて説明する。

（Ａ）は凝縮器本体であり、該本体は水平状態で上下
に配置された複数のアルミニウム製偏平チューブ（１）
と、その隣接するチューブ（１）（１）間のフィン介在
間隙に配置されたアルミニウム製のフィン（２）を有す
る。フィン（２）は蛇行状に曲成したいわゆるコルゲー
トフィンであり、ろう付によりチューブに接合されてい
る。フィン（２）は、望ましくはルーバーを切り起こし
たものを用いるのが良い。

（３）（４）は左右一対の中空ヘッダーであり、左ヘ
ッダー（３）の上端部には冷媒入口管（５）が連通接続
され、右ヘッダー（４）の下端部には冷媒出口管（６）
が連通接続されている。而して、冷媒入口管（５）から
流入した冷媒は凝縮器本体（Ａ）内を偏平チューブ
（１）によって構成される冷媒通路群を流通して冷媒出
口管（６）から流出し、この間に、チューブ（１）
（１）間に形成されたフィン（２）を含む空気流通間隙
を流通する空気と熱交換を行い、凝縮するものとなされ
ている。

前記両ヘッダー（３）（４）は、複数個の短尺ヘッダ
ー単位（７）（８）を長さ方向に積層したものであり、
各偏平チューブ（１）の両端に短尺ヘッダー単位（７）
（８）が連通接続されている。而して、チューブ（１）
とその両端のヘッダー単位（７）（８）とによって構成
されるユニット（Ｂ）がヘッダー単位（７）（８）どお
しを長さ方向に順次連接する態様で積層され、かつ隣接
チューブ（１）間にフィン（２）が介在配置せしめられ
ることにより凝縮器が形成されている。

上記構成は従来より既知であるが、この発明にかかる
実施例においては、第２図に示すように、各チューブ
（１）とその両端に連通接続された短尺ヘッダー単位
（７）（８）とからなる各ユニット（Ｂ）が、積層方向
に２分割されたプレス一対成形品からなる１対の分割ユ
ニット（B1）（B2）により構成されている。これら各分
割ユニット（B1）（B2）は、例えばアルミニウム製等の
芯材の表裏両面にろう材層が被覆形成されたブレージン
グシートからなる１枚の成形用プレートをプレス成形加
工することによって一体的に形成されたものである。各
分割ユニット（B1）（B2）は、第２図および第４図に示
すように、チューブ（１）をその厚さ方向に２分割した
チューブ半体（1a）と、短尺ヘッダー単位（７）（８）
をその長さ方向に２分割した短尺ヘッダー単位半体（7
a）（8a）とが一体的に形成されたものであり、全周端
面に沿ってフランジ部（９）（10）が延設されている。
チューブ半体（1a）（1b）には、第４図、第５図および
第６図に示すように、その長さ方向に沿って所定間隔ご
とに仕切壁（1c）（1d）が屈曲形成されて折り返し状の
２重壁構造となされている。かつ、この２重壁の相接面
同士がろう付接合一体化されている。また短尺ヘッダー
単位（7a）（7b）の頂壁部の中央部に冷媒連通用孔部
（11）（12）が穿設されると共に、ヘッダー単位（Ｂ）
相互の位置決めおよび接合を容易かつ確実に行い得るよ
うにする目的で該孔部周縁に沿ってフランジ部（11a）
（12a）が延設されている。而して、分割ユニット（B
1）（B2）は、第２図および第６図に示すように、その
周端のフランジ部（９）（10）において対向状に重ね合
わされた状態でろう付接合一体化されている。この接合
状態において両チューブ半体（1a）（1b）の各仕切壁
（1c）（1d）は、第６図に示すように、互いに交互配置
状態となされ、かつその頂部が対向するチューブ半体
（1a）または（1b）の平面部にろう付接合され、もって
チューブ（１）が内部に長さ方向に沿う複数の冷媒通路
（Ｃ）を有するものとなされている。上記仕切壁（1c）
（1d）の存在により、肉厚の薄い成形プレートにより形
成されたチューブ（１）であっても耐圧力に優れた十分
な強度を有するものとなされると共に、冷媒側の伝熱面
積が増大されるものとなる。前記分割ユニット（B1）
（B2）を構成する成形用プレートとしては、できるだけ
板厚の薄いものを用いることが、チューブ厚さを薄く設
定する意味において望ましい。特に好ましい板厚は0.15
〜0.5mm程度である。また前記チューブ（１）は、その
幅が６〜20mm、好適には12〜20mm、特に16mm程度に設定
され、チューブ高さが1.2〜7mm、好適には1.2〜２、特
に1.6mm程度に設定され、チューブ内冷媒通路高さが1mm
程度以上に設定される。また、前記フィン（２）は、フ
ィン高さが６〜16mm、好適には８〜16mm、最も好適には
８〜12mmに設定され、フィンピッチが1.6〜4mm、好適に
は1.6〜3.2mm、最も好適には２〜3.2mmに設定される。

また、分割ユニット（B1）（B2）どおしの接合、およ
びユニット（Ｂ）相互の接合を炉中ろう付等の一括ろう
付により容易に行い得るようにする目的で、アルミニウ
ム製等の芯材の表裏両面にろう材層が被覆形成されたブ
レージングシートを用いることが望ましい。

なお、上記実施例においては、カーエアコン用凝縮器
を例にとって説明したが、その他の凝縮器にも適用され
るものである。

発明の効果 この発明に係る凝縮器は、上述のとおり、ヘッダーが
隣接チューブ間において連接された複数個の短尺ヘッダ
ー単位により構成されてなるものであるから、従来のよ
うに長さの異なる各種寸法のヘッダーを用いることな
く、短尺ヘッダー単位の連接個数を増減させるだけで標
準化された各種大きさの凝縮器を容易に製造することが
できる。

しかも、この発明における各チューブとその両端に連
通接続された短尺ヘッダー単位とは、積層方向に２分割
されたプレス一体成形品からなる１対の分割ユニットを
対向状に重ね合わせて接合一体化することにより形成さ
れてなるものである。従って、その分割ユニットとし
て、薄肉状の成形用プレートを用いることにより従来の
多孔偏平押出材によっては得ることのできなかったよう
な、より一層チューブ高さを低く抑えたチューブとする
ことができる。このため、凝縮器における空気側の伝熱
面積の増大化と共に、空気流通間隙の空気通過抵抗の低
減化を図ることができ、もって放熱性能のより一層向上
された凝縮器とを提供することができる。

また、分割ユニットのチューブ半体には、その長さ方
向に沿って所定間隔ごとに、屈曲形成により折り返し状
の２重壁構造となされた仕切壁が形成され、この仕切壁
の各頂部が対向するチューブ半体側内面にろう付接合さ
れることにより、チューブ内に長さ方向に連続する複数
の冷媒通路が形成されたものとなされているから、肉厚
の薄い成形プレートにより形成されたチューブであって
も、上記仕切壁の折り返し状の２重壁構造による補強作
用によって耐圧性に優れた十分な強度を有するものとす
ることができ、しかも２重壁の相接面同士がろう付接合
一体化されているので一層強度を向上させることができ
て、比較的大きな内圧が負荷されるカーエアコン用凝縮
器にも支障なく好都合に使用しうるものとなしうる。加
えて、仕切壁によりチューブ内通路を複数の相当直径の
小さい冷媒通路に分割形成しうることにより、冷媒側の
伝熱面積を増大して熱交換効率の優れたものとすること
ができ、殊に上記カーエアコン用凝縮器に使用する場合
において、高性能による顕著小型化をはかり得る点で有
利である。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すもので、第１図はこの発
明に係る凝縮器の正面図、第２図は一対の分割ユニット
を重ね合わせた状態における横断面図、第３図は分割ユ
ニットの一部平面図、第４図は分割ユニットの一部断面
図、第５図は第４図Ｖ−Ｖ線の断面図、第６図は第２図
VI−VI線の断面図。 （１）……チューブ、（２）……フィン、（３）（４）
……ヘッダー、（７）（８）……短尺ヘッダー単位、
（B1）（B2）……分割ユニット。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数本の偏平チューブ（１）が相互間にフ
   ィン（２）を介在させた状態で厚さ方向に積層されると
   共に、各チューブ（１）の両端に中空ヘッダー（３）
   （４）が連通接続され、かつ該ヘッダー（３）（４）が
   隣接チューブ間において連接された複数個の短尺ヘッダ
   ー単位（７）（８）により構成されてなる凝縮器におい
   て、 各チューブ（１）とその両端に連通接続された短尺ヘッ
   ダー単位（７）（８）とが、積層方向に２分割されたチ
   ューブ半体（1a）（1b）と短尺ヘッダー単位半体（7a）
   （8a）（7b）（8b）とを有するプレス一体成形品からな
   る１対の分割ユニット（B1）（B2）を対向状に重ね合わ
   せて接合一体化することにより形成されると共に、 前記チューブ半体（1a）（1b）には、その長さ方向に沿
   って所定間隔ごとに、屈曲形成により折り返し状の２重
   壁構造となされた仕切壁（1c）（1d）が形成されると共
   に、前記２重壁の相接面同士がろう付接合一体化され、
   前記仕切壁（1c）（1d）の各頂部が対向するチューブ半
   体（1a）（1b）側内面にろう付接合一体化されることに
   より、チューブ（１）内に長さ方向に連続する複数の冷
   媒通路（ｃ）が形成されてなることを特徴とする凝縮
   器。