JP3047660B2 - 液滴噴射装置 - Google Patents

液滴噴射装置

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JP3047660B2
JP3047660B2 JP2685493A JP2685493A JP3047660B2 JP 3047660 B2 JP3047660 B2 JP 3047660B2 JP 2685493 A JP2685493 A JP 2685493A JP 2685493 A JP2685493 A JP 2685493A JP 3047660 B2 JP3047660 B2 JP 3047660B2
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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液滴噴射装置の構成に
関するものであり、更に詳細には液滴噴射のためのエネ
ルギー変換素子として用いられる圧電素子に形成される
駆動電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エネルギー変換素子を用いた各種
の液滴噴射装置がインクジェットプリンタ等の用途に開
発され実用化されている。該液滴噴射装置に用いられる
エネルギー変換素子としては、発熱体等の電気−熱変換
素子や圧電材料等の電気−機械変換素子が利用されてい
る。一般に圧電材料を利用した液滴噴射装置は発熱体を
利用したものに比較して使用する液体に対する熱による
制約条件が少なく利用できる液体の選択範囲が広くなる
と言う利点がある。しかし半導体製造プロセスが応用で
きる電気−熱変換素子の集積度に比較して電気−機械変
換素子である圧電材料を利用したものは集積度が低く、
液滴噴射装置の小型化と言う側面で種々の問題を包含し
ている。現在実用化されている圧電体をエネルギー変換
素子として利用した液滴噴射装置では、主に圧電体の圧
電・電歪効果の内、横効果が利用された、いわゆるユニ
モルフ圧電素子やバイモルフ圧電素子を用いた液滴噴射
装置が主流である。
【0003】エネルギー変換素子である圧電材料の高集
積化を目的とした液滴噴射装置の発明として、特開昭6
3−247051号公報、特開昭63−252750号
公報及び特開平2−150355号公報に記載されたも
のがある。
【0004】上記公開特許公報に記載されたものは厚み
方向に分極処理された圧電材料に液体流路及び圧力チャ
ンバーとして作用する複数の溝(チャンネル)を高集積
度で形成し、各溝(チャンネル)を分離する圧電材料の
壁の側面に駆動電極を形成することで圧電・電歪効果の
内、せん断モードの変形を生じさせ、溝(チャンネル)
内に圧力変化を発生し所望の液滴を前面に設けられたノ
ズルプレートの各ノズルより噴射させる方式の液滴噴射
装置であり、その小型化を実現したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
開特許公報で開示された構造の液滴噴射装置では、圧電
材料の壁に形成する駆動電極に関する詳細な記述が少な
く実際上、液滴噴射装置の設計に対して不明瞭な点が多
かった。従って前記方式の安定した液滴噴射特性を有す
る液滴噴射装置を実用化するに際して多大な問題点を包
含していた。本発明の目的は良好な液滴噴射を実現する
ための圧電材料の壁に形成する駆動電極に対する各種パ
ラメータ、特に駆動電極として形成される電極材料の相
対密度および電極層の厚みと壁の幅寸法との比に求めら
れる要求を具体化することで安定した上記構成の液滴噴
射装置を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明では、液滴噴射のためのエネルギー発生体とし
て電気−機械変換素子である圧電材料を用いた液滴噴射
装置であって、液体流 路及び圧力チャンバーとして作用
する複数の溝と、各溝を分離する圧電材料の壁と、該壁
の側面に形成された駆動電極とを有し、該電極に電圧を
印加することにより前記壁がせん断モードの変形をする
液滴噴射装置に於て、前記駆動電極の厚み(t)と前記
圧電材料の壁の幅寸法(w)との比(r=t/w)が1
/10以下の範囲であり、前記駆動電極の電極材料の相
対密度が少なくとも70%以上であることを特徴とす
る。
【0007】
【作用】上記の構成を有する本発明による液滴噴射装置
の駆動電極の作用について以下に説明する。まず印字パ
ターンに従って外部から入力された信号に基づき圧電材
料の壁に形成された駆動電極を通して電圧が印加され
る。この時一つの壁に着目すると片側が正電極として作
用し、もう一つの側は負電極として作用することにな
る。本発明の液滴噴射装置では駆動電極の厚みと該壁の
幅寸法との比が1/10以下であることで、圧電材料と
電極材料のヤング率の違いがあるがそれに影響されるこ
となく圧電材料の壁に効率のよい変形を生じさせること
ができる。圧電材料の壁に形成された相対密度70%以
上の電極材料の駆動電極は、インクによる電界腐食を少
なくし、長期にわたって圧電材料の壁に変形を生じさ
せ、安定した噴射を実現する。そして駆動電極の厚みが
上記のように薄くても電極材料の相対密度が70%以上
あることで許容抵抗値を満足させ、長期にわたって効率
のよい安定した噴射をすることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を図面を参
照して説明する。図1に本実施例の液滴噴射装置の概略
構成図を示す。前記液滴噴射装置はインクの流路及びイ
ンク液滴噴射のための圧力チャンバーとして作用する複
数の溝22と、両側面の一部に電圧を印加するための駆
動電極25が形成された複数の圧電材料の壁21で構成
されるアクチュエータ2及び該アクチュエータ2に接着
されたインク導入孔16、インクマニホールド18を有
するカバープレート10及び前記アクチュエータ2に接
着されたインク滴噴射のための複数のノズル12が形成
されたノズルプレート14から構成される。ここで、駆
動電極25はAl、Cr、Ni、Cu等の各種金属、及
びAu、Pt等の貴金属または各種金属の合金からな
り、電極層構成としては、単独層または複数の層の積層
物で構成される。
【0009】次に電圧印加時の挙動を説明するために駆
動電圧を印加しない時の圧電材料の壁21と溝22の状
態の概略図を図2に、駆動電圧を印加した時の圧電材料
の壁21と溝22の状態の概略図を図3に示す。図2で
示すように電圧を印加していない時は圧電材料の壁21
a〜eは変形することはなく溝22a〜dは全て同じ容
積を有している。次に駆動電極25b,cを正極、25
a,dを負極として電圧を印加した場合図3で示したよ
うに壁21b,cが変形し溝22bの容積が増加すると
共に溝22a,cの容積が減少する。図3で示した状態
から印加された電圧を取り去ることで壁21b,cは図
2で示した状態に戻り、その時溝22bを満たす液体に
圧力を作用させ液滴を噴射する。この時安定した液滴噴
射を実現するためには壁21の変形に要する時間が重要
となり数μsec以下の短時間の内に変形することが必
要とされる。
【0010】さて、駆動電極の厚みの適正範囲を把握す
るために以下のような実験を行った。図4に圧電材料の
壁21及び駆動電極25の斜視図を示す。図4におい
て、圧電材料の壁21の幅寸法をw、高さをh、長さを
L、駆動電極25の厚みをt、壁高さ方向の電極深さを
dで表すこととする。
【0011】まず、駆動電極厚みの許容できる最小値の
把握実験の為にw=0.1mm、h=0.5mm、L=
8mmの圧電セラミックス材料の壁を準備した。該圧電
セラミックス材料の壁の側面に厚さt=0.02、0.
04、0.08、0.16、0.32、0.64μmの
ニッケル電極をスパッタ法、真空蒸着法等の乾式法にて
形成し各々の電極の比抵抗値を測定した。その結果を図
5に示す。図5から明らかなように駆動電極の厚みtが
0.04μm以下になると多大な比抵抗の増加が見られ
る。ニッケル電極の膜質そのものが低下したとは考えに
くいので、この結果は圧電セラミックスの表面に形成さ
れた電極膜がその電気的連続性を失うことが起因してい
ると考えられる。
【0012】その概念図を図6に示す。一般に本実施例
の液滴噴射装置のアクチュエータ材料としてはPZT系
圧電セラミックス材料が利用される。圧電セラミックス
材料は通常、多結晶の焼結材料であって、1〜5μm程
度の平均粒径を有する結晶粒31で構成され、且つ数%
の同程度サイズの空孔をもっている。つまり前記駆動電
極が形成される表面は2μm程度の凹凸を有する事にな
る。このような凹凸を有する表面に形成された電極25
は、図6に示すように電極としての電気的不連続性を少
なからずもつこととなる。形成される電極25の厚みが
薄くなるとその不連続性が増加し、実験結果では0.0
4μm程度以下の厚みになると結果として見かけの比抵
抗が増大するものと考えられる。従って駆動電極厚みの
許容できる最小値は0.04μm程度であると考えられ
る。尚、駆動電極の材料をアルミニュウムとした場合の
実験を行ったが、上記ニッケルの場合と同様の結果が得
られた。
【0013】他方、駆動時の圧電材料の壁の変形に要す
る時間の事を考えると圧電材料は回路構成上、電気的に
はコンデンサーと考えられる。壁の変形時間に関する電
気的な時定数τは圧電材料の静電容量をC、駆動電極の
抵抗をRとするとτ=C・Rで表される。駆動電極の厚
みが薄くなると実験結果から明らかなように見かけ上の
比抵抗が増大するだけでなく、電極断面積t×dが減少
し抵抗値R自体が増大してしまい、液滴噴射に必要な許
容時定数に対するマージンが減少し駆動回路設計に対し
大きな負荷を与えることになり好ましくない。
【0014】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、駆動電極の厚みを0.04μm以上となるよう構成
した。これにより、安定した液滴噴射が実現可能な液滴
噴射装置を得ることが出来た。
【0015】次に、駆動電極厚みの許容できる最大値の
把握実験の為にw=0.05mm、h=0.25mm、
L=8mmの圧電セラミックス材料の壁を準備した。該
圧電セラミックス材料の壁の側面に厚さt=0.5、
1、2、5、10μmのニッケル電極をスパッタ法、真
空蒸着法等の乾式法にて形成し電極厚みと圧電材料の壁
幅寸法の比t/wがそれぞれ1/100、1/50、1
/25、1/10、1/5になるようなサンプルを作製
した。このサンプルに前記カバープレートを接着した
後、50Vのパルス電圧を印加し、壁の変形状態をレー
ザ変位計を用いて測定した。その測定結果を隣接する溝
容積の容積変化で整理し、電極厚み0.5μm(t/w
=1/100)の場合の容積変化を100%としたとき
の各電極厚みの場合のデータをプロットした結果を図7
に示す。
【0016】図7から明らかなように電極厚みと圧電材
料の壁幅寸法の比t/wが1/5のサンプルでは変形効
率が低下してしまう。これは圧電材料とヤング率の異な
った電極材料を駆動電極層として形成した場合電極の厚
みが薄い場合は圧電材料の壁の変形に余り影響しない
が、厚みが厚くなると変形に影響を及ぼす様になるため
である。また電極層が厚くなると当然、膜内及び膜と圧
電材料の界面の残留応力が増大し、膜強度及び密着強度
が弱くなるという問題も生じる。従って駆動電極厚みの
許容できる最大値は電極厚みと圧電材料の壁幅寸法の比
r=t/wで1/10以下であることが望ましい。
【0017】尚、駆動電極の材料をアルミニュウムとし
た場合の実験を行ったが、上記ニッケルの場合と同様の
傾向を示すことが確認されている。
【0018】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、駆動電極の厚みと圧電材料の壁幅寸法との比が1:
10以上となるよう構成した。これにより、安定した液
滴噴射が実現可能な液滴噴射装置を得ることが出来た。
【0019】次に、駆動電極として形成される金属膜の
相対密度に対する実験を行った。理論的に相対密度が低
下すると、空孔が増加し見かけの比抵抗が上昇すること
は明かである。しかし、抵抗値に関しては、駆動電極の
厚みを厚くすることで許容抵抗値を満足させることが可
能であるので、大きな問題とはならない。ここで問題と
なるのは、相対密度低下に基づく駆動電極膜の耐食性劣
化の問題である。本実施例の様な液滴噴射装置では、駆
動電極25は溝22に充填された液体(主としてイン
ク)に曝されることになる。従っていわゆる電解腐食現
象が発生する。この場合、相対密度が低下すると電極層
に開空孔(連結空孔)が増大し、液体に接触する表面積
が増大し耐食性が劣化することが考えられる。また実際
の液滴噴射装置では耐食性の改善として保護膜を駆動電
極の表面に形成することが考えられるが、相対密度の低
い電極層の上に保護膜を形成しても十分なカバーレッジ
が実現できないという問題が予想される。
【0020】図8に、相対密度をパラメータとした約1
μmの厚みのニッケル電極を形成したサンプルの食塩水
に対する耐食性、及び同様のサンプルの電極上に二酸化
珪素を約1μm厚みで保護膜として形成したサンプルの
食塩水に対する耐食性を、相対密度90%のサンプルの
耐食性を100%とし、各相対密度での耐食性を示し
た。耐食性の評価項目として電極層のみのサンプルでは
コロージョンレートを測定し、保護膜を形成したサンプ
ルでは単位面積当りのディフェクトの発生個数を計測し
た。図8から明らかなように保護膜の有無に係わらず相
対密度65%の電極膜では耐食性が急激に劣化すること
が実験結果から判った。従って、駆動電極膜を形成する
金属材料の必要最低限の相対密度は70%であることが
判った。
【0021】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、駆動電極膜を形成する金属材料の相対密度が70%
以上となるよう構成した。これにより、安定した液滴噴
射が実現可能な液滴噴射装置を得ることが出来た。
【0022】次に駆動電極を形成する金属材料の純度に
関する実験を行った。純度が低下すると電極膜中に不純
物としてのイオンが増加する。本実施例の液滴噴射装置
では圧電材料の壁を短時間の内に変形させることが必要
条件であり、この場合駆動電極には大きな瞬時電流が流
れる事となる。駆動電極に厚み分布が存在したり、電気
的不連続性があると、瞬時電流が流れた時に更に電流集
中がおこり不純物イオンの移動及びマイグレーションが
発生する危険性がある。また時として電極膜の部分的断
線が発生する可能性もある。
【0023】実験としては圧電セラミックス材料の表面
に厚み0.04μmのアルミニュウムを電極として形成
した。この時アルミニュウムの純度として99.99
9、99.99、99.9、99、95%のサンプルを
作製し実験を行った。実験条件は1Aの電流を30mi
n通電し、その前後で電極表面の変化を顕微鏡を用いて
観察した。純度99%以上のサンプルは通電前後で殆ど
変化が観察されなかったが、純度95%のものでは電極
膜の不連続点の増大が観察された。通電前後の電気抵抗
の測定でも99%以上の純度のものは抵抗値に殆ど変化
がなかったが95%の純度のものでは通電前後で約15
%の抵抗値の上昇が計測された。この実験結果から明ら
かなように本実施例の液滴噴射装置に利用される駆動電
極の金属材料の純度は少なくとも99%以上であること
が好ましいと考えられる。尚ニッケル等他の金属でも9
9%以下の純度の場合、程度の差は見られるものの、上
記と同様の変化が観察された。
【0024】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、駆動電極に純度99%以上の金属材料を用いて構成
した。これにより、安定した液滴噴射が実現可能な液滴
噴射装置を得ることが出来た。
【0025】次に、形成される駆動電極層の厚みの分布
の平均膜厚に対して許容値範囲に関する実験を行った。
本実施例の液滴噴射装置では、圧電材料の壁を短時間の
内に変形させることが必要条件であり、この場合駆動電
極には大きな瞬時電流が流れる事となる。駆動電極に厚
み分布が存在したり、電気的不連続性があると、瞬時電
流が流れた時に更に電流集中がおこり、電極材料中の不
純物イオンの移動及びマイグレーションが発生する危険
性がある。また、時として電極膜の部分的断線が発生す
る可能性もある。
【0026】実験としては圧電セラミックス材料の表面
に平均厚み0.2μmのアルミニュウムを電極として形
成し、膜厚分布として±25%、±50%、±70%の
サンプルを作製した。これらのサンプルを用いて行った
実験では1Aの電流を30min通電し、その前後で電
極表面の変化を顕微鏡を用いて観察した。膜厚分布±5
0%以下のものは通電前後で殆ど変化が観察されなかっ
たが、膜厚分布±70%のサンプルでは電極膜の不連続
点の増大が観察された。また通電前後の電気抵抗の測定
でも膜厚分布±50%以下のものは抵抗値に殆ど変化が
なかったが、膜厚分布±70%のものでは通電前後で約
10%の抵抗値の上昇が計測された。
【0027】この結果を説明する要因としては元来、電
極形成に際して厚み分布が±70%生じるということは
電極形成の手法・条件に難点があり、膜厚の厚い部分と
薄い部分とでは膜質そのものに差異が生じるのだと考え
られる。従って平均膜厚に対して±50%以上の膜厚分
布が生じるような電極形成手法・条件を用いて電極形成
を行うことは、本実施例の液滴噴射装置の駆動電極の形
成法としては利用できないと考えられる。つまり電極層
の平均膜厚に対する膜厚分布は少なくとも±50%以下
であることが望ましい。但し電極を形成する方法によっ
ては形成された電極のエッジ部の膜厚が連続的に薄くな
っていく場合が生じるが、薄くなった部分は圧電材料の
壁の変形に対しては電極として有効には作用しないと考
えられるので、上記限定範囲に含まれる必要はないと思
われる。
【0028】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、電極層の平均膜厚に対する膜厚分布が±50%以下
となるよう構成した。これにより、安定した液滴噴射が
実現可能な液滴噴射装置を得ることが出来た。
【0029】次に形成される電極の圧電材料の壁の高さ
方向の電極深さの設定値に対する許容幅の範囲を把握す
る実験を行った。図9〜12に圧電材料の壁21の側面
に形成された駆動電極25の電極深さの状態を示す。図
9に示したように圧電材料の壁21の高さhに対して電
極深さdの設定値がd=0.5・hの場合を考えると、
電極深さのばらつきは図10〜12で示したように3つ
の場合が考えられる。図10は設定より電極深さdが浅
くなった場合(d<0.5・h)、図11は設定値より
電極深さdが深くなった場合(d>0.5・h)、図1
2は左右の電極深さが異なった場合を各々表す。
【0030】実験サンプルとしてはw=0.1mm、h
=0.5mm、L=8mmの圧電セラミックス材料の壁
を準備した。該圧電セラミックス材料の壁の側面に厚さ
t=0.64μmのアルミニュウム電極をスパッタ法、
真空蒸着法等の乾式法にて形成することで電極深さd=
250μmのサンプルを基準にd=150、175、2
00、225、275、300、325、350μmの
サンプル(図10、11対応)およびd=(225,2
75)、(200,300)、(175,325)、
(150、350)のサンプル(図12対応)を作製し
た。図13に上記サンプルに駆動電圧を印加しそのとき
の最大変位及び溝容積の容積変化を測定しd=250の
サンプルのデータを100とした時の各電極深さのサン
プルのデータを%で表した。最大変位及び溝容積の容積
変化は、図14に示すようにカバープレート10を接着
した上記サンプルを斜め切断し、50Vの駆動電圧を印
加し、壁を変形させその変位量をレーザ変位計を用い
て、壁高さ方向に10μm毎にステップ的に走査させな
がら測定した。得られたデータの変位量の最大値を最大
変位とし、容積変化は得られた変位分布の積分値とし
た。
【0031】図13から明らかなように最大変位に対す
る電極深さの影響は容積変化に対する影響に較べて小さ
い傾向がある。実験結果から電極深さdが設定値に対し
て±30%であれば最大変位及び容積変化は変化率は約
5%程度の範囲で収まる。本実施例の液滴噴射装置内の
液滴噴射安定性、及び液滴噴射装置間の液滴噴射安定性
を考えると安定した圧力の発生が必要であり、その実現
には圧電材料の壁の最大変位及び容積変化は5%以内の
範囲で実現されることが望ましく、そのためには電極深
さの精度は設定値に対して±30%の範囲であることが
必要であると考えられる。
【0032】従って、本実施例の液滴噴射装置において
は、電極深さの精度が設定値に対して±30%の範囲と
なるよう構成した。これにより、安定した液滴噴射が実
現可能な液滴噴射装置を得ることが出来た。
【0033】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の液滴噴射装置は圧電材料の壁に形成された駆動電
極の厚みと該壁の幅寸法との比が1/10以下であるこ
とで、圧電材料と電極材料のヤング率の違いがあるがそ
れに影響されることなく圧電材料の壁に効率のよい変形
を生じさせることができる。また相対密度70%以上の
電極材料の駆動電極は、インクによる電界腐食を少なく
し、長期にわたって圧電材料の壁に変形を生じさせ、安
定した噴射を実現する。そして駆動電極の厚みが上記の
ように薄くても電極材料の相対密度が70%以上あるこ
とで許容抵抗値を満足させ、長期にわたって効率のよい
安定した噴射をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の液滴噴射装置の概略構成図
である。
【図2】本実施例の液滴噴射装置の壁、溝の状態を表す
断面図である。
【図3】本実施例の液滴噴射装置の電圧印加時の壁、溝
の状態を表す断面図である。
【図4】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁、駆動
電極の斜視図である。
【図5】駆動電極厚みと比抵抗の関係図である。
【図6】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁に形成
された電極の概念図である。
【図7】駆動電極厚みと変形効率の関係図である。
【図8】駆動電極相対密度と耐食性の関係図である。
【図9】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁の両側
面に形成された駆動電極を示す図である。
【図10】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁の両
側面に形成された駆動電極を示す図である。
【図11】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁の両
側面に形成された駆動電極を示す図である。
【図12】本実施例の液滴噴射装置の圧電材料の壁の両
側面に形成された駆動電極を示す図である。
【図13】駆動電極深さと最大変位量及び容積変化の関
係図である。
【図14】圧電材料の壁の変位量測定方法の概略図であ
る。
【符号の説明】
2 圧電素子(アクチュエータ) 21 圧電材料の壁 22 溝 25 駆動電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16 C23C 4/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴噴射のためのエネルギー発生体とし
    て電気−機械変換素子である圧電材料を用いた液滴噴射
    装置であって、液体流路及び圧力チャンバーとして作用
    する複数の溝と、各溝を分離する圧電材料の壁と、該壁
    の側面に形成された駆動電極とを有し、該電極に電圧を
    印加することにより前記壁がせん断モードの変形をする
    液滴噴射装置に於て、前記駆動電極の厚み(t)と前記圧電材料の壁の幅寸法
    (w)との比(r=t/w)が1/10以下の範囲であ
    り、 前記 駆動電極の電極材料の相対密度が少なくとも70%
    以上であることを特徴とする液滴噴射装置。
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