JP3047258B2 - 面ヒータおよびその製造方法 - Google Patents

面ヒータおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、調理機器,乾燥機器,
暖房機器などの熱源として用いられる面ヒータ、及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、面ヒータは機器の薄型化、所要熱
分布が得やすいなどの要望に合った熱源として脚光をあ
びており、従来から次のような各種、面状発熱体が提案
されている。
【0003】(1)マイカ板に電熱源を巻回し、その両面
にマイカ板をハトメで止めた構造を有するもの。
【0004】(2)実公昭51−27479号公報に示されるよ
うな、発熱体を板状のアスべスト間に挟み、前記アスベ
ストと発熱体をリン酸塩を主成分とした粘結剤によって
一体化した構造のもの。
【0005】(3)実公昭51−10437号公報のように、所
望の回路形状に形成した金属箔発熱体の片面、もしくは
両面に硝子繊維を無機結合剤により接続した構造のも
の。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)のマイカ板に電熱線を巻回した構造のものは、発熱
体が封止されていないので耐湿特性に問題があり、さら
に、マイカ板と発熱体が点接触構造であるために、局部
加熱による断線が発生しやすいなどの課題があった。
【0007】また、上記(2)のアスベスト板の間に発熱
体を挟み、リン酸塩を主成分とした粘結剤で一体化した
構造のものは、粘結剤がリン酸塩であるために絶縁抵
抗,絶縁耐力などの電気特性に問題があり、さらにアス
ベスト板は発ガン性物質で安全衛生上の課題もある。
【0008】さらに上記(3)の発熱体の片面もしくは両
面に無機結着剤により接着した構造のものは、硝子繊維
の耐熱性が低く、耐熱衝撃性に弱いという問題があっ
た。
【0009】本発明は、上記の問題を解決するもので、
電気絶縁性が高く、耐湿特性ならびに耐熱衝撃に強く、
局部加熱を改善し、安全衛生上の課題を解決した面ヒー
タを提供することを第1の目的とし、無アルカリの非晶
質ガラスの組成ガラス転移点を限定することにより、ヒ
ータエレメントとの反応を抑制し、面ヒータの寿命を大
幅に改善することを第2の目的とし、それらの面ヒータ
を具現化するための製造法の提供を第3の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、SiO2とBa
OとAl23の合計重量が80重量%以上であって、ガラ
ス転移点が700℃以上の無アルカリの非晶質ガラスと合
成金雲母とからなる一対の耐熱性電気絶縁材の間に、N
i−Cr系またはFe−Cr−Al系のヒータエレメントを
位置させて一体化したことを特徴とする。
【0011】また本発明は、面ヒータの製造方法とし
て、合成金雲母が60〜90重量%、無アルカリの非晶質ガ
ラスが10〜40重量%の粉末に有機バインダー、分散剤、
消包剤などを添加し、湿式混合してスラリーを調整する
工程と、前記スラリーをドクターブレード法により板状
化して耐熱性電気絶縁材を得る工程と、一対の前記耐熱
性電気絶縁材の間にヒータエレメントを位置させて一体
化する工程からなることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の請求項1によれば、耐熱性電気絶縁材
に、合成金雲母と無アルカリの非晶質ガラスとからなる
物を用いたので、焼成温度が通常のセラミックより低
く、焼成温度は900℃〜1100℃で5〜15%の連続気孔が
存在するが、合成金雲母の体積固有抵抗が大きいので熱
時絶縁抵抗は高い。
【0013】また、合成金雲母は燐片状で熱衝撃に対し
て緩衝作用を有し、クラックの発生を防止するとともに
耐電圧特性に優れ、さらに無アルカリの非晶質ガラスは
Na,K,Liなどのイオン電導性の高いアルカリ金属成
分を含んでいないので、耐湿特性および熱時絶縁抵抗を
低下することなく耐熱性電気絶縁材の機械的強度を確保
することできる。
【0014】以上のように本発明に用いられる耐熱性電
気絶縁材は熱時絶縁特性,耐電圧特性,耐湿特性,耐熱
衝撃性に優れた面ヒータとなる。
【0015】さらに、耐熱性電気絶縁材とヒータエレメ
ントとの反応を抑制するため、非晶質ガラス中のフラッ
クス成分を極力抑えてガラス転移点を700℃以上に調整
しているので、ヒータエレメントの表面に形成されるA
23,Cr23などの不働態層のガラスへの拡散が抑
制されて面ヒータの長寿命化がはかれる。
【0016】また請求項2によれば、ドクターブレード
法でグリーンシートを作成したので、請求項1の面ヒー
タを精度よく具現化することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。
【0018】図1において、1a,1bは耐熱性電気絶縁
材であり、合成金雲母と無アルカリの非晶質ガラスから
構成されている。2はFe‐Cr‐Al系、またはNi‐
Cr系の箔体をエッチングにより所望のパターンに形成
したヒータエレメントである。
【0019】次に耐熱性電気絶縁材1a,1bの具体的な
製造方法について述べる。先ず最初に、80メッシュ以下
の合成金雲母、80重量%と、SiO2‐BaO‐Al23
系の無アルカリの非晶質ガラス20重量%の粉末100重量
部に、有機バイダー10重量部,湿潤剤0.3重量部,消泡
剤0.1重量部を添加した混合物を、ボールミルで1hr
(時間)湿式混合して粘度5000cpsのスラリーを作製す
る。
【0020】このスラリーをドクターブレード装置を用
いて、ポリエステルフィルム上にt=2.0の膜厚になる
ように調整して塗布後、80℃にて乾燥する。乾燥後、所
望の形状に打ち抜き、フィルムを剥して耐熱性電気絶縁
体の板状体を得る。
【0021】次に2枚の上記板状体の間にヒータエレメ
ント2を配置し、圧力100kg/cm2、温度100℃の条件に
設定したホットプレスにて一体化した後、脱バインダー
処理を行ない、続いて1000℃で30分熱処理を行なうと、
耐熱性電気絶縁材1a,1bは合成金雲母の粒子がSiO2
‐BaO‐Al23系の無アルカリの非晶質ガラスで結
合され、5〜15%の気孔を含んだ面ヒータが得られる。
【0022】このような方法で得た面ヒータは冷時絶縁
抵抗が1000Vメガーで∞を示し、また、耐電圧は2000V
以上であった。
【0023】さらに、40℃−95%RHの雰囲気に7日間
放置後の耐湿絶縁抵抗は1000Vメガーで1000MΩ以上、
熱時絶縁抵抗は450℃で100MΩ以上であった。加えて、
耐熱衝撃性については450℃の電気炉で1hr加熱後、水
中に投下したがクラックの発生もなかった。
【0024】次に、上述した製造方法を用いて、SiO2
とBaOとAl23の合計重量が80重量%以上であっ
て、ガラス転移点が700℃以上の無アルカリの非晶質ガ
ラスと合成金雲母とからなる一対の耐熱性電気絶縁材の
間に、Ni‐Cr系またはFe‐Cr‐Al系のヒータエレ
メントを位置させて一体化して面ヒータを形成する。
【0025】ここで、SiO2とBaOとAl23の合計
重量が80重量%以上に設置した理由は、80重量%未満で
はフラックス成分が多くなり、ヒータエレメントの寿命
が短くなる。
【0026】また、ガラス転移点が700℃未満ではヒー
タエレメントの不働態層がガラスに拡散して、これもま
たヒータ寿命が短くなるからである。
【0027】以上、本実施例によれば、非晶質ガラス中
のフラックス成分を極力抑えてガラス転移点を700℃以
上になるように調整し、ヒータエレメントの表面に形成
されるAl23,Cr23などの不働態層のガラスへの
拡散を抑制したので、面ヒータの長寿命化がはかれる。
また、ドクターブレード法でグリーンシートを形成した
ことにより、面ヒータを精度よく具現化することがで
き、量産性に優れた製造方法を提供することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、合成金雲母と無アルカリの非晶質ガラスとから
なる一対の耐熱性電気絶縁材の間にヒータエレメントを
位置させて一体化することで、熱時絶縁特性,耐電圧特
性,耐湿特性,耐熱衝撃性に優れた面ヒータが得られ
る。さらに、非晶質ガラス中のフラックス成分を極力抑
えてガラス転移点を700℃以上になるように調整し、ヒ
ータエレメントの表面に形成されるAl23,Cr23
などの不働態層のガラスへの拡散を抑制したので、面ヒ
ータの長寿命化がはかれる。
【0029】また請求項2の発明によれば、ドクターブ
レード法でグリーンシートを形成し、請求項1の面ヒー
タを精度よく具現化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の面ヒータを示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1a,1b…耐熱性電気絶縁材、 2…ヒータエレメン
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/20 326 H05B 3/12 H05B 3/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO 2 とBaOとAl 2 3 の合計重量が8
    0重量%以上であって、ガラス転移点が700℃以上の無ア
    ルカリの非晶質ガラスと合成金雲母とからなる一対の耐
    熱性電気絶縁材の間に、Ni‐Cr系またはFe‐Cr‐A
    l系のヒータエレメントを位置させて一体化したことを
    特徴とする面ヒータ。
  2. 【請求項2】 合成金雲母が60〜90重量%、無アルカリ
    の非晶質ガラスが10〜40重量%の粉末に有機バインダ
    ー、分散剤、消包剤などを添加し、湿式混合してスラリ
    ーを調整する工程と、前記スラリーをドクターブレード
    法により板状化して耐熱性電気絶縁材を得る工程と、一
    対の前記耐熱性電気絶縁材の間にヒータエレメントを位
    置させて一体化する工程からなることを特徴とする面ヒ
    ータの製造方法。
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