JP3047123B2 - 有効物質の蒸発用電気装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、ハウジングおよびその中に配置される加熱
装置からなり、前記加熱装置が加熱要素および熱交換器
からなつており、前記加熱要素により発生された熱を前
記熱交換器に供給しかつそれを蒸発されるべき物質へ伝
達する、香水または同様な有効物質を蒸発するための電
気的装置に関する。

〔従来技術〕

その種の一般的な装置は、加熱要素によつて発生され
た熱を熱交換器に供給しかつ該熱を蒸発されるべき物質
へ運ぶために、加熱要素および熱交換器を有する、その
中に配置された電気加熱装置を備えたハウジングからな
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の目的はさらに容易に製造されることができか
つ低い電力損失で作動するようにその種の装置を開発す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

この目的は、本発明によれば、前記加熱要素が、２枚
の電極間に締め付けられるPTC素子からなり、そして前
記２本の電極の少なくとも一方が、熱交換器に隣接して
配置されかつそれと一体に形成されていることにより達
成される。PTC素子からなる加熱装置を熱交換器を一体
形成した電極に設けることにより、電気加熱要素用の電
極が同時に熱交換器に加熱要素から発生された熱を直接
供給することとなる。従って、本発明による装置は加熱
要素と熱交換器との間の良好な熱伝導性が達成されるの
で、電力損失が低く抑えられる。しかも、電極は熱交換
器と一体に形成されるので、装置は僅かな部品点数で構
成されることとなり、その結果、装置の組立てが容易で
ありかつ低コストで製造され得ることとなる。

〔発明の実施の形態〕

簡単な実施形態において、前記ハウジングに接続可能
な容器が、蒸発されるべき物質を貯留しており、芯が、
前記容器内に保持され、そして前記熱交換器が、前記芯
を取り囲む開口を備えている。

熱交換器は、好ましくは、芯に対して同軸的に延びる
環状体で構成された成形部分を有している。この熱交換
器の実施形態において、芯の外周面全体からの成形部分
からの熱の良好な伝達が行われ、この事は有効成分の良
好な蒸発効率を結果として生じる。

代替の実施形態において、熱交換器は、蒸発されるべ
き物質用容器のための支持面として機能する平らな加熱
面を有している。この実施形態において、容器が装置に
対して安定して保持されると同時に、蒸発されるべき物
質全体への熱交換器からの熱が有効物質を含有する芯の
容器からの露出部分に直接隣接して作用するので、より
良好な有効物質の蒸発が達成される。

更に、好ましいもう１つの実施の形態において、電極
および／または熱交換器が、加熱装置とプラグとを電気
的に接続するための接続導線を備えている。電極、熱交
換器および接続導線を一体に製造することにより、部品
の数が減少され、それは通常の撚り線（ワイヤ）接続が
回避されかつほとんどすべての電気部品が共通の打ち抜
き部材上で製造され得るので、装置の製造を簡略化す
る。

さらに他の好適な実施形態において、前記接続導線
が、横幅の括れた部分を介して前記電極或いは前記熱交
換器と接続されている。前記部分は電極に十分な電気的
接続を維持するが熱伝導を行うことは困難である。それ
により接続導線にも熱が伝導されると言った熱の損失が
大いに回避される。

好ましいもう１つの実施の形態において、前記熱交換
器及び前記電極が、１枚の打ち抜きシート上に一体的に
形成され、打ち抜かれた後に所要の部位が安定性及び熱
絶縁性を増加するために折り曲げられたりプラスチック
材料により被覆されるならば有利である。これは、すべ
ての部品が製造機械の使用により平らな加工片から製造
され得るので、装置の製造をかなり簡略化する。

好ましくは、前記電極と前記PTC素子との間に弾性要
素が配置され、そして締め付け要素が外側から前記電極
を取り囲みかつ前記PTC素子を前記電極に密接々触状態
に保持している。この配置において、PTC素子への電極
の密接接触が達成され、それは緊密な電気的接続を導く
だけでなく、また加熱要素と電極との間の熱結合を改善
する。

本発明のさらに他の実施形態において、前記電極が、
互いに外側に向いた面をプラスチック材料で覆われ、該
電極の外周縁部において前記PTC素子を挟んで互いに接
する対向面を有するフランジ部分を備えており、さら
に、前記PTC素子が前記フランジ部分の嵌合により保持
されており、その結果加熱要素用の追加の保持要素を別
途設ける必要は無くなる。

本発明を図面を参照して実施形態の助けにより新たに
説明する。

〔実施例〕

第１図によれば、装置はハウジング1a,1bの２つの半
モノコツク部分からなり、蒸発されるべき物質、例えば
その中に溶解された有効物質を備えた液体が貯留されて
いる容器２を接続可能なハウジングからなる。ハウジン
グと容器２との間の取着手段は容器の上方端に切られた
外ネジおよびハウジング1bの下方半モノコツク部分に形
成されたそれぞれの内ネジからなる。芯３は容器２内に
配置され、炭素繊維または繊維撚り糸からなる。蒸発さ
れるべき液体は芯を通って第２図および第３図において
詳細に示された加熱装置４へ運ばれる。ハウジングに取
着される２つのプラグ接点６を有するプラグ５がハウジ
ング内に回転可能に支持される。第４図に見られるよう
に、プラグ５は、ハウジングが閉じられる場合に、ハウ
ジング1a,1bの半モノコツク部分の対応して形成された
半径方向内方に突出する縁部に係合する環状溝７からな
る。

加熱装置４は、電極８の外表面の大部分が熱絶縁性プ
ラスチツク材料で被覆されており、従って内部に挟持さ
れたPTC素子は外部から見えないために第２図および第
３図に直接示されてはいない。PTC素子は、２枚の電極
８の外周縁部に形成されたフランジ部分おいて挟持され
ると共に電極の外側から相互に近接するように締め付け
られている。電極のPTC素子に向かい合う面は、それに
完全に接触するのに十分に広い接触面を備えている。フ
ランジ部分は、連続して電極の外周縁に沿って形成さ
れ、そのさいフランジ部分はそれらが互いに噛み合うよ
うな方法において一体化される。それにより、閉止され
たキヤビテイが形成され、それによりPTC素子が形状嵌
合方法において保持される。弾力の有る導電性要素が下
方電極とPTC素子との間に配置され、導電性要素は、外
側から電極を取り巻くＵ形状の締め付けばね９ととも
に、電極とPTC素子間の良好な接触を引き受ける。加熱
装置４の電極部分はさらに、第６図により明瞭に見るこ
とができるように、電極８に横幅の括れた断面を有する
領域11を介して接続導線10に接続されている。

熱交換器12は、電極と同一の金属材料から作られかつ
深絞り成形部分14が形成された２つの環状部分13が互い
の自由端に上記したフランジ部分から伸びている。第７
図に見ることができるように、深絞り成形部分14の厚さ
と電極の厚さの比はおよそ6:1である。成形過程は深絞
り成形部分の材料強度がその自由端に向かって減少する
ような方法において実施される。成形においてとくに重
要なことは、良好な熱遷移を成形部分に確保するため
に、十分な材料が成形部分14と環状部分13との間に存在
してなければならないということである。加熱要素に近
接する点でのより大きい材料厚さは加熱エネルギが電極
自由端にまで良好に伝達されるという結果を導く。環状
のかつ成形された部分13及び14は、プラスチツク材料中
に完全に埋め込まれる。熱交換器12の被覆された環状の
かつ成形領域は第３図において見ることができ、前記熱
交換器12は軸方向に心出しされた開口12aからなる。出
来るだけ多くの熱エネルギが開口12aに導かれるよう
に、環状領域はその内壁において薄い絶縁材料で被覆さ
れている。環状領域の外壁は順次、深絞り成形部分14の
軸方向において成形部分の自由端に向かってより厚くな
る厚い絶縁層を有する。この絶縁層は熱損失を低く抑え
かつこ熱伝達が開口の所望の点に正確に伝達されるよう
になる。

本発明による装置を製造する必須の過程を次に説明す
る。

第６図は電気加熱装置の必須部分を備えた打ち抜きシ
ート15を示す。完全に打ち抜いた状態において、図面に
点線で示されたシートは完全に分離される。２本の電極
８は、幅広のフランジ部分に各々連成された深絞り成形
部分14を備えた環状部分13を備えている。接続導線10
は、横幅の括れた領域11を経て電極８のフランジ部分を
介して環状部分13と一体に形成される。接続導線10はそ
の自由端領域において四分円の円弧形状を有しかつ互い
に向かい合って配置されている。第６図においてこの円
弧状部分は、打ち抜きシートの左半分に設けられ、そし
てそれらの各々は約90゜変位した位置において１対の対
向接点16を備えている。

さらに付加的な工程において、打ち抜きシートは固有
の安定性または熱絶縁性の補強が必要とされる部位に関
してはプラスチック材料で被覆される。四分円形状を有
する向かい合った２つの円弧状部分の被覆はほとんど閉
止されたリングが形成されるように実施され、２つの互
いに離間した対向接点16が半径方向内方に突出して上記
円弧状部分を画成している。

ウエブ17は加熱装置４の前側にその伸延方向に対して
垂直に交差する平面内に形成され、前記ウエブは環状部
分13の軸方向と平行に延びている。ウエブはほぼ四分円
の円弧を形成しておりかつその内壁において傾斜面（第
３図）を有する複数の凹所18からなる。被覆工程後、第
６図に点線で示された部分が完全に切り離され、その結
果、左半分に示される部分は独立した電極８が提供され
る。次いで、プラスチック材料により成形されるほとん
ど閉じられたリングに埋め込まれる四分円形状の接続導
線10が、第２図に示されたように、電極部分８のフラン
ジ部分の後方において電極平面に対して約90゜だけ折曲
部分19において下方に向けて屈曲される。

最後に、加熱装置４は全体として２つの保護抵抗器20
および発光ダイオード21を備えている。

装置の作動中、加熱装置４の電気回路は以下のごとく
機能する。すなわち、接続導線10aに通電が開始される
と、加熱電流は保護抵抗器20aを通って上方の電極８と
一体に形成された上方環状部分13に流れる。この電極か
ら、電流はPTC加熱要素を通って下方の電極８へかつ次
いでプラスチツク材料によつて完全に被覆されている第
２の接続導線10bへ流れる。２つの接続導線10a,10bは、
第１図に示されるプラグ５のプラグ接点６と接続され
る。保護抵抗器20bは、それと直列に接続された発光ダ
イオード21と共に、１対の電極８に対して並列に接続さ
れる。保護抵抗器20bおよび発光ダイオード用の接続導
線10a,10bは熱交換器12の上方および下方環状部分13に
配置される。

ところで、PTC素子が発生する温度の安定化は、その
外形寸法に依存して決まることが知られている。本実施
形態において、PTC素子はそれが予め設定された作動電
圧において150℃の温度を発生するように選定された。
上方および下方の電極８がPTC素子で構成される加熱要
素と緊密な接触にあり、かつ環状部分13が加熱要素と共
に深絞り成形部分14と一体に形成されるので、加熱要素
によつて発生された熱は熱交換器12に直接伝達される。
本発明による装置の実施形態を基礎にして、熱損失は、
開口12aにおける芯３の温度が約128℃と測定された事実
から見て、相当低いものである。PTC素子の作動温度に
対して22℃の温度損失は極めて低いものであり、注目す
べきである。そのうえ長時間の試験の間中、0.5℃のみ
の非常に僅かな温度変化しか認められなかった。

実施形態に記載された加熱装置が単なる例でありかつ
非常に多くの技術的可能性がこの加熱装置を実現に際し
て存在することが指摘されねばならない。加熱要素は、
例えば、必ずしもPTC加熱要素でなけれならないと言う
ことはなく、セラミツク加熱体に埋め込まれた加熱ワイ
ヤから作られた加熱巻線にすることも可能である。

図面には示されない、本発明の別の実施形態において
は、異なる形状の熱交換器の使用によつて上述した実施
形態から異なる。この実施形態において、環状部分13お
よび成形部分14は平らな加熱面によつて置き換えられ
る。そのうえ、加熱面の上方に置かれる容器、例えば、
その中に保持される芯を有する容器２の代わりに、熱抵
抗プラスチツクボウルが設けられる。蒸発されるべき物
質はボウル内に配置され、それはボウルの下に直接置か
れた加熱面によつて規則的に加熱される。この実施形態
においてハウジングは、容器がそれを通して蒸発される
べき物質を補給するための適宜な開口を備えている。

次ぎに、第１回転継ぎ手部材22を説明する第４図およ
び第５図に新たに言及する。

第１回転継ぎ手部材22はプラグ５に堅固に接続されか
つ基本的には２つの帯状電気接点24を支持する円板状担
体部分23からなる。電気接点24は接触ピン25を介してプ
ラグ接点６に接続される（第５図）。円弧状のカム26が
円板状担体部分23の外周に一体的に形成され、その自由
端で２つの表面を有する前記カムは互いにおよそ60゜の
角度範囲で伸びている。

第２回転継ぎ手部材27は基本的には四分円（第２図お
よび第３図比較）の円弧長さで形成された接続導線10の
互いに対向する２つの円弧部分にプラスチック材料を被
覆して展開したほとんど閉止されたリングおよび多数の
凹所18からなる、それに接続された環状のウエブ17から
なる。

本発明による装置が取り付けられる場合に、第１回転
継ぎ手部材22の担体部分23は環状のウエブ17に係合す
る。担体部分23に形成されたカム26は、ウエブの内壁に
形成された凹所18に係合する。プラグ５がハウジングに
対して取着される際に、第１回転継ぎ手部材22が第２回
転部材27に対して回転させられる場合には、カム26はウ
エブ17の凹所18の上方に係止して摺動する。ハウジング
に対するプラグ５の回転は、詳細に示されない、制限手
段によつて、およそ90゜に制限される。

図面の簡単な説明 第１図は装置の側面図、 第２図はハウジング内に配置された装置の加熱装置の
側面図、 第３図は、第２図に示された、加熱装置の上面図、 第４図はプラグおよび本発明の第１回転継ぎ手部材の
側面図、 第５図は第１回転継ぎ手部材の正面図、 第６図は、装置の必須部分を含む、打ち抜きシートの
図、そして 第７図はそれと一体に形成された熱交換器を有する電
極の拡大断面図である。

〔図中の符号〕

1a,1b…ハウジング、 ３…芯（蒸発されるべき物質）、 ４…加熱装置、 ８…電極、 ９…締め付け要素、 10…接続導線、 12…熱交換器、 12a…開口、 14…成形部分、 15…打ち抜きシート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 欧州特許出願公開290159（ＥＰ，Ａ １) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61L 9/00 - 9/03 A61L 9/14 - 9/22 A01M 1/00 - 31/06

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング（1a,1b）およびその中に配置
   される加熱装置（４）からなり、前記加熱装置が加熱要
   素および熱交換器（12）からなつており、前記加熱要素
   により発生された熱を前記熱交換器に供給しかつそれを
   蒸発されるべき物質（３）へ伝達する、有効物質、香水
   または同様な揮発性物質を蒸発するための電気的装置に
   おいて、 前記加熱要素が、２枚の電極（８）間に締め付けられる
   PTC素子からなり、そして前記２本の電極（８）の少な
   くとも一方が、熱交換器（12）に隣接して配置されかつ
   それと一体に形成されていることを特徴とする有効物質
   を蒸発するための電気的装置。
2. 【請求項２】前記ハウジング（1a,1b）に接続可能な容
   器（２）が、蒸発されるべき物質を貯留しており、芯
   （３）が、前記容器内に保持され、そして前記熱交換器
   （12）が、前記芯（３）を取り囲む開口（12a）を備え
   ていることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の有効
   物質を蒸発するための電気的装置。
3. 【請求項３】前記熱交換器（12）が、前記芯（３）に対
   して同軸的に延びる環状体で構成された成形部分（14）
   を有していることを特徴とする請求の範囲第２項に記載
   の有効物質を蒸発するための電気的装置。
4. 【請求項４】前記熱交換器（12）が、蒸発されるべき物
   質用容器（２）のための支持面として機能する平らな加
   熱面を有していることを特徴とする請求の範囲第１項に
   記載の有効物質を蒸発するための電気的装置。
5. 【請求項５】前記電極（８）および／または熱交換器
   （12）が、加熱装置（４）とプラグ（５）とを電気的に
   接続するための接続導線（10）を備えていることを特徴
   とする請求の範囲第１項に記載の有効物質を蒸発するた
   めの電気的装置。
6. 【請求項６】前記接続導線（10）が、横幅の括れた部分
   を介して前記電極（８）或いは前記熱交換器（12）と接
   続されていることを特徴とする請求の範囲第５項に記載
   の有効物質を蒸発するための電気的装置。
7. 【請求項７】前記電極（８）と前記PTC素子との間に弾
   性要素が配置され、そして締め付け要素（９）が外側か
   ら前記電極（８）を取り囲みかつ前記PTC素子を前記電
   極（８）に密接々触状態に保持していることを特徴とす
   る請求の範囲第１項に記載の有効物質を蒸発するための
   電気的装置。
8. 【請求項８】前記熱交換器（12）及び前記電極（８）
   が、１枚の打ち抜きシート（15）上に一体的に形成さ
   れ、打ち抜かれた後に所要の部位が安定性及び熱絶縁性
   を増加するために折り曲げられたりプラスチック材料に
   より被覆されることを特徴とする請求の範囲第５項に記
   載の有効物質を蒸発するための電気的装置。
9. 【請求項９】前記電極（８）が、互いに外側に向いた面
   をプラスチック材料で覆われ、該電極の外周縁部におい
   て前記PTC素子を挟んで互いに接する対向面を有するフ
   ランジ部分を備えており、さらに、前記PTC素子が前記
   フランジ部分の嵌合により保持されていることを特徴と
   する請求の範囲第８項に記載の有効物質を蒸発するため
   の電気的装置。