JP3042554U - 苗木の接ぎ木用クリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 苗木の接ぎ木技術において，簡単なため広く行われてい
る切り接ぎ法のうちの「斜め削り」技術を改良し，誰で
も簡単に，大量生産的に，作業スペースの省面積化を目
標とした改良技術を提供しようとするものである。 【構成】軸方向に幅の広いクリップにおいて，両挟み部
分に平行に切り込み溝を穿ち，挟んだ苗木の切断箇所に
この切り込み溝を合わせる。ナイフなどを両挟み部分の
切り込み溝に亙り挿入し，切り込み溝に沿って，苗木を
切断すれば，一定の角度での切断面が得られ，接ぎ木す
る両切断面を圧着しながら癒着するまでクリップして，
固定しておけばよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は苗木等の接ぎ木の代表的な切り接ぎ法のうち，斜め削りを行う場合 において，台木および接ぎ穂の両切断面を一定の角度で斜めに切断し，切断面を 圧着したままの状態で台木と接ぎ穂が癒着するまで挟み続けることを目的とする ，苗木の接ぎ木用クリップに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

斜め削りによって接ぎ木する場合，ナイフあるいはカッター等を用いて接ぎ木 する台木と接ぎ穂の接着面を経験と感によって斜めに削る。しかしその切断面の 角度および平滑度，また形成層に不一致があったりすると，台木と接ぎ穂の癒着 の成功率が低くなる。このため切断面を削るためのある程度の技術力要求されそ のために時間もかかった。 台木と接ぎ穂の接着ができたら，癒着が完全に行われるように固定をさせなけ ればならないが，固定させる技術としてはうちワラか毛糸で縛る方法が一般に行 われている。しかし手間がかかることから，内側に粘着剤を塗布した布テープを 使ったり，ビニールテープを用いたりしているのが従来からの技術である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来，苗木を接ぎ木する場合その接ぎ木方法は数多くあるが，そのなかで簡単 なため広く行われている，切り接ぎ法のうちの「斜め削り」の技術に次のような 目標で改良を加え更に簡単にさせる技術を提供しようとするものである。 （１）斜め削りの技術のうち，台木および接ぎ穂の切断角度を一定に切断する 技術を容易にし，誰でも簡単に行えるようにする。 （２）斜め削り作業を簡単にして作業時間を短縮し，大量生産に適するような 接ぎ木技術とする。 （３）作業のために必要とする作業スペースが少なくても確実に切り接ぎ作業 ができる方法とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

軸（４）方向に幅の広いクリップにおいて，挟み具（１ａ）（１ｂ）の挟み部 分（２ａ）（２ｂ）それぞれの全幅にかけ先端かみ合い部（７）から軸（４）付 近に亙って表裏に貫通する切り込み（６）を穿つことを特徴とする苗木の接ぎ木 用クリップ。本考案は，以上のような構成よりなる苗木の接ぎ木用クリップであ る。

【０００５】

【考案の実施の形態】

本考案を実施例図面について説明すれば， 図１（イ）は本考案の苗木の接ぎ木用クリップの開口状態である。図１（ロ） は本考案の苗木の接ぎ木用クリップの閉口状態である。図２においては，苗木（ ９）を挟み具（１ａ）（１ｂ）にて挟み持った状態を平面図として見た図である 。この状態を正面から見たものが図３であり，側面から見た図が図４である。図 ４において挟み具（１ａ）（１ｂ）の上下幅内において左下から右上に亙り斜め に切り込み（６）を設けてある。この切り込み（６）は，苗木（９）を挟んでい る両側の挟み具（１ａ）と（１ｂ）において対称に設けてあり，図４に示すよう に水平に透視すれば一本の切り込みの如き位置に，それぞれ窄設する。したがっ て，ナイフなどの刃を２ａと２ｂに亙った状態で（図３において２ａ，２ｂの位 置参照），図４に示す切り込み（６）の角度に副って左下から右上に切り上げれ ば，苗（９）は切り込み（６）の位置にて，その角度で切断される。この苗（９ ）を台木とすれば上部を捨て，別途に同様の，苗木の接ぎ木用クリップにて切断 した接ぎ穂を上部に挿入すれば，下部の台木との切断面は同じ角度で一致し，切 断面を強く密着した状態でクリップしておけば，接着状態を固定したことと同じ 効果があり，うちワラ，毛糸またはビニールテープなど固定のための材料や労力 などは必要としない。

【０００６】

【実施例２】 切り込み（６）はその角度を左上から右下に穿っても良く，また水平であって も良い。要は接ぎ本をするそれぞれの切断面の角度が一致していれば，どのよう な角度で切断されても良いのである。

【０００７】

【実施例３】 実施例１では，挟み具の把手部分（３ａ）（３ｂ）を設け，スプリングばね（ ５）を取り付けてあるが，図５のように把手部分（３ａ）（３ｂ）およびスプリ ングばね（５）の無い形態であっても良い。この場合は軸（４）が滑動しては苗 （９）を挟持できないため，かなりの外力を加えないと動作しないように固く圧 接しておく構造とするか，かみ合い部（７）に磁石を取り付け，挟み具（１ａ） （１ｂ）の先端かみ合い部（７）を吸着させて，苗（９）を強く挟み付ける方法 もある。

【０００８】

【考案の効果】

１．本考案の，苗木の接ぎ木用クリップを使用した接ぎ木方法は，接着面の角度 の一致，また切断面の平滑など，接ぎ木の癒着条件が安易に即座に実施できる。 ２．接ぎ木を多数実施する場合，接ぎ木作業が確実に手早く実施できるため，小 人数であっても短時間に効率よく実施できる。 ３．接ぎ木作業のあと，固定するための，うちワラ，毛糸またはビニールテープ など固定のための材料や労力など必要としない。 ４．接ぎ木のために接着面を削る技術はある程度以上の熟練を要求されるが，本 考案の，苗木の接ぎ木用クリップを使用して実施するならば，高度な技術がなく ても接ぎ木を失敗することはまず無い。 ５．接ぎ木する苗木が密接して植えられていても，本考案品を用いて接ぎ木作業 すれば，固定材料を取り付けるための作業スペースも必要なく，クリップを装着 するためのスペースがあれば，隣接の苗木が邪魔になったり，傷つけたりするこ とがないので，苗木を植えつける土地の効率化が計られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（イ）かみ合い部が閉口状態の平面図。 （ロ）かみ合い部が閉口状態の平面図。

【図２】苗木を挟持した状態の平面図。

【図３】正面図。

【図４】側面図。

【図５】実施例３の苗木の接ぎ木用クリップ。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ 挟み具 ２ａ，２ｂ 挟み具の嵌合部分 ３ａ，３ｂ 挟み具の把手部分 ４ 軸 ５ スプリングばね ６ 切り込み ７ かみ合い部 ８ 挟み部 ９ 苗木

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸（４）方向に幅の広いクリップにおい
   て，挟み具（１ａ）（１ｂ）の挟み部分（２ａ）（２
   ｂ）それぞれの全幅にかけ先端かみ合い部（７）から軸
   （４）付近に亙って表裏に貫通する切り込み（６）を穿
   つことを特徴とする苗木の接ぎ木用クリップ。