JP3036023B2 - 軸部材の油穴強化方法 - Google Patents

軸部材の油穴強化方法

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JP3036023B2
JP3036023B2 JP2223647A JP22364790A JP3036023B2 JP 3036023 B2 JP3036023 B2 JP 3036023B2 JP 2223647 A JP2223647 A JP 2223647A JP 22364790 A JP22364790 A JP 22364790A JP 3036023 B2 JP3036023 B2 JP 3036023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【発明の目的】
(産業上の利用分野) この発明は、自動車部品などにおいてとくに疲労強度
に優れていることが要求される軸物部品(もしくは製
品)ないしは素材を製造するのに利用され、この種部材
の疲労強度をより一層向上させると共に所要部位の寸法
精度や表面粗さを十分確保したものとするのに好適な軸
部材の油穴強化方法に関するものである。 (従来の技術) 第4図は、疲労強度に優れていることが要求される部
材の一例として自動車の自動変速機用入力軸を示してお
り、この入力軸51は、JIS SCM420H鋼よりなるものであ
って、外径が22mm,中心穴51aの直径が7mm,油穴51bの直
径が5mm,長さが200mmであって、両端にスプライン加工
部51d,51eを有する仕様をなすものである。 この入力軸51を製作するにあたっては、丸棒軸素材
(SCM420H鋼)に対して後の研削加工代を考慮した外径
に外周旋削を行ったのち端部のスプライン転造加工を行
い、ドリルによって中心穴51aを加工したのち径方向に
油穴51bの加工を行い、浸炭焼入れ焼もどしの熱処理を
施したのちショットピーニングを行い、その後第4図
(b)に仮想線で示すように研削加工代d(約100〜150
μm)の分だけ研削加工を行うようにしていた。 この場合、研削加工は、入力軸51が回転して軸受と摺
動するため、所要の寸法精度および表面粗さを確保する
ために実施するものである。 一方、この研削加工に先立って行うショットピーニン
グは、軸部材の疲労強度をより一層高めるために実施す
るものである。 (発明が解決しようとする課題) 前記したように、ショットピーニングは、軸部材の疲
労強度をより一層高める手法として採用されるが、浸炭
焼入れ焼もどしを施した軸素材に対しショットピーニン
グ後に研削加工を行う場合には次に示すような問題があ
る。 第5図は、ショットピーニングを行うことによって、
圧縮残留応力分布がどのように変化するかを調べた結果
の一例を示す図であり、線Iは浸炭焼入れ焼もどしのま
まの場合の残留応力分布を示し、線IIは浸炭焼入れ焼も
どし後にショットピーニングを行った場合の残留応力分
布を示している。 第5図より明らかなように、表面から100μm以上の
深さのところでは、両者において残留応力ひほとんど差
のないことがわかる。 すなわち、ショットピーニング後に研削加工代d=10
0〜150μm程度の研削加工を行って軸受との摺動部分に
おける寸法精度および表面粗さが確保されるようにしよ
うとした場合には、ショットピーニングにより高い圧縮
残留応力が発生した部分が研削によりすべて除去されて
しまうため、ショットピーニングによる疲労強度向上作
用を十分に活用することができなくなるという問題点が
あり、このような問題点を解決することが課題となって
いた。 (発明の目的) この発明は、上述した従来の課題にかんがみてなされ
たもので、径方向の油穴を有する軸部材において、軸部
材の強度上問題となる部位である油穴近傍部分は、ショ
ットピーニングによる疲労強度の向上作用を十分に活用
することができるようにすると共に、所要の寸法精度や
表面粗さが確保されることが望まれる部位である油穴近
傍部分以外の部分は研削による寸法精度や表面粗さの向
上作用を十分に活用することができるようにして、寸法
精度および表面粗さの要求と疲労強度の要求とを十分に
満たすことが可能であるようにすることを目的としてい
る。
【発明の構成】
(課題を解決するための手段) この発明に係わる軸部材の油穴強化方法は、径方向の
油穴を形成した軸素材に対して浸炭焼入れ焼もどしなど
の表面硬化処理を施したのち、ショットピーニングを行
い、その後研削加工を加えて径方向の油穴を有する軸部
材を得るに際し、前記軸素材に対して後の研削加工代を
考慮した外径の外周旋削を行った後、前記油穴の近傍部
分を研削加工代aが50〜150μmとなる研削加工を行っ
て油穴近傍加工部分を形成し、次いで軸素材に表面硬化
処理を施したのち、ショットピーニングを行い、さらに
前記油穴近傍加工部分の研削加工代bが50μm以下で且
つ前記油穴近傍加工部分以外の部分の研削加工代cが10
0〜150μmである同一外径の研削加工を行い、前記研削
加工代a,bおよびcが、c=a+b,a≦cの関係を満足す
る研削加工を行うようにして、前記強度上問題となる部
位である油穴近傍部分の研削加工を少なくしてショット
ピーニングによる疲労強度の向上作用を十分に得ること
ができるようにした構成としたことを特徴としており、
このような軸部材の油穴強化方法の構成を前述した従来
の課題を解決するための手段としている。 第1図はこの発明に係わる軸部材の油穴強化方法の実
施態様を示すものであって、SCM420H鋼やSCr420H鋼など
よりなる丸棒軸素材11に対して後の研削加工代を考慮し
た外径で外周旋削を行ったのち、第1図(a)に仮想線
で示す径方向の油穴11bの部分(径方向の油穴11bを形成
することによって強度上問題となる部位(ないしはなり
やすい部位))に、この油穴11bの直径の例えば約3倍
の軸方向長さにわたって、ショットピーニング後の研削
加工代bが50μm以下となるような研削加工代aの表面
硬化処理前加工をあらかじめ施すことによって、第1図
(b)に示すような若干細径にした油穴近傍加工部分11
cを形成し、さらにドリルによって同じく第1図(a)
に仮想線で示した軸方向の中心穴11aの形状に沿って加
工することにより第1図(b)に示す中心穴11aを形状
すると共に、前記油穴近傍加工部分11cの中心に径方向
の油穴11bをあける。 次いで、第1図(b)に示す中空軸素材11に対して浸
炭焼入れ焼もどしなどの表面硬化処理を施したのち、シ
ョットピーニングを行い、その後第1図(c)に仮想線
で示す研削加工代cで研削加工を加えて第1図(c)に
示すような中心穴11aと軸穴11bを有する軸部材12を得
る。 (発明の作用) この発明に係わる軸部材の油穴強化方法は、上述した
構成を有するものであるから、軸部材12の強度上問題と
なる部位(第1図(c)の油穴11bの部位およびこの油
穴11bの近傍の部位)は研削加工の際の研削加工代bが5
0μm以下となっていることから、第5図の線IIでも示
したように、ショットピーニングによる圧縮残留応力の
増大が確保されて疲労強度の向上作用が十分に得られる
ようになると共に、上記以外の部位は研削加工代cが10
0〜150μm程度となっているため、研削による寸法精度
および表面粗さが十分に確保されたものとなる。 (実施例) SCr420H鋼よりなる丸棒軸素材に対して、外周旋削を
行って後の研削加工の際の研削加工代を見越した所定形
状に加工したのち、径方向の油穴の部分を中心にしてこ
の油穴の直径の約3倍の軸方向長さにわたって外径を若
干小さくする研削加工代aの表面硬化処理前加工を旋削
により行い、ショットピーニング後の研削加工代bが50
μm以下となるようにした若干細径の油穴近傍加工部分
(第1図(b)の油穴近傍加工部分11c参照)を形成
し、両端にスプライン転造加工を行うと共にドリルによ
って中心穴の穴あけ加工を行い、さらに前記油穴近傍加
工部分の中心に径方向の油穴をあけたのち、浸炭焼入れ
焼もどしを施した。 このときの浸炭焼入れ焼もどしは、930℃×3hr→860
℃×20分→油冷(100℃)の焼入れ、および170℃×1hr
の焼もどしにより行った。 次いで、油穴の周辺部分に、アークハイト:0.4〜0.7m
mA,カバレージ:100%以上,使用ショット:SAE#280(硬
さ:HRC52〜54)の条件でショットピーニングを施したの
ち研削加工を行った。このときの研削加工代は、上記油
穴近傍加工部分以外の部分で研削加工代cが約100μm
であり、上記油穴近傍加工部分で研削加工代bが50μm
以下であり、これによって、第2図に示すような軸部材
(自動変速機用入力軸を模擬した試験用部材)1を得
た。 この軸部材1は、外径が22mm,中心穴1aの直径が7mm,
油穴1bの直径が2.5mm,油穴1bの開口部分のテーパ角度が
45゜,長さが200mmのものであり、両端にスプライン加
工部1d,1eを有するものである。 また、比較のため、油穴1bの部分にあらかじめ油穴近
傍加工を行わないほかは上記実施例と全く同じ工程と
し、研削加工の際には油穴1bの部分およびそれ以外の部
分の研削加工代dがともに約100μmとなる研削加工を
行って第2図に示した形状の軸部材1を得た。 このようにして得た各軸部材1の油穴1bの近傍におけ
る表面の残留応力値を調べたところ、第1表に示すとお
りであった。 第1表に示すように、本発明実施例では、油穴1bの近
傍における研削加工代bが50μm以下となるようにして
いるため、圧縮残留応力値が高いものとなっていたのに
対して、比較例の場合には研削加工代dが約100μmと
なってショットピーニングによる残留応力増大部分が除
去されてしまっているため、圧縮残留応力値は低いもの
となっていた。 さらに、両軸部材1のねじり疲労強度を調べたとこ
ろ、第3図に示す結果であった。 第3図に示すように、本発明実施例では、比較例に比
べてねじり疲労強度がより高いものとなっており、ショ
ットピーニングによる疲労強度の向上作用が十分に活か
されていることが認められた。
【発明の効果】 この発明に係わる軸部材の油穴強化方法では、径方向
の油穴を形成した軸素材に対して表面硬化処理を施した
のち、ショットピーニングを行い、その後研削加工を加
えて径方向の油穴を有する軸部材を得るに際し、前記軸
素材に対して後の研削加工代を考慮した外径の外周旋削
を行った後、前記油穴の近傍部分を研削加工代aが50〜
150μmとなる研削加工を行って油穴近傍加工部分を形
成し、次いで軸素材に表面硬化処理を施したのち、ショ
ットピーニングを行い、さらに前記油穴近傍加工部分の
研削加工代bが50μm以下で且つ前記油穴近傍加工部分
以外の部分の研削加工代cが100〜150μmである同一外
径の研削加工を行い、前記研削加工代a,bおよびcが、
c=a+b,a≦cの関係を満足する研削加工を行うよう
にしているので、得られた軸部材の強度上問題となる油
穴およびその近傍部分はショットピーニングによる圧縮
残留応力の増大が確保されて疲労強度の向上作用を十分
に得ることができるようになると共に、上記油穴および
その近傍部分以外の部分は研削加工による寸法精度およ
び表面粗さが十分良好に確保されたものになり、研削加
工による寸法精度および表面粗さを十分に確保しつつ疲
労強度の向上を実現することができるようになるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(c)はこの発明に係わる軸部材の油穴
強化方法の実施態様を工程順に示す各々断面説明図、第
2図(a)(b)はこの発明の実施例において製作した
試験用軸部材の全体形状および油穴部分の形状を示す各
々断面説明図、第3図はねじり疲労試験結果を例示する
グラフ、第4図(a)(b)は自動変速機用入力軸の全
体形状および油穴部分の形状を示す各々断面説明図、第
5図は浸炭焼入れ部材およびさらにショットピーニング
を行った部材の残留応力分布を例示するグラフである。 11:軸素材、11a:軸方向の中心穴、11b:径方向の油穴、1
1c:油穴近傍加工部分、12:軸部材、a:油穴近傍部分の研
削加工代、b:油穴近傍部分のショットピーニング後の研
削加工代、c:油穴近傍部分以外の部分の研削加工代、d:
従来の研削加工代。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 7/06 B24C 1/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】径方向の油穴を形成した軸素材に対して表
    面硬化処理を施したのち、ショットピーニングを行い、
    その後研削加工を加えて径方向の油穴を有する軸部材を
    得るに際し、前記軸素材に対して後の研削加工代を考慮
    した外径の外周旋削を行った後、前記油穴の近傍部分を
    研削加工代aが50〜150μmとなる研削加工を行って油
    穴近傍加工部分を形成し、次いで軸素材に表面硬化処理
    を施したのち、ショットピーニングを行い、さらに前記
    油穴近傍加工部分の研削加工代bが50μm以下で且つ前
    記油穴近傍加工部分以外の部分の研削加工代cが100〜1
    50μmである同一外径の研削加工を行い、前記研削加工
    代a,bおよびcが、c=a+b,a≦cの関係を満足する研
    削加工を行うことを特徴とする軸部材の油穴強化方法。
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