JP3035753B2 - 含硫化合物の脱硫方法 - Google Patents

含硫化合物の脱硫方法

Info

Publication number
JP3035753B2
JP3035753B2 JP4040456A JP4045692A JP3035753B2 JP 3035753 B2 JP3035753 B2 JP 3035753B2 JP 4040456 A JP4040456 A JP 4040456A JP 4045692 A JP4045692 A JP 4045692A JP 3035753 B2 JP3035753 B2 JP 3035753B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen storage
sulfur
hydrogen
storage alloy
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4040456A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05213776A (ja
Inventor
稔 守田
功博 川崎
寛昭 小西
真美 川成
俊一 堂迫
栄記 出家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP4040456A priority Critical patent/JP3035753B2/ja
Publication of JPH05213776A publication Critical patent/JPH05213776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3035753B2 publication Critical patent/JP3035753B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水素貯蔵合金を用いて、
分子内に硫黄原子を含む含硫化合物を脱硫する方法に関
する。本発明の方法は、食品、医薬、農薬等の分野にお
いて利用される化成品の合成に際して有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、分子内に硫黄原子を含む含硫化合
物を還元的に脱硫する方法については数多く知られてお
り、特に、ラネーニッケルを用いる方法は一般的であ
る。脱硫反応は、硫黄を含む天然物の構造解析に際して
重要な手段となっている。例えばこの還元によって、ビ
オチンはデスチオビオチンとなり、ベンジルペニシリン
酸ナトリウムはデスチオベンジルペニシリンとフェニル
アセチルL−アラニルD−バリンとなる。そして、いず
れの場合もこの脱硫反応がその構造決定の手がかりとな
っている。このように、還元触媒を用いた還元反応は大
変重要である。しかし、ラネーニッケルは活性が低く比
較的厳しい条件を必要とし、また、活性の高いパラジウ
ム、白金は低温・低圧条件下で反応を行うことができる
が、価格が高く、工業規模で使用するには必ずしも適当
ではなかった。
【0003】近年開発されたその反応が注目されている
水素貯蔵合金は、現在、自動車、ヒートポンプ及び室内
の冷暖房システム等の分野で利用されているが、水素貯
蔵合金には例えば LaNi5、MgNi、TiFeなど多くの種類が
あって、合金の水素貯蔵量、排出圧力及び排出温度など
の機能は、その構成金属によって大きく異なるため、そ
の利用に当たっては合金の選択が重要となる。
【0004】ところで、水素貯蔵合金による水素化還元
反応の例としては、オレフィンの水素化還元、一酸化炭
素の水素化及びアンモニアの合成が「水素貯蔵合金デー
タブック」(与野書房1987年発行)において、さらに、
オレイン酸メチルの常圧水素化分解によるC18アルコー
ル生成反応については日本化学会(第54回春季年会1987
年開催)において報告されている。また、油脂の水素添
加(特開昭63-268799号)、糖アルコールの製造(特願
平2-219100号)、ジスルフィド結合の還元(特願平2-27
7808号)、脱保護法(特願平2-277809号) などについて
も報告されている。
【0005】しかし、水素貯蔵合金を用いて、分子内に
硫黄原子を含む含硫化合物の脱硫を行った例についての
報告は見られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分子内に硫
黄原子を含む含硫化合物の脱硫を行うに当たり、反応性
の高い水素貯蔵合金を利用して、従来の触媒を用いる必
要がなく、高収率で安全かつ安価に、接触水素化によっ
て脱硫反応を行う方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子内に硫黄
原子を含む含硫化合物を脱硫する際に、M(希土類元素
もしくはCa元素を表す)及びNiを必須元素とした六方晶
のCaCu5 型の結晶構造を有する化合物を主相とする水素
貯蔵合金を用い、該合金から放出される水素で接触水素
化を行い脱硫することを特徴とする。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて用いられる水素貯蔵合金は、M(希土類元素もし
くはCa元素を表す)及びNiを必須元素とした六方晶のCa
Cu5 型の結晶構造を有する化合物を主相とする。また、
水素貯蔵合金内に含まれるCaCu5 型の結晶相は、50重量
%以上含まれ、残部は主相以外の金属間化合物、不純
物、添加元素などが第2相もしくは混合相として存在す
る。これらの水素貯蔵合金は、使用する合金の種類と反
応を行う温度条件を適切に設定することにより、20kg/c
m2未満の水素ガス圧力の条件で、高率でかつ安全に接触
水素化を行い脱硫することが可能である。
【0009】この水素貯蔵合金を微粉化した後、0℃も
しくはそれ以下の温度で水素雰囲気下、一定時間保持す
ることによって水素を合金に吸蔵させる。本発明におい
て使用できる分子内に硫黄原子を含む含硫化合物として
は、C−S結合を含むものなら何でもよく、例として、
チオール、スルフィド、チオアルデヒド、チオアセター
ル、チオケトン、チオカルボン酸、チオ炭酸類等が挙げ
られる。
【0010】本発明においては、反応液とこの予め水素
を吸蔵させた水素貯蔵合金を反応槽に入れ、脱気後、攪
拌しながら、反応液を適切な温度条件に保持して反応さ
せるか、ジャケット式によって水素貯蔵合金を適切な温
度条件に保持し得るようにした棚段式カラムに水素貯蔵
合金を封入し、適切な温度条件に保持された反応液を循
環させることにより、含硫化合物の脱硫を行う。
【0011】反応後、水素ガス及び反応液を回収し、水
素貯蔵合金を冷却する。この水素貯蔵合金は、水素を再
循環することにより、次回の還元反応に繰り返し使用す
ることが可能である。なお、本発明は、水素貯蔵合金の
特性上、水素ガス圧力が20kg/cm2未満の条件で十分に含
硫化合物の脱硫を行うことが可能であり、製造装置の保
守安全上、有利である。また、水素貯蔵合金は、耐食
性、熱伝導性などの向上を意図して表面改質されたメッ
キ粉末、表面処理粉末、銅やシリコンなどによるカプセ
ル化合金なども本発明に使用可能である。
【0012】
【実施例】次に実施例を示して本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金CaNi5 を入れておい
た。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5
重量%濃度のフェニルメタンチオールのクロロホルム溶
液400ml を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反
応温度を40℃に調整した。このときの容器内の圧力は7.
2kg/cm2 であった。12時間後、GC−MSによって反応
液を分析したところ、トルエンが生成していることを確
認した。なお、さらに高速液体クロマトグラフィーによ
りトルエンであることが示された。このとき、収率は72
%であった。
【0013】実施例2 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi5 を入れておい
た。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5
重量%濃度の硫化ジ−1−ナフチルのヘキサン溶液500m
l を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反応温度
を70℃に調整した。このときの容器内の圧力は8.5kg/cm
2 であった。18時間後、GC−MSによって反応液を分
析したところ、ナフタリンが生成していることを確認し
た。さらに、液体クロマトグラフィーにより分離し、結
晶化を行い、NMR、IRによる分析を行ったところ、
ナフタリンであることが示された。このとき、収率は62
%であった。
【0014】実施例3 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi4.0Al1.0を入れ
ておいた。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気
し、5重量%濃度のシクロヘキサンチオンのヘキサン溶
液500ml を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反
応温度を40℃に調整した。このときの容器内の圧力は8.
2kg/cm2 であった。24時間後、GC−MSによって反応
液を分析したところ、シクロヘキサンが生成しているこ
とを確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる収
率は51%であった。
【0015】実施例4 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた70gの水素貯蔵合金CaNi5 を入れておい
た。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、10
重量%濃度のスルホン酸エチルエステルのジオキサン溶
液400ml を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反
応温度を40℃に調整した。このときの容器内の圧力は7.
5kg/cm2 であった。8時間後、GC−MSによって反応
液を分析したところ、エタノールが生成していることを
確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる収率は
70%であった。
【0016】実施例5 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に予め水素を
吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi5 を入れておいた。
そして40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5重量%
濃度のヘキサンチオ酸のジオキサン溶液500ml を容器内
に注入した。その後、攪拌しながら反応温度を40℃に調
整した。このときの容器内の圧力は5.5kg/cm2 であっ
た。7時間後、GC−MSによって反応液を分析したと
ころ、ヘキサノールが生成していることを確認した。な
お、液体クロマトグラフィーによる収率は61%であっ
た。
【0017】実施例6 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi5 を入れておい
た。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5
重量%濃度のチオ炭酸水素S−ヘキシルのジオキサン溶
液400ml を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反
応温度を60℃に調整した。このときの容器内の圧力は6.
2kg/cm2 であった。8時間後、GC−MSによって反応
液を分析したところ、ヘキサンが生成していることを確
認した。なお、液体クロマトグラフィーによる収率は77
%であった。
【0018】実施例7 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi5 を入れておい
た。そして、40℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5
重量%濃度の3−チアナフテニル酢酸のジオキサン溶液
200ml を容器内に注入した。その後、攪拌しながら反応
温度を60℃に調整した。このときの容器内の圧力は5.9k
g/cm2 であった。12時間後、GC−MSによって反応液
を分析したところ、3−フェニル酪酸が生成しているこ
とを確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる収
率は45%であった。
【0019】実施例8 容量1リットルのデッドエンド式反応容器に、予め水素
を吸蔵させた50gの水素貯蔵合金LaNi5 を入れておい
た。そして、50℃、真空度750mmHg で10分間脱気し、5
重量%濃度の1,2,3,4−テトラ−O−アセチル−
6−デオキシ−6−S−チオアセチル−グルコピラノー
スのジオキサン溶液500ml を容器内に注入した。その
後、攪拌しながら反応温度を30℃に調整した。このとき
の容器内の圧力は5.9kg/cm2 であった。24時間後、液体
クロマトグラフィーにより分離し、NMRを用いて生成
物を分析したところ、1,2,3,4−テトラ−O−ア
セチル−6−デオキシ−グルコピラノースが生成してい
ることを確認した。このとき、収率は90%であった。さ
らに、IR、TLCを用いて分析したところ、上記の構
造であることが示された。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により水素貯
蔵合金を用いて含硫化合物の脱硫を行うと、従来のニッ
ケル等の触媒を必要とせずに、水素ガス圧力20kg/cm2
満の安全性の高い条件で効率良く含硫化合物の脱硫を行
うことが可能であり、かつ繰り返して反応に供すること
が可能である。また、水素貯蔵合金は工業用の水素貯蔵
合金装置に比べて大量の水素ガスを貯蔵でき、しかも上
述のように低圧で作業できる。さらに、先に述べたよう
な棚段式カラムを使用する場合には、反応液と水素貯蔵
合金の分離に対する負荷を大幅に軽減できるという操作
上の利点もある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂迫 俊一 埼玉県浦和市北浦和5−15−39−616 (72)発明者 出家 栄記 埼玉県狭山市入間川71−6−6−802 (56)参考文献 特開 平2−77496(JP,A) 特開 昭61−36243(JP,A) 特開 昭56−113723(JP,A) 特開 昭49−62451(JP,A) 特開 平4−154731(JP,A) 特開 平4−154730(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07B 35/06 C07B 35/02 C07B 63/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に硫黄原子を含む含硫化合物を脱
    硫する際に、M(希土類元素もしくはCa元素を表す)お
    よびNiを必須元素とした六方晶のCaCu5 型の結晶構造を
    有する化合物を主相とする水素貯蔵合金を用い、該合金
    から放出される水素で接触水素化して脱硫することを特
    徴とする含硫化合物の脱硫方法。
JP4040456A 1992-01-31 1992-01-31 含硫化合物の脱硫方法 Expired - Lifetime JP3035753B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4040456A JP3035753B2 (ja) 1992-01-31 1992-01-31 含硫化合物の脱硫方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4040456A JP3035753B2 (ja) 1992-01-31 1992-01-31 含硫化合物の脱硫方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05213776A JPH05213776A (ja) 1993-08-24
JP3035753B2 true JP3035753B2 (ja) 2000-04-24

Family

ID=12581148

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4040456A Expired - Lifetime JP3035753B2 (ja) 1992-01-31 1992-01-31 含硫化合物の脱硫方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3035753B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05213776A (ja) 1993-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4368143A (en) Composition for the storage of hydrogen and method of making the composition
US4161402A (en) Nickel-mischmetal-calcium alloys for hydrogen storage
CA2588807C (en) Magnesium alloys for hydrogen storage
US20220219144A1 (en) Room temperature liquid metal catalysts and methods of use
CA1088913A (en) Method for storing hydrogen in nickel-calcium
JP3035753B2 (ja) 含硫化合物の脱硫方法
CN101190412B (zh) 一种用于合成气制备烃类的铁催化剂及其制备方法
CN1164553C (zh) 一种醇类脱氢的工艺方法
US3940912A (en) Method for preparation of deuterium by isotope separation
EP0243816B1 (en) Intermetallic compounds, hydrides thereof and process for preparing same
JP3023809B2 (ja) 環状有機化合物の水素化還元方法
JP2932330B2 (ja) 含窒素化合物の水素化還元方法
JPH0672923A (ja) カルボニル化合物の水素化還元方法
JP3194051B2 (ja) 水酸基の脱水素化方法
CA1098887A (en) Nickel-mischmetal-calcium alloys for hydrogen storage
SU1134538A1 (ru) Состав дл аккумулировани водорода
JPS63256136A (ja) メタノ−ル改質用触媒
JP2946440B2 (ja) 還元的アルキル化・還元的アミノ化法
Imamoto et al. Reduction of organic compounds with rare earth intermetallic compounds containing absorbed hydrogen
JPH0277496A (ja) 食用油脂に水素添加する方法
JP3018263B2 (ja) ハロゲン化合物の脱ハロゲン化方法
JPH02261897A (ja) 油脂類の低温水素添加方法
CA1177624A (en) Hydrogen storage
JP2946439B2 (ja) 水酸基を有する化合物の還元的アミノ化法
JPH04154730A (ja) ジスルフィド結合の還元方法