JP3034963U - エアバッグモジュール組体用の無フランジ膨張器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無フランジ膨張器をエアバッグモジュール組
体の反応キャニスタに固定、取付する取付アダプタを供
すること。 【解決手段】 エアバッグモジュール組体９０に用いて
反応キャニスタ９２の両端板９４、９８の間に膨張器１
０、５０を容易に取付け、固定し得ると共に、同膨張器
１０、５０を引張荷重にも耐え得るようにする取付アダ
プタ１４、５６を設け、この取付アダプタ１４、５６
は、膨張器１０、５０のハウジング２０、６０にスナッ
プ突起１６とスナップ受器１８とによるスナップ係合に
より係止しつつ嵌合し、また反応キャニスタ９２の後部
端板９８に係合するラジアル方向に突出したフランジ３
２、７２を備え、膨張器１０、５０の端部に設けたスタ
ッド２６、６６をナット３８、７８で締結し、かつ取付
アダプタ１４、５６と反応キャニスタ９０の後部端板９
８との間の締結を強固にした構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、エアバッグモジュール組体用の膨張器に関し、特に、本考案は取付 アダプタを有した無フランジ膨張器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

エアバッグモジュール組体の既存の反応キャニスタ内に無フランジ膨張器をし っかりと取付けるための取付アダプタを設けて実質的に引張荷重に対して耐え得 るようにすることは有効なことである。また、既存の反応キャニスタに種々サイ ズの異なる無フランジ膨張器を取付けるために適応させることも極めて助成効果 が大きい。

【０００３】 エアバッグモジュール組体は、膨張可能な自動車において搭乗者を自動車が衝 突したとき等にその身体を物理的に拘束して負傷から保護する拘束機構の一部で ある。同乗者側のエアバッグは、通常、エアバッグクッションを格納した反応キ ャニスタと、同キャニスタの２つのキャニスタ端板の間に取着された膨張器とを 具備している。エアバッグクッションは、膨張器の上方に配置された開口を有し ており、同膨張器は遠隔衝突センサで起動されるとエアバッグクッションを膨張 する膨張ガスを供給する。

【０００４】 膨張器は、エアバッグクッションの膨張過程に反応キャニスタに取り付けられ たキャニスタ端板を保持するのを助成する引張荷重に対して耐え得るように取付 けられなければならない。 衝突時における搭乗者の保護のためには初期衝突時から２０〜４０ミリ秒の間 にエアバッグクッションは膨張するように決められている。エアバッグクッショ ンに供給される膨張ガスは必然的にそのような短時間の間にエアバッグを膨張さ せるために高圧力となっており、この高圧ガスが反応キャニスタのキャニスタ端 板を外側に向けて押す力を造成する。そして、この力が異常に大きいことから膨 張器は、同器がエアバッグクッションの膨張時に反応キャニスタに取付けられた キャニスタ端板を保持する助けとなる引張荷重に耐えることができるように取着 されていなければならない。自動車に使用されている全ての要素と同様に膨張器 もきしみやガタが無いように取付けられる必要がある。

【０００５】 従来からの膨張器は、取付フランジを有し、この取付フランジが膨張器の一端 に溶接または一体化され、また他端側にはそこから延長したスタッドを有してい る。フランジは反応キャニスタの１つのキャニスタ端板に係止し、一方、スタッ ドが他方のキャニスタ端板を通して延長し該端板に固定されている。この種の膨 張器は大きな引張荷重を処理するきしみやガタのない取付けを達成するが、製造 が困難であり、コスト高になり、しかもサイズの異なるキャニスタには容易に適 合しないと言う欠点を有している。

【０００６】 米国特許第５，３４２，０８４号に記載、図示されている従来技術の取付アダ プタではフランジを有した膨張器を同膨張器より長い反応キャニスタ内で用いる ように取付け、適合させるようになっている。この従来の取付アダプタは良く機 能し、優秀な強度も備えているが、同取付アダプタは一部、膨張器と摩擦係合に 頼っており、従って、取付前の出荷中や取扱い中に膨張器が外れてしまう場合も ある。加えてこの取付アダプタは、フランジ端部を有した膨張器と使用するよう に設計されているから、無フランジ端を備えた膨張器を組み込む取付アダプタを 提供することは有益である。

【０００７】 米国特許第５，３５６，１７５号に図示、記載されている他の取付アダプタは 膨張器を取り付けるキャニスタより短い無フランジ膨張器と用いるように設計さ れている。この取付アダプタも良好に機能し、かつ優秀な強度を発揮するが、膨 張器を取付アダプタ内に固定するのに摩擦係合に頼っている。従って、このアダ プタは膨張器が大きな引張荷重に対して持ちこたえさせることができず、また、 装着前の出荷時や処理時に外れてしまう危惧がある。

【０００８】 従って、無フランジ膨張器の種々のサイズのものを既存のエアバッグモジュー ル組体の反応キャニスタ内に固定、取着して膨張器に引張荷重を掛け得るように することは有益である。また、きしみやガタつきの無い取付けを達成してエアバ ッグモジュール組体を反応キャニスタ内へ装着すまる前の同膨張の出荷時や処理 時に膨張器に取付アダプタが取付状態を維持するようになっていれば、極めて有 用である。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

依って、本考案の目的は、無フランジ膨張器をエアバッグモジュール組体の反 応キャニスタ内に固定、強固に取着する取付アダプタを提供することにある。 本考案の他の目的は、無フランジ膨張器に適合して反応キャニスタのキャニス タ端板の間の引張荷重に膨張器が耐え得るようにする取付アダプタを提供するこ とにある。

【００１０】 本考案の更に他の目的は、無フランジ膨張器用の取付アダプタであってエアバ ッグモジュール組体を反応キャニスタ内に装着する前の出荷時や処理時に膨張器 に固定されたままの状態を維持する取付アダプタを提供することにある。 更に本考案の他の目的は、無フランジ膨張器用の取付アダプタであって、エア バッグモジュール組体の反応キャニスタ内に同膨張器をきしみやガタの無い取付 状態に取付け得る取付アダプタを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上述した本願考案の目的を達成すべく、エアバッグモジュール組体用に用いる 膨張器を提供し、この膨張器は、前部キャニスタ端板と、後部キャニスタ端板に 形成された膨張器受承開口とを有する反応キャニスタを備えている。 この膨張器は、膨張器ハウジングと、取付アダプタとを具備している。そして 前者の膨張器ハウジングは、全体的に円筒状の側壁と、前部ハウジングと、後部 ハウジング端とを有し、上記前部ハウジングは前部キャニスタ端板に該前部ハウ ジングを取り付ける手段を有した構成を有している。

【００１２】 取付アダプタは、膨張器ハウジングの側壁に後部ハウジング端の近くで嵌合し 、かつ該ハウジングに膨張器ハウジング端の一方の端部のスナップ突起とアダプ タとの間および他方のハウジング端のスナップ受器とアダプタとの間でスナップ 係合によって同ハウジングに固定される。 取付アダプタは、そのサイズが後部キャニスタ端板の膨張器受承開口を介して 延設されるように定められ、半径方向（ラジアル方向）に延設され、上記キャニ スタ受承開口を包囲する後部キャニスタ端板に係合するような寸法、構成を備え ている。上記アダプタと前部ハウジング端を前部キャニスタ端板に取り付ける手 段との組み合わせにより、膨張器は反応キャニスタ内に固定され、膨張器は、上 記キャニスタ端板の間で引張荷重に耐え得るようになっている。

【００１３】 本考案の一つの構成によると、スナップ突起は膨張器ハウジングの側壁に配設 されており、スナップ受器は取付アダプタ上に配設されている。取付アダプタは 円筒状のカラーを備え、同カラーはその一端に延設されたフランジを有している 。このカラーの寸法と構成は後部キャニスタ端板の膨張器受承開口に嵌合し、同 カラーの他端から膨張器ハウジングの側壁に向けて延設されたせり上がり部を有 している。上記スナップ受器は、上記せり上がり部の近くでカラーに配設されて 、周方向に隔設され、内側に向けて広がる複数の窪みを形成している。全体的に 円筒形状のスリーブは上記せり上がり部から延び、膨張器ハウジングの側壁に密 接、係合する。

【００１４】 スナップ突起は連続的な隆起部から成り、同隆起部は、膨張器ハウジングの側 壁から後部ハウジング端の近くでラジアル方向に外向きに突出している。この隆 起部は、スナップ受器のせり上がり部と窪みとの間に係合してアダプタが膨張器 ハウジングに対して前後に動作するのを阻止している。 加えて、同アダプタの円筒スリーブは、スナップ突起上には乗り上がることが できないので、取付アダプタは膨張器ハウジングに対して引張荷重下でも後方へ は移動しない。

【００１５】 本考案の他の特徴として、スナップ受器は膨張器ハウジングの側壁に配設され ており、スナップ突起は、取付アダプタに配設されている。上記スナップ受器は 同膨張器ハウジングきの側壁に形成された周方向の溝を具備して成る。取付アダ プタは円筒状のスリーブを具備し、同スリーブは、該スリーブから延長したフラ ンジ部を有している。同スリーブは、膨張器ハウジングの円筒側壁の周囲に嵌着 し、後部キャニスタ端板の膨張器受容開口内に嵌合している。スナップ突起は、 取付アダプタのスリーブから内側に突出する唇部から成り、アダプタが膨張器ハ ウジングに対して前後に移動するのを防止するような寸法、構成を有している。

【００１６】 スリーブは１以上の広がり溝を具備し、また、代わりに唇部が複数の非連続部 分として設けられる。 総括すると、本考案は、取付アダプタを有した無フランジ膨張器を提供し、該 取付アダプタが膨張器をエアバッグモジュール組体の反応キャニスタ内部に固定 的に取着するものである。

【００１７】 また、取付アダプタは膨張器が反応キャニスタのキャニスタ端板の間で引張荷 重に耐えるようにし、かつ膨張器の軋みやガタの無い取付けを可能にするのであ る。加えて、上記取付アダプタは、反応キャニスタ内に膨張器を装着する前の出 荷、処理段階で膨張器に取り付いたままの状態を維持し、膨張器が種々異なる寸 法を有する場合でも既存の反応キャニスタ内に取付可能にするのである。

【００１８】

【考案の実施の形態】

本考案の上述の目的および他の目的、特徴、利点、種々の構成等に就いて、以 下に添付図面に示す実施形態の記載に基づいて更に詳細に説明する。 図１は、本考案に係る膨張器を収納したエアバッグモジュール組体の特に一部 を切り欠いた側面図、図２は、図１の膨張器の取付アダプタの断面図、図３は、 図２の取付アダプタの一部を切り欠いた斜視図、図４は、本考案に係る他の膨張 器を収納したエアバッグモジュール組体の一部を切り欠いた側面図、図５は、図 ４の膨張器の取付アダプタを断面して示す側面図、図６は、図５の取付アダプタ を一部切り欠いて示す斜視図である。なお、図中、同一参照番号は同一要素を示 したものである。

【００１９】 さて、図１〜図３を参照すると、本考案は一般的に参照番号１０で示す膨張器 に関するものである。同膨張器１０は、膨張器ハウジング１２、取付アダプタ１ ４を具備して成り、同取付アダプタ１４は、上記ハウジング１２のスナップ突起 １６と該取付アダプタ１４が有するスナップ受器１８との間のスナップ係合によ り、上記膨張器ハウジング１２に固定されている。

【００２０】 膨張器１０は参照番号９０で全体的に示したエアバッグモジュール組体に用い るように構成され、反応キャニスタ９２を備え、同キャニスタ９２は前部キャニ スタ端板９４に形成されたスタッド受承開口９６と、後部キャニスタ端板９８に 形成された膨張器受承開口１００とを有している。 エアバッグモジュール９０は、他の諸要素をも備え、然しながら、エアバッグ モジュールがどのようにして自動車内に取付けられ、かつエアバッグモジュール の種々異なる要素が如何に作動するかは周知であり、また、それらの要素は本考 案の要部を構成する特徴的な要素を成すものでないことから、詳述を省略し、本 考案に係る膨張器１０に関連する反応キャニスタ９２の部品に就いてのみ詳細に 説明する。

【００２１】 膨張器ハウジング１２は、全体的に円筒状の側壁２０を有し、同側壁は複数の ガス排出ポート２１、取付スタッド２６を備えた前部ハウジング端２２、後部ハ ウジング端２４を形成し、前部ハウジング端２２はそれから突出した取付スタッ ド２６を備え、また後部ハウジング端２４は、そこから突出したボス部２８を備 えている。ボス部２８は全体的には遠隔衝突センサからのコネクタを受承する受 器を有している。スナップ突起１６は連続的な隆起部１７を備え、該隆起部は上 記膨張器ハウジング１２の側壁２０から後部ハウジング端２４の近くでラジアル 方向外向きに突出している。ここで、上記隆起部１７は側壁２０と一体であり、 かつ同側壁は、通常より厚みが厚く形成されており、連続隆起部１７が側壁２０ を該隆起部１７の近傍で機械削りすることによって形成することもできる程に構 成されている。

【００２２】 取付アダプタ１４は膨張器ハウジング１２の側壁２０上に後部ハウジング端２ ４の近くで嵌合し、円筒状のカラー３０を有し、該カラー３０は後部キャニスタ 端板９８の膨張器受承開口１００を貫通して延び、同開口１００に係合するよう な寸法、構成を有している。カラー３０は、ラジアル方向に延びたフランジ３２ を有し、このフランジは上記の膨張器受承開口１００を囲んで後部キャニスタ端 板９８に係合している。せり上がり部３４（ランプ部）はカラー３０から膨張器 ハウジング１２の側壁２０に向けて延設されている。スナップ受器１８は、カラ ー３０におけるせり上がり部３４に近接して設けられ、１対の内向きに突出して 対向した窪み１９ａ、１９ｂを形成している。連続隆起部１７は、スナップ突起 １６を備え、せり上がり部３４と窪み１９ａ、１９ｂとの間に係合している。同 窪み１９ａ、１９ｂは、スナップ受器１８を具備して成り、取付アダプタ１４を 膨張器ハウジング１２に固定している。全体的に円筒状のスリーブ３６はせり上 がり部３４から延長して側壁２０に密着、係合している。

【００２３】 取付スタッド２６は、前部キャニスタ端板９４のスタッド受承開口９６に嵌合 する寸法、構成を有し、ナット３８等の適宜固定手段で固定されている。取付ス タッド２６は、キー溝付き基部４０を備え、またスタッド受承開口９６もキー溝 を備え、膨張器１０をキャニスタ９２内に正しく位置、向きを合わせるように構 成されている。取付スタッド２６とアダプタ１４とは両者の組み合わせにより、 膨張器１０を反応キャニスタ９２の内部に固定し、かつ膨張器１０がキャニスタ 両端板間で実質的な引張荷重に耐え得るようにしている。

【００２４】 組立時には、反応キャニスタ９２内に膨張器１０を装着する前に、取付アダプ タ１４を膨張器ハウジング１２に滑合させる。アダプタ１４は、膨張器ハウジン グ１２の側壁２０に前部ハウジング担持体２２から滑合され窪み部１９ａ、１９ ｂが連続隆起部１７に滑合して、同隆起部１７がせり上がり部３４と窪み部１９ ａ、１９ｂの間にスナップ係合するようにしている。窪み部１９ａ、１９ｂを膨 張器ハウジング１２のスナップ突起１６上に押す込むには相当量の力を要するが スナップ突起１６をせり上がり部３４と窪み部１９ａ、１９ｂの間から引き出す にも相当量の力を要する。この点はアダプタ１４が膨張器ハウジング１２に確実 に定着させるようにしている。スリーブ３６は、２つの切欠き３７ａ、３７ｂを 包含し、これらの切欠き３７ａ、３７ｂはスリーブ３６が僅かに広がるのを許容 し、従って窪み部１９ａ、１９ｂを隆起部１７に抵抗少なく滑合させて組立を容 易化している。隆起部１７は、せり上がり部３４と窪み部１９ａ、１９ｂとの間 に着座して取付アダプタ１４と膨張器ハウジング１２との間のスナップ係合また は干渉係合するようにしている。このようなスナップ係合はアダプタ１４が膨張 器ハウジング１２に関して前後に移動するのを阻止している。加えてスリーブ３ ６がスナップ突起１６より径が小さいことから膨張器ハウジング１２の円筒状側 壁２０を密着、抱持するようになっている。こうして、スリーブ３６は、スリー ブ３６を実質的に変形させなければ同スリーブをスナップ突起１６から引き抜く ことはできないようになっている。このことは、膨張器１０が両キャニスタ端板 ９４、９８の間で引張荷重に耐え得るようにし、加えて隆起部１７、せり上がり 部３４と窪み部１９ａ、１９ｂとの間の密着嵌合が、きしみやガタの無い取付を 構成する結果となっている。

【００２５】 膨張器１０は、膨張器ハウジング１２より長さの長い反応キャニスタと用いて も良く、その場合、膨張器ハウジング１２と該長い反応キャニスタ９２の後部キ ャニスタ端板９８との間に延設する寸法、構成を有したカラー３０をアダプタ１ ４に設けるようにすることによって用いることができるのである。このように、 アダプタ１４はより短い膨張器を既存の反応キャニスタと用いるようにすること も可能である。

【００２６】 ここで、図４から図６を参照すると、本考案による他の膨張器５０が図示され ている。この膨張器５０は、膨張器ハウジング５２を具備し、同膨張器ハウジン グ５２はスナップ受器５４とスナップ突起５８を有する取付アダプタ５６とを有 している。 膨張器ハウジング５２は、全体的に円筒状の側壁６０を有し、複数のガス排出 ポート６１、前部ハウジング端６２、後部ハウジング端６４を形成しており、前 部ハウジング端６２はそれから突出した取付スタッド６６を有し、また後部ハウ ジング端６４は、それから突出したボス部６８を有している。ボス部６８は通常 は遠隔衝突センサからの接続部を受容する受器を有している。スナップ受器５４ は、周方向の溝５５から成り、同溝５５は膨張器ハウジング５２の側壁上におけ る後部ハウジング端６４の近くに配設されている。

【００２７】 取付アダプタ５６は、円筒状スリーブ７０を具備し、膨張器ハウジング５２の 円筒状側壁６０の周囲に後部ハウジング端６４の近くで嵌合し、反応キャニスタ ９２の後部キャニスタ端板９８の膨張器受承開口１００の内部に嵌合するような 寸法、構成に形成されている。フランジ７２はスリーブ７０からラジアル方向に 延びた構造を有し、膨張器受承開口１００を包囲し、後部キャニスタ端板９８に 係合する寸法、構造に形成されている。アダプタの端部キャップ７４は円筒状ス リーブ７０から内側に突出して後部ハウジング端６４を被覆するように形成され ており、接近開口７６を有して同開口を介してボス６８を延長するように構成さ れている。スナップ突起５８は、取付アダプタ５６のスリーブ７０から内側に突 出し、膨張器ハウジング５２の周溝５４内に着座してアダプタ５６をハウジング ５２に固定する。

【００２８】 取付スタッド６６は、前部キャニスタ端板９４のスタッド受承開口９６内に嵌 合するような寸法、構成に形成されており、かつナット７８又は同等物により前 部キャニスタ端板９４に固定されている。上記取付スタッド６６は、キー溝付き 基部８０を有し、かつスタッド受承開口９６もキー溝を具備して膨張器５０をキ ャニスタ９２の内部に正しい向きに組み込まれるようにしている。取付スタッド ６６とアダプタ５６とは組み合わせにより膨張器５０を反応キャニスタ９２内部 に固定し、かつ膨張器５０が同反応キャニスタ９２のキャニスタ両端板の間で実 質的な引張荷重に耐え得るようにしている。

【００２９】 組立時、取付アダプタ５６は膨張器ハウジング５２の側壁６０上に後部ハウジ ング担持体６４から滑合される。このとき、唇部５９は、同側壁６０に対し、膨 張器ハウジング５２の側壁６０上の周溝５５の内部にスナップ嵌合するまで滑合 される。スリーブ７０は少なくとも１つの切欠き８２を備え、従ってスリーブ７ ０は、僅かに拡張してアダプタ５６の唇部５９が拡張するのを許容し、従ってよ り容易に膨張器５２の側壁６０上に滑合して溝５５内に着座できるようになって いる。切欠き８２は、アダプタ５６を膨張器ハウジング５２に組み立てるのを容 易に確実に達成できるようにしているのである。然しながら、一度、組み立てら れると、唇部５９を溝５５内から引き抜くことは困難になる。別に、唇部５８を 非連続部分として設け、拡張用切欠き８２を設ける必要性を解消または低減する ようにしても良い。

【００３０】 溝５５内に係合した唇部５９は、スナップ係合又は干渉係合し、これによりア ダプタ５６が膨張器ハウジング５２に関して前後移動しないようにしており、か つ膨張器５０がキャニスタ端板９４、９８の間で引張荷重に耐え得るようにして いる。加えて唇部５９と周溝５５との間の密着嵌合により軋みやガタのない取付 が得られるのである。

【００３１】 膨張器５０は膨張器ハウジング５２より長い反応キャニスタ９２と用いてもよ く、このとき、アダプタ５６には膨張器ハウジング５２と反応キャニスタ９２の 後部キャニスタ端板９８との間に延設される寸法と構成とを有するように形成さ れている。このようにして、アダプタは短い膨張器を既存の反応キャニスタに用 いることを可能にしている。

【００３２】

【考案の効果】

総括すると、本考案は、無フランジ膨張器１０、５０を提供し、この両膨張器 は取付アダプタ１４、５６を夫々具備し、これらのアダプタが膨張器をエアバッ グモジュール組体９０の反応キャニスタ９２内部に固定、取着し得るようにして いるのである。取付アダプタ１４、５６は、膨張器１０、５０がキャニスタ端板 ９４、９８の間で引張荷重に耐え得るようにし、かつ膨張器１０、５０の軋みや ガタの無い取付を可能にしているのである。

【００３３】 加えて、取付アダプタ１４、５６は、反応キャニスタ内に装着する前の膨張器 １０、５０の出荷時や処理時に、それぞれの膨張器１０、５０に取り付いたまま で定着し、かつ長さの短い膨張器を既存の反応キャニスタ内に取付けることを可 能にするのである。 その他の種々の条件や周囲状況が特定の作用条件や周囲状況に適合するように 変えられることは当業者なら自明のことであり、従って本考案は、説明の意図で 上述に選定した実施形態に限定されるものではないことは自明である。従って、 種々の変化、変更が請求の範囲に規定した考案の技術思想の範囲を逸脱すること なく実現可能であることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る膨張器を収納したエアバッグモジ
ュール組体の特に一部を切り欠いた側面図である。

【図２】図１の膨張器の取付アダプタの断面図である。

【図３】図２の取付アダプタの一部を切り欠いた斜視図
である。

【図４】本考案に係る他の膨張器を収納したエアバッグ
モジュール組体の一部を切り欠いた側面図である。

【図５】図４の膨張器の取付アダプタを断面して示す側
面図である。

【図６】図５の取付アダプタを一部切り欠いて示す斜視
図である。

【符号の説明】

１０…膨張器 １２…膨張器ハウジング １４…取付アダプタ １６…スナップ突起 １８…スナップ受器 １９ａ、１９ｂ…窪み部 ２０…側壁 ２２…前部ハウジング端 ２４…後部ハウジング端 ２６…取付スタッド ２８…ボス部 ３０…円筒状のカラー ３２…フランジ ３４…せり上がり部 ３６…円筒状のスリーブ ３７ａ、３７ｂ…切欠き ３８…ナット ９０…エアバッグモジュール ９２…反応キャニスタ ９４…前部キャニスタ端板 ９６…スタッド受承開口 ９８…後部キャニスタ端板 １００…膨張器受承開口

Claims (18)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアバッグモジュール組体に用いる膨張
   器が反応キャニスタを備え、該反応キャニスタは前部キ
   ャニスタ端板と後部キャニスタ端板と該後部キャニスタ
   端板に形成された膨張器受承開口とを有し、かつ該膨張
   器が、 全体的に円筒状の側壁、前部ハウジング端、後部ハウジ
   ング端、該前部ハウジング端を前記前部キャニスタ端板
   に取り付けるように該前部ハウジング端に設けた取付手
   段とを有した膨張器ハウジングと、 前記膨張器ハウジングの側壁に前記後部ハウジングの近
   くで嵌合されるように形成される取付アダプタであると
   共に前記膨張器ハウジングまたは該取付アダプタのいず
   れか一方の要素に設けたスナップ突起と該膨張器ハウジ
   ングまたは該取付アダプタの他方の要素に設けたスナッ
   プ受器との間のスナップ係合により該膨張器ハウジング
   に固定され、かつ前記後部キャニスタ端板の膨張器受承
   開口を介して延設され、また前記膨張器受承開口を包囲
   した前記後部キャニスタ端板に係合するような寸法、構
   成を有してラジアル方向に突出した環状のフランジを備
   えた取付アダプタと、 前記前部ハウジング端に設けた前記取付手段と前記取付
   アダプタとの組み合わせにより前記膨張器を前記反応キ
   ャニスタの内部に固定して該膨張器が前記反応キャニス
   タの前部、後部キャニスタ端板間で引張荷重に耐え得る
   ようにした構成と、を具備したことを特徴とするエアバ
   ッグモジュール組体用の膨張器。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の膨張器であって、前記
   スナップ突起は、前記膨張器ハウジングの前記側壁に配
   設され、前記スナップ受器は前記取付アダプタに配設さ
   れているエアバッグモジュール組体用の膨張器。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の膨張器であって、前記
   取付アダプタは、前記フランジが一端から突設された円
   筒状カラーを具備して成り、該円筒状カラーは、前記後
   部キャニスタ端板の前記膨張器受承開口を介して延設さ
   れる寸法、構成を有すると共に該円筒状カラーの他端か
   ら前記膨張器ハウジングの側壁に向けて延設されたせり
   上がり部、該せり上がり部の近くで該カラーに配設さ
   れ、周方向に隔設して内向きに突出する複数の窪み部を
   形成する前記スナップ受器および全体的に円筒状をして
   前記せり上がり部から延長し、かつ前記膨張器ハウジン
   グの前記側壁に密接、係合するスリーブを具備し、 前記スナップ突起は、前記後部ハウジング端の近くで前
   記膨張器ハウジングの前記側壁から外向き、ラジアル方
   向に突出し、かつ前記取付アダプタの前記窪み部と前記
   せり上がり部との間に係合した連続隆起部を具備して成
   るエアバッグモジュール組体用の膨張器。
4. 【請求項４】 請求項３に記載の膨張器であって、前記
   スリーブは少なくとも１つの切欠きを備えて前記アダプ
   タが前記膨張器ハウジングにより簡単に取付け得るよう
   にして成るエアバッグモジュール組体用の膨張器。
5. 【請求項５】 請求項４に記載の膨張器であって、前記
   膨張器ハウジングより長さが長い反応キャニスタと共に
   使用され、前記取付アダプタの前記スリーブは、前記膨
   張器ハウジングと前記後部キャニスタ端板との間に延設
   され、以て該取付アダプタが前記膨張器を該長さが長い
   反応キャニスタと使用可能にしたエアバッグモジュール
   組体用の膨張器。
6. 【請求項６】 請求項１に記載の膨張器であて、前記ス
   ナップ受器は前記膨張器ハウジングの側壁に配設され、
   かつ前記スナップ突起は前記取付アダプタに配設されて
   いるエアバッグモジュール組体用の膨張器。
7. 【請求項７】 請求項６に記載の膨張器であって、前記
   スナップ受器は、前記膨張器ハウジングの前記側壁に前
   記後部ハウジング端の近くに配設された周溝を具備し、 前記取付アダプタは、円筒状のスリーブと該スリーブか
   ら突出したフランジとを具備して成り、 前記スリーブは、前記膨張器ハウジングの円筒状の側壁
   の周囲に嵌合すると共に前記後部キャニスタ端板の前記
   膨張器受承開口を介して延設される寸法、構成に形成さ
   れ、 前記スナップ突起は、前記取付アダプタのスリーブから
   内向きに突出して前記周溝に係合する唇部を具備して成
   る、 ことを特徴とするエアバッグモジュール組体用の膨張
   器。
8. 【請求項８】 請求項７に記載の膨張器において、前記
   唇部は複数の分離部から成るエアバッグモジュール組体
   用の膨張器。
9. 【請求項９】 請求項７に記載の膨張器において、前記
   スリーブは、少なくとも１つの切欠きを具有し、該切欠
   きが前記取付アダプタを前記膨張器ハウジングにより容
   易に取着され得るようにするエアバッグモジュール組体
   用の膨張器。
10. 【請求項１０】 請求項７に記載の膨張器において、前
    記取付アダプタは更にアダプタ端部キャップを具備し、
    該アダプタ端部キャップは、前記円筒状のスリーブから
    内向きに延設されて前記後部ハウジング端を被覆するよ
    うに形成されているエアバッグモジュール組体用の膨張
    器。
11. 【請求項１１】 請求項１０に記載の膨張器において、
    前記唇部は複数の分離部から成るエアバッグモジュール
    組体用の膨張器。
12. 【請求項１２】 請求項１０に記載の膨張器において、
    前記スリーブは、少なくとも１つの切欠きを具有し、該
    切欠きが前記取付アダプタを前記膨張器ハウジングによ
    り容易に取着され得るようにするエアバッグモジュール
    組体用の膨張器。
13. 【請求項１３】 請求項１０に記載の膨張器において、
    前記アダプタ端部キャップは、中央に接近用の開口を有
    し、前記膨張器ハウジングが更に前記後部ハウジング端
    から前記接近開口を介して後方に延びるボスを具備して
    いるエアバッグモジュール組体用の膨張器。
14. 【請求項１４】 請求項７に記載の膨張器において、前
    記膨張器ハウジングより長さが長い反応キャップと共に
    用いる請求項７に記載の膨張器において、前記取付アダ
    プタのスリーブは、該膨張器ハウジングと前記後部キャ
    ップ端板との間に延設されるような寸法と構成に形成さ
    れ、以て前記取付アダプタが、前記膨張器を該長さの長
    い反応キャップと使用できるようにして成るエアバッグ
    モジュール組体用の膨張器。
15. 【請求項１５】 エアバッグモジュール組体に用いられ
    て反応キャニスタを具備し、該反応キャニスタが前部キ
    ャニスタ端板に設けたスタッド受承開口と後部キャニス
    タ端板に設けた膨張器受承開口とを有して成る膨張器で
    あって、 複数のガス排出ポートを形成する、全体的に円筒状をし
    た側壁と、取付スタッドが突出され、前記前部キャニス
    タ端板の前記スタッド受承開口内に嵌合して該前部キャ
    ニスタ端板に固定されるような寸法、構成に形成された
    前部ハウジング端と、ボスが延設された後部ハウジング
    端と、前記膨張器ハウジングの前記側壁における前記後
    部ハウジング端の近くでラジアル方向外向きに突出した
    連続隆起部を形成するスナップ突起とを具備した膨張器
    ハウジングと、 前記膨張器ハウジングの側壁上に前記後部ハウジング端
    の近くで嵌合され、かつ円筒状のカラーと該円筒状のカ
    ラーの一端からラジアル方向に突出した環状のフランジ
    とを有した取付アダプタと、 前記カラーは、前記後部キャニスタ端板の膨張器受承開
    口を介して延設される寸法、構成を具備し、かつ、前記
    膨張器受承開口を包囲する前記後部キャニスタ端板に係
    合するような寸法、構成を有する前記フランジを備え、 該カラーは、その他端から前記膨張器ハウジングの前記
    側壁に向けて突出したせり上がり部と、該カラーに前記
    せり上がり部の近くに配設され、内向きに突出した１対
    の対向窪み部を形成するスナップ受器と、全体的に円筒
    状をしたスリーブであって、前記せり上がり部から延設
    されて前記膨張器ハウジングの側壁に係合するスリーブ
    とを具備し、前記スナップ突起の連続隆起部は、前記せ
    り上がり部と前記スナップ受器の窪みとの間に係合され
    て前記取付アダプタを前記膨張器ハウジングに固定し、
    前記スリーブは少なくとも１つの切欠きを具備して前記
    窪みが前記連続隆起部上へより容易に滑合して前記取付
    アダプタを前記膨張器ハウジングに固定せしめ得るよう
    に構成され、 以て前記取付スタッド、前記取付アダプタは、組み合わ
    せにより、前記膨張器を前記反応キャニスタ内に固定
    し、該膨張器を前記前部、後部キャニスタ端板の間で引
    張荷重に耐え得るようにすることを特徴とする膨張器。
16. 【請求項１６】 請求項１５に記載の膨張器であって、
    前記膨張器ハウジングより長さが長い反応キャニスタと
    共に使用され、前記取付アダプタの前記カラーは、前記
    膨張器ハウジングと前記後部キャニスタ端板との間に延
    設され、以て該取付アダプタが前記膨張器を該長さが長
    い反応キャニスタと使用可能にしたエアバッグモジュー
    ル組体用の膨張器。
17. 【請求項１７】 エアバッグモジュール組体に用いられ
    て反応キャニスタを具備し、該反応キャニスタが前部キ
    ャニスタ端板に設けたスタッド受承開口と後部キャニス
    タ端板に設けた膨張器受承開口とを有して成る膨張器で
    あって、 複数のガス排出ポートを形成する、全体的に円筒状をし
    た側壁と、取付スタッドが突出され、前記前部キャニス
    タ端板の前記スタッド受承開口内に嵌合して該前部キャ
    ニスタ端板に固定されるような寸法、構成に形成された
    前部ハウジング端と、ボスが突設された後部ハウジング
    端と、前記膨張器ハウジングの前記側壁周りの前記後部
    ハウジング端の近くに形成される周溝を形成するスナッ
    プ受器とを具備した膨張器ハウジングと、 前記膨張器ハウジングの側壁上に前記後部ハウジング端
    の近くで嵌合する円筒状のスリーブを有した取付アダプ
    タであって、該円筒状のスリーブは、前記膨張器ハウジ
    ングの円筒状の側壁の周りに嵌合され、かつ前記後部キ
    ャニスタ端板の膨張器受承開口を介して延設されるよう
    な寸法、構成を備え、 前記取付アダプタは更に、前記スリーブからラジアル方
    向に突出し、前記膨張器受承開口を包囲する前記後部キ
    ャニスタ端板に係合する寸法、構成を備えたフランジ
    と、前記円筒状のスリーブから内向きに突出して前記後
    部ハウジング端を被覆するアダプタ端部キャップとを具
    備し、 前記アダプタ端部キャップは中央に接近開口を有して該
    接近開口を介して前記ボスが延設され、 前記取付アダプタは、また、スナップ突起を有し、該ス
    ナップ突起は前記取付アダプタの前記スリーブから内向
    きに延設され、前記膨張器ハウジングの前記スナップ受
    器の周溝に係合して該取付アダプタを前記膨張器ハウジ
    ングに固定する唇部を具備し、 前記スリーブは少なくとも１つの切欠きを具備し、該取
    付アダプタの唇部が前記膨張器ハウジング上へより容易
    に滑合して前記周溝に係合し得るようにし、 以て前記取付スタッド、前記取付アダプタは組み合わせ
    により前記膨張器を前記反応キャップの内部に固定し、
    かつ前記膨張器を前記前部、後部キャップ端板の間で引
    張荷重に耐え得るようにしたことを特徴とするエアバッ
    グモジュール組体用の膨張器。
18. 【請求項１８】 前記膨張器ハウジングより長さが長い
    反応キャップと共に用いる請求項１７に記載の膨張器に
    おいて、前記取付アダプタのスリーブは、該膨張器ハウ
    ジングと前記後部キャップ端板との間に延設されるよう
    な寸法と構成に形成され、以て前記取付アダプタが、前
    記膨張器を該長さの長い反応キャップと使用できるよう
    にして成るエアバッグモジュール組体用の膨張器。