JP3033318B2 - 連続鋳造装置における潤滑剤の供給方法 - Google Patents
連続鋳造装置における潤滑剤の供給方法Info
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- JP3033318B2 JP3033318B2 JP4018827A JP1882792A JP3033318B2 JP 3033318 B2 JP3033318 B2 JP 3033318B2 JP 4018827 A JP4018827 A JP 4018827A JP 1882792 A JP1882792 A JP 1882792A JP 3033318 B2 JP3033318 B2 JP 3033318B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の連続鋳造に際
し、操業の簡素化、鋳造の高速化、及び鋳片の表面性状
の改善を実現するための連続鋳造装置における潤滑剤の
供給方法に関する。
し、操業の簡素化、鋳造の高速化、及び鋳片の表面性状
の改善を実現するための連続鋳造装置における潤滑剤の
供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造においてはパウダーと呼ばれる
粉末あるいは顆粒状の潤滑剤をメニスカスを含む溶融金
属上に投入し操業を行っている。パウダーの一部は溶融
して鋳型と鋳片との間に流入し、両者間の潤滑作用、熱
緩和の役割を果たしている。しかし、鋳造条件に見合っ
た流入量を得るには各々の条件に適した物性の潤滑剤を
用いることが必要となり、鋳込み初期と定常期で潤滑剤
を変える等の使い分けを行ったり、高速鋳造時には特殊
な潤滑剤を用いる等の工夫が行われている。
粉末あるいは顆粒状の潤滑剤をメニスカスを含む溶融金
属上に投入し操業を行っている。パウダーの一部は溶融
して鋳型と鋳片との間に流入し、両者間の潤滑作用、熱
緩和の役割を果たしている。しかし、鋳造条件に見合っ
た流入量を得るには各々の条件に適した物性の潤滑剤を
用いることが必要となり、鋳込み初期と定常期で潤滑剤
を変える等の使い分けを行ったり、高速鋳造時には特殊
な潤滑剤を用いる等の工夫が行われている。
【0003】従来、この流入量の制御方法に関して電磁
力を利用したいくつかの方法が提示されている。これら
は鋳片表面と鋳型内面との間に潤滑剤を供給するため、
メニスカス部を湾曲させる電磁力を溶融金属に付与する
ものである。この湾曲の原理を図8に示す。図8におい
て通電コイル3に交流電流Iが流れると鋳型の周囲には
交流磁界Hが発生する。またこの交流磁界Hにより鋳型
内の溶融金属には誘導電流iが生じる。この磁界Hと誘
導電流iとの相互作用により溶融金属には鋳型の中心方
向に向かうピンチ力Fが働く。このピンチ力Fにより溶
融金属は鋳型の中心方向に絞られメニスカス部は凸状に
湾曲するのである。
力を利用したいくつかの方法が提示されている。これら
は鋳片表面と鋳型内面との間に潤滑剤を供給するため、
メニスカス部を湾曲させる電磁力を溶融金属に付与する
ものである。この湾曲の原理を図8に示す。図8におい
て通電コイル3に交流電流Iが流れると鋳型の周囲には
交流磁界Hが発生する。またこの交流磁界Hにより鋳型
内の溶融金属には誘導電流iが生じる。この磁界Hと誘
導電流iとの相互作用により溶融金属には鋳型の中心方
向に向かうピンチ力Fが働く。このピンチ力Fにより溶
融金属は鋳型の中心方向に絞られメニスカス部は凸状に
湾曲するのである。
【0004】特開昭52− 32824号公報には図7に示す様
に通電コイル3を鋳型2の内部に鋳型内壁を包囲するよ
うに耐火物で絶縁して埋め込み、この通電コイル3に交
流電流を供給することによりメニスカス部を湾曲させ潤
滑剤の流入を促進する発明が開示されている。しかしこ
の方法では低周波の交流電流が鋳型内を通過するため、
磁場が減衰する。また矩形断面鋳型の長辺側では原理的
にこの減衰が大きく、長辺と短辺との均等な電磁力の維
持や制御が困難となる。これらの理由により、有効な電
磁効果が期待できず、潤滑剤が溶融金属に巻き込まれる
というような問題が発生する。
に通電コイル3を鋳型2の内部に鋳型内壁を包囲するよ
うに耐火物で絶縁して埋め込み、この通電コイル3に交
流電流を供給することによりメニスカス部を湾曲させ潤
滑剤の流入を促進する発明が開示されている。しかしこ
の方法では低周波の交流電流が鋳型内を通過するため、
磁場が減衰する。また矩形断面鋳型の長辺側では原理的
にこの減衰が大きく、長辺と短辺との均等な電磁力の維
持や制御が困難となる。これらの理由により、有効な電
磁効果が期待できず、潤滑剤が溶融金属に巻き込まれる
というような問題が発生する。
【0005】特開昭64− 83348号公報に示される鋳造方
法では、上記特開昭52− 32824号公報と同様な装置によ
りパルス状の電流を通電コイルに供給することによりメ
ニスカス部に振動を引き起こし、鋳型内面との間隙を周
期的に変化させることによってオシレーションを用いず
に潤滑剤をシェルと鋳型間に流れ込ませることができ
る。しかし、この方法では上記特開昭52− 32824号公報
の方法と同様に、鋳型による磁場の減衰が大きく十分な
電磁力を得ることは難しい。
法では、上記特開昭52− 32824号公報と同様な装置によ
りパルス状の電流を通電コイルに供給することによりメ
ニスカス部に振動を引き起こし、鋳型内面との間隙を周
期的に変化させることによってオシレーションを用いず
に潤滑剤をシェルと鋳型間に流れ込ませることができ
る。しかし、この方法では上記特開昭52− 32824号公報
の方法と同様に、鋳型による磁場の減衰が大きく十分な
電磁力を得ることは難しい。
【0006】また、特開平 2−274351号公報には上記と
同様な装置にパルス電流に代わり低周波電流を流す方法
が提示されているが、これにも上記の様な問題が残る。
同様な装置にパルス電流に代わり低周波電流を流す方法
が提示されているが、これにも上記の様な問題が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鋳型
内の溶融金属に効果的に電磁力を印加し、物性の異なる
る潤滑剤を使い分けるというような操作をすることなく
容易に鋳造条件に応じた潤滑剤の流入量を得、これによ
り潤滑剤の変更というわずらしい操作を無くし、良好な
表面性状を有する鋳片の製造を可能にする方法を提供す
ることにある。
内の溶融金属に効果的に電磁力を印加し、物性の異なる
る潤滑剤を使い分けるというような操作をすることなく
容易に鋳造条件に応じた潤滑剤の流入量を得、これによ
り潤滑剤の変更というわずらしい操作を無くし、良好な
表面性状を有する鋳片の製造を可能にする方法を提供す
ることにある。
【0008】また、有効な電磁効果を維持し、更に積極
的にメニスカス形状を制御して、オシレーションを実施
することなく、良好な表面性状を有する鋳片の製造を可
能にする方法を提供することにある。
的にメニスカス形状を制御して、オシレーションを実施
することなく、良好な表面性状を有する鋳片の製造を可
能にする方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続鋳造
鋳片の表面性状を抜本的に改善するための潤滑剤供給方
法において、鋳型内の溶融金属に対して有効な電磁力を
付与する方法として、スリット付鋳型とこの外周に設置
した上下方向に移動可能な通電コイルとの組合せによ
り、従来よりも更に積極的にメニスカス形状を制御し、
潤滑剤の効果的な流入を促進させる方法を見い出した。
鋳片の表面性状を抜本的に改善するための潤滑剤供給方
法において、鋳型内の溶融金属に対して有効な電磁力を
付与する方法として、スリット付鋳型とこの外周に設置
した上下方向に移動可能な通電コイルとの組合せによ
り、従来よりも更に積極的にメニスカス形状を制御し、
潤滑剤の効果的な流入を促進させる方法を見い出した。
【0010】すなわち、複数のスリットを有する内部水
冷構造の鋳型の周囲にこれを周回する高周波電流を通電
する上下方向に移動可能な通電コイルを備えた装置によ
り、鋳型内の溶融金属のメニスカス付近に電磁力を印加
し溶融金属の表面を凸状に湾曲させるとともに、コイル
への電流実効値、または/およびメニスカスと通電コイ
ルとの相対位置を調整することにより潤滑剤の流入量を
制御することを特徴とする方法である。
冷構造の鋳型の周囲にこれを周回する高周波電流を通電
する上下方向に移動可能な通電コイルを備えた装置によ
り、鋳型内の溶融金属のメニスカス付近に電磁力を印加
し溶融金属の表面を凸状に湾曲させるとともに、コイル
への電流実効値、または/およびメニスカスと通電コイ
ルとの相対位置を調整することにより潤滑剤の流入量を
制御することを特徴とする方法である。
【0011】また、前記コイルが互いに独立した複数の
コイルから構成され、更に、電流実効値を変調させた高
周波電流を各々のコイルに位相をずらして印加すること
により鋳型内の溶融金属のメニスカス付近を蛇行振動さ
せ、潤滑剤の流入を促進することを特徴とする連続鋳造
装置における潤滑剤の供給方法である。
コイルから構成され、更に、電流実効値を変調させた高
周波電流を各々のコイルに位相をずらして印加すること
により鋳型内の溶融金属のメニスカス付近を蛇行振動さ
せ、潤滑剤の流入を促進することを特徴とする連続鋳造
装置における潤滑剤の供給方法である。
【0012】本発明の方法では従来の装置と異なり、ス
リット付鋳型の外周に配した通電コイルをこの鋳型に沿
って上下方向に移動または停止させる制御機構、および
コイル電流の実効値を変化させる制御機構を同時に備え
る鋳造装置を用いる。
リット付鋳型の外周に配した通電コイルをこの鋳型に沿
って上下方向に移動または停止させる制御機構、および
コイル電流の実効値を変化させる制御機構を同時に備え
る鋳造装置を用いる。
【0013】
【作用】図1は、本発明方法を実施するための鋳型上部
の構造を示す一部破断斜視図である。図示するように鋳
造方向に複数本のスリット1を有する内部水冷構造の鋳
型2の周囲に通電コイル3が複数回巻かれており、鋳型
2内には浸漬ノズル4から溶融金属5が供給される。溶
融金属5上には粉末状または顆粒状の潤滑剤(パウダ
ー)6が投入され、この一部が溶融金属5の熱によって
溶融し、溶融パウダー浴9を形成する。
の構造を示す一部破断斜視図である。図示するように鋳
造方向に複数本のスリット1を有する内部水冷構造の鋳
型2の周囲に通電コイル3が複数回巻かれており、鋳型
2内には浸漬ノズル4から溶融金属5が供給される。溶
融金属5上には粉末状または顆粒状の潤滑剤(パウダ
ー)6が投入され、この一部が溶融金属5の熱によって
溶融し、溶融パウダー浴9を形成する。
【0014】図2は、鋳型2と凝固シェル7との間に潤
滑剤9の一部が流入した状態を示す断面図で、(a) が電
磁力を印加する場合、(b) が電磁力を印加しない従来法
の場合である。両方法ともに、溶融パウダー浴9の一部
は、鋳型2と凝固シェル7との間に流れ込み、凝固パウ
ダー10となる。従来の操業では鋳型にオシレーションと
呼ばれる微少振動を与えることにより潤滑剤の流入を促
進している。
滑剤9の一部が流入した状態を示す断面図で、(a) が電
磁力を印加する場合、(b) が電磁力を印加しない従来法
の場合である。両方法ともに、溶融パウダー浴9の一部
は、鋳型2と凝固シェル7との間に流れ込み、凝固パウ
ダー10となる。従来の操業では鋳型にオシレーションと
呼ばれる微少振動を与えることにより潤滑剤の流入を促
進している。
【0015】前述のように、電磁力を利用して潤滑剤の
流入を促進する方法もいくつか提案されているが、それ
らの方法においても不十分な電磁力や減衰した電磁力し
か印加できないために、未だ非常に小さい溶融金属と鋳
型との隙間しか形成させることができず、図2(b) に示
すようにメニスカス湾曲、鋳型2と凝固シェル7との間
が共に小さい。このため前述のような操業および品質の
両面において解決すべき問題が多く発生する。
流入を促進する方法もいくつか提案されているが、それ
らの方法においても不十分な電磁力や減衰した電磁力し
か印加できないために、未だ非常に小さい溶融金属と鋳
型との隙間しか形成させることができず、図2(b) に示
すようにメニスカス湾曲、鋳型2と凝固シェル7との間
が共に小さい。このため前述のような操業および品質の
両面において解決すべき問題が多く発生する。
【0016】図2(a) に示す本発明の方法の場合は、前
記のように通電コイル3に高周波電流を供給することに
よって電磁力を発生させ前述のようにメニスカスを湾曲
させる。その際、前記の理由により溶融金属表面と鋳型
との隙間が大きく、かつ深くなるので潤滑剤の流入を促
進し、凝固パウダー10の厚さを大きくすることができる
のである。このときの潤滑剤の流入量はメニスカス形状
に依存し、このメニスカス形状はコイルに与える交流電
流の実効値と、メニスカスに対する通電コイルの位置と
によって変化するため、これら一方あるいは両者を操作
することにより、この形状をコントロールし、ひいて
は、潤滑剤の流入量を制御することが可能となる。
記のように通電コイル3に高周波電流を供給することに
よって電磁力を発生させ前述のようにメニスカスを湾曲
させる。その際、前記の理由により溶融金属表面と鋳型
との隙間が大きく、かつ深くなるので潤滑剤の流入を促
進し、凝固パウダー10の厚さを大きくすることができる
のである。このときの潤滑剤の流入量はメニスカス形状
に依存し、このメニスカス形状はコイルに与える交流電
流の実効値と、メニスカスに対する通電コイルの位置と
によって変化するため、これら一方あるいは両者を操作
することにより、この形状をコントロールし、ひいて
は、潤滑剤の流入量を制御することが可能となる。
【0017】図3はコイル電流値によるメニスカスの形
状の変化を示す図で、8(a) の曲線は高電流値の、8
(b) の曲線は低電流値の場合をそれぞれ表している。一
般に電流値が高い程メニスカス部の湾曲も大きくなり、
潤滑剤の流入量も増大し、溶融金属の冷却速度がより遅
い緩冷却となって鋳肌が改善される。同時に発生するジ
ュール熱も増大するので潤滑剤の溶融滓化が進む。
状の変化を示す図で、8(a) の曲線は高電流値の、8
(b) の曲線は低電流値の場合をそれぞれ表している。一
般に電流値が高い程メニスカス部の湾曲も大きくなり、
潤滑剤の流入量も増大し、溶融金属の冷却速度がより遅
い緩冷却となって鋳肌が改善される。同時に発生するジ
ュール熱も増大するので潤滑剤の溶融滓化が進む。
【0018】先に説明したとおり、本発明方法の実施に
使用する装置は従来の装置と異なり、電流の実効値だけ
でなく通電コイルを鋳型の外に配しこれを上下方向にス
ライドさせる機構を取り付けるという構造上の特徴を持
っているため、コイルとメニスカスとの相対位置をも変
更することが可能である。したがって溶融金属の温度を
上げすぎること無くメニスカスの形状制御行うことがで
きる。また溶融金属の温度が上昇しすぎて、潤滑剤の過
剰な溶融滓化が起ることによる保温効果の減少を回避
し、適当な潤滑剤の滓化量にコントロールすることが可
能となる。
使用する装置は従来の装置と異なり、電流の実効値だけ
でなく通電コイルを鋳型の外に配しこれを上下方向にス
ライドさせる機構を取り付けるという構造上の特徴を持
っているため、コイルとメニスカスとの相対位置をも変
更することが可能である。したがって溶融金属の温度を
上げすぎること無くメニスカスの形状制御行うことがで
きる。また溶融金属の温度が上昇しすぎて、潤滑剤の過
剰な溶融滓化が起ることによる保温効果の減少を回避
し、適当な潤滑剤の滓化量にコントロールすることが可
能となる。
【0019】また、本発明方法では鋳型の鋳込み方向に
スリットが設けられているので、より有効な電磁力を溶
融金属に与えることができる。
スリットが設けられているので、より有効な電磁力を溶
融金属に与えることができる。
【0020】図4はコイルの位置によるメニスカス形状
の変化を示している。(a) のようにコイルの位置は高す
ぎても、また(c) のように低すぎても電磁力の効果が小
さくなってしまうため各鋳造条件に応じた適当な位置が
あり、種々の実験の結果から潤滑剤の流入量を増やすに
はコイルの中心が湯面上端よりやや下方にある(b) の状
態が望ましいことが明らかとなった。
の変化を示している。(a) のようにコイルの位置は高す
ぎても、また(c) のように低すぎても電磁力の効果が小
さくなってしまうため各鋳造条件に応じた適当な位置が
あり、種々の実験の結果から潤滑剤の流入量を増やすに
はコイルの中心が湯面上端よりやや下方にある(b) の状
態が望ましいことが明らかとなった。
【0021】つまりこれら2つのパラメータをバランス
させる事により、簡単な操作で適正な潤滑剤流入量を
得、良好な表面性状を有する鋳片の製造が可能となる。
させる事により、簡単な操作で適正な潤滑剤流入量を
得、良好な表面性状を有する鋳片の製造が可能となる。
【0022】図5(a) は、独立した3つのコイルA、
B、Cに、電流実効値 IA 、IB 、IC をそれぞれ流
す場合の本発明の方法に用いる装置の一例を示す。ただ
し、個々のコイルは、一回巻きのみに限定されるもので
はない。図6は、それぞれの電流の位相をずらす一例を
示す。横軸は時間であり、定常鋳込み時のTA 、TB 、
TC に対応する鋳型内メニスカス付近の状況が、図5
(a) 、(b) 、(c) に示されている。電流実効値は、1〜
4HZ 程度の範囲で変調して、各コイルに異なる位相の
高周波電流を通電すると、図5(a) 、(b) 、(c) に示す
ように、メニスカス付近の形状は、コイルA、B、Cの
うちコイルAの電流実効値が最大となるTAでは、メニ
スカスのコイルA付近の溶融金属が最も鋳型から離反
し、次にコイルBの電流実効値が最大となるTB ではコ
イルB付近の溶融金属が最も鋳型から離反し、さらにコ
イルCの電流実効値が最大となるTC ではコイルC付近
の溶融金属が最も鋳型から離反する。このように、電流
の位相のずれを繰り返すことによって、メニスカス部を
蛇行振動させることができる。このとき、コイルAを溶
融金属表面位に位置させると、安定した蛇行振動を得る
上で最も効果的である。また、最大電流実効値IMAX を
調整することにより、潤滑剤流入量も制御可能である。
B、Cに、電流実効値 IA 、IB 、IC をそれぞれ流
す場合の本発明の方法に用いる装置の一例を示す。ただ
し、個々のコイルは、一回巻きのみに限定されるもので
はない。図6は、それぞれの電流の位相をずらす一例を
示す。横軸は時間であり、定常鋳込み時のTA 、TB 、
TC に対応する鋳型内メニスカス付近の状況が、図5
(a) 、(b) 、(c) に示されている。電流実効値は、1〜
4HZ 程度の範囲で変調して、各コイルに異なる位相の
高周波電流を通電すると、図5(a) 、(b) 、(c) に示す
ように、メニスカス付近の形状は、コイルA、B、Cの
うちコイルAの電流実効値が最大となるTAでは、メニ
スカスのコイルA付近の溶融金属が最も鋳型から離反
し、次にコイルBの電流実効値が最大となるTB ではコ
イルB付近の溶融金属が最も鋳型から離反し、さらにコ
イルCの電流実効値が最大となるTC ではコイルC付近
の溶融金属が最も鋳型から離反する。このように、電流
の位相のずれを繰り返すことによって、メニスカス部を
蛇行振動させることができる。このとき、コイルAを溶
融金属表面位に位置させると、安定した蛇行振動を得る
上で最も効果的である。また、最大電流実効値IMAX を
調整することにより、潤滑剤流入量も制御可能である。
【0023】以上のように、メニスカス部付近を蛇行振
動させ潤滑剤の流入を制御・促進することが可能とな
る。従って、オシレーション装置なしで潤滑剤の流入を
促進することができ、オシレーションマークのない良好
な鋳片の製造が可能である。
動させ潤滑剤の流入を制御・促進することが可能とな
る。従って、オシレーション装置なしで潤滑剤の流入を
促進することができ、オシレーションマークのない良好
な鋳片の製造が可能である。
【0024】なお、本発明の方法によるこれらの効果は
溶融金属の種類を問わず得られることは言うまでもな
い。また、鋳型断面の形状についても同様である。
溶融金属の種類を問わず得られることは言うまでもな
い。また、鋳型断面の形状についても同様である。
【0025】
【実施例1】図1に示した装置を用いて、下記条件で溶
鋼から丸断面鋳片の連続鋳造を行った。
鋼から丸断面鋳片の連続鋳造を行った。
【0026】 鋳 型 :内直径 150mm、肉厚 30mm 、長さ 1000mm スリット :幅 0.2mm、長さ 150mm、32本 通電コイル:外径 30mm 、肉厚 2mm、巻き数 4、通電実
効値 20000A 周波数 20 KHZ 、 コイル移動なし 鋳造鋼種 :C= 0.2%、Mn= 0.4%、Si= 0.3%、P
=0.02%、S=0.02%の炭素鋼 鋳造速度 :2.5 m/min 鋳造温度 :1540℃ 鋳造には一般的な炭素鋼用の連続鋳造パウダーを投入
し、2.5m/minの速度で50秒間引き抜きを行いこのとき1
HZ 程度の鋳型振動を与えながら鋳造した。一方比較の
ため電磁力を作用させずに同様な条件での鋳造も行っ
た。その結果パウダー消費量は電磁力無印加の場合に対
し電磁力を与えると 2〜3.5 倍程度増大し、無印加時に
見られるオシレーションマーク、コールドシャットに起
因する表面欠陥は40%程度に減少した。
効値 20000A 周波数 20 KHZ 、 コイル移動なし 鋳造鋼種 :C= 0.2%、Mn= 0.4%、Si= 0.3%、P
=0.02%、S=0.02%の炭素鋼 鋳造速度 :2.5 m/min 鋳造温度 :1540℃ 鋳造には一般的な炭素鋼用の連続鋳造パウダーを投入
し、2.5m/minの速度で50秒間引き抜きを行いこのとき1
HZ 程度の鋳型振動を与えながら鋳造した。一方比較の
ため電磁力を作用させずに同様な条件での鋳造も行っ
た。その結果パウダー消費量は電磁力無印加の場合に対
し電磁力を与えると 2〜3.5 倍程度増大し、無印加時に
見られるオシレーションマーク、コールドシャットに起
因する表面欠陥は40%程度に減少した。
【0027】
【実施例2】実施例1と同じ装置を用い連続鋳造の立ち
上がり期において10秒間で鋳造速度を2.5m/minまで高
め、この間鋳造速度に比例して通電コイルに供給する高
周波電流実効値を0から 20000Aまで増加させた。その
他の鋳造条件は実施例1と同じである。鋳造中、潤滑剤
は同一種のものを使用したが何等欠陥のない鋳片が得ら
れた。つまり従来のように鋳造条件に応じて潤滑剤を変
えずとも本発明方法により鋳造速度に応じた適正量の潤
滑剤消費量が実現された。
上がり期において10秒間で鋳造速度を2.5m/minまで高
め、この間鋳造速度に比例して通電コイルに供給する高
周波電流実効値を0から 20000Aまで増加させた。その
他の鋳造条件は実施例1と同じである。鋳造中、潤滑剤
は同一種のものを使用したが何等欠陥のない鋳片が得ら
れた。つまり従来のように鋳造条件に応じて潤滑剤を変
えずとも本発明方法により鋳造速度に応じた適正量の潤
滑剤消費量が実現された。
【0028】
【実施例3】実施例1の装置を用い、コイルの電流値は
一定とし、コイルの位置を変化させ、その他の条件は実
施例2と同じ条件で鋳造を行った。つまり、鋳造開始時
に鋳型上端より 200mm下方に設置した通電コイルを随時
350mm下方まで下げ、先に説明した図4(b) に示すよう
に、溶鋼面とコイル中心との相対位置関係を鋳造速度に
応じて適正に維持するようにして、潤滑剤の流入量が最
大となる条件で鋳込みを実施した。この時電流実効値は
20000Aで一定である。定常状態に入った後は、なお電
流実効値を変えずに溶鋼面をコイル中心のレベルから5
〜7cm程度上に維持した状態で鋳込みを継続した。その
結果、実施例2と同様の良好な鋳片が得られた。
一定とし、コイルの位置を変化させ、その他の条件は実
施例2と同じ条件で鋳造を行った。つまり、鋳造開始時
に鋳型上端より 200mm下方に設置した通電コイルを随時
350mm下方まで下げ、先に説明した図4(b) に示すよう
に、溶鋼面とコイル中心との相対位置関係を鋳造速度に
応じて適正に維持するようにして、潤滑剤の流入量が最
大となる条件で鋳込みを実施した。この時電流実効値は
20000Aで一定である。定常状態に入った後は、なお電
流実効値を変えずに溶鋼面をコイル中心のレベルから5
〜7cm程度上に維持した状態で鋳込みを継続した。その
結果、実施例2と同様の良好な鋳片が得られた。
【0029】
【実施例4】実施例1と同様の鋳型の周囲に、互いに独
立した1回巻きのコイルを上下方向に3つ、最上端のコ
イルが溶鋼面付近に来るように固定して配し、すなわち
図5に示すような装置を用いて、これらのコイルに1H
Z の周期で実効電流値を変調した20KZ の高周波電流を
それぞれ1/6周期ずらして流し、オシレーションを与
えずに鋳造を行った。その他の鋳造条件は実施例1と同
じとした。この結果、パウダー消費量はオシレーション
のみで電磁力を印加しなかった場合に比較し約25%程度
の増加がみられ、オシレーションマーク、湯じわのない
良好な鋳片が得られた。また、変調周期を1HZ から順
次増加させて行くと、4HZ 程度まではパウダー消費量
は、比例的に増加し、オシレーションのみの鋳造時に対
し40%の増加がみられた。従って鋳片の表面も良好であ
ったが、これ以上変調周期を高めてもパウダー消費量の
増加はみられず、4HZ を超える変調周期の増加は効果
が認められなかった。
立した1回巻きのコイルを上下方向に3つ、最上端のコ
イルが溶鋼面付近に来るように固定して配し、すなわち
図5に示すような装置を用いて、これらのコイルに1H
Z の周期で実効電流値を変調した20KZ の高周波電流を
それぞれ1/6周期ずらして流し、オシレーションを与
えずに鋳造を行った。その他の鋳造条件は実施例1と同
じとした。この結果、パウダー消費量はオシレーション
のみで電磁力を印加しなかった場合に比較し約25%程度
の増加がみられ、オシレーションマーク、湯じわのない
良好な鋳片が得られた。また、変調周期を1HZ から順
次増加させて行くと、4HZ 程度まではパウダー消費量
は、比例的に増加し、オシレーションのみの鋳造時に対
し40%の増加がみられた。従って鋳片の表面も良好であ
ったが、これ以上変調周期を高めてもパウダー消費量の
増加はみられず、4HZ を超える変調周期の増加は効果
が認められなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により、通電コイルに流す
高周波電流の実効値、または/および通電コイルの位置
を調整することにより、鋳型と凝固シェル間の隙間を制
御し、鋳造条件に応じた潤滑剤の流入量を確保できる。
これにより連続鋳造の立ち上げ時等の非定常時にもパウ
ダーの変更といったわずらわしい操作をすることなく良
好な表面性状を持つ鋳片の製造が可能となる。
高周波電流の実効値、または/および通電コイルの位置
を調整することにより、鋳型と凝固シェル間の隙間を制
御し、鋳造条件に応じた潤滑剤の流入量を確保できる。
これにより連続鋳造の立ち上げ時等の非定常時にもパウ
ダーの変更といったわずらわしい操作をすることなく良
好な表面性状を持つ鋳片の製造が可能となる。
【0031】またコイルの電流値を変調させることによ
りオシレーションのための鋳型振動装置が必要ではなく
なるため、オシレーションマークの無い良好な鋳片が得
られる。
りオシレーションのための鋳型振動装置が必要ではなく
なるため、オシレーションマークの無い良好な鋳片が得
られる。
【図1】本発明の方法に使用する鋳造装置の一例を示す
一部破断斜視図である。
一部破断斜視図である。
【図2】(a) は本発明の潤滑剤流入促進時の鋳造挙動を
示す断面図、(b) は電磁力を印加しない鋳造挙動の断面
図である。
示す断面図、(b) は電磁力を印加しない鋳造挙動の断面
図である。
【図3】電流実効値の差によるメニスカス形状の差異を
表す縦断面図であり、8(a)は高電流値の場合の、8(b)は
低電流値の場合の、それぞれメニスカス形状を示す図で
ある。
表す縦断面図であり、8(a)は高電流値の場合の、8(b)は
低電流値の場合の、それぞれメニスカス形状を示す図で
ある。
【図4】通電コイルの位置によるメニスカス形状の差異
を示す縦断面図であり、(a) 、(b) 、(c) はコイル位置
が高い場合、中間の場合、低い場合を示す図である。
を示す縦断面図であり、(a) 、(b) 、(c) はコイル位置
が高い場合、中間の場合、低い場合を示す図である。
【図5】鋳型の周囲に配するコイルが、互いに独立した
場合の例を示す縦断面図であり、(a) 、(b) 、(c) は、
コイルが3つで、電流の位相を変えた場合の、その位相
に応じたメニスカス形状の差異を示す図である。
場合の例を示す縦断面図であり、(a) 、(b) 、(c) は、
コイルが3つで、電流の位相を変えた場合の、その位相
に応じたメニスカス形状の差異を示す図である。
【図6】図5の場合のそれぞれのコイルの電流実効値と
位相の差を示す図である。
位相の差を示す図である。
【図7】電磁作用を利用した従来の鋳造装置を示す縦断
面図である。
面図である。
【図8】本発明の原理を示す図である。
1:スリット 2:鋳 型 3:通電コイル 4:浸漬ノズル 5:溶融金属 6:潤滑剤(パ
ウダー) 7:凝固シェル 8:溶融金属表面 9:溶融パウダ
ー浴 10:凝固パウダー 11:耐火物
ウダー) 7:凝固シェル 8:溶融金属表面 9:溶融パウダ
ー浴 10:凝固パウダー 11:耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−83348(JP,A) 特開 平4−13445(JP,A) 特開 平4−13443(JP,A) 特開 平3−133542(JP,A) 特開 昭52−32824(JP,A) 特開 平2−274351(JP,A) 特開 平4−322842(JP,A) 特開 平4−237550(JP,A) 特開 平2−137653(JP,A) 特開 平4−138843(JP,A) 特開 平5−15949(JP,A) 実開 平3−51954(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/108 B22D 11/04 311 B22D 11/07 B22D 11/115
Claims (2)
- 【請求項1】複数のスリットを有する内部水冷構造の鋳
型の周囲にこれを周回する高周波電流を通電する上下方
向に移動可能な通電コイルを備えた装置により、鋳型内
の溶融金属のメニスカス付近に電磁力を印加し溶融金属
表面を凸状に湾曲させるとともに、コイルへの電流実効
値、または/およびメニスカスと通電コイルとの相対位
置を調整することにより潤滑剤の流入量の制御を行うこ
とを特徴とする連続鋳造装置における潤滑剤の供給方
法。 - 【請求項2】前記コイルが、互いに独立した複数のコイ
ルから構成され、更に、電流実効値を変調させた高周波
電流を各々のコイルに位相をずらして通電することによ
り電磁力を印加し、鋳型内の溶融金属のメニスカス付近
を蛇行振動させることを特徴とする請求項1の潤滑剤の
供給方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4018827A JP3033318B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 連続鋳造装置における潤滑剤の供給方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4018827A JP3033318B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 連続鋳造装置における潤滑剤の供給方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05212512A JPH05212512A (ja) | 1993-08-24 |
JP3033318B2 true JP3033318B2 (ja) | 2000-04-17 |
Family
ID=11982400
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4018827A Expired - Fee Related JP3033318B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 連続鋳造装置における潤滑剤の供給方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3033318B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IT1295164B1 (it) * | 1997-07-10 | 1999-04-30 | Danieli Off Mecc | Procedimento di agitazione elettromagnetica per cristallizzatore e relativo cristallizzatore |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0375397U (ja) * | 1989-11-25 | 1991-07-29 |
-
1992
- 1992-02-04 JP JP4018827A patent/JP3033318B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05212512A (ja) | 1993-08-24 |
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