JP3032688U - 制電性バンド製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 着用あるいは手に持つことによって、人体に
滞留する静電気を空気中に放電して、静電気によるショ
ックや障害を防止するリストバンドやキーホルダー等な
どのバンド製品を提供する。 解決手段】 導電性のステープルファイバーからなる糸
条２を表裏に露出するように編織した細幅ベルト地でも
ってバンド部１を構成し、バンド部１の端部に端末金具
を装着するとともに、導電性のステープルファイバーか
らなる糸条によって編組され所望長に切断した導電性組
紐３の一端部３ａを上記バンド部１の導電性糸条２に接
合させた状態で上記金具でもって挟持し、導電性細紐３
の他端部３ｂを切断状態のまま金具から外方に遊離させ
て人体に滞留する静電気をバンド部１の導電性糸条２を
介して導電性細紐３の開放端３ｃから空気中に放電され
るように構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、制電性バンド製品、具体的には、着用あるいは保持することによっ て、人体に滞留する静電気を常時放電させて静電気の帯電による各種の障害を防 止することができる制電性バンド製品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

カーペットやシーツあるいは椅子の表装材や衣服などに合成樹脂製品が多用さ れるにともない、人体には無意識のうちに多量に静電気が滞留し、この滞留静電 気が例えば指先から金属物体に放電される際には、しばしば電気ショックやスパ ークが発生して種々な障害が発生する。かかる静電気対策として、金属繊維や炭 素繊維などの導電性繊維を、カーペットやシーツあるいは椅子の表装材などに混 入してこれらの製品に制電性を付与して静電気の発生を抑制している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが従来の上記した静電気対策は、物品に導電性を付与して帯電を防止す ることを主目的としてなされているものであり、物品の製作コストの高騰を招く 。また日常の生活用品の多くの物品は静電気が発生しやすく、また帯電性を有し ている。そのため人体には知らず知らずのうちに多量の静電気が滞留し、上記し た静電気障害が多発しているのが実情である。

【０００４】 本考案は上記した静電気障害を解消することができる制電性バンド製品、詳し くはリストバンド（ブレスレット）、キーホルダー、ストラップなどの制電性バ ンド製品を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、繊細な多数の開放端を有した導電性物質が静電気の空気中への 放電能に優れていることに着目し、人体に滞留している静電気をバンド製品のバ ンド部を介して導電性細紐の繊細な多数の開放端から常時放電させるように構成 することによって上記課題を解決したものである。

【０００６】 即ち、本考案の制電性バント製品は、経糸の少なくとも一部に導電性ステープ ルファイバーからなる糸条が表裏に露出するように編み込みまたは織り込みされ た細幅ベルト地によってバンド部が構成され、バンド部の端部に端末金具が装着 され、導電性ステープルファイバーからなる糸条によって編組された導電性細紐 の一端部が上記バンド部の導電性の糸条に接合された状態で上記端末金具でもっ て挟持され、導電性細紐の他端部が切断状態のまま端末金具から外方に遊離して 人体に滞留する静電気を上記糸条を介して導電性細紐の開放端から空気中に放電 されるようになしていることを特徴としているものである。

【０００７】 本考案のバンド製品としては、バンド部が幅寸法が８〜１２ｍｍ程度のテープ 状の重厚な編み物（組紐）や織物によって構成され、端部に端末金具として締結 金具やアタッチメント金具等を装着して形成されるリストバンド、キーホルダー 、ストラップなどが挙げられる。そしてテープ状の細幅な編み物（組紐）や織物 によって構成されるバンド部には、少なくとも一部に、導電性のステープルファ イバーからなる糸条がその長さ方向に連続して、かつ表裏面に露出して配され、 使用時にはこの導電性の糸条が絶えず人体の一部と接触するようになっている。

【０００８】 一方、人体に滞留する静電気を上記糸条を介して空気中に放電するための導電 性細紐には、導電性ステープルファイバー糸を編組してなる外径が２〜３ｍｍ程 度の組紐が適用され、その端部が切断された状態のままその他端部が端末金具か ら外方に遊離している。それによって導電性細紐の端部には導電性ステープルフ ァイバーの繊細な多数の自由端が露出し、この繊細な多数の開放端から空気中に 絶えず静電気の放電が行われるようになっている。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下本考案の実施の形態を実施例に基づき図面を参照しながら説明すると、図 １〜図４において、１はバンド製品のバンド部であって、バンド部１は、図６に 示しているように、例えば中央の経糸２１に、繊度が１〜３デニール、平均繊維 長が６０〜８０ｍｍのアクリル繊維に、硫化銅を吸着させたグレー色の導電性ス テープルファイバーからなる紡績糸（１４〜２４番手）を双糸となした導電性の 糸条２を表裏に配し、その両側の経糸２２，２２に、繊度が１〜３デニール、平 均繊維長が６０〜８０ｍｍの黄金色に染色されたポリエステル繊維からなる紡績 糸（１４〜２４番手）の双糸を表裏に配して編組した幅７〜１０ｍｍ、厚さ０． ７〜１．２ｍｍの組紐製の細幅ベルト地２０を所望長さに切断して構成されてい る。

【００１０】 また図１〜図４における３は導電性細紐であって、この導電性細紐３は、例え ば繊度が１〜３デニール、平均繊維長が６０〜８０ｍｍのアクリル繊維に、硫化 銅を吸着させたグレー色の導電性ステープルファイバーからなる紡績糸（１４〜 ２４番手）単糸を用いて編組した外径が約２ｍｍの丸型組紐を所望長さに切断し て構成されている。

【００１１】 図１に基づき、本考案の実施例について更に詳細に説明する。中央経糸に導電 性の糸条２が配された上記導電性の細幅ベルト地２０を２５〜３０ｃｍの長さに 切断してバンド部１となし、必要に応じてその一端部を折り返してバンド部１の 挿通している「日」字型のスライド金具４に接合し、上記バンド部の左右の端部 に端末金具として相互にジョイント可能な接合金具５，６を装着するとともに、 その一方の接合金具６に長さが約５ｃｍの上記導電性細紐３の一端部３ａをバン ド部１の導電性の糸条２に接合した状態で上記接合金具６でもって挟持し、導電 性細紐３の他端部３ｂを切断状態のまま接合金具６から外方に遊離させて、多数 の繊細な導電性繊維の開放端３ｃ，３ｃによって静電気の放電部が形成されたリ ストバンド７となした。

【００１２】 このリストバンド７を静電気ショックに悩んでいるモニターに着用させたとこ ろ、指先が金属類に触れても静電気ショックを感じることがなくなったという報 告が得られた。これは人体に滞留する静電気が上記導電性糸条２を介して導電性 細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中に効果的に放電され、人体の静電気の滞留 量を大幅に減少させることができたためである。

【００１３】 上記は、バンド部１の一端部を折り返してバンド部１の挿通している「日」字 型のスライド金具４に接合し、上記バンド部１の左右の端部に相互にジョイント 可能な接合金具５，６を装着してリストバンド７となした態様を示しているが、 図２に示しているように、バンド部１の両端部に端末金具として締結金具８，９ を装着し、導電性細紐３の一端部をバンド部１の導電性の糸条２に接合した状態 で締結金具９でもって挟持させ、導電性細紐３の他端部を外方に遊離させて放電 部を形成し、バンド部１の両側に雄、雌の面ファスナー１０，１１を止着してリ ストバンド７となしてもよい。

【００１４】 次に図３に示しているように、上記細幅ベルト地２０を１８〜２０ｃｍの長さ に切断してバンド部１となしてその左右の端部を重ね合わせてループ状となし、 その重ね合わせ端部に、端末金具として、例えばキー等の挿入金具１２を備えた 締結金具１３を装着して重ね合わせ端部を被嵌締結するとともに、長さ約５ｃｍ の上記導電性細紐３の一端部をバンド部１の導電性の糸条２に接合した状態で上 記金具１３でもって挟持させ、導電性細紐３の他端部３ｂを切断状態のまま金具 １３から外方に遊離させて多数の繊細な導電性繊維の開放端３ｃ，３ｃによって 静電気の放電部が形成されたキーホルダー１４となした。

【００１５】 このキーホルダー１４にキーを吊り下げて使用すると、吊り下げているキーを 鍵孔に挿入する瞬間に発生する静電気ショックがなくなるまたは減少するという 効果が確認された。これも上記のリストバンド７と同様に、キーホルダー１４の バンド部１を握ったときに人体に滞留する静電気が上記導電性の糸条２を介して 導電性細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中に放電され、人体の静電気の滞留量 が大幅に減少するためであると考えられる。

【００１６】 次に図４に示しているように、上記細幅ベルト地２０を３０〜３５ｃｍの長さ に切断してバンド部１となしてその左右の端部を重ね合わせてループ状となし、 その重ね合わせ端部に端末金具として締結金具１５を装着して重ね合わせ端部を 締結するとともに、長さ約１０ｃｍに切断した導電性細紐３によって形成した吊 り下げ用ループを形成し、その自由端部側をバンド部１の導電性の糸条２に接合 した状態で上記締結金具１５でもって挟持させ、その導電性細紐３の一方の自由 端部を切断状態のまま金具１５から外方に遊離させて多数の繊細な導電性繊維の 開放端３ｃ，３ｃによって静電気の放電部が形成されたストラップ１６となした 。

【００１７】 このストラップ１６も上記と同様に静電気の放電性に優れているから、図５に 示しているように、その吊り下げ用ループに電子機器３０、例えば携帯電話のボ ディーを止着して使用することにより、人体側から携帯電話側への静電気の移行 がなくなり、また携帯電話のボディーに静電気が滞留することもなくなるという 効果を発揮し、電子機器３０の静電気による障害を防止することができる。

【００１８】 なお上記各実施例ではバンド部１に、中央の経糸２１に導電性の糸条２を配し てる組紐製の細幅ベルト地２０を使用した態様を示しているが、この組紐製の細 幅ベルト地２０に代えて、図７に示しているように、中央の経糸２１に導電性の 糸条２を配してなる織物製の細幅ベルト地２０を使用してもよいことは勿論であ る。

【００１９】

【考案の効果】

このように本考案の制電性バンド製品は、経糸の少なくとも一部に導電性ステ ープルファイバーからなる糸条２が表裏に露出するように編み込みまたは織り込 みされた細幅ベルト地によってバンド部１が構成され、バンド部１の端部に端末 金具が装着され、導電性ステープルファイバーからなる糸条によって編組された 導電性細紐３の一端部３ａが上記バンド部１の導電性の糸条２に接合された状態 で上記端末金具でもって挟持され、導電性細紐３の他端部３ｂが切断状態のまま 端末金具から外方に遊離されて人体に滞留する静電気を上記糸条２を介して導電 性細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中に放電されるようになしているから、次 のような作用効果を奏する。

【００２０】 図８Ａに示しているように、物体（人体）が静電気を帯びると、導電性の糸条 および導電性細紐からなる導電体Ａと帯電体Ｂとは逆の電荷を帯び、帯電体Ｂと 導電体Ａとの間に強い電界が生じる。そして図８Ｂに示しているように、空気が 電離して各々逆電荷の方向に中和するとともに帯電した静電気を導電体の開放端 から空気中にコロナ放電して静電気を除去する作用を奏する。

【００２１】 したがって、制電性バンド製品がリストバンド７の場合においては、そのリス トバンド７の着用によって、人体に滞留する静電気が常時バンド部１の導電性の 糸条２を介して導電性細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中にコロナ放電され、 静電気ショックや静電気障害を解消することができる。そのうえ軽量であり装飾 効果を付与することができ、日常違和感なく着用することができる。

【００２２】 また、制電性バンド製品がキーホルダー１４の場合においては、キーの使用に 先立ってバンド部１を握ると、人体に滞留する静電気が直ちにバンド部１の導電 性の糸条２を介して導電性細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中にコロナ放電さ れ、キー使用時における静電気ショックをなくすることができる。

【００２３】 また、制電性バンド製品がストラップ１６の場合においては、バンド部１を持 っていることによって、人体に滞留する静電気をバンド部１の導電性の糸条２を 介して導電性細紐３の開放端３ｃ，３ｃから空気中にコロナ放電することができ るばかりでなく、人体側の静電気が導電性細紐３で吊り下げられた物品、例えば 携帯電話側へ移行することもなく、また携帯電話のボディー側に滞留している静 電気をも放電除去することができ、吊り下げ物品の静電気による障害を防止する ことができる。

【００２４】 そのうえ、バンド部１の導電性の糸条２および導電性細紐３が、硫化銅を吸着 させたアクリル繊維である場合には、銅特有の抗菌防臭作用を奏して衛生的効果 をも発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の制電性バンド製品として、リストバン
ドの実施例を示した斜視図である。

【図２】リストバンドの他の実施例を示した斜視図であ
る。

【図３】本考案の制電性バンド製品として、キーホルダ
ーの実施例を示した斜視図である。

【図４】本考案の制電性バンド製品として、ストラップ
の実施例を示した斜視図である。

【図５】ストラップの使用例を示した斜視図である。

【図６】バンド部を構成している組紐製の細幅ベルト地
を示した拡大部分平面図である。

【図７】細幅ベルト地の他の実施例を示した拡大部分平
面図である。

【図８】本考案の制電性バンド製品の放電機構の説明図
である。

【符号の説明】

１．バンド部 ２．導電性の糸条 ３．導電性細紐 ３ｃ．開放端 ７．リストバンド １４．キーホルダー １６．ストラップ

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 経糸の少なくとも一部に導電性ステープ
   ルファイバーからなる糸条が表裏に露出するように編み
   込みまたは織り込みされた細幅ベルト地によってバンド
   部が構成され、バンド部の端部に端末金具が装着され、
   導電性ステープルファイバーからなる糸条によって編組
   された導電性細紐の一端部が上記バンド部の導電性の糸
   条に接合された状態で上記端末金具でもって挟持され、
   導電性細紐の他端部が切断状態のまま金具から外方に遊
   離していることを特徴とする制電性バンド製品。
2. 【請求項２】 上記バンド部の左右の端部に端末金具と
   して相互にジョイント可能な接合金具が装着されてリス
   トバンドが形成され、上記導電性細紐の一端部がバンド
   部の導電性の糸条に接合された状態で上記接合金具でも
   って挟持され、導電性細紐の他端部が切断状態のまま接
   合金具から外方に遊離していることを特徴とする請求項
   １記載の制電性バンド製品。
3. 【請求項３】 上記バンド部の左右の端部が重ね合わさ
   れ、その重ね合わせ端部に上記端末金具として締結金具
   が装着されてキーホルダーが形成され、その締結金具で
   もって上記導電性細紐の一端部がバンド部の導電性の糸
   条に接合された状態で挟持され、導電性細紐の他端部が
   切断状態のまま締結金具から外方に遊離していることを
   特徴とする請求項１記載の制電性バンド製品。
4. 【請求項４】 上記バンド部の左右の端部が重ね合わさ
   れ、その重ね合わせ端部に上記端末金具として締結金具
   が装着され、上記導電性細紐によって形成された吊り下
   げ用ループの自由端部側がバンド部の導電性の糸条に接
   合された状態で、締結金具でもって挟持されてストップ
   が形成され、その導電性細紐の少なくとも一方の自由端
   部が切断状態のまま締結金具から外方に遊離しているこ
   とを特徴とする請求項１記載の制電性バンド製品。
5. 【請求項５】 上記導電性ステープルファイバーが、硫
   化銅を吸着させたアクリル繊維である請求項１記載の制
   電性バンド製品。