JP3032221B2 - 合成ペプチドおよびエプスタインバールウィルス核抗原に対する抗体 - Google Patents

合成ペプチドおよびエプスタインバールウィルス核抗原に対する抗体

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JP3032221B2 JP01510631A JP51063189A JP3032221B2 JP 3032221 B2 JP3032221 B2 JP 3032221B2 JP 01510631 A JP01510631 A JP 01510631A JP 51063189 A JP51063189 A JP 51063189A JP 3032221 B2 JP3032221 B2 JP 3032221B2
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明はエプスタイン・バールウィルス、その核抗
原、およびサイトメガロウィルスに関連する疾患の治療
および診断において有用な免疫原、抗原、接種物、抗
体、方法および組成物に関する。
〔発明の背景〕
エプスタイン・バールウィルス(EBV)はヘルペスウ
ィルス群の1員であり、ヒトの感染性単核症(IM)の原
因因子である。EBVはまた免疫抑制患者において起るバ
ーキット(Burkitt)リンパ腫、鼻咽腔腫、およびBリ
ンパ球新生物の病原論に係っている。情況的証拠もまた
リウマチ様関節炎およびショーグレーン症候のようなヒ
ト自己免疫疾患におけるこのウィルスの潜在的役割を示
唆している。
EBVは世界中の80〜100%の人々に感染する極めて普通
の環境的因子である。初期または一次感染は急性または
不顕性であり得る。この状態は長期間接続し、その間
に、EBV感染は循環血液、リンパ節およびひ臓中に存在
するBリンパ球に潜伏する。
潜伏はウィルスが未発現または部分的発現状態で細胞
内に存在する過程である。この潜伏は再活性化される。
インビボにおいて潜伏を制御する宿主因子はわずかにし
か知られてないけれども、1つ以上の免疫機構の欠損が
重要な要素であることを示す幾つかの証拠が存在する。
EBVに対する免疫応答の細胞毒性で抑制性のT細胞要
素はIMにおけるEBVによる急性感染を抑制するのに極め
て重要であると報告されている。これらの要素はまたEB
Vに潜在的に感染したBリンパ球の制御されていない自
然生長を抑制するのにも重要である。
T細胞抑制体機構の欠損は臓器移植の拒絶を防止する
のに用いた免疫抑制治療の結果として生ずるアフリカバ
ーキットリンパ腫、鼻咽腔腫、B細胞リンパ腫、並びに
種々の自己免疫不整の治療中に生ずるリンパ腫の発現を
可能にするのに重要であると教示されている。Epstein
およびAchong編、“The Epstein−Barr Virus"、ベルリ
ンハイデルベルグのSpving−Verleg社刊(1970);およ
びCarwford等、Lancet、1355(1980)。さらに、これら
T細胞機構の欠損および結果としてのEBV感染リンパ球
の過生長はリウマチ様関節炎においてある役割を発揮す
ると教示されている。Slaughter等、J.Exp.Med.,148:14
29(1978);Depper等、J.immunology、127:1899(198
1);およびTosato等、N.Engl.J.Med.305:1238(198
1)。
EBVの一次感染に続く血清学的および細胞媒介免疫応
答は良く論文発表されており感染中に発現したウィルス
抗原への宿主応答を反映している。これら応答の外様お
よび組織内での抗原の検出はEBV関連疾患の診断におい
て増々有用になっている。
古典的には、一次感染はウィルスカプシド抗原(VC
A)に対する抗体によって検出しており、回復期はEBVコ
ード核抗原〔EBNA〕に対する抗体の上昇により示される
〔Henle等、Hum.Pathol.,5:551〜565(1974)〕。EBNA
−1(また、本明細書においてはEBNAとも称する)、即
ち、認識された最初の核抗原はイムノブロッティング法
により65,000〜85,000キロダルトン(KD)のたん白質と
して同定されている〔Strnad等、J.Virol.,38:990(198
1);Hennessay等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:5665−
5669(1983);およびBillings等、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA、80:7104(1983)〕。
EBNA−1たん白質の大きさは種々のB細胞系において
65,000〜85,000の範囲にあり、約77KDが典型的である。
分子サイズはEBV−DNAのIR−3領域の長さの変動に相関
している〔Hennessay等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:
5665−5669(1983)〕。IR−3領域はEBNA−1たん白質
の主要エピトープであると特性決定されている繰返しの
グリシン−アラニン配列をコードしている〔Billings
等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:7104(1983)〕。
通常使用されるアッセイはVCAを次いでEBNA−1を検
査しているけれども、EBNA−1は感染後に検出し得る最
初のEBV関連抗原である。EBNAは潜在的に感染した生長
形質転換Bリンパ球の核中で検出されている。EBNAはま
たアフリカバーキット腫瘍リンパ芽球および形成鼻咽腔
がん細胞の核中でも検出されている。
EBV感染Bリンパ球の細胞核中のEBNA濃度は細胞再生
サイクルの各種の期において変動する。即ち、EBNAは周
期的に合成され退化するものと考えられている。そのよ
うな退化の結果として、EBNAのたん白質フラグメント
(ポリペプチド)は細胞質をトラバースし外膜上に存在
または発現するものと考えられている。しかしながら、
特異的なEBNA退化ポリペプチドは今日まで同定されてい
ない。
細胞外膜中または上においては、EBNA退化ポリペプチ
ドは宿主Tリンパ球に対しての有意の刺激を構成し抗EB
NA抗体の産生をもたらす免疫応答を開始するものと考え
られる。また、EBNA退化ポリペプチドを表面上に発現す
るB細胞への特異的T細胞応答はEBNA含有(EBV感染)
Bリンパ球の生長を制限するのに重要な細胞毒性で抑制
性のT細胞の産生に貢献し得ることも考えられる。
即ち、EBNAと抗EBNA抗体の両方の存在のアッセイは幾
つかの共通の臨床的状態において重要である。さらに、
EBV感染Bリンパ球に対するワクチンも臨床的に重要で
あろう。
抗EBNA抗体は冗長な抗補体免疫蛍光法(ACIF)を用い
て典型的にはアッセイする。Reedman等、Int.J.Cance
r、11:499−520(1973)。このアッセイはEBV形質転換
ヒトB細胞を顕微鏡スライドに固定することを含む。次
いで、患者血清の種々の希釈物を固定細胞に加える。抗
相補性血清は補体と混合したとき偽陰性反応またはブロ
ゾーンを生じ得るため(2段階法)、試験細胞標本を連
続的に血清、補体、および抗補体−蛍光コンジュゲート
で補充することが不可欠である(3段階法)。
このアッセイにおいては幾つかの問題が存在する。そ
れにはアッセイが比較的不感度であり補体による増幅を
必要とする点がある。さらに、このアッセイは完全に特
異的ではなく血清が哺乳動物細胞核に対する抗体を含む
患者においては解明できない。さらにまた、抗補体免疫
蛍光アッセイを用いて得られた定量結果は再現するのが
困難である。これらおよび他の理由により、抗−EBNA抗
体アッセイは一般に僅かな特定の研究所用に限定されて
いる。
抗−EBNA抗体のアッセイにおける上記の難しさは比較
的純粋なEBNAの不存在に起因する。哺乳動物細胞組織培
養物からのEBNAの精製は該抗原の低濃度および多形性の
ために複雑である。現行法におけるように、EBNAを発現
する全細胞を用いることは簡単で低コストであるが、特
異性および再現性の問題は全細胞を使用する直接の結果
である。
グリシン−アラニンEBNA−1領域の部分を含有する合
成ペプチドがEBV−1Mの患者からの血清と反応性である
ことは示唆されている〔Rhodes等、Herpesvirus、R.Rap
p編、ニューヨークのAlan R.Liss刊、487−496(198
4);Rhodes等、J.Immunology、134:211〜216(1985);S
mith等、J.Infec.Dis.,154:885−889(1986)およびGel
tosky等、J.Clin.Lab.Analysis、1:153−162(198
7)〕。米国特許第4,654,419号およびその後の他の文献
に示されているように、P62を主体とするペプチドをELI
SAアッセイで用いてEBV−IMの急性期をIMの快方期およ
び回復期から血清学的に区別し得えている〔Smith等、
J.Infec.Dis.,154:885−889(1986)およびGeltosky
等、J.Clin.Lab Analysis、1:153−162(1987)〕。
上記疾患の急性期は上記ペプチドに対するIgM抗体の
出現により検出可能である。回復期においては、IgM抗
体価は低下し、IgG抗体を検出し得る〔Smith等、J.Infe
c.Dis.,154:885−889(1986)〕。長期感染の患者は主
要免疫グロブリン群として上記ペプチドに対するIgG抗
体を有する。
EBNA−1たん白質に対する抗体産生は極めて異常であ
る。グリシン−アラニンペプチドP62を認識するIgM抗体
は上記疾患発症1日以内で検出される〔Smith等、J.Inf
ec.Dis.,154:885−889(1986)〕。イムノブロッティン
グにより分析した場合、これらのIgM抗体はEBNA−1た
ん白質並びに1ダース以上の健常細胞たん白質を認識す
ることが見い出された〔Rhodes等、J.Exp.Med.,165:102
6−1040(1987)〕。EBNA−1および自己抗原に対して
結合する抗体はペプチドP62によって抑制し得る。即
ち、急性EBV感染はEBNA−1のグリシン−アラニン繰返
し領域に関連するエピトープを占めると見られる自己抗
体の合成を誘起する。
これに対して、EBNA−1に対してのIgG抗体は上記疾
患発症数ケ月後までは出現しない。ELISAアッセイによ
り測定されたIgG抗ペプチドP62抗体〔Smith等、J.Infe
c.Dis.,154:885−889(1986)およびGeltosky等、J.Cli
n.Lab Analysis、1:153−162(1987)〕、標準の抗補
体免疫蛍光法により測定した抗EBNA−1抗体、およびイ
ムノブロッティングにより測定したEBNA−1たん白質に
対するIgG抗体はすべて同時に出現する。これらのIgG抗
体もまたペプチドp62により抑制され得るがEBNA−1た
ん白質に特異的でなくもはや細胞性自己抗原と反応しな
い〔Rumpold等、J.Immunol.,138:593−599(1987);Rho
des等、J.Exp.Med.,165:1026−1040(1987);およびDi
llner等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:4652−4656(19
84)〕。
サイトメガロウィルス(CMV)はヘルペスウィルス群
のもう1つの1員である。免疫適応性のヒトのCMV感染
は通常有意の合併症がなく典型的にはEBV由来単核症に
似ている。
IM様症候を有する患者のCMV感染の診断は血管領域か
らのウィルス単離により確立し得る。CMV感染に応答し
て産生した抗体は中和(NT)、補正固定(CF)、免疫蛍
光および血小板凝集(PA)の各方法によって検出し得
る。〔Weller、N.Engl.J.Med.,285:203(1971)を参照
されたい〕。
CMV感染もまた潜伏性であり、その疾患は免疫抑制治
療時の患者および日和見感染の患者において起る。CMV
感染は同種骨ずい移植を受ける患者において最も普通の
感染であり、この移植の成功または失敗の重要な決定要
因である〔Neiman等、J.Infect.Dis.,136:754(197
7)〕。
腎臓同種移植後に免疫抑制治療を受ける成人において
は、90%以上が活性サイトメガロウィルス抗体を発現す
る。血清陰性患者の約半数がその後免疫抑制治療時に感
染する。血清陽性のドナーからの腎臓を受け入れた血清
陰性受容者は殆んどすべて術後感染を示し感染の症状を
呈するようである。
免疫適応性のヒト達、即ち、免疫抑制剤を受けないヒ
トおよびARCおよびAIDSのような免疫折衷性疾患のない
ヒトにおいては、CMV単核症(CMV−IM)感染は幼児(誕
生から2才の)および成人、即ち、約30〜35才の人々に
おいて典型的に見い出される。EBVによって起る感染性
単核症(EBM−IM)は10代ないし約25才の世代の人々に
おいて特に約15〜25才の人々において一般に見い出され
る。
両方の疾患を有する患者は非定型リンパ嚢腫症、咽頭
症状、異常肝蔵機能試験、脾腫および発熱を示す。CMV
−IM患者からの血清は異好陰性であり、一方、殆んどの
EBV−IM患者からの血清は異好陽性である。
遺伝子工学および合成ポリペプチド技術が、最近、大
量のたん白質およびポリペプチド抗原の製造の問題に解
決を与えている。しかしながら、両技術は天然たん白質
のアミノ酸残基配列が知られている場合のみに有効であ
る。
天然たん白質のアミノ酸残基配列はそのたん白質自体
から決定し得るが、これはしばしば困難である。そのた
ん白質をコードする遺伝子ヌクレオチド配列もまたその
たん白質アミノ酸残基配列を明らかにし得る。しかしな
がら、すべてのDNA配列は3つの潜在的な読取フレーム
を有し、その各々が異なるたん白質を与える。従って、
正確な読取りフレームを知ってその遺伝子からの正確な
アミノ酸残基配列を推定しなければならない。
1つのたん白質をコードするDNA配列の正確な読取フ
レーム、および従ってそのたん白質のアミノ酸残基配列
は抗体を用いて決定し得る。この方法はアミノ酸残基配
列が3つの潜在的遺伝子産生物から得た配列に相応する
一連のたん白質フラグメントまたはポリペプチドを製造
することを含む。遺伝子の天然たん白質産生物と免疫反
応する抗体を誘起するたん白質フラグメントまたはポリ
ペプチドはそれによってその遺伝子の正確な読取りフレ
ームを同定する。逆に、天然たん白質に対する抗体が製
造したたん白質フラグメントまたはポリペプチドを認識
する場合にも、遺伝子とたん白質の関係は確立される。
Heller等、J.Virol.,44:311−320(1982)は、1つの
ヘキサヌクレオチドと2つのノナヌクレオチド配列の直
接繰返しからなる内部領域、名称IR3を含有することが
分ったEBVゲノムのたん白質のDNA配列を報告した。彼等
はIR3を取り巻き含有する配列がEBNAをコードする遺伝
子を含有することを示唆する証拠を示した。しかしなが
ら、3つの潜在的DNA配列読取りフレームを翻訳するこ
とが知られてなかったので、Heller等(前出)は潜在的
EBNAたん白質をアミノ酸配列を明確に推定することがで
きなかった。
1983年9月に、HennessyおよびKieff,Proc.Natl.Aca
d.Sci.,U.S.A.,80:5665−5669(1983)は、前出のHelle
r等により報告されたEBV DNA配列の天然読取りフレー
ムを確立したと報告した。本質的に、彼等はIR3DNAを単
離し、これを小ランダム片に分裂し、これらの小片をE.
coli発現ベクターのlacZ遺伝子に3つのEBNA遺伝子読取
りフレームのすべてを、各々、異なるクローンにおいて
発現させるように挿入した。lacZ遺伝子はベーターガラ
クトシダーゼ、即ち、微生物酵素をコードする。IR3−l
acZ遺伝子融合産生物はE.coli中にベーターガラクトシ
ダーゼたん白質分子のアミノ酸7と9の間(8は構築過
程において欠落させる)に挿入させたIR3たん白質配列
を有する融合たん白質として発現させる。
HennessyとKieffはIR3DNAをその天然読取りフレーム
中で発現するIR3−lacZ遺伝子フレームを抗EBNA陽性ヒ
ト血清によって認識される融合たん白質をスクリーニン
グすることによって同定した。そのように同定したプラ
スミドをpKH182−44と名称付した。
pKH182−44によって発現させたたん白質がEBNA特異性
抗原決定基を含有することを確認するために、前出のHe
nnessyとKieffは臭化シアン(CN Br)分解IR3−ガラク
トシダーゼ融合たん白質に対するウサギ中の抗血清を産
生させた。CN BrフラグメントはEBNAに相同性の53個の
アミノ酸およびベーターガラクトシダーゼに相同性の89
個のアミノ酸を含有する免疫原を使用した。これらの抗
血清は間接免疫蛍光法を用いてEBV感染細胞中の天然EBN
Aを認識した。
HennessyとKieffの結果はEBNA IR3ドメインの反覆性
に依存しているようである。pKH182−44によって産生さ
せた融合たん白質はIR3ドメインと相同性の比較的長い
セグメント(例えば、53個のアミノ酸)を含有する。従
って、上記融合たん白質およびそのCN Brフラグメント
が抗原決定基を含有することは驚くべきことでない。さ
らにまた、HennessyとKieffは上記フラグメント中の繰
返し配列が抗原決定基として作用することを同定しなか
った。
HennessyとKieffはヒト血清中の抗EBNA抗体が認識す
る物質を遺伝子的に製造することはできたが、その設計
故に臨床的用途において使用することは取扱いづらいで
あろう。EBNAと相同性である彼らの融合たん白質の53個
のアミノ酸残基セグメントはベーターガラクトシダーゼ
たん白質の物理的および化学的な一部である。従って、
その免疫学的性質は分離することのできないベーターガ
ラクトシダーゼたん白質分子のたん白質によって影響を
受ける。事実、彼等の研究で用いたヒト血清のすべては
ベータガラクトシダーゼと反応し上記の遺伝子的に製造
したたん白質に対する特異性を試験する前にこの反応性
を吸収し除去するためにベーターガラクトシダーゼによ
る処理を必要とした。
遺伝子の正確な読取りフレームを決定し大量の病原体
関連抗原(免疫原)を臨床および診断目的で製造するこ
との相関問題のもう1つの試みは合成ポリペプチド化学
を用いることである。この抗原(免疫原)を製造する方
法は上述の遺伝子工学方法よりも利点を有する。合成ポ
リペプチド抗原は天然たん白質副産生物またはそのフラ
グメントを含有せず、そのために、その使用は望ましく
ない交差反応の可能性およびHennessyとKieffの研究に
おけるような血清サンプルの前処理の必要性を排除す
る。
合成抗原(免疫原)を調製しこの抗原を用いて所定の
特異性の抗体を誘起させる一般的概念は開示されている
けれども、予測可能性を拒み続けているこの技術の広い
領域が存在している。それには少なくとも2つの理由が
ある。第1には、合成抗原(免疫原)はインタクトたん
白質とその天然環境において免疫反応する抗体を必ずし
も誘起しない。第2に、ウィルスたん白質のような天然
産生免疫原に対する宿主天然抗体は天然免疫原アミノ酸
残基配列の短鎖直鎖状部分に相応するポリペプチドと希
にしか免疫反応しない。この後者の現象は所要の二次ま
たは三次的なコンホメーション的な構造を欠落している
短鎖線状ポリペプチドの結果であると考えられる。
たん白質に対してなされたペプチドと抗体の結合につ
いての多くの研究は、Benjamini,E.等、Current Topics
in Microbiology and Immology,58:85−134(1972)に
よる論評中に要約されている。抗体結合におけるペプチ
ド構造の役割はGoodman,J.W.,Immunochem,6:139−149
(1969)において強調されている。
ペプチド配列の変化がいかに抗体結合性に作用するか
についての殆んどの研究は抗体結合部位の構造が主要な
役割を発揮することを示すものと解釈している。これら
の研究における配列および構造上の変化の効果は混合さ
れ区別するのは困難である。これら研究の幾つかは結合
を行う抗原の構造変化により等しく良好に説明できる。
分子レベルでの抗体応答は限定された配列(一次構
造)を有し限定されたコンホメーション(二次および三
次構造)の抗原の結合を含む。たん白質抗原に対する免
疫応答は該たん白質の一次、二次および三次構造に対し
て特異的であるものとして伝統的に解明されて来た。
この分類方式は生理学的温度および溶液において良好
に限定された全体構造を有するたん白質においてある正
当性を有する。しかしながら、その正当性はより動的な
構造を有するペプチド抗原においては疑しい。
幾つかのグループは絹フィブロイン〔Anderson等、J.
Mol.Biol.,67:459−468(1972)〕およびコラーゲン〔A
nderson等、BBRC39:802−808(1970);Doyle等、J.Mol.
Biol.,51:47−59(1970)〕のモデルとして合成したグ
リシンとアラニンまたはグリシンとセリンの繰返し配列
のポリマーの構造的研究を報告している。最も系統的な
研究は1連のブロックホモポリマー性ポリペプチドの合
成を報告しているBrack等、Biopolymers,11:563−586
(1972)の研究であり、該ポリペプチド中のホモポリマ
ー性ブロック繰返し単位は式(Alax−Glyy)を有し、式
中、x=1のときy=1、2および3であり、x=2の
ときy=1、2および3であり、x=3のときy=3で
ある。
上記後者の研究で報告された結果は、固形状態におい
て、殆んどアラニンからなるブロックホモポリマーはα
−ヘリカル状であり、殆んどグリシンを含有するブロッ
クポリマーは乱雑であると云うことであった。溶液にお
いては、ポリアラニンはα−ヘリカルであると報告され
ているが、ポリ−(Ala2−Gly1)はβ−逆平行であると
報告している。よりグリシンリッチのポリマーはα−ヘ
リカルでもβ−構造でもないと報告されたもう1つの固
定構造を有するものして説明されている。
Brack等が報告したグリシンとアラニンのホモポリマ
ー型ブロックは活性エステル形のカルボキシ末端グリシ
ル残基を有するジペプチドないしヘキサペプチド繰返し
単位の縮重合により調製されている。2〜68の重合度が
ポリ(Ala−Gly2)について報告されている。
これらの研究で用いた溶媒の生理学上許容し得る、例
えば、水またはリン酸塩緩衝塩水でない場合でさえも、
その結果は2つの点:(1)構造変化はポリペプチド変
化の配列として起り得ること、および(2)構造変化は
また溶液から固体状への変換中に起ることを説明してい
る。
〔発明の内容〕
本発明はCMV相同性ポリペプチドを意図する。このポ
リペプチドは、第1図に示すCMVをコードしたポリペプ
チドの配列に相応する配列を有する約6〜40個好ましく
は約15〜約40個のアミノ酸残基、その薬学上許容し得る
塩、およびその抗原的に関連する変異体を含有し、上記
配列は式:−GLy−R1−Gly−R2−Gly−によって示され
るKa配列を含有し、上式中、R1とR2は、個々に示したと
き、同じか異なるものでありかつAla、Asn、Arg、Gly、
Leu、Pro、SerおよびThrであるアミノ酸残基を示すが、
R1とR2が共にGlyではない。
もう1つの実施態様においては、本発明は生体サンプ
ル中の抗EBNA抗体のアッセイ方法に関する。この方法は
患者生体サンプルを本発明のCMV相同性ペプチドと混合
することを含む。このようにして調製した免疫反応混合
物をサンプル中に存在する抗EBNA抗体が上記ペプチドと
免疫反応して免疫反応生成物を生成するのに十分な時間
維持する。次いで、生成した生成物の存在を測定し、そ
れによってサンプル中の抗EBNA抗体の存在を測定する。
好ましい実施態様においては、この方法は免疫グロブリ
ン級の特異性である。
本発明はまた生体サンプル中の抗EBNA抗体の存在をア
ッセイするための診断系を提供する。この系は、別々の
パッケージで、(a)CMV相同性ポリペプチドおよび
(b)ポリペプチドとヒト抗EBNA抗体間の免疫反応の存
在を示すための指示手段とを含む。好ましくは、指示手
段は酵素標識ヒトIg級特異性抗体である。
本発明はまた少なくとも1つの繰返し単位が上記のポ
リペプチドである複数の結合ポリペプチド繰返し単位を
含有する多量体に関する。このポリペプチド繰返し単位
は頭−尾形でアミノ結合により結合し得る。また、合成
ポリペプチドモノマーは分子間、ポリペプチド間システ
ィンジスルフィド結合の使用によるようなアミノ結合以
外の方法によって結合させ高分子多量体を調製すること
もできる。
上述のポリペプチドまたは多量体を抗原として用いる
抗EBNA抗体の存在をアッセイする方法も本発明において
意図される。この方法においては、液体ヒト生体サンプ
ルを用い上記のポリペプチドと混合する。得られた免疫
反応混合物をサンプル中に存在する抗EBNA抗体が上記ポ
リペプチドと免疫反応し免疫反応体を生成するのに十分
な所定時間維持する。その後、免疫反応の存在を測定す
る。特に好ましい実施においては、免疫反応の存在は抗
IgG、抗IgMまたは抗IgAのような抗ヒト長鎖抗体を上記
免疫反応体と混合し、この第2の免疫反応混合物を上記
抗ヒト抗体が免疫反応体中に存在する抗EBNA抗体と免疫
反応して第2の免疫反応体を生成するのに十分な所定時
間維持し、次いで、第2免疫反応体および存在する特定
のヒト抗EBNA長鎖抗体種の存在を測定することによって
測定する。
最も好ましいのは、上記のアッセイを固形支持体を形
成する固形マトリックスに固定させた上記ポリペプチド
または多量体を用いて行うことである。血液、血清、血
漿、唾液または痰のような生体サンプルを上記固形支持
体と混合して固相/液相免疫反応混合物を調製する。こ
の混合物を上述のように維持して抗EBNA抗体を含有する
固相結合免疫反応体を調製し、固相と液相はその後分離
する。次に、固相結合免疫反応体の存在を測定する。
さらに、ヒト生体成分中のEBNAに対する抗体分子の存
在をアッセイする診断系が意図される。そのような系は
本発明のポリペプチドと該ポリペプチドと抗EBNA抗体分
子との免疫反応を示す指示剤手段を含む。より好ましい
実施態様においては、この系はまた上記ポリペプチドを
固定させた固形マトリックスを含む固形支持体を含む。
免疫反応抗体分子のイソタイプを同定する手段も上記系
に含ませ得る。
〔図面の簡単な説明〕
本発明の説明の一部を構成する各図面において: 第1図はポリペプチド(F)、(B)および(E)の
円形二色性スペクトルのプロットである。これらのペプ
チドはまた本明細書においては、各々、ポリペプチドF1
3、F62およびF12と称する。各スペクトルは1ミリグラ
ム/ミリリットル(mg/ml)の生理溶液(りん酸塩緩衝
塩水)中のポリペプチドの10回の成功走査の平均であ
る。旋光度はミリラジアンで示しナノメーター(nm)で
示した偏光波に対してプロットした。ポリペプチドF
(F13)の比較的特徴のないプロットはこのサイズのペ
プチドで得られる通常の結果であるランダムなコンホメ
ーションを示す。ポリペプチドB(P62)が示すくぼみ
とピークスペクトルは比較的安定な2次構造またはコン
ホメーション、恐らくは、β−プリーツに特徴を有す
る。データは示してないけれども、ポリペプチドP27、P
60、F14およびF15も本発明のより好ましいポリペプチド
が生理溶液中で同様な安定なコンホメーションとして存
在することを示す極めて類似したスペクトルを有する。
ポリペプチドE(F12)のスペクトルはそのようなコン
ホメーションの部分的想定を示している。
第2図は合成ポリペプチドC(P60)とB(P62)に対
するウサギ抗ペプチド抗血清を用いたEBV形質転換WI−L
2細胞の全細胞抽出物のニトロセルロースイムノプロッ
トの写真図である。抗EBNA陽性として前以って決定し
た、即ち、抗EBNA抗体を含有するヒト血清(患者TJから
の)をレーンAの陽性コントロールとして1:20の希釈で
用いた。1:50希釈でのウサギ抗P60(C)血清(レーン
B)および1:10希釈でのウサギ抗P62(B)血清は陽性
コントロールと同じバンドで免疫反応してこれらペプチ
ドが天然EBNAを認識することを示した。レーンA−Gは
図の下部で表示している。
抗P60血清によるEBNAの認識は40マイクログラム/ミ
リリットル(μg/ml)のポリペプチドP60を含む1:50希
釈抗P60血清をイムノブロティング前に1時間インキュ
ベートすることによって抑制された。同様に、抗P62血
清によるEBNAの認識は40μg/mlのポリペプチドP62を含
む1:10希釈抗P62血清をイムノブロッティング前に1時
間インキュベートすることによって抑制された。
P60とP62の抗原関連性はレーン6と7に示す。レーン
6はEBNAバンドと免疫反応する1:10希釈抗P62血清を示
す。レーン7においては、抗P62血清とEBNAバンドとの
反応性はイムノブロッティング前に1時間ポリペプチド
P60とインキュベートすることにより抑制された。
第3図は患者1011のEBNA陽性血清の抗P62血清活性の
溶液中の拮抗性ポリペプチドによる抑制を示すグラフで
ある。ポリペプチドP62を固相ターゲットとして用いたE
LISAを、ポリペプチドP27、P62、P60、P89またはF16の
いずれかでELISAで使用する前に1時間予備インキュベ
ートした患者1011の血清を用いて行った。ポリペプチド
P27、P62、P60、P89およびP16は、各々、本明細書にお
いてはポリペプチドA、B、C、DおよびGとしても示
される。パーセント抗ポリペプチド活性をマイクログラ
ム/ミリリットル(μg/ml)の拮抗性ポリペプチド濃度
に対する縦座標としてプロットした。
第4図はEBNAに対する抗体(点線、白丸)およびポリ
ペプチドP62に対する抗体(実線、黒丸)の実施EBV感染
単核症(EBV−IM)の場合における出現の並行時間経過
を示すグラフである。順次的血清は臨床的発症後集め、
抗−EBNA活性についてCatalano等、J.Clin.Invest.,65:
1238−1242(1980)に報告された手順に従って右縦座標
上に力価測定した。各血清サンプルはまた本発明のELIS
AにおいてポリペプチドP62を固相ターゲットとして405
ナノメートルの光学濃度(OD405)をプロットする左縦
座標上で示すようにして用いてアッセイした。
第5図はHenle,G.等、J.Infect.Dis.,130:231(197
4)により開示された古典的ACIF法による検出を用いて
のポリペプチドP62(実線、黒丸)に対する抗体の抗EBN
A(点線、白丸)に比較的しての早期検出を出す2つの
グラフ(第5A図および第5B図)からなる。順次的血清は
臨床的に実証された感染性単核症の2人の患者(#14上
部パネル、第5A図;#2下部パネル、第5B図)から集め
た。
各血清は抗EBNA活性について上記のCatalano等で報告
されたようにしてタイター測定した。抗ポリペプチド活
性はポリペプチドP62を固相ターゲットとして用いた本
発明のELISAを用いて測定しその活性は第4図に示して
いる。
第6図は、EBNAP62ELISAによりアッセイした、急性EB
V−IM感染を有する患者D.B.からの順次的血清の分析を
示すグラフである。急性期IgM応答を黒丸で示し、回復
期IgG応答を白丸で示し、IgG/IgMの比を白四角で示す。
EBNAポリペプチドP62アッセイは後述の材料および方法
の章で述べるようにして行った。
第7図は患者D.B.からの順次的血清の分析を示すイム
ノブロットの写真である。EBV−不滅化Wi−L2(WI−L2
とも称す)細胞の溶解液を各ブロットのEBNA−1たん白
質源として用いた。ブロットの左側(第7A図)において
は、健常(NORM)なVCA陽性サンプルをコントロールと
して用いて77KD EBNA−1たん白質を示した。各ブロッ
トは77KD EBNAたん白質に対するIgG抗体の遅れた応答
(左側)とこの病気の急性期のこれらたん白質に対する
IgM抗体の急速上昇(右側、第7B図)を示した。病気発
症後の日数を各レーンの下に縦に読みべき数字で示して
いる。
第8図はCMV−IMによる第1感染次いでEBM−IMによる
第2感染を有する患者D.S.からの順次的血清の分析を示
すグラフである。急性期IgM応答は黒丸で示し、回復期I
gG応答は白丸で示し、IgG/IgM比は黒四角で示す。
第9図は患者D.S.からの順次的血清のイムノブロッテ
ィング法による分析を示すイムノブロット試験の写真で
ある。ブロットの左側(第9A図)は患者血清によるEBNA
−1たん白質への急性期IgM応答を示す。ブロットの右
側(第9B図)は患者血清からのIgG応答を示す。各レー
ンの下の数字およびNORM表示のレーンは第7図における
のと同じである。EBNA−1たん白質は後の材料および方
法の章で述べるWi−L2細胞抽出物から調製した。
第10図は以前にEBV感染を有したCMV−IM感染を有する
2人の患者からの順次的血清サンプルのポリペプチドP6
2ELISA分析を示す2つのグラフである。患者L.S.の第10
A図においては、IgM抗体応答は白丸として示され、IgG
応答は黒丸として示され、IgG/IgM比は黒四角で示され
ている。患者S.G.の第10B図においては、IgM応答は白丸
で示され、IgG応答は黒丸で示されている。
第11図は急性EBV−IMを有する4人の患者と急性CMV−
IMを有する6人の患者からの4つの血清イムノブロット
分析の写真である2つのパネルを含む。パネルAにおい
ては、各血清をK562細胞(EBV-、CMV-)からの抽出物上
でイムノブロッティングして、IgM抗体を特異的に検出
した。パネルBにおいては、各血清を後期CMV感染ヒト
繊維芽球細胞からの抽出物上でブロッティングして、Ig
G抗体を検出した。すべての血清は1:20希釈で用いた。
各レーンの上の文字標示“E"および“C"は、各々、EBV
−IMまたはCMV−IMのいずれかを有する患者からである
血清を示す。
第12図は患者D.B.、D.S.およびT.G.からその病気の急
性段階および回復段階において採取した血清サンプルか
らのIgMとIgGのWi−L2細胞、EBV+B細胞系からの抽出物
への結合の抑制を示すイムノブロットの写真である。患
者Gは健常なVCA+、EBNA−1+のドナーであった。レーン
1と2は病気発後(pod)15日で得た患者D.B.からの血
清サンプルを含んでおり、レーン3と4は12日podの患
者D.S.からであり、レーン5と6は4日podで採取した
急性IMの患者T.G.からであり、レーン7と8は514日pod
の患者D.Bからであり、レーン10と11は471日podの患者
D.S.からであり、レーン11と12は健常ドナーGからであ
った。すべての血清は1:50に希釈した。奇数レーンは血
清のみを含有しておりマイナス記号(−)で標示し、偶
数レーンは血清+ポリペプチドP62を含有しておりプラ
ス記号(+)で標示した。ポリペプチドP62の濃度はレ
ーン2、4および6において400マイクログラム/ミリ
リッター(μg/ml)でありレーン8、10および12におい
て50μg/mlであった。IgM抗体はレーン1〜6で特異的
に検出し、一方、IgG抗体はレーン7−12で特異的に検
出した。
第13図はStrapraus等、J.Virol.,57:591602(1986)
により開示されたようなCMVコードポリペプチド抗原の
アミノ酸残基配列を示す。配列中の各残基の数位置は左
端部の数字で示す。本発明の好ましいCMV相同性ペプチ
ドは図中に示された約残基位置200〜約残基位置220の配
列に相応するアミノ酸残基配列を含む。
第14図はEBV相同性ペプチドP62およびCMV相同性ペプ
チドC1とC2のEBV感染中の患者DBの血清中の抗EBNA IgG
(白記号)またはIgM(黒記号)抗体に検出する能力を
示すグラフである。感染の急性期においては、抗EBNA
IgM抗体をEB相同性ペプチドP62(三角)、CMV相同性ペ
プチドC1(丸)およびCMV相同性C2(四角)の各ELISAを
用いて検出し感染性単核症の存在を確認した。回復期の
開始は抗EBNA IgGの上昇およびIgM抗体のそれに伴う落
込みにより示される。
第15図はEBV相同性ペプチドP62およびCMV相同性ペプ
チドC1とC2のCMV感染次いでEBV感染中の患者DSの血清中
の抗EBNA IgG(白記号)またはIgM(黒記号)抗体を検
出する能力を示すグラフである。両病気の急性期におい
て、抗EBNA IgM抗体をEBV相同性ペプチドP62、CMV相同
性ペプチドC1およびCMV相同性ペプチドC2の各ELISAを用
いて検出し、各急性病の発症時に感染性単核症の存在を
確認した。
〔発明の詳細な説明〕
I 序論 エプスタイン・バールウィルス(EBV)に感染したヒ
トはウィルス形質転換Bリンパ球中に存在するウィルス
核抗原(EBNA)に対する抗体を発現する。ヒトのEBNAお
よび抗EBNA抗体のアッセイに用いる伝統的な臨床技術は
扱いづらい。さらに、細胞培養物からのEBNAの精製のた
めの現行の方法は大量生産に容易に適応し得るものでは
ない。
本発明は合成ポリペプチド技術を用いて現行の方法論
の問題の幾つかを克服することを意図する。短鎖合成ポ
リペプチドは天然たん白質上の免疫学的に模倣抗原決定
基であり得、従って、天然たん白質を認識する前以って
決定した特異性の抗体を産生させるのに使用し得る。
“免疫学的に模倣”なる語句は本明細書においては本
発明の免疫原性ポリペプチドが該誘起性ポリペプチドに
またインタクトたん白質中の同種の配列に結合する抗体
の産生を含むことを意味する。この現象は実験的および
臨床的の両方に使用できる。
実験的には、合成ポリペプチドに対する抗体はDNA読
取りフレームおよびそれによってEBNAのような臨床的に
重要なたん白質のアミノ酸残基配列を確立するのに使用
できる。臨床的には、合成ポリペプチドに対して産生し
た前以って決定した特異性の抗体を診断および治療目的
で使用できる。
Heller等、J.Virol.,44:311−320(1982)はEBNAをコ
ードする遺伝子を含有し得ることを示す特徴を有するDN
Aヌクレオチド配列を報告した。彼等はこのDNAをたん白
質にほん訳した場合、3つの潜在的な読取りフレーム
が、発現させたDNA読取りフレームによるが、(i)セ
リン、アルギニン、およびグリシン;(ii)グリシンと
アラニン;または(iii)グルタミン、グルタメートお
よびグリシンのみからなる200個以上のアミノ酸残基のI
R3たん白質ドメインをコードするであろうと予測した。
EBNA分子の報告された化学的性質は、EBNA遺伝子の潜
在的停止コドンの分布と一緒に採取した場合、IR3は主
としてグリシンとアラニン残基からなることを示した。
この示唆を評価するために、アミノ酸残基配列がIR3
がグリシン−アラニンランダムコポリマーであるEBNAた
ん白質のアミノ酸残基配列に実質的に相応する短ポリペ
プチドを合成した。
後の説明で分るように、これらの合成ポリペプチド特
にP62と名称付した1つのポリペプチドは免疫学的にEBN
Aを模倣していることを見い出した。さらに、ポリペプ
チドP62を包含する1群の特に好ましいポリペプチドは
ヒト抗EBNA抗体を結合することも見い出した。これらポ
リペプチドの種々のアッセイ手順での使用も後程説明す
る。
そのようなアッセイに関してさらに詳細には、好まし
くは固相の、特定の好ましいポリペプチドを用いるアッ
セイを開発した。このアッセイはEBVによる感染性単核
症(IM)およびCMVによるIM(CMV−IM)の検査において
またEBVがからむもう1つの病気である鼻咽腔がん(NP
C)の検査において臨床的に信頼し得ることが見い出さ
れた。各領域でのアッセイによる特定の結果はアッセイ
法として一般的に説明する。
II.好ましい実施態様 A.合成ポリペプチド 1.配 列 本研究において使用する1連の小合成ポリペプチド
(長さで5〜21個のアミノ酸残基)をMerrifieldの固相
法を用いて合成した。Merrifield等、J.Am.Chem.Soc.,8
5:2149−2154(1963)。配列はEBNAの上記提案IR3領域
内およびちょうど外側と異なる領域を表わすように選択
した。
本明細書で使用するときの用語“合成”とはポリペプ
チド分子またはポリペプチド繰返し単位が遺伝子工学技
術によるような生物学的手段によって調製されるよりも
むしろ化学的手段で構築されること、即ち、化学合成さ
れることを意味する。即ち、本発明を具体化する合成ポ
リペプチドは天然たん白質およびそのフラグメントを含
まない。
従って、化学合成ポリペプチドは天然たん白質の臭化
シアンの作用により調製したような天然たん白質の分解
生成物と異なる。ブロックしたアミノ酸残基を連続法で
加えて所望のポリペプチドを得る周知の固相化学合成は
好ましい合成方法であり以下により詳細に説明する。
本明細書で示すすべてのアミノ酸残基は天然またはL
−形である。標準のポリペプチド命名法により、アミノ
酸残基の略号は次のとおりである: 本発明の1つの局面は約6〜約40個のアミノ酸残基好
ましくは約15〜約20個のアミノ酸残基を含有し、かつ左
から右にアミノ末端からカルボキシ末端の方向で書かれ
た式: (式中、R1とR2は、個々に、同じか異なるものであって
Ala、Asn、Arg、Gly、Leu、Pro、SerおよびThrである
が、R1とR2は両方がGlyではない) で示される配列を含むランダムコポリマーポリペプチド
を意図する。このポリペプチドはまた少なくとも25モル
%のグリシン残基を含有し、担体に結合させ有効量で哺
乳動物宿主に投与したとき、EBNAと免疫反応する抗体の
産生を誘起し得る。
1つの好ましい実施態様においては、R1とR2はポリペ
プチドがアミノ酸残基配列:−Gly−Arg−Gly−Arg−Gl
y−を含有するように両方がArgである。もう1つの好ま
しい実施態様においては、R1はAsnでありR2はLeuであり
そのポリペプチドはアミノ酸残基配列:−Gly−Asn−Gl
y−Leu−Glyを含有する。さらにもう1つの好ましい実
施態様においては、R1とR2は共にSerでありそのポリペ
プチドはアミノ酸残基配列:−Gly−Ser−Gly−Ser−Gl
y−を含有する。
好ましいアミノ酸残基配列には、式: で表わされる左から右へアミノ末端からカルボキシ末端
の方向の配列、その薬学上許容し得る塩、およびその抗
原的に関連する変異体がある。
より好ましい実施態様においては、R1とR2はAlaまた
はGlyである。例えばR1はAlaでR2はAlaであり得;R1はAl
aでR2はGlyであり得;R1はGlyでR2はAlaであり得る。か
くして、これらより好ましい実施態様には、 からなる群より選ばれた式で表わされる5個のアミノ酸
残基配列がある。
用語“ランダムコポリマー”は本明細書においてはそ
の通常の意味で使用する。即ち、これらのポリペプチド
は複数の種々のアミノ酸残基繰返し単位を含有するので
コポリマーである。これらのコポリマーは交互またはブ
ロックコポリマーに比較してランダムである、何故なら
ば、これらポリペプチドの個々のアミノ酸残基は交互コ
ポリマー、または前出のAnderson等、Doyle等、またはB
rack等によって調製されたホモブロックコポリマーの繰
返し単位において見い出されるような特定の繰返し単位
中に存在しないからである。
即ち、連続的な繰返し配列:−Ala−Gly−Ala−Gly−
Gly−Gly−Ala−Gly−Gly−を含有するP62と命名したポ
リペプチド(第1表)でさえも、このポリペプチドはカ
ルボキシ末端に−Ala−Glyペプチドをさらに含有する。
結果として、ポリペプチド全体を通して繰返すアミノ酸
残基配列はなく、ポリペプチドP63はランダムコポリマ
ーとしてみるべきであり、特定のアミノ酸残基配列の同
じブロックがそのポリマー全体を通じて繰返すBrack等
により調製されたポリ(Alax−Glyy)物質またはAnders
on等により調製されたポリ(Ser−Gly)のようなホモブ
ロックコポリマーでない。
本発明のランダムコポリマーポリペプチドはしばしば
本明細書においては簡単に“ポリペプチド”、“合成ポ
リペプチド”または“ペプチド”と称する。この使用は
簡略のためである。
用語“抗原的に関連する変異体”は本明細書において
は1つの抗原決定基の少なくとも1部を有し従って免疫
学的に交差反応性である全体としてのアミノ酸残基配列
を異にするポリペプチドを称するのに使用する。
本明細書で使用するときの“抗原決定基”なる用語は
同じまたは関連抗原または免疫原によって誘起した相応
する抗体(免疫グロブリン)分子との特異的反応に応答
性である分子の構造成分を称する。
本明細書で使用するときの“免疫原決定基”なる用語
は抗原として使用するときの免疫原と結合する抗原結合
部位(イデオタイプ)を含有する抗体の宿主中での誘起
に応答性である分子の構造成分を称する。
本明細書で使用するときの“抗原”なる用語は抗体と
結合する存在物を意味する。
本明細書で使用するときの“免疫原”なる用語は宿主
動物中で抗体産生を誘起する存在物を意味する。ある場
合には、抗原と免疫原は同じ存在物であり、また、他の
場合、2つの存在物は異なる。
例えば、後述するように、ポリペプチドP62を用いて
ウサギ中で抗体の産生を誘起した、従って、免疫原とし
て用いた。かくして誘起させた抗体は抗原として用いた
ときのポリペプチドP62に結合する。ポリペプチドP62は
従って免疫原と抗原の両方である。抗EBNA抗体は免疫原
および抗原としての両方のEBNAにさらには抗原としての
ポリペプチドp62に結合する。
本発明の好ましい実施態様は以下の第1表に示すよう
なランダムコポリマーポリペプチドP89、F12、F13、そ
の薬学上許容し得る塩、およびその抗原的に関連すに変
異体である。これらポリペプチドの各々は、−Gly−R1
−Gly−R2−Gly−アミノ酸残基配列を含有し、R1とR2
前述したとおりであり;各ポリペプチドは少なくとも25
モル%のGlyを含有し;各々は、前述したように、EBNA
に結合する抗体を誘起し得る。
*括弧内の大文字は図面および表の幾つかにおいて相応
するポリペプチドを示すのに用いる。
ポリペプチド/抗ポリペプチドレセプター結合および
結合抑制試験の結果は章II Dにおいて後述する。これら
の結果はポリペプチドにおける配列相同性の量に比例す
る交差反応性および交差抑制効果を示している。例え
ば、ポリペプチドP60はP62と相同性の10個のアミノ酸セ
グメントを含有する。ポリペプチドP27はポリペプチドP
60、P62およびD1(表2)と相同性の8個のアミノ酸セ
グメントを含有する。ポリペプチドD2(表2)はポリペ
プチドP27、P60、P62およびD1の各セグメントに相同性
の7個のアミノ酸残基セグメントを含有する。試験にお
いて有意に交差反応しなかったポリペプチド89はポリペ
プチドP27、P62およびP62との配列相同性を含まない。
より重要なことは、ポリペプチドP27、P62、P60およ
びD1の共有する8個のアミノ酸残基配列は3種のランダ
ムコポリマーポリペプチドすべてに共通する少なくとも
1つの抗原決定基を含有し、それによってこれら3種ポ
リペプチドを抗原的に関連する変異体としている。さら
に、共有するセグメントは6個のアミノ酸残基配列: −Gly−Ala−Gly−Gly−Ala−Gly− および式:−Gly−R1−Gly−R2−Gly(式中、R1とR2
共にAlaである)、即ち、−Gly−Ala−Gly−Ala−Gly−
で示される重複配列とを含有している。
“重複”とは第2名称の配列が第1名称の配列の1部
に含有されていることを意味する。アミノ酸残基のこの
重複はポリペプチドP62において以下で示す単一文字ア
ミノ酸残基コードを用いた重複“箱型”配列部分により
例示される。
共有の6個のアミノ酸残基含有配列および重複の5個
のアミノ酸残基の両方を含有するランダムコポリマーペ
プチドは本発明のさらにもつと特別に好ましい実施態様
を構成する。そのような特に好ましい実施態様において
は、本発明のランダムコポリマーポリペプチドは約8〜
約40個好ましくは約15〜約20個のアミノ酸残基を含有
し、前記−Gly−R1−Gly−R2−Gly−アミノ酸残基に加
え、左から右にアミノ末端からカルボキシ末端の方向に
書かれた式: で表わされる配列を含み、少なくとも約50モル%のGly
を含有し、さらに、(a)担体に結合させ有効量で哺乳
動物宿主に導入させたときEBNAと免疫反応する抗体の産
生を誘起すること、および(b)天然EBNAにより誘起さ
れたヒト抗体と免疫反応することの両方が可能である。
特に好ましいアミノ酸残基配列には、左から右へアミ
ノ末端からカルボキシ末端の方向に書かれた次式で示さ
れる各配列その薬学上許容し得る塩およびその抗原的に
関連する変異体がある: アミノ酸残基配列の最初および最後のダッシュはアミ
ノ末端およびカルボキシ末端それぞれでのHおよびOHの
ような基、またはポリペプチド鎖内で総計40個のアミノ
酸残基までの1個以上のアミノ酸残基への結合を示すこ
とに留意されたい。
また、相応するポリペプチド自体、即ち、第1表で示
すポリペプチドP60、P27、P62、F14、F15およびF16、お
よび第2表で示すD1およびD2、それらの薬学上許容し得
る塩、並びにそれらの抗原的に関連する変異体は特に好
ましい。ポリペプチドP62を本明細書においては特に好
ましいポリペプチドの例の例示として用いる。ポリペプ
チドP62はまたたびたびP62、ペプチドP62、EBNAP62等と
表示するが、“P62"を含むすべての表示はこの物質を称
するものと理解されたい。用語“ペプチド”および“ポ
リペプチド”は本明細書においては互変的に使用する。
本明細書で使用する“薬学的許容し得る塩”なる用語
は、当該技術において周知の方法で調製するナトリウ
ム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムお
よびアンモニウム等の塩のような製薬工業において使用
する無毒のアルカリ金属、アルカリ土属金属およびアン
モニウムの塩を称する。該用語はまた本発明の化合物を
適当な有機または無機酸と反応させて一般に調製する無
毒の酸付加塩も包含する。代表的な塩にはヒドロクロラ
イド、ヒドロブロマイド、サルフェート、ビサルフェー
ト、アセテート、オキシレート、バレレート、オレー
ト、ラウレート、ボレート、ベンゾエート、ラクテー
ト、フォスフェート、トシレート、シトレート、マレー
ト、フマレート、サクシネート、タートレート等があ
る。
もう1つの好ましい実施態様においては、本発明はEB
NAまたは第13図に示すCMVコードポリペプチドの配列に
相同性(相応する)配列を有する少なくとも約15〜約40
までのアミノ酸残基を含有しかつ前述の式:−Gly−R1
−Gly−R2−Gly−を含むポリペプチドを意図する。本発
明のEBNA相同性およびCMV−相同性ペプチドは抗EBNA抗
体と免疫反応する能力を有するものとしてさらに特徴付
られる。
2. 大きさ 抗EBNA抗体と結合する能力について合成ポリペプチド
の大きさ(サイズ)を変化させた効果を試験した。ポリ
ペプチドの大きさを減じたときは、その抗体と結合する
能力も低下することを一般に見い出した。
ポリペプチドP62は、アミノ酸残基用の1文字コード
を用いた第2表で示すように、アミノ末端からの最初の
9個の残基が直接繰返す20個のアミノ酸残基からなる。
アミノ酸残基トリアッド(3回対称軸)をP62ペプチド
のアミノ末端から欠落させたP62に相同性の1連のポリ
ペプチドを合成して第2表に示すようなポリペプチドD
1、D2およびD3を得た。従って、P62の配列対称の増大部
分がポリペプチドD1、D2および第3においてはない。
# 1文字コードを用いたポリペプチド配列は左から右
へアミノ末端からカルボキシ末端に示される。
* ポリペプチドP62中の9量体直接繰返し接合部 D群ポリペプチドの3つのヒト抗EBNA血清およびウサ
ギ抗P62血清と免疫反応する能力を後述のELISAの固相で
各ポリペプチドを用いて試験した。D1に結合する抗体は
すべての試験血清において原ポリペプチドP62に結合す
る抗体と殆んど同じであった。対照的に、ウサギ抗P62
を除いたどの血清においても固相D3への結合はなかっ
た。D2の結果は中間であり試験血清によった。即ち、こ
の群のポリペプチドの抗体認識はポリペプチド長が20個
から11個のアミノ酸残基に短縮するにつれて低下した。
抗体結合性がすべての抗血清において低下した事実
は、ポリペプチドが2つの抗原決定基を含有し、その1
つのみが配列欠落により影響を受けたので1つの特異的
抗原決定基がアミノ酸残基の配列削除により欠落した可
能性と反対のことを示している。また、P62の配列対称
性はP62中に存在する4個〜8個のアミノ酸残基の配列
のすべてが繰返し接合部の残基を除いてD3中にも存在す
ることを保証している。
ELISAの固形支持体へ結合させたポリペプチドのコン
ホメーション変化は抗体認識の抑制に貢献し得る。この
可能性を幾つかの血清の固相結合P62への結合性(免疫
反応性)を溶液中の種々の濃度の拮抗性ポリペプチドを
用いて抑制することによって試験した。各抗血清をポリ
ペプチドP62、D1、D2またはD3と溶液中で混合し、免疫
反応(結合)が起るのに十分な所定時間、P62でコーテ
ィングしたマイクロタイタープレートに加える前に維持
(インキュベート)した。5人の患者からの血清による
この研究の結果は次の第3表に要約する。
* これらの測定に用いたELISA手順は後述の章II E
(2)およびIII/Dで説明する。
ポリペプチドD1のP62に結合する抗体についての抑制
効果はP62自体の抑制効果と区別できないものとみなさ
れる。すべての試験血清においてそのとおりであった。
さらに興味あることには、ポリペプチドD3がおよそよ
り大きいポリペプチドが抑制したのと同様に血清の幾つ
か、即ち、VMとN6を抑制した。この強い抑制効果はこれ
らの血清のいずれもELISA中の固形支持体へ結合させたD
3へ何らの結合を示さなかったにもかかわらず生じた。
これらのデータはポリペプチドがマイクロタイターのプ
ラスチック表面へ結合させたとき所定の二次構造を維持
するのにある最低の長さ、即ち、少なくとも約15個のア
ミノ酸残基を有すべきことを示すものと考えられる。即
ち、固相アッセイにおいては、約15個〜約40個の残基の
ペプチド長が好ましく、約15〜約20個の長さがより好ま
しい。
認識に必要な最低抗原大きさをポリペプチドA5、A6、
A7、A8およびA9を用いてさらに試験した。第2表に示す
ように、ポリペプチドA5は5個のアミノ酸残基を有し、
A6〜A9の各員はA9において存在する9個の残基までポリ
ペプチド5よりも長さにおいて1個のアミノ酸残基づつ
増大する。試験抗血清は後述するELISA中のマイクロタ
イタープレートに結合させたときのこれらポリペプチド
と免疫反応しなかった。
A群ポリペプチドがヒト抗EBNA抗体の固相P62への結
合を抑制する能力についてのデータを次の第4表に示
す。
*これらの試験は第3表で述べたようにして行った。
殆んどすべての試験血清がA9により抑制されたが、極
めて高濃度を必要とした(等価の抑制に必要なP62また
はD1の濃度よりも100倍以上)。さらに、3つの血清がA
8と免疫反応し抑制され、1つの血清がA7により抑制さ
れた。短いポリペプチドA6とA5によっては抑制されなか
った。
即ち、ポリペプチドの大きさの低下に比較する免疫反
応性の低下は次の2つの効果に基づくようである:
(1)A群ポリペプチドによって示されるような抗体が
結合する抗原上の部位の欠落効果、および(2)D群ポ
リペプチドにより示されるような大きさが低下したとき
のポリペプチドのコンホメーションの変化。
3. コンホメーション 本発明のポリペプチドのコンホメーション性を円形二
色性(CD)分光法を用いて試験した。ポリペプチドP2
7、P60、P62、F13、F15およびF16のCDスペクトルを測定
した。データは、第1図に1部を示すが、好ましいアミ
ノ酸残基配列;即ち、−Gly−R1−Gly−R2−Gly(式
中、R1とR2は前述したとおりである)と−Gly−Ala−Gl
y−Gly−Ala−Gly−との両方を含む本発明のポリペプチ
ドは20℃の生理学的溶液中で比較的安定な二次構造また
はコンホメーションをとることを示している。これらポ
リペプチドの主要コンホメーションは比較的安定である
ので、ヒト抗EBNA抗体活性はこの特別のコンホメーショ
ンに応答して生ずるものと考えられる。
B.多量体 本発明はまた繰返し単位の少なくとも1つが前述のよ
うなポリペプチドである複数の結合ランダムコポリマー
ポリペプチド繰返し単位を含有する多量ポリペプチド
(多量体)に関する。
本発明の多量体は、単独または担体と結合させて、有
効量で哺乳動物宿主に投与したとき、EBNAに結合する抗
体の産性を誘起し得る。特に好ましい多量体はEBNAによ
って誘起されたヒト抗体を結合し得る本発明のCMV相同
性ポリペプチドである。
即ち、本発明の多量体は、その構成ポリペプチド同
様、免疫原性であり、ヒト抗EBNA抗体に対して抗原性で
ある。従って、これらの多量体は後述する診断方法およ
び組成物において有用である抗EBNA抗体の産生を誘起す
るのに使用でき、また適当な診断方法および組成物にお
いて抗原として使用できる。
総多量体中で約35個より少ないアミノ酸残基を有する
多量体は免疫原としての用途において担体に典型的に結
合する。全部で約35個以上のアミノ酸残基を含有する多
量体は担体なしで使用するのに典型的に十分に免疫原性
である。
ポリペプチド多量体は複数のポリペプチドモノマーを
前記の固相法を用いて頭−尾形で一緒に結合させること
により調製できる、即ち、1つの完成ポリペプチド配列
を樹脂上で合成し、次いで、1種以上の同じまたは異な
るポリペプチド配列を反応させて、その後、多量体単位
全体を樹脂から分離して前述のようにして使用する。そ
のような頭−尾ポリペプチド多量体は好ましくは約2〜
約4個のポリペプチド繰返し単位を含有する。
また、多量体はモノマーとして使用したランダムコポ
リマーポリペプチドのポリマーとして調製できる。本明
細書で使用するとき、その文字通りの“ポリマー”なる
用語はペプチド結合以外によって一緒に結合させた複数
のランダムコポリマーポリペプチド繰返し単位を含有す
るタイプの多量体として定義される。
本発明の一例としてのポリマーはアミノおよびカルボ
キシ末端の両方に加えたシスティン残基を含有する本発
明のポリペプチドモノマー(ジCysポリペプチド)を用
いて合成できる。このジCysポリペプチドモノマーは酸
化法を用いて分子内、共ポリペプチドシスティンジスル
フィド結合により一緒に結合して免疫原性で抗原性のポ
リマーを調製できる。かくして調製したポリマーは本発
明のランダムコポリマーポリペプチドと繰返し単位とし
て複数含有する。これらの繰返し単位は上記の酸化シス
ティン(シスチン)残基により一緒に結合する。
ポリペプチドを担体に結合させる目的またはポリマー
を調製するための本発明のポリペプチド中の1個または
2個の末端Cys残基の存在は本発明のポリペプチド繰返
し単位のアミノ酸配列を変るものと解釈すべきではな
い。
C.接 種 物 もう1つの実施態様において、本発明のポリペプチド
は薬学上許容し得る希釈剤中で用いて、有効量で投与し
たとき、EBNAと免疫反応する抗体を誘起し得る接種物ま
たはワクチンを生成する。
その文字通りの“接種物”なる用語は本明細書におい
ては本発明のポリペプチドをEBNAに対する抗体の産生に
用いる活性成分として含有する組成物を説明するのに用
いる。
ポリペプチドを用いて抗体を誘起させる場合、そのポ
リペプチドは単独、担体に結合させてあるいは多量体と
して使用できるものと理解すべきであるが、説明のし易
さにより、これらの変形物は以後必ずしも説明しない。
約35個よりも少ないアミノ酸残基を含有するポリペプ
チドにおいては、抗体の産生を誘起する目的で担体を用
いるのが好ましい。担体に結合させたポリペプチドを本
明細書では例示として用い、抗体を産生させる。
接種物はEBNAを発現する細胞を検出する診断アッセイ
において用いるための抗体を産生させるのに使用でき
る。この接種物によって産生させた抗体はEBNAをその細
胞表面に発現するBリンパ球に対する受動免疫を誘起す
るための調製物においても使用できる。
その文字通りの“ワクチン”なる用語は本明細書にお
いては本発明のポリペプチドを宿主動物において活性免
疫を誘起させるのに用いる活性成分として含有するタイ
プの接種物を説明するのに用いる。活性免疫は抗体の産
生を含むので、かくしてワクチンまたは接種物は同じ成
分を含有し得るが、その用途は異なる。殆んどの場合に
おいて、ワクチンの成分と接種物の成分は、動物におい
て有用な多くのアジュバントをヒトにおいては使用し得
ないので、異なる。
本接種物またはワクチンは、有効量の本発明のポリペ
プチドを、酸化したポリペプチド末端システィン残基を
介して一緒に結合させた個々のポリペプチドのポリマー
のような多量体として、または担体に結合させたコンジ
ュゲートとして含有する。しかしながら、説明をし易く
するため、本発明のポリペプチドの種々の実施態様は本
明細書においては用語“ポリペプチド”およびその種々
の文意形を一まとめにして使用する。
単位投与量当りのポリペプチドの有効量は、他の多く
の内から、接種した動物種、動物の体重および当該技術
において周知であるような接種法による。接種物および
ワクチンは接種(投与量)当り約10μg〜約500mgのポ
リペプチド濃度を含有する。このポリペプチド量は、担
体を使用したときは、担体重量を含まないポリペプチド
重量を云う。特定の例示としての接種物は後述するが、
担体+ポリペプチド(コンジュゲート)の重量を示す。
用語“単位投与量”とは動物用の1回投与として適す
る物理的に独立した単位を称し、各単位は所望の治療効
果を生ずるよう計算した所定量の活性物質を所定の希釈
剤、即ち、担体またはベヒクルと共に含有する。本発明
の新規な単位投与量の明細は(a)活性物質のユニーク
な特徴と達成すべき治療効果、および(b)明細書にお
いて詳述されているような動物での治療用の活性物質の
配合技術における固有の制限によって支配され直接依存
し、これらが本発明の特徴である。
接種物は乾燥固形ポリペプチド−コンジュゲートまた
はポリペプチドポリマーからこれらポリペプチド−コン
ジュゲートまたはポリペプチドポリマーを生理学的に許
容し得る(受入れ可能な)水、塩水またはリン酸塩緩衝
塩水のような希釈剤に懸濁させることにより典型的に調
製する。
接種物はまたアジュバントも含有し得る。完全フロイ
ントアジュバント(CFA)、不完全フロイントアジュバ
ント(IFA)およびアラムのようなアジュバントは当該
技術において周知の物質であり、幾つかの供給源から商
業的に入手できる。
D.レセプター 本発明のポリペプチドに対して産生した(本発明のポ
リペプチドによって誘起された)抗体および実質的な全
抗体並びにそのような抗体から調製した抗体結合部位は
本発明のさらにもう1つの実施態様に貢献する。これら
の分子はまとめて本明細書においてはレセプターと称す
る。レセプターはマウス、ウサギ、ウマ等の哺乳動物宿
主において前述の接種物を用いて免疫することによって
産生させる。
適当なモノクローナルレセプター、典型的には全抗体
は、また、Niman等、Proc.Natl.Sci.,U.S.A.,80:4949−
4953(1983)によって開示されたハイブリドーマ技術を
用いても調製できる。該文献の記載は参考として本明細
書に引用する。要約すれば、モノクローナルレセプター
を産生させるハイブリドーマを調製するには、ミエロー
マまたは他の自己永存性細胞系を本発明のポリペプチド
で高度免疫した動物のひ臓から得たリンパ球と融合させ
る。
ミエローマ細胞系はリンパ球と同じ種からのものであ
ることが好ましい。典型的には、系総129Glx+のマウス
が好ましい動物である。本発明の使用において適するマ
ウスミエローマにはハイポキサンチン−アミノプテリン
−チミジン感受性(HAT)細胞系P3×63−Ag8.653(ATCC
CRL1580)、およびSp2/0−Ag14(ATCC CRL1581)で
ある。
ひ臓細胞は典型的にはポリエチレングリコール(PE
G)1500を用いてミエローマ細胞と融合させる。融合ハ
イブリッドをそのHAFに対する感受性により選択する。
本発明のレセプター分子を産生するハイブリドーマは後
述の材料および方法の章III Dで述べる酵素結合イムノ
ソルベントアッセイ(ELISA)を用いて同定する。
モノクローナルレセプターはハイブリドーマ上清から
得るべきだけでなく、所望のハイブリドーマを導入した
動物の腹水から一般により濃縮した形で得ることができ
る。腹水を用いてのモノクローナル抗体の産生は周知で
ありさらに説明することはないであろう。
本発明のレセプターは該レセプターを産生させたポリ
ペプチドに結合しさらにまた本発明のポリペプチドが免
疫学的に模倣する相応するEBNA抗原決定基にも結合す
る。即ち、本発明のポリペプチドは免疫原および抗原の
両方であり得る。
本発明のレセプターは天然ポリクローナル抗体に比較
したときオリゴクローナルとしても説明できる、何故な
らば、本発明のレセプターはインタクトEBNA分子に比し
比較的少ないエピトープを有する免疫原に対して産生す
るからである。結果として、本発明のレセプターはポリ
ペプチドのエピトープに結合し、一方、EBNAに対して産
生した天然抗体はEBNA分子全体のエピトープに結合す
る。
ウサギ中で第1表に示したポリペプチドに対して産生
させた本発明の抗体結合部位を含有する例示としてのレ
セプター分子を、Towbin等、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.
A.,76:4350−4354(1979)およびBillings等、Proc.Nat
l.Acad.Sci.,U.S.A.,80:7104−7108(1983)のイムノブ
ロッティング法を用いて試験した。さらなる詳細は材料
および方法の章(III)で行う。
本研究のポリペプチドはすべて、たん白質担体にコン
ジュゲートとして結合させウサギ宿主中に有効量で後述
の接種物で接種したとき、ウサギ抗ポリペプチド抗体を
誘起したことが判明した。これらのレセプター分子はEB
V形質転換ヒトBリンパ球細胞系WI−L2、RajiおよびDau
diから単離したインタクトEBNAたん白質を認識した。こ
れらの試験のデータは一部第2図に示す。コントロール
試験においては、EBV感染に陰性のBリンパ球のたん白
質抽出物(BJAB細胞;カルホルニア州ラジョラのスクリ
ップス クリニック アンド リサーチ ファンデーシ
ョンより入手できる)は抗ポリペプチド抗血清と反応性
のバンドを得ることができなかった。これらのデータは
本発明の例示としてのレセプター分子がEBV感染特異的
たん白質と免疫反応することを示す。
さらに、インタクトEBNAたん白質に対してのウサギ抗
ポリペプチド抗体の免疫反応性は、これも第2図に示す
ように、抗原として用いた本発明の誘起性免疫原性ポリ
ペプチドによってブロックできることも判った。これら
の結果は抗ポリペプチド抗血清のイデオタイプ(抗体結
合部位)がEBNA抗原決定基に特異性であることを示す。
ポリペプチドP62に対するウサギ抗ポリペプチド抗体
を拮抗試験に用いてポリペプチドP27、P62、P60およびP
89の抗原関連性を試験した。この抗体は後述のELISAに
おいてコンジュゲートおよび非コンジュゲート各ポリペ
プチドと高度に交差反応した。固相のポリペプチドP62
に対する抗ポリペプチドP62の結合性は先ず該抗体をポ
リペプチドP62とインキュベートすることにより98%抑
制された。同じ方法において、ポリペプチドP62に対す
る抗ポリペプチドの結合性はポリペプチドP60により81
%、ポリペプチドP27により36%抑制された。ポリペプ
チドP89は抗ポリペプチドP62の反応性を全く抑制しなか
った。
ヒトEBV−免疫血清中の抗体が上記抗原決定基を認識
するか否かを測定するために、拮抗試験をEBV免疫リウ
マチ様関節炎患者の血清(血清1011)を用いて行った。
第3図に示す結果は抗ポリペプチドP62を用いたとき得
られた結果と同様であった。このことはポリペプチドP2
7、P62およびP60が共有する抗原決定基がEBNAの天然免
疫原決定基を模倣していることを示す。
E.診断アッセイ系および方法 本発明のポリペプチド、該ポリペプチドに対して産生
した抗体および抗体結合部位、並びに方法はイムノアッ
セイのような診断試験においても使用できる。そのよう
な診断法には、例えば、エンザイムイムノアッセイ、エ
ンザイムマルチプルドイムノアッセイ法(EMIT)、エン
ザイム−リンクドイムノソルベントアッセイ(ELIS
A)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセ
イ、1段または2段抗体法、およびレセプターまたは抗
原をある検出可能な標識または手段で標識した他の方法
がある。一般的には、Maggio,Enzyme Immunoassay,CRC
Press社刊、オハイオ州クリーブランド(1981);およ
びGolgman,M.,Fluorescent Antibody Methods,Academic
Press社、ニューヨーク州ニューヨーク、(1980)を参
照されたい。そのような診断方法を実施するのに有用な
アッセイ方法および系の特定の例は後述する。
1.EBNAのアッセイ 生体サンプル中のEBNAの存在をアッセイする方法も本
発明において意図される。一般的な方法においては、ア
ッセイすべき生体サンプルを用意し、本発明のランダム
コポリマーポリペプチドに対して産生させた抗体結合部
位を含有するレセプター分子と混合する。混合物をレセ
プター分子が生体サンプル中に存在するEBNAと免疫反応
するのに十分な所定時間維持する。次いで、この免疫反
応の量を測定してEBNA分子がアッセイした生体サンプル
中に存在するかしないかを測定する。
生体サンプルの1つのアリコート中に存在するEBNAを
検出するのに有用である本発明の1つの局面を具体化す
るキット形の診断系は、本発明のポリペプチドに対して
産生させた抗体、実質的な全抗体またはFabおよびF(a
b′)抗体部分のような本発明のレセプター分子を1
つのパッケージで含有する。この系はまたレセプターと
抗原間の免疫反応の存在を示す指示手段も含む。
典型的な指示手段には125Iおよび131Iのようなラジオ
アイソトープ、アルカリホスホターゼ、ホースラディシ
ュパーオキシダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼお
よびグルコースオキシダーゼのような酵素、およびフル
オレセインおよびローダミンのようなフルオロクロム染
料がある。指示手段は本発明のレセプターに直接結合で
きる。指示手段はまた第2抗体、抗体結合部位または本
発明のレセプターと反応(結合)するスタフィロコッカ
スアウレウス(S.aureus)プロティンAのような別個の
分子に結合し得る。そのような別個の分子指示手段の特
定の例は125I標識S.アウレウスプロティンAである。
指示手段は免疫反応生成物を検出可能にし、本発明の
レセプターに直接結合させない場合レセプターと別々に
パッケージする。アセトン固定末梢血リンパ球(PBL)
塗沫物のような生体サンプルと混合する場合、レセプタ
ー分子はEBNAと免疫反応して免疫反応物を生成し、次い
で、存在する指示手段は免疫反応生成物の生成を示す。
EBNA診断方法の1つの実施態様は増幅試薬を含有する
イムノ蛍光アッセイである。そのようなアッセイにおい
ては、PBL塗沫物を平坦な顕微鏡スライドにアセトン固
定する。本発明によって産生させた、例えば、ウサギ中
で一般に約10〜約500μg産生させた抗体のアリコート
を周知の方法を用いて上記のスライドと接触させる。
本発明の未免疫反応抗体を洗い落したのち、スライド
上の非特異結合部位を、必要に応じて、牛血清アルブミ
ン(BSA)のようなたん白質で典型的にブロックする。
次いで、補体または抗免疫グロブリン抗体のような第2
試薬(増幅剤)、例えば、モルモット補体を試験スライ
ド上でインキュベートし得る。
この第2インキュベーションの後、増幅剤の未反応物
を洗浄によるようにして除去してアッセイスライド上に
第1抗体に結合したもののみを残存させる。第3試薬
(指示手段)、例えば、ヤギ抗モルモット補体のような
抗体を試験スライド上でインキュベートする。第3試薬
は当該技術において周知のフルオレスセインイソシアネ
ート(FITC)、ローダミンBイソシアネート(RITC)、
テトラメチルローダミンイソシアネート(TRITC)、4,
4′−ジイソチオシアノスチルベン−2,2′−ジスルホン
酸(DIDS)等のフルオロクロム染料に結合させることに
よって標識する。
すべての未反応第3試薬を上記第3のインキュベーシ
ョン後に洗い落して試験スライド上に上記補体を結合し
たすべてのFITC標識ヤギ抗モルモット補体を残存させ
る。FICT標識第3試薬の存在を蛍光分光法を用いて検出
しそれによってEBV感染を指示し得る。
EBVに感染したことが分っているBリンパ球をEBNAの
存在について上述のまた材料および方法の章IIIでもっ
と詳しく述べるイムノ蛍光アッセイ方法を用いて試験し
た。第1表に示したポリペプチドの各々に対して産生さ
せたウサギ抗体はEBV感染細胞系WI−L2中のEBNAを検出
できた。
上記のアッセイ法を実施するのに有用な好ましくはキ
ット形の好ましい診断系は、別々のパッケージで、
(a)EBNAと免疫反応する本発明のレセプター(抗
体)、(b)該レセプターと反応するモルモット補体の
ような補体、抗免疫グロブリン抗体またはS.アウレウス
プロティンAのような第2の増幅試薬、および(c)該
増幅手段に直接結合し得るかあるいは該増幅試薬と反応
する抗体または抗体部分のような別個の分子部分であり
得る指示手段とを含む。指示手段はレセプター分子とEB
NAとの免疫反応を増幅剤の仲介により間接的に指示す
る。
上述の診断系のレセプター分子および別個の指示手
段、並びに上述の増幅試薬は溶液として、液体分散体と
してまたは例えば凍結乾燥形の実質的な粉末として調製
できる。指示手段が増幅剤と別の分子である場合、その
指示手段は別個にパッケージすることが好ましい。指示
手段が酵素である場合、酵素基質もまた系の別個のパッ
ケージで提供し得る。前述したような顕微鏡スライドの
ような固形支持体、1種以上の緩衝液およびアセトンも
また本診断アッセイ系の別個のパッケージ要素として含
ませ得る。
診断系に関連して述べた上記のパッケージは診断系に
おいて通常使用するパッケージである。そのようなパッ
ケージにはガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリカー
ボネート)びん、バイアル、プラスチックおよびプラス
チックホイルラミネート包装材等がある。
全体のインタクトな生物学的に活性な抗体は上述のイ
ムノ蛍光アッセイのような多くの診断系において必要で
ない。むしろ、免疫学的に活性なイデオタイプ含有抗原
結合および認識レセプター部位、例えば、抗体分子の抗
体結合部位のみを使用してもよい。そのような抗体結合
部位の例は、パパインおよびペプシンをそれぞれ当該技
術において周知のようにして用いたたん白質分解により
調製したFabおよびF(ab′)抗体部分として当該技
術において周知のものである。
2. 抗EBNA抗体のアッセイ (a) アッセイ一般 本発明のもう1つの診断方法は抗体含有液体生体サン
プル中の抗EBNA抗体を検出するELISAのようなアッセイ
である。そこで、ポリペプチドP62、C1、C2、C3のよう
な本発明のEBV相同性またはCMV相同性ポリペプチドを抗
原として用い、好ましくは、ファルマシアファィンケミ
カルズ社(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から商
品名シェファデックス(SEPHADEX)として入手できる架
橋デキストラン、アガロース、ガラスビース、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、架橋アクリルアミド、ニトロセ
ルロース、マイクロタイタープレートのウェル、または
浸漬棒もしくはスプーンの表面のような固形マトリック
スに結合(吸着)させるかあるいは他の方法で結合また
は固定させて固形支持体を調製する。
上記EBVまたはCMV相同性ポリペプチドをアッセイすべ
き液体生体サンプルと混合する。かくして調製した免疫
反応混合物を生体サンプル中に存在する抗EBNA抗体がポ
リペプチドと免疫反応するに十分な所要時間維持する。
次いで、この免疫反応の存在を支持手段によるようにし
て測定してアッセイした生体サンプル中の抗EBNA抗体の
存在を指示する。
上記方法を用いる1つの例示としてのELISAは材料お
よび方法の章で後述するような不透明2重ウェルプラス
チックスプーンのポリスチレンまたはポリ塩化ビニル製
の12または24ウェルマイクロタイタープレートのウェル
等の固形マトリックス上に吸着(固定)させた本発明の
EBVまたはCMV相同性ポリペプチドを含む固形支持体を用
いる。固形マトリックス上の非特異結合部位はその後ウ
シ血清アルブミン(BSA)のような抗EBNA抗体が結合ま
たは免疫反応する配列を含有しないたん白質で典型的に
ブロックする。未結合ポリペプチドおよびBSAはマトリ
ックスから洗浄によるようにして除去する。
ヒト唾液、血清、血液または血漿のような生体サンプ
ルを上記の固形支持体と混合して固相および液相を含有
する免疫反応混合物を調製する。この固/液相混合物を
生体サンプル中の抗EBNAがポリペプチド抗原と免疫反応
し固相に結合した免疫反応物を生成するに十分な時間
(例えば、2〜60分間)維持する。固相と液相はその後
一般に分離する。
第1の上記抗EBNA抗体と反応する第2の標識指示手段
含有抗体、抗体結合部位またはS.アウレウス プロティ
ンAの溶液をその後上記の固相と混合してもう1つのま
たは第2の固/液相免疫反応混合物を調製する。1つの
例示としての第2抗体は第1抗体がヒト生体サンプルか
らの場合ホースラーディシュ(西洋わさび)パーオキシ
ダーゼ(HRPO)標識ヤギ抗ヒトIg抗体である。さらなる
有用な酵素標識にはアルカリホスホターゼ、ベーターD
−ガラクトシダーゼおよびグルコースオキシダーゼがあ
る。固相および第2の標識抗体溶液から調製した混合物
は2つの抗体間の免疫反応のような第1抗体と指示手段
含有物間で第2の固相結合免疫反応物を生成するのに十
分な所定時間(例えば、2〜30分間)維持する。固相と
液相はその後分離する。
上述の第2抗体はまたマウス抗IgG、抗IgMまたは抗Ig
Aモノクローナル抗体のような免疫グロブリン(例え
ば、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgD)また群またはその
結合部位含有部分の1つのみに特異性であり免疫反応す
る。そのような抗体は、後の第6〜10表で示すように、
生体サンプル中に存在する抗EBNA抗体の免疫グロブリン
群を同定する能力を有する。さらに、第2抗体または抗
体結合部位は免疫グロブリン短鎖の2つのタイプ(例え
ば、カッパまたはラムダ)の1つのみに特異性であり免
疫反応する。これらの抗体は生体サンプル中に存在する
免疫グロブリン分子のアイソタイプを同定する能力を有
する。
パーオキシダーゼ用の過酸化水素のような酵素標識用
の基質およびアルカリホスホターゼ用のo−フェニレン
ジアミドまたはp−ニトロフェニルホスフェートのよう
なカラー形成性染料を含有する溶液を、その後、固相と
混合し、この混合物をさらに所定時間維持する。次い
で、所定波長(例えば、各々、490または405ナノメータ
ー)での光学濃度を所定時間経過(例えば60分)後に測
定し、コントロールの光学濃度と比較して抗EBNA抗体が
生体サンプル中に存在するかどうかを決定する。
上記のアッセイのもう1つの実施態様においては、2
つの固形支持体を用いる。各固形支持体は固形マトリッ
クスに固定させたEBV相同性ランダムコポリマーポリペ
プチドを含む。
血液、血漿または血清のような患者液体生体サンプル
の第1のアリコートを第1の固形支持体と混合して固/
液相混合物を調製する。混合物をサンプル中に存在する
抗EBNA抗体がポリペプチドと免疫反応して抗EBNA抗体を
含有する固相結合免疫反応物を生成するのに十分な所定
時間(例えば、約2〜30分間)維持する。同じような工
程を患者液体生体サンプルの第2アリコートと第2固形
支持体とで行う。もちろん、第1および第2の各アリコ
ートはその各々の固相支持体と任意の順序であるいは同
時に混合し得る。
上記の混合および維持工程から得た固相および液相を
分離したのち、第1固形支持体とその免疫反応物中に存
在する固相結合抗EBNA抗体を水性液媒中で標識抗ヒトIg
G抗体と混合する。この混合物を抗IgG抗体が存在する固
相結合ヒトIgG抗体と免疫反応するに十分な時間維持す
る。第2固形支持体と存在する固相結合抗体も同様に混
合し、標識抗ヒトIgM抗体と維持する。
その後、標識抗IgGと抗IgM抗体の相対量を測定する。
第6〜10表において後程示すように、抗IgGよりも比較
的多量の標識抗IgMの存在は患者がEBV−IM感染の急性状
態にあることを示し、一方、抗IgMよりも比較的多量の
標識抗IgGの存在は患者が病気の回復期にあることを示
す。およそ等量の抗IgMと抗IgGは患者が急性から回復状
態に通過しつつあることを示す。
本発明のもう1つの実施態様は、ポリスチレン24のウ
ェルマイクロタイターストリップまたは2重ウェル“ス
プーン”のような固形マトリックスと、この固形マトリ
ックスに吸着(結合)または他の方法で固定させて固形
マトリックスを形成している本発明のEBVまたはCMV相同
性ポリペプチドとを含む固形支持体を含むキット形の診
断系を含む。この系は好ましくはパーオキシダーゼ標識
ヤギ抗ヒトIg抗体のような結合指示手段を有する別個に
パッケージされた抗ヒトIg抗体も含み得、また、過酸化
水素のような上記結合指示手段用の基質およびo−フェ
ニレンジアミンのようなカラー形成染料プレカーサーを
もさらなる別個のパッケージにおいて含み得る。これら
の抗ヒトIg抗体は、前述したように、ヒトIgM、IgG、Ig
AまたはIgEのみとまたはヒト抗体すべてと特異的に免疫
反応する抗体であり得る。安定化した過酸化水素もキッ
ト中に含ませ得あるいは末端ユーザーが供給してもよ
い。この系を用いるアッセイにおいて有用なバッファー
塩も1個以上の別個のパッケージにおいて乾燥または液
体形で含ませ得る。ヒト抗EBNA抗体および抗EBNA抗体を
含まないヒト抗体(健常ヒト抗体)を含有する別々のパ
ッケージも、各々、陽性および陰性コントロールとして
含ませ得る。少なくとも1つのアッセイを行うのに十分
な上記各成分の量をキット中に含ませ、血清のような生
体サンプル中の抗EBNAの存在のためのアッセイを前述の
方法を用いてこの診断系によって行い得る。
(b) EBV−IMのアッセイ 前述しさらに後の材料および方法の章(III)で詳述
するELISAと同様な1つの例示としてのELISAを用いて前
述の抗補体イムノ蛍光法(ACIF)を用いて確認した抗EB
NA陽性セロタイプを有する91人の血清中の抗ポリペプチ
ド免疫グロブリンの存在についてスクリーニングした。
各血清を1:20希釈でアッセイした場合、91人すべてがポ
リペプチドP27、P62、P60およびF16、F14およびF15に対
し陽性であった(即ち、結合した)。1:320の高希釈で
おいてさえも、91のうちの83がELISA中のポリペプチドP
62と免疫反応した。即ち、ACIFで確認した抗FBNA抗体価
と各血清の抗ペプチド活性との間に優れた相関があるよ
うである。
さらに、上記の結果はACIF法と使用するのに簡単で容
易である本発明のELISA法との間の優れた相関を示して
いる。さらにまた、上記の結果は抗EBNA抗体の診断アッ
セイにおける本発明のポリペプチドの有用性を示してい
る。
下記の第5表はEBV誘起感染性単核症(IMS即ち、EBV
−IM)にかかる前後の2人の対象者(SBおよびMV)から
得た血清の反応性を示す。両方の場合において、ポリペ
プチドP27、P62およびP60に結合する抗体は感染前には
存在しなかったが感染後に出現した。これに対し、ポリ
ペプチドP89に結合した抗体はこれら2人血清のいずれ
によっても産生しなかった。
さらなる試験において、27人のEBV非免疫ドナーの以
前に報告されたパネル〔Catalano等、J.Clin.Invest.,6
5:1238−1245(1980)〕からの保存血清を上記ELISA中
のポリペプチドP62およびP60への結合性についてスクリ
ーニングした。使用した血清のEBV免疫状態はエプスタ
イン・バールウィルス外皮抗原(VCA)の存在または不
存在により決定した。VCAに対する血清抗体を有さない
者(VCA-)はEBVに感染しない。VCA陽性(VCA+)者はEB
V感染を有し典型的には低レベルの抗EBNA抗体を有して
いる。次の第5表から理解できるようにいずれのポリペ
プチドに対しても有意の反応性を示す血清はなかった。
1. 血清はすべて1:20希釈で試験した。
2. 光学濃度は基質インキュベーション30分後に405ナ
ノメーター光波長で測定した。
3. 現在EBV関連疾患の臨床的兆候を示さない人からのV
CA+血清 4. VCAに対する抗体の不存在によって示されるよう
に、現在または過去においてEBV関連疾患の臨床的兆候
を示さない27人からの血清 5. 平均光学濃度±1標準偏差 6. 測定せず 感染進行中の上記ELISAとACIF診断法との相関を試験
するために、8人の大学令学生からの保存血清を感染性
単核症(IM)の発症後順次集め、ポリペプチドP62を用
いて上記のELISA法で試験した。すべての学生は、古典
的な方法、つまりACIF法〔Henle等、J.Infect.Dis.130:
231−239(1974)〕により測定したところ、感染後1ヶ
月〜1年の間、抗EBNA価を示した。
学生の半数において、抗P62抗体は第4図の患者15で
示されるように相応する抗EBNA価に比例して上昇した。
他の半数においては、ポリペプチドP62に対する抗体を
症状発症後最初の1ケ月で検出したが、これらの抗体は
ACIF法を用いてはそれより後で検出した。これらの結果
は第5図の患者14と2において示される。従って、抗P6
2抗体は抗EBNA抗体が標準の抗補体イムノ蛍光アッセイ
で検出できる前に本発明のELISAを用いて検出可能であ
った。
感染性単核症の進行中の与えられた時間で個々人の免
疫応答に主として応答性である免疫グロブリンの群を区
別するために、ヒトIgGまたはIgMに特異性の第2(指
示)抗体を方法および材料の章(III)で述べるようなE
LISAにおいて使用した。下記の第6表はELISA中のポリ
ペプチドP62に対して測定したEBV感染中の異なる時点か
らの2人の患者の血清による本試験の結果を示す。
1. 患者IgM値はヒトIgMに特異性の第2抗体を用いて測
定した。
2. 患者IgG値はヒトIgGに特異性の第2抗体を用いて測
定した。
3. 光学濃度は405ナノメーターの光波長で測定した。
4. 測定せず。
このELISAを用いることにより、IgM抗体価の出現は、
小さいけれども、再現可能でありすべての順次的試験血
清において見い出された。ELISAアッセイにより測定し
た免疫応答はIgMがEBV感染中のIgG前に出現する点で正
常である。IgG抗体前のIgM抗体の出現は第6表の患者15
において特に良好に示されている。上記の結果はEBVに
よる感染が本発明の少なくとも1つのポリペプチドと反
応する抗体の産生を生ずることを再び示している。
より大規模の抗ポリペプチド試験において、前述の19
人のVCA-血清パネルをポリペプチドP27、P62、P60、F1
2、F13、F14、F15およびF16に対してスクリーニングし
た。陽性に反応したVCA-血清は見い出なかった。VCA抗
体陽性の臨床的に正常な個々人からの血清を2種の希釈
率で試験した。典型的な結果は、下記の第7表で示すよ
うに、すべてのVCA+個々人が陽性、即ち、ポリペプチド
の各々に対して結合する抗体を有していた。
多数のリウマチ様関節炎(RA)患者の血清も上記ELIS
Aでスクリーニングした。これらの結果も第7表に要約
する。
1. 活性は30分間の血清インキュベーション後に405ナ
ノメーターの光波長での光学濃度として測定した。
2. VCA陰性個々人 3. 血清を試験した希釈率 4. VCA陽性個々人 5. リウマチ様関節炎を有すると診断された個々人 健常VCA陽性(コントロール)とRA患者間の差は血清
希釈1:320で最も良く理解できる。RA患者の抗体価はウ
ィルコックスランクサム(Wilcox Rank Sum)法を用い
て分析したときこの希釈率で試験した各ポリペプチド毎
に有意に高かった(99%以上の有意値)。
ショーグレーン病、全身性紅斑狼瘡(SLE)および進
行性全身硬化症(PSS)を有する患者も高および低血清
希釈の両方でスクリーニングした。これら患者群と健常
者間の唯一の差はポリペプチドP27、P62、P60、F16、F1
4およびF15に対するPSS患者の比較的高い平均力価であ
った。これらの結果は以前のEBV関連疾患またはこれら
自己免疫疾患でのEBVの内在に恐らく基づくものと考え
られる。これらのデータは診断方法としてのELISAの有
用性を損うものでない。
IgM抗体とIgG抗体の相対量はかくして個々人の病気の
相対的段階を決定するのに用い得る。(1)上昇し次い
で低下し、かつIgG抗EBNA抗体産生と重複しIgG抗体の蓄
積時まで続くIgM抗EBNA抗体産生の前述の反応期応答、
および(2)この反応期応答が続く事実からして、病気
の早い段階でのIgMの通常の出現値は回復段階のIgGに変
る。
即ち、第6表のデータは病気の早期の急性段階中は、
抗EBNA IgG抗体よりも多量の抗EBNA IgM抗体が存在す
ることを示している。IgG値はその後回復中に上昇し始
めその間IgM値は低下し、両方の値は交差する、即ち、I
gG対IgMの比は急性段階と回復段階とのある時点で1で
ある。
これらの知見は一次免疫および病気の状態についての
通常の知見と一般的に一致する〔例えば、Hood等、Immu
nology The Benjamin/Cummings Publishing社、カルホ
ルニア州メンローパーク(1978)39−46頁;MimsおよびW
hite,Viral Pathogenesis and Immunology,Blackwell
Scientific Publications社、ボストン(1984)105−1
06頁;およびImmunology、第2版、Bach編、John Wiley
& Sons社、ニューヨーク(1982)、337−339頁を参照
されたい〕。これらの知見はIgG抗体が感染の早期、例
えば、2日間により多量に存在し、IgM抗体は約3ケ月
に亘って上昇し、ピークに達し低下し急性期の数ケ月後
に消失するという抗VCA IgM抗体とIgG抗体の状況とは
相反する〔Cecil,Textbook of Medicine,Beeson等編、
W.B.Saunders社、ペンシルバニア(1979)264−268
頁〕。
これらの知見はまたある点ではHenle等、J.Infect.Di
s.130:231−239(1974)の知見とは相反する。これらの
研究者は2、3の血清において発症後2〜4週間後の低
力価の抗EBNA抗体の出現を報告し、低いが比較的高力価
が発症後の第2月から発症後12ケ月での彼等の研究の終
了までにおいて発症からの時間が長くなるにつれて1つ
以上の血清において出現しているとしている。これらの
著者が用いた方法は比較的不感度であり恐らくわずかに
しかIgG抗体を測定しなったであろう。即ち、回復段階
における抗体の検知し得る出現を予期できた。さらに最
近、Adniman等、Chapter 33 in Concepts in Viral Pat
hogenesis II、NotkinsおよびOldstone編、Springer−V
erlag社、ニューヨーク(1986)、326頁は、抗体群を同
定することなしに、抗EBNA抗体は通常感染後1〜2ケ月
後に出現し始めると報告している。
第6表に示す結果はIgGおよびIgM抗EBNA抗体の相応量
を、本発明のポリペプチドをこれら抗体用の抗原として
用いて比較しEBV−IMの段階、即ち、急性と回復の診断
を行う効果をさらに強く示している。これらの結果の幾
つかはSmith等、J.Infect.Dis.,154:885−889(1986年1
1月)に示されており、その記載は参考として本明細書
に引用する。該論文からの幾つかの例示としてのデータ
を第8表に示す。
1. OD490=材料および方法の章III kで述べるようにし
て測定した490ナノメーターでの光学濃度 2. 異好陰性ドナーからの血清 3. 異好陽性ドナーからの血清 第8表の結果はIgM抗ポリペプチド抗体の時間につれ
ての上昇と低下を報告し、そのIgMの低下はアッセイ期
間開始時に異好陰性および陽性であった両方の患者のIg
G抗ポリペプチド抗体の上昇と相応している。EBVのウィ
ルス外皮抗原(VAC)に対する抗体(IgMおよび/または
IgG)はすべてにおいて存在するが1つの血清サンプル
を全部で13人の患者の研究において試験した。
異好陰性患者の1人および3人の異好陽性患者の2人
からの血清は病気発症後短時間で比較的高いIgG抗EBNA
ポリペプチド抗体を有していた。しかしながら、IgG対I
gMの比は、最初は1より大であったけれども、各患者に
おいて増大し;各血清サンプルはIgG抗ペプチド抗体値
の遅れた重複上昇と伴ってIgM抗ポリペプチド抗体値の
一般的な低下を示した。即ち、試験した患者血清のすべ
てにおいて、存在するIgG抗ペプチド抗体対IgM抗ポリペ
プチド抗体の増大比は最大のIgG応答が観察されたとき
の病気の回復期を予告した。
血液サンプルをIMを有すると臨床的に診断された、あ
るいは、臨床データを入手することができない場合は血
清中に異好性抗体を含有することが測定された19人から
得た。これらのサンプルをポリペプチドP62を固相結合
抗原として用いた本発明のELISAアッセイを用いてアッ
セイした。これら血清のIgG、IgMおよびIgA値を測定
し、抗EBNA IgGとIgMの値を比として比較した。IgA値
は認知し得る相関を示さなかった。このIgGとIgMのアッ
セイの結果を下記の第9表に示す。
1. OD490=材料および方法の章III Kで述べるようにし
て測定した490nmでの光学濃度 2. 血清は比較的高いIgA値、即ち、0.300のOD490以上
を有する。
第9表のデータは、再び、活性な急性病を有する患者
からの血清がIgGの値と比較したときポリペプチド抗原
に結合した比較的高値のIgM EBNA抗体を含有していた
ことを示している。これらのデータはまた第5表に示す
ようなVCA-患者からの血清に比較しても高値の抗EBNA抗
体を示す。無視し得る量のIgG抗ポリペプチド抗体の存
在はHenle等、J.Infect.Dis.,130:231−239(1974)の
観察と一致している。
約10%の急性EBV誘起IMからの血清は通常の血清学で
測定したとき異好抗体を含まない。異好抗体と抗EBNA抗
体は無関係であるべきであるので、異好陰性IM患者から
の追加の血清の幾つかを第9表で用いたアッセイにおい
て分析した。結果は下記の第10表に示す。これらの患者
は臨床的にあるいは通常のEBV血清学により急性IMを有
することを確認した。各血清は陽性のVCA−IgMとEBV早
期抗原散在(EA−D)価を有し、これらは陰性EBNA価
(ACIFによる)に関連して、異好抗体の存在にもかかわ
らず、急性IMの特徴と通常みなされる。
1. 第8表の注1参照 2. 各血清サンプルはVCA−IgMとEA−Dについてアッセ
イし陽性として判明しACIFによりEBNA抗体について陰性
とした。
上記したすべての場合において、抗EBNAポリペプチド
ELISAでのIgG対IgMの比は1.0より小でかつまた0.7より
小であった。これらのデータからは、抗EBNAポリペプチ
ドP62ELISAが、IgG/IgM抗ポリペプチド比識別手段を上
記ELISAデータに応用したとき、異好陰性者のIMを検出
できることが明らかである。
異好抗体とIgM抗ポリペプチド抗体の存在と本発明の
アッセイにより得られた抗ポリペプチドの早期検出の無
関係性のさらなる説明を下記の第11表のデータにより示
す。これらのデータはまたACIFに比し本発明のアッセイ
を用いたこれら抗体の早期検出に関する第5表のデータ
を補足する。
それで、8組の対血清を異好抗体用の通常の市販アッ
セイおよび抗ポリペプチドP62ELISAによりアッセイし
た。各場合において、第1回の血清試験は前者の方法で
陰性であり後者の方法では陽性であった。個々人は第1
回の採血時にIMの症候を示した。従って、これらの患者
においては、IgM抗ポリペプチドP62抗体は、通常の血清
学により確認したとき、異好抗体に先立って血清中に出
現した。表中の最初の2つの場合は、採血日間の日数
は、各々、14日と8日であった。
1. 第8表の注1参照 2. 第1回の血清採血は急性IMの症候の発生時に得た。
第2の採血は同じ患者からその後まもなくして得た。急
性IMは各ケースにおいて異好抗体の最終的な存在により
確認した。
3. 異好抗体の存在は市販のキットを用いて測定した。
前述の比率アッセイは、抗P62抗体の存在を測定する
定量的局面を有しているけれども、抗P62IgMおよびIgG
抗体の相対量がヒト生体サンプル中に存在していること
を定量的に確認するために主として用いる。この定量ア
ッセイは固相支持体を調製したのち行うのに通常2.5時
間を要する。
固相支持体の調製後約6分よりもわずかに多くしか要
さないより定量的な比率アッセイも開発した。このアッ
セイは上述のアッセイと同様の方法論と化学を用いる
が、前述した指示手段と基質により発生させたカラー強
度の目視比較に依存してアッセイしたサンプル中に存在
する抗ペプチドP62IgGおよびIgM抗体の相対量およびそ
れによっての病気の状態が急性か、回復期かあるいは急
性から回復への途中であるかを確認する。
好ましい実施態様においては、固相支持体は白色不透
明ポリスチレン“スプーン”マトリックスからなる。固
相“スプーン”マトリックスはポリペプチドP62を固定
させる2つの隣接ウェルを含むように構成させる。各ウ
ェルは立上ったダムで分離されており、このダムは液体
が1つのウェルから他方のウェルへ入り込むのを防止す
るように働く。
抗IgMおよび抗IgG抗体のアッセイはこれまで一般的に
述べて来たようにして別々に実施できるが、好ましくは
並行して(各抗体タイプの分析を各ウェル中で)実質的
に同時に行う。さらに、光学濃度値または他の標識信号
を機械的に測定するよりもむしろ、使用者は各ウェルの
カラー強度を目で単に比較する。
このアッセイは、前述したアッセイの時間の約1/10し
か必要としないが、極めて高い特異性と感度を示す。さ
らに、ドクターと患者がアッセイの結果を患者が居なが
らにして見ることができるように医師の仕事場での使用
に適している。
このアッセイのさらなる詳細は材料および方法の章II
I Dにおいて述べる。
(c)EBV−IMおよびCMV−IMのアッセイ エプスタイン・バール核抗原はアミノ酸グリシンとア
ラニンのみを含有する200個のアミノ酸の特異な配列を
含有している。これらの配列から調製したペプチドは、
前述したように、VCA陽性者からの血清と免疫反応性で
ある。さらにまた、この配列からのペプチド、P62は急
性EBV感染を有する患者からの血清と最も免疫反応性で
ある〔Rhodes等、Herpesvirus,R.Rapp編、Alan R.Liss
社、ニューヨーク、487−496(1984);Rhodes等、J.Imm
unology,134:211−216(1985);Smith等、J.Infect.Di
s.,154:885−889(1986);Geltosky等、J.Clin Lab Ana
lysis 1:153−162(1987)〕。急性EBV−IMを有する患
者は幾つかのEBV陽性細胞系〔Getosky等、J.Clin Lab
Analysis,1:153:162(1987);Rhodes等、J Exp Med,16
5:1026−1040〕中のEBNAたん白質に対するIgM抗体をイ
ムノブロッティング法で検出したときに有する。
後で説明する結果はEBV−IMからだけでなくサイトメ
ガロウィルス(CMV)誘起単核症様疾患(CMV−IM)から
の順次的血清は病気の急性期中にEBNAP62エピトープに
特異的なIgM抗体を有することを示している。急性CMV感
染を有する8人の患者から採取した順次的血清サンプル
はすべて急性期においてIgM抗P62抗体の鋭敏な上昇を示
す。この同じ応答は過去のEBV感染を有する患者並びにE
BVの前にCMVに感染した1人において見られる。急性EBV
および急性CMV感染IM患者両方からの血清のイムノブロ
ッティングは同じ群のIgM抗体が両ウィルスによって誘
起されることおよびその抗体が未感染細胞中に存在する
多くの正常細胞たん白質と反応することを示した。即
ち、これらIgM抗体の存在はEBVまたはCMVのいずれかに
よる急性感染の診断である。
(i)EBV−IMの患者からの順次的血清は急性病期にお
いてP62およびEBNA−1に対するIgM抗体を有する ペプチドEBNAP62を認識するIgM抗体はEBV−IMの急性
期においてELISAアッセイにおいて検出される〔Rhode
等、Herpesvirus,R.Rapp編、Alan R.Liss社、ニューヨ
ーク、487−496(1984);Rhodes等、J.Immunology,134:
211−216(1885);Smith等、J.Infect.Dis.,154:885−8
89(1986);およびGeltosky等、J.Clin.Lab Analysis,
1:153−162(1987)〕。これらの観察はD.B.即ちEBV−I
Mを有する患者からの順次的血清をEBNAP62ELISAにより
免疫反応性について分析したときに確認された(第6
図)。
これらのデータは伝統的なIFA法による抗EBNAなしでV
CA IgMおよびIgG抗体(1:2)の早期の上昇に相応する
病気の急性期(1985年1月〜3月)におけるIgM抗体の
早期上昇を示している。この患者からの血清は病気の急
性期後の1985年3月−5月試料においてピークであるP6
2に対するIgG抗体のゆっくりした上昇を有していた。Ig
G/IgM比は患者が病気の後期回復期であった1985年5月
の試料において0.7を越えた。この時点で、抗EBNA価は
含まれVCA−IgM価は通常のEBV血清学によりわずかに検
出できた。
病気の急性期中のIgM級特異性抗体の劇的な上昇はイ
ムノブロッティング法により確認した(第7図)。上記
ELISAで用いた同じ血清サンプルをイムノブロッティン
グ試験において用いてEBV形質転換B細胞系中に存在す
る抗原を検出した。
第7図から理解できるように、患者血清中に存在する
IgM抗体は抽出物中の1連の8ケの主要バンドとそれ以
上の小バンドを認識する。これらたん白質の殆んどに対
してのIgM抗体は最初の2つの血清サンプルにおいて上
昇し、3番目のサンプルでピークとなりその後落込んで
いる。これはペプチドELISAで観察される同じ側頭配列
である。
IgM抗体が認識するたん白質には77KDのEBNA−1並び
にEBNA−1のグリシン−アラニン領域に関連するエピト
ープ(Rhodes等、J.Exp.Med.,165:1026−1040(198
7)〕を含有する1連の正常細胞たん白質(92、82、8
0、69、62および58KD)がある。120および29KDのたん白
質は、EBNA−1と共通の配列を有さないが〔Rhodes等、
J.Exp.Med.,165:1026−1040(1987)〕、早期にピーク
であるようである。即ち、合成ペプチドP62に対するIgM
抗体とウェスターンブロッティングにより検出したIgM
抗体の大半との間に良好な相関がある。
患者D.B.のEBNA−1(77KD)に対するIgG抗体はイム
ノブロット上に遅く現像し(第7図)、観察はEBNAP62E
LISAデータと一致した。第7図のブロットの左側におい
て、VCA陽性(VCA+)、EBNA−1陽性(EBNA−1+)の人
からの77KD EBNAバントに対する強いIgG応答はコント
ロールとして示される。IgG抗EBNA−1抗体は病気発症
後51日(第4の時間点)、即ち、ペプチドに対するIgG
抗体が産生し始めた同じ時間でブロット中に先ず検出し
た。
(ii)CMV−IMを有しその後EBV−IMを発症した患者から
の順次的血清 患者D.S.からの順次的血清サンプルもまたEBNAP62ELI
SAとウェスターンブロッティングにより分析した。本患
者の臨床的/血清学的データは公表されており、古典的
血清学により、この患者は急性CMV感染を有し次いで3
ケ月後に急性EBV病を有したことが示されている。
患者D.S.からの順次的に採取した血清を用いた抗ペプ
チドELISA試験の結果は第8図に示す。病気の急性CMV期
における患者D.S.からの血清は、まさに患者D.B.がその
急性EBV感染中に有していたのと同じように、ELISAによ
って検出したP62ペプチドに対するはっきりした応答を
有した。IgM抗ペプチド信号は第1病中に得た3つの血
清サンプルにおいて高くまた第2病の初期サンプルにお
いて高かった。抗体値が2つの病気間で低下するかどう
かは分らない。ポリペプチドP62に対するIgG抗体は第2
病の1年後に最終のサンプルが得られるまで検出しなか
った。
本患者からのサンプルをイムノブロッティングによっ
ても分析した(第9図)。分子量82、80−77、69、62お
よび58KDの各たん白質に対するIgM抗体は両方の感染中
に見い出された。留意すべきなのはIgM抗体が両病気中
の同じ抗原を認識することである。各ブロットで測定し
たIgM抗体値は第1病および第2感染の頭初においてそ
の最高値でありその後低下した、知見は抗ペプチドP62E
LISAでの知見と同様であった。EBNA−1に対するIgGは
最後の時点でのみ出現した(右側レーン中の正常VCA+
EBNA−1+コントロールの次の弱いバンド)。
両患者はウェスターンブロット中で見られる多くのバ
ンドに対してのIgM抗体と相関した早期のIgM抗ペプチド
P62応答を示した。IgG抗ペプチドP62応答ははるかに遅
く、EBNA−1たん白質に特異性であるIgG抗体の出現と
相関していた。このことは以前に報告されたこと〔Rhod
es等、Herpesvirus,R.Rapp編、Alan R.Liss社、ニュー
ヨーク、487−496(1984);Rhodes等、J.Immunology,13
4:211−216(1985);Smith等、J.Infect.Dis.,154:885
−889(1986);Geltosky等、J.Clin.Lab Analysis,1:15
3−162;およびRhodes等、J.Exp.Med.,165:1026−1040
(1987)〕。
驚くべき知見はCMV感染がこれら同じ性質を有するIgM
抗体を含むことである。即ち、CMV感染中に出現するIgM
抗体はEBV感染中に生ずる抗体と明らかに同じ大きさの
1連の抗原と反応する。
(iii)急性CMV−IMを有する10人の患者からの血清 CMV−IMを有する10人の患者からの血清をELISA中およ
びイムノブロットにより試験して患者D.S.の血清中でEB
NAP62およびイムノブロットの抗原に対して検出したIgM
抗体がこの患者に対して特異的かどうかまたはこの応答
はCMV−IMを有する他の患者からの血清において検出で
きるかどうかを測定した。これら患者のすべてはIFAに
よる陽性IgG VCA価および陽性EBNA−1価によって示さ
れるように以前のEBV感染を有していた。
これら患者の2人からの代表的な抗ペプチドP62デー
タを第10Aおよび10B図に示す。10人の患者すべてがCMV
疾患の急性期においてIgM抗ペプチドP62の明らかな増大
を示した。IgM抗体は1〜2ケ月間持続し次いで通常値
に戻った。
これに対して、IgG抗ペプチドP62抗体は陽性値で出発
し(各患者はEBV+、VCA+、EBNA−1+であるので)、病気
の進行中殆んど変化を示さなかった。実際に、順次的血
清サンプルを有する7人の患者のうち、4人はIgG抗ペ
プチドP62抗体値のわずかな増大(例えば、第10B図)を
示し、1人が低下を示し(第10A図)、2人は変化を示
さなかった。
同じ血清をまたイムノブロッティングによっても分析
した。患者のすべては第7図および第9図において見ら
れるのと同様な病気の急性期において多くの抗原に対す
るIgM抗体の一過性の上昇を示した。IgG抗EBNA−1抗体
値においてはあり得たとしても、殆んど変化を検出でき
なかった。
即ち、急性CMV感染を有する試験患者はすべてIgM抗ペ
プチドP62抗体の明らかな一過性の増大とIgG抗ペプチド
値における小さい不定の変化を示した。
IgG対IgMの比はEBV−IM患者からの抗ペプチドP62デー
タを説明する便利な方法である。前述したように、この
比は病気の急性期においては1より小さく、回復期にお
いて1以上に増大し、そこで、この比は個々の寿命の残
りの間保持する〔Rhodes等、J.Exp.Med.,165:1026−104
0(1987)〕。この比率分析法の利点は背景値およびカ
ットオフ値を限定するべき必要を回避することである
(Geltosky等、J.Clin Lab Analysis,1:153−162(198
7)〕。
比率法によって分析したときに、本研究はポリペプチ
ドP62エピトープに対する2つの一般的なタイプの免疫
応答を明らかにした。例えば、患者L.S.からの血清(第
10A図)は主応答を示した。こゝで、病前サンプル中で
殆んどこの比が観察された。この比は急性病期中に1以
下(0.661に)低下し次いで回復期において再び上昇し
た。急性CMV−IM感染を有する10人の患者の8人の全部
が比率分析によるEBNAP62ELISA中で陽性を示した。
患者S.G.およびG.S.はP62に対するもう1つのタイプ
の応答を示した。両者は急性病中にIgMの増大を示す
が、最高値はIgG値より低いまゝである。これらの血清
は比率分析では陰性を示す。2人の場合、偽陰性結果は
大きい初期IgG値に基づいていた。前CMV感染はEBV−IM
にかかる年代グループの個々人においては比較的希であ
るけれども、ある偽陰性結果がIgG/IgM比率法を用いる
と起り得る。
(iv)EBV IMおよびCMV IM血清が認識する抗原の直接
比較 極めて類似のパターンの抗原が急性EBVおよびCMV感染
中のIgM抗原によって認識される(第7図と第9図参
照)。これらの抗原を直接比較するために、いずれかの
疾患を有する患者からの血清を同じ細胞抽出物で並行し
てイムノブロッティングした。抽出物用に用いた細胞は
K562細胞系であった。重要なことはこれらの細胞がEBV
またはCMV配列を含有しないことに注意することであ
る。即ち、検出する何らかの抗原は正常細胞たん白質で
ある。
IgM抗体による結合に関するこの試験のデータは第11A
図に示す。レーン1,2,9および10はEBV−IM患者からの血
清で試験し、残りのレーンは急性CMV−IM感染を有する
患者からの血清で試験した。
図面から理解できるように、92、82−77、69、62およ
び58KDでの主要抗原バンドはいずれのウィルスに感染し
た患者の血清と同じ反応性を有する。幾つかの小さい強
度のバンドも両患者グループにおいて見られた。CMV患
者のみにおいて見い出されるような50KDの周りのバンド
が存在するが、これは例外である。他のすべてのバンド
は1つまたは2、3の血清において見い出されるかある
いはすべての血清において共通している。即ち、いずれ
のウィルスによる感染も同じ群のたん白質に対してIgM
自己抗体を誘起した。
同じ組の血清をCMV感染繊維芽球の抽出物を用いてブ
ロッティングした。IgG抗体を第11B図に示す試験におい
て検出した。
第11B図においては、すべてのCMV患者が50KDの主要抗
原、64KDのもう1つの抗原、および2、3のCMV患者の
みに存在する他の抗原に対してIgG抗原を有していたこ
とが理解できる。EBV感染患者においては、あったとし
ても、殆んど反応はみられなかった。進捗中の研究はこ
の試験でみられたバンドのすべてがウィルスコードCMV
たん白質に基づくことを示している。
結論として、CMVまたはEBVによる急性感染は共通のIg
M抗体群を誘起する。これに対し、IgG抗体はその疾患を
起すウィルスからのたん白質に特異的であり、IgG抗体
は宿主成分との反応性を有しない〔Rhodes等、J.Exp.Me
d.,165:1026−1040(1987)〕。
(v)ペプチドP62による抗体結合性の抑制 ペプチドP62がEBVにより誘起された多くのIgM抗体に
対する抗体結合性を抑制することは以前から示されてい
る〔Rhodes等、J.Exp.Med.,165:1026−1040(198
7)〕。このことを2つのEBV+血清をEBV+B細胞の抽出物
上でブロッティングしている第12図において再び示す。
第12図においては、レーン1は患者D.B.からの病気発
症15日後の血清を含有し、レーン5はもう1つの急性EB
V−IM血清を含有していた。レーン2と6はさらに400μ
g/mlのペプチドP62を含有する各々の血清である。これ
らの試験は第7図で示したよりも高血液希釈で行い最も
強い反応性のバンドのみが容易に見られるようにした。
第12図から理解できるように、ポリペプチドは幾つか
のたん白質バンドに対してのIgM抗体結合性を抑制し、
見えるのが最も早いのは82〜77KDのバンドであった。進
捗中の研究はこの領域はEBNA−1および1種以上の細胞
たん白質を含有していることを示している。
レーン3はCMV病の発症後12日の患者D.S.からの血清
を含有し、レーン4は前述のように同じ血清+ペプチド
P62であった、こゝでも、82−77KDバンドおよび58〜62K
D範囲の幾つかとのIgM反応性がEBVペプチドによって抑
制された。
ブロッティング試験においてみられるIgG抗体の抑制
試験もまた行った。レーン7は患者D.S.からの発症後51
4日の血清を含有し、レーン9はCMV病発症後417日の患
者D.S.からの血清を含有し、レーン11は長期経過のEBV
感染の健常成人からであった。レーン8、10および12は
50μg/mlのP62を含む各々の血清であった。
唯一の検出したたん白質は77KDでのEBNA−1バンドで
あった。このたん白質の結合性はすべての場合において
ペプチドによって抑制された。
これらの試験からはCMV感染はEBVのEBNA−1領域から
のペプチドを認識するIgM自己抗体を産生するものと結
論付される。これらのIgM抗体は移動性において同一で
ありEBV感染中に産生したエピトープとエピトープ特異
性を共通する1連の細胞自己抗原を認識する。
(d)鼻咽腔がん(NPC)のアッセイ 前述したように、EBVは鼻咽腔がん(NPC)の原因剤と
して関係している。鼻咽腔がんは100人/100,000人/年
程の高い指数を有する中国における多形態のがんであ
る。
EBV感染Wi−L2細胞抽出物を用いての健常VCA+者、IM
を有する患者およびNPCの6人の患者からの血清による
ウェスターンブロット分析は、EBNAたん白質とのIgG免
疫反応、IM患者からの血清によるEBNAたん白質によるIg
MおよびIgG応答、並びにNPC患者からのEBNAたん白質へ
のIgG、IgMおよびIgA反応を示した。
最近の研究は種々のEBV抗原に対する血清レベルのIgG
およびIgA抗原がNPC患者において有意に上昇しているこ
とを示している〔Henle等、Int.J.Cancer、17:1−7(1
976);Desgranges等、Int.J.Cancer、19:627−633(197
7);およびPearson等、Cancer、51:260−268(198
3)〕。さらに詳細には、Henle等はVCAおよびD/(散
在)抗原に対するIgG価に場合によっては一致したこれ
ら抗原に対する高IgA血清価を報告した。Desgranges等
は唾液を用いVCAおよびEA(早期抗原)に対する中和性I
gAおよびIgG抗体の発見を報告した。Pearson等はIgG抗E
Aアッセイと組合せたIgA抗VCAアッセイの診断上の効能
を報告した。これらの研究は彼等が試験したサンプル中
のIgA抗EBNA抗体の存在については報告しなかった。
NPCを有することが知られている患者からの多数の血
清を、固形マトリックスに固定させ前述のような固形支
持体を調製したポリペプチドP62による固形ELISAを用い
てアッセイした。これらの血清は標準の血清学的アッセ
イによってもアッセイした。結果は下記の第12表に示
す。
NT=試験せず 1. 抗EBVポリペプチドP62ELISAは上記の血清で材料お
よび方法の章で述べるようにして行った。プラス記号
(+)はNPCに陽性とみなされた光学濃度値であり、マ
イナス記号はNPCに陰性とみなされた光学値を示す。
上記のデータから理解できるように、VCA、EAおよびI
gAの血液学的アッセイは比較的増大したIgA抗ペプチドP
62価と良好に相関していた。IgA抗ペプチドP62価は血清
中に存在するIgMまたはIgG抗体の存在によって抑制され
なかった。さらに、IgM対IgG比は患者等が急性IMを有し
なかったことを示すことを理解できる。さらにまた、抗
EBNA価は、ACIFで測定したとき、病気に無関係であるこ
とが判った。
NPCを有さない健常者の血清の試験において、0.3のO.
D490値をこのIgAアッセイのコントロール値として見い
出した。この特別なアッセイ方式においては、0.3を有
意に越えるO.D490値をNPCの陽性インジケーターとして
とった。即ち、上記の表において、13の血液の10がNPC
の陽性であり、それでプラス記号(+)で示した。
前述した一般的な抗EBNA抗体の検出用のアッセイ方法
も人のNPCの存在を検出するのに有効であることが理解
できる。血清、血漿、唾液、痰、咽洗浄液のような抗体
含有生体サンプルを使用する。生体サンプルは固相支持
体と水性媒体で前述のようにして混合する。こゝで、Ig
A抗体の量をアッセイし、コントロールよりも比較的増
大量がNPCの存在を示す。
(e)EBVおよびCMV関連ペプチドの免疫学的交差反応性
ヘルペスウィルスヒトサイトメガロウィルス(CMV)は
産児奇形および免疫抑制者の日和見感染を起し得る重要
な病原体として関係している。CMVはまたEBVによって起
る感染性単核症(EBV−IM)に類似する“単核症様”病
変を起す。
ポリペプチドP62−系ELISAを用いて急性期EBM−IMを
有する患者の抗EBNA抗体の存在を検出する臨床的研究中
に、CMV−IMの約60〜70%の異好陰性ケースをP62系ELIS
Aにおいて陽性とすることが注目された。P62と免疫反応
し得るCMV−IM患者の抗体の存在は現存のCMV感染による
潜伏EBV感染の再活性の結果またはEBNAと免疫学的に交
差反応するCMVたん白質の産生の結果のいずれかである
と考えられた。
CMV感染者の血清がCMVコード抗原により誘起されたP6
2交差反応性抗体を含有する可能性を試験するために、
第13表に示す3種のCMV関連ポリペプチドを合成した。
1. ペプチドC1、C2およびC3のアミノ酸残基配列は、各
々、Stapraus等、J.Virol.,57:591−602(1986)により
報告された2.2キロベースCMV RNAのコード領域により
発現されることが予期されるポリペプチドの部分に相応
する。
選定した患者からIM進行中に得た血清サンプルを、ポ
リペプチドP62、C1およびC2に対するIgGおよびIgM免疫
反応性について、方法および材料の章III Dで述べるの
と同様なELISAを用いてアッセイした。第14図は急性IM
の発症をもたらし次いで病気の回復期にあるEBV感染を
有する患者(DB)から得た血清サンプルを用いた本試験
の結果を示す。これらの結果はEBV−IMの急性期におけ
る前述したパターンの抗P62IgM抗体検出および抗−P62I
gG(および抗P62IgMの付随した低下)抗体の回復期にお
ける上昇を示している。
第14図は、また、CMV関連ペプチドC1およびC2をELISA
の固相(ターゲット)抗原として用いた場合、患者DBか
ら得た同じ順次的サンプルが病気の急性期において抗C1
および抗C2IgM抗体を含有しているも示している。しか
しながら、IgM抗C1および抗C2抗体応答は回復期の開始
と共に低下しているが、検出される抗C1または抗C2IgG
抗体の付随する上昇はない。急性EBV−IMをもたらす一
次CMV感染次いで急性EBV−IMをもたらす二次EBV感染を
有する第2患者(DS)からの順次的血清サンプルを上述
のようにしてP62、C1およびC2ELISAにおいてアッセイし
た。第15図に示すように、各ELISAはCMVおよびEBV感染
の急性期において各IgM抗ペプチド抗体を検出した。
CMV関連ペプチドの免疫学的活性をC1、C2およびC3に
より誘起された各抗体がEBNAと免疫反応する能力を試験
することによってさらに試験した。C1、C2およびC3に対
する各ウサギ抗ペプチド抗血清は、各々、方法と材料の
章III Gで述べるのと同様のイムノブロッティングを用
いて、EBNAを発現する細胞の抽出物と免疫反応させた。
イムノブロッティング試験の結果は抗C1、抗C2および抗
C3ウサギ抗体はEBNAと免疫反応したことを示す。
さらにまた、抗C1および抗C2ウサギ抗体をイムノブロ
ッティング前にその各々のペプチドと維持させたときに
は、EBNAたん白質との免疫反応はブロックされた。
従って、ポリペプチドC1、C2およびC3のアミノ酸残基
配列はCMVゲノムによってコードされた配列に相応し、
これらのペプチドは本発明のポリペプチドであることに
注意すべきである。何故ならば、これらのペプチドは
式; −Gly−R1−Gly−R2−Gly− (式中、R1とR2は個々に同じまたは異なるものである
が、Ala、Arg、Gly、Leu、Pro、SerおよびThrからなる
群より選ばれるが、R1とR2は両方がGlyではない) で示されるアミノ酸残基を含有するからである。さら
に、上記の結果はC1、C2およびC3がEBNAにより誘起され
たIgM抗体と免疫反応し得ることおよびこれらペプチド
により誘起された抗体がEBNAと免疫反応することを示し
ている。
EBVとCMVの両方は悪性でないリンパ球増殖性疾患を生
じ、その急性相は本発明のポリペプチドと免疫反応する
IgM抗体の産生に特徴を有する。抗EBNA抗体は典型的に
は悪性のリンパ球増殖性を伴うことは見い出されていな
いので、従って、本発明はウィルス誘起非悪性および悪
性リンパ球増殖性疾患との間を区別する診断系および方
法を提供する。
3. 受動免疫用の製剤 EBNAをその細胞表面上に発現する潜在的に感染したB
リンパ球を有する患者はEBNAと免疫反応する本発明の合
成ポリペプチドによって産生された好ましくは全抗体と
しての本発明のレセプターで治療することができる。こ
れらのレセプターは薬学的に許容し得る希釈剤中に分散
させた有効量のレセプターを有する単位投与量で投与す
る。
そのような抗体の有効量は抗体の反応性および種類に
よって変化する。一般的には、約0.5〜約25.0mg/kg患者
重量が有効と考えられる。抗体は静脈内、筋肉内または
腹膜内投与し得、数回の投与が3〜20日間隔でなされ
る。抗体はまた外科または化学治療と一緒に投与でき
る。
抗体は治療すべき患者と異なる動物種の血清または血
漿から本発明のポリペプチドに対する抗体を前述した接
種物を用いて産生させることによって得ることができ
る。抗体はまた当該技術において周知の方法を用いてハ
イブリドーマ細胞系を調製することによる腹水液のよう
なモノクローナル源から得ることもできる。全抗体は免
疫複合体を形成するとき補体系を活性化し得るので結合
部位として好ましい。
III.方法および材料 A.ポリペプチドの合成 本発明のポリペプチドは、Merrifield等、J.Am.Clem.
Soc.,85:2149−2154(1963)およびHoughten等、Int.J.
Pept.Prot.Res.16:311−320(1980)に記載された固相
法により化学的に合成した。ポリペプチド合成の固相法
は米国カルホルニア州バークレーのベックマンインスツ
ルメント社から商業的に入手できるベックマンモデル99
0Bポリペプチドシンセサイザーを用いて行った。
接種物に用いた35個より少ない残基を有するポリペプ
チドにおいては、システィン残基をアミノ末端またはカ
ルボキシ末端に加えて後で述べるたん白質担体へのカッ
プリングの助長とした。すべてのポリペプチドの組成は
アミノ酸分析により確認した。
上記固相法による本発明の合成ポリペプチドの調製に
おいては、アミノ酸残基をカルボキシ末端残基のエステ
ル結合を介して樹脂(固相)に結合させる。ポリペプチ
ドをCys残基により担体に結合させるかあるいは末端Cys
残基により重合させる場合、そのCys残基を樹脂にエス
テル樹脂させたカルボキシ末端残基として用いるのが好
都合である。
各々加えたアミノ酸のα−アミノ基はアミノ酸を成長
中のポリペプチド鎖に加える前にタ−シャリーブトキシ
カルボニル(t−BOC)基で典型的に保護する。t−BOC
基はその後次のアミノ酸を成長中のポリペプチド鎖に加
える前に除去する。
反応性のアミノ酸側鎖もポリペプチドの合成中保護し
た。通常の側鎖保護基は次の如く残りのアミノ酸残基に
おいて用いた: シロシン用のo−(p−ブロモベンジロキシカルボニ
ル);スレオニン、セリン、アスパラギン酸およびグル
タミン酸用のo−ベンジル;システィン用のs−メトキ
シベンジル;ヒスチジン用のジニトロフェニル;リシン
用の2−クロロベンゾキシカルボニル;およびアルギニ
ン用のトシル。
保護したアミノ酸は適当な溶媒から再結晶させて薄層
クロマトグラフィーにより単一スポットを得る。カップ
リングは10倍モル過剰の保護アミノ酸とジシクロヘキシ
ルカルボジイミドとを数ミリ当量の開始N末端アミノ酸
上で用いることによって典型的に行う。2モル過剰の両
反応剤も用い得る。アスパラギンにおいては、等モル量
のN−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールを保護アミノ酸
に加え、ジメチルアルマンドを溶媒として用いる。すべ
てのカップリング反応は、Gisin.Anal.Clem.Acta.58:24
8−249(1972)のピクリン酸テストにより99%以上の完
全であった。
所望のポリペプチドの調製後、得られた保護ポリペプ
チドの1部(約1g)を2mlのアニソールで処理し、無水
フッ化水素約20mlをドライアイス温度で反応容器中に凝
縮させた。反応混合物を約4℃で1時間攪拌して保護基
を分裂させ、ポリペプチドを樹脂から取り外した。フッ
化水素を4℃の温度でN2流により蒸発させたのち、残留
物を無水ジエチルエーテルで3回抽出してアニソールを
除去し、残留物を真空乾燥させた。
得られた真空乾燥物質を5%酢酸溶液で抽出(50mlで
3回)して遊離のポリペプチドを樹脂から分離する。抽
出物含有溶液を凍結乾燥させて単量体未酸化ポリペプチ
ドを得た。
生成した合成ポリペプチドはエンザイムリンクドイム
ノソルベントアッセイ(ELISA)における試薬として用
い抗EBNA抗原を検出し得る。合成ポリペプチドはまた、
通常このポリペプチドを担体と結合させてコンジュゲー
トを調製し次いで有効量のこのコンジュゲートを後述す
るようにして生理学的に許容し得る希釈剤中に分散させ
ることにより接着物を調製するのに使用できる。
また、本発明の合成多量体は1つのポリペプチドのカ
ルボキシ末端残基と第2ポリペプチドのアミノ末端残基
間のアミノ結合により一緒に末端−末端(頭−尾)結合
させた本発明の複数のポリペプチドの固相合成によって
調製できることも留意されたい。そのような合成多量体
は好ましくは単一の長鎖ポリペプチド多量体として合成
するのが好ましいが、その個々の合成の後に、1−(3
−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイ
ミドヒドロクロライドのようなカルボジイミド試薬を水
中で用いて一緒に結合させた個々のポリペプチドとして
も調製できる。単一ポリペプチド鎖として調製した多量
体中に含まれるアミノ酸の総数は好ましくは約50以下で
あり、その結果、約8個までの本発明のポリペプチドを
単一ポリペプチドとして合成した単一頭−尾多量体鎖中
に含有させ得る。合成頭−尾多量体は、より好ましく
は、2〜約4ブロックの結合した本発明の合成ランダム
コポリマーポリペプチド、および全部で約40個以下のア
ミノ酸残基とを含有する。
B.ポリマーの調製 本発明のポリペプチドは一緒に結合させて複数のポリ
ペプチド繰返し単位を含む抗原性および/または免疫原
性ポリマー(合成多量体)を調製できる。そのようなポ
リマーは典型的には増大した免疫原性と抗原性の利点を
有する。さらに、高分子免疫原を用いる場合には、担体
は典型的に必要でない。異なるポリペプチドモノマーを
ポリマーの調製に用いる場合、幾つかのEBNA抗原決定基
に対する抗体と免疫反応する能力を得ることができる。
さらなる利点はそのようなポリマーの接種物中で用いた
ときのEBNAの幾つかの抗原決定基と免疫反応する抗体を
誘起する能力である。
本発明のポリマーは、前述したようなかつアミノ末端
およびカルボキシ末端の両方にシスティン残基を含有す
るポリペプチドを合成して“ジCys末端”ポリペプチド
を調製する。例えば、第1表の各ポリペプチドおよび第
2表のポリペプチドD1およびD2をアミノ末端およびカル
ボキシ末端の各々に追加のCys残基を含有するように合
成してジCys末端ポリペプチドをその還元形で調製し得
る。合成後、典型的な実験室的調製においては、10mgの
ジCysポリペプチド(システィン残基を未酸化形で含有
する)を250ミリリットル(ml)の0.1モル(M)アンモ
ニアジカルボネートバッファー中に溶解する。次いで、
溶解したジCys末端ポリペプチドを、得られた溶液をゆ
るやかに約18時間空気中で攪拌させるかあるいはエルマ
ン(Ellman)試験によって検出し得るメルカプタンがな
くなるまで空気酸化させる。〔Ellman,Arch.Biochem.Bi
ophys.,82:70−77(1959)参照。〕 そのようにして調製したポリマー(合成多量体)は酸
化システィン(シスチン)残基により一緒に結合した複
数の合成ランダムコポリマーポリペプチド繰返し単位を
含有する。そのようなポリマーはその頭−尾形並びに頭
−頭形または尾−尾形で一緒に結合したポリペプチド繰
返し単位を含有する;即ち、2個のポリペプチド繰返し
単位のアミノ末端は2個のカルボキシ末端もそうである
ように単一シスチン残基を介して一緒に結合し得る、何
故ならば、両ポリペプチド末端の結合基は同じであるか
らである。
C.担体へのカップリング 合成ポリペプチドを担体としてのキーホールリンベッ
トヘモシアニン(KLH)にLiu等、Biochem.80:690(197
9)に記載された方法によってカップリングさせた。要
するに、4ミリグラム(mg)の担体を0.51mgのm−マレ
イミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシンイミドエス
テルで活性化し、次いで、5mgのポリペプチドとアミノ
またはカルボキシ末端システィンを介して反応させて約
10〜約35重量%のポリペプチドを含有するコンジュゲー
トを調製した。
1個以上の追加のアミノ酸残基を合成ポリペプチドの
アミノまたはカルボキシ末端に加えてポリペプチドの担
体への結合を促進させることができる。前述したよう
に、合成ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末
端に加えたシスティン残基はジスルフィド基によりポリ
マー調製するのに特に有用であることが見い出されてい
る。しかしながら、コンジュゲート調製において当該技
術において周知の他の方法も使用し得る。例示としての
さらなる結合方法にはミッチェル(Michael)付加反応
生成物、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類〔Kl
ipstein等、J.Infect.Dis.,147:318−326(1983)等の
使用、または、複数のポリペプチドを一緒に結合させて
合成多量体を調製することについて前述したような、水
溶性カルボジイミドを用いて担体に対してアミノ結合を
形成するようなカルボジイミド技術の使用がある。
有用な担体は当該技術において周知であり、一般的に
は、たん白質自体である。そのような担体の例はキーホ
ールヘモシアニン(KLH)、エドスチン、チログロブリ
ン、ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブ
ミン(HSA)のようなアルブミン類、ヒツジ赤血球(SRB
C)のような赤血球、破傷風トキソイド、コレラトキソ
イド、およびポリ(D−リシン:D−グルタミン酸)のよ
うなポリアミノ酸等である。
また当該技術において周知のように、合成ポリペプチ
ドはその担体に中間結合基によって結合させるのがしば
しば利点がある。上述したように、グルタルアルデヒド
はそのような結合基である。しかしながら、システィン
を用いるときには、その中間結合基は本発明において使
用するようなm−マレイミドベンゾイルN−ヒドロキシ
サクシンイミド(MBS)が好ましい。
さらに、MBSはLui等(前出)により開示されているよ
うなエステルアミド交換反応により担体に最初加え得
る。その後、チオール酢酸(CH3COSH)のようなブロッ
クしたメルカプト基のマレイミド二重結合への付加によ
る付加を行い得る。アシルブロック基の分裂の後、ジス
ルフィド結合を脱ブロック結合基メルカプタンと合成ポ
リペプチドの付加システィン残基のメルカプタン間で形
成させる。
担体の選択は免疫原の決定基部分によるよりも免疫原
の最終の用途に依存し、本発明においては特に包含され
ない基準に基づく。例えば、接種物を動物において使用
すべき場合、その特定の動物において不適当な反応を起
さない担体を選択すべきである。
D.ELISA 抗ペプチド抗体の結合性および抑制試験を以下で述べ
るようなエンザイムリンクドイムノソルベントアッセイ
によって行った。
要するに、マイクロタイターウェル(マサチューセッ
ツ州ケンブリッヂ、コスタール社3590)を、典型的に
は10μg/mlの濃度でポリペプチドを含有する100マイク
ロリッター(μ)のBBS〔10ミリモル(mM)のほう化
ナトリウム(pH8.3)、150mMのNaCl〕を加えることによ
って抗原としての個々のポリペプチドでコーティングし
た。ウェルと抗原含有溶液の接触は所定時間、典型的に
は15分間20℃で維持して抗原コーティング固相を調製し
た。固相および液相を分離し、ウェルをBBSで3回洗浄
した。
非特異結合部位を、200マイクロリッターの1%ウシ
血清アルブミン(BSA)を各ウェルに混合してもう1つ
の固/液相混合物を調製しこの固/液相混合物を30分間
20℃で維持することによってブロックした。各相を分離
し、過剰の未結合BSAをBBSによる3回洗浄によって除去
した。
ウサギおよびヒト血清(生体サンプルアリコート)を
抗ポリペプチド活性についてウェル当り100μのBBS中
1:20希釈血清を加えて固/液相組成物を調製することに
よってアッセイした。希釈血清と抗原コーティング固相
の接触を免疫反応物が生成する1時間のような所定時
間、20℃で維持した。固相と液相を分離し、次いで、固
相、即ち、抗原コーティング免疫反応物含有ウェルをBB
Sで3回洗浄した。
吸着ポリペプチドと免疫反応したヒト血清中の抗体は
アルカリホスホターゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIg抗体
(カルホルニア州バーリントンのTago社)を含む指示手
段を用いて検出した。吸着ポリペプチドと免疫反応した
ウサギ血清中の抗体はアルカリホスホターゼコンジュゲ
ートヤギ抗ウサギIg抗体〔ミズリー州ゲイサースバーグ
のKirkegard & Perry Laboretories社〕を含む指示手
段を用いて検出した。いずれの場合においても、100μ
のBBS中に300希釈指示抗体を各ウェルに加えてさらな
る固/液相組成物を調製した。この固−液相組成物を所
定時間の1時間、即ち、固相に結合したヒト抗体と指示
手段間の反応生成物が生成する間、20℃で維持した。各
相を分離し、固相をBBSで3回洗浄した。
ポリペプチド特異性抗体に結合したアルカリホスホタ
ーゼコンジュゲート抗体はp−ニトロフェニルホスフェ
ートのp−ニトロフェノールへの酵素加水分解を分光測
光測定することにより検出した。要するに、100μの
p−ニトロフェニルホスフェート〔2mMのMgCl2(pH9.
8)、50mM炭酸ナトリウム中1mg/ml〕を各ウェルに加え
た。酵素反応は1時間行い、次いで405nmでの光学濃度
をカルホルニア州イングレウッドの70−ラボラトリー社
から入手できるタイターテック(TITERTEK)スペクトロ
フォトメーター中で測定した。
IgG対IgM比に測定してEBV疾患の状態を評価するこの
試験で用いた追加のアッセイは、Smith等、J.Infect.Di
s.,154:885−889(1986)およびGeltosky等、J.Clin L
ab Analysis,1:153−162(1987)に記載されたようにし
て行った。要するに、固相マトリックスとしてのマイク
ロタイターウェルを50μの20マイクログラム(μg)
のポリペプチドP62/mlほう酸塩緩衝塩水〔BBS;0.5Mのほ
う酸ナトリウム、0.15MのNaCl、および0.001MのMgCl2
pH8.3〕で12時間、4℃でコーティングして固相マトリ
ックスに固定させたペプチドを含有する固形支持体を調
製した。
その後、溶液を除去し、プレートを300μのりん酸
塩緩衝塩水(PBS)中10%正常ヤギ血清で37℃ブロック
し、各ウェルを空にし60分間、37℃で乾燥させた。
この時点で、200μのPBS中10%ヤギ血清を各ウェル
に加えた。10μ容量の患者サンプル血清を各ヤギ血清
含有ウェルに混合して固/液相混合物を調製した。この
混合物を1時間、室温で維持して存在し得る抗体の固形
支持体への結合を行いこれら抗体を含有する固相結合免
疫反応物を調製した。
350μのPBS中0.05%ツイーン−20〔ポリオキシエチ
レン(20)ソルビタンモノラウレート〕で5回洗浄して
固相および液相の分離を行ったのち、ヒトIgGまたはIgM
に対するホースラーディシュパーオキシダーゼ(HRPO)
コンジュゲートマウスモノクローナル抗体(オルソダイ
アノスティック社、ニュージャージー州ラリタン)の20
0μの溶液を各ウェルに加えて第2の固/液相混合物
を調製した。この第2固/液相混合物をさらにもう1時
間維持して上記酵素結合抗体を第1の固/液相混合物中
に生成した固相結合抗体に結合させた。
固相と液相を分離し、上記のツイーン−20/PBS溶液を
用いて固相を5回洗浄したのち、o−フェニレンジアミ
ン(OPD;3mlの水中に溶解した2mgのクェン酸塩緩衝錠
剤;ピットマン−モーレ社、ニュージャージー州ワシン
トンクロッシング)および過酸化水素の混合物で発色さ
せた。得られた溶液を30分間室温で維持した。反応を50
μの2NHClの混合物でストップし、吸収を490ナノメー
ター(nm)で測定した。
抗原としてのポリペプチドP62によるELISAの結果は上
記の吸収値に陽性コントロール比を掛けることによって
標準化した: 陽性コントロール比=参照吸収値/陽性コントロール
の平均吸収陽性コントロールは1.0の参照吸収値を選定
した。参照吸収値を陽性コントロールの観察した平均吸
収値で割った。コントロールおよび各試験サンプルの各
吸収値に陽性コントロール比を掛けて標準化したELISA
値を得た。カットオフ値〔平均OD+SD〕は以前に開示さ
れている〔Geltosky等、J.Clin Lab Analysis,1:153−
162(1987)〕。これらの標準化条件において、0.7より
大きいIgG対IgMのELISA値の比を健康な無症状群に決定
した。0.7より小さい吸収値はEBVによる急性感染を示す
ものとみなした〔Smith等、J.Infect.Dis.,154:885−88
9(1986)〕。
さらにもう1つの同じようであるがはるかに早いアッ
セイも開発し本明細書で用いている。こゝでは、用いた
固相マトリックスはいわゆる“スプーン”であった。
使用した特定のスプーンは、このスプーンの約半分の
長さで延びており使用者の指で保持するのに適する一般
に平坦な上部部分(通常使用するとき)を有する不透明
な白色ポリスチレン装置である。約2/3の長さの下部部
分(下半分)は上部部分より狭くシリンダー形状であ
る。
最下部の約1/3のスプーンは、およそ上部部分の幅で
あり2個の皿状のへこみ(ウェル)を形成する第2の平
坦部分を含み、このへこみはこの平坦部分の幅よりも直
径で幾分小さい。2つの皿状のへこみはこれらへこみを
形成する平坦表面におよそ直角に延びているダムで分離
されている。これらのへこみに下方に向って面している
ダムのトップ表面はIgM用の“M"およびIgG用の“G"のよ
うな表示を有し、各へこみに隣接するダムの垂直壁は1
つのまたは他のへこみに面する点に形成されている。こ
れらの点およびダムの頂部上の相応する表示は連結して
各へこみ中でIgMまたはIgGの何をアッセイするかを示し
ている。
上述の平坦部分は実質的に同じ幅を有し、この幅およ
びスプーンの長さは釣合っていて13×100または16×160
ミリメーター(mm)のようなテストチューブ、ビーカー
または他の液体含有装置に容易に適合しまたこれらから
延びるようになっている。そのようなスプーンの典型的
な寸法は約10〜12mmの幅、約2〜4mmの厚さおよび約130
〜160mmの全長であり、約200〜250μの液体を保持で
きるへこみを有する。
好ましいスプーンは、上部の平坦な部分の最上部の1/
3のところに使用するテストチューブの直径よりも大き
い、例えば、約16mmよりも大きいより幅広の部分を有
し、その結果、スプーンはスプーン底部をチューブの底
部に触れることなくテストチューブ中に吊下げることが
でき、より良好に保持し得るようになる。さらにまた、
スプーン厚の長さの突出脚をへこみと反対の面上に有し
てスプーンを実験台上に静止できる実質的に安定な水平
基部を与える。
そのようなスプーンの1連のへこみをpH値8.3〜8.5の
BBS中に100μg/mlのポリペプチドを含有する溶液を混合
することによってポリペプチドP62でコーティングし
た。溶液を各へこみ内で約18〜24時間維持してポリペプ
チドをスプーンへこみによって与えられたマトリックス
に固定し、それによって固相支持体を調製し、固相と液
相を分離した。
かくして調製した固相支持体上の非特異結合部位を、
pH値7.4のPBS中10%BSAまた他の非ヒトたん白質の溶液
と90分間、37℃で混合することによってブロッキングし
た。スプーンをすぐに使用しない場合、20%のグリセリ
ン(v/v)を上記ブロッキング溶液に含有させて保存を
助長する。その後、固相と液相を分離し、スプーンを温
度37℃で1時間乾燥させた。
使用時に、100μの血液、血漿、血清または唾液の
ような液体生体サンプルをスプーンの各へこみに加え
た。1個人からのサンプルの各アリコートを1つのスプ
ーンの各へこみで使用した。得られた固/液混合物を2
分間維持して各々の固相結合免疫反応物を調製した。
固相と液相を分離し、各々5mlの0.05%ツイーン−20
含有PBSを含有する2本の13×100mmテストチューブ中で
洗浄した。水道水洗浄液もこの工程において有効に用い
る。
その後、100μのHRPOコンジュゲート抗ヒトIgG抗体
を前述の“G"で表示したへこみの固相支持体と混合し、
また、100μのHRPOコンジュゲート抗ヒトIgM抗体を前
述の“M"で表示したへこみの固相支持体と混合して2つ
の第2固/液相混合物を調製した。得られた混合物を室
温で2分間維持した。
固相と液相を分離した。固相をその後前述のPBS/ツイ
ーン−20溶液で2回洗浄した。
この洗浄工程の後で、前述のバッファー中に前述のOP
DまたはABTSおよび3%過酸化水素を含有する溶液のよ
うな100μの発色性溶液を各固相支持体と混合した。
各スプーンをこの工程においては実験台上のスプーンの
脚上に水平に置いた。そのようにして調製した発色性固
/液混合物をさらに2分間室温で維持し、発色反応を50
μのドデシル硫酸ナトリウム1%溶液または前述の2N
HClの混合によりストップさせた。
上記のアッセイは1度固相支持体を調製すると6分よ
りわずか長くしか要さない。得られたアッセイは各々へ
こみ中の色強度の目視検査によって終了する。即ち、色
がIgGアッセイにおいて強い場合、患者は回復期にあ
り;色がIgMアッセイにおいて強い場合、患者はIMの急
性期にあり;色がおよそ同じ強度である場合、急性期IM
は回復基に移行しつつある。
上記の約6分のアッセイを用いての結果は終了するの
に約2.5時間を要する前述のマイクロタイタープレート
計算比アッセイで得た結果に匹敵した。(a)急性一次
EBV−IM感染、(b)ウィルスを経験し血清学的にVCA+
であった健常実験室対象者、および(c)IM様疾患を有
する患者から臨床研究所に提供されたサンプルを有する
パネルから各々30件の血清サンプルを比較した。
急性期にあると臨床的に同定された患者からの30件の
血清のうちの28件を両アッセイにおいて急性であると測
定した。所定の下限値以下のIgM値のために長時間アッ
セイにおいて結果を示さなかった2件の血清も短時間ア
ッセイにおいては急性期血清であると判定した。
一般的な一致は、短時間の目視アッセイにおける1つ
の血清について判定する結果のさらなる例によって他の
グループの血清によって示されたが、結果は長時間の定
量アッセイにおいて再判定しなかった。さらに、結果の
異なる2、3の例も存在した。
その後の臨床試験において、上記約6分間アッセイは
約94〜約95%の急性期EBV−IMに対しての特異性および
感度を有することが分った。
E.細胞培養物 本発明のレセプター分子の細胞中に産生したEBNAと免
疫反応する能力を上述のようにしてWI−L2、Raji,Daudi
およびBJAB細胞系を用いて試験した。WI−L2細胞(ATCC
CRL8155W1−L2−NS、アメリカンタイプカルチャーコレ
クション、メリーランド州ベセスタ)は遺伝性球細胞貧
血を有するヒト患者由来のEBVゲノム陽性非プロデュー
サーB−リンパ芽球系である。
Raji細胞(ATCC CCL86、アメリカンタイプカルチャ
ーコレクション、メリーランド州ベセスタ)はバーキッ
トリンパ腫からのEBVゲノム陽性EBNA産生性リンパ芽球
様細胞系である。Epstein,J.Nat.Cancer Inst.34:231
(1965)。Daudi細胞(ATCC CCL213、アメリカンタイ
プカルチャーコレクション、メリーランド州ベセスタ)
もEBNA産生性細胞系である。BJAB細胞はカルホルニア州
ラジョラのスクリップスクリニックアンドリサーチファ
ンデーションで入手できる非EBNA産生性リンパ球細胞系
である。
上記の各細胞は2mMの1−グルタミンおよび10%仔牛
血清加RPMI1640培地〔Moore,J.Am.Med.Assoc.,199:519
−524(1967);およびMorton,In Vitro6:89−100〔197
0)〕中で培養した。
CMV株AD−169細胞はカルホルニア大学サンジェゴ校の
Dr.P.Richmamからの提供であった。ウィルスはヒューマ
ンジェネチックミュータントセルレスポシトリー(ニュ
ージャージー州カムデン)から入手したヒト繊維芽球系
GM−2504中で増殖させた。各細胞は10%仔牛血清を含有
するDMEM培地中で増殖し、多重度3の密集直前に感染さ
せた。細胞は9日後PBSで2回洗浄することによって収
集し、抽出物を、10μg/mlのフェニルメチルスルホニル
フルオライドを含有する10mlのDEM〔2%SDS、2%2−
メルカプトエタノール、0.0004%ブロモフェノールブル
ー、40ミルモル(mM)Tris−HCl、pH6.8および15%グリ
セリン〕を粘着性感染細胞を含有する150cm2組織培養フ
ラスコに直接加えることによって調製した。フラスコを
細胞スクレパーでこすり、溶液を取り出し、2分間煮沸
し−20℃で保存した。
F.全細胞抽出物 EBNA産生性および非産生性(コントロール)の各細胞
を調製して本発明のレセプター分子がEBNA発現の診断に
有用であるかどうかをみた。上述の培養物からの細胞を
0.2mMのフェニルメチルスルホニルフルオライド含有の
りん酸塩緩衝塩水(PBS;150mMのNaCl、10mMのりん酸ナ
トリウム、pH7.4)中で洗浄し、網状赤血球標準バッフ
ァー(RSB;10mMのNaCl、10mMのTris−HCl、pH7.4、1.5m
MのMgCl2、0.2mMのフェニルメチルスルホニルフルオラ
イド)中で膨潤させ、0.2〜0.35モル(M)NaClに調製
した3〜5容量のRBS中に音波処理によって溶解させ
た。氷上で30分後、音波処理物を10,000×gで15分間遠
心して細胞片を除去した。
G.イムノブロッティング手順 上記で得た細胞抽出物をEBNAについて抗EBNA抗体また
は本発明のレセプター分子例を含有することが分ってい
るヒト血清を用いてアッセイした。抽出物を2容量のエ
タノールによる−20℃での約18時間の沈降によって濃縮
し次いでサンプルバッファー〔SB;10%グリセリン、2
%2−メルカプトエタノール、1%ドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)、0.002%ブロモフェノールブルー、40mMTr
is−HCl(pH7.4)〕中に溶解させるか、またはSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)用サンプ
ルバッファー中に1:6に希釈した。7.5%ポリアクリルア
ミドゲルを注型し、Laemmli,Nature,277:680−685(197
0)の手順に従って、各レーン当り50〜200μgの総たん
白質を供給して試験した。
電気泳動後、SDSポリアクリルアミドゲルからのたん
白質バンドをニトロセルロースシートの形の固形支持体
(Schleicher and Schuell社、ミシガン州デトロイト)
にTowbin等、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,76:4350−53
54(1979)の方法により電気泳動的に転写した。この転
写はバイオーラドトランス−ブロット装置(バイオーラ
ド社、カルホルニア州リッチモンド)を12.5mMのトリス
ヒドロキサイド、90mMのグリシンおよび20%のメタノー
ル中で70ボルトで2〜3時間行った。
転写後、ニトロセルロースフィルターまたはブロット
を1時間PBS中2%のBSA(w/v)またはPBS中2%の粉末
ミルク(w/v)中で飽和させて非特異結合を低減させ
た。その後、このブロットを0.1mlのEBNA陽性ヒト血清
または2mlのPBSまたは2%のミルク中のウサギ抗ポリペ
プチド抗体と37℃で1時間免疫反応させた。
EBNAたん白質に結合した抗ペプチド抗体は各ブロット
を指示手段と反応させることによって検出した。この場
合、20mlの125I標識〔200,000カウント/分/ml(cpm/m
l)、106カウント/分/mg(cpm/mg)〕S.アウレウスプ
ロティンAを免疫反応生成物と30分間37℃で接触させ
た。各ブロットをPBSで洗浄しコダックXARX線フィルム
に一夜−70℃で露出させた。
別の手順においては、細胞たん白質抽出物を13cm幅ス
ロットの7.5%アクリルアミドゲル上に乗せ電気泳動さ
せた。電気泳動ゲルの内容物を前述のようにしてニトロ
セルロースに転写した〔Billings等、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA,80:7104−7108(1983);Rumpold等、J.Immuno
l.,138:593−599(1987);Rhodes等、J.Exp.Med.,165:1
026−1040(1987)〕。血清を粉末ミルク(PM)バッフ
ァー(0.05Mのボレート、0.15MのNaCl、pH8.3中3%の
粉末ミルク)中で1:20または1:50に希釈し上記ストリッ
プと室温で1時間接触させ上記たん白質を含有する血清
中の抗体と免疫反応させた。各ストリップを洗浄し、免
疫反応をアフィニティ精製ウサギ抗ヒトIgM(ジャクソ
ンラボラトリーズ、ペンシルバニア州アボンダール)ま
たは同じ供給源からのアフィニティ精製ウサギ抗ヒトIg
G抗体の0.6μg/ml(PM中)の溶液とのインキュベーショ
ンにより測定した。
洗浄後、各ストリップを以前から開示されているよう
125Iヤギ抗ウサギIgG抗体の検出用溶液〔Rumpold等、
J.Immunol.128:593−599(1987);Rhodes等、Herpesvir
us,R.Rapp編、Alan R,Liss社、ニューヨーク;487−496
(1984);Rhodes等、J.Immunology,134:211−216(198
5);Smith等、J.Infect.Dis.154:885−889(1986);Gel
tosky等、J.Clin.Lab Analysis,1:153−162(1987);
およびRhodes等、J.Exp.Med.,165:1026−1040(198
7)〕と反応させ、バンドを前出したようなオートラジ
オグラフィーで検出した。
合成ペプチド抑制は血清をPM中で1:50に希釈し遊離の
ペプチドを400μg/mlの最終濃度に加えてIgM抗体を抑制
し、20〜50μg/mlでIgG抗体を抑制した。この溶液を一
夜4℃に維持(インキュベート)し次いで上述のブロッ
トに用いた。
H.免 疫 本発明のレセプター分子は動物を前述のポリペプチド
および/または多量体を含有する接種物で免疫すること
によって動物中に産生した全抗体を含む。ポリペプチド
と多量体は双方とも単独またはキーホールリンペットヘ
モシアミン(KLH)のような担体たん白質にコンジュゲ
ートさせて接種物中で使用できる。しかしながら、ポリ
ペプチドは好ましくはコンジュゲートとして使用し、多
量体は好ましくは単独で使用する。
ウサギを完全フロインドアジュバント(CFA)中1.0mg
のコンジュゲートを含有する接着物で免疫し、1ケ月後
に、不完全フロイントアジュバント中1.0mgのコンジュ
ゲート(IFA)でブースターした。各免疫は後尻部の1
回の皮下注射からなっていた。ウサギはブースター(増
強)後1〜2ケ月で採血した。
次いで、免疫学的に活性な抗体を含有する血清を当該
技術において周知の方法により採血から調製した。これ
らの抗体は本発明の1つ以上のポリペプチドおよびEBNA
抗原決定基と免疫反応した。かくして、これらの抗体は
EBNAをアッセイする系において使用できる。
個々の接種物のCFAまたはIFAで次のようにして調製し
た:接種物当り所望量(例えば、1mg)のポリペプチド
を与えるのに十分な量のコンジュゲートをPBS約0.5ml
で)中にpH7.2で溶解した。次いで、等容量のCFAまたは
IFAをこのコンジュゲート溶液と混合して水:油比が1:1
であるコンジュゲート、水およびアジュバントを含有す
る接種物を調製した。混合物をその後均質化して接種物
を得た。かくして調製した接種物の容量は典型的には1
より大であり、若干のコンジュゲート、PBSおよびアジ
ュバントは乳化中に損失した。回収できた実質的にすべ
てのエマルジョンをシリンジ中に入れ、次いで、前述の
ようにしてウサギに導入した。ウサギに接種した接種物
の量は乳化工程前に存在する量の約90%であったと考え
られる。
上記の接種物保存溶液は本発明の接種物の例示であ
る。本明細書で述べているように、この溶液はEBNA−1
と免疫反応するレセプター分子を産生するのに使用でき
る。
イムノ蛍光手順 生体サンプル中のEBNAアッセイのもう1つの具体的方
法は本発明のレセプター分子と蛍光発色指示手段を用い
てレセプター−EBNA免疫反応の生成物を検出することで
ある。
本研究においては、前述のようにして増殖させた2×
104WI−L2細胞を細胞遠心機(CYTOSPIN、英国セシア、
ランコーン、アストムアー、シャンダンサーサン)を用
いて平坦顕微鏡スライド上に拡散させた。20℃5分間風
乾させたのち、細胞をアセトン中で2分間固定し次いで
20℃で2分間風乾させた。スライドは使用するまで−20
℃で保存した。
固定WI−L2をEBNAについてポリペプチドP27、P60、P6
2およびP89に対して産生させたウサギ抗ポリペプチド抗
体(本発明のレセプター)を用いてアッセイした。VBS
バッファー(120mMのバルビトールpH7.3、144mMのNaC
l、2.5mMのMgCl2および0.75mMのCaCl2)中で1:10に希釈
した50mlの各ウサギ抗体を20℃でスライド上で抗体とEB
NAが免疫反応するのに十分な所定時間インキュベート
(固定細胞と接触させて接触しながら維持)した。陰性
コントロールスライドは同じ方法で正常ウサギ血清で処
理した。
上記インキュベーションにおいて、抗ポリペプチド抗
体の1部が固定WI−L2細胞中に存在するEBNAと免疫反応
した。未結合抗体をVBSによる洗浄で除去しスライド上
のEBNA−レセプター免疫反応生成物のみを残した。
EBNAに結合した抗ポリペプチド抗体は先ずVBS中で1:1
0に希釈したモルモット補体(タゴ社、カルホルニア州
バーリンガム)をスライド上でこの補体がレセプターと
結合するのに十分な時間(30分)インキュベートするこ
とによって検出した。次いで、スライドをVBSで洗浄し
てウサギ抗ポリペプチドIgGに結合しなかった補体を除
去した。
フルオロレスセイン標識ヤギ抗モルモットC3(標識抗
補体抗体;オッペルラボラトリーズ、ペンシルバニア州
コクランビレ)を用いて抗原−抗体−補体複合体を検出
した。VBS中で1:20に希釈した50mlの指示抗血清を各ス
ライド上で上記のようにして20℃で30分間インキュベー
トした。未結合ヤギ抗モルモットC3をVBSでスライドか
ら洗い落した。次いで、免疫反応生成物を蛍光顕微鏡に
より目視観察した。
J.円形二色性分光測定 ポリペプチドのコンホーメーション性をヒト抗EBNA抗
体とのポリペプチド免疫反応に必要かもしれない二次構
造を説明するために試験した。ポリペプチドをりん酸塩
緩衝液(PBS)中に1mg/mlの濃度で溶解させた。スペク
トルはジギタルイキュープメントコーポレーション11/0
2コンピューター(ジキタルイキューブメント社、マサ
セッチュー州メイランド)とインターフェイスし自動化
したカーイリ61スペクトロポラリメーター(カーリーイ
ンスツルメント、アプライドフィジックス社、カルフオ
ルニア州モンロビア)中で1mlのサンプルを用いてとら
えた。各ペプチドの10回の成功走査の平均を第1図に示
した。
K.サンプル源および血清学 本発明で用いた血清サンプルは種々の供給源から得
た。これらの試験用の1組の血清はEBV誘起IMを有する1
3人の患者から得た。IMの異好抗体は13人の患者の10人
中にウマ細胞示差吸着チューブ試験を用いて以前に同定
されていた。異好抗体は2人の患者においては種々の方
法による試験にもかかわらず検出しなかった。1人の患
者は彼の病気の急性期において採取した1回のサンプル
のみにおいて検出した非診断的に低い値のウマ細胞アグ
ルチニンを有していた。この患者は本研究の目的におい
て異好抗体陰性とみなした。血清学的データは3人の異
好陰性患者から一次EBV感染の進行の証拠を示した。
10人の異好陽性患者のうち2人および3人の異好陰性
患者のうちの2人からのデータは以前に公表されている
〔Horwitz等、Am、J.Med.63:947−957(1977)〕。本研
究においては、EBV血清学試験は以前に凍結させた血清
サンプル上でVCAに対するIgGおよびIgM抗体用の商業的
に入手できる試験(リットンバイオネチックス社、南カ
ロライナ州チャールストン)による直接イムノ蛍光法に
よって行った。
もう1つのグループの血清はEBV−IMおよびCMV−IM試
験に用いた。このグループのサンプルにおいては、1人
の患者は異好陽性EBV−IM次いで平凡な臨床的回復の典
型的な様相を示した。病気の急性期において、彼は抗EB
NAに対する抗体(1:2)を伴なうことなくVCAに対する抗
体の高タイターを発現した(IgM=1:80、VCA−IgG1:128
0)。発症後174日まで、IgM抗VCA抗体はもはや検出でき
ず、抗EBNAは76〜111日の間含まれていた。CMVに対する
抗体は1連の血清において補体固定によっては検出され
なかった(1:8)。第2患者(D.S.)は初期の急性の恐
らくはサイトメガロウィルス(CMV)感染(CMV−IM)を
有し4ケ月後一次EBV感染があった。この患者はCMVマク
ログロブリン(1:256)、補体固定による抗CMVに対する
抗体の4倍上昇(CMF−CF)を示し、いずれのEBV関連抗
原に対する抗体応答はなかった。第1病発症後124日か
ら始まる彼の第2病においては、一次EBV感染はIgM抗VC
A(1:320)およびEBNAの初期に不存在だが後での発生に
特徴を有して起った。VCAに対するIgM抗体は継続試験に
よって消失した。彼の第2病気(EBV−IM)中、CMVマク
ログロブリン(CMV−IgM)はもはや検出できず、これに
対して、CMVに対する補体固定抗体は安定した値1:128で
依然として存在していた。
血清はまたCMV誘起単核症中に採血した10人の他患者
からも入手できた。彼等の急性期血清はすべて場合にお
いて有意の力価(1:32)のCMVマクログロブリンと抗CMV
(CF)を示した。4倍の力価の上昇または低下が継続し
てサンプリングした患者の10人のうちの6人(6/10)に
おける補体固定によって示された。10人の患者すべては
中庸な一定値の抗VCA(IgG)、抗−EBNA(1:10)を有し
抗VCA−(IgM)に対する抗体を有さない古いEBV感染の
血清学的証拠を示した。後者の11人の患者からの幾つか
のデータは早期の報告において開示されていた〔Horwit
z等、Medicine、65:124−133〕。
VCA(IgMとIgG)、早期抗原(EA)、およびEBNAに対
するEBV関連抗体並びにCMVマクログロブリンは標準の間
接イムノ蛍光(IFA)法により行った〔Horwitz等、Medi
cine、65:124−133(1986)、およびHenle等、Human P
athology、5:551〜565(1974)〕。抗CMVはまたAD−169
菌株のウィルス(Microbiological Associate、メリー
ランド州ベセスタ)を用いての補体固定によっても検出
した。
上記は本発明の例示を目的とし限定するものではな
い。多くの変形および修正を本発明の新規な概念の真の
精神および範囲から逸脱することなしになし得る。本明
細書で示した特定のポリペプチド、抗体、その組成物お
よび用途については限定を意図するものでないと理解す
べきである。
フロントページの続き (72)発明者 スミス リチャード エス アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92014 デル マー ヴィア ドナダ 17790 (56)参考文献 J.Virol.57[2](1986) p.591−602 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) EPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 からなる群より選ばれる配列を含む、抗EBNA抗体および
    抗CMV抗体に結合することができるポリペプチド、その
    薬学上許容し得る塩、但し天然のCMV由来のペプチドと
    完全に一致するものを除く。
  2. 【請求項2】a)生体サンプルを からなる群より選ばれる配列を含む、抗EBNA抗体および
    抗CMV抗体に結合することができるポリペプチド、その
    薬学上許容し得る塩、のいずれかと混合して免疫反応混
    合物を調製すること; b)上記混合物を、生体サンプル中の抗EBNA抗体または
    抗CMV抗体が上記ポリペプチドと免疫反応して免疫反応
    体を生成するに十分な所定時間維持すること;および c)上記免疫反応体の存在及びそれによっての上記サン
    プル中の抗EBNA抗体または抗CMV抗体の存在を測定する
    ことを特徴とする生体サンプル中の抗EBNA抗体および抗
    CMV抗体の双方を検出し得るアッセイ方法。
  3. 【請求項3】ポリペプチドが、 からなる群より選ばれる請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】工程c)が(i)工程b)の免疫反応体を
    抗ヒトIgM酵素標識抗体分子と混合して第2の免疫反応
    混合物を調製すること; (ii)上記第2免疫反応混合物を存在し得る抗EBNA抗体
    または抗CMV抗体が上記標識抗体分子と反応して標識免
    疫反応体を生成するのに十分な所定時間維持すること;
    および (iii)上記標識免疫反応体の存在およびそれによって
    の前記サンプル中での抗EBNAおよび抗CMV IgM抗体の存
    在を測定することの各工程を含む請求項2または3に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】別々のパッケージにおいて、 a)請求項1記載のポリペプチド、および、 b)上記ポリペプチドとヒト抗EBNA抗体またはヒト抗CM
    V抗体との免疫反応を示す指示手段とを含む、生体サン
    プル中の抗EBNA抗体および抗CMV抗体の双方の存在を検
    出し得るアッセイ用のキット形状の診断組成物。
  6. 【請求項6】ポリペプチドが からなる群から選ばれ、指示手段が抗ヒトIgM酵素標識
    抗体である請求項5記載の診断組成物。
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J.Virol.57[2](1986)p.591−602

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