JP3031564U - 医療用シース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】患者を挟んで手術者とは反対側位置において患
者にシ−スを挿入したときでも、シ−ス基端部へのアク
セスを容易にし、血管内へ必要以上長く挿入し過ぎるこ
とを防止でき、カテ−テル等の挿入作業も容易に行える
ようにする。 【解決手段】シ−スＡの先端部分が所定長さＬ１の小径
先端部１とされ、基端側が、小径先端部１よりも外径が
大径とされた大径基端部２とされ、両部分１と２との間
に段差７が形成されている。大径基端部２の長さＬ２が
３０〜５０ｃｍに設定されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、心臓手術等において、ガイドワイヤやカテ−テルを患者の体内に挿 入、案内するために用いる医療用シ−スに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

心臓手術等においては、ガイドワイヤやカテ−テルの少なくとも一方が、患者 の血管内に頻繁に挿入、抜き出しされることになる。このカテ−テル等を血管内 に容易に挿入できるように、管状とされた医療用シ−スが利用される。すなわち 、シ−スの先端部が血管内に挿入され、シ−スの基端部が体外に存在されて、手 術中、シ−スによって患者の血管内と体外とが連通状態とされる。そして、カテ −テル等は、シ−ス（の内孔）を通して、血管内に挿入、案内されることになる 。そして、従来のシ−スは、種々の長さおよび内径（外形）を有するものがある が、そのいずれも、そのほぼ全長が血管内に挿入されることを想定しており、そ のほぼ全長に渡って実質的に同一の外形を有していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、シ−スを患者に挿入するということは、この挿入部分がかなり傷つ くことになり、したがって手術後に当該挿入部分の痛み等によって患者が不便を きたさないように、シ−スは左腕に挿入されることが望まれる。すなわち、シ− スを脚部に挿入したときは手術後の用便等に支承をきたし、また右腕に挿入した ときは、利き腕となることが多い右腕がしばらくの間使えなくなるという不便を きたす。

【０００４】 上述のような観点から、シ−スを左腕に挿入しようとしたとき、手術室の状況 によっては、手術者が、患者を挟んで右腕とは反対側に位置しなければならない ことがある。この場合、手術者は、患者の体越しに左腕つまりシ−ス（の基端部 ）にアクセスして、カテ−テル等の挿入、抜き出し作業を行う必要がある。この ことは、手術者が前屈みの姿勢を強いられることとなり、しかも手術者の目から かなり遠い位置においてシ−スに対してカテ−テル等の挿入作業を行う必要があ り、かなりの重労働となる。とりわけ、手術者が、Ｘ線等からの防護のために、 重い保護シ−トを胸から腹に渡って装備したときの労働がきついものとなる。

【０００５】 上述のような問題を解消すべく、十分長いシ−スを用いることも考えられるが 、この場合は、必要以上に長くシ−スを挿入し過ぎるおそれあがあり、また体外 に位置する部分が血管内に挿入される部分と同一の小径であるため腰が弱く、そ の基端からカテ−テル等の挿入を行う作業が難しく、事実上採用できないもので ある。

【０００６】 本考案は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、患者を挟 んで手術者とは反対側位置において患者にシ−スを挿入したときでも、このシ− スの基端部へのアクセスを容易に行えるようにし、しかも血管内へ必要以上に長 く挿入し過ぎることもなく、かつカテ−テル等の挿入作業も容易に行えるように した医療用シ−スを提供することにある。

【０００７】 前記目的を達成するため、本考案にあっては次のような構成としてある。すな わち、 管状とされた医療用シ−スにおいて、 先端から基端側へ所定長さに渡って外径が小径とされた小径先端部と、 前記小径先端部よりも基端側に形成され、外径が該小径先端部の外径よりも大 きくされた大径基端部と、 を備え、前記大径基端部の長さが３０ｃｍ〜５０ｃｍの長さ範囲に設定されてい る、 ような構成としてある。上記構成を前提とした好ましい態様は、実用新案登録請 求の範囲における請求項２以下に記載のとおりである。

【０００８】 本考案による医療用シ−スによれば、小径先端部が患者の血管内に挿入され 、大径基端部が体外に位置されることになる。そして、小径先端部と大径基端部 との境界に形成される段差部が、大径基端部が血管内に挿入されてしまうことを 防止するストッパとして機能することになる。

【０００９】

【考案の効果】

請求項１に記載された考案によれば、患者を挟んで手術者とは反対側位置にお いて患者にシ−スを挿入したときでも、大径基端部が３０〜５０ｃｍというよう に十分長いので、シ−スの基端を手術者に十分近い位置とすることができ、シ− スの基端部へのアクセスを容易に行って、手術者の負担が軽減される。

【００１０】 また、小径先端部と大径基端部との境界に形成される段部のストッパ作用によ って、大径基端部が不用意に血管内に挿入されてしまう事態を防止することがで きる。

【００１１】 勿論、血管内に挿入される小径先端部が小径であるので血管内への挿入を行う 上で好ましく、また体外に位置される大径基端部が大径であるので、適度の腰の 強さを有してカテ−テル等を容易にことがができる。

【００１２】 請求項２に記載したような構成とすることにより、患者が大人のときに、シ− ス基端の位置を、手術者に十分近い位置とすることができる。

【００１３】 請求項３に記載したような構成とすることにより、外力が作用しないときに小 径先端部がほぼ直線状となるので、血管内への挿入作業がし易く、また大径基端 部が略円弧状に湾曲していることにより、患者の胴体に沿って大径基端部を安定 した状態で配設することができる。

【００１４】 請求項４に記載したような構成とすることにより、長さおよび径の異なる内管 と外管との２つの管を利用して、本考案の医療用シ−スを容易に得ることができ る。

【００１５】

【考案の実施の形態】

図１において、Ａは本考案による医療用シ−スであり、後述するように、小径 先端部１と大径基端部２とを有する。シ−スＡは、その全長に渡って同一内径の 内孔（ガイド孔）を有する管状とされ、径大径基端部２の基端には、止血弁３が 接続される。そして、止血弁３には、エクステンションチュ−ブ４を介して切換 弁（実施例では三方切換弁）５が接続されている。カテ−テル６等は、矢印Ｙで 示すように、止血弁３を通ってシ−スＡ内に挿入されるもので、カテ−テル６等 を抜いたときは、止血弁３によって、シ−スＡ（の内孔）が閉塞される。

【００１６】 シ−スＡは、図２に示すように、内筒管１１と外管１２とを利用して構成され ている。すなわち、内管１１は、シ−スの呼び径（通常フレンチサイズで呼ばれ る）に従う内径および外形を有すると共に、シ−スＡの全長と同じ長さを有して いる。外管１２は、内管１１よりも所定分短くて、内管１１の基端部外周に嵌合 されており、接着剤によりあるいは融着によって当該内管１１に一体化されてい る。

【００１７】 シ−スＡつまり内管１１と外管１２とは、医療用として好適な既知の合成樹脂 、例えばポリウレタン、ナイロン、シリコン等によって形成されている。なお、 内管１１と外管１２との２つの管を利用することなく、射出成形等により小径先 端部１と大径基端部２と同時形成することもでき、また全長に渡って外管１２の 外形を有する管部材を、小径先端部１に相当する部分のみ削り加工することによ り形成する等のこともできる。

【００１８】 小径先端部１の長さＬ１は、血管内に挿入すべき所望長さとされ、実施例では 心臓手術用として好適なように、略１０ｃｍとされている。また、大径基端部２ の長さは、３０〜５０ｃｍ、好ましくは４０〜４５ｃｍとされる。この３０〜５ ０ｃｍという長さは、図３、図４に示すように、患者Ｂがあお向け姿勢とされた とき、体側面に沿う腕に小径先端部１をその全長に渡って挿入したとき、大径基 端部１２の基端１２ａが、ほぼ患者の胴体の左右方向略中間位置、つまり丁度臍 付近に位置するような長さとされる。

【００１９】 小径先端部１は、外力が作用しない限り、ほぼ直線状を維持するように（弾性 復帰）設定されている。また、大径基端部２は、外力が作用しない限り、略円弧 状に湾曲するように（弾性復帰）設定され、その湾曲度合いは７０Ｒ〜９０Ｒ（ 好ましくは略８０Ｒ）とされている。

【００２０】 図３、図４は、本考案によるシ−スＡを用いて手術を行う様子を示す。患者Ｂ は、手術台１３の上にあお向けとされ、患者Ｂの右側に手術者Ｃが位置される。 患者Ｂの左腕２１は、胴体２２の体側面に沿うようにされ、この左腕２１に対し てシ−スＡが挿入される。すなわち、シ−スＡのうち、その小径先端部１のみが その全長に渡って患者Ｂの左腕２１の血管内に挿入される。大径基端部２は、そ の全長に渡って体外に位置されるが、その基端２ａは、胴体２２の左右方向略中 間位置（臍付近）に位置される。

【００２１】 小径先端部１は、必要最小限まで小径とすることができ、しかも自然状態では 略直線状であるので、血管内への挿入作業が容易となる。また、大径基端部２と の段差７によって、当該大径基端部２までが不用意に血管内に挿入されてしまう 事態が防止される。なお、図１に示すように、大径基端部２のうち小径先端部１ 付近の外周に、段差７部分を容易に確認できるようにするため、色付きのバンド 等の識別標識８を設けておくこともできる。

【００２２】 通常は、大径基端部２の基端２ａは、臍付近の胴体２２上に置かれる。カテ− テル６等を挿入するとき、手術者Ｃによって、基端２ａ（に接続される止血弁３ ）が把持され、この基端２ａから、カテ−テル６等がシ−スＡ内に挿入され、ま た抜き出される。大径基端部２は、小径先端部１に比して大径なので、腰が強く 、カテ−テル６等の挿入作業が容易に行われる。

【００２３】 大径基端部２の基端２ａは、手術者Ｃの近くに位置されるので、手術者Ｃは、 大きく前屈みになることなく、つまりほぼ自然な直立状態でもって、基端２ａに 容易にアクセスすることができる。また、大径基端部２は、自然状態では前述し たように湾曲するように設定されているので、患者Ｂの左腕２１から胴体２２の 左右方向略中間位置までに渡っての体表面の曲がりにほぼ沿うように配設される 状態となって、当該胴体２２上に安定して位置される。

【００２４】 以上実施例について説明したが、本考案による医療用シ−スは、心臓血管診 断および手術用に限らず、この種のシ−スを必要とする適宜の手術、例えば肺手 術、肝臓手術等、患者を挟んで手術者Ｃとは反対側においてシ−スを挿入するこ とが望まれる適宜の診断、手術に利用できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるシ−スの一例を示す全体図。

【図２】図１に示すシ−スの長手方向要部断面図。

【図３】本考案によるシ−スを用いた手術の様子を示す
側面図。

【図４】本考案によるシ−スを用いた手術の様子を示す
上面図。

【符合の説明】

１：小径先端部 ２：大径基端部 ２ａ：基端 ７：段差 １１：内管 １２：外管 Ａ：シ−ス Ｂ：患者 Ｃ：手術者

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】管状とされた医療用シ−スにおいて、 先端から基端側へ所定長さに渡って外径が小径とされた
   小径先端部と、 前記小径先端部よりも基端側に形成され、外径が該小径
   先端部の外径よりも大きくされた大径基端部と、を備
   え、前記大径基端部の長さが３０ｃｍ〜５０ｃｍの長さ
   範囲に設定されている、ことを特徴とする医療用シ−
   ス。
2. 【請求項２】請求項１において、 前記小径先端部の長さが略１０ｃｍとされ、前記大径基
   端部の長さが４０〜４５ｃｍとされている、ことを特徴
   とする医療用シ−ス。
3. 【請求項３】請求項１において、 外力が作用しないときに、前記小径先端部がほぼ直線状
   となるように、かつ前記大径基端部が略円弧状に湾曲し
   た形状となるように設定されている、ことを特徴とする
   医療用シ−ス。
4. 【請求項４】請求項１ないし請求項３のいずれか１項に
   おいて、 内管と、該内管の基端部外周に嵌合、一体化された外管
   とかならなり、 前記外管の存在する部分が前記大径基端部とされ、前記
   内管のみが存在する部分が前記小径先端部とされてい
   る、ことを特徴とする医療用シ−ス。