JP3030533U - 紙製緩衝材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 商品の流通過程等における緩衝材として、紙
製のものを用いることにより資源の再利用化を可能と
し、かつ紙製でありながら多孔質ブロック状に成形する
ことにより、大きな緩衝効果を得る。 【解決手段】 古紙等を粉砕した紙繊維粉砕物にコーン
スターチ、重曹（又はイースト菌）を添加して混錬し、
半錬り状態とした不定形生地Ｇを型４ａ、４ｂに入れ、
所定温度に保持する。これにより発生する二酸化炭素
（又は発酵ガス）に基づき、不定形生地Ｇを型４ａ、４
ｂ内で膨張・充満させ、これを取り出せば、多孔質でブ
ロック状の紙製緩衝材１となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、商品の流通・輸送時等において商品を衝撃等から保護する緩衝材 に関し、特に紙製のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば電気製品や精密部品その他の商品を流通・輸送する際に、商品を 衝撃等から保護するために発泡スチロール材が緩衝材として使用されてきた。し かし、発泡スチロールは使用後にゴミとなった場合の後処理がしにくく、また再 利用等のリサイクルにも馴染みにくい。

【０００３】 一方、段ボール板を折曲げ、箱状にして緩衝材とするものもあり、この段ボー ル板の緩衝材は、紙資源の再利用の点からは好ましいものといえるが、段ボール 板の厚さ等をあまり厚くすることができないため、発泡スチロール並の緩衝効果 が得にくい場合がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この考案の課題は、資源再利用の要請を満たし、かつ大きな緩衝効果が得られ る紙製緩衝材を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段及び効果】

この考案は、紙繊維を主体とし、かつバインダ及び炭酸水素塩を添加した不定 形生地を型内で加熱することにより、その生地内で発生して外部へ逃げる二酸化 炭素に基づき前記不定形生地を前記型内で膨張させて所定形状に成形して紙製緩 衝材となしたものである。

【０００６】 これは、いわばパンを焼くような原理で、紙繊維を多孔質状に膨張させた紙製 緩衝材であるところから、大きな厚み、ひいてはブロック状の紙製緩衝材とする ことができ、段ボール板を折曲げて箱状にする場合と異なり、構造的には発泡ス チロールの緩衝材に引けをとらない緩衝（クッション）効果が得られる。しかも 、緩衝材として使用後は、この紙製緩衝材を紙資源として再利用することが容易 である。従って、貴重な紙資源の再利用の要請に応えられるし、かつ大きな緩衝 効果も得られるという二重のメリットがある。

【０００７】 上述の炭酸水素塩としては、例えば重曹を用いることができ、これは食品等に もよく用いられているもので、安全面での信頼性も高い。

【０００８】 上述の重曹等の炭酸水素塩に代えて、イースト菌を添加した成形生地を型内で 保持又は加熱することにより、その生地内で発生して外部へ逃げる発酵ガスに基 づき、不定形生地を前記型内で充満させて、所定形状に成形した紙製緩衝材とし てもよい。これは、前述のパンを焼く原理にさらに近いもので、イースト菌の作 用に基づく発酵ガスにより、上述の不定形生地が膨張して、多孔質の紙製緩衝材 となる。

【０００９】 また、炭酸水素塩あるいはイースト菌とともに添加するバインダとしては、例 えばコーンスターチを採用することができ、これが紙の繊維を結合する一種の糊 の役割を果たす。

【００１０】

【考案の実施の形態】

以下、図面に示す実施例を参照しつつ、本考案の実施の形態を説明する。 図１は、棒状の精密部品Ｐを複数並べて箱等に入れ梱包する際に、ブロック状 の紙製緩衝材１を複数用いる場合を例示するものである。つまり、棒状の部品Ｐ をその両端部で支持するとともに、例えば上下から挟むように各緩衝材１を用い る。そのため、図２に示すように各緩衝材１には棒状部品Ｐが入り込む、例えば 半円状断面の溝２が設けられる。

【００１１】 このような紙製緩衝材１は、多孔質のブロック状のもので、原理的には、例え ば図３及び図４に示すように、いわばパンを焼く原理でブリキ製等の成形型４内 に紙繊維を主体とする半錬り状の生地Ｇを入れ、常温又は所定の温度で保持する ことにより、これを膨らませる。成形型４には、ガス抜き孔５があり、また成形 型４をベース３上に保持することができる。さらに、生地Ｇを入れるための蓋４ ｃを設けることもできる。

【００１２】 次に、図１に示すような紙製緩衝材の具体的な製造方法の一例を図５に基づい て説明する。添加剤として重曹を用いる場合を説明すると、紙繊維の粉砕物、例 えば古紙を粉砕したものにバインダとしてコーンスターチ、重曹を加えるととも に水に溶く。さらに、混錬して半錬り状態にした不定形生地Ｇを、型４ａ及び４ ｂ内に入れ、型閉じする。そして所定温度、例えば１００℃近くまで型４ａ、４ ｂを介して生地Ｇを加熱すれば、生地Ｇ内から二酸化炭素が発生して生地Ｇが膨 張する。

【００１３】 （４）のように型４ａ、４ｂ内で生地Ｇが膨張・充満した後、（５）のように 型開きをし、（６）で取り出せば、（７）に示すような紙製緩衝材１となる。こ の紙製緩衝材１は、二酸化炭素が外部へ逃げることに基づき形成された多数の孔 を有する多孔質ブロック状のもので、部品等を嵌め込む溝２も同時に成形される 。

【００１４】 なお、（３）の加熱の温度をより高くすれば、生地Ｇの膨張時間は短くて済み 、加熱温度が低ければ、膨張時間はより長く要するのが普通である。

【００１５】 以上は重曹を添加する場合であるが、重曹の代わりにイースト菌を添加するこ ともできる。その場合、イースト菌がコーンスターチ等を消化することに基づく 発酵ガスが生じ、これによりパン焼きのような原理で、多孔質の紙製緩衝材を得 ることとなる。その際図５（３）の加熱では常温より一定量高くすること（例え ば３８℃程度）がよく、これにより発酵して、重曹の場合と同様に生地Ｇが型内 に充満し、（７）に示すような紙製緩衝材１を得る。なお、イースト菌の場合、 加熱は必ずしも必須要件ではなく、常温に保持して発酵できる場合はそれでもよ い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の紙製緩衝材の使用形態の一例を示す
図。

【図２】その側面図。

【図３】紙製緩衝材の製造原理の一例を示す成形型の斜
視図。

【図４】その断面図。

【図５】紙製緩衝材の製造方法の一例を示す工程図。

【符号の説明】

１ 紙製緩衝材 ２ 溝 ４ａ、４ｂ 成形型 ５ ガス抜き孔 Ｇ 不定形生地

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 紙繊維を主体とし、かつバインダ及び炭
   酸水素塩を添加した不定形生地を型内で加熱することに
   より、その生地内で発生して外部へ逃げる二酸化炭素に
   基づき前記不定形生地を前記型内で膨張させて所定形状
   に成形してなる紙製緩衝材。
2. 【請求項２】 前記炭酸水素塩として重曹が用いられる
   請求項１に記載の紙製緩衝材。
3. 【請求項３】 紙繊維を主体とし、かつバインダ及びイ
   ースト菌を添加した不定形生地を型内で保持又は加熱す
   ることにより、その生地内で発生して外部へ逃げる発酵
   ガスに基づき前記不定形生地を前記型内で膨張させて所
   定形状に成形してなる紙製緩衝材。
4. 【請求項４】 前記バインダはコーンスターチである請
   求項１〜３のいずれかに記載の紙製緩衝材。