JP3028271B2 - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン等に利用
される液晶表示素子に関し、特に強誘電性液晶を用いて
階調表示を行なう液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のアクティブマトリクス駆動方式を
用いた液晶テレビジョンパネルでは、薄膜トランジスタ
(TFT)を画素毎にマトリクス配置し、前記TFTに
ゲートパルスを印加してソースとドレイン間を導通状態
とし、同時に映像信号がソースより印加されてキャパシ
タに蓄積され、この蓄積された映像信号に対応して液晶
(例えばTN液晶)が駆動するものである。また、上記
映像信号の電圧を変調することによって同時に階調表示
を行なうことができる。
【0003】このようなアクティブマトリクス駆動方式
を用いた液晶テレビジョンパネルは、使用するTFTが
複雑な構造を有しているため、製造時の工程数が多く、
コストが嵩むという問題が有った。また、TFTを構成
している薄膜半導体(例えばポリシリコン、アモルファ
スシリコン)を広い面積にわたって被膜形成することは
困難である。
【0004】一方、低コストで製造できる表示素子とし
て、パッシブマトリクス駆動方式の表示素子が知られて
いる。この表示素子では、走査線数(N)が増大するに
従って1画面(1フレーム)を走査する間に一つの選択
点に有効な電界が印加されている時間(デユーティー
比)が1/Nの割合で減少し、その結果クロストークが
発生する。更に、高コントラストの画像とならない等の
問題点がある上、デューティー比が小さくなると各画素
の階調を電圧変調により制御することが困難となるなど
高密度数の表示パネル、特に液晶テレビジョンパネルに
は適していない。
【0005】このような従来のTN液晶が持つ根本的な
問題点を解決するものとして、クラークとラガーウォル
らが米国特許第4367924号明細書などで双安定性
を持つ強誘電性液晶(FLC)素子が提案している。こ
のFLC素子は理想的には2つの安定状態のいずれかに
安定しようとして中間的な分子位置をとらないため、階
調表現には不向きであると考えられてきた。これに対
し、画素分割法に代表されるようなデジタル的な手法に
よる階調表示、或いは駆動波形による階調表示等が行な
われている。
【0006】しかしながらこのデジタル的な手法による
階調表示法では解像度が低下してしまい、HDTV対応
等の高解像度ディスプレイには向かない。更に、画素分
割数を上げずに輝度階調数を大きくすることは困難であ
る。また1画素階調表示のために多数の駆動電極を必要
とし、複雑な演算処理回路も必要となり、製造歩留が低
下してしまう。
【0007】このようなFLC素子の階調表示の問題を
解決する手段として、電極表面に凹凸を設け、液晶層に
かかる電界強度を変えることにより階調表示を行なう方
法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記凹凸を電極に設け
るには、ITO(インジウムスズ酸化物)を部分的にエ
ッチングしている。しかしながら大面積で均一な結晶状
態のITO膜を部分的にエッチングすると、エッチング
分布及びプロセスマージンの制御が困難なことから、精
度良く凹凸表面が作れず、表示品質の高い階調表示を行
なうことができなかった。
【0009】本発明はこのような問題点に鑑み、精度の
高い凹凸電極を有するFLC表示素子と、その製造方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、対向配
置した一対の電極基板間に強誘電性液晶を挟持し、それ
ぞれの電極基板に設けた走査電極群と情報電極群との交
差部を画素とする液晶表示素子であって、上記電極群の
少なくとも一方の電極を構成する化合物が2つの異なる
結晶状態を有し、且つ該電極が液晶側に凹凸を有するこ
とを特徴とする液晶表示素子であり、第2は第1の液晶
表示素子の製造方法であって、少なくとも一方の電極の
製造工程において、該電極を構成する化合物を一方の結
晶状態で基板上に積層した後、異なる結晶状態で該化合
物を積層し、後者の化合物をパターニングすることによ
り、電極表面に凹凸を形成することを特徴とする液晶表
示素子の製造方法である。
【0011】以下、液晶表示素子において広く用いられ
ているITOを例に挙げて説明する。
【0012】本発明は、2つの異なる結晶状態でITO
を積層成膜し、両状態のエッチング特性の違いを利用し
て、上層のみをパターニングし、凸部を形成するもので
ある。具体的には、ガラス基板上にITO膜を成膜す
る。このITO膜は多結晶化していることが必須条件で
ある。そしてこの多結晶化したITO膜をフォトリソ、
エッチング工程によりパターニングする(画素間隙形成
のため)。この多結晶ITO膜をエッチングするには、
強酸(HCl+FeCl3 混合液及びHI等)を用い
る。その後更に非結晶化(アモルファス)ITO膜を成
膜する。そしてフォトリソ、エッチング工程によりIT
O膜上にアモルファスITO膜パターンを形成する。こ
のアモルファスITO膜のエッチングには弱酸であるシ
ュウ酸を用いる。上記多結晶ITO膜は弱酸ではエッチ
ングできないため、多結晶ITO膜上のアモルファスI
TO膜をシュウ酸で選択的にエッチングすることがで
き、精度良く凹凸を形成することができる。
【0013】
【実施例】
(実施例1)図1に本発明の第1の実施例を示した。図
1(a)に示すように、ガラス基板1上に透明電極とし
てITO膜2を700Åの厚さになるように成膜する。
このITO膜は結晶化しており、スパッタリング装置に
より230℃以上の温度で成膜することにより得られ
る。ITO膜が結晶化しているかどうかはX線回折によ
り確認され、結晶ITO膜は図2に示すような結晶面ピ
ークを有している。
【0014】次に、画素間パターニングのため、フォト
レジスト4を塗布し、所望のパターンを付与したフォト
マスク3を介して露光し(b)、現像(c)、エッチン
グ、剥離工程により結晶ITO膜画素パターンを形成し
た(d)。結晶ITO膜のエッチングは強酸であるHC
l+FeCl3 混合液を用いた。
【0015】その次に、結晶ITO膜パターンの上に更
に、アモルファス(非結晶)ITO膜5を成膜した。ア
モルファスITO膜はスパッタリング装置を用い、室温
で成膜することにより得られる(e)。ITO膜がアモ
ルファスであるかどうかはX線回折により確認され、ア
モルファスITO膜は図3に示すように結晶面ピークを
有していない。該ITO膜上にフォトレジスト4’を塗
布し、所望のパターンを付与したフォトマスク3’を介
し露光した(f)。次に現像(g)、エッチング、剥離
工程によりアモルファスITO膜パターンが結晶ITO
膜パターンの上に形成された(h)。アモルファスIT
O膜パターンのエッチングには、弱酸であるシュウ酸を
用いた。結晶ITO膜はシュウ酸によってはエッチング
されないため、該結晶ITO膜を損傷することなくアモ
ルファスITO膜パターンを形成し、その結果、成膜時
の膜厚分布精度で凹凸形状を表面に有する透明電極を設
けることができた。
【0016】(実施例2)実施例1と同様にしてガラス
基板上に加熱スパッタリング法により結晶ITO膜を1
000Åの厚さに成膜した。比抵抗をより低くするため
に、加熱温度を300℃とした。そしてフォトリソ、エ
ッチング、剥離工程により、結晶ITO膜パターンを形
成した。その後、更にアモルファスITO膜500Åを
成膜した。アモルファスITO膜は、成膜中にH2 Oを
投入する手法(日本真空株式会社提案,88年秋応用物
理学会:a−s−5)で行なった。引き続き、フォトリ
ソ、エッチング、剥離工程により結晶ITO膜パターン
上にアモルファスITO膜パターンを形成した。これに
より凹凸段差500Åの透明電極を形成することができ
た。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、異なる結晶状態の
エッチング特性の違いを利用することによって、大面積
内でも透明電極表面に成膜時の膜厚分布精度で凹凸形状
を設けることができ、階調表示が著しく向上し、表示品
位に優れた大型のFLC表示素子が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る結晶ITO膜のX線回折チャート
である。
【図3】本発明に係るアモルファスITO膜のX線回折
チャートである。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 結晶ITO膜 3、3’ フォトマスク 4、4’ フォトレジスト 5 アモルファスITO膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−56935(JP,A) 特開 平5−72536(JP,A) 特開 平5−181150(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1343 G02F 1/13 101 G02F 1/133 G02F 1/137

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置した一対の電極基板間に強誘電
    性液晶を挟持し、それぞれの電極基板に設けた走査電極
    群と情報電極群との交差部を画素とする液晶表示素子で
    あって、上記電極群の少なくとも一方の電極を構成する
    化合物が2つの異なる結晶状態を有し、且つ該電極が液
    晶側に凹凸を有することを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 上記凹凸を有する電極を構成する化合物
    がITOであることを特徴とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の液晶表示素子の製造方法
    であって、少なくとも一方の電極の製造工程において、
    該電極を構成する化合物を一方の結晶状態で基板上に積
    層した後、異なる結晶状態で該化合物を積層し、後者の
    化合物をパターニングすることにより、電極表面に凹凸
    を形成することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記化合物がITOであり、基板上に多
    結晶ITOを積層した後、アモルファスITOを積層す
    ることを特徴とする請求項3記載の液晶表示素子の製造
    方法
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TW473459B (en) * 1998-12-10 2002-01-21 Ibm Method for forming transparent conductive film using chemically amplified resist
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JP4237442B2 (ja) 2002-03-01 2009-03-11 株式会社半導体エネルギー研究所 半透過型液晶表示装置
CN101552241B (zh) * 2008-04-03 2010-11-03 北京京东方光电科技有限公司 阵列基板及其制造方法和液晶显示装置

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