JP3027790U - 棚収納物落下防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 構造単純、安価で、操作に便利な棚収納物落
下防止装置。 【解決手段】 レバー部材６は、だ円孔15を介して支軸
８に係合し、支軸８をだ円孔15の上端に係合させた起立
状態では、レバー部材６の後面がヒンジ金物の前面９に
当接してレバー部材の回動を阻止し、支軸８をだ円孔15
の下端に係合させるとレバー部材の下端部が支軸８とレ
バー金物の前面10との間を自由に通過できるのでレバー
部材は回動可能となる。ヒンジ金物５は棚板１の前端面
部材３に背後から係合する係合部片と、ヒンジ金物に螺
合し棚板前端面４を前方から押圧する押しねじとを有
し、係合部片と押しねじによって前端面部材を前後から
挟み付けることにより前端面４に固着される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、棚板上に収納されている収納物が、水平力により該棚板上を滑って 棚間口から落下するのを防止する棚収納物落下防止装置に関する。

【０００２】

【従来技術】

箱またはコンテナ等の収納物を棚板上に載置して収納する棚においては、該収 納物の棚間口からの搬出入を容易にするためには、収納物の底面と棚板の上面と の間の摩擦が僅少であることがのぞましい。しかし一方、このような棚において は、地震等の水平力が加わった時に、前記棚板上の収納物が滑って棚間口から突 出し、あるいは落下する恐れがある。

【０００３】 このため、棚板の前端面に沿わせて間口方向へ延長した係止部材を設け、この 係止部材を棚板上面より上方へ突出した位置に設定することにより、収納物の滑 出しを防止し、該係止部材を棚板上面より下方位置に設定することにより収納物 の搬出入が妨げられないようにした収納物滑出し防止装置を備えた収納棚が知ら れており、例えば実公昭５８−２９９７３号公報に示されている。

【０００４】 該公報に記載された収納物滑出し防止装置においては、前記係止部材は、上下 両縁に１８０°屈曲された湾曲部を備えた板状体から成り、かつ棚板前端面に螺 着、固定された支持部材と嵌合する嵌合部を有している。そしてこの係止部材は 、前記嵌合部を支持部材に嵌合させることにより、該支持部材の上面で支持され て、棚板上面上に起立した起立状態に確実に固定され、収納物の間口面からの滑 出しを未然に防止する。

【０００５】 前記支持部材には左右方向に指向して軸状の係合部片が突設されており、前記 係合部材の下縁の湾曲部をこの係合部片に係合させ、係止部材全体を該係合部片 のまわりに前方へ回動させることにより、係止部材が棚板上面より上方に全く突 出しない下方位置へ垂下するので、この状態で、収納物を棚板上からもしくは棚 板上へ容易に搬出入することができる。

【０００６】

【解決しようとする課題】

上記従来の装置における係止部材は、棚間口に沿って延長する板状体から成り 、かつ上下の湾曲部や支持部材との嵌合部を形成しなければならないので、材料 費、加工費がかさんでコストが高くつくとともに、比較的重く、操作に不便であ る。

【０００７】 さらに、支持部材が棚板にねじにより固定されるようになっているので、この 装置を取付けるには、棚板にねじ孔を加工しなければならず、既設の棚板にその まま簡単に該装置を取付けるというわけには行かない。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、本考案の棚収納物落下防 止装置は、棚板の前端面に固着され、前方へ突出する突出部分に左右方向に突設 された支軸を有する左右１対のヒンジ金物と、一方の端部を前記支軸に回動自在 に係合させて前記各ヒンジ金物にそれぞれ支持されたレバー部材と、これらのレ バー部材の他方の端部どうしを連結する水平な棒状部材とから成り、前記レバー 部材は、前記一方の端部に長軸を該レバー部材の長手方向に向けて形成されただ 円孔を介して前記支軸に係合し、該レバー部材を前記一方の端部を下にして起立 状態にし前記支軸を前記だ円孔の上端に係合させた状態では、該レバー部材の後 面が前記ヒンジ金物の前面に当接して該レバー部材の回動を阻止し、前記支軸を 前記だ円孔の下端に係合させた状態では、該レバー部材の下端部が前記ヒンジ金 物の前面と前記支軸との間を自由に通過して該レバー部材の回動を許容すること を特徴とする。

【０００９】 本考案によれば、各レバー部材を一方の端部を下にして起立状態にし、該端部 に形成されているだ円孔の上端がヒンジ金物の支軸によって支えられるようにす ることにより、各レバー部材は回動を阻止されて、棚板上方に突出した前記起立 状態を保持するので、この状態で、各レバー部材の他方の端部どうしを連結する 水平な棒状部材によって、棚板上の収納物の落下を有効に防止することができる 。

【００１０】 上記起立状態のレバー部材を棒状部材を介して少し上方に持上げてやり、前記 支軸を前記だ円孔の下端に係合させると、レバー部材は前記支軸を中心として自 由に下方へ回動できるようになるので、左右のレバー部材をこれらを連結してい る棒状部材とともに回動させて支軸から垂下させて棚板上方に突出しないように することにより、収納物の搬出入を容易にすることができる。

【００１１】 本考案において、棚板上の収納物を係止してその落下を防止する係止部材は、 前記左右のレバー部材とこれらの端部どうしを連結する棒状部材とによって構成 され、かつレバー部材には一方の端部にだ円孔を形成するだけでよいので、係止 部材が構造簡単でコストが安く、また軽量で操作に便利である。

【００１２】 また、本考案によれば、前記ヒンジ金物に、前記棚板の前端面部材に背後から 係合する係合部片と、該ヒンジ金物に螺合して前記棚板前端面を前方から押圧す る押しねじとを設ける。

【００１３】 このようにすれば、上記係合部片と押しねじによって棚板前端面部材を前後か ら挟み付けることにより、ヒンジ金物を棚板に固着することができ、この際、棚 板側にねじ穴等の加工を施す必要が全くないので、たとえ収納物を収納した既設 の棚板であっても、そのまま簡単にこの収納物落下防止装置を取付けることがで きる。例えば既設の本棚において、棚板上に多数の書物を並立収納したまま、こ れらの配列を乱すことなく容易に取付けることができる。

【００１４】 さらに、前記ヒンジ金物の前面の一部分を、前記レバー部材の下端部を回動通 過させる円弧状の凹面に形成することにより、前記支軸をだ円孔の上端に係合さ せた状態でのレバー部材の回動阻止と、前記支軸をだ円孔の下端に係合させた状 態でのレバー部材の回動許容との両方を、簡単な構成で確実に実現することがで きる。

【００１５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を図示の一実施形態について説明する。図１は棚板１に取付けら れた本考案による棚収納物落下防止装置２の全体斜視図である。棚板１には、棚 間口に臨む前縁に沿って屈曲成形された前端板３により、前端面４が形成されて おり、収納物落下防止装置２はこの前端面４に取付けられている。

【００１６】 収納物落下防止装置２は、上記前端面４に互いに所定の間隔を隔てて固着され た左右１対のヒンジ金物５、５とこれらのヒンジ金物５、５にそれぞれ一端を回 動自在に係合させて支持された１対のレバー部材６、６と、これらのレバー部材 ６、６の他端どうしを連結する水平な棒状部材７とから成っている。左右のヒン ジ金物５、レバー部材６は同一形状をなしているので、以下ヒンジ金物５および レバー部材６に関しては、図１において右側のものについてだけ説明する。

【００１７】 図２は該ヒンジ金物５およびレバー部材６を図１の右側から見た側面図で、図 ３はその前面図である。また、図４はヒンジ金物５だけを示した同様な側面図で あり、図５および図６はそれぞれその前面図および上面図である。

【００１８】 これらの図から分るように、ヒンジ金物５は棚板１の前端面４に沿う板状の本 体部５ａを有し、該本体部５ａの左右方向中央部に高さ方向全体にわたって前方 へ突出した突出部分５ｂが設けられている。そして該突出部分５ｂの両面にそれ ぞれ短円柱状の支軸８が左右方向へ向けて突設されている。

【００１９】 突出部分５ｂの両側に延在する本体部５ａの前面は、棚板１の前端面４に平行 な平面部分９と、支軸８と同心の円弧状をなす凹面部分10とからなっている。

【００２０】 本体部５ａの下端部には後方へ向って延びる係合部片11が一体に形成され、該 係合部片11の後端は上方へ屈曲して爪片11ａとなっている。一方、棚板１の前記 前端板３の下縁は、後方へ向って屈曲した後、上方へ向って起立して、Ｕ字状を なしている。しかして前記係合部片11の形状、寸法は、本体部５ａの後面を図示 のように棚板１の前端面４に当接させた時に、爪片11ａが前端板３の前記Ｕ字状 部分の後方起立部３ａ（図２）の後面にほぼ沿うように設定されている。

【００２１】 ヒンジ金物５には、前記突出部分５ｂの前端面から前記本体部５ａの方へ向け てねじ挿入孔12が穿設されており、該ねじ挿入孔12は先端においてねじ孔13に連 接し、ねじ孔13は本体部５ａの後面すなわち前記前端面４との当接面に開口して いる。このねじ孔13にはねじ挿入孔12に前方から挿入された押しねじ14のねじ部 が螺合し、上記開口から僅かに突出することにより棚板１の前端面４を押圧する 。押しねじ14の頭部14ａにはねじ回し用の六角穴14ｂがもうけられている。

【００２２】 前述のように棚板１の前端板３は本体部５ａと一体の係合部片11の爪片11ａに より後方から支えられているので、押しねじ14で前端面４を押圧することにより 、ヒンジ金物５は押しねじ14と爪片11ａとの間に前端板３を挟み付けて該前端板 ３に強固に固定される。従って棚板１側には、これにヒンジ金物５を固定するた めに何等の加工を施す必要もない。

【００２３】 このようにして前端面４に固定したヒンジ金物５に、前記支軸８を介してレバ ー部材６が支持されるが、レバー部材６は両端に丸味を有する細長い長方形状を なし、一端部に前記支軸８と係合するだ円孔15を有している。該だ円孔15の長軸 はレバー部材６の長手方向に指向しており、支軸８はだ円孔15内においてこれに 相対的に上記長手方向に摺動可能である。左右のレバー部材６を連結する前記棒 状部材７は、該レバー部材６の上記だ円孔15とは反対側の端部にねじ部材16によ り固定されている。

【００２４】 左右のレバー部材６、６とこれらを連結する棒状部材７とは、棚板１上の収納 物を係止してその落下を防止する係止部材を構成し、この係止部材（６，７）は 、図１に示すように、棚板１の上面より上方へ突出した状態で収納物の落下を防 止する。この時レバー部材６はだ円孔15側の端部を下にした起立状態に在り、支 軸８はだ円孔15の上端15ａと係合するが、レバー部材６の後面６ａがヒンジ金物 ５の前面の前記平面部分９に当接し、しかも該後面６ａは支軸８の軸線より上方 と下方において平面部分９に当接しているので、レバー部材６は支軸８のまわり にいずれの方向へも回動できず、上記起立状態が確保される。まただ円孔15の前 記上端15ａは支軸８の周面と同じ曲率の半円形をなしているので、レバー部材６ の支軸８による安定した支持が得られる。

【００２５】 上記のように棚板１の上面より上方へ突出した収納物落下防止位置に在る係止 部材（６，７）を、収納物搬出入のために棚板１の上面より下方に位置させるに は、先ず手で棒状部材７を持上げてレバー部材６を引上げ、図７の(a) の状態か ら(b) の状態にする。

【００２６】 この時、支軸８はだ円孔15の下端15ｂと係合するが、該下端15ｂも前記上端15 ａと同様に支軸８の周面と同じ曲率の半円形をなしている。またレバー部材６の 下端のコーナ部６ｂには円弧状の丸味が形成されているので、レバー部材６を引 上げることにより、レバー部材６後面６ａがヒンジ金物５前面の下方の平面部分 ９から脱し、上記コーナ部６ｂが前記凹面部分10に臨み、該コーナ部６ｂおよび これに続くレバー部材６の下端部分が支軸８のまわりに回動して該支軸８と凹面 部分10の間を自由に通過できるようになる。

【００２７】 従って、棒状部材７を介してレバー部材６を、前記のようにだ円孔15の下端15 ｂと係合している支軸８のまわりに前方へ１８０°回動させれば、係止部材（６ ，７）は図７(c) に示すような垂下位置に達し、支軸８によって該位置に支持さ れるので、この状態で収納物の搬出入を便宜に行うことができる。

【００２８】 係止部材（６，７）をもとの収納物落下防止位置へ復帰させるには、上記手順 を逆に行えばよい。なお、レバー部材６の下端部の形状、寸法を適当に選定する ことにより、ヒンジ金物５の前面に前記のような凹面部分10を設けることなくレ バー部材６の回動を可能にすることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による棚収納物落下防止装置の全体斜視
図である。

【図２】棚板に取付けられたヒンジ金物およびレバー部
材の側面図である。

【図３】同ヒンジ金物およびレバー部材の前面図であ
る。

【図４】ヒンジ金物の側面図である。

【図５】ヒンジ金物の前面図である。

【図６】ヒンジ金物の上面図である。

【図７】レバー部材の操作手順を順次示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１…棚板、２…収納物落下防止装置、３…前端板、４…
前端面、５…ヒンジ金物、６…レバー部材、７…棒状部
材、８…支軸、９…平面部分、10…凹面部分、11…係合
部片、12…ねじ挿入孔、13…ねじ孔、14…押しねじ、15
…だ円孔、16…ねじ部材。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 棚板の前端面に固着され、前方へ突出す
   る突出部分に左右方向に突設された支軸を有する左右１
   対のヒンジ金物と、一方の端部を前記支軸に回動自在に
   係合させて前記各ヒンジ金物にそれぞれ支持されたレバ
   ー部材と、これらのレバー部材の他方の端部どうしを連
   結する水平な棒状部材とから成り、前記レバー部材は、
   前記一方の端部に長軸を該レバー部材の長手方向に向け
   て形成されただ円孔を介して前記支軸に係合し、該レバ
   ー部材を前記一方の端部を下にして起立状態にし前記支
   軸を前記だ円孔の上端に係合させた状態では、該レバー
   部材の後面が前記ヒンジ金物の前面に当接して該レバー
   部材の回動を阻止し、前記支軸を前記だ円孔の下端に係
   合させた状態では、該レバー部材の下端部が前記ヒンジ
   金物の前面と前記支軸との間を自由に通過して該レバー
   部材の回動を許容することを特徴とする棚収納物落下防
   止装置。
2. 【請求項２】 前記ヒンジ金物に、前記棚板の前端面部
   材に背後から係合する係合部片と、該ヒンジ金物に螺合
   し前記棚板前端面を前方から押圧する押しねじとを設け
   た請求項１の棚収納物落下防止装置。
3. 【請求項３】 前記ヒンジ金物の前面の一部分を、前記
   レバー部材の下端部を回動通過させる円弧状の凹面に形
   成した請求項１の棚収納物落下防止装置。