JP3027601B2 - 静電潜像現像用キャリア - Google Patents

静電潜像現像用キャリア

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JP3027601B2 JP2312939A JP31293990A JP3027601B2 JP 3027601 B2 JP3027601 B2 JP 3027601B2 JP 2312939 A JP2312939 A JP 2312939A JP 31293990 A JP31293990 A JP 31293990A JP 3027601 B2 JP3027601 B2 JP 3027601B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子写真法、静電印刷法などに用いられる
静電潜像現像用キャリアに関し、特に乾式二成分現像剤
用キャリアに関するものである。
[従来の技術] 従来からキャリア粒子とトナー粒子との混合物からな
るいわゆる乾式二成分現像剤はよく知られている。この
乾式二成分現像剤は、比較的大きな粒子表面上に微小な
トナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した電気力によ
り保持されており、静電潜像に近接すると、静電潜像が
形成する電界によるトナー粒子に対する潜像方向への吸
引力が、トナー粒子とキャリア粒子間の結合力に打ち勝
って、トナー粒子は静電潜像上に吸引付着されて静電潜
像が可視化されるものである。そして、現像剤は現像に
よって消費されたトナーを補充しながら反復使用され
る。従って長期間の使用中、キャリアは常にトナー粒子
を所望する帯電量に摩擦帯電しなければならない。
又、二成分現像剤用キャリア材料として広く使用され
ているのがマグネタイト、フェライトなどの金属酸化物
であり、鉄粉キャリアなどに比べて見掛け密度が小さく
現像剤として軽量化が可能であるため、現像器内におい
て現像剤を撹拌する場合その撹拌抵抗が小さくなるとい
う利点を有している。更に鉄粉キャリアに比べて磁気特
性上、残留磁束密度が低く、又、抗磁力も小さく結果的
にヒステリシスループの面積が小さい特徴を有し、磁化
反転及び磁化履歴に対して常に初期特性を保持する特性
を有している。又、マグネタイト、フェライトなどは酸
化物であるため化学的に安定であり、複写機内で発生す
るオゾン、NOX等による化学変化がおきにくい。
しかしながらこのようなフェライト、マグネタイト等
の酸化物キャリアも、高速現像や多数枚複写による現像
剤粒子間の衝突、又は現像剤粒子と現像機械との衝突等
の機械的衝突、又はこれらの作用による発熱でキャリア
表面上にトナー膜が形成される、いわゆるスペント化が
生じ、キャリアの帯電特性が使用時間とともに低下しト
ナー飛散、地かぶり等が発生するという欠点があった。
このようなスペント化を防止するために、従来から核
体粒子表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されてい
るが、未だに満足のゆくものは得られていない。例えば
スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン重合体等
の樹脂で被覆されたキャリアは、帯電特性は優れている
が、表面の臨界表面張力が比較的高く、繰り返し複写す
るうちにやはりスペント化が起こるため現像剤としての
寿命があまり長くなかった。又、四フッ化エチレン重合
体を被覆したキャリアはトナーのスペント化は起きにく
いが四フッ化エチレン重合体が摩擦帯電系列上最も負側
に位置していることからトナーを負極性に帯電しようと
する場合には用いることができない。
これに対して、キャリア表面をシリコーンのような低
表面エネルギーを有する材料で被覆する方法が考え出さ
れているが、このような樹脂被覆を施したキャリアは電
気抵抗が高いために現像剤として用いた場合、エッジ現
象や電荷の蓄積減少によって画像品質が劣るという欠点
があった。
このような被覆キャリアの欠点は被覆層に導電性物質
を分散させることにより改良することができる。
すなわち、キャリアにある程度の導電性が与えられる
とキャリアが現像電極として作用し、現像電極と現像さ
れる感光体の表面が非常に密接した状態で現像が行われ
るために、線部はいうまでもなく大面積の黒部であって
も原稿どおり忠実に再現される。
従来このような導電性材料としてはカーボン、酸化ス
ズ等が用いられているが、このような導電性材料をキャ
リアの被覆層に分散させた場合、次のような欠点が生じ
た。
一般にトナーとキャリアは両者が接触することにより
帯電する。この場合、キャリアの電気抵抗が小さくなる
とトナーに発生した電荷はキャリアを通して減衰してし
まい帯電量を維持できない。
感光体上の潜像をトナーによって現像するためには、
トナーがある程度の電荷量を維持する必要があり、導電
性材料を分散したキャリアでは帯電量を調整する必要が
生じてくる。この帯電量調整は一般にはトナーに対して
行われ、代表的には染料のような極性制御剤を用い、染
料を溶剤中に樹脂とともに溶解して乾燥させるか、樹脂
とともに混練する方法がとられている。
しかし、染料は高価であり、その量が少ない場合は極
性制御剤としての効果が不安定であり、帯電量を増すた
めに染料の量を多くすると樹脂への均一分散が困難とな
り長時間使用すると現像剤特性が劣化し、安定した品質
の画像が得られなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、以上の従来技術に鑑み、シリコーン樹脂の
トナーのスペント化に対する強い防止作用を何ら損ねる
ことなく、耐摩耗性に優れた被覆層で表面を被覆し、繰
り返し使用によっても現像剤特有の変化が少なく、ベタ
部再現性、中間調再現性に優れてた安定した画像品質を
得ることができ、しかも容易で安価に帯電量をコントロ
ールすることができる静電潜像現像用キャリアを提供し
ようとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、Na2CO3、CaCO3、K2CO3から選ばれた強塩基
性化合物を含有するマグネタイト又はフェライトの核体
粒子の表面にシリコーン樹脂被覆層を設けてなることを
特徴とする静電潜像現像用キャリアである。又、そのシ
リコーン化合物の含有量が1〜1000ppmであることをと
特徴とする。
かかる本発明においては、導電性材料を分散したシリ
コーン樹脂を核体粒子にコーティングすることにより、
従来から知られているように耐スペント化、耐摩耗性、
中間調再現性を改良するとともに、強塩基性化合物の作
用により、キャリアによって帯電量の制御を可能にする
ものである。
強塩基性化合物が帯電性を変化させる原因としては、
次のようなことが考えられる。一般に、強塩基性化合物
は水溶液中で強塩基性を示すため、シリコーン樹脂の硬
化反応においてその反応環境を強塩基性にして触媒作用
を発揮して硬化反応が促進されるため帯電量が変化する
ものと考えられる。
本発明において被覆層を形成するシリコーン樹脂とし
ては、従来から知られているいずれのシリコーン樹脂で
あってもよく、オルガノシロキサン結合のみからなるス
トレートシコーン及びアルキド、ポリエステル、エポキ
シ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられ
る。又、被覆層組成物に従来より公知のカーボンブラッ
ク等の導電剤あるいは極性制御剤を含ませることもでき
る。被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核
体粒子の表面に噴霧法、浸漬法等の手段で樹脂を塗布す
れば良い。
本発明で使用する強塩基性化合物としては、Na2CO3
CaCO3、K2CO3等を挙げることができる。
この塩基性化合物の添加保法としては、マグネタイ
ト、フェライトの製造時に原材料のスラリー化工程で添
加したり、キャリア核体粒子の表面に強塩基性化合物の
水溶液を噴霧法,浸漬法等の手段で直接塗布する方法が
ある。
本発明の静電潜像現像用キャリアとともに現像剤を構
成するトナーとしては、従来の公知の方法で製造された
ものを使用できる。具体的にはバインダー樹脂、着色剤
及び極性制御剤よりなる混合物を熱ロールミルで溶融混
練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られ
る。具体的には結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、必要に
応じて任意の添加物などから構成される。
この結着樹脂としては、公知のものがすべて使用でき
る。例えばポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニ
ルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、ス
チレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロ
ピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、
スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アク
リル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共
重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、ス
チレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メ
タアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメ
タアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合
体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−イソブレン共重合
体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイ
ン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメ
チルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ
塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、ポリウタン、ポリアミド、エポ
キシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹
脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹
脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹
脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが単独
あるいは混合して使用できる。
着色剤としては、トナー用として公知のものがすべて
使用できる。黒色の着色剤としては、例えば、カーボン
ブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ラ
ンプブラック等が使用できる。シアンの着色剤として
は、例えばフタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビ
クトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブル
ー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの
着色剤としては、例えばローダミン6Gレーキ、ジメチル
キナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、
ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエ
ローの着色剤としては、例えばクロムイエロー、ベンジ
ジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、
モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン
等が使用できる。
更にこれらのトナーは、より効率的な帯電付与を与え
るために、少量の帯電付与剤、例えば染顔料、極性制御
剤などを含有しても良いが、従来よりかなり少ない量で
良い。極性制御剤としては、例えばモノアゾ染料の金属
錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフト
エ酸、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化
合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料等がある。
又、必要に応じてコロイダルシリカのような流動化
剤、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、
炭化ケイ素等の研磨剤、脂肪酸金属塩などの滑剤などを
含有させてもよい。
本発明のキャリア並びにトナーの使用量としては、ト
ナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、そ
の表面積の30〜90%を占める程度に両粒子を混合するの
が好ましい。
[実施例] 以下、実施例と比較例により本発明を詳細に説明す
る。
(トナーの製造) 下記処方の混合物を120℃の熱ロールで溶融混練した
後、冷却固化せしめ、これをジェットミルで粉砕し、分
級して平均10μmのAトナーとした。
スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体 88重量部 カーボンブラック 10重量部 第4級アンモニウム塩 2重量部 下記処方の混合物を同様にして平均10μmのBトナー
とした。
エポキシ樹脂 93重量部 フタロシアニンブルー 5重量部 第4級アンモニウム塩 2重量部 下記処方の混合物を同様にして平均10μmのCトナー
とした。
スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体 88重量部 カーボンブラック 10重量部 金属錯体化合物 2重量部 (キャリアの製造) 核体粒子表面の強塩基性化合物の量の効果を調べるた
めに、市販のフェライト又はマグネタイトを表−1に示
す所定濃度の強塩基性化合物の水溶液に浸漬し、スプレ
ードライヤーで乾燥した核体粒子を使用した。
被覆層形成液の組成 シリコーン樹脂 100重量部 トルエン 100重量部 カーボンブラック 5重量部 上記処方の被覆層形成液をホモミキサーで混合後、流
動床型コーティング装置を用いて市販のフェライト又は
マグネタイト1000重量部に塗布、乾燥しキャリア粒子と
した。
(現像剤の作製) このようにして得られたトナー3重量部とキャリア97
重量部をターブラーシェーカーミキサーを用いて混合し
現像剤とした。
試験 上記現像剤を用い、感光体上の潜像を一分間に30回の
速さで現像、転写する工程をトナーを補給しながら10万
回繰り返した。この試験により現像剤を評価するため
に、試験開始時及び10万回後の現像剤をサンプリングし
てブローオフ帯電量を測定した。又、電子顕微鏡により
被覆層の剥がれについても確認した。
実施例1〜16、比較例1〜18 表1に示すトナーとキャリアの組合せで現像剤を作製
し、上記試験を行った。
なお、強塩基性化合物含有濃度の測定方法は、核体粒
子5.0gをイオン交換水中で超音波を用いて1時間抽出
し、原子吸光法により測定した。
実施例17〜32、比較例19〜27 CuO、ZnO、Fe2O3を配合した原料をスラリー濃度50%
でアトライターで湿式粉砕し、スプレードライヤーで造
粒した。この造粒物を900℃で仮焼成し、これに表2に
示す強塩基性化合物を添加して再びアトライターで湿式
粉砕した。この溶液にバインダーとしてPVAを加えスプ
レードライヤーで造粒し、1200℃で焼成、分級した後、
平均粒径70μmのフェライト核体粒子を得た。
これを用いて実施例1〜16、比較例1〜18と同様に試
験をした。結果を表2に示す。
[発明の効果] 本発明はシリコーン樹脂のトナーのスペント化に対す
る強い防止作用を何ら損ねることなく、耐摩耗性に優れ
たキャリアであり、繰り返し使用によっても現像剤特有
の変化が少なく、ベタ部再現性、中間調再現性に優れた
画像品質を得ることができ、しかも容易で安価に帯電量
をコントロールすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−233463(JP,A) 特開 平2−33159(JP,A) 特開 昭52−56536(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/10 - 9/113

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Na2CO3、CaCO3、K2CO3から選ばれた強塩基
    性化合物を含有するマグネタイト又はフェライトの核体
    粒子の表面に、シリコーン樹脂被覆層を設けてなること
    を特徴とする静電潜像現像用キャリア。
  2. 【請求項2】Na2CO3,CaCO3,K2CO3から選ばれた強塩基性
    化合物を含有するマグネタイト又はフェライトの核体粒
    子において、該強塩基性化合物の含有量が1〜1000ppm
    であることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像剤
    用キャリア。
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