JP3027322B2 - 検査対象物のスペックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価方法及びそのための装置 - Google Patents

検査対象物のスペックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価方法及びそのための装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検査対象物のスペック
ル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価方
法及びそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の先行技術として
は、例えば、 (1)Journal of Physics E:S
cientificInstruments 1970
Volume 3 p.214〜218、「Inte
rferometric displacement
measurement on scattering
surfaces utilizing speck
le effect」 (2)Optical Society of Ame
rica A/Vol.7 No.5/May 199
0 p.820〜826 「Extraction o
f phase data from electro
nic speckle pattern inter
ferometric fringesusing a
single−phase−step metho
d:anovel approach」 (3)Applied Optics、Vol.30,
No.7/1 March 1991 p.717〜7
21 「Whole field in−plane
vibration analysis using
pulsedphase−stepped ESPI」 等に記載されるものがあった。すなわち、ESPI(E
lectronicSpeckle Pattern
Interferometry〕を用いることにより、
検査対象物の計測表面の歪みや変位、検査対象物の振動
解析の試みがなされている。
【0003】図22は従来のダブルビーム(Doubl
e beam或いはDual beam)ESPIの概
略構成図である。この図において、1は検査対象物(オ
ブジェクト)であり、この検査対象物1に対して、第1
のレーザービームIと、第2のレーザービームIIとを照
射し、その照射部をCCDカメラ2で撮像する。このと
き、CCDカメラ2に取り込まれるスペックル像はすべ
て正の値をとる。したがって、以下に現れる対応する数
式はすべて絶対値を意味する。
【0004】すると、検査対象物1の変形前の第1のレ
ーザービームIによるイメージと、第2のレーザービー
ムIIによるイメージがいずれもスペックル・パターン
(Speckle pattern)となり、CCDカ
メラ2には、両スペックル・パターンの重ね合わせとし
てのスペックル・パターンを得ることができる。次に、
検査対象物1が変形、すなわち、x,y平面上で不均一
な変位を起こした後、第1のレーザービームIによるイ
メージと、第2のレーザービームIIによるイメージを得
る。
【0005】このとき、変形の前後で得られるイメージ
の強度は、x,yの関数として一般に次式で表すことが
できる。検査対象物1の変形前のスペックル像Ibefore
は、 Ibefore=A1 2 (x,y)+A2 2 (x,y)+2A1 (x,y)A2 (x,y)cosθ+Nbefore …(1) 検査対象物1の変形後のスペックル像Iafter は、 Iafter =A1 2 (x,y)+A2 2 (x,y)+2A1 (x,y)A2 (x,y)cos(θ+φ)+Nafter …(2) ただし、A1 ,A2 は第1のレーザービームI及び第2
のレーザービームIIの光電界の振幅、θは両ビームによ
る変形前のスペックル〔検査対象物1上(x,y)にお
ける〕の位相差(初期位相差)、φはx方向の変位成分
u(x,y)により導入される位相差(検査対象物1の
変形による位相差)、及びNbefore,N after はそれぞ
れのノイズである。一般にθ及びφもx,yの関数とな
る。
【0006】第1のレーザービームI及び第2のレーザ
ービームIIの検査対象物1に対する入射角がともにαで
あるとき、変形による位相差φは、x方向の変位成分u
と以下の関係を持つ。 φ(x,y)=(2π/λ)・sinα・2u(x,y) …(3) ただし、αは、第1のレーザービームI及び第2のレー
ザービームIIの入射角、λはレーザー光の波長である。
【0007】次に、上記(1),(2)式で表される2
つのスペックル・パターンの強度の差を取ると、上記
(1)−(2)式より、 ΔI(x,y)=2A1 (x,y)・A2 (x,y)〔cosθ−cos (θ+φ)〕+ΔN =4A1 (x,y)・A2 (x,y)sin〔θ+(φ/ 2)〕sin(φ/2)+ΔN …(4) となり、位相φで補正された強度分布が得られる。
【0008】ただし、ΔNは変形前後のノイズ差で通常
無視される。そこで、上記(4)式の一般形を持つ強度
分布を解析することにより、位相φ(x,y)を(x,
y)の関数として得て、上記(3)式により、u(x,
y)を計算すれば、変形による検査対象物1上の各点の
変位が求められる。この種の変形や変位(振動等)の解
析を総称してESPIと言っている。
【0009】ΔIは一般には、干渉縞パターンである。
なお、上記説明では、IbeforeとIafter の差をとるこ
とによって、x方向の変位成分u(x,y)により導入
される位相差φを求める手法について述べたが、要はス
ペックル像から前記位相差φが抽出できればよいわけで
あり、差をとる方法以外にも和をとる方法や、Ibefore
とIafter のスペックルの相関をとる方法などがある。
【0010】従来の前記位相差φの抽出方法としては、
フーリエ変換法(FFT)及び位相ステップ(PS)法
が用いられている。 (1)FFT法は、上記(4)式のΔI(x,y)にお
いて、求めようとするφ/2の空間依存性、つまり空間
周波数が他の変数と違うことを利用してφ/2を抽出し
ようとするものである。即ち、Ibefore+Iafter また
はIbefore−I after を作ってφ/2以外の空間周波数
以外の周波数成分を周波数軸(周波数領域)上で除去し
た後、フーリエ逆変換し、FFTの実部と虚部の比から
前記位相差φを求める。
【0011】通常、空間で一定の周波数を持つキャリア
を導入し、求めようとする周波数成分と不要な成分とを
分離する。以上を式で表現すると、以下のようになる。
一般に解析しようとするスペックル像(光強度分布)
は、以下の形を持つ。 i(x,y)=a(x,y)+b(x,y)cos〔2πf0 x+φ(x, y)〕 …(5) ただし、f0 は導入したキャリア(carrier)の
周波数である。
【0012】上記(5)式を変形すると、
【0013】
【数1】
【0014】上記(6)をフーリエ変換すると、xにつ
いて、図23に示すように、 I(f,y)=A(f,y)+C* (f−f0 ,y)+
C(f+f0 ,y) となる。次に、C* 及びAを除去して、C(f+f0
y)を周波数軸上で、f0 だけ図23の左にシフトし
て、フーリエ逆変換すると、c(x,y)が得られ、そ
の実部と虚部の比をとれば、上記(7)式より明らかな
ように、 φ(x,y)=tan-1[Im 〔c(x,y)〕/Re
〔c(x,y)〕]…(8) と位相差φ(x,y)を
求めることができる。
【0015】(2)次に、PS(位相ステップ)法につ
いて説明する。PS法は、検査対象物の変形の前後に変
形による位相差φに代えて、人為的に位相差Ψi を導入
し、これにより、方程式の数を増やして位相差φを求め
ようとするものである。すなわち、検査対象物の変形後
のスペックル像が Ii after =A1 2 +A2 2 +2A1 2 cos(θ+φ+Ψi ) …(9)i =1,2,3 ここに、θ:初期位相差 φ:検査対象物の変形による位相差 Ψi 人為的に導入する既知の位相差 となり、通常、未知数が3個なので、iとして1,2,
3が必要である。
【0016】通常計算を容易にするために、Ψ1 =−
Ψ、 Ψ2 =0、Ψ3 =Ψとおく。すると、求めようと
する変形による位相差φが θ+φ=tan-1〔(I1 after −I3 after )(cosΨ−1)/ (I1 after +I3 after −2I2 after )sinΨ〕 …(10) θ=tan-1[(I1 before−I3 before )(cosΨ−1)/ (I1 before+I3 before−2I2 before)sinΨ] …(11) として求まる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た先行技術は、以下のような問題を有している。 (1)FFT法、PS法のいずれも検査対象物の変形に
よる位相差φの抽出のための光学系、即ち、FFT法の
場合は、空間キャリアを導入するための機構、PS法の
場合は、位相シフター、つまり、位相差Ψを導入するた
めの機構が必要である。
【0018】(2)同時に、測定時に関連する手順が必
要となる。つまり、FFT法の場合は、空間キャリアを
導入するための操作、PS法の場合は、位相モジュレー
タを入れる必要がある。 (3)FFT法では、イメージデータの処理に大きな計
算時間を要する。 (4)FFT法では、不要項を周波数軸上で除去する
が、その際必要な信号の一部も欠落する可能性がある。
【0019】(5)PS法では、導入する位相差Ψの誤
差が検査対象物の変形による位相差φの誤差として現れ
る。例えば、位相シフターとして液晶を用いると、環境
温度の変動によって位相シフトの量が変化してしまう。 上記問題点を解決するために、本願の発明者等は、既
に、特願平6−242502号として、検査対象物の検
出面における変形前後のダブルビーム照射によるスペッ
クル像Ibefore,Iafter 及び片方ずつのビーム照射に
よるスペックル像I1 before,I2 before
1 after ,I2 after と、検査対象物の前後のそれぞ
れのダークノイズとをそれぞれCCDカメラに取り込
み、その取り込まれたCCDカメラのスペックル像を操
作することにより、検査対象物の変形に起因する位相差
を抽出するようにした検査対象物のスペックル像からの
位相抽出方法及びそのための装置を提案した。これにに
関する詳細は、Sanichiro Yoshida,
Suprapedi,Rini Widiastut
i,Edi Tri Astuti,and Anun
g Kusnowo,Optics Letters
Vol.20,No.7,P755〜757,Apri
l 1,1995,Optical Society
ofAmerica に記載されている。
【0020】それによれば、検査対象物表面上の各点の
変位に起因する干渉縞パターンから各点の変位に対応す
る位相差φを簡便に抽出することができる。しかしなが
ら、φはすべて|tan(φ/2)|の形で評価される
ため、その符号を含めた一般象限での値を決定すること
はできない。つまり、例えば|tan(φ/2)|=1
である場合に、φ/2の可能性として(φ/2)=±1
/4(2m+1)π(ただしmは任意の整数)のいずれ
もが考えられる。即ち、mの値として任意の整数が許さ
れるため、φ/2の値として無限通りの可能性があるこ
とになる。したがって、こうして得られたφから(3)
式により、変位uを評価しようとするとやはり無限通り
の解があり得ることになる。以降、この様に、φ/2を
表現した時のmの値を干渉縞の次数と呼ぶことにする。
また、mの値、即ち干渉縞の次数が不明であるめ、φや
uの値が一意的に決まらないことを「干渉縞の次数が不
明なために、φおよびuが絶対的には決定されない」と
表現することにする。(逆にmの値、即ち干渉縞の次数
が明らかな場合を「φおよびuが符号を含めた形で絶対
的に決定される」ということにする。ただし、“符号を
含めた形で”はコンテクストにより省略するか別の類似
の表現に置き換えることがある)。
【0021】干渉縞の次数が干渉縞パターンから即座に
は読み取れないことは、変形前後のスッペクル像の差お
よび和として得られる干渉縞パターンについて共通に言
える。即ち、上記特願平6−24502号に示す技術を
用いるか否か無関係にESPIの干渉縞パターンの各縞
の次数、〔つまり(4)式に対応するスペックル像の差
に基づく干渉縞の場合にはφ/2=±mπ、また上記し
た対応するスペックル像の和に基づく干渉縞の場合には
φ/2=±(1/2)(2m+1)πと表現される縞上
でのφ/2のmの値〕は、干渉縞パターンを見ただけで
は、一般に分からない。従って、特願平6−2450号
に記載の技術等を用いて干渉縞間の値をも含めて連続的
にφを求めようとせずに、干渉縞の上で離散的(dis
cretely)にφまたは対応するuの値を決定しよ
うとする場合でも、これらの値は符号を含めて絶対的に
は決定できない。つまり変位がある軸に沿って例え連続
的であっても単調増加(減少)ではない場合に、φ/2
=nπの干渉縞に隣合う干渉縞の次数の可能性としてn
π、(n−1)π、(n+1)πの3通りが考えられ
る。
【0022】そこで多くの場合、物理的考察によって各
干渉縞の次数を推定することが試みられる。例えば引張
り試験の負荷と平行な方向の変位成分vに対応する干渉
縞の場合は、明らかに変位を起こさない部位(例えば引
張り試験機の静止チャックの部分)を通過する干渉縞の
次数を0として、それより引張りの方向に順次1,2,
3・・・と各干渉縞の次数が割り当てられていく。この
方法は、当然のことながら、変位の方向が物理的考察か
らは推定できない様な例には応用できない。例えば、引
張り試験で引張り方向と垂直な方向の変位uに対応する
干渉縞の次数の推定には用いることができない。つま
り、たとえ明らかに変位を起こさない部位を通過する干
渉縞の次数を0と割り当てることができたとしても、そ
の次に現れる干渉縞が+uに対応するのか−uに対応す
るのかは分からない。
【0023】この点について、図24、図25及び図2
6を用いて説明する。図24に示すように、静止チャッ
ク101と可動チャック102との間に対象物体103
が設けられており、変位のy方向成分をv、変位のx方
向成分をuとし、vに対応する干渉縞が、図25に示す
ようであるとする。ただし、ここで、v0 は次数1に対
する変位量、即ち、φ/2=(2π/λ)sinα・v
0 =π×1を満たすv0 (αは入射角)である。ここで
は、上記の物理的考察によって、次数0の干渉縞から出
発して引張り方向に順次干渉縞次数を1,2,3,……
と割り当てていく様子を示している。
【0024】一方、uに対する干渉縞は、図26に示す
ようであるとする。なお、u0 は、v0 と同様である。
uの場合は、上記の物理的考察が適用できないので、こ
の図に示す様にnπの干渉縞の隣の干渉縞の次数の可能
性としてnπ、(n−1)π、(n+1)πのいずれも
が有り得る。他方、変位を符号を含めて絶対的に決定す
る方法には、従来FFT法があった。FFT法の場合に
は、導入される空間キャリアの各干渉縞の次数が分かる
ため、それに基づいて、変位による干渉縞の次数を決め
ることができる。しかしながらFFT法は、「発明が解
決しようとする課題」の(1)〜(4)に記述したよう
な問題を有する。
【0025】さらに、この種の技術(本願発明の対象と
する技術のこと)を応用する多くの例で、最終的に変位
ではなく、次式で示される歪や回転を評価することが求
要されるのに対し、FFT法では、一般的にuおよびv
しか実験量として得られないので、実験データを入力値
として次式を用いて歪および回転量を計算する必要があ
った。 εxx=∂u/∂x, εyy=∂v/∂y, εxy
=1/2〔(∂v/∂x)+(∂u/∂y)〕, ωz
=1/2〔(∂v/∂x)−(∂u/∂y)〕 本発明は、上記問題点を解決するために、検査対象物の
変形前後のスペックル像に基づいて、簡便に、かつ正確
に検査対象物の変形による位相差を抽出するとともに、
それに対応する変位の値を符号を含めて絶対的に決定
し、さらに必要に応じて干渉縞上で変位そのものではな
く、変位の空間偏微分、即ち、∂u/∂x,∂u/∂
y,∂v/∂x,∂v/∂yをも直接的に評価(eva
luate)できる検査対象物のスペックル像からの位
相抽出、符号を含めた変位値の絶対的評価方法及びその
ための装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 (1)検査対象物のスペックル像からの位相抽出・符号
を含む変位値の絶対的評価方法において、(a)前記検
査対象物に等しい入射角で第1のレーザービームと第2
のレーザービームとを照射し、前記検査対象物の変形前
のスペックル像IbeforeをCCDカメラに取り込むステ
ップと、(b)第2のレーザービームを遮光して第1の
レーザービームのみの照射による前記検査対象物の変形
前のスペックル像I1 beforeをCCDカメラに取り込む
ステップと、(c)第1のレーザービームを遮光して第
2のレーザービームのみの照射による前記検査対象物の
変形前のスペックル像I2 beforeをCCDカメラに取り
込むステップと、(d)前記CCDカメラにキャップを
つけてダークノイズを取り込むステップと、(e)前記
検査対象物に等しい入射角で第1のレーザービームと第
2のレーザービームとを照射し、前記検査対象物の変形
後のスペックル像Iafter をCCDカメラに取り込むス
テップと、(f)第2のレーザービームを遮光して第1
のレーザービームのみの照射による前記検査対象物の変
形後のスペックル像I1 after をCCDカメラに取り込
むステップと、(g)第1のレーザービームを遮光して
第2のレーザービームのみの照射による前記検査対象物
の変形後のスペックル像I2 af ter をCCDカメラに取
り込むステップと、(h)前記検査対象物の変形後のダ
ークノイズをCCDカメラに取り込むステップと、
(i)前記第1のレーザービームの位相を若干量変化さ
せ、スペックル像I′after とスペックル像I1 af
ter をそれぞれCCDカメラに取り込むステップと、
(j)前記それぞれに取り込まれたスペックル像からダ
ークノイズを消去することにより、ノイズが消去された
前記検査対象物の変形前のスペックル像I
before n.fと、ノイズが消去された前記検査対象物の変
形後のスペックル像Iafter n.f と、ノイズが消去され
た前記検査対象物の変形前の第1のレーザービームのみ
によるスペックル像I1 be fore n.fと、ノイズが消去さ
れた前記検査対象物の変形前の第2のレーザービームの
みによるスペックル像I2 before n.fと、ノイズが消去
された前記検査対象物の変形後の第1のレーザービーム
のみによるスペックル像I1 after n.f と、ノイズが消
去された前記検査対象物の変形後の第2のレーザービー
ムのみによるスペックル像I2 after n.f と、ノイズが
消去された前記第1のレーザービームの位相を若干量変
化させて得られたスペックル像I′after n.f とスペッ
クル像I1 after n.f とを得るステップと、(k)ノ
イズが消去された前記検査対象物の変形前のスペックル
像Ibefore n.fとノイズが消去された前記検査対象物の
変形後のスペックル像Iafter n.f とのスペックル像の
和Iadd と、ノイズが消去された前記検査対象物の変形
前のスペックル像Ibefore n.fとノイズが消去された前
記第1のレーザービームの位相を若干量変化させて得ら
れたスペックル像I′after n.f とのスペックル像の和
add ′とを得るステップと、(l)前記Iadd −(I
1 before n.f+I2 before n.f+I1 after n.f+I
2 after n.f)であるIadd mod と、前記Iadd ′−
(I1 before n.f+I2 before n.f+I 1 after n.f
+I2 after n.f)であるI′add mod とを得るステッ
プと、(m)前記Ibefore n.f−Iafter n.fであるI
sub と、前記Ibefore n.f−I′ after n.fであるI′
sub を得るステップと、(n)前記Isub 及びI′sub
ならびに前記Iadd mod 及びI′add mod に基づいて、
前記Isub 及びIadd modの各スペックル像に現れてい
る各干渉縞位置での変形による位相差の選ばれた座標軸
に対する傾きの符号及び大きさを決定するステップと、
(o)前記Isub スペックル像に現れる干渉縞の0次の
ものまたはそれ以外の次数の値のわかっている基準干渉
縞を決定し、それとその位置での変形による位相差の選
ばれた座標軸に対する傾きの符号に基づき、Iadd mod
スペックル像の基準干渉縞を決定するステップと、前記
sub 及びIadd mod スペックル像において、基準干渉
縞から出発して前記各干渉縞位置での変形による位相差
の選ばれた座標軸に対する傾きの符号から各干渉縞の次
数を決定するステップとを施すようにしたものである。
【0027】(2)上記(1)記載の検査対象物のスペ
ックル像からの位相抽出・変位値の符号を含む絶対的評
価方法において、前記各干渉縞位置での変形による位相
差の選ばれた座標軸に対する傾きの符号と大きさから変
位の空間偏微分値を評価するようにしたものである。 (3)検査対象物のスペックル像からの位相抽出・符号
を含む変位値の絶対的評価装置において、(a)前記検
査対象物に等しい入射角で第1のレーザービームと第2
のレーザービームとを照射する手段と、(b)第1のレ
ーザービームを遮光可能な第1のシャッタと、(c)第
2のレーザービームを遮光可能な第2のシャッタと、
(d)前記第1のレーザービーム又は第2のレーザービ
ームの位相を変化させる手段と、(e)前記検査対象物
のスペックル像を取り込むCCDカメラと、(f)該C
CDカメラからのスペックル像を処理するイメージプロ
セッシングコンピュータとを設け、(g)前記検査対象
物に等しい入射角で第1のレーザービームと第2のレー
ザービームとを照射し、前記検査対象物の変形前のスペ
ックル像IbeforeをCCDカメラに取り込む手段と、
(h)第2のレーザービームを遮光して第1のレーザー
ビームのみの照射による前記検査対象物の変形前のスペ
ックル像I1 beforeをCCDカメラに取り込む手段と、
(i)第1のレーザービームを遮光して第2のレーザー
ビームのみの照射による前記検査対象物の変形前のスペ
ックル像I2 beforeをCCDカメラに取り込む手段と、
(j)前記CCDカメラにキャップをつけてダークノイ
ズを取り込む手段と、(k)前記検査対象物に等しい入
射角で第1のレーザービームと第2のレーザービームと
を照射し、前記検査対象物の変形後のスペックル像I
after をCCDカメラに取り込む手段と、(l)第2の
レーザービームを遮光して第1のレーザービームのみの
照射による前記検査対象物の変形後のスペックル像I
1 after をCCDカメラに取り込む手段と、(m)第1
のレーザービームを遮光して第2のレーザービームのみ
の照射による前記検査対象物の変形後のスペックル像I
2 after をCCDカメラに取り込む手段と、(n)前記
検査対象物の変形後のダークノイズをCCDカメラに取
り込む手段と、(o)前記第1のレーザービームの位相
を若干量変化させ、スペックル像I′after とスペック
ル像I1 after をそれぞれCCDカメラに取り込む手
段と、(p)前記それぞれに取り込まれたスペックル像
からダークノイズを消去することにより、ノイズが消去
された前記検査対象物の変形前のスペックル像I
before n.fと、ノイズが消去された前記検査対象物の変
形後のスペックル像Iafter n.f と、ノイズが消去され
た前記検査対象物の変形前の第1のレーザービームのみ
によるスペックル像I1 before n.fと、ノイズが消去さ
れた前記検査対象物の変形前の第2のレーザービームの
みによるスペックル像I 2 before n.fと、ノイズが消去
された前記検査対象物の変形後の第1のレーザービーム
のみによるスペックル像I1 after n.fと、ノイズが消
去された前記検査対象物の変形後の第2のレーザービー
ムのみによるスペックル像I2 after n.fと、ノイズが
消去された前記第1のレーザービームの位相を若干量変
化させて得られたスペックル像I′after n.f とスペッ
クル像I1 after n.f とを得る手段と、(q)ノイズ
が消去された前記検査対象物の変形前のスペックル像I
before n.fとノイズが消去された前記検査対象物の変形
後のスペックル像Iafter n.f とのスペックル像の和I
add と、ノイズが消去された前記検査対象物の変形前の
スペックル像Ibefore n.fとノイズが消去された前記第
1のレーザービームの位相を若干量変化させて得られた
スペックル像I′after とのスペックル像の和Iadd
とを得る手段と、(r)前記Iadd −(I1 before n.f
+I2 before n.f+I 1 after n.f+I2 after n.f
であるIadd mod と、前記Iadd ′−(I1 be fore n.f
+I2 before n.f+I1 after n.f
2 after n.f)であるI′ad d mod とを得る手段と、
(s)前記Ibefore n.f−Iafter n.fであるI
sub と、前記Ibefore n.f−I′after n.fであるI′
sub を得る手段と、(t)前記Isub 及びI′sub なら
びに前記Iadd mod 及びI′add mod に基づいて、前記
sub 及びIadd mod の各スペックル像に現れている各
干渉縞位置での変形による位相差の選ばれた座標軸に対
する傾き及び大きさを決定する手段と、(u)前記I
sub スペックル像に現れる干渉縞の0次のものまたはそ
れ以外の次数の値のわかっている基準干渉縞を決定し、
それとその位置での変形による位相差の選ばれた座標軸
に対する傾きの符号に基づき、Iadd mod スペックル像
の基準干渉縞を決定する手段と、(v)前記Isub 及び
add mod スペックル像において、基準干渉縞から出発
して前記各干渉縞位置での変形による位相差の選ばれた
座標軸に対する傾きの符号から各干渉縞の次数を決定す
る手段とを具備するようにしたものである。
【0028】(4)上記(3)記載の検査対象物のスペ
ックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評
価装置において、前記第1のレーザービーム又は第2の
レーザービームの位相を変化させる手段として、光路に
作用するくさび状のガラス板とその駆動装置を設けるよ
うにしたものである。 (5)上記(3)記載の検査対象物のスペックル像から
の位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置におい
て、前記第1のレーザービーム又は第2のレーザービー
ムの位相を変化させる手段として、光路に作用する光学
鏡とその駆動装置を設けるようにしたものである。
【0029】(6)上記(3)記載の検査対象物のスペ
ックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評
価装置において、波長の切り換えを行うために第3のレ
ーザービーム源を具備するようにしたものである。 (7)上記(5)記載の検査対象物のスペックル像から
の位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置におい
て、前記第1及び第2のレーザービームの前記検査対象
物への入射角を若干量変化させるために前記光学鏡を駆
動させる手段を具備するようにしたものである。
【0030】
【作用】本発明によれば、 (A)図2及び図3に示すように、検査対象物の変形前
の(1) スペックル像I before、(2) スペックル像I
1 before、(3) スペックル像I2 before、(4) ダークノ
イズbeforeをそれぞれCCDカメラへ取り込む。
【0031】次いで、検査対象物の変形後の(5) スペッ
クル像Iafter 、(6) スペックル像I1 after 、(7) ス
ペックル像I2 after 、(8) ダークノイズafter をそれ
ぞれCCDカメラへ取り込む。次に、第1のビームの位
相を若干量変化させ、(9) スペックル像I′after 、(1
0)スペックル像I′1 after をそれぞれCCDカメラへ
取り込む。
【0032】次に、(11)ノイズが消去されたI
before n.fと、Iafter n.f と、I1 before n.fと、I
2 before n.fと、I1 after n.fと、I
2 after n.fと、I′after n.fとI′1 after n.fを得
る。次いで、(12)Iadd 、およびI′add つまりI
before n.f+Iafter n.f 、I before n.f+I′
after n.fを得る。
【0033】次いで、(13)Iadd mod およびI′
add mod 、つまりIadd −(I1 before n .f+I
2 before n.f+I1 after n.f+I2 after n.f)、
I′add −(I1 be fore n.f+I2 before n.f+I′
1 after n.f+I2 after n.f)を得る。次いで、(14)
sub およびI′sub 、つまり、Ibefore n.f−I
after n.f ,Ibefore n.f−I′after n.f を得る。
【0034】次いで、(15) I subおよびI′sub ならび
にIadd mod およびI′add mod に基づいてIsub およ
びIadd mod の各スペックル像に現れている各干渉縞位
置での変形による位相差の選ばれた座標軸に対する傾き
(変位を絶対的に決定するだけの場合は傾きの符号の
み、変位の空間偏微分値をも評価したい場合は、傾きの
符号および大きさ)を決定する。
【0035】変位を符号を含めて絶対的に決定したい場
合は、Isub スペックル像に現れる干渉縞の0次のもの
またはそれ以外の次数で次数の値の分かっているもの、
即ち基準干渉縞を決定し、それとその位置での変形によ
る位相差の選ばれた座標軸に対する傾きの符号に基づ
き、Iadd mod スペックル像の基準干渉縞を決定する。
次に、Isub およびIadd mod スペックル像において基
準干渉縞から出発して上記で得られた各干渉縞位置での
変形による位相差の選ばれた座標軸に対する傾きの符号
から各干渉縞の次数を決定していくことを特徴とする。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について図を参照しな
がら詳細に説明する。図1は本発明の実施例を示す検査
対象物の検出面におけるスペックル像からの位相抽出・
符号を含む変位値の絶対的評価装置の概略構成図、図2
はその位相抽出・変位値の符号を含む絶対的評価手順を
示すフローチャート(その1)、図3はその位相抽出・
符号を含む変位値の絶対的評価手順を示すフローチャー
ト(その2)である。なお、ここに示す装置及び方法は
一例に過ぎず、本発明の装置及び方法は、これに限定さ
れるものではない。
【0037】この図において、10はHe−Neレーザ
ーであり、このHe−Neレーザー10より出力された
レーザビームは反射鏡11,12で反射され、ビームス
プリッタ15によって直進する第1のレーザービーム2
1と下方に進む第2のレーザービーム22とに分けら
れ、第1のレーザービーム21は反射鏡13により反射
され、対物レンズ16を通して入射角α(ここでは、例
えば45度)で検査対象物20に照射する。
【0038】一方、第2のレーザービーム22は、対物
レンズ17を通して反射鏡14で反射させ、第1のレー
ザービーム21とは反対側から入射角α(ここでは、例
えば45度)で検査対象物20に照射する。更に、第1
のレーザービーム21は、第1のシャッタ18により、
第2のレーザービーム22は、第2のシャッタ19によ
り、それぞれ開閉することができる。それらのシャッタ
18及び19は制御装置26によって、同期をとって開
閉制御される。
【0039】また、第1のレーザービーム21及び第2
のレーザービーム22によって照射された検査対象物2
0の検出面は、開口度を調整可能な絞り28及びレンズ
23を通してCCDカメラ24で撮像される。そのCC
Dカメラ24で撮像されたスペックル像は、イメージプ
ロセッシングコンピュータ25で処理されて モニタ2
7でモニタすることができる。
【0040】更に、くさび状のガラス板51とそのガラ
ス板51を駆動するための駆動装置52を配置して、制
御装置26からの信号によって駆動装置52を操作し、
くさび状のガラス板51を操作して、変位の向きを判別
できるように構成する。以下、本発明の実施例を示す検
査対象物の検出面におけるスペックル像からの位相抽出
方法について図1乃至図3を用いて説明する。ここで、
式の煩雑さを避けるために、両レーザービームの照射に
よる検査対象物の変形前後における光電界の振幅A1
2 はそれぞれ等しいものとして式を表現する。また、
各ステップでCCDカメラ24に取り込まれるスペック
ル像は、イメージプロセッシングコンピュータ25に内
蔵されるフレームメモリーに記憶され、スペックル像の
加減は、そのフレームメモリーから読み出されたスペッ
クル像の加減操作により実行することができる。
【0041】(1)まず、上記した検査対象物の変形前
のスペックル像Ibefore、すなわち、上記(1)式のA
1 2 (x,y)+A2 2 (x,y)+2A1 (x,y)
2(x,y)cosθ+NbeforeをCCDカメラ24
に取り込む(ステップS1)。 (2)次に、第2のレーザービーム22を第2のシャッ
タ19により遮蔽することによって、I1 beforeである
1 2 before+Nbeforeと、第1のレーザービーム21
を第1のシャッタ18により遮蔽することによって、I
2 beforeであるA2 2 before+NbeforeとをそれぞれC
CDカメラ24に取り込む(ステップS2,ステップS
3)。
【0042】(3)次に、CCDカメラ24にキャップ
(図示なし)をつけて、ダークノイズ(dark no
ise)を取り込む(ステップS4)。 (4)上記(1)〜(3)と同じ操作を変形後に行う。
すなわち、Iafter 、つまり、上記(2)式のA
1 2 (x,y)+A2 2 (x,y)+2A1 (x,y)
2 (x,y)cos(θ+φ)+Nafter をCCDカ
メラ24に取り込む(ステップS5)。
【0043】また、第2のレーザービーム22を第2の
シャッタ19により遮蔽することによって、I1 after
であるA1 2 after +Nafter と、第1のレーザービー
ム21を第1のシャッタ18により遮蔽することによっ
て、I2 after であるA2 2 after +Nafter とをそれ
ぞれCCDカメラ24に取り込む(ステップS6,
7)。
【0044】更に、ダークノイズ(dark nois
e)を取り込む(ステップS8)。 (5)次に、第1のレーザビーム21又は第2のレーザ
ービーム22の位相を若干(π/4以下程度)遅らせる
か進める。干渉縞上での変位の空間偏微分値を直接評価
しなくてよい場合は、ここで変化させる位相量が例えば
π/4以下であるとわかっていればよく、それが何ラジ
アンであるかを正確に知る必要はない。干渉縞上での変
位の空間偏微分値を直接評価したい場合は、変化させる
位相量が1周期分、即ち干渉縞の次数差1に相当する量
の何分の1であるかを知る必要がある。これを知るに
は、例えばくさび状のガラス板51を厚さが変化する方
向に少しづつ動かしてゆき、動かす前のスペックル像と
の相関が最も大きい位置、即ちくさび状のガラス板を動
かす前後のスペックル像の差が最小となる位置までのく
さび状のガラス板の移動量を予め測定しておき、これを
1周期分に相当する移動量とみなし、実際に位相変化を
導入する際のくさび状のガラス板の移動量がその何分の
1であるかを調べればよい。この要領で例えばくさび状
のガラス板51を予め第1のレーザービーム21の光路
の対物レンズ16の手前に配置しておき、これを駆動装
置52により、所定量だけ厚さが変化する方向にずらせ
ばよい。即ち、変位の空間偏微分の評価を必要としない
場合は、π/4以下程度の適当量、また変位の空間偏微
分を干渉縞の現れる位置で評価したい場合は、予め設定
したπ/4以下程度の1周期分に対する相対量として既
知の位相変化量だけずらせばよい。ただし、いずれの場
合も厚さが増す方向にずらすのか、減る方向にずらすの
かは、分かっている必要がある。つまり、ビームの通過
する部分の厚さが増す方向にずらせば位相が遅れるし、
その逆に動かせば位相が進む。こうして位相を変化させ
た後に、第1のビームと第2のビーム両方を用いて撮像
するイメージをI′after 、また第1のビーム、言い換
えると位相をくさび状のガラス板等によって変化させる
方のビームのみを用いて撮像するイメージをI′
1 after と呼ぶことにする。なお、I′after および
I′1 after 以外のイメージ即ちIbefo re,I1 before
…はすべて同じくさび状のガラス板51の位置で撮像し
ておく必要がある。
【0045】(6)上記ステップで取り込んだ
before,Iafter ,I1 before,I2 befo re,I
1 after ,I2 after ,I′after ,I′1 after のそ
れぞれから上記(3)及び(4)で取り込んだダークノ
イズ(dark noise)を差し引く。つまり、こ
こで、Ibefore n.f,Iafter n.f ,I1 before n.f
2 before n.f,I1 after n.f ,I2 after n.f
I′after n.f,I′1 after n.f を得ることができる
(ステップS11)。ここで、n.fはノイズが消去さ
れたノイズ・フリーを示している。
【0046】(7)次に、ノイズが消去された検査対象
物の変形前のスペックル像Ibefore n.fとノイズが消去
された検査対象物の変形後のスペックル像Iafter n.f
およびI′after n.fとの和を得る(ステップS1
2)。 Iadd =Ibefore n.f+Iafter n.f I′add =Ibefore n.f+I′after n.f また、ノイズが消去された検査対象物の変形前のスペッ
クル像Ibefore n.fとノイズが消去された検査対象物の
変形後のスペックル像Iafter n.f との差を得る。
【0047】Isub =Ibefore n.f−Iafter n.f これらは、イメージプロセッシングコンピュータ25の
フレームメモリーにI before n.fを記憶しておき、別の
フレームメモリーにIafter n.f を記憶しおき、イメー
ジの加算・減算として、イメージプロセッシングコンピ
ュータ25で演算処理する。
【0048】更に、Ibefore n.f−I′after n.f であ
る差をとる。これにより、Ibefore n.f−Iafter n.f
であるIsub と類似するが、くさび状のガラス板51に
よる位相変化の分だけ干渉縞の位置が異なる干渉縞パタ
ーンが得られる。これをI′ sub と呼ぶ。すると、I
sub とI′sub の干渉縞の位置の動き具合によって、そ
の干渉縞の符号を知ることができる。この本発明におけ
る特徴点について、詳細に後述する。
【0049】(8)前記スペックル像Iadd からI
1 before n.f+I2 before n.f+I1 af ter n.f +I
2 after n.f を減算する。これをIadd mod と呼ぶ。さ
らにI′ad d からI1 before n.f+I2 before n.f
I′1 after n.f+I2 after n.fを減算する(ステッ
プS13)。これによりIadd mod と類似するがくさび
状のガラス板51による位相変化の分だけ干渉縞の位置
が異なる干渉縞パターンが得られる。これをI′
add mod と呼ぶ。(ここでmod modifiedで補正の意味
である。) (9)上記により、 Iadd mod =4A1 (x,y)A2 (x,y)cos〔θ+(φ/2)〕co s(φ/2) …(12) I′add mod =4A1 (x,y)A2 (x,y)cos〔θ+(φ/2+δw /2)〕cos〔(φ/2)+δw/2〕 …(13) Isub =4A1 (x,y)A2 (x,y)sin〔θ+(φ/2)〕sin (φ/2) …(14) I′sub =4A1 (x,y)A2 (x,y)sin〔θ+(φ/2)+δw/ 2〕sin(φ/2+δw/2) …(15) が得られる。上式においてφは検査対象物の変形に起因
する第1のビームと第2のビームの検査対象物上で今問
題としている点における位相差の変化、δwは、くさび
状のガラス板の動きに起因する位相変化を表す。
【0050】(10)Isub 及びIadd mod の干渉縞に
垂直になる方向(図4参照)を選んで、その方向に平行
な近接のピクセルの並びについて、つまり、位相差φに
影響を与えない方向について平均をとる。ここで、図4
(a)は矩形状の検査対象物(例えば、金属体)31の
左端が固定部32で固定され、その検査対象物31の右
端が右方向に機械的応力Fを受け、その検査対象物31
が変形する様子を示しており、その検査対象物31の前
記Isub のイメージは図4(b)のようになる。なお、
図4(c)は、ある時間経過した後、変形が進行した状
態での同様のIsub イメージである。
【0051】このようなIsub イメージ乃至位相マップ
の作成については、特願平6−242502号に詳述さ
れているので省略する。 (11)次にIsub とI′sub およびIadd mod とI′
add mod の干渉縞パターンをそれぞれ比較し、各干渉縞
の動き具合を検討することによって、それぞれの干渉縞
の近傍での位相分布の空間的変化、即ち、各干渉縞位置
での変形による位相差の選ばれた座標軸に対する傾きの
符号および大きさを推定する。そして、その結果に基づ
き、基準干渉縞から順次、各干渉縞の次数を決定してい
く(ステップS17)。以下この方法について例を用い
て説明する。
【0052】まず、Isub が図6(a)の斜線を施した
干渉縞であり、くさび状のガラス板の動きによって、各
干渉縞が同図の破線で示す位置にまで移動したとする。
換言すれば、I′sub の各干渉縞の位置が破線で示すも
のであるとする。次に、I′sub を取り込むにあたって
のくさび状のガラス板51aによる位相変化が変位によ
るφ、即ち第1のレーザービーム21と第2のレーザー
ビーム22の位相差の変形による変化を助長する方向に
動くとする。これは、例えばI sub を得るにあたっての
変位が図5の左から右への方向である場合に第1のレー
ザービーム21の位相を遅らせる方向にくさび状のガラ
ス板51aを動かしてI′after を取り込むことに相当
する。つまり、この場合、変位uが第1のレーザービー
ム21の光源からは遠ざかり、第2のレーザービーム2
2の光源には近づく方向に発生しているわけだからそれ
を助長するためには、第1のレーザービーム21の位相
がより遅れる方向、即ち第1のレーザービーム21の光
源が実効的に検査対象物から遠ざかる様にくさび状のガ
ラス板51aが動かなければならないことになる。これ
を式で表せば次の様になる。
【0053】まず、変位u(図5で右向きを正と定義)
に対応する第1および第2のレーザービーム21、22
の検査対象物上の点(x,y)での位相θ1 (x,y)
およびθ2 (x,y)の差の変化をφ(x,y)とす
る。すると、検査対象物変形後の両ビームの位相はそれ
ぞれθ1 +(φ/2),θ2 −(φ/2)、即ち位相差
の変化の絶対値=|{〔θ1 +(φ/2)〕−〔θ2
(φ/2)〕}−(θ1−θ2 )|=|φ|となる。次
に、くさび状ガラス板52aが位相にしてδwだけ検査
対象物から遠ざかったとすると、第1のビーム21の検
査対象物上での位相がδwだけ大きな値となる。即ち、
θ1 +(φ/2)+δwとなる。よって、両レーザービ
ームの位相差は{〔θ1 +(φ/2)+δw〕−〔θ2
−(φ/2)〕}となり、初期位相差からの変化の絶対
値は、|{〔θ1 +(φ/2)+δw〕−〔θ2 −(φ
/2)〕}−(θ1 −θ2 )|=|φ+δw|となり、
変位による位相差の変化が、みかけ上δwだけ助長され
たことになる。因みに、くさび状のガラス板51aの動
きが逆、即ち−δwであるか、変位の方向が逆、即ち−
φであれば、変位による位相差の変化が|φ−δw|と
みかけ上δwだけ小さくなることになる。
【0054】この状況下で、図6(a)に示す様に一連
の干渉縞を横切る任意のラインA上での位相をこのライ
ンを座標軸とする座標xの関数として、右向きの変位u
に対応する位相差φを正にとって考えると、図6(b)
の様なグラフが得られる。このとき、くさび状のガラス
板51aの動きは、上記の式に示した様に|φ|をみか
け上大きくする方向に働くわけだから、くさび状のガラ
ス板51aの動いた後のφ/2は図6(b)の破線の様
になる。つまり、すべてのxで一律にδw/2だけ増
す。すると、Isub でφ/2=0,π,……に相当して
いた干渉縞は、くさび状のガラス51aが動くことによ
って、I′sub では図6(a)における破線で示す位置
にまで移動する。即ち、dφ/dxが正のところでは干
渉縞が左側へ移動し、dφ/dxが負、つまり、図6
(b)において傾きが右下がりの部分では干渉縞が右へ
移動することになる。このとき、たとえば図6(b)の
頂点のところの様にもともとφ−xグラフの頂点がI
sub の干渉縞に対応していると、I′sub においては干
渉縞が2個に分離する。
【0055】理解を助けるために図7(a)および図7
(b)には、変位uが左向き(u<0)の状況を示す。
この場合には、|φ|がみかけ上δwだけ小さくなる
(φのグラフがφ=0に近づく)ので、くさび状のガラ
ス板51aの動いた後のφは、図7(b)の破線で示す
ようになる。また、Isub におけるφ/2=−3πのピ
ークでは、くさび状のガラス板51aの動きによって干
渉縞が消滅する。
【0056】ここで重要なことは、図6と図7の比較か
ら明らかな様に、dφ/dxの正負と干渉縞の移動の向
きの関係がφの正負即ち変位uの向きには無関係に一定
であるということである。即ち、くさび状のガラス板5
1aの動きが同じである限り、干渉縞の移動方向(左か
右か)は変位uの向きには無関係にdφ/dxの正負の
みで決まる。さらに、いずれの場合もくさび状のガラス
板51aの動きに相当する位相変化量δwが一定である
限り、φはすべてのxで一律に同じ量だけφの正の向き
に移動する。よって、|dφ/dx|が大きい程、即ち
φ−xグラフの傾きが急な程、それに反比例して、x軸
に沿っての干渉縞の移動量は、小さくなる。 この干渉
縞の移動量がdφ/dxに反比例する事実を利用する
と、干渉縞の近傍での∂u/∂xを評価することができ
る。即ち、くさび状のガラス板51aの動きによる干渉
縞のシフト量をΔxとすれば、Isub の注目する干渉縞
近傍でのφ/2のxに対する変化率即ち∂(φ/2)/
∂xは、 ∂(φ/2)/∂x=−(δw/2Δx) …(16) で近似される。ただしΔxは、干渉縞がxの正の方向に
移動した時、正にとるものとする。今、ラインAは任意
の方向にとれるので、これを第1及び第2のレーザービ
ーム21、22が作る平面と検査対象物の交線、即ち変
位uに平行に選べば(3)式によりφに関係づけられる
uのx方向に関する偏微分∂u/∂x、即ちひずみ成分
εxx=∂u/∂xを次式により求めることができる。 〔∂u(x,y)〕/∂x=λ/2π・(1/sinα)・{(∂〔φ(x,y )/2〕/∂x}=−(λ/2π)・(1/sinα)・(δw/2Δx) …(17) 同様にして、変位成分uに対応するIsub およびI′
sub 干渉縞パターンにおいて、y方向にラインAに相当
するラインをとって解析を行えば∂u/∂yが、また変
位成分vに対応するIsub およびI′sub 干渉縞パター
ンにおいて同様の操作を施せば∂v/∂x、∂v/∂y
をそれぞれ評価することができる。
【0057】従って、これらの値より、ひずみ成分、及
び回転成分、εxx、εxy、ωz(「発明が解決しよ
うとする課題」参照)を簡単に得ることができる。図8
に∂u/∂yを求める手順を示す。この図8において、
干渉縞は、uに対応する。よって、 ∂(φ/2)/∂y=−δw/2Δy …(18) ∴〔∂u(x,y)〕/∂y=(λ/2π)・(1/sinα)〔(∂(φ/2 )/∂y)〕=(−λ/2π)・(1/sinα)・δw/2Δy…(19) となり、干渉縞上の点(x,y)において、∂u/∂y
を評価することができる。∂u/∂xも同様に評価され
る。なお、当然のことながら、(16)式および(1
8)式の近似の精度は、δw即ち、くさび状のガラス板
51aによる位相変化量が小さい方が上がる。
【0058】また、図8の右側に示した点(x′,
y′)の場合の様に、干渉縞がxあるいはy軸にほぼ平
行な場合は、その平行な方の軸(図8ではy軸)につい
ては、軸と移動後の干渉縞が交わらないためΔyに相当
する量が求まらない。しかしその様な場合は、とりも直
さずその軸方向について位相φが殆ど変化しないことを
意味するわけだから、∂(φ/2)/∂y≒0と置くこ
とができる。従って、いずれの場合にも、干渉縞上の点
でひずみや回転εxx εxy ωz等の近似式を得る
ことができる。(注1)uとvについて必ずしも同じ
(x,y)に干渉縞が現れるとは限らないので、同じ
(x,y)で例えば∂u/∂xとσv/∂xが評価でき
るわけではないが、十分に細かいステップで相方を評価
しておけばグラフを内挿することにより、同じ(x,
y)でのこれらの値を得ることができ、その点でのεx
y=1/2〔(∂v/∂x)+(∂u/∂y)〕などを
計算することができる。
【0059】また 上記の説明では、Iafter を変化さ
せたが、要はIsub とI′sub が差別化されればよいわ
けで、変形の起こる前にくさび状のガラス板を動かすこ
とによってI′beforeおよび相当のイメージを得るので
もよい。さらに、上記の内容は、Iadd mod と、I′
add mod の関係についても同様に成り立つ。さらに位相
の変化は、くさび状のガラス板以外にもピエゾ素子等を
利用して光学鏡を微小量だけ動かし、光路を変化させる
ことによっても実現できる。その他一般の位相変化素子
を用いても、もちろん良い。
【0060】なお、上記したくさび状のガラス板の動き
による干渉縞の移動方向と変位による位相差の変化φの
空間座標に対する依存性〔即∂/∂x(φ/2)等〕の
関係は、理解が難しいので以下に図9、図10、図11
を用いて別の表現による説明を補充しておく。まず、図
5において、くさび状のガラス板または他の方法で、上
記と同様に検査対象物の変形後第1のレーザービームの
光路を長くしたとする。この様な状況下で変位が図5に
示す様に右へ向かう検査対象物の部位を考察する。今、
図9に示す様に変位uによるφ/2がπに相当する干渉
縞の近傍において、左側、即ちxの負側で変位が減り、
右側で増すとする。これは図6(b)のピークの左側の
状況に相当する。さらに、図9の干渉縞πの左側にちょ
うど、変位がπ−δw/2、右側にπ+δw/2となる
部分の軌跡を考える(破線参照)。この状況でくさび状
のガラス51aをちょうど第1のレーザービーム21の
光路が位相にしてδwだけ増す様に動かすと、すべての
点で変位による位相が見かけ上δwだけ増すから、図9
で元々φ/2=π−δw/2であった部位が新たにφ/
2=πとなり、そこに干渉縞が現れると同時に、元、φ
/2=πであったところはφ/2=π+δw/2となっ
て干渉縞が消える。即ち、Isub とI′sub を比べると
干渉縞が左へ移動(Isub →I′sub で見て)したこと
になる。uが左へ向かう場合、つまりu<0の場合は、
同じことが、図10の状況で起きる。つまりφ/2=−
πの干渉縞に着目すればその左側にφ/2=−π−δw
/2が、また、右側にφ/2=−π+δw/2が存在す
る状況、即ち図7(b)のピークの右側の状況で起きる
(図11参照)。 これらの2つの例をまとめて考える
と、uが正であろうが負であろうがそのxに対する傾き
が正である場合に、上述のくさび状のガラス板の動きに
よって、干渉縞が左(xの負の方向)に移動することが
わかる。
【0061】上述の原理により、各干渉縞の動きから、
その干渉縞の近傍でのdφ/dxの符号が判明すると、
それより、以下の原理で隣接する干渉縞の相対関係が判
断される。例えば、図12に示す様に、図5に示すくさ
び状のガラス板51aの動きに対して、干渉縞a,bが
共に左に移動したとすると上述の原理より、図6によ
り、干渉縞a,bそれぞれの両側の近傍のdφ/dxが
正であることが分かる。
【0062】従って、bはaよりもπだけ値が大きい
(符号を含めて)ことが分かる。何故なら、図13に示
す様に、dφ/dx>0でaを出発すると、どんな経路
を通ろうとも、dφ/dx>0で(Ν+1)π以外のπ
の整数倍の値を次に通過することはできない。つまり、
bの干渉縞が(Ν+1)πではなく、Νπに相当するの
であれば、dφ/dx>0でaを出発している限り、必
ずbにはdφ/dx<0で交わらなければならない(図
中、破線参照)。また、bがΝπ、(Ν+1)π以外に
相当するのであれば、その途中で必ずΝπ又は(Ν+
1)πを横切る〔bが(Ν+2)π以上に相当する場合
は、(Ν+1)πを横切り、bが(Ν−1)π以下の場
合は、Νπを横切る〕ことになり、そうであれば必ずa
とbの間に相当する干渉縞が現れるはずであるが、実際
にはそのような干渉縞は存在していない。従って、bは
(Ν+1)π、換言すればaよりπだけ符号を含めて大
きいものでなければならない。
【0063】同様の要領で下表に従い隣の干渉縞との相
対関係を知ることができる。
【0064】
【表1】
【0065】この表において、aは干渉縞aを出発する
際の微係数(aのb側の領域)、また、bは干渉縞bに
到着する際の微係数(bのa側の領域)を表す。このよ
うにして、各干渉縞の相互の関係が分かれば、規準とな
る干渉縞から出発してすべての干渉縞の値が符号を含め
て決まる。ここに規準干渉縞とは、符号を含めて値の分
かっている干渉縞で一般には変位=0の干渉縞を規準干
渉縞として選ぶことが便利である。変位0の干渉縞を捜
すには、明らかに変位がない部分、例えば、図14に示
すように、変位を評価しようとする対象物体が引張り試
験機60に取り付けられた試験片62の場合には、引張
り試験機60の動かない方のチャック61の部分を通る
干渉縞(Isub の縞)がこれに相当する。63は動くチ
ャックである。また、他の方法として、光源の波長、ま
たはビーム21,22の入射角を変えて、同じ変位を観
測した場合に動かない干渉縞(Isub の縞)を変位0に
相当するとみなすものが考えられる。
【0066】これは次の理由による。つまり、(14)
式から明らかな様にIsub パターンにおいて干渉縞が現
れるころは、|sin(φ/2)|=0のところであ
る。ところがこのφ/2は、(3)式によって、変位u
(x,y)と u(x,y)={〔φ(x,y)〕/2〕・(λ/2
π)・(1/sinα) の様に結び付けられている。ところで今、|sin(φ
/2)|=0を満足するφ/2、即ち、φ/2=…−2
π、−π、0、π、2π…、のうち、φ/2=0以外
は、|sinφ/2|=0となるときのu(x,y)の
値がλ及びαに依存する。即ち、例えばλ=λ1 の場合
と、λ=λ2 (λ1 ≠λ2 )の場合を比べると、φ/2
=2πのとき、前者では、u(x,y)=λ1 /sin
α、後者ではu(x,y)=λ2 /sinαとなり、そ
れぞれ検査対象物上で変位uがλ1 /sinαおよびλ
2 /sinαとなる所にφ/2=2πに対応するIsub
の干渉縞が現れる。ところが、φ/2=0に限り、λの
値に無関係にu=0のところに干渉縞が現れる。従っ
て、その検査対象物上での位置は、λを変えても変わら
ない。
【0067】λを変えてIsub を得るには、例えば、図
15に示すように構成すればよい。即ち、第3のシャッ
タ71、第4のシャッタ72により波長1(λ1 )と波
長2(λ2 )を切り換えて、それぞれの波長について、
sub およびI′sub を得る。70は第2のレーザー、
例えば、ダイオードレーザーであり、波長2(λ2)を
出力する。
【0068】同じことが、入射角αについても同様に言
える。こうして、Isub パターンについて各干渉縞の次
数が絶対的に決まったら、同様の原理でIadd mod パタ
ーンの各干渉縞の次数が絶対的に決まる。即ち、例え
ば、Isub のφ/2=0に相当する干渉縞のすぐ右側が
dφ/dx>0(右向きにx>0)であれば、この干渉
縞の右側に次にあるIadd mod の干渉縞は、上記のI
sub の各干渉縞の相対的な次数の関係を決めたのと同じ
原理で、絶対的にφ/2=π/2と決まる。
【0069】その後、この干渉縞をIadd mod パターン
の基準干渉縞としてIsub のときと同じ方法でI
add mod のすべての干渉縞の次数が絶対的に決められ
る。 (12)上記の要領でIsub 、Iadd mod のすべての干
渉縞の次数が決まったら、前記特願平6−242502
号に記載の方法で|tan(φ/2)|の値を評価す
る。すると、図16に示す様に、一般にφ/2=nπと
その隣のIadd modの干渉縞の次数、即ち(n+0.
5)πまたは(n−0.5)πとの間の|tan(φ/
2)|の値は、φ/2の値と1対1に対応する〔つまり
(n−0.5)π<φ/2<nπおよびnπ<φ/2<
(n+0.5)πのそれぞれの領域内で同じ|tan
(φ/2)|の値を与える2個以上のφ/2の値はな
い〕のでφ/2の値が符号を含めて絶対的に決められ
る。これにより、検査対象物上で連続的に(即ち干渉縞
上のみではなく)変位を符号を含めて絶対的に評価する
ことができる。 (13)さらに上記(11)の部分に記述した。既知の
δw(くさび状のガラス板により導入される位相変化
量)を用いることによる変位の空間偏微分値(∂u/∂
yなど)の評価の方法を1周期内、即ち、隣の干渉縞位
置までの区間に相当する領域内で繰り返し適用すること
によって、検査対象物上で擬似連続的(準連続的)に変
位の空間偏微分値ならびに変位を評価することができ
る。
【0070】これについて、図17及び図18を用いて
説明する。これらの図において、2つの干渉縞がそれぞ
れφ=π、2πに対応しているとする。この時、図中に
示すx軸をとり、d(φ/2)/dxを評価することを
考える。今、導入するくさび状のガラス板による位相変
化量をδwとし、これがI sub の干渉縞の1周期分、即
ち、Δ(φ/2)=πに比して十分小さいとする。この
状況で、くさび状のガラス板をδwずつ動かしていき、
その都度I′after n.fに相当するイメージを作るとす
る。すると、くさび状のガラス板がδw間隔で止まるご
とにそのときのI′after n.fとIbefore n.fとの差を
とることによって、I′sub が得られることになる。
【0071】そこで、検査対象物の変形後に得られるi
番目のI′after n.fを、I′(i) after n.f、それと
before n.fとの差によって作られる干渉縞パターンを
I′ (i) sub と呼ぶことにする。今、くさび状ガラス板
の動きが、φ/2を大きくする様なものであったとする
と、図18のφ−x拡大図中の破線で示す様にくさび状
のガラス板を動かすたびにグラフ上をφ/2−x曲線が
上がっていくことになる。
【0072】従って、φ/2=2πに対応する干渉縞の
位置は順次左へ移動していく。ここで、φ/2−x曲線
がφ/2=2πの線を横切るxの位置(即ち干渉縞の現
れる位置)を考察する限りにおいて、φ/2−x曲線を
上に上げずにφ/2=2πの線をδw/2ずつ下ろして
いっても等価である。そこでその様に考えることにす
る。すると、i番目のくさび状のガラス板の位置におけ
る干渉縞2πの位置(即ち、I′(i) sub の干渉縞2π
のx軸上における位置)をxi としたとき、Isu b のx
i における位相φi /2がφi /2=2π−δw/2×
iとなることが容易に分かる。
【0073】よって、x=xi でのd(φ/2)/dx
は、 d(φ/2)/dx=〔(φi /2)−(φi -1/2)〕/(xi −xi -1) =(−δw)/2(−Δxi ) …(20) ただし、Δxi はI′(i) sub とI′(i-1) sub のφ/
2=2πに対応する干渉縞の現れるx軸上の座標の位置
の差であり、これはI′(i) sub とI′(i-1) sub パタ
ーンから読み取る。
【0074】
【数2】
【0075】同様のことをx軸に垂直にとったy軸で行
えば、d(φ/2)/dyが評価でき、それらより
(3)式の関係を用いて、∂u/∂x、∂u/∂yが評
価できる。さらに、uと垂直な変位成分vについて、同
様に∂v/∂x、∂v/∂yが得られ、ひずみ、回転の
各成分、εxx、εxy、εyy、ωzが容易に計算さ
れる。
【0076】
【数3】
【0077】さらに、この方法は、くさび状のガラス板
を動かす機構に例えばステッピングモータ等を用いてこ
れとCCDカメラを共通のコンピュータで駆動すること
により簡単に自動化できる。また、δwの決め方として
は、図19及び図20を用いて次の様にすればよい。
【0078】即ち、まず通常のIsub 干渉縞パターン、
つまりくさび状のガラス板をIbefo reと同じ位置に置い
てIafter をとり、これらの差としてIsub を得る。こ
うして得たIsub を見て、図19に示すように、干渉縞
の間隔が大きければその間を細く分割して、つまり、δ
wを小さくとって、たくさんのiについてI′(i) af
ter n.f を得ればよい。これにより、評価される変位の
空間偏微分および、変位の空間的精度が上がる。逆に、
図20に示すように、干渉縞の間隔が小さい場合は、大
きいδw、即ち小さいiをとることによって、測定時間
を短縮することができる。
【0079】また、図21に示すように、同じ干渉縞パ
ターンの中で、隣合う干渉縞間の距離が近いものと遠い
ものとが混在している場合は、距離の大きい方に合わせ
て、δw、(i)を決めればよい。このとき、もし、間
隔の近い方の干渉縞について、I(i) sub と、I′
(i+1) sub の同じΝπに相当する干渉縞が近すぎて分解
できない場合は、Isub におけるΝπとその隣の干渉縞
が十分に近いわけだから、I′(i) sub により干渉縞を
動かす必要がないことを意味している。(または少ない
iでよいわけだから、i=1・・・のうちの幾つかのみ
を利用すればよいわけで、iが多くても害にならな
い。) 本発明は、上記した実施例に限定されることなく、デュ
アル・ビーム干渉計により、干渉縞パターンを求める場
合の一般に対して各干渉縞の次数を符号を含めて絶対的
に決定するのに用いることができる。また、くさび状の
ガラス板または等価の機構により導入される位相変化を
1周期に相当するものの何分の1かを知ることにより、
干渉縞上での変位の空間偏微分値を評価することができ
る。
【0080】さらに、その様にして既知の位相変化量を
くり返し導入することにより、隣接する干渉縞の間で疑
似連続的に(細かいステップ)で空間微分値を評価する
ことができ、それより同じ場所で疑似連続的(準連続
的)に変位を符号を含めて絶対的に評価することができ
る。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、
これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0081】
【発明の効果】以下、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。本発
明によれば、検査対象物の変形や歪みを簡便に、かつ正
確に検査対象物の変形による位相差を抽出することがで
きるとともに、変位の向きを判定することができる。
【0082】特に、変形の時間微分を得ようとする応
用、すなわち、一定、かつ十分に短い時間ステップΔt
での変位及びその変位の向きの測定が要求される応用に
おいて、優れた効果を奏することができる。このよう
に、検査対象物の変形や歪み及びその変位の向きを的確
に捕らえることができる。例えば、原子炉圧力容器の機
械的強度や高速変形の状態を迅速・的確に検出し、解析
することができるなど、それによってもたらされる効果
は広汎にして著大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す検査対象物のスペックル
像からの位相抽出・符号を含む変位量の絶対的評価装置
の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例を示す検査対象物のスペックル
像からの位相抽出・符号を含む変位量の絶対的評価手順
を示すフローチャート(その1)である。
【図3】本発明の実施例を示す検査対象物のスペックル
像からの位相抽出・符号を含む変位量の絶対的評価手順
を示すフローチャート(その2)である。
【図4】本発明の実施例を示す検査対象物及びそのスペ
ックル減算像を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す干渉縞の符号を判別する
ためのくさび状のガラス板の操作状態を示す図である。
【図6】本発明の実施例を示すIsub とI′sub の関係
を示す図(その1)である。
【図7】本発明の実施例を示すIsub とI′sub の関係
を示す図(その2)である。
【図8】変位のx方向成分uに対する変位のy方向に対
する変化率(∂u/∂y)を求める手順を示す図であ
る。
【図9】レーザービームの光路の変化による干渉縞の発
現態様を示す図(その1)である。
【図10】レーザービームの光路の変化による干渉縞の
発現態様を示す図(その2)である。
【図11】レーザービームの光路の変化による干渉縞の
発現態様を示す図(その3)である。
【図12】変位の方向判定のための干渉縞の相対関係を
示す図である。
【図13】dφ/dx特性を示す図である。
【図14】対象物体の引張り状態を示す図である。
【図15】本発明の他の実施例を示す検査対象物のスペ
ックル像からの位相抽出・符号を含む変位量の絶対的評
価装置の全体構成図である。
【図16】検査対象物上での連続的な変位の符号を含め
た絶対的な評価の説明図である。
【図17】検査対象物上での擬似連続的(準連続的)な
変位の空間偏微分値ならびに変位の評価の説明図(その
1)である。
【図18】検査対象物上での擬似連続的(準連続的)な
変位の空間偏微分値ならびに変位の評価の説明図(その
2)である。
【図19】干渉縞の間隔が大きい場合にその間を細く分
割して、くさびフリンジをとる例を示す図である。
【図20】干渉縞の間隔が小さい場合にその間を大きく
分割してフリンジを少なくした例を示す図である。
【図21】隣合う干渉縞間の距離が近いものと遠いもの
とが混在している例を示す図である。
【図22】従来のダブルビーム(Double bea
m或いはDual beam)ESPIの概略構成図で
ある。
【図23】従来のフーリエ変換法によるスペックル像か
らの位相抽出の説明図である。
【図24】静止チャックと可動チャックとの間に対象物
体が設けられている例を示す図である。
【図25】図24における変位のy方向成分vに対応す
る干渉縞を示す図である。
【図26】図24における変位のx方向成分uに対応す
る干渉縞を示す図である。
【符合の説明】
10 He−Neレーザー 11,12,13,14 反射鏡 15 ビームスプリッタ 16,17 対物レンズ 18 第1のシャッタ 19 第2のシャッタ 20,31 検査対象物 21 第1のレーザビーム 22 第2のレーザビーム 23 レンズ 24 CCDカメラ 25 イメージプロセッシングコンピュータ 26 制御装置 27 モニタ 28 絞り 32 固定部 51,51a くさび状のガラス板 52 駆動装置 60 引張り試験機 61 動かない方のチャック 62 試験片 63 動くチャック 70 ダイオードレーザー 71 第3のシャッタ 72 第4のシャッタ 101 静止チャック 102 可動チャック 103 対象物体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アヌング クスノウォ インドネシア共和国 15310 タンゲラ ン スルポン コムプレック プスピプ テック ブロック 4 ナンバー ジェ ー −3 (56)参考文献 特開 平5−118816(JP,A) 国際公開87/7365(WO,A2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 - 11/30 G01B 9/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検査対象物のスペックル像からの位相抽
    出・符号を含む変位値の絶対的評価方法において、
    (a)前記検査対象物に等しい入射角で第1のレーザー
    ビームと第2のレーザービームとを照射し、前記検査対
    象物の変形前のスペックル像IbeforeをCCDカメラに
    取り込むステップと、(b)第2のレーザービームを遮
    光して第1のレーザービームのみの照射による前記検査
    対象物の変形前のスペックル像I1 beforeをCCDカメ
    ラに取り込むステップと、(c)第1のレーザービーム
    を遮光して第2のレーザービームのみの照射による前記
    検査対象物の変形前のスペックル像I2 beforeをCCD
    カメラに取り込むステップと、(d)前記CCDカメラ
    にキャップをつけてダークノイズを取り込むステップ
    と、(e)前記検査対象物に等しい入射角で第1のレー
    ザービームと第2のレーザービームとを照射し、前記検
    査対象物の変形後のスペックル像Iafter をCCDカメ
    ラに取り込むステップと、(f)第2のレーザービーム
    を遮光して第1のレーザービームのみの照射による前記
    検査対象物の変形後のスペックル像I1 after をCCD
    カメラに取り込むステップと、(g)第1のレーザービ
    ームを遮光して第2のレーザービームのみの照射による
    前記検査対象物の変形後のスペックル像I2 after をC
    CDカメラに取り込むステップと、(h)前記検査対象
    物の変形後のダークノイズをCCDカメラに取り込むス
    テップと、(i)前記第1のレーザービームの位相を若
    干量変化させ、スペックル像I′af ter とスペックル像
    1 after をそれぞれCCDカメラに取り込むステッ
    プと、(j)前記それぞれに取り込まれたスペックル像
    からダークノイズを消去することにより、ノイズが消去
    された前記検査対象物の変形前のスペックル像Ibefore
    n.fと、ノイズが消去された前記検査対象物の変形後の
    スペックル像Iafter n. f と、ノイズが消去された前記
    検査対象物の変形前の第1のレーザービームのみによる
    スペックル像I1 before n.fと、ノイズが消去された前
    記検査対象物の変形前の第2のレーザービームのみによ
    るスペックル像I2 before n.fと、ノイズが消去された
    前記検査対象物の変形後の第1のレーザービームのみに
    よるスペックル像I1 after n.fと、ノイズが消去され
    た前記検査対象物の変形後の第2のレーザービームのみ
    によるスペックル像I2 after n.fと、ノイズが消去さ
    れた前記第1のレーザービームの位相を若干量変化させ
    て得られたスペックル像I′ after n.f とスペックル像
    1 after n.f とを得るステップと、(k)ノイズが
    消去された前記検査対象物の変形前のスペックル像I
    before n.fとノイズが消去された前記検査対象物の変形
    後のスペックル像Iafter n.f とのスペックル像の和I
    add と、ノイズが消去された前記検査対象物の変形前の
    スペックル像Ibefore n.fとノイズが消去された前記第
    1のレーザービームの位相を若干量変化させて得られた
    スペックル像I′after n.f とのスペックル像の和I
    add ′とを得るステップと、(l)前記Iadd −(I
    1 before n.f+I2 before n.f+I1 after n.f+I2
    after n.f)であるIadd mod と、前記Iadd ′−(I
    1 before n.f+I2 befo re n.f+I1 after n.f+I
    2 after n.f)であるI′add mod とを得るステップ
    と、(m)前記Ibefore n.f−Iafter n.fであるI
    sub と、前記Ibefore n.f−I′after n.fであるI′
    sub を得るステップと、(n)前記Isub 及びI′sub
    ならびに前記Iadd mod 及びI′add mod に基づいて、
    前記Isub 及びIadd mod の各スペックル像に現れてい
    る各干渉縞位置での変形による位相差の選ばれた座標軸
    に対する傾きの符号及び大きさを決定するステップと、
    (o)前記Isub スペックル像に現れる干渉縞の0次の
    ものまたはそれ以外の次数の値のわかっている基準干渉
    縞を決定し、それとその位置での変形による位相差の選
    ばれた座標軸に対する傾きの符号に基づき、Iadd mod
    スペックル像の基準干渉縞を決定するステップと、
    (p)前記Isub 及びIadd mod スペックル像におい
    て、基準干渉縞から出発して前記各干渉縞位置での変形
    による位相差の選ばれた座標軸に対する傾きの符号から
    各干渉縞の次数を決定するステップとを施すことを特徴
    とする検査対象物のスペックル像からの位相抽出・符号
    を含む変位値の絶対的評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の検査対象物のスペックル
    像からの位相抽出・変位値の符号を含む絶対的評価方法
    において、前記各干渉縞位置での変形による位相差の選
    ばれた座標軸に対する傾きの符号と大きさから変位の空
    間偏微分値を評価することを特徴とする検査対象物のス
    ペックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的
    評価方法。
  3. 【請求項3】 検査対象物のスペックル像からの位相抽
    出・符号を含む変位値の絶対的評価装置において、
    (a)前記検査対象物に等しい入射角で第1のレーザー
    ビームと第2のレーザービームとを照射する手段と、
    (b)第1のレーザービームを遮光可能な第1のシャッ
    タと、(c)第2のレーザービームを遮光可能な第2の
    シャッタと、(d)前記第1のレーザービーム又は第2
    のレーザービームの位相を変化させる手段と、(e)前
    記検査対象物のスペックル像を取り込むCCDカメラ
    と、(f)該CCDカメラからのスペックル像を処理す
    るイメージプロセッシングコンピュータとを設け、
    (g)前記検査対象物に等しい入射角で第1のレーザー
    ビームと第2のレーザービームとを照射し、前記検査対
    象物の変形前のスペックル像IbeforeをCCDカメラに
    取り込む手段と、(h)第2のレーザービームを遮光し
    て第1のレーザービームのみの照射による前記検査対象
    物の変形前のスペックル像I1 beforeをCCDカメラに
    取り込む手段と、(i)第1のレーザービームを遮光し
    て第2のレーザービームのみの照射による前記検査対象
    物の変形前のスペックル像I2 beforeをCCDカメラに
    取り込む手段と、(j)前記CCDカメラにキャップを
    つけてダークノイズを取り込む手段と、(k)前記検査
    対象物に等しい入射角で第1のレーザービームと第2の
    レーザービームとを照射し、前記検査対象物の変形後の
    スペックル像Iafter をCCDカメラに取り込む手段
    と、(l)第2のレーザービームを遮光して第1のレー
    ザービームのみの照射による前記検査対象物の変形後の
    スペックル像I1 after をCCDカメラに取り込む手段
    と、(m)第1のレーザービームを遮光して第2のレー
    ザービームのみの照射による前記検査対象物の変形後の
    スペックル像I2 after をCCDカメラに取り込む手段
    と、(n)前記検査対象物の変形後のダークノイズをC
    CDカメラに取り込む手段と、(o)前記第1のレーザ
    ービームの位相を若干量変化させ、スペックル像I′af
    ter とスペックル像I1 after をそれぞれCCDカメ
    ラに取り込む手段と、(p)前記それぞれに取り込まれ
    たスペックル像からダークノイズを消去することによ
    り、ノイズが消去された前記検査対象物の変形前のスペ
    ックル像Ibefore n.fと、ノイズが消去された前記検査
    対象物の変形後のスペックル像Iafter n. f と、ノイズ
    が消去された前記検査対象物の変形前の第1のレーザー
    ビームのみによるスペックル像I1 before n.fと、ノイ
    ズが消去された前記検査対象物の変形前の第2のレーザ
    ービームのみによるスペックル像I2 before n.fと、ノ
    イズが消去された前記検査対象物の変形後の第1のレー
    ザービームのみによるスペックル像I1 after n.fと、
    ノイズが消去された前記検査対象物の変形後の第2のレ
    ーザービームのみによるスペックル像I
    2 after n.fと、ノイズが消去された前記第1のレーザ
    ービームの位相を若干量変化させて得られたスペックル
    像I′ after n.f とスペックル像I1 after n.f とを
    得る手段と、(q)ノイズが消去された前記検査対象物
    の変形前のスペックル像Ibefore n.fとノイズが消去さ
    れた前記検査対象物の変形後のスペックル像I
    after n.f とのスペックル像の和Iadd と、ノイズが消
    去された前記検査対象物の変形前のスペックル像I
    before n.fとノイズが消去された前記第1のレーザービ
    ームの位相を若干量変化させて得られたスペックル像
    I′after とのスペックル像の和Iadd′とを得る手段
    と、(r)前記Iadd −(I1 before n.f+I
    2 before n.f+I1 after n.f+I2 after n.f)であ
    るIadd mod と、前記Iadd ′−(I1 before n.f+I
    2 befo re n.f+I1 after n.f+I2 after n.f)で
    あるI′add mod とを得る手段と、(s)前記I
    before n.f−Iafter n.fであるIsub と、前記I
    before n.f−I′after n.fであるI′sub を得る手段
    と、(t)前記Isub 及びI′sub ならびに前記I
    add mod 及びI′add mod に基づいて、前記Isub 及び
    add mod の各スペックル像に現れている各干渉縞位置
    での変形による位相差の選ばれた座標軸に対する傾きの
    符号及び大きさを決定する手段と、(u)前記Isub
    ペックル像に現れる干渉縞の0次のものまたはそれ以外
    の次数の値のわかっている基準干渉縞を決定し、それと
    その位置での変形による位相差の選ばれた座標軸に対す
    る傾きの符号に基づき、Iadd mod スペックル像の基準
    干渉縞を決定する手段と、(v)前記Isub 及びI
    add mod スペックル像において、基準干渉縞から出発し
    て前記各干渉縞位置での変形による位相差の選ばれた座
    標軸に対する傾きの符号から各干渉縞の次数を決定する
    手段とを具備することを特徴とする検査対象物のスペッ
    クル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の検査対象物のスペックル
    像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置
    において、前記第1のレーザービーム又は第2のレーザ
    ービームの位相を変化させる手段が、光路に作用するく
    さび状のガラス板とその駆動装置である検査対象物のス
    ペックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的
    評価装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の検査対象物のスペックル
    像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置
    において、前記第1のレーザービーム又は第2のレーザ
    ービームの位相を変化させる手段が、光路に作用する光
    学鏡とその駆動装置である検査対象物のスペックル像か
    らの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の検査対象物のスペックル
    像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置
    において、波長の切り換えを行うために第3のレーザー
    ビーム源を具備することを特徴とする検査対象物のスペ
    ックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評
    価装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の検査対象物のスペックル
    像からの位相抽出・符号を含む変位値の絶対的評価装置
    において、前記第1及び第2のレーザービームの前記検
    査対象物への入射角を若干量変化させるために前記光学
    鏡を駆動させる手段を有することを特徴とする検査対象
    物のスペックル像からの位相抽出・符号を含む変位値の
    絶対的評価装置。
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