JP3026282U - 蒸し器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱蒸気が被調理物により遮られず、１度に多
数の被調理物を蒸しうること。 【解決手段】上方端が開口した円筒鍋形状の本体部10
と、上方開口部11に適合する蓋部12と、本体部10内に設
けられた１枚の仕切り部20とからなる。仕切り部20の中
心部には摘み片21を設け、この中心部から同心円状に複
数の溝部25を設け、この溝部25の部位に多数の貫通孔26
を設ける。本体部10の底面部13にも、仕切り部20と同様
の溝部25を設け、この溝部25の部位に多数の貫通孔26を
設ける。本体部10の外側面には把手15を設ける。本体部
10の下方外表面には鍔部16を全周に渡り設け、下方に位
置することとなる鍋等の調理器具の上方開口縁部にこの
鍔部16を載せて、本願考案の蒸し器を載置して使用す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本願考案は、各種食物を蒸すために使用する蒸し器に関し、他の鍋、釜等の調 理器具の上部に載置して使用するもの、及びそれ自体で蒸し器として使用できる ものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の蒸し器としては、現在はあまり使用されていないが、いわゆる蒸籠（せ いろう）というものがあり、これは木製の枠の底に簀（割り竹で荒く編んだもの ）を張ったものである。また今日においては、この蒸籠に代わって金属製の筒形 鍋形状の本体部を有する蒸し器があり、この蒸し器においては、本体部上面が開 口し、この上面開口部には蓋部が設けられ、被調理物の載置部としての底面部に は多数の貫通孔が設けられているものである。 この蒸し器は、他の鍋等の調理器具の上部に載置され、底面部の上に被調理物 を載せて、下方の鍋等の調理器具内に入れられた水を加熱して、その加熱蒸気に よって調理を行うものである。 或いは、縦長の有底の鍋の底面から一定の高さの位置に仕切り部を設け、この 仕切り部に多数の貫通孔を設けたものも存在しており、この蒸し器においては、 その仕切り部より下の底部に水を入れ、被調理物を前記仕切り部の上に載置して 、コンロ等で加熱することによって被調理物を蒸していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の蒸し器においては、被調理物の載置部としての簀若しくは底面部、 又は仕切り部の上に被調理物が載置される訳であるが、被調理物が載置された部 位では、その簀の隙間や、底面部又は仕切り部に設けられた貫通孔が塞がれてし まい、蒸気が通過しないという問題があった。 他方、被調理物の載置部の上には一定数の被調理物しか載置できないため、多 数のものを調理するためには数回に分けて調理せねばならなかった。 本願考案は、これらの問題点を解決することを意図し、被調理物の載置部に設 けられた貫通孔が被調理物によって塞がれてしまわないもの、また多数の被調理 物を一度に蒸すことができる蒸し器を提供することをその課題としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本願考案の第１のものは、被調理物を載置する ための載置部には多数の貫通孔が設けられ、鍋、釜等の調理器具の上部に載置す ることができる本体部１０と、本体部１０の上方開口部１１に適合する蓋部１２ とからなる蒸し器において、載置部に１本又は複数本の溝部２５を設け、この溝 部２５に多数の貫通孔２６を設けたものである。 この考案により、載置部に設けられた貫通孔が被調理物によって塞がれてしま うことがなくなり、貫通孔を加熱された蒸気が良好に通過することになり、その 結果被調理物を蒸す際の効率が向上する。

【０００５】 本願考案の第２のものは、上記第１の考案において、本体部１０の内部に被調 理物を載置するための載置部としての仕切り部２０を１枚又は２枚以上設け、こ の仕切り部２０は本体部１０の内周面に設けられた突起部又は突条部１８によっ て取り外し自在に支持され、この仕切り部２０に１本又は複数本の溝部２５を設 け、この溝部２５に多数の貫通孔２６を設けたものである。 ここで、突起部とは、本体部１０の内周面からその内側方向に張り出した出っ 張りを意味し、突条部とはその出っ張りが周方向に一定の長さを有するものを意 味し、その周方向の全周に渡って設けられたものをも含む意味である。 この考案においては、上記の作用と共に、仕切り部の枚数に応じてより多数の 被調理物を同時に蒸すことができる。

【０００６】 本願考案の第３のものは、有底鍋形状の本体部１０と、本体部１０の上方開口 部１１に適合する蓋部１２と、本体部１０の内部に設けられ、多数の貫通孔２６ が設けられた、被調理物を載置するための仕切り部２０とからなる蒸し器におい て、仕切り部２０を１枚又は２枚以上設け、仕切り部２０が本体部１０の内周面 に設けられた突起部又は突条部１８によって取り外し自在に支持され、仕切り部 ２０に１本又は複数本の溝部２５を設け、この溝部２５に多数の貫通孔２６を設 けたものである。 この考案においては、上記第１及び第２の考案と同様の作用を発揮し、しかも 他の鍋等の調理器具を必要とせずに、この蒸し器のみで被調理物を蒸すことがで きる。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、添付の図面と共に本願考案の実施の形態について説明する。添付の図面 はすべて本願考案の実施の形態を図示している。 図１が本願考案の第１の実施の形態を図示した中央断面説明図である。 本体部１０は、円筒形状を有した金属製のものからなり、上方端の開口部１１ には蓋部１２が適合し、被調理物の載置部としての底面部１３には後に詳述する が、同じく被調理物の載置部である仕切り部２０の面と同様の構造が設けられ、 複数の同心円状の円環状の溝部２５と、その溝部２５に設けられた多数の貫通孔 ２６が設けられている。 本体部１０の周壁外面の対称位置の２箇所には把手１５が設けられている。 図中、蓋部１２は、簡略化のために１本の実線で表わしているが、その形状及 び蓋部に通常設けられる摘み或いは把手の形状は全く自由に決定することができ る。

【０００８】 更に本体部の外周面の下方部には、鍔部１６がその全周に渡り設けられており 、この鍔部１６が、下方に位置することとなる鍋等の調理器具（図示省略）の上 方開口縁部に載置される。即ちこの鍔部１６が載置部となり、本願考案において は載置面１７が略水平方向に張り出した下向きの面となる。この載置面１７は多 少斜めに傾斜していてもよい。 この載置面１７の本体部から外側方向に張り出した張り出し長さは、適宜自由 に設定することができる。この張り出し長さにより、下方に位置する鍋等の上方 開口部の内径の長さの大小の相違にも適宜対応させることができる。

【０００９】 また本体部１０の内周面の下方適宜高さ位置で、周方向等間隔の４箇所に突条 部１８を設け、これらの突条部１８の上に被調理物の載置部としての仕切り部２ ０が載置される。従ってこの実施の形態においては、被調理物の載置部として、 底面部１３及び仕切り部２０が２段に設けられていることになり、被調理物を２ 段に配置させることができるものである。 ここで、底面部１３の代わりに仕切り部２０によって構成することもでき、こ の場合には上記と同様の突条部１８を本体部１０の下端部内周面に設け、この仕 切り部２０を支持するようにする。 突条部１８の突出形状は、自由に設定でき、その内周面周囲方向の長さも自由 に決定できる。突条部１８の代わりに、周方向の長さの短い突起部によって、仕 切り部２０を支持することもできる。

【００１０】 仕切り部２０は、図２の説明で詳述するが、本体部１０の横断面形状に合致す る平面視円形形状の外形を有する薄い金属板からなる。その中心部には摘み片２ １が設けられ、この摘み片２１を指で摘んで、この仕切り部２０を持ち上げるこ とができ、本体部１０から取り外したり、本体部１０内部に取り付けることがで きる。この仕切り部２０の中心部から同心円状に溝部２５を複数本設け、この溝 部２５の部位に多数の貫通孔２６を設けている。 また本体部１０の底面部１３に設けられる溝部２５及びその溝部２５の部位に 設けられる貫通孔２６の形態は、仕切り部２０の面に設けられているものと同一 である。

【００１１】 図２は、仕切り部２０を図示しており、その（Ａ）が平面図、その（Ｂ）が中 央断面図である。従って本体部１０の底面部１３も、中央部に設けられた摘み片 ２１を除き、これらの図と同様のものとなる。 この仕切り部２０は、円筒形状の本体部１０の内部に設置できるように、平面 視円形形状を有しており、中央部には摘み片２１が設けられ、その中央部を中心 として同心円状に６本の円環状の溝部２５を設け、この溝部２５の部位に小さい 丸孔からなる貫通孔２６を等間隔に多数個列設している。 この仕切り部２０に設けられた溝部２５及び溝部２５の部位に設けられる貫通 孔２６は、本体部１０の底面部１３に設けられているものと同一である。 この溝部の設け方は、全く自由であって、その中心部から放射条に直線的に設 けてもよいし、その中心部から螺旋状に１本の溝部を設けてもよい。更には周方 向に波形に、或いは放射状方向に波形に設けることもできる。またこれらの溝部 を断続的に設けることもできる。 溝部２５の横断面形状も角形、丸形等全く自由に設計することができる。

【００１２】 尚、当然のこととして、仕切り部２０と底面部１３のぞれぞれに設ける溝部２ ５や貫通孔２６を同一のものとせずに、それぞれに設ける溝部２５の配列や大き さ、またそこに設ける貫通孔２６の大きさや間隔等を異なるものとして実施して もよい。 また、仕切り部２０をこの実施の形態においては、１枚のみ設けているが、こ れを２枚或いはそれ以上設けてもよい。仕切り部２０を２枚以上設ける場合には 、下方に位置する仕切り部２０には、その周縁部の周方向等間隔の４箇所に切欠 部を設けて、この仕切り部２０を本体部１０から取り外す際に、上方の仕切り部 ２０を支持する突条部１８に引っ掛からないようにする。但し、この切欠部は、 突条部１８の突出長さによっては、仕切り部２０を適宜斜めに傾斜させて取り出 すことにより、特に設けなくとも実施することもできる。

【００１３】 図３は、本願考案の他の実施の形態を図示した中央断面説明図である。 この蒸し器は、それ自体単独で蒸し器として使用することができ、その下方に 鍋、釜等の調理器具を必要としないものである。 本体部３０は、前記実施の形態と異なり、底面部に貫通孔が設けられておらず 、有底の円筒状の縦長の鍋形状を有している。上方の開口部１１には蓋部１２が 適合し、本体部３０の周壁外面の対称位置の２箇所には把手１５が設けられてい る。前記実施形態に設けられている鍔部は、この蒸し器が単独で使用できるため 、不要である。

【００１４】 本体部３０の内周面の下方適宜高さ位置で、周方向等間隔の４箇所に突条部１ ８を設け、更にまたその上方の適宜高さ位置で、周方向等間隔の４箇所にも突条 部１８を設け、それぞれの突条部１８、１８の上に仕切り部２０、２０が載置さ れる。従って仕切り部２０は上下２段に２枚、本体部３０内に設けられている。 仕切り部２０、２０は、両者共に同一形状、同一構造であって、前記実施の形態 と同一である。下方に位置する仕切り部２０の周縁部の周方向等間隔の４箇所に 切欠部を設け、この仕切り部２０を本体部１０から取り外す際に、上方の仕切り 部２０を支持する突条部１８に引っ掛からないようにしている点も前記実施の形 態と同様である。

【００１５】 この形態に係る蒸し器においては、その内部下方に配置された仕切り部２０の 少し下の高さ位置にまで水を入れ、加熱することにより、加熱蒸気が発生し、各 々の仕切り部２０に設けられた貫通孔２６を加熱蒸気が通過し、各仕切り部２０ の上に置かれた被調理物を蒸すことができる。この際、多数の貫通孔２６が溝部 ２５の部位に設けられているため、貫通孔２６が被調理物によって塞がれてしま うことが全くないのである。

【００１６】 以上、実施の形態について説明したが、本願考案においては以下の通り種々そ の実施の形態を変更することができる。 上記第１の実施の形態においては、本体部１０の被加熱物の載置部としては、 本体部１０の底面部１３と仕切り部２０とが該当する訳であるが、この載置部と しての底面部１３は、必ずしも本体部の下方端面に設けられていなくともよく、 下方端面から一定の高さ位置に、つまり上げ底のような形態になっていてもよく 、この上げ底の底面に溝部と貫通孔が設けられていてもよい。 更には、底面部１３の代わりに、底面を開口し、１枚の仕切り部２０を本体部 の下方端部又は下方端から適宜上方位置に設けて実施することもできる。

【００１７】 上記第１及び第２の何れの実施の形態においても、本体部が断面円形の筒形状 を有していたが、この本体部の形状は全く自由であり、円筒形状でなく、断面略 ４角形のものであってもよく、また長円形のものでもよい。その場合、仕切り部 の形状は、本体部の横断面形状と同一になるようにすればよい。 蓋部、把手部の形状も適宜自由に設計することができる。 本体部、蓋部、仕切り部等の材質は、アルミニウム、ステンレス等の種々の金 属材料を使用することができ、大きさも自由である。

【００１８】 本体部１０内部に設けられる仕切り部２０の枚数も、上記第１の実施の形態に おいては、０枚又は１枚以上、その枚数は自由であり、上記第２の実施の形態に おいては、１枚以上で自由に設計変更することができる。 仕切り部２０を支持する突条部１８の突出形状も全く自由であって、突起や一 定の長さを有する突条からなるものでもよく、要は仕切り部２０を水平に支持で きるものであれば、どのような形状の突出形態であってもよい。 また突条部１８を設ける数も自由であって、本体部１０の内周面の周面方向に ３個、５個、６個又はそれ以上設けてもよいし、その内周面の全周に渡り設ける ことも出来る。 仕切り部２０に設けられる溝部２５の溝の横断面形状及び大きさも自由に設計 することができ、その溝部２５の数又は配列も全く自由である。例えば配列とし ては、円環状に或いは放射状に設けることができ、或いはそれらの溝部を直線的 に又は曲線的に、更には断続的に配列することも自由である。 貫通孔２６の大きさ、形状、数及び間隔等も自由に設定することができる。

【００１９】

【考案の効果】

上記形態からなる本願考案は以下の効果を有する。 本願考案の第１のものにおいては、載置部に設けられた溝部に貫通孔が設けら れているために、載置部の上に載せられる被調理物によって貫通孔が塞がれるこ とがなく、加熱蒸気が有効に全ての貫通孔を通過することができ、効率よく被調 理物を蒸すことができる。 本願考案の第２のものにおいては、上記第１の発明の効果に加えて、被調理物 の載置部としての仕切り部が１枚以上設けられているため、被調理物の載置部が ２段以上設けられる場合には、１度により多くの被調理物を蒸すことができる。

【００２０】 本願考案の第３のものにおいては、他の鍋、釜等の調理器具を必要とせず、そ れ単独で被調理物を蒸すことができ、且つ仕切り部に設けられた溝部によって加 熱蒸気が被調理物により覆われてしまうことがなく、効率よく調理することが出 来る。 また仕切り部が２枚以上設けられる場合には、被調理物が２段以上に配置され 、１度により多くの被調理物を効率よく蒸すことができる。 以上の通り、本願考案は多大な効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案に係る蒸し器の第１の実施の形態を示
す中央断面説明図である。

【図２】図１に示した蒸し器に使用される仕切り部を示
し、その（Ａ）が平面図、その（Ｂ）が中央断面図であ
る。

【図３】本願考案に係る蒸し器の第２の実施の形態を示
す中央断面説明図である。

【符号の説明】

１０、３０ 本体部 １１ 開口部 １２ 蓋部 １３ 底面部、 １６ 鍔部 １８ 突条部 ２０ 仕切り部 ２５ 溝部 ２６ 貫通孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】被調理物を載置するための載置部には多数
   の貫通孔が設けられ、鍋、釜等の調理器具の上部に載置
   することができる本体部(10)と、本体部(10)の上方開口
   部(11)に適合する蓋部(12)とからなる蒸し器において、
   載置部に１本又は複数本の溝部(25)を設け、この溝部(2
   5)に多数の貫通孔(26)を設けたことを特徴とする蒸し
   器。
2. 【請求項２】本体部(10)の内部に被調理物を載置するた
   めの載置部としての仕切り部(20)を１枚又は２枚以上設
   け、この仕切り部(20)は本体部(10)の内周面に設けられ
   た突起部又は突条部(18)によって取り外し自在に支持さ
   れ、この仕切り部(20)に１本又は複数本の溝部(25)を設
   け、この溝部(25)に多数の貫通孔(26)を設けたことを特
   徴とする請求項１に記載の蒸し器。
3. 【請求項３】有底鍋形状の本体部(10)と、本体部(10)の
   上方開口部(11)に適合する蓋部(12)と、本体部(10)の内
   部に設けられ、多数の貫通孔(26)が設けられた、被調理
   物を載置するための仕切り部(20)とからなる蒸し器にお
   いて、仕切り部(20)を１枚又は２枚以上設け、仕切り部
   (20)が本体部(10)の内周面に設けられた突起部又は突条
   部(18)によって取り外し自在に支持され、仕切り部(20)
   に１本又は複数本の溝部(25)を設け、この溝部(25)に多
   数の貫通孔(26)を設けたことを特徴とする蒸し器。