JP3026042B2 - 高速応答ポリウレタンゲル・アクチュエータ - Google Patents

高速応答ポリウレタンゲル・アクチュエータ

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JP3026042B2
JP3026042B2 JP4236174A JP23617492A JP3026042B2 JP 3026042 B2 JP3026042 B2 JP 3026042B2 JP 4236174 A JP4236174 A JP 4236174A JP 23617492 A JP23617492 A JP 23617492A JP 3026042 B2 JP3026042 B2 JP 3026042B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン材料の誘
電体の電場配向を利用した高速応答ゲル・アクチュエー
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】直流電場下での物性変化を利用する試み
は古くからある。例えばウィンスロウ(Winslow ) によ
る特許が1947年に既に提案されている。最近、多く
なってきたこのいわゆる電気粘性流体に関する、あるい
は電気粘弾性に関する特許もこれに準ずるものである。
すなわち、いずれの場合においても、物質変化の由来す
るところはイオン性あるいは電場によってイオン化する
性質を持つ高分子、または粒子について電場印加によっ
て誘起される構造形成である。ここで言う構造形成と
は、巨視的な意味でのものであり、その結果として液体
状の物性から固体状のものへと変化するものを指してい
る。いずれの場合も荷電性分子あるいは粒子が一次元的
に電場方向に配向した構造が観察され、こうした配向構
造が物性変化を誘起すると考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとした課題】しかしながら、前記し
た従来の電気粘性流体は、基本的に流体であるため加工
製作において高い機密性のパッキングを必要とし、フレ
キシブルな機械や装置になりにくいという課題を有して
いた。
【0004】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、非荷電性の高分子材料を用いて誘電性の媒体を含
む系を対象とし、発熱を伴わず、実効電流が事実上ゼロ
に近い状態で分子配向のみによってゲル状高分子成型体
の形状を変化させることが可能であり、さらに、この形
状変化の際に生じる機械的変形エネルギーをアクチュエ
ーションに利用しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の高速応答ポリウレタンゲル・アクチュエー
タは、誘電性のポリウレタン・エラストマーに、誘電性
の溶媒を含ませたポリウレタンゲル状物であって、直流
電場を印加することによって誘電性の分子あるいは置換
基が電場方向に配向し、ゲルの構造が異方的に変化する
ことを特徴とする。
【0006】前記溶媒がエステル結合を有する可塑剤と
したこととしてもよい。
【0007】
【作用】前記した本発明の構成によれば、異方的な力が
極めて高速で発生しこれを用いて有為な仕事を行うこと
ができ、アクチュエーションとして応用することができ
る。すなわち、本発明における変形、あるいはアクチュ
エーションが生じる機構は、誘電性分子の電場による配
向とそれによって誘起される高分子のコンフォメーショ
ンの変化に基づくものである。これが、「誘電配向」な
る言葉の所以である。従って、ゲルを構成している高分
子鎖の集合状態の異方性などの高次構造がアクチュエー
ションの大きさを決める要因の一つとなる。ここでは従
来の電気粘性流体と異なり液体様から固体様へのような
極端な物性変化は生じない。構造変化は電場によって連
続的かつ線形に起こり、従って発生する力や変形量は電
場によって線形に制御できる。このことはまた系に電流
を通じる条件下で測定してもアクションが電流に依存せ
ず一定となることを意味しており、事実もまたそのとお
りとなる。事実上、電流の流れない条件下(たとえば1
mA程度)でゲルのアクチュエーションが行なえること
は熱的にエネルギーが散逸することを避けられることで
あり、電気エネルギーを高効率で機械エネルギーに変換
できることを示唆している。この結果、実効電流が事実
上ゼロに近い状態で分子配向のみによってゲル状高分子
成型体の形状を変化させることが可能であり、さらに、
この形状変化の際に生じる機械的変形エネルギーをアク
チュエーションに利用することができる。
【0008】また、本発明のゲルは、形状が固定され、
流動性がないかまたはきわめて低いという機能を発揮す
る。したがって従来の電気粘性流体を用いた場合に要求
されるような高い機密性のパッキング等はとくに必要で
ない。この機能は、フレキシブルな機械や装置になり易
いという利点を有する。
【0009】また、溶媒としてエステル結合を有する可
塑剤を使うことも可能である。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0011】前記したように、本法のアクチュエーショ
ン機構は高分子鎖のコンフォメーション変化に由来する
もので、しかも媒質の配向による誘導に引き金を求めて
いるためアクションの応答性は極めて速い。応答速度は
ゲルの誘導性と媒質のそれの強さなどによるが概ねミリ
秒から10ミリ秒のオーダーである。変位量はゲル固有
の架橋度などに由来するゲルの構造と物性にもっとも大
きく依存している。
【0012】このポリウレタンゲル状物を得るには、例
えば、先ず次のような方法でポリウレタン・エラストマ
ーを得る。即ち、高分子ポリオール及び有機ポリイソシ
アネート及び鎖伸長剤を用いて従来公知の方法により反
応を行う。
【0013】詳述すると、高分子ポリオールと有機ポリ
イソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを
得て次いでこれに鎖伸長剤を反応せしめる方法、或い
は、前記三成分を所定の割合で同時に反応せしめる所謂
ワンショット法とが有る。高分子ポリオールと有機ポリ
イソシアネートとのNCO/OHモル比は1.5〜9の
範囲が好ましい。このようにして得られたポリウレタン
・エラストマーを更に溶媒でゲル化する。
【0014】ポリイソシアネートとしては、分子内に2
個以上のイソシアネート基を有するものであれば、特に
限定はされないが、たとえば、トリメチレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3
−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘ
キサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイ
ソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)、1−メチル−2,4−シクロヘキ
サンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘ
キサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネー
トメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネ
ートメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−
ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニメタ
ンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ト
ルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、
1,3−キシリレンジイソシアネート、ω,ω’−ジイ
ソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、ポリメチレ
ンポリフェルニルポリイソシアネート、およびこれらの
ポリイソシアネート類のイソシアヌレート化変性品、カ
ルボジイミド化変性品、ビュレット化変性品等が挙げら
れる。これらは、1種のみを用いてもよいし、あるい
は、2種以上を併用してもよい。
【0015】ポリオールとしては、ポリエステル系ポリ
オール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート
系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタ
ジエン系ポリオールの1種または2種以上からなるもの
等適宜のものを使用することが出来る。
【0016】ポリエステル系ポリオールとしては、例え
ば、ポリカルボン酸と低分子ポリオールとの縮合物で、
分子量500〜10000のものである。具体的には、
ポリ(エチレンアジペート)(「PEA」)、ポリ(ジ
エチレンアジペート)(「PDA」)、ポリ(プロピレ
ンアジペート)(「PPA」)、ポリ(テトラメチレン
アジペート)(「PBA」)、ポリ(ヘキサメチレンア
ジペート)(「PHA」)、ポリ(ネオペンチレンアジ
ペート)(「PNA」)、3−メチル−1,5−ペンタ
ンジオールとアジピン酸からなるポリオール、PEAと
PDAのランダム共重合体、PEAとPPAのランダム
共重合体、PEAとPBAのランダム共重合体、PHA
とPNAのランダム共重合体、または、ε−カプロラク
トンを開環重合して得たカプロラクトンポリオール、β
−メチル−δ−バレロラクトンをエチレングリコールで
開環することにより得られたポリオールなど(これら
は、いずれも分子量500〜10000であることが好
ましい)が挙げられ、それぞれ、単独で使用されたり、
または、複数併用されたりする。
【0017】更に、ポリエステル系ポリオールとして、
例えば、下記の酸の少なくとも1つとグリコールの少な
くとも1つとの共重合体が挙げられる。
【0018】酸:テレフタル酸、イソフタル酸、無水フ
タル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸(混合物)、パラオキ
シ安息香酸、無水トリメリット酸、ε−カプロラクト
ン、β−メチル−δバレロラクトン。
【0019】グリコール:エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール。
【0020】ポリエーテル系ポリオールとしては、例え
ば、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド)を活性水素化合物である多
価アルコール(例えば、ジエチレングリコール)を開始
剤として開環付加重合により与えられるもの、具体的に
はポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリエチ
レングリコール(「PEG」)、プロピレンオキサイド
とエチレンオキサイドとの共重合体などが挙げられる。
また、テトラヒドロフランのカチオン重合により与えら
れ、分子量500〜5000のものである。具体的に
は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTM
G」)であり、また、テトラヒドロフランは他のアルキ
レンオキシドとの共重合体があり、具体的には、テトラ
ヒドロフランとプロピレンオキサイドとの共重合体、テ
トラヒドロフランとエチレンオキサイドとの共重合体な
ど(これらはいずれも分子量500〜10000である
ことが好ましい)が挙げられ、それぞれ単独で使用され
たり、または、複数併用されたりする。
【0021】ポリカーボネート系ポリオールとしては、
従来公知のポリオール(多価アルコール)とホスゲン、
クロル蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジ
アリルカーボネートとの縮合によって得られ、種々の分
子量のものが知られている。このようなポリカーボネー
ト系ポリオールとして特に好ましいものは、ポリオール
として、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、または、1,5−ペンタンジオールを使用したも
のであり、その分子量が約500〜10000の範囲の
ものである。それぞれ単独で使用されたり、また、複数
併用されたりする。
【0022】ポリオレフィン系及びポリブタジエン系ポ
リオールとしては次のようなものを使用することが出来
る。水酸基含有液状ジエン系重合体としては、分子量6
00〜3000、平均官能基数1.7〜3.0であり、
炭素数4〜12のジエン重合体、ジエン共重合体、更に
はこれらジエンモノマーと炭素数2〜2.2のα−オレ
フィン性付加重合性モノマーとの共重合体などがある。
具体的には、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモ
ポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエ
ン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニト
リルコポリマー、ブタジエン−2−エチルヘキシルアク
リレートコポリマー、ブタジエン−n−オクタデシルア
クリレートコポリマーなどを例示することが出来る。こ
れらの液状ジエン系重合体は、例えば液状反応媒体中で
共役ジエンモノマーを過酸化水素の存在下、加熱反応さ
せることにより製造することが出来る。また、これらの
液状ジエン系重合体の二重結合を飽和したポリオレフィ
ン系ポリオールを用いても良い。
【0023】使用できる硬化剤としては、従来、ウレタ
ンプレポリマーを硬化してウレタン・エラストマーを生
成させる際に一般的に用いられているもので構わない。
例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物等が挙げ
られる。ポリオール化合物としては、特に限定されず、
1級ポリオール、2級ポリオール、3級ポリオールのい
ずれを用いてもよい。具体的には、トリメチロールプロ
パン(「TMP」)、エチレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
カタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタ
ンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘキ
サンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、2−エチル−2−(ヒド
ロキシメチル)−1,3−プロパンジオール等が挙げら
れる。ポリアミン化合物としては、ジアミン、トリアミ
ン、テトラアミン等、特に限定はされず、1級アミン、
2級アミン、3級アミンのいずれも用いることができ
る。具体的には、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ア
ミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシク
ロヘキシルメタン等の脂環族アミン、4,4’−メチレ
ンビス−2−クロロアニリン、2,2’3,3’−テト
ラクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニル等の芳香族アミン、2,4,
6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙
げられる。これらの硬化剤は、1種のみを用いてもよい
し、あるいは、複数種を併用もしてよい。
【0024】前記の硬化剤と既述の組成の組合せにより
得られたウレタンプレポリマーとを混合する。ウレタン
プレポリマーを硬化させるための方法は、ウレタンプレ
ポリマーに対する硬化剤の混合割合、硬化温度、硬化時
間等を含めて通常の方法で行うことができる。
【0025】本発明に用いるポリウレタン・エラストマ
ーは、添加剤等を含有するものとしてもよい。本発明に
用いうる添加剤は、非イオン性の可塑剤、難燃剤、充填
剤、安定剤、着色剤等である。
【0026】使用可能な媒質はポリマーと相溶性の良い
適当な誘電率を持つものであれば何でも構わない。例え
ば、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、ジ
メチルフォルムアミド、水、アルコール、アセトン、可
塑剤など、更にこれらの混合溶媒の使用が可能である。
ただし、余り揮発性の高いものはゲルの性状を一定に保
つのに不都合であり、また、引火などの危険性があるた
め好ましくない。
【0027】可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオク
チル(「DOP」)、フタル酸ジブチル(「DB
P」)、アジピン酸ジオクチル(「DOA」)、トリエ
チレングリコールジベンゾエート、トリクレジルホスフ
ェート、フタル酸ジオクチル、ペンタエリストールの脂
肪酸エステル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ
イソオクチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルな
どが利用できる。
【0028】本発明によって得られるポリウレタンゲル
・アクチュエータは微細加工によってマイクロマシン化
できるため高精度でソフト、かつ微細なアクションを求
められるマイクロサージュリーなどにも利用されるマニ
ピュレータなどへの適用が可能である。
【0029】以下、より具体的な実施例を説明する。
【0030】平均分子量(数平均分子量を指す。以下同
じ)が1979のポリエチレングリコール(三洋化成工
業株式会社製、商品名PEG−2000)50重量部
と、平均分子量が2004でエチレンオキサイド含有率
が10%のプロピレンオキサイドとエチレンオキサイド
との共重合体(三洋化成工業株式会社製、商品名ニュー
ポールPE−61)50重量部に、パラフェニレンジイ
ソシアネート(「PPDI」、デュポン社製)を16.
1重量部加え、窒素気流下85℃で1時間反応させて末
端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを得
た。得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基
(「NCO」)含有量は3.52%(理論値3.63
%)で、80℃における粘度は450cpsであった。
【0031】ウレタンプレポリマー100重量部を80
℃に保温し、4−4’メチレンビス(ジクロロアニリ
ン)(「TCDAM」)12.7重量部を140℃で溶
融させて混合し、予め110℃に保温しておいた厚み2
mmの金型に注ぎ込み、110℃で16時間、オーブン
中で放置し、硬化反応を完結させてシートを得た。
【0032】そして、アセトン中で洗浄し乾燥したもの
をDMSO(ジメチルスルフォキシド)中に浸漬して膨
潤させ、ポリウレタン・エラストマー−DMSOゲルを
作製した。
【0033】こうして作製したポリウレタン・エラスト
マー−DMSOゲルのシートの上下面を電極板で挟み電
圧を印加した。ゲルの厚さ変化を変位センサーで観測
し、電位、電流の影響などを測定した。ゲルの寸法、形
状、測定条件は下記の通りである。 ゲルの実際の寸法:縦25mm×横25mm×厚さ
4mmである。 ゲルの形状:偏平な厚みのある板状で、ゴム状の弾
性を持つ。 印加電圧:100V〜1000V、変化させた電流
値:1mA〜10mA。 印加電圧が100V未満ではゲルの変形は観測できなか
った。電圧を100V以上にして観察された電場方向の
ゲルの収縮量は、1μm〜40μmで、電圧の増加に伴
って単調に増加した。 電圧1000V、電流1mA
で電場方向のゲルの収縮量は40μmであった。発熱は
3mA以下の条件では観測できなかった。尚、ゲルの温
度はゲル中に刺し込んだ熱電対によって測定した。
【0034】その結果、電場の印加により電場方向にゲ
ルは瞬時に収縮しその直交方向に伸張し、電場によって
異方向な変形挙動を示し、更にこの過程で熱の発生は観
察できなかった。
【0035】このゲルに微量のイオン種を添加して電流
を流すとジュール熱が発生しゲルの温度が上昇した。こ
の場合にはゲルは等方的に膨潤し上記のような異方的な
変位挙動は観察できなかった。
【0036】このことから先の異方的な変位挙動は熱的
な誘因によるものではなく、電場による双極子の配向に
由来することが示唆された。電場によって誘起されたア
クションは電場強度に依存するが、電流には依存しなか
った。
【0037】前記の場合、変位が生じる電場は40V/
cm・cm2 以上である。その電場の印加による発生応
力はミリ秒から十ミリ秒の範囲で最大値に達し、その値
も電場にほぼ比例して変化した。変位値はゲルの厚さの
1%程度戸小さいがこれはゲルの化学構造と網目構造、
更には分子の配向構造などに依存するものでそれらの改
変により更に増加させることが可能である。但し、この
程度の変位でもその高速応答性と電場によって変位量を
制御できる点などから、集積化するなどの方法によりマ
イクロアクチュエータとしての応用が可能である。
【0038】以上説明した通り、本実施例によれば、ポ
リウレタンゲル・アクチュエータとして見た場合、従来
の膨潤、脱膨潤タイプの駆動法に比較して約1000倍
程度の高速下が達成できた。
【0039】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、直
流電場を印加することによって誘電性の分子あるいは置
換基が電場方向に配向し、ゲルの構造が異方的に変化す
ることを利用して、実効電流が事実状ゼロに近い状態
(すなわち発熱を最小限に抑えながら)で分子配向のみ
によってゲル状高分子成型体の形状を変化させることが
でき、さらに、この形状変化の際に生じる機械的変形エ
ネルギーをアクチュエーションに有効に応用できる。
【0040】また、本発明のポリウレタンゲルは、形状
が固定され、流動性がないかまたはきわめて低いという
機能を発揮するので、従来の電気粘性流体を用いた場合
に要求されるような高い機密性のパッキング等はとくに
必要でなく、この機能はフレキシブルな機械や装置に組
み込み易いという利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠崎 敏明 奈良県大和郡山市池沢町172 ニッタ株 式会社 奈良工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/00 - 41/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電性のポリウレタン・エラストマー
    、誘電性の溶媒を含ませたポリウレタンゲル状物であ
    って、直流電場を印加することによって誘電性の分子あ
    るいは置換基が電場方向に配向し、ゲルの構造が異方的
    に変化することを特徴とする高速応答ポリウレタンゲル
    ・アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記溶媒がエステル結合を有する可塑剤
    としたことを特徴とする請求項1記載のポリウレタンゲ
    ル・アクチュエータ。
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