JP3025495B1 - 液体中の溶存物質の分圧測定方法及び分圧測定装置 - Google Patents

液体中の溶存物質の分圧測定方法及び分圧測定装置

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JP3025495B1 JP11097420A JP9742099A JP3025495B1 JP 3025495 B1 JP3025495 B1 JP 3025495B1 JP 11097420 A JP11097420 A JP 11097420A JP 9742099 A JP9742099 A JP 9742099A JP 3025495 B1 JP3025495 B1 JP 3025495B1
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Abstract

【要約】 【課題】実用性を向上させつつ、測定の信頼性を確保し
た液体中の溶存物質の分圧の測定方法或いは測定装置を
提供する。 【解決手段】物質が溶存する液体とキャリアガスとの間
に物質の気液平衡状態を形成し、気液平衡状態に達した
キャリアガス中の気化物質を用いて、液体中の溶存物質
の分圧を測定する液体中の溶存物質の分圧測定方法にお
いて、この液体はその表面張力により透過しないが、物
質は透過する所定の孔径及び所定の総孔面積を備えた疎
水性多孔質膜を通じて、各孔に存在する液体の自由液面
を介して所定容積に収容されたキャリアガスとの間で気
液平衡状態を形成することを特徴とする分圧測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体中に溶存する
物質の分圧を測定する分圧測定方法及び分圧測定装置に
係わり、特に海水中の溶存二酸化炭素分圧の測定方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、地球規模の環境問題の1つとし
て、地球温度化がクローズアップされている。この地球
温暖化の防止対策として、二酸化炭素の排出量削減が国
際レベルで推進されつつある。しかしながら、温暖化の
原因である大気中に蓄積する二酸化炭素は、人間の活動
などで大気中に排出される二酸化炭素の量の半分程度に
過ぎず、残りが地球上の自然、特に森林或いは海水にお
いてどこにどれだけ吸収されているのかいまだに明らか
にされていない。このいわゆるミッシング・シンクの謎
の解明は、二酸化炭素の排出の目標削減量を具体的に定
めるのに不可欠であり、そのためには刻々変動する海水
中の二酸化炭素の分圧をppmvレベルで連続的に把握する
ことが必要となる。
【0003】海水中に溶存する二酸化炭素の分圧を連続
的に測定する方法としては、従来から気相と液相との間
に気液平衡状態を形成し、この気液平衡状態に達した気
相を利用して、液相である海水中の二酸化炭素の分圧を
間接的に測定する方法が知られている。気液平衡状態と
は、気相と液相間で自由液面を通じての物質(この場合
は二酸化炭素分子)移動が見かけ上停止したように見え
る状態をいい、特に無限時間経過後に達成される気液平
衡状態を自然気液平衡状態という。ここに、気相と液相
とが接触する面、例えば自由液面の各相側には、各相の
濃度勾配が存在し、それぞれ液相境膜、気相境膜と呼ば
れる。気液相間での物質移動を促進するためには、各境
膜、特に拡散速度の遅い液相境膜を更新させることが肝
要である。
【0004】従来の方法は、気液平衡状態の生成方法の
違いにより、バブル式測定方法とシャワー式測定方法と
に大別される。図11及び図12はそれぞれ、バブル式及び
シャワー式装置の概略を示す。いずれの測定装置も、二
酸化炭素が溶存する海水とキャリアガス(大気)との間
に二酸化炭素の気液平衡状態を形成するための気液平衡
状態形成手段100と、気液平衡状態に達したキャリア
ガス中の二酸化炭素の分圧を測定するための二酸化炭素
分圧測定手段130と、キャリアガス(大気)を気液平
衡状態形成手段100に供給し、気液平衡状態形成手段
100と二酸化炭素分圧測定手段130とを接続してキ
ャリアガスを二酸化炭素分圧測定手段130に供給し、
さらに二酸化炭素分圧測定手段130から大気に排気す
るスルーフロー配管140とから概略構成されている。
【0005】より詳細には、先ず気液平衡状態形成手段
100を用いた気液平衡状態形成段階に関し、バブル式
測定方法は、図11に示すように、バブル(気泡)を利
用して気液平衡状態を形成するもので、容器100内に
ポンプ105を用いてサンプルした海水中にバブラー1
20を通じてキャリアガスを吹き込んで、海水中にキャ
リアガスの気泡Cを形成し、この気泡Cが自由液面Lに
達するまでの間(高さhを上昇する間)液相側境膜を更
新しながら、気泡外の海水中と気泡内のキャリアガスと
の間で平衡状態を形成する。一方、シャワー式は、図1
2に示すように、シャワー(液滴)を利用して気液平衡
状態を形成するもので、バブル式と逆に、容器100内
のキャリアガス中にポンプ105を用いてサンプルした
海水をシャワー状に落下させ、キャリアガス内に液滴D
を形成し、この液滴Dが落下するまでの間(高さhを下
降する間)気相側境膜を更新しながら液滴外のキャリア
ガスと液滴内の海水との間で平衡状態を形成する。
【0006】このように、いずれの方式も、自然気液平
衡状態に較べ、気液を強制的に接触させることにより、
このような境膜を更新させて気液平衡状態形成を促進す
ることができる。次に、二酸化炭素分圧測定手段130
を用いた二酸化炭素分圧測定段階に関して、サンプルガ
ス内の二酸化炭素の分圧は、いずれの測定方法にあって
もいわゆる非分散赤外線式ガス分析計(以下、NDIR
計(Non Dispersive InfraredGas Analyzer) と略称
する)を用いて測定する。このNDIR計130は、気
体に応じて吸収される赤外線の波長が異なることに着目
して、光の強度を検出することにより気体の分圧を測定
する装置である。具体的には、測定対象であるサンプル
ガスが流通するボックスセルと、このボックスセル内に
非分散の仕方で光を入射させる光源と、サンプルガス中
の二酸化炭素によって吸収された入射光の強度を検出す
る焦電素子とから概略構成される。このNDIR計13
0によれば、容器100からのサンプルガスをスルーフ
ロー配管140を介してボックスセル内に流入させて、
セル内に光源から光を入射させると、サンプルガス中の
二酸化炭素の分圧に応じて、入射光が吸収されて減衰す
ることを利用して、この減衰した光の強度を焦電素子を
用いて検出し、基準ガス160の分圧による光の強度と
比較することにより、間接的に気体中の分圧を測定する
ことができる。なお、測定後サンプルガスは、そのまま
排気される。
【0007】以上のように、いずれの測定方法も、気液
平衡状態に達したサンプルガス内の二酸化炭素の分圧を
測定することにより、海水中の二酸化炭素の分圧を間接
的に測定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の測定方法も、海水中に溶存する二酸化炭素の時々刻々
変動する分圧を連続的に測定するためには、以下に詳細
に説明するように、気液平衡状態形成段階、分圧測定段
階それぞれに関連して問題を生じている。 (1)気液平衡状態形成段階に関連して、第一に、測定
装置自体のコンパクト性に欠けるとともに、測定コスト
がかかるため実用的でない点である。より具体的には、
いずれの測定方法も気液平衡状態を生じさせるべく、液
滴或いは気泡を形成するために一定容積以上の海水を必
要とするところ、波等液面変動の激しい海水中での直接
的な測定は、シャワー式はもとよりバブル式にあっても
不可能、或いはすこぶる困難である。
【0009】従って、二酸化炭素の分圧の時間的な変動
に追従するべく、海上で連続測定するとすれば、海水を
採取するための一定容積以上の容器と、この容器間と現
場(海面)とを連通する引回し配管と、この引回し配管
を通じて海水を液送する大型揚水ポンプが必要となる。
これにより、測定装置の大型化及び複雑化は避けられ
ず、それに起因して容器水位の調整、流路の閉塞、シャ
ワーヘッドの詰まり等の諸問題を引起し、測定の再現性
にも影響を与える。さらに、以下に述べるように、測定
結果の信頼性の観点から、測定前後のみならず測定中に
も大型揚水ポンプを稼働し続けて、容器内の海水を常時
入れ換える必要があるのであり、これにより電力量がか
さみ測定コストの増大を招くため、総じて実用性に欠け
ていた。
【0010】ある物質について所定分圧を有する液体と
別の所定分圧を有する気体とが平衡セル内に流出入する
場合、流出入前後の物質収支のバランスに着目すれば、
一般的に以下のような式が成立する。 Fg air , in +F lliq , in=Fg air , out
+F l liq, out ここに、Fg 及びF lはそれぞれ、気体側及び液体側の
流量、Cair , in及びCair , out はそれぞれ、流入及
び流出キャリアガスの濃度、Cliq , in及びC liq,
out はそれぞれ、流入及び流出液体の濃度である。この
式において、理想的な完全気液平衡状態を形成したと仮
定した場合、Cai r , out =C liq, out が成立する。
従って、平衡後の物質分圧は、キャリアガス側及び液体
側の初期物質分圧とともにキャリアガス側及び海水側の
流量によって決定されることがわかる。
【0011】このとき、有限体積の海水サンプルには有
限の二酸化炭素分子が含まれているところ、有限体積の
キャリアガスとの間で気液平衡状態を形成する際に、キ
ャリアガス側初期二酸化炭素分圧による影響を回避する
ためには、海水を流通させるか、或いはキャリアガス体
積或いは流量を制限する他ない。しかしながら、後者の
キャリアガス体積或いは流量は、そもそも気液平衡状態
を形成するのに或いはNDIR計で分圧を測定するの
に、必要な体積或いは流量が定まるため、自ずとそれら
の制限には限界がある。 (2)第二に、測定値の信頼性も問題である。より具体
的には、平衡達成度が悪い点、及び測定被対象と測定値
とのずれを生じる点にある。先ず平衡達成度について、
上式において、現実的な値として、Fg を200ml/
min、Cair , inを340ppm、Cliq , inを60
0ppmとした場合、Cair , out とC liq, out との
差を0.001ppmとする、つまり略完全気液平衡状
態を形成するためには、液体側の流量F lは、4m3/mi
n となる。このような容量の大型ポンプは、実際に非現
実的であり、一方で既存のポンプを用いれば、Cair ,
out とC liq, out との差は広がり、満足のいく平衡達
成度を得ることはすこぶる困難である。
【0012】以上のように、従来のシャワー式及びバブ
ル式は、平衡達成度自体が悪く、測定の信頼性に欠け
る。この問題に対処すべく、本出願人は、いわゆる多段
バブル式を考案した。図13は、多段バブル式による二
酸化炭素分圧測定装置の概略図である。図11に示すバ
ブル式との違いは、平衡セルを多段(この場合4段)に
直列接続している点にあり、各平衡セルには、常時海水
を流通してある。この多段バブル式によれば、キャリア
ガス(大気)は、先ず第1平衡セル100aでバブリン
グし、第1平衡セル100aの自由液面L上方に形成し
たキャリアガススペース106aを経て、そのまま第2
平衡セル100bに到り、そこで再びバブリングし、こ
れを第4平衡セル100dまで繰り返す。これにより、
平衡達成度を確保することが可能である。
【0013】しかしながら、この多段バブル式によれ
ば、図11に示す単段バブル式に較べ平衡達成度を向上
させることができるものの、以下に述べるように、今度
は測定の応答速度に劣り、特に海水中で刻々変化する二
酸化炭素の分圧を連続的に測定するには、実用的ではな
いのである。測定の応答性は、気液平衡達成時間がクリ
ティカルであり、この点で測定の応答速度は、第一に、
測定装置まわりのキャリアガス側のデッドスペース、第
二に単位面積当たりの物質の交換速度、第三に気液接触
面積が支配因子である。この点について、気液平衡理論
に基づいた数式により詳細に説明すれば、気泡の表面か
らの単位時間当たりの物質移動が、気泡内の単位時間当
たりの濃度変化に体積を乗じたものと物質収支がバラン
スすることに着目し、それを数学的に表現すると次式と
なる。
【0014】 Vair ・dCair /dt =K・a・(h・Cliq −Cair ) ここに、Vair は、気相体積、C air は、気相内物質分
圧、t は、気液接触時間、a は、気液接触面積、Cliq
は、液相内物質濃度、h は、ヘンリー定数、Kは、総括
物質移動係数である。上式を積分すれば、次式が得られ
る。 t=−(Vair /a)(1/K)In( ( Cair ─h・Cliq )/
(C car ─h・Cliq )) ここに、C car は、キャリアガスの初期濃度である。従
って、気液接触時間tを小さくするためには、気相体積
air を小さくするか、或いは気液接触面積aを大きく
するか、或いは総括物質移動係数Kを大きくすればよい
ことがわかる。このとき、Kは、気相側物質移動係数と
液相側物質移動係数との和であるが、液相側物質移動係
数の方が支配的であるため気相側物質移動係数は無視し
うる。
【0015】以上に基づき、先行技術のシャワー式及び
バブル式の応答性について説明すれば、測定の応答速度
に着目した場合、シャワー式はデッドスペースの大きさ
及び液層側境膜の更新に劣る点で、バブル式はシャワー
式より数段速い。しかしながら、バブル式の場合にあっ
ても、以下に説明するように、測定応答速度の向上には
その測定原理に起因して自ずと限界がある。つまり、バ
ブル式により測定する際、気液平衡状態形成に必要な多
数の気泡の形成及び気液接触時間の確保の観点から最低
容器高さが決定されることに鑑みれば、そもそもある程
度の容器容積を必要とするところ、応答速度を増大させ
ることを目的として、応答速度の支配因子の1つである
表面更新を促進するには、気泡と海水との相対速度を上
げる他ない。このような相対速度の上昇には、気泡側の
上昇速度を上げるか、或いは海水中に水流を発生させる
かいずれかが考えられる。しかしながら、後者の場合、
気泡自体が軽いので、発生させた水流に完全に乗ってし
まい、相対速度を実質的に向上させることは非常に困難
である。従って、気泡側の上昇速度を上げる他なく、そ
のためには海水中で気泡に作用する浮力を大きくするた
めに、気泡体積を増大させることが必要となる。
【0016】ところが一方、気泡体積を増大させると、
若干物質移動係数を増大させることはできるものの、応
答速度の他の支配因子であるVair /aが大きくなり、
結果として応答速度の向上には限界が存在するのであ
る。換言すれば、バブル式の場合、その測定原理に起因
して、応答速度の支配因子が互いに独立ではないため、
応答速度の向上に限界が生じるのである。特に、多段式
にすれば、構造上それだけデッドスペース(図13の1
06a乃至106d)が増大し、応答速度の悪化につな
がる。次に、測定被対象と測定値とのずれについて、こ
の問題は、特に大型揚水ポンプ及び配管の布設と密接に
関連する。すなわち、気液平衡状態は、試料水の水温に
も依存しており、1°Cの水温変動によって10ppmv以
上の二酸化炭素の分圧変動が生じる得る。このような状
況のもとに、大型揚水ポンプを用いて試料水を液送すれ
ば、試料水はかかる大型揚水ポンプによって加熱され、
或いは布設配管の長さに応じて冷却加熱の影響を受け、
容器内の海水の水温と採取地点の水温とのずれは避けら
れない。
【0017】この水温の差を補償するためには、気液平
衡状態に達した水温及び採水地点の水温を高精度に計測
して補償する補正装置及び作業が必要となり、前述の装
置の大型化或いは複雑化をさらに悪化させる原因とな
る。 (3)次に、分圧測定段階に関連し、両測定方式とも
に、図11及び図12に示すように、気液平衡状態に達
したサンプルガスをポンプ115を介していわゆるND
IR計130に導いて測定するため、ボックスセル等の
ために、デッドスペースが増大し、応答速度に悪影響を
与えることになる。特に、NDIR方式によれば、測定
値の信頼性の観点から、採水地点と同様な条件とすべ
く、ボックスセル内を大気圧に保持する必要からキャリ
アガスも海水と同様に流通させる必要があるため、容器
内部のキャリアガス圧力を常圧に保つための水位制御或
いは圧力制御が必要となる。この点で、液面変動が激し
い現場(海上)直接測定するのはなおさら困難である。
【0018】このように、従来の測定方法及び測定装置
では、装置の大型化、複雑化に伴う実用性の欠如と、測
定結果の信頼性とが課題であり、この2 つの課題は、互
いに影響をおぼしあい、当業者間で相容れない課題とし
て認識されていた。特に、海水中の溶存二酸化炭素の分
圧測定は、その測定目的からppmvレベルで連続測定する
必要性が高いため、これらの2つの課題の解決が強く要
望されている。そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑
み、実用性を向上させつつ、測定の信頼性を確保した液
体中の溶存物質の分圧の測定方法或いは測定装置を提供
することにある。さらに、本発明の目的は、海水中の溶
存二酸化炭素の分圧をppmvレベルで連続的に測定するに
際し、従来のバブル式或いはシャワー式とは異なり、直
接海中での測定を可能にすることにより、応答性を確保
しつつ実用性を向上させた海水中の溶存二酸化炭素の分
圧の測定方法或いは測定装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1の発明の分圧測定方法は、物質が溶存
する液体とキャリアガスとの間に物質の気液平衡状態を
形成し、気液平衡状態に達したキャリアガス中の気化物
質を用いて、液体中の溶存物質の分圧を測定する液体中
の溶存物質の分圧測定方法において、この液体はその表
面張力により透過しないが、物質は透過する所定の孔径
及び所定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を通じて、
各孔に存在する液体の自由液面を介して所定容積に収容
されたキャリアガスとの間で気液平衡状態を形成する構
成としてある。以上の構成によれば、所定の孔径及び所
定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を物質が溶存する
液体の中に投入すれば、各孔で液体はその表面張力によ
り透過が妨害され、一方物質は透過することができるの
で、この液面の自由液面を介して所定容積のキャリアガ
スとの間で物質の気液平衡状態が形成され、この気液平
衡状態に達したキャリアガス中の気化物質を用いて、液
体中に溶存する物質の分圧を測定することができる。
【0020】このとき、従来のシャワー式或いはバブル
式と異なり、キャリアガスチャンバ内に液体が浸水する
ことなく、直接液体中で測定することができるので、液
体をサンプルする容器及びこの容器に液体を測定中常時
液送するための揚水ポンプを削減することが可能とな
り、測定装置の小型化及び単純化或いは測定コストの低
減により実用性を向上させることができる。その一方
で、以下に示すように、測定の応答性を調節し、さらに
揚水ポンプの削減により測定被対象と測定値とのずれの
原因となる外乱を除去することにより、総じて測定の信
頼性をも向上させることができる。表1に、応答速度支
配因子の特性について、従来技術のシャワー式及びバブ
ル式と、本願発明の多孔質膜式との比較を示す。
【0021】
【表1】 第1の支配因子であるデッドスペースについて、その容
積を小さくできる順に多孔質膜式、バブル式、シャワー
式である。これは、バブル式及びシャワー式において、
気泡及び液滴を上昇或いは落下させる間だけで気液平衡
状態を形成することから、このような気液平衡状態を形
成する容器(図11及び図12の容器100)が大型と
なるのに対し、多孔質膜式の場合、気液平衡状態の形成
との関係で不可避なデッドスペースは、キャリアガスチ
ャンバーだけであることによる。この点で、多孔質膜式
は、デッドスペースを小さくすることにより応答速度を
上げることができる。第2の支配因子である物質移動係
数について、その値を大きくし得る順に、多孔質膜式、
バブル式及びシャワー式である。特に、多孔質膜式の場
合、液側境膜を破壊あるいは更新することにより物質移
動係数自体を調整することが可能である。
【0022】第3の支配因子であるキャリアガス単位体
積当たりの気液接触面積について、シャワー式は前述の
ように他の2方式に較べ劣るものの、多孔質膜式とバブ
ル式とでは大差はない。但し、第2の支配因子と同様
に、気泡の表面積を調整することができないのと異な
り、多孔質膜の場合は、総孔面積を調整することによ
り、この第3の支配因子自体を調整することが可能であ
る。特に、本発明の多孔質膜式の場合、第2の支配因子
である物質移動係数と第3の支配因子であるキャリアガ
ス単位体積あたりの気液接触面積とを互いに独立に調整
することが可能である。従って、本発明によれば、特に
時々刻々変動する海水中のppmvレベルの二酸化炭素分圧
に追従して測定することが可能となる。又、前記液体に
溶存する物質は、海水中の二酸化炭素であり、前記疎水
性多孔質膜を直接海水に投入することにより、気液平衡
状態を形成してもよい。これによれば、海水中で直接測
定することにより、膨大な量の海水に接触することか
ら、キャリアガスチャンバー内のキャリアガスが二酸化
炭素を吸収或いは放出して、測定対象である海水中の二
酸化炭素分圧へ及ぼす影響を除去することが可能とな
る。
【0023】上記課題を解決するために、本発明の第2
の発明の分圧測定装置は、二酸化炭素が溶存する液体と
キャリアガスとの間に二酸化炭素の気液平衡状態を形成
するための気液平衡状態形成手段と、気液平衡状態に達
したキャリアガス中の二酸化炭素の分圧を測定するため
の二酸化炭素分圧測定手段とを有する、液体中の溶存二
酸化炭分圧を測定する二酸化炭素分圧測定装置におい
て、この気液平衡状態形成手段は、この液体はその表面
張力により透過しないが、物質は透過する所定の孔径及
び所定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を有し、この
疎水性多孔質膜は、キャリアガスに接する膜内面と液体
に接する膜外面とを有し、さらに、キャリアガスが流入
するための流入口と、キャリアガスが流出するための流
出口とを備えた、この膜内面に臨むキャリアガスチャン
バーとを有し、各孔に存在する液体の自由液面を介して
このキャリアガスチャンバー内のキャリアガスとの間で
気液平衡状態を形成する構成としてある。
【0024】以上の構成によれば、所定の孔径及び所定
の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を二酸化炭素が溶存
する液体の中に投入すれば、各孔で液体はその表面張力
により透過が妨害され、一方二酸化炭素は透過すること
ができるので、この液面の自由液面を介して所定容積の
キャリアガスとの間で二酸化炭素の気液平衡状態が形成
され、この気液平衡状態に達したキャリアガス中の二酸
化炭素ガスを用いて、液体中に溶存する二酸化炭素の分
圧を測定することができる。より詳細には、多孔質膜が
疎水性を有することから、液体は自らの表面張力により
各孔を透過できず、各孔に自由液面を形成し、一方この
自由液面を介して各孔を通って膜内面に到った二酸化炭
素は、キャリアガスチャンバーで流入口から流入したキ
ャリアガスに到り、キャリアガスチャンバー内のキャリ
アガスとの間で気液平衡状態を形成し、流出口から流出
したキャリアガスを用いて、二酸化炭素分圧測定手段に
よりキャリアガス中の二酸化炭素の分圧を測定すること
ができる。
【0025】このとき、従来のシャワー式或いはバブル
式と異なり、第1の発明と同様に、キャリアガスチャン
バ内に液体が浸水することなく、直接液体中で測定する
ことができるので、液体をサンプルする容器及びこの容
器に液体を測定中常時液送するための揚水ポンプを削減
することが可能となり、測定装置の小型化及び単純化或
いは測定コストの低減により実用性を向上させることが
できる。その一方で、第1の発明と同様に、測定の応答
性を調節し、さらに揚水ポンプの削減により測定被対象
と測定値とのずれの原因となる外乱を除去することによ
り、総じて測定の信頼性をも向上させることができる。
このとき、前記疎水性多孔質膜の前記膜外面近傍の液相
側境膜を更新するために、前記膜外面に向かって液体を
液送するための液送手段をさらに有するのが好ましい。
【0026】又、前記疎水性多孔質膜は、疎水性コーテ
ィングされていてもよい。さらに、前記気液平衡状態形
成手段は、前記キャリアガスチャンバー内で前記膜内面
上に配置された、疎水性多孔質膜を前記膜外面に向かっ
て支持するための膜支持手段をさらに有するのが好まし
い。又さらに、前記膜支持手段は、所定径の多数のビー
ズからなり、この多数のビーズは、前記膜内面全体に亘
って互いに接触するように配置され、隣合うビーズ同士
の隙間を介して前記キャリアガスチャンバー内に前記流
入口から前記流出口に向かうキャリアガス流路が形成さ
れるのがよい。加えて、前記流出口は、前記キャリアガ
スチャンバー内で前記流入口に対して遠位端に配置さ
れ、前記キャリアガス流路が迷路を形成するのが好まし
い。
【0027】或いは、キャリアガスを前記流入口から前
記流出口に導くために、前記流出口のまわりに数層の環
状の仕切りをさらに有し、それぞれの仕切りは、開口を
有し、隣合う仕切りは、互いに反対側に開口を有するこ
とにより、隣合う仕切りの間に形成されるキャリアガス
環状流路が迷路を形成してもよい。或いは又、キャリア
ガスを前記流入口から前記流出口に導くために、前記流
入口から前記流出口に到るらせん状の仕切りをさらに有
し、この仕切りに沿って形成されるキャリアガス蛇行流
路が迷路を形成してもよい。前記二酸化炭素分圧測定手
段は、気液平衡状態に達したサンプルガスが流通するボ
ックスセルと、このボックスセル内に光を入射させる光
源と、サンプルガス中の二酸化炭素によって吸収された
入射光の強度を検出する焦電素子とを有する非分散赤外
線式ガス分析計からなるのもよい。
【0028】前記二酸化炭素分圧測定手段は、前記ボッ
クスセルと前記キャリアガスチャンバーとの間でキャリ
アガスを循環させるための循環路と、循環路を通じてキ
ャリアガスを循環させるための循環ポンプとを有してい
てもよい。さらに、前記キャリアガスチャンバー内に
は、キャリアガスチャンバー内のキャリアガスを攪拌す
るためのファンが設けられてもよい。加えて、前記ボッ
クスセルの側面に設けた開口を覆うように前記多孔質膜
を配置し、前記ボックスセルの内部で気液平衡状態を形
成してもよい。上記課題を解決するために、本発明の第
3の発明の分圧測定装置は、二酸化炭素が溶存する液体
とキャリアガスとの間に二酸化炭素の気液平衡状態を形
成するための気液平衡状態形成手段と、気液平衡状態に
達したキャリアガス中の二酸化炭素の分圧を測定するた
めの二酸化炭素分圧測定手段とを有する、液体中の溶存
二酸化炭分圧を測定する二酸化炭素分圧測定装置におい
て、この気液平衡状態形成手段は、この液体はその表面
張力により透過しないが、物質は透過する所定の孔径及
び所定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を有し、この
疎水性多孔質膜は、キャリアガスに接する膜内面と液体
に接する膜外面とを有し、各孔に存在する液体の自由液
面を介して、各孔に残存する微小空気との間で気液平衡
状態を形成し、この二酸化炭素分圧測定手段は、前記多
孔質膜の前記膜内面側に配置された、微小空気内の二酸
化炭素によって発生する起電力を検出することによって
二酸化炭素の分圧を測定するための固体電解質センサー
を有する構成としてある。
【0029】以上の構成によれば、所定の孔径及び所定
の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を二酸化炭素が溶存
する液体の中に投入すれば、各孔で液体はその表面張力
により透過が妨害され、一方二酸化炭素は透過すること
ができるので、この液面の自由液面を介して各孔に残存
する微小空気との間で二酸化炭素の気液平衡状態が形成
され、この気液平衡状態に達した微小空気中の二酸化炭
素ガスを利用して、二酸化炭素分圧測定装置により液体
中に溶存する二酸化炭素の分圧を測定することができ
る。より詳細には、多孔質膜が疎水性を有することか
ら、液体は自らの表面張力により各孔を透過できず、各
孔に自由液面を形成し、一方この自由液面を介して各孔
を通って膜内面に到った二酸化炭素は、各孔に残存する
微小空気との間で気液平衡状態を形成し、この気液平衡
状態に達したキャリアガスを用いて、固体電解質センサ
ーによりこの二酸化炭素ガスによって発生する起電力を
検出することによって液体中に溶存する二酸化炭素の分
圧を測定することができる。
【0030】このとき、従来のシャワー式或いはバブル
式と異なり、第1及び第2の発明と同様に、キャリアガ
スチャンバ内に液体が浸水することなく、直接液体中で
測定することができるので、液体をサンプルする容器及
びこの容器に液体を測定中常時液送するための揚水ポン
プを削減することが可能となることに加え、二酸化炭素
分圧測定装置をセンサータイプまで小型化することがで
きるので、より一層の測定装置の小型化及び単純化或い
は測定コストの低減により実用性を向上させることがで
きる。
【0031】その一方で、第1及び第2の発明と同様
に、測定の応答性を調節し、さらに揚水ポンプの削減に
より測定被対象と測定値とのずれの原因となる外乱を除
去することにより、総じて測定の信頼性をも向上させる
ことができる。又、前記多孔質膜と前記固体電解質セン
サーとの間に配置した熱遮蔽板をさらに有するのが好ま
しい。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、二酸化炭
素を対象とする分圧測定装置及び分圧測定方法を例とし
て、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。本発
明の第1の実施の形態を以下に詳細に説明する。図1
は、本発明の第1の実施の形態に係る二酸化炭素分圧測
定装置の概略系統図である。図2は、図1の二酸化炭素
分圧測定装置の平衡器を示す概略断面図である。図3
は、図2の平衡器のキャリアガス流路を示す、図1の線
2─2に沿った概略断面図である。図4乃至図8は、図
1の二酸化炭素分圧測定装置によって測定した二酸化炭
素の分圧の時間経過を示すグラフである。
【0033】図1に示すように、本実施の形態におい
て、二酸化炭素分圧の異なる精製水を2種類準備して、
種々の平衡器及び多孔質膜を有する二酸化素分圧測定装
置10を高分圧二酸化炭素の精製水A及び低分圧二酸化
炭素の精製水Bに交互に投入して、分圧測定装置10の
応答性及び再現性の確認試験を行った。二酸化素分圧測
定装置10は、気液平衡形成手段である平衡器12と、
二酸化炭素分圧力測定手段であるNDIR計14と、平
衡器12及びNDIR計14の間に介在するエアポンプ
16及び電子除湿器18と、平衡器12、NDIR計1
4、エアポンプ16及び電子除湿器18間を接続してキ
ャリアガスを流通させるための配管20とから概略構成
されている。なおキャリアガスは、エアである。先ず、
気液平衡形成手段について説明する。表2は、平衡器1
2の詳細を示す。
【0034】
【表2】 平衡器12は、表2に示すように、後に説明するビーズ
36の径及び迷路の有無に応じて3種(1タイプ乃至3
タイプ)用いた。3タイプの迷路を有する例を図2に示
す。図2に示すように、平衡器12の外観は、略円筒形
状であり、後に説明する疎水性多孔質膜22を基部24
と押さえリング26との間に挟み込み、締結手段28に
よって固定してある。基部24は、その下面に円形の凹
部30が設けられ、この凹部30は疎水性多孔質膜22
の膜内面32に臨むキャリアガスチャンバー34を形成
する。この凹部30は、略平らな底面35を有し、この
底面35までの深さは、表2に示すように、後に説明す
るこの凹部30内に配置されるビーズ36の直径より若
干大きいものである。凹部30には、キャリアガスが流
入するための流入口38と、凹部30の略中央部に設け
られた、キャリアガスが流出するための流出口40とが
設けられ、この流入口38からキャリアガスチャンバー
34内に流入したキャリアガスが、後に説明する疎水性
多孔質膜22の各孔において液体の表面張力によって存
在する液体の自由液面を介して気液平衡状態を形成し、
流出口40から流出し、NDIR計14に到るようにし
ている。この円形凹部30のまわりにはOリング44設
置用の環状溝42が切られ、内部にOリング44が設置
され、疎水性多孔質膜22と基部24との境界からキャ
リアガスチャンバー34内部に液体が進入しないように
シールされている。なお、押さえリング26は、後に説
明する疎水性多孔質膜22の孔を塞ぐことがないように
疎水性多孔質膜22の周縁部を押さえて固定してある。
【0035】キャリアガスチャンバー34内には、キャ
リアガスチャンバー34内のキャリアガスを攪拌するた
めのファン(図示せず)を設け、効率的に気液平衡状態
を形成してもよい。さらに平衡器12は、キャリアガス
チャンバー34内で膜内面32上に配置された所定径の
多数のビーズ36を有し、これらのビーズ36は、膜内
面32全体に亘って互いに接触するように配置され、液
体投入時に液圧に抗して膜を膜外面46に向かって支持
する一方で、膜の有効面積及びキャリアガス流路を確保
するために、球形状としてある。即ち、膜内面32とは
点接触することにより、極力疎水性多孔質膜22の孔の
閉鎖を防止し、しかも隣合うビーズ同士の点接触により
形成される間隙を通じてキャリアガス流路を形成するも
のである。また、これのビーズ36は、キャリアガスチ
ャンバー34内のデッドスペースを削減し、以て測定の
応答速度を上げる機能をも有する。
【0036】図3(A)(明瞭性のために、ビーズは一
部のみ示す)に示すように、迷路を形成する3タイプの
場合、キャリアガスを流入口38から流出口40に導く
ために、流出口40のまわりに4層の環状の仕切り48
が、底面35に固定されている。それぞれの仕切りは、
開口50を有し、隣合う仕切りは、互いに反対側に開口
50を有することにより、隣合う仕切りの間に形成され
るキャリアガス環状流路52が迷路を形成する。この迷
路により、流入口38からキャリアガスチャンバー34
内に流入するキャリアガスは、矢印で示すように、キャ
リアガス環状流路52に沿って隣合うビーズ間の間隙を
通りながら流出口40に向かって流れ、流入口38から
流出口40への短絡を防止することにより、この間に多
孔質膜22の各孔に存在する自由液面との接触時間を確
保して、効率的に気液平衡状態を形成するようにしてあ
る。
【0037】一方、迷路のない1及び2タイプの平衡器
12を図3(B)(明瞭性のために、ビーズは一部のみ
示す)に示す。このタイプの平衡器12は、流出口40
は、キャリアガスチャンバー34内で流入口38に対し
て直径方向反対側の遠位端に配置され、隣合うビーズ3
6同士の隙間(図示せず)を介してキャリアガスチャン
バー34内に流入口38から流出口40に向かう迷路が
形成される。又、変形例として、キャリアガスを流入口
38から流出口40に導くために、流入口38から流出
口40に到るらせん状の仕切りを設け、この仕切りに沿
って形成されるキャリアガス蛇行流路が迷路を形成する
ようにしてもよい。表3は、疎水性多孔質膜22の詳細
を示す。
【0038】
【表3】 疎水性多孔質膜22は、表3に示すように、一般に入手
可能な略円形の薄膜であり、膜の種類及び膜厚さ並びに
孔径が異なるものを3種(Aタイプ乃至Cタイプ)用い
た。いずれの疎水性多孔質膜22も、図2に示すよう
に、キャリアガスに接する膜内面32と液体に接する膜
外面46とを備え、膜外面46から膜内面32まで貫通
する孔(図示せず)を多数有する。孔径及び総孔面積
は、測定対象物(この場合は二酸化炭素)及び気液平衡
形成時間の観点から定められる。膜の材質は、孔を通じ
て液体の表面張力により精製水は透過させないが、二酸
化炭素を透過させるために、耐浸食性及び疎水性を具備
するものである。また、孔の長さは、応答速度の観点か
ら短いほど好ましく、その点から100ミクロンオーダ
の薄膜としてある。なお、耐浸食性及び疎水性を奏する
限りにおいて、耐浸食性及び疎水性コーティングを膜の
表面に施してもよい。
【0039】次に、二酸化炭素分圧測定手段について説
明すれば、NDIR計14は、気液平衡状態に達したサ
ンプルガスが流通するボックスセルと、このボックスセ
ル内に光を入射させる光源と、サンプルガス中の二酸化
炭素によって吸収された入射光の強度を検出する焦電素
子(いずれも図示せず)とを有する従来タイプのもの
で、詳しい説明は省略する。なお、ボックスセル内は、
リファレンスセルとサンプルセル(いずれも図示せず)
に仕切られている。表4は、NDIR計の試験条件の詳
細を示す。
【0040】
【表4】 ボックスセル内が流入するキャリアガスにより加圧され
て、測定に影響を与えるのを防止するために、キャリア
ガスを大気圧と等しくさせるべく、NDIR排気側に近
い位置に大気開放用三方チューブ54を設置してある。
NDIRの校正は、図1に示すように、電磁バルブ1
1、13の切り替えを通じて、表4に示すようなゼロガ
ス15及びスパンガス17によって行う。なお、試験中
に大気圧変動が生じた場合の対策として、NDIR計1
4には常時ゼロガス17を流入させてある。電子除湿器
18は、従来タイプのもので、キャリアガス中の水蒸気
が二酸化炭素と同様に赤外線を吸収する性質を有し、し
かもその吸収波長が二酸化炭素に重なることから、キャ
リアガスがNDIR計14に流入する前に除湿するため
に、NDIR計14の上流側に設置する。
【0041】配管20は、ボックスセルとキャリアガス
チャンバー34との間でサンプルガスを循環させるため
の循環路を形成し、エアポンプ16によってこの循環路
20を通じてサンプルガスが循環するように構成してあ
る。デッドスペースを最小にすべく、配管の口径は小さ
いほど好ましく、一方材質は、ガスへの吸着性が小さい
銅、SUS或いはプラスチック類が好ましい。以上のよ
うに、本実施の形態に係る分圧測定装置10は、測定対
象である液体に平衡器12を直接投入して測定すること
が可能であるので、従来のバブル式或いはシャワー式に
較べ、装置の簡略化及びコンパクト化を達成することが
できる。以上の構成を有する分圧測定装置10の作用を
2タイプの平衡器12を例として、実験手順とともに説
明する。 (1) 先ず、事前にNDIR計14の校正を行って、計測
待機状態にする。以下にゼロ校正及びスパン校正からな
る校正プロセスと、計測プロセスに分けて説明する。
【0042】最初に、ゼロガス17を減圧弁55以降で
2つに分岐し、一方は試験中の大気圧変動に対処するこ
とを目的として、NDIR内部のリファレンスセルに常
時20ml/minの流量で流す。流量は流量計21に
よって確認し、流量制御は流量計付属のニードルバルブ
(図示せず)によって行う。他方はNDIRの校正を行
う際に電磁バルブ11及び13による流路切り替えによ
ってNDIR内部のサンプルセルに流通させる。この作
業によりゼロ校正を行い、排気は大気開放チューブ54
を通じて行う。次に減圧弁56を経て、電磁バルブ11
及び13による流路切り替えによってNDIR内部のサ
ンプルセルにスパンガス15を流通させる。この作業に
より、スパン校正を行い、排気はゼロ校正と同様に大気
解放チューブ54を通じて行う。以上の校正作業が完了
した後、スパンガス15、ゼロガス17を、電磁バルブ
11によって締め切ると同時に、電磁バルブ13も切り
替え、平衡器12、NDIR計14のサンプルセル、電
子除湿器18及びポンプ16によって構成された循環回
路を完成し、計測待機状態にする。流量は流量計19に
よって確認し、流量制御は流量計付属のニードルバルブ
(図示せず)によって200乃至300ml/minに
調節する。因みに、測定の応答性に影響を及ぼすデッド
スペースは、NDIR計14、配管20、平衡器12及
びその他を合計して総デッドスペースは80cm3 であ
った。
【0043】(2) 次いで高分圧、低分圧の精製水A、B
をあらかじめバブリングによって作る。このとき、大気
中に置かれた平衡器12は、キャリアガス分圧が多孔質
膜22を通して大気と平衡しているので、NDIR計1
4は大気中の分圧を示す。 (3) 次いで、平衡器12を膜外面46を下に向けて、略
液面と平行に高分圧の精製水Aに投入する。すると、液
体は各孔で膜の疎水性から液体の表面張力によって孔の
透過が妨げられ、それにより各孔に液体の自由液面を介
して液相側の二酸化炭素が溶存する液体と、気相側のキ
ャリアガスとの間に二酸化炭素の気液平衡状態を形成し
始める。すなわち、液体中の二酸化炭素は多孔質膜22
の孔を通じて膜22を透過して、膜内面32側に到り、
膜内面32側に臨むキャリアガスチャンバー34に流入
する。次いで、流入口38からキャリアガスチャンバー
34内に流入したキャリアガスは、迷路を通りながら、
気液平衡状態を形成しつつ流出口40から流出する。 (4) 次いで、二酸化炭素を含むキャリアガスは、エアポ
ンプ16を介して電子除湿器18に流入し、ここでキャ
リアガス中の水蒸気が除去され、さらにNDIR計14
に到る。ここで、気液平衡状態に達したキャリアガス、
即ちサンプルガス中の二酸化炭素を用いて、表4のよう
な計測周期及びデータサンプリング周期により、液体中
の溶存二酸化炭素の分圧が測定される。次いで、測定が
終了したキャリアガスはポンプにより配管20を通じて
再び平衡器12に戻され、同様なサイクルが繰り返され
る。
【0044】その結果、平衡器の投入時間(15 分間) の
間にキャリアガスチャンバー34内で気液平衡状態が形
成され、それによりNDIR計14は、高分圧精製水の
分圧に近づき、一定値となる。このときのNDIR計1
4の指示値が計測結果となる。一定値になったどうかの
判定は、1 分間当たり0.5ppm未満の変動値になったとき
とし、図5に示すように、この一定値に達する時間tを
応答速度と定義する。 (5) 次に、低分圧精製水Bに投入或いは大気に放置し、
同様に応答速度および指示値を確認する。 (6)(1)乃至(5) のプロセスを繰り返し行うことにより、
応答速度及び再現性の評価を行う。試験結果を図4乃至
図8に示す。図4乃至図8は、いずれも図1の二酸化炭
素分圧測定装置によって測定した二酸化炭素の分圧の時
間経過を示すグラフであり、それぞれ平衡器と多孔質膜
の組み合わせとして、3タイプ+A タイプ、3タイプ+
B タイプ、3タイプ+C タイプ、2タイプ+C タイプ及
び1 タイプ+C タイプを用いている。
【0045】再現性について 図4乃至図8を参照すれば、低分圧及び高分圧精製水
A、Bの分圧はいずれも測定サイクルの繰り返しととも
に、時間経過により変動している。特に図4は、時間経
過とともに、低分圧精製水Bの分圧は次第に増加する一
方で、高分圧精製水Aの分圧は減少し、図6は、時間経
過とともに、低分圧及び高分圧共に、増加する傾向を示
す。しかしながら、この傾向は、以下の理由から生じる
ものであり、再現性に問題があることを示すものではな
い。ppm レベルでの測定においては、観測者の呼気或い
は外気による室内空気中の二酸化炭素分圧の変動でさ
え、各精製水A、Bの分圧自体に影響を及ぼすのであ
る。つまり、各精製水容器は、上部が大気開放されてい
るので、精製水が大気中の二酸化炭素を吸収放出し、そ
の結果測定対象である各精製水A、Bの分圧自体が時間
経過とともに変動しているのである。
【0046】このような室内空気中の二酸化炭素分圧に
ついて、図4の試験では400ppm前後であるのに対し、図
6の試験では、440ppmより高い分圧であったことから、
各分圧はそれに漸近し、その結果このような傾向が引き
起こされたのである。応答速度に対する多孔質膜の影響 図4乃至図8から上述のように定義した応答速度の平均
は、それぞれ約6.8 分、7.0 分、5.3 分、6.6 分及び7.
3 分であり、測定の再現性とともにいずれも実用的な測
定に十分通用する数値であった。なお、応答速度の平均
は、各サイクルの応答速度の平均である。因みに、従来
のバブル式及びシャワー式では、応答速度は、それぞれ
10分以上及び30分以上である。応答速度に最も優れ
ているのは、ビーズの直径が3mm 、迷路有りの3タイプ
の平衡器12の場合であった。図4と図5との比較か
ら、多孔質膜22の孔径が応答速度に与える影響は認め
られなかった。因みに、図4では、時間経過とともに分
圧の変動幅が減少するが、それにより応答が早まる、即
ち応答速度が増加する傾向は認められなかった。更に図
4及び図5と、図6との比較から、応答速度が多孔質膜
22の種類によって影響を受けるが、孔径にはさほど影
響しないことがわかった。従って、孔径は、液体の表面
張力によって液体が孔を透過しない範囲で定めればよ
い。
【0047】応答速度に対するビーズの影響 図7及び図8の比較から、ビーズ36直径が大きい方が
応答速度が速くなることがわかる。これは、ビーズ36
直径が小さくなるほど隣合うビーズ同士の間隙によって
形成されるデッドスペースVは減るが、その一方で一定
膜面積に配置されるビーズ36の総数が増え、その分膜
に接触する総面積Sが大きくなり、気液平衡に寄与する
孔の総面積が減少するためである。この点で、総面積S
/デッドスペースVの比が、ビーズの直径を決定する場
合に重要な指標となることがわかった。なお、図7及び
図8においては、いずれも高濃度側の精製水Aと大気放
置との繰り返しにより試験を行っている。以上の試験結
果から明らかなように、本実施の形態の二酸化炭素分圧
測定装置10の応答性は、膜の種類に依存するもののす
べて10分以下であり、しかも再現性に支障がないので、
十分実用的であることが実証することができた。
【0048】本発明の第2の実施の形態を以下に説明す
る。以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同
様な要素には同様な番号を付すことにより、その説明は
省略し、以下に本実施の形態の特徴部分について説明す
る。図9は、本発明の第2の実施の形態に係る平衡器1
2の概略図である。本実施の形態の特徴部分は、膜22
の直下に固定ステー62を介して小型水中ポンプ60を
付設した点である。分圧の測定の際、気液平衡形成手段
である平衡器は水中に投入されるが、液体に流れが全く
ない場合には、液体の拡散係数が小さいため、液体と多
孔質膜22との接触部分に分圧勾配の強い液相側境膜が
生成され、応答速度が極端に遅くなる現象が確認され
た。そこで、例えば水の流れがない池、沼等で使用する
場合に備え、小型水中ポンプを設置して、これにより液
体を膜外面46に向かって送り込み、消費電力の増加を
極力押さえつつ、液体の拡散係数の上昇を図り、応答速
度の低下の防止を図ったものである。この場合、バブル
式或いはシャワー式の揚水ポンプと異なり、液相側境膜
を更新するに十分な水流を多孔質膜22の近傍に発生さ
せればよいので、必要な電力も当然に小さい。又、第1
及び本実施の形態の変形例として、平衡器12とNDI
R計14とを一体にして、より装置のコンパクト化を達
成したいわゆるNDIR一体タイプが考えられる。この
場合、ボックスセルの側面に設けた開口を覆うように多
孔質膜22を配置し、ボックスセルの内部で直接気液平
衡状態を形成するのがよい。これにより、第1及び本実
施の形態のような別体タイプと異なり、例えば海洋に浮
揚するブイに測定装置ごと備付け、測定の無人化を達成
することも可能となる。
【0049】本発明の第3の実施の形態を以下に説明す
る。図10は、本発明の第3の実施の形態に係る分圧測
定装置10の概略図である。本実施の形態の特徴部分
は、気液平衡形成手段によって気液平衡状態に達したキ
ャリアガス内の二酸化炭素分圧を測定するための二酸化
炭素分圧測定手段にあり、第1及び第2の実施の形態と
異なり、以下に説明する固体電解質センサーを用いた点
にある。この二酸化炭素向け固体電解質センサーは、い
わゆるNASICON として従来公知であり、二酸化炭素によ
って発生する起電力を検出することによって二酸化炭素
の分圧を測定することができる。本発明は、分圧測定装
置10を測定対象である液体に投入した際、多質膜22
の各孔に通常残存する微小空気を利用して、気液平衡状
態を形成し、微小空気中の気液平衡状態に達して二酸化
炭素に基づいて、このセンサーを用いて測定する点にあ
る。
【0050】本実施の形態に係る分圧測定装置10は、
疎水性多孔質膜22と、この疎水性多孔質膜22の膜外
面46に臨むキャリアガスチャンバー34とを有する気
液平衡状態形成手段と、膜内面32側に固体電解質セン
サー70と、このセンサーを加熱して作動させるための
セラミックヒータ72とを有する二酸化炭素分圧測定手
段と、キャリアガスチャンバー34内のキャリアガスを
循環冷却させるためのキャリアガス循環冷却手段とから
構成されている。疎水性多孔質膜は、第1及び第2の実
施の形態と同様なもので、この疎水性多孔質膜に存在す
る各孔の自由液面を介して、二酸化炭素が溶存する液体
とキャリアガスチャンバー内のキャリアガスとの間に二
酸化炭素の気液平衡状態を形成するようになっている。
【0051】固体電解質センサー70の種類は、被計測
ガスの種類に応じて異なるので、ここでは二酸化炭素に
対して有効であり、しかも水蒸気に対して影響を受けな
いものを選択すべく、固体電解質としてNa3Zr2Si2P
O12 、炭酸塩電極材料にLi2CO3-BaCO3を採用した。以下
に製造方法を示す。 (1) Zr(OC2H5)4,Si(OC2H5)4,NaOC2H5 PO(OC4H9)4をエタ
ノール(C2H5OH)に順次溶解させる。 (2) 均一に溶解させた後、大量の水を加えて水酸化物と
し、これを電気炉を用いて約850°C で焼成する。 (3) 生じた粉末をディスクの形にプレス機で成形し、再
び1100°C にて12時間加熱する。これで固体電解質Na3Z
r2Si2PO12 の合成が終了する。 (4) 次に、これに金ペーストを700 °C 乃至900 °C で
焼き付けて電極とし、さらに炭酸塩(Li2CO3-BaCO3)を90
0 °Cで取り付ける。 (5) 最後にこれをセラミックヒータに取り付ければ、二
酸化炭素センサーとして完成する。
【0052】セラミックヒータ72は、従来タイプのも
ので、固体電解質センサーの場合、NDIR式と異な
り、センサー自体を約500 °C に加熱しなければ動作し
ないことから設置するものである。キャリアガス循環冷
却手段は、エアーポンプ76と、ペルチェ素子78と、
キャリアガスチャンバー34とエアーポンプ76及びペ
ルチェ素子78とを接続して、循環流路を形成するため
の循環用チューブ80とを有する。測定の際、セラミッ
クヒータ72によって約500 °C まで加熱された固体電
解質センサー70からの熱放射により多孔質膜に接触す
る海水が加熱されるのを防止するために設置するもので
ある。即ち、エアーポンプによって加熱されたキャリア
ガスがキャリアガスチャンバー34から引かれ、ペルチ
ュ素子78によって所定の温度まで冷却され再びキャリ
アガスチャンバー34内に戻すようにしてある。なお、
ペルチュ素子78は、従来公知であり、電流により素子
を通過する流体を加熱/冷却するものである。
【0053】又、液体の加熱を防止するために、多孔質
膜22と固体電解質センサー70との間に熱遮蔽板とし
て数層のアルミ箔74を設けてある。アルミ箔74の厚
さ、面積及び層数を適宜設定することにより、測定値へ
の影響を防止する程度に液体の加熱を防ぐことが可能で
ある。このような分圧測定装置10によれば、各孔に存
在する液体の自由液面を介して、各孔に残存する微小空
気との間で気液平衡状態を形成し、一方でセラミックヒ
ータ72によって所定温度まで加熱して固体電解質セン
サー70を測定待機状態した上で、固体電解質センサー
70を用いて微小空気内の二酸化炭素によって発生する
起電力を検出することによって、NDIR式に較べ応答
性に優れしかも装置のコンパクト化を達成した二酸化炭
素の分圧を測定することができる。特に、NDIR式と
異なり、少なくとも測定のたびに校正する必要はない。
【0054】以上、本発明の実施の形態を詳細に説明し
たが、請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の
変更、修正が可能である。例えば、測定対象は、海水中
に溶存する二酸化炭素に限定されることなく、気相側で
気化する限りにおいて一般液体中に溶存する物質に適用
可能である。NDIR計14によれば、二酸化炭素以外
に一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化硫黄、
メタン、酸素等の計測が可能である。一方固体電解質セ
ンサーにおいては、二酸化炭素以外に酸素、ヨウ素、塩
素、臭素、二酸化硫黄、三酸化硫黄、二酸化窒素、硫
黄、水素等の計測が可能である。従って、特に水への溶
解度が大きい二酸化炭素、二酸化硫黄、塩素等に適用の
可能性が高い。
【0055】このとき、表面張力により液体を透過させ
ないために必要な孔径は、平衡器を液体中に投入する水
深がクリティカルである。この点について、例えば、海
水での測定を想定した場合、水圧は約1kg/cm2、液体の
表面張力は約4.0x10 -2N/mと見積もれば十分であり、そ
のとき必要な孔径は0.1 乃至0.2 ミクロンと算出され
る。この孔径によれば、水中に溶存するほとんどすべて
の分子を通過させることが可能であるから、測定対象物
に応じて孔径を選択する煩雑さを回避することができ
る。換言すれば、疎水性多孔質膜を汎用的に使用するこ
とが可能である。又、本実施の形態では、疎水性多孔質
膜を平衡器の片面だけに設けているが、それに限定させ
ることなく、両面に設けてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の液
体中の溶存物質の分圧測定方法及び分圧測定装置によれ
ば、液体中の溶存物質の分圧の測定の際、実用性を向上
させつつ、測定の信頼性を確保することができる。さら
に、海水中の溶存二酸化炭素の分圧をppmvレベルで連続
的に測定するに際し、従来のバブル式或いはシャワー式
とは異なり、直接海中での測定を可能にすることによ
り、応答性を確保しつつ実用性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二酸化炭素分
圧測定装置の概略系統図である。
【図2】図1の二酸化炭素分圧測定装置の平衡器を示す
概略断面図である。
【図3】図1の線2─2に沿った概略断面図であり、図
3(a)は、タイプ3の平衡器、図3(B)は、タイプ
1及び2の平衡器を示す。但し、図の明瞭性から内部の
ビーズは一部のみ示す。
【図4】3タイプの平衡器及びA タイプの多孔質膜を組
み合わせた、図1の二酸化炭素分圧測定装置によって測
定した二酸化炭素の分圧の時間経過を示すグラフであ
る。
【図5】3タイプの平衡器及びB タイプの多孔質膜を組
み合わせた図1の二酸化炭素分圧測定装置による、図4
と同様なグラフである。
【図6】3タイプの平衡器及びC タイプの多孔質膜を組
み合わせた図1の二酸化炭素分圧測定装置による、図4
と同様なグラフである。
【図7】2タイプの平衡器及びC タイプの多孔質膜を組
み合わせた図1の二酸化炭素分圧測定装置による、図4
と同様なグラフである。
【図8】1 タイプの平衡器及びC タイプの多孔質膜を組
み合わせた図1の二酸化炭素分圧測定装置による、図4
と同様なグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る平衡器の概略
断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る分圧測定装置
の概略図である。
【図11】従来のバブル式による二酸化炭素分圧測定装置
の概略図である。
【図12】従来のシャワー式による二酸化炭素分圧測定装
置の概略図である。
【図13】従来の多段バブル式による二酸化炭素分圧測定
装置の概略図である。
【符号の説明】
A 高分圧の精製水 B 低分圧の精製水 t 応答速度 10 分圧測定装置 11 切り替え弁 12 平衡器 13 切り替え弁 14 NDIR計 15 SPANガス 16 エアポンプ 17 ZEROガス 18 電子除湿器 20 配管 22 疎水性多孔質膜 24 基部 26 押さえリング 28 締結手段 30 凹部 32 膜内面 34 キャリアガスチャンバー 35 底面 36 ビーズ 38 流入口 40 流出口 42 環状溝 44 環状溝 46 膜外面 48 仕切り 50 開口 52 キャリアガス環状流路 55 減圧弁 56 減圧弁 60 小型水中ポンプ 62 固定ステー 70 固体電解質センサー 72 セラミックヒータ 74 アルミ箔 76 エアポンプ 78 ペルチェ素子 80 循環用チューブ

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物質が溶存する液体とキャリアガスとの
    間に物質の気液平衡状態を形成し、気液平衡状態に達し
    たキャリアガス中の気化物質を用いて、液体中の溶存物
    質の分圧を測定する液体中の溶存物質の分圧測定方法に
    おいて、 この液体はその表面張力により透過しないが、物質は透
    過する所定の孔径及び所定の総孔面積を備えた疎水性多
    孔質膜を通じて、各孔に存在する液体の自由液面を介し
    て所定容積に収容されたキャリアガスとの間で気液平衡
    状態を形成することを特徴とする分圧測定方法。
  2. 【請求項2】 前記液体に溶存する物質は、海水中の二
    酸化炭素であり、前記疎水性多孔質膜を直接海水に投入
    することにより、気液平衡状態を形成する請求項1に記
    載の分圧測定方法。
  3. 【請求項3】 二酸化炭素が溶存する液体とキャリアガ
    スとの間に二酸化炭素の気液平衡状態を形成するための
    気液平衡状態形成手段と、気液平衡状態に達したキャリ
    アガス中の二酸化炭素の分圧を測定するための二酸化炭
    素分圧測定手段とを有する、液体中の溶存二酸化炭素分
    圧を測定する二酸化炭素分圧測定装置において、 この気液平衡状態形成手段は、この液体はその表面張力
    により透過しないが、物質は透過する所定の孔径及び所
    定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を有し、 この疎水性多孔質膜は、キャリアガスに接する膜内面と
    液体に接する膜外面とを有し、 さらに、キャリアガスが流入するための流入口と、キャ
    リアガスが流出するための流出口とを備えた、この膜内
    面に臨むキャリアガスチャンバーとを有し、 各孔に存在する液体の自由液面を介してこのキャリアガ
    スチャンバー内のキャリアガスとの間で気液平衡状態を
    形成することを特徴とする分圧測定装置。
  4. 【請求項4】 前記疎水性多孔質膜の前記膜外面近傍の
    液相側境膜を更新するために、前記膜外面に向かって液
    体を液送するための液送手段をさらに有する請求項3に
    記載の分圧測定装置。
  5. 【請求項5】 前記疎水性多孔質膜は、疎水性コーティ
    ングされている請求項4に記載の分圧測定装置。
  6. 【請求項6】 前記気液平衡状態形成手段は、前記キャ
    リアガスチャンバー内で前記膜内面上に配置された、疎
    水性多孔質膜を前記膜外面に向かって支持するための膜
    支持手段をさらに有することを特徴とする請求項3ない
    し請求項5に記載の分圧測定装置。
  7. 【請求項7】 前記膜支持手段は、所定径の多数のビー
    ズからなり、 この多数のビーズは、前記膜内面全体に亘って互いに接
    触するように配置され、隣合うビーズ同士の隙間を介し
    て前記キャリアガスチャンバー内に前記流入口から前記
    流出口に向かうキャリアガス流路が形成される請求項6
    に記載の分圧測定装置。
  8. 【請求項8】 前記流出口は、前記キャリアガスチャン
    バー内で前記流入口に対して遠位端に配置され、前記キ
    ャリアガス流路が迷路を形成する請求項7に記載の分圧
    測定装置。
  9. 【請求項9】 キャリアガスを前記流入口から前記流出
    口に導くために、前記流出口のまわりに数層の環状の仕
    切りをさらに有し、 それぞれの仕切りは、開口を有し、隣合う仕切りは、互
    いに反対側に開口を有することにより、隣合う仕切りの
    間に形成されるキャリアガス環状流路が迷路を形成する
    請求項7に記載の分圧測定装置。
  10. 【請求項10】 キャリアガスを前記流入口から前記流出
    口に導くために、前記流入口から前記流出口に到るらせ
    ん状の仕切りをさらに有し、 この仕切りに沿って形成されるキャリアガス蛇行流路が
    迷路を形成する請求項7に記載の分圧測定装置。
  11. 【請求項11】前記二酸化炭素分圧測定手段は、気液平衡
    状態に達したサンプルガスが流通するボックスセルと、
    このボックスセル内に光を入射させる光源と、サンプル
    ガス中の二酸化炭素によって吸収された入射光の強度を
    検出する焦電素子とを有する非分散赤外線式ガス分析計
    からなる請求項3乃至請求項10のいずれか1項に記載の
    分圧測定装置。
  12. 【請求項12】 前記二酸化炭素分圧測定手段は、前記ボ
    ックスセルと前記キャリアガスチャンバーとの間でキャ
    リアガスを循環させるための循環路と、循環路を通じて
    キャリアガスを循環させるための循環ポンプとを有する
    ことを特徴とする請求項11に記載の分圧測定装置。
  13. 【請求項13】 前記キャリアガスチャンバー内には、キ
    ャリアガスチャンバー内のキャリアガスを攪拌するため
    のファンが設けられる請求項11又は請求項12に記載の分
    圧測定装置。
  14. 【請求項14】 前記ボックスセルの側面に設けた開口を
    覆うように前記多孔質膜を配置し、前記ボックスセルの
    内部で気液平衡状態を形成する請求項11に記載の分圧測
    定装置。
  15. 【請求項15】 二酸化炭素が溶存する液体とキャリアガ
    スとの間に二酸化炭素の気液平衡状態を形成するための
    気液平衡状態形成手段と、気液平衡状態に達したキャリ
    アガス中の二酸化炭素の分圧を測定するための二酸化炭
    素分圧測定手段とを有する、液体中の溶存二酸化炭分圧
    を測定する二酸化炭素分圧測定装置において、 この気液平衡状態形成手段は、この液体はその表面張力
    により透過しないが、物質は透過する所定の孔径及び所
    定の総孔面積を備えた疎水性多孔質膜を有し、 この疎水性多孔質膜は、キャリアガスに接する膜内面と
    液体に接する膜外面とを有し、 各孔に存在する液体の自由液面を介して、各孔に残存す
    る微小空気との間で気液平衡状態を形成し、 この二酸化炭素分圧測定手段は、前記多孔質膜の前記膜
    内面側に配置された、微小空気内の二酸化炭素によって
    発生する起電力を検出することによって二酸化炭素の分
    圧を測定するための固体電解質センサーを有する分圧測
    定装置。
  16. 【請求項16】 前記多孔質膜と前記固体電解質センサー
    との間に配置した熱遮蔽板をさらに有する請求項15に記
    載の分圧測定装置。
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