JP3024214U - 両端加工機のチャックジョー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工屑の咬み込み、および、クラックの発生
を防止すると共に、長期使用に耐える両端加工機のチャ
ックジョーを提供する。 【解決手段】 ワークを一対の保持部材間に挟持して、
切削などの加工を行う両端加工機において、上記保持部
材には、超硬材を用いると共に、ワークの形状に適応し
た保持面のほぼ中央部には、ノックアウト孔に対応し
て、クラック防止および切削屑の咬み込み防止のための
溝孔を形成していることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ワークを一対の保持部材間に挟持して、切削などの加工を行う両端 加工機のチャックジョーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、冷間鍛造品（表面硬度がＨＶ＝３００）の両端面の切削加工や各端部 の縁の面取り加工を、両端加工機にて行っているが、上記チャックジョーによっ て繰り返されるワークの締め付けで、ワークを保持するチャックジョーのワーク 保持面が早期（装着・加工回数で約５００００〜１０００００回）に摩耗し、加 工品の加工精度、例えば、直角精度を低下するという問題がある。これは、ワー クの保持部材に、表面焼き入れした構造用炭素鋼材などが用いられており、ワー クの表面硬度に対する十分な耐摩耗性が確保されていないことが原因である。

【０００３】 一方、切削加工などによって発生した加工屑が、チャッキングに際して、保持 面に咬み込まれ、製品表面を損傷し、また、それが原因で、更に、上述の加工精 度を低下する虞がある。そこで、上記保持面に加工屑を逃す孔などを形成するこ とも考えられたが、これでは、ワークに対する接触面積が減少し、耐久性を更に 低下することになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、上記保持部材に、工具鋼、高速度鋼、あるいは、それらの表面に硬度 を増す表面処理が施されたものを採用することも検討されたが、耐久性の上で十 分な効果が期待できず、また、保持面の中央部にあるノックアウト孔からクラッ クが（装着・加工回数が１５００００回程度で）発生するという新たな問題が生 じた。

【０００５】 本考案は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、加 工屑の咬み込み、および、クラックの発生を防止すると共に、長期使用に耐える 両端加工機のチャックジョーを提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案では、ワークを一対の保持部材間に挟持して、切削などの加 工を行う両端加工機において、上記保持部材には、超硬材を用いると共に、ワー クの形状に適応した保持面のほぼ中央部には、ノックアウト孔に対応して、クラ ック防止および切削屑の咬み込み防止のための溝孔を形成していることを特徴と する。なお、この場合、上記保持部材は、チャックジョー本体に対して、ロウ付 けあるいはビス止めにて、固着することが好ましい。

【０００７】 従って、溝孔を備えるために、切削屑などの咬み込み防止が図れ、製品表面を 損傷することがなく、チャッキング・ミスによる加工精度の低下が回避できる。 しかも、保持部材に超硬材を用いているので、溝孔を設けることによって保持面 の保持面積が減少しても、十分な保持力を発揮でき、磨耗も少なく、十分な耐久 性を確保でき、また、上記溝孔によって、クラック防止効果も発揮できる。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態の１例を、図面を参照して具体的に説明する。ここ に示すチャックジョーは、ワークを一対の保持部材１、１’間に挟持して、切削 などの加工を行う両端加工機において使用されるもので、保持部材１、１’には 、超硬材を用いると共に、ワークの形状、例えば、この実施の形態では、円環状 に適応した半円弧状の保持面１Ａ、１Ａ’のほぼ中央部には、ノックアウト孔２ に対応して、クラック防止および切削屑の咬み込み防止のための溝孔３を形成し ている。

【０００９】 なお、この実施の形態では、保持部材１、１’はチャックジョー本体４、４’ に対して、ロウ付けあるいはビス止めにて、固着されている。また、一方のチャ ックジョー本体は両端加工機の架台に固定され、これに対して接離するように、 他方のチャックジョー本体が可動に装備してある。

【００１０】 従って、切削加工などに際して発生した加工屑は、溝孔３に逃すことができ、 保持面１Ａ、１Ａ’とワークＷとの間に咬み込まれる虞がなく、製品を損傷する ことがなく、また、チャッキング・ミスによる加工精度の低下が回避できる。し かも、保持部材１、１’に超硬材を用いているので、溝孔を設けることによって 保持面１Ａ、１Ａ’の保持面積が減少しても、十分な保持力を発揮でき、磨耗も 少なく、十分な耐久性を確保でき、また、溝孔３によって、クラック防止効果も 発揮できる。

【００１１】

【実施例】

次に、本考案のチャックジョーと、従来品との対比において、その有用性を具 体的に明示する。なお、この実施例では、共通の両端加工機を用い、被加工材料 （ワーク）にはＳｕＪ２ （冷間鍛造品）を採用する。また、切削条件としては 、サーメット刃物を用い、サイクルタイム：３．５秒にて、加工代＝１．０ｍｍ の両端、面取り同時加工を行う。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、以上詳述したようになり、ワークを一対の保持部材間に挟持して、 切削などの加工を行う両端加工機において、上記保持部材には、超硬材を用いる と共に、ワークの形状に適応した保持面のほぼ中央部には、ノックアウト孔に対 応して、クラック防止および切削屑の咬み込み防止のための溝孔を形成している 。

【００１４】 従って、溝孔を備えるために、切削屑などの咬み込み防止が図れ、製品表面を 損傷することがなく、チャッキング・ミスによる加工精度の低下が回避できる。 しかも、保持部材に超硬材を用いているので、溝孔を設けることによって保持面 の保持面積が減少しても、十分な保持力を発揮でき、磨耗も少なく、十分な耐久 性を確保でき、また、上記溝孔によって、クラック防止効果も発揮できるという 実用上の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態例を示す概略斜視図であ
る。

【符号の説明】

１、１’ 保持部材 １Ａ、１Ａ’ 保持面 ２ ノックアウト孔 ３ 溝孔 ４、４’ チャックジョー本体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 入 澤 捷 史 富山県高岡市石丸708番地の16 エヌケイ 精圧株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワークを一対の保持部材間に挟持して、
   切削などの加工を行う両端加工機において、上記保持部
   材には、超硬材を用いると共に、ワークの形状に適応し
   た保持面のほぼ中央部には、ノックアウト孔に対応し
   て、クラック防止および切削屑の咬み込み防止のための
   溝孔を形成していることを特徴とする両端加工機のチャ
   ックジョー。
2. 【請求項２】 上記保持部材は、チャックジョー本体に
   対して、ロウ付けあるいはビス止めにて、固着すること
   を特徴とする請求項１に記載の両端加工機のチャックジ
   ョー。