JP3022303B2 - 油井管の接続方法 - Google Patents

油井管の接続方法

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JP3022303B2
JP3022303B2 JP8041824A JP4182496A JP3022303B2 JP 3022303 B2 JP3022303 B2 JP 3022303B2 JP 8041824 A JP8041824 A JP 8041824A JP 4182496 A JP4182496 A JP 4182496A JP 3022303 B2 JP3022303 B2 JP 3022303B2
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康人 深田
昌克 植田
三幸 山本
裕一 小溝
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原油あるいは天然
ガスを採掘または採取する油井管の接続において、ねじ
継手を用いることなく簡易かつ確実に金属的な接合によ
って油井管同士を接合し長尺化する接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】長さ10〜15mの油井管、例えばケー
シング管は、ねじ継手により順次接続されながら土中の
たて穴中に最長数千メートルにわたって埋設される。一
般に、油井管は厳しい腐食環境と高い応力に耐えるため
に、高度の耐食性と強度が求められる。このため、使用
環境および用途に応じて炭素鋼から高Ni合金まで様々
な材料が開発され、実用に供されている。ねじ継手によ
る接続の場合、ねじの強度および耐食性の確保が油井管
の信頼性を支配することとなるため、ねじの開発には多
大な努力が払われてきた。しかし、これらのねじ継手に
はつぎのような問題がある。
【0003】精密なねじを切る必要があるため、多大
なコストを要する。
【0004】ねじ締め付け時の締め付け力にバラツキ
を生じ易いため、作業者の熟練が必要である。
【0005】運搬時にねじ部に損傷を発生しやすい。
【0006】一方、ねじ継手に代わる接続方法として溶
接が考えられるが、これも各種の問題があり、油井管の
接続方法として普及していない。その最大の問題は以下
の2点にある。
【0007】火花が発生するので、引火性ガスの噴出
を伴う現地での施工はできない。
【0008】溶接継手に対する信頼性、とくに強度お
よび耐食性に対する信頼性が低い。
【0009】これらアーク溶接法と原理を異にする接合
方法に拡散接合法がある。拡散接合法は接合に要するエ
ネルギ投入量も少なく、接合時間も短くてすむ利点があ
るので、これまで一般鋼材へ適用する方法が提案されて
きた(特開平5−169280号公報など)。拡散接合
法によれば、油井管を接続するとき上記のアーク溶接法
の問題点のうちは解消されるので、近年、油井管の接
続方法として注目され、接合部の信頼性を高めるための
提案がなされている(特開平6−7967号公報)。
【0010】しかし、油井周囲の現場で、後記する低融
点接合材料を管の間に挟む作業に要する時間は決して小
さくなく、しかも困難を伴う場合が多い。また、低融点
接合材料を接合部に挿入しないまま加熱加圧するという
ミスが発生する場合があり、その場合、外見だけでは正
常な拡散接合をおこなった接合部との見分けがつきにく
く、肉眼での点検はほとんど不可能となる。直列に接続
される油井管においては、一個所でも破断すると、その
油井の採掘を断念しなければならないなど取り返しのつ
かない事態になることがある。低融点接合材料を挟まず
に接合した接合部を一見してチェックできるように、低
融点接合材料の形状を管より一部分大きくすることなど
の提案がなされている(特開平4−75734号公報、
特開平4−75735号公報)。しかし、低融点接合材
料をこのような形状にしても、低融点接合材料を管とは
別に用意し、現地で管の端部に挿入しなければならない
ことに変わりはない。
【0011】また、低融点接合材料を別に用意しなくと
もよい方法として、管の端面にめっきを施す方法がある
が、それでも百数十秒間を超える接合時間を要するし、
また、めっきに多くの工数を要する。したがって、めっ
き処理によって低融点接合材料を管の端面に被覆するこ
とは、拡散接合をおこなううえでも、また被覆した管を
準備するうえでも最善の方法とはいいがたい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、油井管の拡
散接合において、油井現場にて低融点接合材料を接合部
に挟む作業を行うことなく、従来よりも短時間で接合を
可能にする方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明における接合は、
溶融した低融点接合材料の成分元素が管端へ拡散し、同
時に管端の元素が低融点接合材料に拡散し溶融相の融点
が上昇することにより、溶融相が凝固する現象に基づい
ておこなわれる。本接合方法を「拡散接合法」といい、
この役割をする「低融点接合材料」を、本明細書中、
「接合材」という。
【0014】図1は、拡散接合中の突き合わせ接合部を
模式的に表した断面図である。管の成分元素が溶融状態
の接合材中に拡散して融点が上昇して凝固した凝固相1
が成長し相手側から成長してきた凝固相と会合し、溶融
相2が無くなれば、接合は完了する。図1における凝固
相1は、後記する溶射膜の被覆時点で既に生成している
凝固相ではなく、接合進行中に成長する凝固相をあらわ
す。
【0015】実際は、突き合わせた接合部における管軸
方向の圧縮応力により溶融相を外部へ排除し、できるだ
け溶融相の厚さを薄くして接合をおこなう。したがっ
て、図1において、突き合わせ接合部4の厚さは、接合
前よりも接合終了後に減少する。
【0016】融点が上昇して凝固する凝固相1をむやみ
に増やすことは、接合時間を短縮する上で望ましいこと
ではない。拡散接合における接合時間は、この凝固相1
が管端に発生して適当な長さに成長する時間に、大半が
費やされる。
【0017】なお、本発明における“溶射膜の厚さ”と
は、接合前、管端に溶射をすることによって管長さが管
軸方向に増した長さ分をいう。また、“溶射膜”とは、
溶射によって管端が溶解され、あるいは管端の合金元素
の拡散が促進される場合には、溶射前に管端に存在して
いた合金元素も含み、また後記する凝固相の芽も含んだ
部分をさす。
【0018】管端の表面に発生する凝固相1は、管端と
金属的に接合されていなければならない。金属的な接合
とは、管端表面の一定部分(通常、デンドライト状の凝
固相)ごとに凝固相1が、管端表面と一定の方位関係を
もつ、いわゆるエピタキシャル成長する場合と、または
管端と凝固相1との間に結晶粒界を介して接合している
多結晶体の結晶粒どうしの接合のような場合の両方を含
む。
【0019】一定の方位関係をもつとは、例えば、低合
金鋼のオーステナイト相(面心立方構造)からフェライ
ト相(体心立方構造)が成長するとき、両相の間に一定
の方位関係(Kurjumov-Sachsの関係と呼ばれる)が成立
すること等をいう。管端表面の結晶構造と凝固相の結晶
構造が同じ場合は、管地金の結晶構造がそのまま連続し
て凝固成長する。
【0020】管端の成分元素が接合材中に拡散し、溶融
している接合材が凝固するほどの組成となるためには、
接合材の成分元素も管端に拡散する必要がある。管にお
ける接合材の成分元素の拡散速度は、後記するB(ボロ
ン)のような比較的拡散速度の大きいものであっても、
管の成分元素の溶融相における拡散速度よりも小さいの
で、凝固相1の成長速度は、管端における接合材の成分
元素の拡散速度によって律速される。本接続方法におけ
る接合時間は、上記したように、接合材の成分元素の管
端面への所定の量までの拡散、すなわち凝固相1が発生
し一定の大きさに成長するまでの拡散に大部分費やされ
る。
【0021】このような拡散および凝固相の発生を内在
させた接合材の管端表面への被覆方法があれば、その方
法による被覆層をもつ管同士の拡散接合は、接合時間が
大幅に短縮されることになる。従来の電解めっき法また
は無電解めっき法においては、管端表面での凝固相1の
発生はもちろん接合材元素の管端への拡散も生じていな
い。
【0022】本発明者らは、管端表面において接合材元
素の拡散または凝固相の発生を内在する接合材の被覆方
法を探索した結果、つぎの事項を確認した。
【0023】プラズマ溶射、ガス・タングステン・ア
ーク溶接(以後、GTAW)等により管端表面に溶射膜
を被覆した場合、溶射膜を被覆した時点において、すで
に管端表面にはある程度、溶射膜の成分元素が拡散侵入
している。とくにGTAWなどのように入熱の高い肉盛
溶射をおこなうと、管端表面はすでに一度溶融し、管端
表面に根をもつデンドライトが溶射膜中に成長してい
る。このデンドライトの組成は急冷されてはいるが、管
端に近い部分はすでに管の成分元素が混入している。し
たがって、溶射膜の融点以上に加熱しても、凝固相1の
芽ともいうべきものが管端表面に固相としてすでに存在
する。これに対して拡散接合法を適用したとき、接合時
間を短くしても静的な強度はもちろん疲労強度も低下し
ない。
【0024】上記において、凝固相の成長が始まる
と、接合部において溶融状態にある部分は接合時間を長
引かせるか、あるいは接合強度を低下させるだけであ
り、むしろ不要である。通常、この部分を接合部から排
除するために圧縮応力を負荷するが、本発明方法では、
管端での凝固相の発生が加熱早期に始まるので、管端表
面にBなどの元素が拡散侵入するまで接合材を溶融状態
で確保しておく必要がない。したがって、圧縮応力を大
きくして溶融相の排除を早期におこなうことができる。
この圧縮応力の増大は、同時に接合面粗さを小さくし、
より完全な接合面が形成されることにも役立つ。
【0025】本発明はこの方法を実用サイズの油井管に
適用し、実体疲労試験および応力腐食割れ試験を行い、
実体での効果を確認することにより完成された。
【0026】本発明は、下記の拡散接合方法を要旨とす
る。
【0027】(1)片側または両側の管端の表面に管よ
り融点の低い、B:0.5〜7重量%を含む合金よりな
る厚さ5〜100μmの溶射膜が施された管どうしを突
き合わせた接合部を、溶射膜の融点以上で管の融点以下
の温度に不活性ガス雰囲気中で加熱し、その接合部にお
いて管軸方向に5〜50MPaの圧縮応力を保ちながら
80秒間以上保持し放冷することを特徴とする油井管の
接続方法。
【0028】溶射膜が施される管端は、管の片側でもよ
い。管の片側端面にのみ溶射膜が施されている場合、溶
射膜がある端面と溶射膜がない端面との接合となるが、
この場合にも、本発明方法によれば図1に示す凝固相1
が早期に生じ大きく成長するので接合部全体としてみた
場合、接合時間の短縮には効果がある。しかし、管の両
側の端面が溶射膜を施され、全ての接合部において両方
の管とも溶射膜に被覆されているほうが望ましいことは
いうまでもない。
【0029】「溶射膜の融点」とは、溶射膜の表面が溶
融する温度をいう。
【0030】また、「接合部」とは、拡散接合が適用さ
れる部位をいい、拡散接合前は、突き合わせた二つの管
端から構成され、その片方のみ溶射膜が施されている
か、または両方ともに溶射膜が施されている場合があ
る。拡散接合後は、管端表面および接合材相互に成分元
素が拡散し組成が変化し、同時に接合材の一部は接合部
から排除されたものをいう。また、「管」というとき、
「油井管」を指すこととする。
【0031】圧縮応力を接合部に負荷するのは、加熱し
ている80秒間以上の一定時間であって、放冷する際に
は圧縮応力は解除する。
【0032】
【発明の実施の形態】上記した問題点を解決するために
拡散接合法を用いるときの各種限定条件について以下に
説明する。
【0033】図2は、本発明方法の実施に用いた典型的
な装置の概略を示す図面である。同図に示すように銅製
の1ターンの加熱コイル兼ガスシールド治具11、その
両側の管12の冷却ジャケット13、加圧用クランプ1
4から成る接合用ヘッドと高周波電源15、制御盤16
により構成される。
【0034】1.溶射膜(接合材) 溶射膜は管よりも融点が低いことが必須であるととも
に、加熱中に管端にできるだけ速く拡散する元素を含有
することが必要である。この条件を満たす元素としてB
がある。接合材として、Bを0.5重量%以上含有させ
たFe基あるいはNi基合金とすることにより所望の要
件を余裕をもって満たすことができる。溶射膜中のBが
0.5重量%未満では融点は十分低くならず、また拡散
速度の大きい元素であるBが不足するために接合に必要
な時間が永くなるので0.5重量%以上とする。
【0035】通常、溶射はプラズマ溶射、GTAW等に
より肉盛溶射されるので、溶射後に溶射膜表面に発生す
る酸化膜を除去し、同時に溶射膜の表面の平坦度が不十
分な場合には平坦度を確保するために切削をおこなう。
したがって、溶射直後において溶射膜は数百μm〜数千
μmの厚さがあってもかまわない。プラズマ溶射のよう
に平坦度が良好な溶射膜が得られる場合には、切削する
必要はなく、ワイヤブラシによるブラッシングまたは通
常の研磨紙による研磨のみでよい。これら切削または研
磨をおこなった後の溶射膜の厚さは5〜100μmの範
囲になければならない。5μm未満では、溶射膜はメッ
キ膜に比べてポーラスであるため、拡散接合の加熱の
際、溶融しても管端全面に溶融した接合材料が十分ゆき
わたらず接合不良個所が発生し、いっぽう100μmを
超えると、接合時間が長くなりすぎるか、または接合中
排除される溶融した接合材の量が増えバリ取りなどの工
数を要するので100μm以下とする。
【0036】2.加熱 加熱は火花を排除するため、周知の高周波誘導加熱によ
ることが望ましい。加熱する最高温度は、管の融点以下
で溶射膜または薄膜の融点以上とする。本発明のように
溶射膜の組成が管端から溶射膜表面にわたって変化する
場合には、溶射膜の融点は、前記したように溶射膜の表
面が溶融する温度とする。
【0037】接合材の融点以上への加熱は、接合材を溶
融することにより管端表面を溶融相で覆い管端への拡
散、および管端から接合材への拡散を管端の全表面でお
こなわせ、管端の表面に接する溶融した接合材料の組成
を融点以下として、管の清浄表面から凝固相を溶融相中
に成長させる。凝固相の成長が始まると、溶融相は多く
ある必要はなく圧縮応力で排除され、いっぽう凝固相は
成長し相手側の同じ凝固相と会合し凝固を終了する。
【0038】GTAWなどの肉盛溶射による場合、上記
したように、凝固相1はすでにその大きさは小さいが、
組成の変化をともなって肉盛溶射の時点ですでに生成し
ているので、これらの現象が生じるのに要する時間は短
くてすむ。プラズマ溶射の場合にも溶射膜への管端の成
分元素の拡散は進んでいるので、この時間は短くてす
む。
【0039】これらの現象をおこなわせ接合を完全にす
るには、所定の温度で80秒間以上の保持が必須であ
る。接合時間の上限はとくに設けないが、むやみに長く
することは経済的に不利であるため、例えば500秒間
以下とすることが望ましい。
【0040】3.ガスシールド 不活性ガス(アルゴン、窒素等)を用いてシールドする
のは、被加熱物に起因する天然ガス等への引火を防止
するため、および被加熱物表面の酸化を防止し、接合
部の信頼性を高めるためである。引火は、図2に示すよ
うに、高周波加熱コイルとシールド用のガスノズルを一
体化した装置11を用い、被加熱物とガスノズルを近接
させ、不活性ガスの供給を適切にすることにより確実に
防止される。不活性ガスは被加熱物の周囲を完全にシー
ルドする必要があるので、通常、管の溶接線10cmあ
たり1リットル/分以上の不活性ガスを溶接部近傍に流すこ
とが望ましい。
【0041】4.加圧 管軸方向への加圧は、母材とのなじみおよび不要な溶融
相の排除等のためには必須である。5MPa以上の圧力
により接合時、すき間は排除され密着性は確保される
が、50MPaを超えると管端の変形が大きくなりす
ぎ、実用に耐えられなくなるので、5〜50MPaの圧
力とする。
【0042】この程度の加圧は、図2に示すように、
供試管12をクランプ14によりクランプし、熱膨張反
力を利用して、接合面を加圧する方式(クランプにスプ
リングを入れて熱膨張反力の一部を逃がして加圧力を調
整する。)、または油圧により外部から加圧力を負荷
させる方式、などを用いることができる。
【0043】この加圧は、加熱している一定時間以上お
こない、加熱を終了し放冷する段階では加圧することは
おこなわない。
【0044】本発明方法における管は、“直管状の管”
だけでなく、コイルドチュービングなどの“コイル状に
巻かれた管”も対象になる。ねじ継手ではコイルドチュ
ービングのコイルを解きながらの管どうしの接続は不可
能であるが、本発明方法によれば直管と同じように適用
することができる。また、本発明方法による接合は、通
常、同種管に使用されるが、同種の管に限定されず、異
種管に適用することもできる。その場合には、接合材
は、接合する両方の管よりも融点が低いものを使用しな
ければならない。
【0045】
【実施例】表1は供試管の化学組成を示す一覧表であ
る。同表に示す管P1〜管P5は、いずれも150mm
外径×15mm肉厚の継目無管である。このうち、管P
1、管P2および管P3は、Ni−Cr−Fe−Mo合
金であり、1100℃にて固溶化し放冷後冷間抽伸を行
った。管P3に対しては冷間抽伸前の中間製品サイズを
変えることにより冷間抽伸での加工度を変え、降伏強さ
(耐力)の異なる供試管を作製した。後記する表3にお
いて、これらの管をP3−1などと記す。管P4および
管P5は、低合金鋼であり、製管後に焼入れ(950
℃)および焼戻し(620℃)を行い作製した。これら
の管の融点はいずれも1300℃以上である。
【0046】表2は接合材である溶射膜、および比較の
ためのめっき膜の化学組成、融点および厚さを表す一覧
表である。これらのうち、S1、S2−1は、下記のプ
ラズマ溶射により、S2−2、S3、S5は、下記のG
TAWによる肉盛溶射により、溶射膜を管端面に溶射し
た後、プラズマ溶射膜にはヤスリと研磨紙による研磨、
GTAW肉盛溶射には切削加工をおこない表2に示す厚
さに仕上げた。
【0047】・プラズマ溶射 出力 :15kW 作動ガス:Ar(100リットル/分) ・GTAW肉盛溶射 入力 :1.8kJ/cm ガス :Ar(15リットル/分) また、S4は比較のための電解めっきによって被覆され
た接合材を有する試験体である。電解めっきは、〔Ni
SO4 +NiCl2 +H2 BO4 +(CH3 3NBH
3 〕またはこれにリン酸とクロム酸を加えた溶液中で通
電をおこない、通電時間を調節することにより所定の膜
厚さとした。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】拡散接合中の加圧は、上記したように、
熱膨張反力または油圧の2種類の方法により行った。
【0051】接合部は、突き合わせる両方の端面ともに
溶射膜を施したものとし、窒素ガス中で加熱および保持
し、上記の加圧下において接合した。
【0052】以下に示す実施例では、引火防止の効果は
とくに示さないが、図2に示したコイルと不活性ガスノ
ズルを一体化し不活性ガスノズルを被加熱物に近接させ
ることにより、また不活性ガス流量を接合線10cmあ
たり1リットル/分以上とすることにより確実に防止され
る。
【0053】表3は接合条件を記載した一覧表である。
同表において、管P3−1〜P3−3は、上記したよう
に、管P3に対して冷間加工度を変えることにより降伏
強さ(耐力)の異なる供試管3本としたものである。表
3の番号は、同種の管どうしを各種の接合条件により接
合した接合部の試験体の番号を表す。以後の説明で番号
というとき、その番号に対応する接合部の試験体を指す
ものとする。
【0054】
【表3】
【0055】接合条件は、加熱温度1250℃(表2の
溶射膜の融点以上で、上記した管の融点以下)、加圧力
15MPa、保持時間100秒間、窒素ガスシールドを
本実施例における本発明方法の基本条件とした。接合材
または接合条件が、本発明例から外れる比較例は、接合
条件特記として記載するような条件で行った。それらの
比較例は下記のとおりである。
【0056】番号8、9:接合材(溶射膜)の厚さが範
囲外。
【0057】番号10:加熱温度が溶射膜M2−1の融
点1140℃より低い。
【0058】番号11:圧縮応力が5MPa未満。
【0059】番号12:接合時間が80秒未満番号1
3:接合材無し。
【0060】番号14:不活性ガスのシールド無し。
【0061】番号15:接合材がめっき膜。
【0062】図3は引張試験片の形状を表す図面であ
る。同図に示すように、試験片中央に接合部4が位置す
るように採取する。
【0063】図4は曲げ試験片の形状を表す図面であ
る。同試験片においても、接合部4の健全度を評価する
ため接合部は試験片中央とした。
【0064】図5は実体疲労試験における実体疲労試験
片の形状を表す図面である。本疲労試験は、番号6、7
および15に対してのみ(管P4および管P5)、油井
で使用する場合の応力負荷を模擬した条件にて実施し
た。すなわち、4点曲げにより試験中央部(接合部)で
の最大応力が200MPaとなる負荷条件とした。同図
中の矢印は、管に対する4点曲げの曲げ応力の載荷位置
および方向を表す。
【0065】図6は応力腐食割れ試験片の形状を表す図
面である。応力腐食割れ(SCC)試験は下記の(イ)
および(ロ)の2種類を行った。
【0066】(イ)管P1、管P2および管P3に対し
て(番号1〜5および8〜14)、油井中の環境を模擬
した150℃の〔25%NaCl+0.5%CH3 CO
OH+7atmH2 S水溶液〕中で、歪速度4×10-6
(1/秒)とする定速引張を行い、破断後の試験片内の
SCCによる亀裂の有無を調査。
【0067】(ロ)管P4および管P5に対して(番号
6、7、および15)、環境〔5%NaCl+0.5%
CH3 COOH溶液〕中にて、85%の最小規格降伏強
さ(Specified Minimum Yield
Stress)を負荷する定荷重試験を行い、720
時間経過後、試験片内の亀裂の有無を調査。
【0068】表4は、これら試験の結果を表す一覧表で
ある。同表に記載した試験結果の判定は以下に基づいて
行った。
【0069】接合部を含む引張強さは、母材引張強さ
の90%以上あること。同時に破断位置が母材(母材破
断)であること。
【0070】表4の継手強度の欄の( ) 内の数値は継手
強度の母材強度に対する比率(%)を表す。例えば (9
5) などは継手強度が母材強度の95%であることを示
す。
【0071】側曲げ試験(密着曲げ)後に接合界面に
割れ等がないこと。
【0072】接合界面に割れがない場合、表4の側曲げ
性の欄において、“良好”と表示。
【0073】実体疲労試験(番号6、7および15の
み実施)において、曲げ応力200MPaで106 回未
満の繰り返し数で破断を生じないこと。
【0074】2種類の応力腐食割れ試験とも、SCC
を発生しないこと。
【0075】表4によれば、引張試験において、比較例
の中に母材破断を生じる接合強度の高いものもあるが、
側曲げ試験ではいずれも割れが発生した。また、実体疲
労試験において、本発明例では、番号6と7のいずれも
106 回まで割れを発生しなかったのに対して、比較例
(番号15)では、繰り返し数7×104 回で破断を生
じた。
【0076】また、SCC試験では、(a)インサート
材が厚い場合(番号8)、(b)加熱温度が低い場合
(番号10)および(c)ガスシールドを行わなかった
場合(番号14)において、応力腐食割れが発生した。
【0077】これらの結果は、本発明方法によれば接合
時間を短縮したうえで信頼性の高い接合部が得られるこ
とを示している。
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】本発明により、油井現場において接合材
料を別に用意し接合部に挿入する操作を行わずに拡散接
合により、油井管の長尺化を短時間に簡便容易に行え、
またねじ継手では長尺化が困難なコイルドチュービング
等にも適用でき、原油および天然ガス採掘のコストを下
げるのに有益な効果を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、拡散接合中の接合部を模式的に表した
断面図である。
【図2】図2は、本発明方法の実施に用いた装置の概略
を表す図面である。
【図3】図3は、引張試験片の形状を表す図面である。
【図4】図4は、曲げ試験片の形状を表す図面である。
【図5】図5は、実体疲労試験における実体疲労試験片
の形状を表す図面である。
【図6】図6は、応力腐食割れ試験片の形状を表す図面
である。
【符号の説明】
1…凝固相 2…溶融相 3…拡散層 4…接合部(接合前および接合後) 11…加熱コイル兼ガスシールド治具、 12…管、 13…冷却用ジャケット、 14…クランプ、 15…高周波電源、 16…制御盤、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 4/18 C23C 4/18 F16L 13/02 F16L 13/02 (72)発明者 小溝 裕一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−276282(JP,A) 特開 平6−218559(JP,A) 特開 平7−314157(JP,A) 特開 平7−1159(JP,A) 特開 平5−293672(JP,A) 特開 平5−220584(JP,A) 特開 平3−8555(JP,A) 特開 平6−145915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/00 - 20/14 F16L 13/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片側または両側の管端の表面に管より融点
    の低い、B:0.5〜7重量%を含む合金よりなる厚さ
    5〜100μmの溶射膜が施された管同士を突き合わせ
    た接合部を、溶射膜の融点以上で管の融点以下の温度に
    不活性ガス雰囲気中で加熱し、その接合部において管軸
    方向に5〜50MPaの圧縮応力を保ちながら80秒間
    以上保持し放冷することを特徴とする油井管の接続方
    法。
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