JP3021057U - 頭蓋内病変の境界目印用マーキング挿入体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガイド筒内に挿入配置されて、頭蓋内病変摘
出のため、摘出術前に脳内あるいは病変部の目的部位ま
で目印としてガイド筒とともに挿入される頭蓋内病変の
境界目印用マーキングチューブにおいて、留置状態での
抜け出し力に強くて簡単に抜けるようなことがなく、挿
入も容易に行えるようにすること。 【構成】 この頭蓋内病変の境界目印用マーキングチュ
ーブ１は、所定長さのシリコーンゴム製チューブ本体３
の先端部にチューブ本体より径大に形成されて、ガイド
筒２内への挿入配置に際してガイド筒の先端開口部に係
止し、かつ先端が丸あるいはそれに準じ、脳組織の損傷
を減じる形状の造影性の先端チップ５を設け、この先端
チップの先端からチューブ本体の基端側にかけて長さを
表示する目盛７を施している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ガイド筒内に挿入配置されて、頭蓋内病変摘出のため、摘出術前 に脳内あるいは病変部の目的部位まで目印としてガイド筒とともに挿入される頭 蓋内病変の境界目印用マーキング挿入体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

前記のような頭蓋内病変の境界目印用マーキング挿入体の一例として、図４に 示すようなマーキングチューブ01が知られている。このマーキングチューブ01は チューブ本体03の先端部にチューブ本体とほぼ同径の造影性先端チップ05を有し 、かつ先端チップの先端からチューブ本体の基端側にかけて長さを表示する目盛 07を施している。通常、このタイプのマーキングチューブ01は、ガイド筒を用い ずに、チューブ本体03内に図示しないスタイレットを挿入して脳内あるいは病変 部の目的部位まで挿入される。そして、マーキングチューブ01の挿入が終わり留 置された状態となると、スタイレットが抜き取られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記のマーキングチューブ01は、留置状態で抜け出し力に抗するも のが何もないので、一旦抜け出し力がかかると簡単に抜け出てしまい、目印とし ての役割を果たし得なかった。しかも、挿入に際してもスタイレットを挿入して 行うこととなるが、その挿入が不便で取扱にくい等、幾多の問題があった。

【０００４】 そこでこの考案は、前記のような従来の問題点を解決し、留置状態での抜け出 し力に強くて簡単に抜けるようなことがなく、挿入も容易に行える頭蓋内病変の 境界目印用マーキング挿入体を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記の目的を達成するため、請求項１の考案は、所定長さのシリコーンゴム製 本体を有し、この本体の先端部に本体より径大に形成されて、ガイド筒内への挿 入配置に際してガイド筒の先端開口部に係止し、かつ先端が丸あるいはそれに準 じ、脳組織の損傷を減じる形状の造影性の先端チップを設け、この先端チップの 先端から本体の基端側にかけて長さを表示する目盛を施している。

【０００６】 請求項２の考案は、請求項１において、先端チップが半球体状又は傘状のもの からなっている。請求項３の考案は、請求項１又は２において、先端チップの外 径がガイド筒の外径よりわずかに大きくなっている。

【０００７】

【実施例】

図１はこの考案の一実施例の頭蓋内病変の境界目印用マーキングチューブをガ イド筒とともにその長さの一部を省略して示す正面図、図２はマーキングチュー ブをガイド筒内に挿入配置した状態の一部省略の正面図である。１はマーキング 挿入体としてのマーキングチューブ、２は両端が開口した円筒状のガイド筒であ る。マーキングチューブ１は全体が柔軟なシリコーンゴムからなる所定長さＬ（ 例えば450mm）のチューブ本体３を有している。チューブ本体３の先端部にはチ ューブ本体３より径大の先端チップ５が接着により設けられている。すなわち、 この先端チップ５は先端が丸くなった半球体状に形成され、その平坦面側がチュ ーブ本体３の先端面に接着されている。先端チップ５の接着された側の外径Ｄは ガイド筒２の外径ｄよりわずかに大きくなっていて、ガイド筒２内への挿入配置 に際してガイド筒２の先端開口部に係止するようになっている。先端チップ５の 外径Ｄとガイド筒２の外径ｄは数１の関係になっており、ΔＤ（デルタＤ）があ ることによりガイド筒２の抜去に際してマーキングチューブ１がともに抜けるの が防止される。このΔＤはガイド筒２の大きさにより多少の増減があり得ること 勿論である。

【０００８】

【数１】 Ｄ−ｄ／２＝ΔＤ≧０

【０００９】 先端チップ５はシリコーンゴムにタングステンや硫酸バリウム等の造影剤が練 り混まれており、造影性有るものに形成されている。先端チップ５はこの例では 前記のように半球体状に形成したが、これは一例であって他に例えば傘状に形成 してもよいことは言うまでもない。チューブ本体３の外表面には先端チップの５ 先端からの長さを表示する目盛７が施されている。この目盛７は図３に示すよう に腫瘍イと正常組織との境界ロから頭蓋骨ハの開口部ニまでの距離を示すととも に、術中において術者に境界ロまでの距離がどの程度あるのかの把握のために設 けられるものである。

【００１０】 ガイド筒２は例えばステンレス等の金属やウレタン等の硬質プラスチックなど 剛性のある材質のものから形成され、腰のないシリコーンゴムからなっているマ ーキングチューブ１のチューブ本体３を支障なく挿入案内することができるよう になっている。

【００１１】 前記したマーキングチューブ１を用いる作用を図３を参照して説明する。頭蓋 内病変摘出のため、摘出術前に、まず、マーキングチューブ１を図２のように先 端チップ５をガイド筒２の先端開口部に係止させてガイド筒２内に挿入する。こ のようなマーキングチューブ１入りガイド筒２を所定本数用意する。しかる上で 、マーキングチューブ１入りガイド筒２を１本ずつ開頭した頭蓋骨ハの開口部ニ から腫瘍イに向けて３次元的に挿入し、先端チップ５の先端が腫瘍イと正常組織 との境界ロに到達するようにする。すなわち、挿入に際してガイド筒２を押すよ うにすればマーキングチューブ１の先端チップ５がガイド筒２の先端開口面で押 される形になり、同時挿入が可能となる。この挿入に際しては造影性のある先端 チップ５がＸ線で写るので、透視下に挿入することも可能である。通常は定位脳 手術装置を用いて挿入するが、挿入後、ＣＴ、ＭＲＩで写るのでこれらの装置で の確認もできる。そして、腫瘍イが輪郭のはっきりしたきれいな組織の場合には 挿入本数は４〜５本程度でよいが、凹凸の激しい組織の場合にはそれなりの本数 を挿入する。このように従来とは異なり、マーキングチューブ１をガイド筒２を 介して、しかもこれと同時に挿入するので、挿入がきわめて容易となる。

【００１２】 挿入後はガイド筒２を抜き取り、マーキングチューブ１のみが挿入留置された 状態にする。これで頭蓋内病変摘出術前の作業が終了し、後は超音波吸引器や電 気メス等による腫瘍の切徐が行われることとなるが、その切徐作業においては前 記のようにマーキングチューブ１の先端チップ５の先端が的確に腫瘍イと正常組 織との境界ロに到達しているので、３次元的な方向付けがつけ易く、腫瘍摘出範 囲の判断に非常に有用である。切徐作業自体は従来から行われている通りである ので、その説明は省略する。マーキングチューブ１が前記のように留置された状 態あるいは切徐作業中にマーキングチューブ１に抜き出し力がかかった場合には 、先端チップ５の径大となった外縁部が腫瘍イ組織に対して抵抗力を発揮し、抜 け出し力に抗するので、抜けたり外れたりするようなことがない。

【００１３】 尚、前記実施例ではマーキング挿入体としてマーキングチューブ１を示したが 、チューブ状のものでなく、ロッド状のものでもよいことは勿論である。また、 前記実施例の先端チップ５も図示しない金型を用いてチューブ本体３と一体に成 形してもよい。

【００１４】

【考案の効果】

請求項１ないし３の考案は、前記のような構成からなるので、留置状態での抜 け出し力に強くなって、従来のように簡単に抜けるようなことがなくなる。また 、マーキング挿入体をガイド筒を介して、しかも同時に挿入可能なので、挿入も 容易に行えるのに加え、太さも従来のものに比して小さくできるので、複数本の 挿入も可能であるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の頭蓋内病変の境界目印用
マーキングチューブをガイド筒とともにその長さの一部
を省略して示す正面図である。

【図２】マーキングチューブをガイド筒内に挿入配置し
た状態の一部省略の正面図である。

【図３】作用説明図である。

【図４】従来の頭蓋内病変の境界目印用マーキングチュ
ーブを一部省略して示す正面図である。

【符号の説明】

１ 頭蓋内病変の境界目印用マーキングチューブ ２ ガイド筒 ３ チューブ ５ 先端チップ ７ 目盛

フロントページの続き (72)考案者 脇 崇 神奈川県横浜市戸塚区秋葉町472番地 富 士システムズ株式会社 研究所内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガイド筒内に挿入配置されて、頭蓋内病
   変摘出のため、摘出術前に脳内あるいは病変部の目的部
   位まで目印としてガイド筒とともに挿入されるものであ
   って、所定長さのシリコーンゴム製本体を有し、この本
   体の先端部に本体より径大に形成されて、ガイド筒内へ
   の挿入配置に際してガイド筒の先端開口部に係止し、か
   つ先端が丸あるいはそれに準じ、脳組織の損傷を減じる
   形状の造影性の先端チップを設け、この先端チップの先
   端から本体の基端側にかけて長さを表示する目盛を施し
   たことを特徴とする頭蓋内病変の境界目印用マーキング
   挿入体。
2. 【請求項２】 先端チップが半球体状又は傘状のものか
   らなっている請求項１記載の頭蓋内病変の境界目印用マ
   ーキング挿入体。
3. 【請求項３】 先端チップの外径がガイド筒の外径より
   わずかに大きくなっている請求項１又は２記載の頭蓋内
   病変の境界目印用マーキング挿入体。