JP3019739B2 - 掘削工具及びその製造方法 - Google Patents
掘削工具及びその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩耗寿命を大きく向上
させた掘削工具と、その工具の製造方法に関する。
させた掘削工具と、その工具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】掘削工具、中でもカッタービットはその
利用範囲が広い。そこで、以下の説明は、掘削工具を代
表してこのカッタービットについて行う。
利用範囲が広い。そこで、以下の説明は、掘削工具を代
表してこのカッタービットについて行う。
【0003】このカッタービットは、摩耗による交換頻
度が高いと掘削機の稼動率が低下し、工事費も増加す
る。また、シールドトンネル掘進機の掘削面板に取付け
るものは、切羽面に高水圧が作用しているなどの理由で
掘進途中での交換自体が許容されないこともある。
度が高いと掘削機の稼動率が低下し、工事費も増加す
る。また、シールドトンネル掘進機の掘削面板に取付け
るものは、切羽面に高水圧が作用しているなどの理由で
掘進途中での交換自体が許容されないこともある。
【0004】このため、カッタービットの耐摩耗性を高
める工夫が色々となされている。
める工夫が色々となされている。
【0005】このカッタービットの一般的なものは、S
S材(一般構造用圧延鋼材)やS−C材(機械構造用圧
延鋼材)を台金とし、これに超硬合金製の掘削刃を鑞付
けしてある。しかし、これは台金が摩耗し易い。そこ
で、実公平5−26155号公報、実開平6−7469
8号公報、実公平6−13907号公報等に示されるよ
うに、台金の摩耗防止策として、土砂の擦過が起こる部
分に刃とは別の超硬合金板を貼りつけたり、台金よりも
硬い溶接材で硬化肉盛りを行ったりしている。
S材(一般構造用圧延鋼材)やS−C材(機械構造用圧
延鋼材)を台金とし、これに超硬合金製の掘削刃を鑞付
けしてある。しかし、これは台金が摩耗し易い。そこ
で、実公平5−26155号公報、実開平6−7469
8号公報、実公平6−13907号公報等に示されるよ
うに、台金の摩耗防止策として、土砂の擦過が起こる部
分に刃とは別の超硬合金板を貼りつけたり、台金よりも
硬い溶接材で硬化肉盛りを行ったりしている。
【0006】このほか、最近では、台金表面に硬化金属
の溶射やイオンプレーティング処理を施したり、超硬合
金粒を盛固めると云う方法も研究され、また、特殊鋼材
としてJIS SKC24を使い、750℃〜850℃
の鑞付け温度に加熱した後、常温中で空冷して焼入硬化
することも実施されている。
の溶射やイオンプレーティング処理を施したり、超硬合
金粒を盛固めると云う方法も研究され、また、特殊鋼材
としてJIS SKC24を使い、750℃〜850℃
の鑞付け温度に加熱した後、常温中で空冷して焼入硬化
することも実施されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】SS材やS−C材やS
CM材(クロム・モリブデン鋼)から成る台金は、焼入
れ硬化を施してあっても、表面に耐摩耗層を設けるため
の予熱や溶接肉盛等によって加熱され、焼戻し状態にな
って硬度が低下する。また、超硬合金の銀鑞による鑞付
け温度が600℃以上(一般には700℃〜850℃)
になるため、鑞付け時の熱で鑞付け部周辺が焼き鈍し状
態になってしまう。例えば、よく使われるJIS SC
M440では焼入時のロックウェル硬さHRc50が鑞
付け後はHRc18程度まで軟化する。
CM材(クロム・モリブデン鋼)から成る台金は、焼入
れ硬化を施してあっても、表面に耐摩耗層を設けるため
の予熱や溶接肉盛等によって加熱され、焼戻し状態にな
って硬度が低下する。また、超硬合金の銀鑞による鑞付
け温度が600℃以上(一般には700℃〜850℃)
になるため、鑞付け時の熱で鑞付け部周辺が焼き鈍し状
態になってしまう。例えば、よく使われるJIS SC
M440では焼入時のロックウェル硬さHRc50が鑞
付け後はHRc18程度まで軟化する。
【0008】この鑞付けによる軟化があるため、従来の
カッタービットは殆どのものが台金表面にそれより硬い
金属を付着結合させているが、この方法では、耐摩耗性
が高いのは表層部だけであるのでビットの寿命を大きく
延ばすのが難しい。表面の耐摩耗層が摩滅すると、その
層を付着させる際の熱で軟化が更に進んでいる合金が急
速に摩耗する。
カッタービットは殆どのものが台金表面にそれより硬い
金属を付着結合させているが、この方法では、耐摩耗性
が高いのは表層部だけであるのでビットの寿命を大きく
延ばすのが難しい。表面の耐摩耗層が摩滅すると、その
層を付着させる際の熱で軟化が更に進んでいる合金が急
速に摩耗する。
【0009】常温中の空冷で硬化するJIS SKC2
4を使った台金も、硬さがHRc56程度であり、HR
c60を越えるものはない。これは一般に多用されてい
るHV800(HRc64)級の溶接硬化肉盛よりも柔
らかい。従って、長寿命化のためには溶接肉盛等による
保護が必要であり、これにより上記と同様の問題が生じ
る。
4を使った台金も、硬さがHRc56程度であり、HR
c60を越えるものはない。これは一般に多用されてい
るHV800(HRc64)級の溶接硬化肉盛よりも柔
らかい。従って、長寿命化のためには溶接肉盛等による
保護が必要であり、これにより上記と同様の問題が生じ
る。
【0010】本発明は、台金の摩耗寿命を大きく向上さ
せ、これにより摩耗による交換頻度を下げ、或いは長距
離の連続掘削を可能ならしめたカッタービット等の掘削
工具と、その工具の製造方法を提供することを課題とし
ている。
せ、これにより摩耗による交換頻度を下げ、或いは長距
離の連続掘削を可能ならしめたカッタービット等の掘削
工具と、その工具の製造方法を提供することを課題とし
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明においては、従来は殆ど使用されていない高
速度鋼、工具鋼又はダイス鋼を台金材料として用いる。
また、これ等の鋼の特性である高硬度を維持するため
に、材料の焼入れ硬化と台金に対する超硬合金製掘削刃
の高融点鑞材による鑞付けを同時に行う。
め、本発明においては、従来は殆ど使用されていない高
速度鋼、工具鋼又はダイス鋼を台金材料として用いる。
また、これ等の鋼の特性である高硬度を維持するため
に、材料の焼入れ硬化と台金に対する超硬合金製掘削刃
の高融点鑞材による鑞付けを同時に行う。
【0012】具体的には、高速度鋼、工具鋼又はダイス
鋼から成る台金と超硬合金製掘削刃を、真空、非酸化
性、不活性、還元性のいずれかの雰囲気中又は塩浴中で
850℃以上の温度に加熱し、この焼入れのための加熱
で両者の間に介在した高融点鑞材を溶かし、その後、油
中又は水中への浸漬による冷却、もしくは、非酸化性ガ
ス、不活性ガス、還元性ガス、微浸炭性ガスの中から選
ばれた一種以上のガスによる冷却を行う。
鋼から成る台金と超硬合金製掘削刃を、真空、非酸化
性、不活性、還元性のいずれかの雰囲気中又は塩浴中で
850℃以上の温度に加熱し、この焼入れのための加熱
で両者の間に介在した高融点鑞材を溶かし、その後、油
中又は水中への浸漬による冷却、もしくは、非酸化性ガ
ス、不活性ガス、還元性ガス、微浸炭性ガスの中から選
ばれた一種以上のガスによる冷却を行う。
【0013】この方法で得られる掘削工具は、台金の全
体が焼入れ硬さを保持しており、優れた耐摩耗性を示
す。
体が焼入れ硬さを保持しており、優れた耐摩耗性を示
す。
【0014】
【作用】高速度鋼、工具鋼、或いはダイス鋼は、焼入れ
による硬化度がJIS SKC24よりも高い。しか
し、これ等の鋼種も焼入れ後に鑞付けを行うと、これに
よる再加熱で硬さが大きく低下してしまう。そこで、本
発明では、焼入れと鑞付けを同時に行って硬化度が高い
鋼種の特性を生かすようにした。焼入れのための加熱時
に鑞材を溶かし、1回の加熱で焼入れと鑞付けを終えて
しまえば再加熱を行う必要がなく、再加熱による硬度低
下がなくなってムクの台金が長時間の使用に耐えるもの
になる。
による硬化度がJIS SKC24よりも高い。しか
し、これ等の鋼種も焼入れ後に鑞付けを行うと、これに
よる再加熱で硬さが大きく低下してしまう。そこで、本
発明では、焼入れと鑞付けを同時に行って硬化度が高い
鋼種の特性を生かすようにした。焼入れのための加熱時
に鑞材を溶かし、1回の加熱で焼入れと鑞付けを終えて
しまえば再加熱を行う必要がなく、再加熱による硬度低
下がなくなってムクの台金が長時間の使用に耐えるもの
になる。
【0015】
【実施例】図1に、本発明の掘削工具の一例を示す。こ
れは、シールド掘削機用のカッタービットであって、台
金1の先端の座溝2に超硬合金製の掘削刃3を鑞付けし
て作られている。
れは、シールド掘削機用のカッタービットであって、台
金1の先端の座溝2に超硬合金製の掘削刃3を鑞付けし
て作られている。
【0016】台金1は、その材料に高速度鋼、工具鋼又
はダイス鋼を用いている。この台金1は、焼入れしてH
Rc60前後、或いはそれ以上に硬化させるので、掘進
機の掘削面板に溶接して取付けるものは溶接き裂が入る
ことが考えられ、このため、例示のビットは、座付きボ
ルト穴4を設けてボルト止めする構造にしている。ホル
ダに対する機械的固定は、勿論、このボルト止めに限定
されるものではない。
はダイス鋼を用いている。この台金1は、焼入れしてH
Rc60前後、或いはそれ以上に硬化させるので、掘進
機の掘削面板に溶接して取付けるものは溶接き裂が入る
ことが考えられ、このため、例示のビットは、座付きボ
ルト穴4を設けてボルト止めする構造にしている。ホル
ダに対する機械的固定は、勿論、このボルト止めに限定
されるものではない。
【0017】また、例示のビットは、加熱工程と冷却工
程との間に若干の移動距離があるので、移動中の振動で
掘削刃3が位置ずれしないように座溝2の溝底を山形に
し、掘削刃3をV溝嵌合させる構造にした。
程との間に若干の移動距離があるので、移動中の振動で
掘削刃3が位置ずれしないように座溝2の溝底を山形に
し、掘削刃3をV溝嵌合させる構造にした。
【0018】台金1に用いる鋼種は、その特性を生か
し、高硬度を得るために変態温度以上(焼入れ温度)に
加熱し、油中冷却等によりある程度急冷を行う。焼入れ
温度は鋼種によって異なり、低いもので850℃〜90
0℃、次に900℃〜1000℃、その上が1000℃
〜1200℃ぐらいである。このため、掘削刃3の接合
用鑞材も鋼種の焼入れ温度に応じたものを選択する必要
がある。鑞材の融点が焼入れ温度に比べてあまりに低い
と、焼入れ温度に達する前に溶けた鑞材が流出するなど
の事態が考えられ、好ましくない。
し、高硬度を得るために変態温度以上(焼入れ温度)に
加熱し、油中冷却等によりある程度急冷を行う。焼入れ
温度は鋼種によって異なり、低いもので850℃〜90
0℃、次に900℃〜1000℃、その上が1000℃
〜1200℃ぐらいである。このため、掘削刃3の接合
用鑞材も鋼種の焼入れ温度に応じたものを選択する必要
がある。鑞材の融点が焼入れ温度に比べてあまりに低い
と、焼入れ温度に達する前に溶けた鑞材が流出するなど
の事態が考えられ、好ましくない。
【0019】本発明で用いるのに適した高融点鑞材のい
くつかを表1にまとめて示す。
くつかを表1にまとめて示す。
【0020】
【表1】
【0021】この表1のNo1、No2の鑞材は焼入れ
温度850℃〜900℃、No3の鑞材は900℃〜1
000℃、No4の鑞材は1000℃〜1200℃の場
合に各々利用できる。
温度850℃〜900℃、No3の鑞材は900℃〜1
000℃、No4の鑞材は1000℃〜1200℃の場
合に各々利用できる。
【0022】例えば、高速度鋼(SKH3相当)は、焼
入れ温度が1180℃であるので表1の中ではNo4の
銅系鑞材がよく、また、ダイス鋼(SKD11相当)
は、焼入れ温度が1000℃〜1050℃であるのでN
o3の黄銅系鑞材がよい。
入れ温度が1180℃であるので表1の中ではNo4の
銅系鑞材がよく、また、ダイス鋼(SKD11相当)
は、焼入れ温度が1000℃〜1050℃であるのでN
o3の黄銅系鑞材がよい。
【0023】なお、ここに挙げた鑞材及び組合せはあく
までも一例に過ぎない。熱処理温度によっては、市販鑞
材の中からもっと細かな温度差をもつものを選択でき
る。
までも一例に過ぎない。熱処理温度によっては、市販鑞
材の中からもっと細かな温度差をもつものを選択でき
る。
【0024】次に、本発明の掘削工具の製造方法の具体
例について述べる。
例について述べる。
【0025】図2に示すように、台金1の座溝2(これ
は掘削刃をV溝嵌合させるもの)に鑞材5と表面に高温
用フラックスを塗布した超硬合金製掘削刃3を入れ、こ
れを、台金1の重量を掘削刃3で受ける図の状態(図と
は逆に溝2が上向きになる状態にしてもよい)にして図
3に示すような加熱台6上に並べてセットする。加熱台
6上の製品Aは振動で位置ずれしないように台上の保持
治具7で支え、また、保持治具7は台金1が自重で下向
きに動くのを許容するようにしておく。
は掘削刃をV溝嵌合させるもの)に鑞材5と表面に高温
用フラックスを塗布した超硬合金製掘削刃3を入れ、こ
れを、台金1の重量を掘削刃3で受ける図の状態(図と
は逆に溝2が上向きになる状態にしてもよい)にして図
3に示すような加熱台6上に並べてセットする。加熱台
6上の製品Aは振動で位置ずれしないように台上の保持
治具7で支え、また、保持治具7は台金1が自重で下向
きに動くのを許容するようにしておく。
【0026】次に、製品Aをセットし終えた加熱台6
を、図3に示すように加熱炉8に入れる。その後、加熱
炉8が真空炉なら真空引きを行い、ガス雰囲気炉なら酸
化防止のためのArガス、窒素ガスなどを炉内に充填
し、加熱を開始する。
を、図3に示すように加熱炉8に入れる。その後、加熱
炉8が真空炉なら真空引きを行い、ガス雰囲気炉なら酸
化防止のためのArガス、窒素ガスなどを炉内に充填
し、加熱を開始する。
【0027】その加熱で製品Aを昇温させ、適当な加熱
時間の保持で鑞材が溶け(鑞材が溶けると台金が重みで
降下して掘削刃3が座溝2に正しく着座する)、かつ製
品Aが焼入れ温度に達したら炉内より引出し、油槽9に
浸漬する。冷却は水槽に浸漬して行ってもよく、また、
非酸化性ガス、不活性ガス、還元性ガス、微浸炭性ガス
の中から選ばれた一種以上のガスを吹き付けて急冷して
もよい。
時間の保持で鑞材が溶け(鑞材が溶けると台金が重みで
降下して掘削刃3が座溝2に正しく着座する)、かつ製
品Aが焼入れ温度に達したら炉内より引出し、油槽9に
浸漬する。冷却は水槽に浸漬して行ってもよく、また、
非酸化性ガス、不活性ガス、還元性ガス、微浸炭性ガス
の中から選ばれた一種以上のガスを吹き付けて急冷して
もよい。
【0028】冷却後の製品Aは、台金1が焼入れされ、
掘削刃3は一旦溶けて毛管現象で接合面の全域に行き渡
り、その後再硬化した鑞材により台金1に強固に固着さ
れている。そこで、これを取り出し、仕上げ加工を施し
て完成品となす。
掘削刃3は一旦溶けて毛管現象で接合面の全域に行き渡
り、その後再硬化した鑞材により台金1に強固に固着さ
れている。そこで、これを取り出し、仕上げ加工を施し
て完成品となす。
【0029】なお、加熱は、高温ソルトバス(塩浴炉)
中で実施することもできる。
中で実施することもできる。
【0030】塩浴炉は、通電性のある塩化物の薬品に通
電し、その薬品を溶融させた液体熱処理炉であり、一般
に変態温度の高い鋼種の焼入れ加熱に多く用いられる。
電し、その薬品を溶融させた液体熱処理炉であり、一般
に変態温度の高い鋼種の焼入れ加熱に多く用いられる。
【0031】この塩浴炉を使用する場合の、処理液の組
成の一例を表2に示す。
成の一例を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】ダイス工具鋼はNo1の処理液で、高速度
鋼はNo2の処理液で各々処理することができる。
鋼はNo2の処理液で各々処理することができる。
【0034】この塩浴炉を用いる場合には、図4に示す
ような耐熱格子カゴ10に図のように台金1を置き、上
向きの座溝2に鑞材5を敷いてそこに表面に高温用フラ
ックスを塗布した超硬合金製掘削刃3を載せる。その
後、乾燥予熱を行い、これを図5に示すように塩浴炉1
1の処理液12中に浸漬する。炉11は、浴槽の内面に
耐熱レンガ13を貼り、槽内に通電用の電極14を挿入
してある。
ような耐熱格子カゴ10に図のように台金1を置き、上
向きの座溝2に鑞材5を敷いてそこに表面に高温用フラ
ックスを塗布した超硬合金製掘削刃3を載せる。その
後、乾燥予熱を行い、これを図5に示すように塩浴炉1
1の処理液12中に浸漬する。炉11は、浴槽の内面に
耐熱レンガ13を貼り、槽内に通電用の電極14を挿入
してある。
【0035】この塩浴炉では、溶けた鑞材が毛管現象で
接合面の頂部に至って頂部が濡れたこと、及び鑞材が溶
けた後掘削刃3が落ち込んで座溝2の底に正しく着座し
たことを目視確認することができ、また、金属棒等で浴
中の掘削刃3を直接押えたり動かしたりして着座不良等
を修正することもでき、処理がし易い。
接合面の頂部に至って頂部が濡れたこと、及び鑞材が溶
けた後掘削刃3が落ち込んで座溝2の底に正しく着座し
たことを目視確認することができ、また、金属棒等で浴
中の掘削刃3を直接押えたり動かしたりして着座不良等
を修正することもでき、処理がし易い。
【0036】塩浴中に入れた製品の接合面が鑞材で濡れ
たことを確認したら耐熱格子カゴ10を引き上げ、図3
の場合と同様、油槽浸漬等による冷却を行う。
たことを確認したら耐熱格子カゴ10を引き上げ、図3
の場合と同様、油槽浸漬等による冷却を行う。
【0037】以下は、より詳細な実施例である。
【0038】前述の塩浴炉を用い、図4、図5のように
して本発明の方法を実施した。台金1にはSKD11を
用い掘削刃3にはJIS E5相当の超硬合金を用い
た。また、掘削刃3は、図6のW、H、Tが25(W)
×25(H)×12(T)mmの大きさのものを4個座
溝2に並べて入れ、100mmの刃幅をもつカッタービ
ットとした。乾燥予熱の温度は約300℃とし、処理液
12は表2のNo1のものを1000℃に調温して用い
た。さらに、耐熱格子カゴ10は、接合面の頂部が溶け
た鑞材によって濡れた時点で引き上げ、すぐに油槽に移
して冷却した。
して本発明の方法を実施した。台金1にはSKD11を
用い掘削刃3にはJIS E5相当の超硬合金を用い
た。また、掘削刃3は、図6のW、H、Tが25(W)
×25(H)×12(T)mmの大きさのものを4個座
溝2に並べて入れ、100mmの刃幅をもつカッタービ
ットとした。乾燥予熱の温度は約300℃とし、処理液
12は表2のNo1のものを1000℃に調温して用い
た。さらに、耐熱格子カゴ10は、接合面の頂部が溶け
た鑞材によって濡れた時点で引き上げ、すぐに油槽に移
して冷却した。
【0039】この方法で得られたカッタービットの台金
硬さを調べたところ、いずれのサンプルも台金全域の硬
度分布がHRc58〜61の範囲に納まっていた。
硬さを調べたところ、いずれのサンプルも台金全域の硬
度分布がHRc58〜61の範囲に納まっていた。
【0040】また、別の実施例として、同様の準備を行
ったものを弱真空度の真空加熱炉を用いて図3の方法
で、1050℃に加熱し、さらに、油槽による冷却を行
った。
ったものを弱真空度の真空加熱炉を用いて図3の方法
で、1050℃に加熱し、さらに、油槽による冷却を行
った。
【0041】この真空炉による方法では、鑞材が溶融し
た瞬間を感知するのが難しく、加熱時間が長過ぎると接
合面から鑞材が散逸するなどの不具合が生じたが、この
方法でも加熱時間の調整で良好な製品を得ることができ
た。また、完成したビットの台金硬度はHRc60(H
V700)が確保されていた。
た瞬間を感知するのが難しく、加熱時間が長過ぎると接
合面から鑞材が散逸するなどの不具合が生じたが、この
方法でも加熱時間の調整で良好な製品を得ることができ
た。また、完成したビットの台金硬度はHRc60(H
V700)が確保されていた。
【0042】さらに、台金の材料をSKH3に代えての
実験も行った。ここでは焼入温度を1180℃とし、他
の条件は上と同様にして焼入れ及び同時鑞付け後、油槽
浸漬による冷却を行った。その結果、加熱を塩浴炉、真
空加熱炉のどちらで行った場合にも、台金硬度HRc6
4(HV800)が得られた。なお、高速度鋼について
は、HV900級の硬度を得ることも可能である。
実験も行った。ここでは焼入温度を1180℃とし、他
の条件は上と同様にして焼入れ及び同時鑞付け後、油槽
浸漬による冷却を行った。その結果、加熱を塩浴炉、真
空加熱炉のどちらで行った場合にも、台金硬度HRc6
4(HV800)が得られた。なお、高速度鋼について
は、HV900級の硬度を得ることも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、焼
入れによる硬化度が高い高速度鋼、工具鋼又はダイス鋼
で台金を形成し、更にこの台金の焼入れと同時に台金に
対する超硬合金製掘削刃の鑞付けを行うので、台金の焼
き戻し、焼き鈍しによる硬度低下が起こらず、従来の溶
接硬化肉盛と比べて遜色の無い硬度或いはそれに勝る高
硬度を台金の全体にもたせることができる。従って、ム
クの台金で長時間の掘削に耐え、1回の連続掘削での掘
削距離の延長や摩耗寿命による交換頻度の低減が図れ
る。
入れによる硬化度が高い高速度鋼、工具鋼又はダイス鋼
で台金を形成し、更にこの台金の焼入れと同時に台金に
対する超硬合金製掘削刃の鑞付けを行うので、台金の焼
き戻し、焼き鈍しによる硬度低下が起こらず、従来の溶
接硬化肉盛と比べて遜色の無い硬度或いはそれに勝る高
硬度を台金の全体にもたせることができる。従って、ム
クの台金で長時間の掘削に耐え、1回の連続掘削での掘
削距離の延長や摩耗寿命による交換頻度の低減が図れ
る。
【0044】また、台金表面の硬い金属による保護が不
要となり、かつ、焼入れと同時に鑞付けが完了するの
で、生産性も向上する。
要となり、かつ、焼入れと同時に鑞付けが完了するの
で、生産性も向上する。
【0045】なお、シールドトンネル掘進機によるトン
ネル掘削では、切羽面の状況によっては掘進途中でのビ
ット交換が許容されないことがある。この場合、トンネ
ルの掘進可能長さがビットの寿命によって決まってしま
うので、長距離掘進のために摩耗寿命の長いカッタービ
ットが要求されている。
ネル掘削では、切羽面の状況によっては掘進途中でのビ
ット交換が許容されないことがある。この場合、トンネ
ルの掘進可能長さがビットの寿命によって決まってしま
うので、長距離掘進のために摩耗寿命の長いカッタービ
ットが要求されている。
【0046】本発明の掘削工具はこの要求に応えること
ができ、掘進距離の延長、掘削機或いは掘進機の稼動率
向上の効果をもたらす。
ができ、掘進距離の延長、掘削機或いは掘進機の稼動率
向上の効果をもたらす。
【図1】(a):本発明の掘削工具の一例(カッタービ
ット)を示す斜視図 (b):同上の工具の平面図 (c):同上の工具の正面図
ット)を示す斜視図 (b):同上の工具の平面図 (c):同上の工具の正面図
【図2】台金、掘削刃、鑞材のセット状態の一例を示す
図
図
【図3】真空炉又はガス雰囲気炉による製造方法の概略
図
図
【図4】塩浴炉に浸漬する場合の工具のセット状態を示
す図
す図
【図5】塩浴炉による熱処理の概略図
【図6】試作カッタービットの掘削刃の寸法説明図
1 台金 2 座溝 3 超硬合金製掘削刃 5 鑞材 6 加熱台 7 保持治具 8 加熱炉 9 油槽 10 耐熱格子カゴ 11 塩浴炉 12 処理液 13 耐熱レンガ 14 電極 A 処理する前の製品
Claims (2)
- 【請求項1】 台金が高速度鋼、工具鋼又はダイス鋼か
ら成り、この台金に超硬合金製の掘削刃を高融点鑞材で
固着して作られており、さらに、台金は焼入れ硬さを保
持していることを特徴とする掘削工具。 - 【請求項2】 高速度鋼、工具鋼又はダイス鋼から成る
台金と超硬合金製掘削刃を、真空、非酸化性、不活性、
還元性のいずれかの雰囲気中又は塩浴中で850℃以上
の温度に加熱し、この焼入れのための加熱で両者の間に
介在した高融点鑞材を溶かし、その後、油中又は水中へ
の浸漬による冷却、もしくは、非酸化性ガス、不活性ガ
ス、還元性ガス、微浸炭性ガスの中から選ばれた一種以
上のガスによる冷却を行うことを特徴とする掘削工具の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32471194A JP3019739B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 掘削工具及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32471194A JP3019739B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 掘削工具及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08177367A JPH08177367A (ja) | 1996-07-09 |
JP3019739B2 true JP3019739B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=18168860
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32471194A Expired - Fee Related JP3019739B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 掘削工具及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3019739B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112760459A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-05-07 | 宜兴市鼎锋模具制造有限公司 | 高速钢工具及其加钨方法 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP32471194A patent/JP3019739B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08177367A (ja) | 1996-07-09 |
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