JP3018780B2 - 主蒸気止め弁のカップリング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、火力，原子力発電タ
ービンの入口に設置され、ボイラからの蒸気の供給と遮
断の役目をする主蒸気止め弁のカップリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、蒸気タービンの主蒸気止め弁と蒸
気加減弁は同一のケーシングに組み込まれ、この複合弁
ケーシングは袋ナットで高圧タービンに接続されてい
る。主蒸気止め弁の機能は、タービンの過速度トリップ
またはその他の保安装置が作動した危急の場合に、ター
ビンへ流入する蒸気を瞬時に遮断することにある。ボイ
ラから導かれた主蒸気は、複合弁ケーシングに流入し、
主蒸気止め弁を経て蒸気加減弁に流入する。

【０００３】弁ケーシングに内蔵する弁座に弁体を押し
付けまたは分離することにより、主蒸気止め弁を開閉し
ている。弁体には弁棒が取り付けられ、この弁棒と連結
棒とをカップリングで結合させている。圧縮ばねにより
連結棒に取り付けたばね座を押し付け、弁棒に固定され
た弁体を押し付けて弁を閉じ、連結棒の端部に取り付け
たＥＨアクチュエータにより弁棒を引っ張ることによ
り、弁体を移動させ主蒸気止め弁を開く。

【０００４】図３は従来の主蒸気止め弁のカップリング
の断面図である。図３において、連結棒１の端部には図
示しないＥＨアクチュエータを備える。ＥＨアクチュエ
ータは電気信号を油圧に変換するコンバータと配圧弁と
からなり、電気出力信号をコンバータにより油圧に変換
し、圧油をサーボモータに送り、連結棒を移動させるこ
とにより主蒸気止め弁を開閉する。カップリングの組立
は以下の順序で行う。

【０００５】先ず弁棒４にしめボルト２を嵌め、弁棒４
にナット３を取り付ける。次いで連結棒１を弁棒４の外
側に挿入し連結棒１の内径側としめボルト２の外径側と
をねじで結合させ、さらに連結棒１にふた５を取り付け
る。連結棒１を引っ張るときしめボルト２はナット３に
当たり、弁棒４を引っ張って図示しない弁体を開くこと
ができる。連結棒１を押付けると弁棒４に取り付けた弁
体が移動して主蒸気止め弁を閉じる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来は、連結棒１の端
面１ａと弁棒４に取り付けられたナットの端面３ａとは
平面であった。このため主蒸気止め弁の組立時のカップ
リングの芯出しにおいては、弁本体側の弁棒４とアクチ
ュエータ側の連結棒１とを平面同志で接触させて同一芯
を得る必要があり、特に連結棒１と弁棒４の軸芯間に傾
きがあると端面同士の片当たりにより弁棒４に横向きの
力が作用し、スムーズな弁の開閉ができなくなるため、
極めて精密な芯出し作業が必要であった。

【０００７】この発明は、主蒸気止め弁のカップリング
の芯出し作業を簡略化し、かつアクチュエータから弁棒
に作用する力を常に均一にするカップリングを提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、蒸気タービ
ンの入口に配置される主蒸気止め弁の弁棒と連結棒とを
結合するカップリングにおいて、前記連結棒にねじ込ま
れ胴部の外径側にねじが刻まれたユニオンソケットと、
前記弁棒に緩く挿入され胴部の内径側にねじが刻まれた
ユニオンナットと、前記弁棒の端部に取り付けられたナ
ットとからなり、前記ユニオンソケットとユニオンナッ
トとは前記ねじを介して互いに結合されるとともに、互
いに対向する前記連結棒の端面と前記弁棒の端面とはい
ずれか一方が球面に、また他方が平面に形成され、かつ
前記ユニオンナットと前記ナットとの間には軸方向に隙
間が設けられることによって、上記目的を達成する。

【０００９】

【作用】この発明においては、連結棒または弁棒の端面
の一方を球面としたので、連結棒と弁棒の軸芯間に傾き
があっても一方の球面と他方の平面との接触により、弁
を閉じるときの押し付け力を常に弁棒の軸方向に作用さ
せることができ、またユニオンナットを弁棒に緩く挿入
し、かつこのユニオンナットと弁棒の端部に取り付けた
ナットとの間には軸方向に隙間を設けて弁棒と連結棒と
の結合に緩みを与えたので、連結棒で弁棒を引っ張って
弁を開くときに、弁棒に作用する引張力をその軸芯に沿
わせることができ、カップリングの芯出し作業をある程
度簡略化しても、連結棒から弁棒に作用する力を常に均
一にすることができる。

【００１０】

【実施例】実施例１ 図１はこの発明の連結棒の端面を球面とした実施例によ
る主蒸気止め弁のカップリングの断面である。図１にお
いて、カップリングは端面１ａが球面の連結棒１にねじ
込まれ、胴部の外周部にねじが刻まれたユニオンソケッ
ト６と、その端面４ａが平面の弁棒４に緩く挿入され胴
部の内径側にねじが刻まれたユニオンナット７と、弁棒
４の端部に取り付けられるナット８とからなる。組立は
次の順序で行う。弁棒４にユニオンナット７を挿入し、
次いでナット８を弁棒４に締め付ける。さらに連結棒１
にユニオンソケット６をねじ込み、ユニオンナット７の
ねじとユニオンソケット６のねじとを噛み合わせ、連結
棒の端面１ａを弁棒の端面４ａと接触させる。この状態
でユニオンナット７とナット８との間には隙間があいて
いる。

【００１１】実施例２ 図２は弁棒４の端面４ａを球面とし、連結棒１の端面１
ａを平面とした実施例を示すもので、その他の構成は図
１と同じである。

【００１２】

【発明の効果】この発明においては、主蒸気止め弁の弁
棒とアクチュエータ側の連結棒とをユニオンソケットと
ユニオンナットトリップを介して緩く結合し、かつ連結
棒または弁棒の一方の端面を球面としたことにより、両
者の芯ずれが自動的に吸収されるので、カップリングの
芯出しが簡略化され、かつアクチュエータ側の連結棒を
介して弁棒に作用する力は常に均一となり、主蒸気止め
弁の遮断性能を高める。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施例による主蒸気止め弁の
カップリングの断面図である。

【図２】この発明の第２の実施例による主蒸気止め弁の
カップリングの断面図である。

【図３】従来の主蒸気止め弁のカップリングの断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 連結棒 １ａ 連結棒の端面 ４ 弁棒 ４ａ 弁棒の端面 ６ ユニオンソケット ７ ユニオンナット ８ ナット

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蒸気タービンの入口に配置される主蒸気止
   め弁の弁棒と連結棒とを結合するカップリングにおい
   て、 前記連結棒にねじ込まれ胴部の外径側にねじが刻まれた
   ユニオンソケットと、前記弁棒に緩く挿入され胴部の内
   径側にねじが刻まれたユニオンナットと、前記弁棒の端
   部に取り付けられたナットとからなり、前記ユニオンソ
   ケットとユニオンナットとは前記ねじを介して互いに結
   合されるとともに、互いに対向する前記連結棒の端面と
   前記弁棒の端面とはいずれか一方が球面に、また他方が
   平面に形成され、かつ前記ユニオンナットと前記ナット
   との間には軸方向に隙間が設けられたことを特徴とする
   主蒸気止め弁のカップリング。