JP3017437B2 - 薄膜形成装置のターゲット保持機構 - Google Patents

薄膜形成装置のターゲット保持機構

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JP3017437B2
JP3017437B2 JP7337948A JP33794895A JP3017437B2 JP 3017437 B2 JP3017437 B2 JP 3017437B2 JP 7337948 A JP7337948 A JP 7337948A JP 33794895 A JP33794895 A JP 33794895A JP 3017437 B2 JP3017437 B2 JP 3017437B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば超高密度集積回
路の製造に用いられる薄膜形成装置に関するものであ
り、さらに詳細には薄膜形成のスパッタリング時に用い
られるターゲットの保持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば図30に示すように薄膜形
成室(プロセスチャンバ)2301内に配設されたホル
ダ2302にターゲット2303を取り付ける場合、一
般にボルト2304とナット2305によるネジ止め手
段が用いられ、ターゲットがネジ止めされた後、プロセ
スチャンバ2301内を真空にしてウエハ2306の表
面にスパッタリングによる薄膜を形成するようにしてい
る。
【0003】したがって薄膜の種類に応じてターゲット
の交換を行なう場合、ボルト2304とナット2305
との結合を外して新たなターゲットに交換するために
は、プロセスチャンバ2301内に一旦大気を導入する
必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来技術の構成によると、ターゲットに交換の度にプロ
セスチャンバ2301内に大気導入を図る必要があるの
で、スループットの低下を招くばかりでなく、大気によ
りチャンバ内が汚染される機会が生じ、高品質な薄膜形
成の妨げとなるという問題点がある。
【0005】また、従来の構成ではターゲット表面側に
露出したボルト等がターゲットと共にスパッタされ、薄
膜の品質低下を招来させる原因となるという問題点があ
る。
【0006】なお、かかる品質低下を防ぐべく、結合用
のボルト等をターゲットと同一材料で形成するという手
段が知られているが、かかる手段ではターゲットの純度
を上げる程ボルト等の成形加工が困難となる。特に、タ
ーゲットの材料を例えば6N〜7N以上の純度まで高純
度化すると、各結晶粒の大きさが例えば数ミリ以上とな
る。したがって、かかる高純度の材料は加工の際に結晶
粒界にそって割れ易くなるため複雑な加工が不可能であ
り、ボルト等の細い加工の必要とされる部品は、3N程
度まで純度を下げた材料を用いざるを得ず、これに応じ
てターゲットの純度も低下させざるを得ないという問題
がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
におけるスループット低下や薄膜の品質低下等の課題を
解決すべくなされたものであり、減圧室内にウエハとタ
ーゲットとを対向するように配設し、該ターゲットの材
料を前記ウエハの面に堆積するように構成された薄膜形
成装置において、前記減圧室内に配設されるホルダに、
前記ターゲットを磁気吸引力により吸着させる磁気吸着
手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
【作用】例えばターゲットストッカから移送されたター
ゲットをターゲットホルダに対向させると、ターゲット
の磁性部分が磁気吸着手段により吸引され、ターゲット
は減圧室内で真空状態を変えることなくターゲットホル
ダに吸着される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0010】図1は本発明に係る薄膜形成装置のシステ
ム構成図である。図1の装置は、4個の減圧室(プロセ
スチャンバ)、すなわち金属薄膜用スパッタチャンバ1
01a、絶縁薄膜用スパッタチャンバ101b、クリー
ニングチャンバ101c、および酸化チャンバ101d
を有している。102はウエハのローディングチャンバ
であり、ウエハを装置にセットする際に用いられる。ま
た103はアンロードチャンバであり、ウエハを装置よ
り取り出す際に用いられるチャンバである。104はト
ランスポートチャンバであり、上記の4つのプロセスチ
ャンバのそれぞれ所定のチャンバへウエハを搬送するの
に用いられ、ウエハ106cの搬送には、例えば後述す
る静電吸着型のウエハチャック114等を用いて行なわ
れる。すなわち、ウエハチャック114によってウエハ
を吸着した後、例えば磁気浮上方式の搬送機構を用いて
所定のチャンバのウエハホルダ107a〜107dの上
にウエハをセットする。ここで、各ウエハホルダ107
a〜107dは、先の静電吸着の手法によりウエハを吸
着保持し、次いで、対応するプロセスチャンバのゲート
バルブ105a〜105d(プロセスチャンバ101a
のゲートバルブ105aは図示されていない)を開いた
後、ウエハホルダ(107a等)全体が上昇してウエハ
を所定のプロセスチャンバ101a等内に挿入するとと
もに、該プロセスチャンバ101a等とトランスポート
チャンバ104間の気密シールを行なう構造となってい
る。図1は、金属薄膜用スパッタチャンバ101a内に
シリコンウエハ106aおよびウエハホルダ107aが
セットされた状態を示している。
【0011】108a〜108dはターゲットチャンバ
であり、それぞれ真空状態を変えることなくターゲット
109a〜109dを交換できるようになっている。各
ターゲット109a〜109dには同調回路110a〜
110dを介してRF電源111a〜111dが接続さ
れ、さらにウエハホルダ107a〜107dにも夫々同
調回路112a〜112dを介してRF電源113a〜
113dが接続されている。また、図1には図示されて
いないが、各チャンバ(108a〜108d,101a
〜101d,102,103,104等)には、真空排
気装置が接続されている。
【0012】図1ではターゲットとウエハとの位置関係
は、下方にウエハを、上方にターゲットを位置させる場
合を示しているが、その上下の位置関係を逆にしてもよ
い。これにより、ターゲットを静電吸着機構(静電チャ
ック)で保持する場合、例えば静電チャックの電源電圧
に一時的な変動が生じる等により吸着力が弱化した場合
にも重量が比較的大なるターゲットが落下するような事
態を回避することができる。
【0013】他方、例えば図3(a)に示すようにター
ゲット109aとウエハ106aを左右方向に対向させ
る構成としてもよい。かかる構成によれば、ウエハの砕
片やウエハに付着した塵埃がターゲット上に落下するの
を防ぐことができ、ターゲットの汚染し、成膜された薄
膜の膜質の劣化等を回避できる。
【0014】また、図3(b)に示すように、ターゲッ
ト109aをその表面が若干上方を向くように傾けるよ
うにしてもよい。これにより、重量の大きなターゲット
の保持が容易になると共に、ウエハ表面への塵埃付着、
またウエハからターゲットへの塵埃の落下等を防止でき
る。
【0015】次に、本薄膜形成装置により、例えば図4
に示すキャパシタ構造を作製する方法について説明す
る。図4のキャパシタは、シリコン基板301内に形成
されたN+拡散層302上に、絶縁膜303に設けた開
口部を介してAl薄膜304,Al23膜305,Al
薄膜306の三層構造を形成した構造になっている。
【0016】作製の工程は、まず、シリコン基板301
上にN+拡散層302を形成し、その上に絶縁膜303
およびN+拡散層302上に開口部を形成したウエハ1
06eを用意し、これをローディングチャンバ102内
のウエハホルダ107e上に載置する。次いで、ローデ
ィングチャンバを真空引きした後、ゲートバルブ105
eを開け、静電チャック114によりウエハ106cを
保持してトランスポートチャンバ104内へウエハを持
ち込み、ゲートバルブ105eを閉じる。次いで、ウエ
ハをクリーニングチャンバ101cにセットする。この
クリーニングチャンバ101c内ではN+拡散層302
表面に形成された極めて薄い自然酸化層や吸着分子層、
特に水分の吸着分子層を低温(150℃以下)で、しか
も下地のシリコンにダメージを与えないで除去すること
ができる。
【0017】すなわち、RF放電により生じたArイオ
ンをSi結晶にダメージを与えることのないエネルギー
で(例えば数eVから30eV程度、好ましくは5eV
以下、より好ましくは2〜3eVの運動エネルギーで)
シリコンウエハ上に照射する。かかる表面のクリーニン
グを行なうことは、Al薄膜304とN+拡散層302
との良好な電気的接触をとることができる。すなわち、
その後いっさいの熱処理工程がなくても理想的な金属−
半導体接触が得られる。このクリーニングチャンバ10
1cでの処理が終了するとウエハ106aは金属薄膜用
スパッタチャンバ101aへ移送される。
【0018】この際、ウエハの搬送は真空排気されたト
ランスポートチャンバ104内において行なわれるた
め、ウエハは一切大気に触れることがない。従ってクリ
ーニングされたウエハ表面は清浄な状態に保たれたまま
金属薄膜がその上に形成される。スパッタチャンバ10
1a内ではAlのターゲット109aを用いて、スパッ
タリング法によりAl薄膜304がウエハ上に形成され
る。
【0019】次いで、ウエハは、酸化チャンバ101d
に運ばれる。ここではウエハを300〜500℃の温度
に加熱した状態で酸素ガスが供給され、Al薄膜表面に
熱酸化により、例えば、約5nm程度のAl23膜30
5が形成される。その後ウエハは再びチャンバ101a
に運び込まれ、Al薄膜306が形成される。こうして
Al−Al23−Alの三層構造の薄膜が形成されたウ
エハは再びトランスポートチャンバ104内で搬送さ
れ、アンロードチャンバ103内のウエハステージ10
7f上に戻される。そして、ゲートバルブ105fを閉
じた後アンロードチャンバ103内を大気圧に復帰させ
ウエハを装置外に取り出す。
【0020】上記キャパシタ作製のシーケンスの例で
は、ウエハ表面のクリーニング時や界面を直接大気に触
れさせることなく多層薄膜構造を実現できる。
【0021】以上が本薄膜形成装置の構成と多層薄膜構
造形成の概略を述べたものであるが、以下に装置各部の
詳細、多層薄膜構造の形成過程について説明する。
【0022】図5、図6は、プロセスチャンバの1つで
ある、金属薄膜用スパッタチャンバ101aの構造の詳
細を示す模式図であり、前述したトランスポートチャン
バ104、ターゲットチャンバ108a、ウエハホルダ
107a、ゲートバルブ105a、ターゲット109
a、ターゲットホルダ電極401等も含めて図示されて
いる。
【0023】また、図10は同じく金属薄膜用スパッタ
チャンバ101aを中心に真空排気装置およびガス供給
装置との接続関係の一例を示したものであり、図10中
図1、および図5と共通の構成部分は同一の符合を付し
ている。
【0024】一方、図10に示すように、プロセスチャ
ンバ101aには真空排気装置として例えば磁気浮上方
式のロータを有するターボ分子ポンプ501およびその
バックアップとしてロータリーポンプ502が接続され
ている。503はオイルトラップでありロータリーポン
プからのオイルの逆流を防いでいる。図10に示した構
成以外に、例えばターボ分子ポンプを二段直列につなぐ
ことにより、チャンバの到達真空度をさらに高くする方
式を採用してもよい。また、ガスを流してスパッタリン
グ成膜を行なう時は、ガス負荷に強いドライポンプ等に
切り変える構造にしてもよい。
【0025】ドライポンプとは大気圧から高真空まで引
くことのできるように設計されたターボ分子ポンプであ
る。この場合、高速回転するロータを支承しかつ摩擦を
軽減させるボールベアリングが用いられ、またロータの
温度上昇を抑制するために、高圧オイルの吹き付けを行
なっている。さらに、この吹き付けられたオイルが真空
系に侵入して汚染を生じさせないようにN2ガスを用い
てシールしているが、この場合、例えばN2ガスの供給
が運転中に停止すると、真空系に多大な被害をおよぼす
ことになるのでその停止に対する手段を講じておく。
【0026】トランスポートチャンバ104にも同様の
真空排気系501’〜503’が接続されている。また
図10には示していないがターゲットチャンバも同様の
真空排気系を備えており、各チャンバには各々独立に真
空排気を可能に構成されている。504はガス供給装置
であり、Ar,He,H2等のガスをプロセスャンバ1
01aに供給できるようになっている。例えばArガス
は、常時一定流量(1〜5l/分)が流され、パージラ
イン505によって系外にパージされている。そしてス
パッタリングを行なうときのみバルブ506を開け、そ
のガスの一部分がマスフローコントローラ507によっ
て例えば毎分1〜10ccの流量にコントロールされて
プロセスチャンバ101aへと導入される。
【0027】かかる方式ではなく、スパッタリングを行
なうときにのみ、ガス供給系よりArガスをチャンバ1
01aに導入し、それ以外のときにはガスを止めた状態
に保持しておく方式もある。かかる方式ではガス配管内
壁に吸着している微量の水の分子が滞留しているArガ
ス中に溶け込むので、ガスの水分濃度を高めない手段を
講じておく。例えば、水分濃度が数10ppb以上存在
するArガスを用いてAlの薄膜をスパッタ成膜すると
図11示すように、水分量に応じて表面に荒れが生じ、
凹凸の激しい薄膜を得てしまう。かかる薄膜では精度よ
く微細パターンを形成することができないため、デバイ
スの微細化に対応できないばかりか、大電流を流したと
きのエレクトロマイグレーションに対する特性が弱く信
頼性のよい配線を得ることができない。
【0028】しかるに、水分量が100ppb以下にな
ると表面は平坦となり、エレクトロマイグレーション特
性の大きなAl薄膜が得られる。
【0029】本薄膜形成装置において、図11に示すよ
うなArガスの供給方法を用いるとチャンバには常に水
分量1〜2ppb以下のArガスを供給することが可能
となり、微細でかつ信頼性の高い金属配線の形成が可能
となる。
【0030】ただし、長期間にわたり装置を停止するよ
うな場合には、バルブ506’を閉じてArガスパージ
を止めてもよい。ただし後に装置を稼動するときには、
必ずパージライン505を介してArガスをパージし、
充分水分量が低下した後バルブ506を開けてガスをチ
ャンバに導入する。このため、例えば、パージライン5
05の先端部に水分計(露点計)を取付け、露点が−1
10℃以下になることを確認し得るようにする。
【0031】スパッタリング成膜される薄膜を高品質化
するためには、成膜プロセス中に水分などの不純物分子
の混入を十分に排除することが必要である。そのために
は、上で述べたようなArガスの導入方式の採用が考え
られるが、それ以外にもチャンバ材料やガス配管材料表
面からの脱ガスを可及的に小さくすることも必要であ
る。図5に示す装置のチャンバの壁材402および図1
0に示したガス供給装置504のガス配管は、例えばS
US304LやSUS316Lより構成されているが、
その表面はH2O分子の吸着を少なくし、かつ、脱離を
容易にするための処理を施すようにしておく。この処理
は例えば次に述べるような手法を採用する。
【0032】まず、ステンレス表面の加工変質層を伴な
わない鏡面研磨を行ない、パイプの内面に対しては例え
ば電解研磨を用い、チャンバの内面に対しては電解複合
研磨等の技術を用いて行なう。
【0033】次いで、水分の含有量1ppb程度以下の
ArやHeを用いてパージを行ない、さらに400℃程
度まで昇温させてパージを行ない、表面に吸着している
2O分子をほぼ完全に脱離させた後、前記と同様に水
分の含有量が1ppb程度以下の純酸素を流し、400
〜550℃に昇温させて内表面の酸化を行なう。このよ
うにしてステンレス表面を熱酸化することにより得られ
る酸化被膜は、従来の硝酸等を用いて形成した不動態膜
に比べ、HCl,Cl2,BCl3,BF3等の腐食性ガ
スに対し優れた耐腐食性を有するだけでなく、プロセス
に有害な水分子の表面吸着が少なく、かつ脱離特性が良
いなどの利点がある。
【0034】次に、この不動態膜の脱ガス特性について
の実験結果を示す。本実験は例えば全長が2mで直径が
3/8インチのパイプについて行なったものである。実
験装置の構成を図12に示す。すなわち、ガス純化装置
601を通したArガスを毎分1.2lの流量で試料と
なるSUSパイプ602を通し、ガス中に含まれる水分
量をAPIMS(大気圧イオン化マス分析装置)603
により測定する。
【0035】常温でバージした結果を図13のグラフに
示す。実験に用いたパイプの種類はパイプの内面を電界
研磨したもの(A)、電界研磨後硝酸による不動態化処
理を行なったもの(B)、および酸化処理により不動態
膜を形成したもの(C)の3種類であり、図13ではそ
れぞれA,B,Cの線で示されている。各パイプは相対
湿度50%、温度20℃のクリーンルーム内に約1週間
放置した後、本実験を行なう。
【0036】図13から明らかなように、電界研磨管
A、硝酸による不動態化処理をした電界研磨管Bのいず
れも多量の水分が検出されているのが理解できる。約1
時間通ガスした後も電界研磨管Aでは68ppb、他方
の電界研磨管Bで36ppbもの水分が検出されてお
り、2時間後も水分量は両菅A,Bにつきそれぞれ41
ppb,27ppbであり、水分量が減少し難いことが
理解できる。これに対し、酸化処理による不動態膜を用
いた菅Cでは、通ガス後5分後には7ppbに落ち、1
5分経過後はバックグラウンドのレベルが3ppb以下
になってしまう。このように菅Cは極めて優れた吸着ガ
スの脱離特性を持っていることが理解できる。
【0037】次に、テスト用のパイプ602を電源60
4により通電加熱し、図14に示す昇温タイムチャート
に従ってパイプの温度を変化させる。温度を室温から1
20℃、120℃から200℃、200℃から300℃
と変化させたときに出てくる水分量の平均値をまとめた
ものを表1に示す。この結果からも明らかなように酸化
処理を施したステンレス表面は他のものにくらべて1桁
程度水分の放出が少ないことが理解できる。このことは
水分の吸着量が少なく、また容易に水分を脱離できるこ
とを意味しており、超高純度ガス供給に最適のものであ
ることを示している。以上はSUSパイプについての実
験結果により、酸化による不動態化処理の有利性につい
て説明したが、真空チャンバの内面処理についても同様
の優れた特性が得られる。すなわち、本装置の真空チャ
ンバ(例えば101a,104,108aなど)では、
ベーキング後は10-11〜10-12Torrの真空度が実
現されており超高真空装置としても非常に優れた特性を
持っていることが分る。
【0038】次に、ステンレス表面を酸化して得られる
酸化被膜について説明する。表2は、SUS316L,
SUS304Lを超高純度酸素で酸化した場合、表面に
形成される酸化膜の膜厚及び屈折率を酸化温度と時間の
関係として示したものである。これにより、酸化膜厚は
時間には依存せず、温度だけで決っていることが理解で
きる。これはSUSの酸化がCabreraとMottのモデルで
説明されるプロセスで進行していることを示唆してい
る。すなわち、温度が一定となるように制御すれば所望
の膜厚まで酸化膜が成長するため、膜厚が均一で、か
つ、ピンホールのない緻密な酸化膜を形成することがで
きる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】 図15は、SUS316Lを500℃で約1時間酸化し
た後、表面の元素分布をESCA(Electron Spectrosc
opy for Chemical Analysis)で調べた結果を示すグラ
フである。表面付近でFeの濃度が高く、深い部分でC
rの濃度の高くなっていることが分る。
【0041】このことは表面付近ではFeの酸化物が、
酸化膜とSUS基板との界面近くではCrの酸化物がそ
れぞれ形成された二層構造になっていることを示してい
る。また、ESCAスペクトルのエネルギー分析の結
果、表面付近のFeでは酸化物形成によるケミカルシフ
トがみられ、これが深い部分ではなくなり、またCrは
深い部分でのみ酸化物形成によるケミカルシフトがみら
れることからも確認される。かかる緻密な二層膜の形成
は、本装置が耐腐食性および吸着ガスの脱離特性を有す
ることの一因となると考えられる。なお、ここでは膜厚
として10nm程度のものを用いたが5nm以上であっ
ても同様の効果が得られる。ただし、5nm以下の膜厚
ではピンホールが発生し、耐腐食特性が劣化するので膜
厚は5nm以上とすることが好ましい。
【0042】また、緻密な酸化膜を形成するには、SU
S表面の加工時に変質した層を除去し、かつ表面を平坦
にすることが重要である。本実施例では表面粗度として
Rmaxが0.1〜0.7μmのものを用いたが、実験の
結果半径5μmの円周内での凸部と凹部の高さの差の最
大値が1μm程度までは、十分よい不動態膜の形成され
ることが分っている。
【0043】以上のような不動態化処理を行なうことに
より、チャンバの超高真空に対応できるだけでなく、腐
蝕性ガスに対しても十分に耐え得る。このことにより、
例えばチャンバ内のクリーニングのために、チャンバの
温度を上げ塩素系のガスを流すことによって壁面に付着
した反応生成物の堆積物を除去することも可能となる。
チャンバ内面が平坦で緻密な不動態が設けられているた
め付着物の付着力がきわめて弱いことも、このガスエッ
チングを容易にしている。このようなクリーニングが不
要の場合は、例えば軽量で超高真空に適したアルミ合金
製のチャンバを用いることも有効である。
【0044】ターゲットの材料も、十分に不純物を除去
して超高純度にした後、真空溶解により酸素などのガス
成分を除去している。
【0045】次に図5によりウエハホルダ107aにつ
いて説明する。ホルダ107aの全体はベローズ403
を介してチャンバ外壁に支持され、また、上下の移動が
可能となっている。シリコンウエハ404を静電チャッ
ク電極405上に吸着した状態で上下移動しウエハをプ
ロセスチャンバ101aへ出し入れする。例えばウエハ
をプロセスチャンバに装填する場合には、ウエハホルダ
107a全体が上昇し、オーリング406をチャンバの
フランジ面407に圧着させることによりプロセスチャ
ンバ101aとトランスポートチャンバ104の間の気
密シールも同時に行なう構造となっている。ここではシ
ール材としてオーリングを用いる場合を示したが、脱ガ
スの少ない金属のシールを用いる方がより有効である。
この場合、金属のシールは何回もの着脱操作に対し弾性
を保持し、かつ優れたシール性を有するものを用いるこ
とが好ましい。例えば図16(a),(b)に示すよう
に、弾性を有するゴム製のオーリング1001を、弾性
の範囲内で(すなわち、塑性変形が生じない範囲内で)
伸縮する例えばAl,Ni,SUS316L、Niコー
トのステンレス等の金属製の板バネ状のリング1002
で挟んだものを用いることが有効である。この場合、シ
ール面は金属表面(この表面はRmax0.2μm以下の
鏡面としておけばリークをより一層低減させることが可
能となる)の接触によって保たれ、シールを保持する圧
着力は、ゴムのオーリング1001によって供給される
ため、すぐれた気密保持が得られるばかりでなく、繰り
返し使用が可能である。
【0046】なお、板バネ状のリング1002の開口部
1003は、真空度の低い側に設けることが好ましい。
さらに、オーリング1001には、内部1004と開口
部1003とを連通する切欠を設けておけば内部100
4へのガスの滞留を防止することができるのでより好ま
しい。この切欠はリング1002を加圧した場合潰れて
しまい、内部1004は封止状態となる。リング100
2に、内部1004と連通する孔を設けておいてもよ
い。
【0047】なお、図16(a),(b)の変形例とし
て図16(c),(d)に示すものを用いてもよい。図
16(c)に示すものは、2枚の板をその端において溶
接して板バネとし、またフランジ面との当接部を平坦と
したものである。この当接面はRmax0.2μm以下の
鏡面とすることが好ましい。さらに図16(d)は、板
の両端をともに溶接し、板バネ状のリング1002の内
部を密封した例である。この構成では、オーリング10
01からの外部へのガス放出が阻止できるためより好ま
しい。
【0048】ウエハホルダ107aがトランスポートチ
ャンバ内で待機している状態では、ゲートバルブ105
aによって開口部をシールし、プロセスチャンバとトラ
ンスポートチャンバ間の気密が保たれる。
【0049】この場合のシールはオーリング408を用
いてもよいが、図16に示すようなメタルリング100
2によるシールを用いればさらに有効である。またその
他のシール方法を用いても十分な気密が保たれるならば
問題はない。
【0050】伸縮性の材料から成るシール部材によって
真空シールを行なう場合、例えば図5においてフランジ
面407とフランジ面406’の相対的な位置関係は、
シール部品406とは無関係に決まる。
【0051】つまり、前記両フランジ面407,40
6’の相対的な位置関係はシール部品406を圧潰する
力により決まるものではないので、図8に拡大して示す
ように、変形しないストッパ4201を介在させ、これ
により常時前記相対位置関係が一定となるようにする。
こうすることにより、オーリング406は常に一定の力
で圧縮されることになり、安定したシール特性が得られ
る。もちろんオーリング406の代わりに図16のよう
なメタルリングを用いる場合も同様である。ここで述べ
たストッパ4201はフランジ面(407あるいは、4
06’)の加工の際に直接形成してもよく、あるいはリ
ング状のものを後に取り付けてもよい。また高真空側に
デッドゾーンができるのを防ぐために、このストッパ4
201は、真空度の低い側に臨まされるように取付け
る。
【0052】さらに、上下動するフランジ面406’に
は、上下方向のガイドを設け、オーリング406を圧縮
するに際の横方向のずれを防止する。
【0053】405はウエハ保持用の静電チャック電極
であり、例えばステンレス、MoやTiなどの金属から
成り、その表面には絶縁性の被膜409が形成されてい
る。絶縁性被膜は、例えばAl23,AlNの膜をプラ
ズマ溶射で電極表面に形成し、さらにその表面を研摩に
より平坦化したものである。その被膜の厚さは例えば1
0〜100μm程度に形成される。
【0054】このように構成された電極405とウエハ
404との間に例えば数100Vの電位差を与えること
によりウエハは1kg/cm2以上の力でウエハホルダ
上に吸着させることができる。通常、真空中で単にウエ
ハをステージに置いた場合、ウエハとステージとの接触
はいわゆる三点接触となり、十分な面接触がなされない
ので正確なウエハ温度の設定等を行ない難いが、かかる
静電的な吸着手段を用いれば十分な面接触状態で、か
つ、強力な力でウエハがステージに吸着されるためウエ
ハの温度コントロール等が極めて精度良く行なえる。ウ
エハには金属電極410を介し電位が与えられるが、ウ
エハは金属電極410及び電極405のいずれからも絶
縁され、系外の電源に接続されている。
【0055】図5では、ウエハの電位はウエハ中心部よ
り電極410を介して印加される構成となっているが、
ウエハの周辺部から印加する構成にしてもよい。周辺部
から印加する場合の方が、ウエハの温度コントロールに
際し、図5のようにウエハホルダの真中に穴の開いてい
る場合に比べて面内の均一性が実現し易いというメリッ
トがある。また電極405全体は、絶縁碍子411を介
しチャンバからは電気的に絶縁されている。さらに電極
405には導入電極412を介して外部から周波数fW
の高周波電力が供給されている。
【0056】図6は電極405、ウエハ404と外部電
源との接続関係の一例を示している。なお、図6におい
て図5と同一の構成部分については同一の符合を付して
いる。4101は静電チャック用の直流電源であり、高
周波を遮断し直流電位のみを供給する高周波フィルタ4
102を介して静電チャック電極405とウエハ404
の間に直流の電位差VCを与えている。また4103は
周波数fWが例えば100MHzのRF電源であり、整
合回路4104、ブロッキングコンデンサ4105を介
して導入電極412によりウエハに高周波電力が供給さ
れている。この高周波電源4103の出力を例えば数W
〜数10Wの範囲で変化させることによりウエハ404
の直流電位を所定の値の設定できれようになっている。
あるいは整合回路4104の整合条件を変化させること
によってもウエハの直流電位を変化させることができ
る。
【0057】ウエハの表面が例えばSiO2のような絶
縁膜で覆われている場合、その表面の直流電位はウエハ
の電位とほぼ同じとなる。これは、SiO2膜により形
成されるコンデンサ容量はブロッキングコンデンサ41
05に比べて極めて大きいため、高周波による自己バイ
アスがほとんどこのコンデンサ両端に現われるからであ
る。
【0058】従って、ウエハの電位を高周波フィルタを
介して電圧計でモニタし、これをRF電源のコントロー
ラ、あるいは整合回路のコントローラにフィードバック
することによりウエハ表面の直流電位を一定の値に極め
て精度良くコントロールすることができる。このように
設定したウエハの電位により、プラズマからウエハ表面
に入射するイオンのエネルギーを所望の値に正確にコン
トロールすることができるのである。一方、ターゲット
には異なる周波数fT(例えば13.56MHz)の高
周波が与えられているためターゲットホルダ電極401
とウエハホルダ電極405との容量結合により、ウエハ
がfTの周波数によって振られることになる。
【0059】回路4106は周波数fWに対しては充分
高いインピーダンスを有し、周波数fTの高周波を短絡
する回路であり、これによりウエハの直流電位は、ウエ
ハホルダに加えられる周波数fWの高周波のみによって
コントロールされるようになる。この回路4106は、
例えばLとCの並列共振回路を用いて、 2πfW=1/(LC)1/2 としておくとfWの高周波に対してのみ開放となるが、
それ以外の周波数に対してはCを充分大きくとっておく
と短絡となり、所望の機能を有することができる。ウエ
ハホルダ405にはある程度の直流電位が生じなければ
ならないので、上記LC並列回路には充分大きな容量を
有するコンデンサを直列に接続する。
【0060】ウエハ表面に導電性薄膜が形成され、か
つ、その薄膜がウエハと電気的につながっている場合に
は、ウエハの電位を直接直流電源でコントロールしても
よい。このような場合には、例えばスイッチ4107を
入れ直流電源4108によってウエハの電位、すなわ
ち、ウエハ表面の電位をコントロールすることができ
る。
【0061】図5において413はヒータであり、電流
を流すことにより、ウエハホルダの電極405を所定の
温度に加熱するために用いられる。この場合、ウエハ4
04は電極405に静電チャックにより強力な力で吸着
しているため、電極と同じ温度に、均一に加熱すること
ができウエハ温度を正確にコントロールすることができ
る。また、414はファイバ温度計であり、黒体輻射の
発光を光ファイバで引き出して温度を計測するものであ
り、RF等のノイズに全く左右されないで正確に温度測
定を行なうことができる。この測定結果をヒータのコン
トローラにフィードバックすることにより正確な温度制
御が行なえる。
【0062】ここではヒータを用いる加熱方式について
のみ説明したが、例えば多数のプラズマトーチにより放
電加熱を行ない、各々の放電電流をコントロールするこ
とによりさらに精密な温度分布の制御を行なってもよ
い。
【0063】本装置の場合、プロセスチャンバ102a
等内には、ウエハの搬送機構をはじめ、ウエハの加熱機
構等、汚染源と考えられるものの侵入を阻止し得るよう
にしている。これにより、プロセスチャンバ101a等
の内部を高清浄に保ち、高品質な薄膜形成を可能にして
いる。さらに、加熱機構は、真空系から切り離されてお
り、かつ、大気中あるいは常圧状態におかれているの
で、汚染発生の心配がないばかりか被加熱物の均一な加
熱を容易にしている。
【0064】次に、図5に基づきターゲットホルダ電極
401について説明する。415はホルダ電極であり、
ステンレス、TiあるいはMo等の金属から成りその表
面は例えばAl23,AlNやSiO2等の絶縁薄膜で
覆われている。金属ターゲット109aは、電極416
を介して裏面から電位が与えられ、ホルダ電極415と
の間に生じた電位差による静電吸着により、保持されて
いる。420は絶縁物から成るベローズでありホルダ電
極415をチャンバ101aから電気的に絶縁してい
る。その他ターゲットホルダ電極401の機構は、上述
したウエハホルダ107aの場合と同様であり重複した
説明を省略する。417はマグネトロン放電のための磁
石であり、418はターゲット冷却のための冷媒を流す
パイプである。また419はターゲットホルダ電極40
1がスパッタされるのを防ぐためのグラウンド・シール
ドである。
【0065】なお、このグラウンド・シールドはターゲ
ット109aの径がホルダ電極415の径よりも大きい
ときには省略できる。このグラウンド・シールド419
についてはウエハホルダ107aの説明の際には触れな
かったが、ウエハホルダ107aについても同様に適用
し得るものである。また、このターゲットホルダ電極4
01もウエハホルダ107aと同様に前記ベローズ42
0により上下に移動させることができる。ターゲット交
換の際には、ターゲットホルダ電極401全体がベロー
ズ420を収縮させながら上昇し、ウエハホルダ107
aの場合と同様にゲートバルブ(図示せず)が開口部を
閉じるようになっている。そしてターゲット109a
は、例えば図17に示すような機構によって交換され
る。
【0066】図17(a)は、例えば3つのターゲット
1101,1102,1103を保持する円板状のター
ゲットストッカ1105を示すものであり、一部に切り
欠き部1104を有している。図17(b)は図17
(a)のX−X’線に沿う断面を示しており、ターゲッ
トホルダ電極401に、ターゲットストッカ1105上
の例えばターゲット1102を装着する場合には、ター
ゲットストッカ1105を回転軸1106のまわりに回
転させ、ホルダ電極415の直下にターゲット1102
を移動させる。次いで、ホルダ電極415を下降させ、
ターゲットホルダ電極401にターゲット1102を静
電吸着させる。この場合、ホルダ電極415は上下方向
にのみ動かし得るので、ホルダ電極415の下面とター
ゲット1102の上面を正確に一致させるためには、例
えば板バネ1107をターゲットストッカ1105上に
形成された凹溝に配置し、ターゲットホルダ電極401
のターゲット1102への押圧力によってターゲット1
102の上面1102’がターゲットホルダ電極401
の下面と均一に面接触させる。
【0067】板バネ1107とターゲット1102面と
の接触により、その摺接に基づくパーティクルの発生
や、ターゲット1102の面の汚染が問題となる場合に
は図9(a)に示すような対策を施す。すなわちターゲ
ットストッカ1105の凹溝内に上下方向に伸縮するコ
イルスプリング1190を介して、例えば、非金属材料
から成る受け台1191を設け、該受け台1191上に
ターゲット1102を載置する。
【0068】ターゲット1102を吸着したホルダ電極
415は再び上昇させ、次いで切り欠き部1104がホ
ルダ電極415の直下に位置するように、ターゲットス
トッカ1105を回転させる。これによりホルダ電極4
15は前記切り欠き部1104を介して下方に移動可能
となり、プロセスチャンバ101a内にターゲット10
9aが臨まされ、図5のような配置となる。
【0069】かかるターゲットのロードロック交換機構
は、図5に示した金属薄膜用スパッタチャンバ以外にも
同様に用いられることは言うものでもない。なお、ター
ゲット1103が例えば絶縁物の場合は、例えば図17
(c)に示すように、その裏面に金属などの導電性材料
1108を貼付すればよい。この導電性材料としては金
属板あるいはスパッタリングにて形成された金属薄膜で
もよい。
【0070】また、ターゲット1103は、円板状であ
る必要はなく、長板状のものでもよく、この長板状にし
た場合、板面上に板の長手方向にターゲットを配置し、
左右、前後等にスライドさせ得る構成でもよい。またタ
ーゲットストッカ1102は、図1の各プロセスチャン
バ(101a〜101d)の各々に対し別個に設けても
よいし、あるいはターゲットチャンバ108a〜108
dをすべて1つの共通のチャンバとし、共通のストッカ
を設けてもよい。また、ターゲット1103におけるタ
ーゲットの保持は、図17に示すように単に自重で載置
させて保持する手法を採用する以外に、静電チャックや
機械的な保持手段を採用してもよい。後者の保持手法を
採用する場合は特に、例えば、図3(a)のようなター
ゲット109aとウエハ106aの上下位置関係にする
ことが適している。
【0071】ターゲット1012は、スパッタ中の温度
が急激に上昇するため、図5に示すように冷却パイプ4
18によりターゲットホルダ電極401の裏側から強制
冷却している。
【0072】図6において、静電チャックの電極415
とターゲット109aの電位差は、高周波フィルタ41
02を介して接続された直流電源4109により与えら
れている。ターゲット109aの電位は電極4110で
直接供給されており、図6では中心部においてコンタク
トをとっているが、これは例えばターゲット109aの
周辺部からとってもよい。電源4109は、停電等の際
にターゲット109aの落下を防止するためにバッテリ
ーをバックアップに用いる等の方法を採用するのがよ
い。ターゲット109aの直流電位はRF電源4113
によって発生する自己バイアスを用いてもよいが、ター
ゲット109aが金属材料の場合は、例えばスイッチ4
111を閉じて直流電源4112を接続し、これにより
電位を制御することも有効である。回路4116は回路
4106と同様の機能をもつ回路であり、RF電源41
13の周波数fTに対してのみ開放となり、その他の周
波数に対してはほとんど接地となる回路であるが、直流
的には開放されたものである。ウエハの電位を制御する
ための高周波電源(周波数fW)の電力は通常は小さ
く、回路4116は必ずしも設けなくてもよい。通常、
電源4113は例えば出力周波数13.56MHzを発
生する高周波電源であるがウエハに接続されるRF電源
4103の出力周波数に比べ周波数の低いものを用いる
のがよい。これは、ウエハに比ベターゲット109aに
大きな自己バイアスを生じさせ、大きなスパッタ速度を
得るためである。ただし直流電源4112によりターゲ
ット電位を制御する場合は周波数の大小関係を逆にする
場合がある。
【0073】図18は、14MHz,40MHz,10
0MHzの3つの異なる周波数に対するターゲットの電
流電圧特性を示したもので、図6でスイッチ4111を
閉とし電圧VTの関数として直流電源4112に流れる
電流値をプロットした実験データである。図18で電流
値が0となる点(横軸との交点)が自己バイアス値、つ
まりスイッチ4111を開放したときに現われるターゲ
ットの電位に相当している。図18から明らかなように
周波数を大きくすることにより自己バイアス値は小さく
なっているのが分る。
【0074】従って、本実施例ではターゲット側に低い
周波数(fT)のRF電源を用いてスパッタ速度を大き
くし、ウエハ側には高い周波数(fW)のRFを用いて
ウエハのバイアスを小さくし、ウエハ基板へのダメージ
を小さくするとともに成膜する薄膜の膜質をコントロー
ルできるようにしている。実際の薄膜の膜質のコントロ
ールについては後で述べる。ここではfT=13.56
MHz,fW=100MHzとしたが、これは一例であ
り、他の周波数の組合せを用いても差し支えない。
【0075】また、静電チャック式のターゲットホルダ
として図7に示すものを用いてもよい。すなわち、図7
の構成では、RF電力は、薄い絶縁膜409を挟んで容
量結合でターゲットホルダ電極415に入力される一
方、直流電源4109は高周波フィルタ4102を介し
て単独でターゲットホルダ電極415に入力される。こ
のような吸着手段を用いれば回路4116に用いるコン
デンサに大きな直流電圧がかかることを防止することが
でき信頼性が向上する。なお、前述のウエハホルダにつ
いても同様の構成にすることができる。
【0076】以上の説明では、直流電源によりターゲッ
ト(あるいはウエハ)の電位を制御する場合について述
べたが、直流電源によらずに制御を行う場合を図9
(a)に基づいて説明する。図9(a)に示す場合は、 2πfW=1/(L111/2 2πfT=1/(L221/2 の条件を満たすようにLC回路を設けておき、ウエハ側
からみた周波数fWに対するインピーダンスを0とする
(周波数fWに対しては短絡とする)一方、ターゲット
側からみた周波数fTに対するインピーダンスを0とす
る(周波数fTに対しては短絡とする)。従って、たと
えば、周波数fTを13.56MHzに選ぶと、周波数
13.56MHzがウエハに重畳することを防止するこ
とができ、ウエハをたたくイオンのエネルギーを正確に
制御することができるようになる。なお、LC回路は図
9(b)に示すように対称的に設けることが好ましい。
【0077】次に、ターゲットの保持方法の他の実施例
として磁気力により吸着を行う手法について図19を参
照しながら説明する。
【0078】図19(a)に示すように、1301はタ
ーゲットであり、その裏面には例えば鉄、ニッケル、ク
ロム等の薄板1302が貼り付けてある。1303は磁
石であり、この磁気力により薄板1302を吸引し、こ
れによりターゲット1301をターゲットホルダ130
4に吸着させる。ターゲット1301と薄板1302は
例えば薄板の裏面からネジ止めしてもよい。こうすれば
ターゲット表面からネジ材が突出することがないのでチ
ャンバ101a内の汚染の問題が生じない。またさらに
磁石1303はマグネトロン放電のための磁石(図5、
417)を兼ねてもよい。これは永久磁石でもよいが、
ターゲット1301の着脱を容易にするため電磁石と
し、励磁電流をオン・オフすることによりターゲットの
着脱を遠隔操作的に行なってもよい。
【0079】あるいは、図19(b)に示したように、
ターゲット1301裏面に薄板1302をとりつけるか
わりに、例えば、永久磁石1305を直接取り付け、こ
れとホルダ1304の裏面におかれた磁石1303との
間の磁気力により吸着してもよい。
【0080】上記スパッタチャンバ内において、例えば
ターゲットのシャッタ等の機構も設けることも考えられ
るが、かかる機構は本装置では必須のものではない。す
なわち、装置全体が超高真空状態に対応できるようにな
っており、かつ超高純度ガスを用いているため頻繁にタ
ーゲット表面のクリーニングを施す必要がない。
【0081】上記機構を必要とする場合は、ゲートバル
ブ105aを閉じた状態で行なえばよい。また表面の汚
染層は、極めて微量の水分吸着層であるから、RF電源
4113のパワーを充分小さくしターゲット109a材
料のスパッタリングの閾値以下のバイアス値で表面のス
パッタをすればよく、こうすればターゲットの材料が不
必要にチャンバ内表面に堆積することがない。
【0082】次に、クリーニングチャンバ101cの構
成について詳しく説明する。基本的な構成は、金属薄膜
形成用チャンバ101aと同じであるので図5、図6を
用いて説明する。
【0083】この場合、例えば、ターゲット109aの
材料としては、Al23,SiO2,Si34,AlN
などスパッタリングの生じる閾値が比較的大きなものを
用いる。また、ターゲット109aに加えるRF電源4
113の周波数は金属薄膜用に用いる13.56MHz
よりも大きな値、例えば100MHzを用いてもよい。
この場合、自己バイアス値を10〜20V程度とし、ま
た高密度なプラズマを発生させるためにはさらに高い周
波数、例えば200MHzあるいはそれ以上の周波数を
用いる。ウエハの電位を精密に制御するためには、ター
ゲット側に入る高周波で、ウエハサセプタ電位が影響を
受けないように手段を講じておく。すなわち、周波数f
TとfWとは整数倍の関係にないようにする。従って、f
T=100MHzなら例えばfW=210MHzとする。
こうすればターゲット109aを一切スパッタリングす
ることなく高密度のArイオンを生成することができ
る。こうして得られたArイオンはウエハホルダ405
上に置かれたウエハ404表面に照射される。このAr
イオンの照射エネルギーは、RF電源4103によりウ
エハに発生した自己バイアスで決まる。クリーニングは
シリコンやその他の材料表面に形成された、極めて薄い
自然酸化膜層や吸着分子層、特に水分の吸着分子層が主
であるので数eVから高々30eV程度の運動エネルギ
ーのAr粒子を照射する。
【0084】従って、ウエハに発生する自己バイアス値
を数Vから30V程度にするようにRF電源4103や
整合回路4104を調節する必要がある。このような比
較的小さな自己バイアス値を制御性よく発生させるに
は、RF電源4103の周波数は大きな値、例えば10
0MHzを用いればよい。もちろん200MHzやそれ
以上のものを用いてもよいが、ターゲットの周波数fT
とは異なる値を用い、ターゲットとウエハ間に干渉が生
じないようにする。つまりターゲットとウエハの直流電
位がそれぞれ独立に最適の値にコントロールできるよう
にする。
【0085】ターゲット109aの材料としては、絶縁
物である場合についてのみ述べたが、例えばSi等の導
電性を持った材料であってもセルフバイアスの値がスパ
ッタリングの生じない充分低い値に設定することができ
るものであればよい。ターゲット109aと頻繁に交換
する必要がない場合にはターゲットのロードロック交換
機構は必ずしも装備しなくてもよい。
【0086】使用するガスはArでもよいが、H2,H
e等のガスを用いてもよい。特にArガスをベースとし
てH2を添加したガスを用いてクリーニングを行なう
と、Arイオンの照射によって水分の吸着分子層を除去
するとともに、Si表面に吸着している炭素原子もHイ
オンにて有効に除去することができる。ガス中にわずか
でもH2OやO2等の不純物分子が混入していると、逆に
表面を汚染させる結果となるので超高純度ガス供給系5
04(図10参照)を用いる。なお、例えば用いるガス
系が充分配慮されたものではなく、微量のH2OやO2
の不純物分子を含んでいる場合には、Arガスに例えば
1〜30%のH2を添加することが有効である。プラズ
マ雰囲気中で生成した酸素のラジカルは試料表面と反応
する前にHと結合するからである。
【0087】このようにH2ガスを添加することは、ク
リーニングチャンバ101cに限らず101a,101
b等の薄膜形成用のチャンバにおいても同様の効果があ
ることはいうまでもない。
【0088】前記クリーニングチャンバ101cは試料
表面に数eVから30eV程度の小さな運動エネルギー
を持ったイオンを照射できる機能を有しており、多層薄
膜構造を作成するに際し、良好な界面を得るために設け
られている。照射するイオンは低エネルギーであるか
ら、下地の基板にダメージを与えることはない。特にこ
のクリーニングは基板の温度を上げる必要がなく、常温
で行なえ、従ってヒータ413は装備しなくてもかまわ
ない。
【0089】以上の説明においては、ウエハサセプタに
RF電源4103を印加する場合を例として説明した
が、Arイオンのエネルギーをより正確に制御するため
には、図9(a)に示すような回路とすることが好まし
い。すなわち、fTをターゲットに印加するRF電源の
周波数としたとき、2πfT=1/(LC)1/2が成立す
るようにL,Cの値を選んでおく。このようにするとL
C回路は並列共振状態となり、ウエハホルダ4201か
らアース4203をみた場合、そのインピーダンスは無
限大となり、ウエハの電位は限りなくプラズマの電位に
近づく。すなわち、ウエハを照射するArイオンのエネ
ルギーは0に近づく。したがって、L,Cの値を上記条
件を満たす値より少しずらせるとArイオンのエネルギ
ーを0〜5eVの範囲でも正確に制御することができる
ようになる。
【0090】前記クリーニングチャンバ101cを用い
た効果については後で実験データを示しながら説明す
る。
【0091】次に、酸化チャンバ101dについて説明
する。この酸化チャンバ101dの基本的な構成は前記
金属薄膜用チャンバ101aと同様であるので、前述し
た図5、図6及び図10を用いて説明する。このチャン
バ101dには、ガス供給系504より超高純度のアル
ゴンおよび酸素ガスが導入できるようになっている。例
えばAlの酸化を行なう場合には、ヒータ413を用い
てウエハを加熱し、ウエハの温度を例えば100℃〜4
50℃の範囲の任意の値に設定することができる。
【0092】表面にAlの成膜されたシリコンウエハ4
04を、高純度酸素ガス雰囲気で、例えば400℃で約
1時間加熱することにより表面に約3nmのAl23
膜をAlの直接熱酸化により形成することができる。こ
の膜厚は、酸化時間を長くしても増加せずほぼ一定の値
を示す。Alの直接酸化は、まず、チャンバ101d内
に酸素ガスを導入し大気圧の状態でウエハの温度を上昇
させてもよく、あるいは真空中でまず昇温し、それから
酸素ガスを導入してもよい。また、酸素の圧力は大気圧
より低い減圧雰囲気で行ってもよく、逆に大気圧より高
圧で行ってもかまわない。減圧雰囲気下の酸化はO2
スを流しながら、図10の真空排気装置501により排
気を行い、酸素の圧力を調整してもよく、また、例えば
Arガスで希釈してもよい。さらに、酸素で酸化する前
に真空雰囲気あるいはAr雰囲気中で約30分間、40
0℃でアニールを行うのがよい。これはスパッタ成膜し
たAl薄膜中には数ppm程度のArガスが含まれてい
るので、これを膜中より放出させ、この脱ガスを行って
からAlの熱酸化を行った方が良質の酸化膜が得られる
からである。この酸化チャンバ101dに設けられてい
るターゲット109a(図5)、ターゲットホルダ電極
401に接続されている高周波電源4113、およびウ
エハホルダに接続されている高周波電源(4103,4
104)等は必須のものではない。Al23層の膜厚が
もっと大きな値、例えば5nm以上必要な場合には、タ
ーゲット109aとしてAl23のターゲットを用い、
電源4113の周波数として13.56MHz、電源4
103の周波数として100〜200MHzのものを用
いる。このようにして熱酸化により形成したAl23
上にさらにスパッタリングによりAl23を形成するこ
とにより厚い膜が得られる。また、成膜に際しウエハホ
ルダ(図5、107a)にも例えば100〜200MH
zの高周波電源4103を用いてバイアスを加えること
により、緻密な特性の良好なAl23膜を形成すること
ができる。この場合、Al23とAl薄の界面は、熱酸
化により形成された界面となっているため、従来のよう
なAl23をスパッタ成膜した場合だけの界面に比べ、
特性の安定した界面となっている。
【0093】次に、絶縁薄膜用スパッタチャンバ101
bについて説明する。このチャンバも基本的な構成は1
01aの金属薄膜用スパッタチャンバと同じなので、前
述と同様に図5、図6および図10を用いて説明する。
前記チャンバ101bと金属薄膜用スパッタチャンバ1
01aとはターゲット109bの材料が絶縁物である点
で異なる。従って、ターゲットの裏面には、静電チャッ
ク式のホルダを用いる場合には、図17(c)のような
Al,Mo,Wといった導電性材料を取付ける。この場
合、直流電源4108,4112によってはバイアスを
コントロールすることができないので、両直流電源41
08,4112は不要となる。ただし、図17に示すよ
うなターゲット交換機構を装備し、絶縁物ターゲットと
金属ターゲットとの交換ができるようにしておけば、金
属のスパッタ成膜も可能である。この場合には直流電源
4108,4112を用いてのバイアス制御が可能とな
る。すなわち、用途に応じたスイッチ4107,411
1の開閉を行なう。
【0094】次に、上記4つのチャンバの間で減圧状態
に変化を与えることなくウエハを出し入れできる手法に
つき説明する。この場合、ウエハ搬送には、例えば図1
0に示したような搬送機構を用いる。508はウエハホ
ルダであり静電チャック509によりウエハ表面を周辺
部において吸着して搬送する。アーム510は必要な位
置で静電チャックを上下させる動きをするとともに、搬
送車511に固定されており、搬送車とともにトランス
ポートチャンバ104の中を自由に往復する。また、搬
送車511はウエハを装置から出し入れする際にはロー
ド用のチャンバ102およびアンロード用のチャンバ、
103内にも移動する。この搬送車は、例えば軌道51
2上を磁気浮上しながら高速で移動するリニアモータカ
ーを用いるのが望ましい。つまり移動に際し、機械的に
摺動する部分のない構造をとることが好ましい。もちろ
ん十分な発塵対策を施してあれば、レール上を車輪で運
行するタイプの搬送車を用いてもよい。なお、トランス
ポートチャンバ104を真空ポンプで引くと同時に数1
0sccm〜数100sccmのArをトランスポート
チャンバ104に流して10-2〜10-8Torr(好ま
しくは10-3〜10-4Torr)程度の減圧状態にトラ
ンスポートチャンバ104をして搬送を行ってもよい。
この場合は、Arが搬送車に生ずることがある摩擦力を
緩和する作用をする。
【0095】上述のようなウエハの枚葉処理を行なう装
置では、一枚のウエハに1つの処理を行うのに許される
時間が例えば1分以内という高速処理を求められる。す
なわち、一枚のウエハに、例えばAlなどの金属薄膜を
形成する場合、プロセスチャンバ101aへの出し入れ
の時間も含め、1分以内にすべてのプロセスを完結する
ことが要求される。成膜に要する時間を30秒とする
と、ゲートバルブ105aの開閉、ウエハの出し入れ、
およびプロセス条件の設定等に使える時間は、せいぜい
30秒となる。これに対応するためには、0.5秒程度
で開閉のできるゲートバルブが必要である。また図1で
は、ロード室102、アンロード室103の詳細な構造
は描かれていないが、この室には、数10枚のウエハを
保管するウエハカセットがあり、静電チャック搬送機構
114への受け渡し機構等が装備されている。このよう
な受け渡しに際してもゲートバルブ105e,105f
等は、やはり0.5秒程度で開閉のできる高速ゲートバ
ルブを用いる。
【0096】かかる高速ゲートバルブとしては、例えば
図20のようなものを用いるのが望ましい。図20
(a)に示すように、例えばプロセスチャンバ101a
とトランスポートチャンバ104の間のゲートを閉じた
状態に対応している。1401は例えばTiの厚さ0.
2〜0.5mm程度の薄板である。これを開閉するには
例えば図20(b)のような機構を用いればよい。図2
0(b)は図20(a)のゲートバルブを下方からみた
図であり、Tiの薄板1401は2本のアーム140
2,1402’によって2点1403,1403’で支
えられている。1404,1404’はアームをチャン
バに枢着するピンであり、ここを支点としてアームが動
く。即ちアーム1402を動かすことにより、薄板14
01が移動する。この場合、薄板(たとえばTiの薄
板)1401は、質量が極めて小さいものに設定され、
従って、図20(b)に示すような簡単な機構によって
高速で移動させることができる。薄板1401の質量を
さらに小さくするために、Tiの厚さを0.1mm以下
に薄くし、プラスチック板にはりつけて補強する等の手
法を採用してもよい。あるいは、強化プラスチックの表
面をTi,Mo,W等の金属材料でコートしたものを用
いると、軽量でかつ耐久性に優れたものが得られる。か
かる薄板を使用しても、薄板1401が仕切る両チャン
バ内は高々数Torrであるため強度的な問題は生じな
い。
【0097】なお、薄板1401の材料としてはTiに
限ることなくジュラルミンその他の材料を用いてもよ
い。また薄板1401あるいはシール用フランジの部分
1405の表面はたとえばRmax0.1μm以下の粗さ
としておくことが好ましい。
【0098】図20(a)で1405は真空シールの部
分であるが、この部分の拡大図を図21(a)に示す。
図21(a)において1406は絶縁層であり、チャン
バ壁1407に固定されている。1408は金属電極で
あり、図示してないが直流電源の一方の電極に接続され
ている。この直流電源のもう一方の電極はゲートバルブ
1401に接続されている。1409は厚さ10μm〜
数100μmの絶縁層であり、電極1408と薄板14
01の間に数100V程度の電圧を印加することによ
り、静電力によってゲートバルブを吸引し、この力によ
って真空シールを行う構造となっている。従って、前記
絶縁層1409としては弾性を有する材料を用いるのが
よい。機械的強度および吸引力は上記のような構成で実
現される。
【0099】ここで用いたゲートバルブは、ゲートバル
ブ両端のチャンバが常に数Torr以下の真空のときに
のみ用いることができ、例えば片方のチャンバが大気圧
に戻るような場合には、強度的に使用不可能である。こ
のような場合には、例えば図21(b)に示したよう
に、軽量の薄板1401を開とし、その替りに従来の機
械的な力でシールするゲートバルブ1410を用いて閉
じればよい。図1、106a〜106d等のゲートバル
ブは、通常、両側のチャンバはいずれも高真空の状態で
しか用いないので、前記ゲートバルブ1410はメイン
テナンス等でチャンバを大気圧に戻すときのみ必要であ
り、プロセス中は常時高速ゲートバルブを用いることが
できる。また105e,105fのゲートバルブもロー
ド室、アンロード室(102,103)とトランスポー
トチャンバ104間のウエハの出し入れに関しては高速
ゲートバルブを用いればよい。
【0100】ただし、ウエハを装置に出し入れする際に
は、両室102,103ともに大気圧にもどす必要があ
り、このときは開閉速度は遅いが従来のゲートバルブ1
410を用いればよい。これはウエハをバッチで装置に
装着あるいは取り出すときにのみ必要な操作であるので
ウエハ処理時間を長くすることはない。
【0101】次に、上述した本装置の使用例について実
験結果を示しながら説明する。
【0102】先ず、金属薄膜用スパッタチャンバ101
aにおいてターゲット109aとして純Alのものを用
いてSiウエハ上に薄膜を形成する場合について述べ
る。
【0103】図22(a)は、このようにして形成した
Al薄膜の表面をノマルスキー微分干渉顕微鏡で観察し
た写真である。薄膜形成に際してはN型(111)Si
ウエハを用いている。このウエハをまずクリーニングチ
ャンバ101cで処理する。すなわち、周波数fWを1
00〜200MHz、チャンバ101c内の圧力10-2
〜10-3Torrとし、照射Arイオンのエネルギーを
2〜5eVとしてウエハ表面をクリーニングする。
【0104】その後、ターゲット101aにて、ウエハ
に−20〜−40Vのウエハバイアスを印加し、成膜に
寄与するAl原子1個当り5〜6個以上のAr原子をウ
エハ表面に照射しながら約1μmの厚さまで成長させ
た。図22(a)はこのようにして形成した薄膜につい
てのものである。
【0105】一方、図22(c)は、従来のDCマグネ
トロンスパッタ装置により形成したAl薄膜の表面であ
り、本発明の装置で形成したものに比べ表面に細かな凹
凸の現れているのが理解できる。図22(b),(d)
は、図22(a),(c)のサンプルをそれぞれ400
℃のフォーミングガス雰囲気で30分熱処理した後の表
面写真である。従来の装置で形成した薄膜の表面(図2
2(d))には多くのヒロックが発生し、極めて凹凸の
激しい表面となっているが、本装置で形成したAl薄膜
表面(図22(b))にはヒロックの発生の恐れがな
い。ヒロックの発生は、多層Al配線構造では層間絶縁
膜の耐圧を著しく劣化させたり、配線の微細加工が困難
になる等様々な問題を生じている。本装置によりはじめ
てヒロックフリーのAl薄膜の形成が可能になった。さ
らに図22(a)のサンプルの反射電子線回析パターン
を図23に示す。図23から明らかなようにストリーク
を伴ったブラックスポットが見られ、単結晶のAl薄膜
が形成されていることが理解できる。また、X線回析等
によると(111)配向の薄膜が形成されていることが
分っている。
【0106】なお、従来の装置では、(111)以外に
も多くの面方位をもった多結晶薄膜が形成されること
が、反射電子線回析やX線回析より知られている。この
ように本装置を用いることにより(111)Si上に
(111)面を有するAlの単結晶薄膜の成長が可能と
なるのは、第1にクリーニングチャンバ101cにより
Siウエハ表面の汚染層がダメージフリーで完全に取り
除かれること、第2に金属薄膜用スパッタチャンバ10
1aにて、40eVという結晶中の原子の結合エネルギ
ーと同程度の比較的低い運動エネルギーのArイオンの
照射を行いつつAl薄膜を成長させるためである。すな
わち、表面の不純物を除去すると、Al原子がSi結晶
の周期性に基づきその表面に(111)の方位で配列さ
れ、さらにArイオン照射の効果で単結晶のAl薄膜が
成長する。このようにして形成した単結晶AlとSiの
界面は熱的に非常に安定である。
【0107】すなわち400〜500℃に熱してもAl
およびSiが合金化して互に混じり合うことがない。こ
の場合、コンタクトホール部でこの合金化のためにAl
がSi基板中に溶け込み、浅いPN接合をショートさせ
てしまう、いわゆるスパイクの問題が生じるので、これ
を解決するためにAl−Siの合金配線が用いられてい
る。合金配線は抵抗が高いばかりでなく、合金中のSi
がコンタクト部に折出して寸法の小さなコンタクトの不
良を生じる原因となっていたが、本装置により、純Al
を配線に用いることができるようになり、配線抵抗を
2.8μΩ・cmと合金配線の抵抗値3.5μmΩ・c
mより低くすることできる。この比抵抗の値は、77°
Kでは、純Alで0.35μΩ・cm、合金配線で0.
67μΩ・cmとさらに大きな差となる。さらに、微細
コンタクトにおけるSi折出によるコンタクト不良の問
題もなく超高集積化LSIの配線形成が多層配線も含め
て実現できるようになる。
【0108】次に本薄膜形成装置を用いて形成されるC
u薄膜の性質について述べる。まず、(100)Siウ
エハをクリーニングチャンバ101cで処理した後、1
01aのチャンバで109aとして純度6NのCuター
ゲットを用い、約1μmの厚さにCu薄膜を形成する。
この場合、ウエハ106aに与える直流バイアスは+1
0Vから−160Vまで変化させる。上記のように形成
された薄膜のX線回折パターンからは、(111)と
(200)のピークのみが観察される。図24は、(1
11)および(200)の回折ピークの高さをウエハバ
イアスの関数としてあらわしたものである。ウエハバイ
アス0Vでは(200)のピークのみが現れCu薄膜は
(100)配向した膜であることが分る。
【0109】すなわち、下地Siの結晶性を反映した結
晶構造となっている。この膜の反射電子線回折パターン
を調べると、ストリークを伴ったブラッグスポットが見
られ、Si上に単結晶のCuがエピタキシャル成長す
る。図24から明らかなように、ウエハのバイアス値を
大きくすると、(200)のピークは小さくなり逆に
(111)のピークが大きくなる。バイアス値の大きさ
50V以上では(111)配向のCu薄膜が得られてい
る。バイアス値−50Vでの薄膜の反射電子線回折パタ
ーンはストリークを伴ったブラックスポットとして観察
され、Si上に(111)Cuがエピタキシャル成長し
ていることが理解できる。形成された薄膜の結晶性は、
下地Siの結晶構造で決まるのではなく、照射されるA
rイオンのエネルギーによって支配される。
【0110】これまでSi上に単結晶のCu薄膜が形成
されたということに関して知られていないが、本装置に
よれば、かかる薄膜形成が可能となる。その理由は、A
lの単結晶成長と同様、本装置のクリーニングプロセス
および低運動エネルギーイオン照射を用いていることに
よると考えられる。
【0111】Siウエハ上と同様のプロセスにより、S
iO2上に形成したCu薄膜について、SiO2との密着
性について調べると次のようになる。CuとSiO2
密着性が悪いことは知られているが、このことはCuを
LSIの配線として用いるのを阻害する原因となる。し
かるに、本装置を用いて形成したCu薄膜は、スコッチ
テープ(登録商標)をはじめ、各種類の粘着テープを用
いた密着性テストに際してもすべてのウエハバイアス条
件のサンプルについていずれも剥離することはない。こ
れは、クリーニングチャンバにおける表面クリーニング
プロセスにより、水分の吸着分子層が完全にとり除かれ
たためである。このようにして形成されたCu薄膜の比
抵抗は約1.8μΩ・cmであり純Al配線よりもさら
に低い値を持っており高速LSI配線形成上非常に有利
である。
【0112】次に、図25に示す構造に基づき、Cuと
N型(100)Siとの間のショットキー接合の特性に
ついて説明する。即ちまずN型(100)Si層180
1上にSiO2層1802を形成し、コンタクトホール
1803の穴開けを行なう。その後、上述したプロセス
に従って全面にCu層1804を形成し、その後フォト
リソグラフィ技術を用いてパターン形成を行なう。これ
らのプロセスはすべて130℃以下で行なう。このよう
にして得られたショットキー接合の電流電圧特性を図2
6に示す。図26(a)は常温での結果であり、図26
(b)は−50℃でのデータである。順方向の特性の直
線部から求めた係数ηはウエハのバイアス条件によらず
1.03〜1.05と略1に近い値を示し、理想的なダ
イオード特性の得られていることが分る。
【0113】図27は、これらの特性より求めたショッ
トキーバリヤの高さの値を基板バイアスの関数としてプ
ロットしたものである。すなわち、バイアス値に依存す
ることなく、従来知られている値0.58Vとほぼ同じ
値が得られている。このサンプルの作成に際し、Cuの
形成は常温で行った。Cu薄膜形成後の熱工程で最も高
い温度は、パターニングの際のレジストのポストベーク
の130℃である。このように、本クリーニングプロセ
スは常温に近い低温プロセスでも理想的なショットキー
特性が得られ、理想的な金属−半導体接触が、一切の熱
処理工程を必要とせずに実現できる。
【0114】図28は、(100)Siウエハに形成し
たSi薄膜の反射電子線回折像である。材料作成は、ま
ず(100)Siを酸により前洗浄を行った後装置内に
搬入し、クリーニングチャンバ101cでクリーニング
を行った後、チャンバ101aにおいて、ターゲット1
09aとしてPの不純物濃度3×1018cm-3のN型シ
リコンを用いてSi薄膜を約0.5μmの厚みに形成し
た。このときのウエハ温度は330〜350℃である。
【0115】図28(a),(b)は、2つの異なるク
リーニング条件を用いたサンプルの回折像であり図28
(a)は、クリーニングプロセスでウエハ表面を照射す
るArイオンのエネルギーを約20Vとした場合のもの
であり、図28(b)は40Vとした場合のものであ
る。図28(a)では菊池ラインの入った回折パターン
が観察でき、優れた結晶性のエピタキシャルSi層の形
成されていることが分る。しかし、図28(b)には多
結晶シリコンの形成を示すリング模様がみられる。この
結果から明らかなように、クリーニングの際のArの照
射エネルギーが大きすぎると逆に基板にダメージを与
え、結晶性を劣化させる原因となる。ウエハバイアスを
かえたクリーニング条件の検討により、ウエハに照射さ
れるArイオンのエネルギーを30eV以下にすれば、
基板にダメージを与えることなく、有効にクリーニング
できることが分る。また形成されたエピタキシャルSi
層中に含まれる活性化されたPの濃度を測定すると、タ
ーゲットの不純物濃度の約10%程度の値が得られる。
このように350℃以下の低温でシリコンのエピ成長が
できるばかりか、1018cm-3に近い不純物原子の活性
化も可能なことが理解できる。
【0116】次に、本薄膜形成装置を用いて形成したA
l−Al23−Al三層構造のキャパシタの一例につき
図4に基づき説明する。第1層のAl(304)はP型
Si基板301上に形成されたN+層302に接続して
形成されており、その上に熱酸化により形成されたAl
23膜305、さらにAl薄膜306が形成され、これ
をエッチング加工することによりキャパシタ構造が実現
されている。この構造で重要なことはAl23は約3n
mと膜厚が薄く、かつ、比誘電率が9とSiO2の誘電
率の約2倍の値となっているため小面積で大きな容量が
実現できることである。
【0117】また酸化のメカニズムはCabreraとMottの
モデルに従い、酸化膜中を電界によってトンネリングし
て行く酸化剤により酸化が進むと考えられるため、例え
ば3nmと一定の膜厚が形成されると時間を増加しても
それ以上酸化が進行しない。従って十分長い時間酸化雰
囲気にさらすことによりAl薄膜表面全面に渡って均一
な酸化膜を形成することができる。さらにスパッタチャ
ンバ101aでイオン照射を行いながら形成したAl薄
膜は図22に示したように昇温時ヒロック等の表面の凹
凸を全く生じないため、極めて平坦な、Al表面に酸化
膜が形成されることになり、この結果凸部で生じる局所
的な電界集中が広くなり、絶縁膜の破壊耐圧が向上す
る。
【0118】さらに製造プロセスの説明から明らかなよ
うに、これらの積層構造は界面を大気に触れさせること
なく形成されているため大気成分吸着による汚染物の混
入がなく、初期耐圧が良好であるばかりでなく、長期使
用に対する絶縁耐圧の劣化、いわゆるTime dependent b
reak downに対する特性も従来のSi−SiO2−Si構
造のキャパシタよりも優れた特性を持っている。
【0119】図4の構造では、第1層のAl薄膜はコン
タクトホール307に於いてN+層302表面と接触し
ているが、製造プロセスはコンタクトホールを開口した
後ウエハを図1の装置に導入し、Al(304),Al
23(305),Al(306)の3層膜を形成するこ
とになる。従ってAl(304)とN+層(302)の
界面は大気にさらされることになり、このときN+層表
面に形成される自然酸化膜等の影響によりコンタクト特
性は不良の生じることが多く、LSIの歩留まり、信頼
性を低下させる要因の1つとなっている。しかるに本装
置ではクリーニングチャンバ101cで表面のクリーニ
ングをした後、第1層のAl(304)を形成している
ためこのような問題は解消される。
【0120】以上は、LSI配線の主役になっているA
lを用いた場合を説明した。本装置は、あらゆる金属に
対して適用できるものであり、LSI配線に使用され始
めているW,Mo,Ti,Ta,Cu,Nbにも適用で
きるのである。成膜された金属表面が極めて平坦であっ
て、しかも熱処理を行ってもヒロックを一切生じない金
属成膜が行えるところに本装置の一つの特徴がある。T
a成膜を行った後、400℃〜600℃で酸化すれば3
〜5nmのTa25が緻密な膜で得られる。Ta25
誘電率は22でありさらに小面積で容量の大きなキャパ
シタを実現することができる。
【0121】図29は同様のプロセスで形成した配線構
造を示している。2201は第1層のAl薄膜であり信
号を伝える配線を形成している。2203はAl23
2202を介して部分的に設けられたAl電極であり、
電源電位あるいは、接地電位が与えられている。これは
配線の一部にキャパシタが接続された構造であり、例え
ばシフトレジスタ等のダイナミック回路のブートストラ
ップキャパシタとして用いることができる。
【0122】ブートストラップキャパシタは、ゲート容
量と同程度の値が必要とされるが、ダミーのMOSトラ
ンジスタを形成し、そのゲートをキャパシタとして用い
ると、チップ上の多大な面積を占有することとなり、ダ
イナミック回路の集積度向上を妨げる1つの大きな原因
となる。しかし本装置を用いると図29に示すように、
配線の一部がそのまま容量として使えるため余分の面積
を必要とせず、高集積化し極めて有利であることが分
る。図29の構造は、配線2201を形成した後、Al
23膜2202、Al電極2203を形成してもよい
が、逆に電極2203を所定の位置に形成した後、Al
23膜、Al配線を形成してもよい。この場合、最初は
Al薄膜を形成した後パターニングする工程が入るため
表面が大気にさらされるが、次いでAl23膜を形成す
る前にクリーニングチャンバ101cで表面のクリーニ
ングを行うことにより、良好なAl−Al23界面を形
成することができることは言うまでもない。
【0123】また、このような形のキャパシタはリニア
LSIで多用されるキャパシタに用いることができる。
こうすることによりリニアLSIの集積度の向上が図れ
る。また、スイッチキャパシタの容量として用いること
により、小面積で抵抗をつくりだすこともできるなど様
々な応用が可能である。
【0124】さらに本装置を用いて次の様なデバイスを
つくることもできる。つまり、クリーニングチャンバ1
01cでSi表面のクリーニングを行った後、配線チャ
ンバ101dにてSi表面にSiO2を例えば約3nm
の厚みで形成し、その後絶縁薄膜用スパッタチャンバ1
01bにおいて強誘電体薄膜を形成する。そして、その
強誘電体薄膜の上にSiO2膜を形成した後チャンバ1
01aにおいてSiを形成することにより、ポリSi−
SiO2−強誘電体薄膜−SiO2−Siの五層構造が実
現できる。これをゲートのパターンに形成しソース・ド
レインをイオン注入等により形成すると高速の不揮発性
メモリが実現できる。すなわち、ゲート電極にかけた電
圧により強誘電体の自発分極の向きを制御しこれにより
MOS型デバイスのON−OFF状態をコントロールす
る。これにより、ホットエレクトロン注入型のEPRO
M素子に比べ高速のデータ書き換えが可能となる。ま
た、この装置を用いて、酸化物超電導体薄膜(例えばY
−Ba−Cu−Oなど)の形成も行える。すなわち、チ
ャンバ101bで所定の組成の薄膜を形成した後、酸化
チャンバ101dにて酸素濃度をコントロールする。
【0125】以上述べたように本装置によって、超LS
Iに必要とされる各種の多層薄膜構造を優れた膜質およ
び界面特性で、しかも低温下で形成することができるよ
うになる。特に、コレクタ形成後の配線形成は、多層配
線構造を含めてすべて常温で行なえる。
【0126】このことはASIC(Application Specif
ic IC)などの応用には大きな自由度が得られ非常に重
要である。またこのように低温プロセスが可能であるこ
とは、チャンバ材料をはじめ、真空部品その他の材料の
選択にあたっても自由度が大きく、装置の設計並びに製
作が容易になるなどの有利性もある。以上の説明ではS
iLSIを主体としてきたが、その他化合物半導体、石
英基板などのいかなる材料に対しても同様に応用できる
ことはいうまでもない。
【0127】また4つのチャンバを組合わせた場合を代
表例として述べたが、必要に応じて組合せをかえたり、
数を増減してももちろんかまわない。
【0128】上記実施例では各種減圧室へのウエハの出
し入れをウエハサセプタを移動(図1の場合は上下方向
への移動)させることにより行う場合を示したが、以下
に、ウエハサセプタを固定式とした場合の実施例につい
て説明する。
【0129】本例では、各減圧室101a〜101cの
ゲートバルブ105a〜105cに対向する位置に、ト
ランスポートチャンバ104を横切って減圧室101a
〜101c方向に前後移動可能であり、先端にウエハを
握持するための握持手段を有する可動アームを設けてあ
る。この可動アームはその先端の握持手段でウエハから
受け渡しを行なうことができる。
【0130】次に本例におけるウエハの搬送手順例を説
明する。
【0131】まず、これから処理しようとするウエハ1
06eをロード室102のウエハホルダ107e上に載
置しておく。この載置されたウエハ106eを可動アー
ム130e先端の握持手段により保持し、可動アームを
トランスポートチャンバ104内へ前進させる。ゲート
バルブ105eを開け、可動アーム130eを前進させ
トランスポートチャンバ104に待機する搬送車511
にウエハ106eを受け渡す。受け渡し後、可動アーム
130eは後退し、後退後ゲートバルブ105eは閉じ
られる。一方、ウエハ106eを受け取った搬送車51
1は、軌道512上を、クリーニングチャンバ101c
の前まで移動する。クリーニングチャンバ101bの前
で停止後、ゲートバルブ105cを開け、可動アーム1
30cを前進させ、搬送車上のウエハを握持する。ウエ
ハを握持した状態で可動アーム130eをさらに前進さ
せ、クリーニングチャンバ101cのウエハホルダ10
7cにウエハを受け渡す。受け渡し後可動アームを後退
させ、ゲートバルブ105cを閉じる。また、各減圧室
相互間のウエハの搬送も同様に行えばよい。以上のよう
にして真空状態を変えることなくウエハの搬送を行うこ
とができる。
【0132】なお、図示はされていないが、トランスポ
ートチャンバ104、各減圧室101a〜101c、ロ
ードチャンバ102、アンロードチャンバ103には排
気装置が接続されていることは上記実施例と同様であ
る。
【0133】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、減圧室
内に配設されたホルダと、ターゲットの裏面側に形成さ
れた磁性部分との磁気吸引力により該ターゲットを前記
ホルダに吸着させる磁気吸着手段とを備える構成とした
ので、ターゲット交換をプロセスチャンバの真空状態を
変えることなく行なうことができ、従って1つのチャン
バで多種類のターゲットを用いた成膜が可能となり、ス
ループットの向上を図れる。また、従来のようなネジ止
による結合手段を用いないので、ターゲットを必要以上
に肉厚にすることもなく、遠隔操作が可能となる一方、
ネジの材料がスパッタされて汚染の原因となる恐れはな
く、さらに、ターゲットの材料の純度上の制約の問題が
解消される。
【0134】さらに、ターゲットの形状も単純な円板形
状でよいなど加工が極めて簡単であるので、可能な限り
高純度の材料を用いることができるばかりでなく、ター
ゲットの製作に際していわゆる削り代が少なくて済むな
どターゲット材料の歩留りがよくコスト上有利である。
【0135】加えて、ターゲットの磁性部分を磁石によ
り構成した場合には、ターゲットの表面に大きな磁界が
形成され、スパッタリング時に低いガス圧下でも効率良
く放電が起こり、その結果ターゲットの表面でのイオン
密度が高くなり、スパッタ放電を促進させるという効果
を奏する。換言すれば、スパッタ放電は専らターゲット
との間で生じることとなり、従来のようなチャンバの内
壁との間でのスパッタ放電が防止され、薄膜形成の高品
質化を図れると共に、ターゲット材料の堆積によるチャ
ンバ内壁の清浄化(クリーニング)という作業上の手間
を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターゲット保持機構が適用される薄膜
形成装置の一例を示すシステム図である。
【図2】薄膜形成装置の他の例の要部を示すの断面図で
ある。
【図3】ウエハとターゲットとの位置関係を示す側面図
である。
【図4】薄膜構造を示す模式図である。
【図5】スパッタチャンバの模式図である。
【図6】スパッタチャンバの模式図である。
【図7】スパッタチャンバの模式図である。
【図8】スパッタチャンバの模式図である。
【図9】スパッタチャンバの模式図である。
【図10】スパッタチャンバと真空排気装置およびガス
供給装置との接続関係の一例を示す模式図である。
【図11】ガス中の水分濃度が表面粗さに与える影響を
示す顕微鏡写真である。
【図12】脱ガス特性の実験装置を示す構成図である。
【図13】図12の実験の結果を示すグラフである。
【図14】配管の昇温タイムチャートである。
【図15】成膜の深さに対する元素分布を示すグラフで
ある。
【図16】シール材の一例を示す正面図および断面図で
ある。
【図17】ターゲットの交換を示す機構を説明する図で
ある。
【図18】周波数に対するターゲットの電流電圧特性を
示すグラフである。
【図19】本発明に係るターゲット保持機構を説明する
図である。
【図20】高速ゲートバルブの例を説明する図である。
【図21】ゲートバルブの他の例を説明する図である。
【図22】Siウエハ上に形成されたAl薄膜の顕微鏡
写真である。
【図23】電子線回析写真である。
【図24】Cu薄膜におけるウエハバイアスとX線強度
との関係を示すグラフである。
【図25】薄膜構造の断面概念図である。
【図26】図25に示す構造におけるショットキー接合
の電流、電圧特性を示すグラフである。
【図27】図25に示す構造におけるウエハバイアスと
ショットキーバリヤの高さとの関係を示すグラフであ
る。
【図28】(100)Si、ウエハに形成したSi薄膜
の反射電子線回析像を示す写真である。
【図29】配線構造を示す断面概念図である。
【図30】従来のターゲット保持機構を説明するための
側面図である。
【符号の説明】
101a 金属薄膜形成用のスパッタチャンバ(プロセ
スチャンバ)、 101b 絶縁薄膜形成用のスパッタチャンバ(プロセ
スチャンバ)、 101c クリーニングチャンバ(プロセスチャン
バ)、 101d 酸化チャンバ(プロセスチャンバ)、 102 ローディングチャンバ、 103 アンロードチャンバ、 104 トランスポートチャンバ、 105a,105b,105c,105d,105e,
105f ゲートバルブ、 106a,106c,106e ウエハ、 107a,107b,107c,107d、107e
ウエハホルダ、 107f ウエハステージ、 108a,108b,108c,108d ターゲット
チャンバ、 109a,109b,109c,109d ターゲッ
ト、 110a,110b,110c,110d,112a,
112b,112c,112d 同調回路、 111a,111b,111c,111d,113a,
113b,113c,113d RF電源、 114 ウエハチャック、 130e 可動アーム、 301 シリコン基板、 302 N+層、 303 絶縁膜、 304、306 Al薄膜、 305 Al23膜、 401 ターゲットホルダ電極、 402 壁材、 403、420 ベローズ、 404 ウエハ、 405 静電チャック電極、 406 オーリング(シール部品)、 406’、407 フランジ面、 408 オーリング、 409 被膜、 410 金属電極、 411、421 絶縁碍子、 412 導入電極、 413 ヒータ、 414 ファイバ温度計、 415 ホルダ電極、 416 電極、 417 磁石、 418 パイプ、 419 グラウンド・シールド、 4101、4108、4109、4112 直流電源、 4102 高周波フィルタ、 4103 RF電源、 4104 整合回路、 4105 ブロックキングコンデンサ、 4106、4116 回路、 4107、4111 スイッチ、 4110 電極、 4113 RF電源、 4201 ストッパ、 4203 アース、 501 磁気浮上式のロータを有するターボ分子ポンプ
(真空排気装置)、 502 ロータリーポンプ、 503 オイルトラップ、 501’、502’、503’ 真空排気系、 504 ガス供給装置、 505 パージライン、 506 バルブ、 507 マスフローコントローラ、 508 ウエハホルダ、 509 静電チャック、 510 アーム、 511 搬送車、 512 軌道、 601 ガス純化装置、 602 SUSパイプ、 603 APIMS(大気圧イオン化マス分析装置)、 604 電源、 1001 オーリング、 1002 板バネ状のリング(メタルリング)、 1003 開放部、 1004 内部、 1012、1101、1102、1103 ターゲッ
ト、 1102' ターゲット1102の上面、 1104 切り欠き部、 1105 ターゲットストッカ、 1105' 凹溝、 1106 回転軸、 1107 板バネ、 1108 導電性材料、 1190 コイルスプリング、 1191 受け台、 1301 ターゲット、 1302 薄板(磁性部分)、 1303 磁石(磁気吸着手段)、 1304 ターゲットホルダ、 1305 永久磁石(磁性部分、磁気吸着手段)。 1401 薄板、 1402、1402’ 1対のアーム、 1404、1404’ ピン、 1405 シール用フランジ、 1406、1409 絶縁層、 1407 チャンバ壁、 1408 金属電極、 1410、1410’ ゲート板、 1410” 連結基板、 1411 オーリング、 1420 リンク片、 1421 コイルスプリング、 1422 隔壁、 1423 開口部、 1424 ストッパ、 1441 回動軸、 1430、1431 チャンバ、 1801 N型(100)のSi層、 1802 SiO2層、 1803 コンタクトホール、 1804 Cu層、 2201 配線(Al薄膜)、 2202 Al23膜、 2203 Al電極、 2301 薄膜形成室(プロセスチャンバ)、 2302 ホルダ、 2303 ターゲット、 2304 ボルト、 2305 ナット、 2306 ウエハ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−215485(JP,A) 実開 昭63−123668(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/31 C23C 14/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウエハとターゲットとをウエハを下部に
    ターゲットを上部に対向するように配設し、該ウエハの
    面に薄膜を堆積する薄膜形成装置において、減圧室内に
    配設されるホルダに、前記ターゲットを磁気吸引力によ
    り吸着させる磁気吸着手段を備えて該ターゲットを保持
    するようにしたことを特徴とする薄膜形成装置。
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