JP3016644U - 鋏研磨用補助具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 理髪用鋏に装着して研磨板により該鋏の刃部
を簡単且つ精度よく研磨し得る鋏研磨用補助具を提供す
る。 【構成】 クリップ(1) と、このクリップ(1) から前方
に向かって突設した短杆(2) の先端に回転自在に支持さ
れているガイド転子(3) とからなり、クリップ(1) を鋏
の刃体(A) に装着したのち、該クリップ(1) の上面とガ
イド転子(3) の上面間に研磨板(B) を当てがって該研磨
板(B) の下面（研磨面）を刃体(A) の刃部に摺接させた
状態にしたのち、研磨板(B) を前後方向に移動させて刃
体(A) の刃部を研磨するように構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は各種の鋏、特に頻繁に使用される理髪用鋏等の鋏の研磨に適した鋏研 磨用補助具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から鋏の刃部を研磨するには、電動研磨機を使用したり、左右一対の円形 砥石の対向面間に刃部を押し当てながら鋏を前後に往復移動させることによって 研磨を行ったり、或いは、研磨板を刃部に摺接させて研磨作業を行う等の種々な 研磨装置や研磨具を使用して行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、電動研磨機のような大型の装置は高価につく上に設置場所を必 要とし、研磨を行う際にはその場所にまで鋏を持っていって研磨機を始動させな ければならないために、研磨作業や操作が煩わしいという問題点があり、さらに 騒音を発するために理髪店のような店に設置して使用することには適しないもの である。一方、円形砥石や研磨板を使用して手動的に鋏を研磨するものにおいて は、手軽に使用することができるという利点を有するが、円形砥石の場合には左 右一対の砥石間に刃体の刃部を押し付けるものであるから、押し付け力が僅かな に変化しても刃部の研磨度に大きく影響し、刃部を精度良く研磨する必要がある 理髪用鋏には採用し難いものである。また、電動研磨機と同様に、粗研磨や仕上 げ研磨を行うには、それに応じた砥石を備えている研磨具を準備しておかねばな らず、不経済であった。

【０００４】 これに対して研磨板を使用すれば、該研磨板を把持して鋏の刃部に押し付けな がらその刃部を手軽に且つ所望の角度に研磨できると共に、研磨粗さの異なる種 々の研磨板を安価に入手し得るが、刃体の刃部に対する押し付け圧力や押し付け 角度が研磨作業の度に変化し、刃部を刃基から刃先まで全長に亘ってムラなく均 一に研磨するには熟練を要するという問題点があった。本考案はこのような問題 点に鑑みてなされたもので、研磨板を使用して鋏の刃部を何等の熟練を要するこ となく、全長に亘って均一且つ精度のよい研磨を可能にし得る鋏研磨用補助具を 提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案の請求項１に記載した鋏研磨用補助具は、鋏 の刃体に着脱自在に挟着させるクリップと、このクリップから前方に向かって突 設した短杆と、この短杆の先端における上記クリップに対して斜め下方の位置に 回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド転子とから構成している。又、請求項 ２に記載した鋏研磨用補助具は、鋏の刃体に着脱自在に挟着させるクリップと、 このクリップから後方に向かって突設した短杆と、この短杆の先端における上記 クリップに対して斜め上方の位置に回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド転 子とから構成している。

【０００６】 上記のように構成した鋏研磨用補助具において、請求項３に記載したように、 短杆の基端部をクリップに固定しておいてもよく、又、請求項４に記載したよう に、短杆の基端部をクリップに上下回動調整可能に固定しておいてもよい。

【０００７】

【作用】

クリップとガイド転子との上面間を結ぶ線上に該クリップに挟着される鋏の刃 体の研磨すべき刃部の面が位置するように、予め、クリップに体するガイド転子 の位置を調整しておく。このクリップを研磨すべき鋏の刃体の峰部に背面側から 挟着させたのち、一方の手で鋏の刃体を支持し、他方の手で研磨板を把持して該 研磨板の下面をクリップの上面とガイド転子上とに架設状態に当てがうと、研磨 板の下面が刃部に接した状態となる。この状態で研磨板を手前に引き寄せると、 刃体の刃部が刃基から刃先までムラなく研磨される。この際、研磨板がクリップ とガイド転子との上面に受止されているから、刃体に対する研磨板の押付力と研 磨角度が一定に保持され、刃部が全長に亘って精度よく研磨されると共に研磨板 の移動に応じてガイド転子が回転して円滑に研磨できる。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例を図面について説明すると、鋏研磨用補助具は、鋏の刃体(A) に着脱自在に挟着させるクリップ(1) と、このクリップ(1) から前方に向かって 突設した短杆(2) と、この短杆(2) の先端に上記クリップ(1) に対して斜め下方 の位置に回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド転子(3) とから構成されてい る。

【０００９】 クリップ(1) は図１、図２に示すように、一部が全長に亘って分離されている 断面Ｃ字状の弾性部材(1a)と、該弾性部材(1a)内に配設された上下挟持片(1b)(1 c)と、これらの上下挟持片(1b)(1c)の後端縁中央部から夫々後方に向かって突出 した挟持用突片(1d)(1e)とからなり、上下挟持片(1b)(1c)の前端縁部は弾性部材 (1a)の分離した開口部から前方に向かって突出していると共に、挟持用突片(1d) (1e)は弾性部材(1a)の後面上下部に開設したスリット孔(1f)(1g)を挿通して後方 に突出している。従って、常態においては、上下挟持片(1b)(1c)の前端縁部は弾 性部材(1a)の弾性力によって互いに密着してあり、上下挟持用突片(1d)(1e)を指 先によって摘んで接近する方向に移動させると、スリット孔(1f)(1g)を支点とし て上下挟持片(1b)(1c)の前端縁部間が弾性部材(1a)の弾性力に抗して開放するよ うに構成されている。なお、クリップとしてはこのような構造に限定されること なく、片手によって開閉可能な上下挟持片を有するものであればよい。

【００１０】 このクリップ(1) の下側挟持片(1c)の上面には鋏の刃体(A) を載置させる支持 板片(4) が貼着、敷設されていると共に該支持板片(4) の後端部上に細幅の規制 片(5) を一体的に固着してあり、この規制片(5) はその前端面で刃体(A) の峰部 端面を受止して研磨すべき刃部(A1)を刃基から刃先まで上下挟持片(1b)(1c)から 正確に突出させるものである。

【００１１】 短杆(2) は金属線材からなり、その基端部（後端部）と先端部（前端部）とを 一側方に向かって互いに平行に屈折させていると共に基端部(2a)を二重に折り曲 げて下側挟持片(1c)の下面と弾性部材(1a)の対向内周面との間に挿嵌し、これら の対向面で挟着させて回動不能に固定させている。さらに、先端部(2b)に紡錘形 状のガイド転子(3) の中心孔(3a)を回転自在に支持させて、このガイド転子(3) をクリップ(1) の前方側における斜め下方に配設している。この傾斜角度、即ち クリップ(1) の上下挟持片(1b)(1c)に挟持される刃体(A) の刃体面幅方向延長線 に対してクリップの弾性部材(1a)とガイド転子(3) との上面間を結ぶ直線がなす 角度（研磨角度）は、鋏の刃体(A) の面に対して刃部(A1)の面がなす角度に等し くし、且つクリップ(1) の上下挟持片(1b)(1c)に刃体(A) を挟持させた時に上側 挟持片(1b)とガイド転子(3) との上面間を刃部(A1)に重なるように研磨角度を設 定されている。

【００１２】 この研磨角度を微調整可能にするために、上記短杆(2) を塑性変形可能な金属 線材から形成し、クリップ(1) 側に固定した基端部(2a)に対して直角に屈曲した 部分等を上下方向に僅かに屈折させることによって研磨角度の微調整を行うよう にしているが、短杆(2) の基端部(2a)をクリップ(1) に回動自在に支持させてお き、短杆(2) をその基端部(2a)を中心として上下に微調整したのち、ビス等によ って基端部(2a)を固定するように構成しておいてもよい。

【００１３】 このように構成した鋏研磨用補助具を使用して、例えば、理髪用鋏を研磨する には、まず、クリップ(1) の上下挟持用突片(1d)(1e)を指先によって摘んで互い に接近させることにより上下挟持片(1b)(1c)の前端縁部間を開口させた状態にし てこれらの挟持片(1b)(1c)間に研磨すべき鋏の刃体(A) を幅方向に挿入し、その 峰部端面を規制片(5) に当接させたのち、上下挟持用突片(1d)(1e)に対する摘持 力を解いて図２に示すように刃体(A) にクリップ(1) を装着する。

【００１４】 この状態にすると、刃体(A) の刃部(A1)が刃基から刃先に亘る全長に亘って上 下挟持片(1b)(1c)から前方に突出すると共に、短杆(2) は該刃体(A) の下面側を 直角方向に前方に突出し、その先端に回転自在に設けているガイド転子(3) の上 周面が刃部(A1)の面の延長上に位置することになる。この状態にして図１に示す ように、一方の手で刃体(A) の柄部を把持すると共に人指指の指先を該刃体(A) の峰部背面に当てがい、図３に示すように他方の手で研磨板(B) の把手部を軽く 持って該研磨板(B) の研磨面をクリップ(1) の弾性部材(1a)の上面とガイド転子 (3) の上周面間に架設状態で当接させる。

【００１５】 そうすると、クリップ(1) とガイド転子(3) 間の研磨板(B) の研磨下面が刃体 (A) の刃部(A1)に接した状態となり、この状態で研磨板(B) を手前に引き寄せれ ば、研磨板(B) の研磨下面が刃部(A1)に均一な接圧力でもって摺動、研磨し、引 き寄せ後、研磨板(B) を元の位置まで戻して再び研磨作業を行い、これを繰り返 すことによって刃体(A) の刃部を全長に亘って研磨するものである。この際、研 磨板(B) の摺動によってガイド転子(3) が回転するので、円滑な研磨が可能とな る。

【００１６】 図４は本考案の別な鋏研磨用補助具を示すもので、上記鋏研磨用補助具におい てはガイド転子(3) をクリップ(1) の前方における斜め下方に配設したが、この 鋏研磨用補助具においては、ガイド転子(3) をクリップ(1) の後方における斜め 上方に配設しているのものである。即ち、鋏の刃体(A) に着脱自在に挟着させる クリップ(1) から上記短杆(2) を後方に向かって突設し、この短杆(2) の先端に おける上記クリップ(1) に対して斜め上方の位置に研磨板摺動用ガイド転子(3) を回転自在に支持してなるものである。そして、クリップ(1) とガイド転子(3) の上面間を結ぶ線の延長上に研磨すべき鋏の刃体(A) の刃部(A1)が位置するよう に構成しているものである。その他の構造は上記図１で示した鋏研磨用補助具と 同様であるので省略する。この鋏研磨用補助具によっても上記と同様な作用によ り鋏の刃部を円滑に研磨することができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように本考案の鋏研磨用補助具によれば、鋏の刃体に着脱自在に挟着さ せるクリップと、このクリップから前後方向に向かって突設した短杆と、この短 杆の先端に回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド転子とからなり、クリップ とガイド転子との上面間に研磨板を当てがって鋏の刃部を研磨するように構成し ているので、研磨すべき鋏の刃体にクリップを装着するだけで、簡単に研磨作業 の準備が可能となるばかりでなく、該クリップとガイド転子の上面間に研磨板を 当てがうことによって研磨板の研磨面を刃体の刃部に該刃部の角度と略同一角度 で正確に摺接させることができ、この状態から研磨板を手前に引き寄せることに よって刃体の刃部を刃基から刃先に至る全長に亘わて簡単に研磨することができ るものである。

【００１８】 さらに、この研磨時において刃体に対する研磨板の押付力が変化しても、研磨 板がクリップとガイド転子との上面に受止されているから、刃体に対する研磨板 の摺接圧が常に一定に保持され、従って、刃部の全長に亘って均一且つ精度よく しかも研磨板の摺動に応じてガイド転子を回転させながら円滑に研磨することが でき、特に、頻繁に研磨を行う必要のある理髪用鋏に対する研磨用補助具として 便益である。

【図面の簡単な説明】

【図１】刃体に装着した状態の斜視図、

【図２】その拡大縦断側面図、

【図３】研磨を行っている状態の斜視図。

【図４】本考案の別な鋏研磨用補助具の縦断側面図。

【符号の説明】

(1) クリップ (2) 短杆 (3) ガイド転子 (A) 刃体 (B) 研磨板

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋏の刃体に着脱自在に挟着させるクリッ
   プと、このクリップから前方に向かって突設した短杆
   と、この短杆の先端における上記クリップに対して斜め
   下方の位置に回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド
   転子とから構成していることを特徴とする鋏研磨用補助
   具。
2. 【請求項２】 鋏の刃体に着脱自在に挟着させるクリッ
   プと、このクリップから後方に向かって突設した短杆
   と、この短杆の先端における上記クリップに対して斜め
   上方の位置に回転自在に支持された研磨板摺動用ガイド
   転子とから構成していることを特徴とする鋏研磨用補助
   具。
3. 【請求項３】 短杆の基端部がクリップに固定されてい
   ることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の鋏研磨
   用補助具。
4. 【請求項４】 短杆の基端部がクリップに上下回動調整
   可能に固定されていることを特徴とする請求項１又は請
   求項２記載の鋏研磨用補助具。