JP3015293U - ウインチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤロープの移動速度を高精度に測定する
ことのできるウインチを提供する。 【構成】 ガイドシーブ５の回転に同期して回転するこ
とにより、ワイヤロープ３の移動速度を設定するワイヤ
ロープ速度測定手段２０を備えている。このワイヤロー
プ速度測定手段２０は、ガイドシーブ５の側面外周に設
けられたギア２１と、ギア２１に噛合うように設けられ
たピニオン２２と、このピニオン２２の回転からワイヤ
ロープ３の速度を測定する速度検出器２３とを有してい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ウインチに関し、より特定的には、ワイヤロープの移動速度を高 精度に測定することができるウインチの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ウインチは、たとえばロープを引張ることによって貨物を牽引または引上げた りするために、あるいは高層ビルの外装を清掃する場合などに用いられるゴンド ラなどに固定されそのゴンドラなどを昇降させるために使用されている。

【０００３】 このようなウインチの一例として、たとえば実開平１−４５６９２号公報に開 示されたウインチがある。

【０００４】 この実開平１−４５６９２号公報に開示されたウインチの構造について、図７ を参照しながら説明する。なお、図７は、説明の便宜上前面ケースを取除いて内 部を透視している。

【０００５】 図に示しているように、このウインチは、ケース２と、このケース２内に収納 されかつＶ字状の溝が形成された周面に巻掛けられたワイヤロープ３を牽引する ために駆動される巻ドラム４と、ワイヤロープ３の移動とともに回転し、巻ドラ ム４の周面のロープ巻込み側へワイヤロープ３を案内するガイドシーブ５と、ワ イヤロープ３を巻ドラム４の周面に押付けることによってワイヤロープ３を挾着 するものであるローラチェーン６と、ワイヤシーブ５を回転自在に保持するとと もにローラチェーン６とガイドシーブ５とを連結するシーブプレート７と備えて いる。

【０００６】 巻ドラム４には、図示されていないが、巻ドラム４の前方側または後方側には モータが配置されており、そのモータの回転は減速機構を介して巻ドラム４に伝 達される。このようにして、巻ドラム４はモータの駆動よってワイヤロープ３を 牽引する。

【０００７】 ローラチェーン６は、それぞれ複数個の押えローラ１０とリンク１１とローラ シャフト１２とを組合せて構成されるものであり、その一端１３がケース２に固 定されている。また、その一端１３から巻ドラム４の周面に巻掛けられたロープ ３に接触しながら巻ドラム４のロープ導出側に向かって延びるように配置されて いる。ローラチェーン６の他端１４は、シーブプレート７に連結されている。

【０００８】 上述した構造よりなるウインチにおいて、ウインチの取扱い時の安全性を確保 するために、ワイヤロープ３の移動速度を測定する必要がある。このワイヤロー プ３の移動速度を測定する方法としては、以下の方法が用いられている。

【０００９】 モータ軸の回転数から測定する方法。 ワイヤロープから直接測定する方法。

【００１０】 被牽引物の移動速度から測定する方法。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】

上述したウインチのワイヤロープの移動速度の測定には、以下に示す問題点を 有している。

【００１２】 まず、のモータ軸の回転数からワイヤロープの移動速度を測定する方法によ れば、モータ軸の回転数から得られるワイヤロープの移動速度と実際のワイヤロ ープの移動速度とに大きな誤差が生じる。これは、ワイヤロープは巻ドラム円周 のＶ溝に巻掛けられているので、ワイヤロープに作用する張力が変化すれば、巻 ドラムに巻掛けられたワイヤロープの中心に直径は変化するため、巻ドラム（モ ータ軸）の回転数が一定でもワイヤロープの移動速度は変化するためである。し たがって、モータ軸の回転数からワイヤロープの移動速度を正確に求めることは 困難である。

【００１３】 次に、のワイヤロープから直接ワイヤロープの移動速度を測定する方法は、 ワイヤロープの断面形状が不均一であったり、ワイヤロープの振れまたは曲りに より、ワイヤロープの移動速度を正確に測定することが困難である。

【００１４】 次に、の被牽引物の移動速度からワイヤロープの移動速度を測定する方法に は、作業ごとに被牽引物に移動速度の測定装置を取付ける必要があり、作業性が 著しく悪化してしまう。

【００１５】 この考案は、上記問題点を解決するためになされたもので、ワイヤロープの移 動速度を高精度に測定することのできるウインチを提供することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】

請求項１に記載のウインチは、ケースと、上記ケース内に収納され、かつ所定 形状の溝が形成された周面に巻掛けられたワイヤロープを牽引するために駆動さ れる巻ドラムと、上記ワイヤロープの移動とともに回転し、上記巻ドラムの周面 のロープ巻込み側へ上記ワイヤロープを案内するガイドシーブと、上記ガイドシ ーブの回転に同期して回転することにより、上記ワイヤロープの移動速度を測定 するワイヤロープ速度測定手段とを備えている。

【００１７】 次に、請求項２に記載のウインチは、請求項１に記載のウインチであって、上 記ワイヤロープ速度測定手段は、上記ガイドシーブの側面外周に設けられたギア と、上記ギアに噛合うように設けられたピニオンと、上記ピニオンの回転から上 記ワイヤロープの速度を測定する速度検出器とを有している。

【００１８】 次に、請求項３に記載のウインチは、請求項２に記載のウインチであって、上 記ワイヤロープが、上記ガイドシーブに案内された状態において、上記ガイドシ ーブの中心から上記ワイヤロープの中心までの距離と上記ギアのピッチ円の半径 とが同一である。

【００１９】 次に、請求項４に記載のウインチは請求項２に記載のウインチであって、上記 速度検出器は、回転式エンコーダまたはジェネレータである。

【００２０】 次に、請求項５に記載のウインチは、請求項２に記載のウインチであって、上 記ピニオンは、上記ピニオンを常に上記ギア側に押付けるための付勢手段を有し ている。

【００２１】

【作用】

請求項１に記載のウインチによれば、ガイドシーブの回転に同期して回転する ことによりワイヤロープの移動速度を測定するワイヤロープ速度測定手段が備え られている。

【００２２】 このように、ワイヤロープの移動に伴って、ワイヤロープに張力が発生するた め、ワイヤロープは、ガイドシーブに押えつけられることになり、ワイヤロープ とガイドシーブとの間に摩擦力が生じ、ガイドシーブはワイヤロープの移動に伴 ってスリップを起こすことなく回転する。

【００２３】 したがって、ガイドシーブの回転に同期して回転するワイヤロープ速度測定手 段を用いることにより、ワイヤロープの移動速度を高精度に測定することができ る。

【００２４】 次に、請求項２および請求項４に記載のウインチによれば、ワイヤロープ速 度測定手段にガイドシーブの外周に設けられたギアと、このギアに噛合うピニオ ンと、このピニオンの回転からワイヤロープの速度を測定する速度検出器として 、回転式エンコーダまたはジェネレータが用いられている。

【００２５】 このように、ギアおよびピニオンを用いることにより、スリップによる測定誤 差の発生を防止し、ガイドシーブの回転を確実に速度検出器に伝達することがで きる。また、ギアの歯数比を変えることにより、あらゆる速度検出器に対して速 度変換を容易に行なうことができる。

【００２６】 次に、請求項３に記載のウインチによれば、ワイヤロープがガイドシーブに案 内された状態において、ガイドシーブの中心からワイヤロープの中心までの距離 と、ギアのピッチ円の半径とが同一になるように設けられている。これにより、 ピニオンの周速とワイヤロープの移動速度とが同一となり、測定誤差が極めて少 なくなり、ワイヤロープ速度測定手段の精度を高めることが可能となる。

【００２７】 次に、請求項５に記載のウインチによれば、ピニオンには、ピニオンを常にギ ア側に押付けるための付勢手段が設けられている。

【００２８】 これにより、ピニオンは常にギアに押付けられる状態となり、ギアの変動に対 しても正確に追従するため、バックラッシを最小限に抑制することができる。

【００２９】

【実施例】

以下、この考案に基づくウインチの一実施例について図を参照して説明する。 なお、本実施例におけるウインチと従来のウインチとの相違点は、従来のウイン チのガイドシーブにワイヤロープ速度測定手段を備えている点にあるため、ここ では、そのワイヤロープ速度測定手段の構造および動作について言及する。

【００３０】 図１は、この実施例におけるウインチの構造を示すものであり、説明の便宜上 前面ケースの１部を取除いて内部を透視している。また、ワイヤロープ速度検出 手段２０を実線で示し、その他は点線で示している。また、図２は、図１の中Ｘ −Ｘ線矢視部分断面図である。

【００３１】 両図を参照して、ワイヤロープ速度検出手段２０は、ガイドシーブ５の近傍に 取付けられている。ガイドシーブ５には、ギア２１が取付けられている。ワイヤ ロープ速度検出手段２０に設けられたピニオン２２がギア２１に噛合うように取 付けられている。

【００３２】 このように、ガイドシーブ５の回転からワイヤロープ速度を検出するようにし たのは、ワイヤロープ３の移動に伴って、ワイヤロープ３に張力が発生する。こ れにより、ワイヤロープ３はガイドシーブ５に押付けられることから、ワイヤロ ープ３とガイドシーブ５との間に摩擦力が生じ、ガイドシーブ５は、ワイヤロー プ３の移動に確実に同調し、スリップなどを起こすことがないからである。

【００３３】 ここで、ワイヤロープ３がガイドシーブ５に案内された状態において、ガイド シーブ５の中心からワイヤロープ３の中心までの距離と、ギア２１のピッチ円２ １Ａの半径とが同一となるように設定されている。これにより、ピニオン２２の 周速とワイヤロープ３の移動速度とが同一となり、速度誤差が極めて少なく、ワ イヤロープ３の速度測定の精度を高めることが可能となる。

【００３４】 次に、ワイヤロープ速度測定手段２０の構造について、図３ないし図５を参照 しながら説明する。なお、図３は平面図を示し、説明の便宜上内部を透視した状 態を示している。また、図４は、図３中Ｙ−Ｙ線矢視図を示し、図５は、図３中 Ａ−Ａ線矢視断面図を示している。

【００３５】 ピニオン２２は、軸２４により速度検出器２３に連結されている。したがって 、ギア２１の回転がピニオン２２に伝わり、軸２４を介して速度検出器２３を回 転させる。この速度検出器２３には、軸２４の回転数に比例して信号を出力する 回転式エンコーダやジェネレータなどが用いられる。

【００３６】 このように、ギア２１とピニオン２２を用いたのは、スリップによる測定誤差 の発生を防止し、ガイドシーブ５の回転を確実に速度検出器２３に伝達すること ができるためであり、また、ギア２１の歯数比を変えることにより、あらゆる速 度検出器に対して速度変換を容易に行なうことができるためである。なお、この 条件を満足するものであれば、ギア２１、ピニオン２２からなる構造にかかわら ず、たとえば中間歯車、摩擦車またはベルト車などを用いることも可能である。

【００３７】 速度検出器２３は、ベースプレート２７に固定されている。また、速度検出器 ２３はベースプレート２７とともにピニオン２２が常にギア２１に押付けられる ように押えばね２５によりギア２１側に付勢されている。

【００３８】 このように、押えばね２５を用いて、ピニオン２２をギア２１側に付勢してい るのは、ギア２１の変動に対してもピニオン２２が正確に追従するようにするた めであり、これにより、バックラッシを最小限に制約することが可能となるから である。

【００３９】 速度検出器２３は、ケース２６により覆われ、このケース２６はビス３０によ りプレート２８に取付けられている。さらにプレート２８は、ボルト３０により ウインチの前面カバー３１に固定されている。

【００４０】 速度検出器２３には、所定の信号を出力するためのリード線２９が取付けられ ている。速度検出器２３から出力される信号は、図６に示すようにウインチの制 御部に送られて、ワイヤロープ３の移動速度を正確に制御するために駆動部（モ ータ）に所定の信号を出力したり、またはワイヤロープ３の移動速度を表示した りする。

【００４１】 以上、この実施例におけるウインチによれば、ガイドシーブ５の回転に同期し て回転することにより、ワイヤロープ３の移動速度を測定するワイヤロープ速度 測定手段が備えられている。これにより、ワイヤロープ速度測定手段から得られ る情報に基づいて、モータの回転数を制御することにより、ワイヤロープの移動 速度を正確に制御したり、またワイヤロープの移動速度を表示することが可能と なる。さらに、ウインチ自体にワイヤロープの移動速度を測定するための装置を 設けていることから、ウインチの取扱いが容易となり、作業性の向上を図ること が可能となる。

【００４２】

【考案の効果】

この考案に基づいた請求項１に記載のウインチによれば、ガイドシーブの回転 に同期して回転することによりワイヤロープの移動速度を測定するワイヤロープ 速度測定手段が備えられている。

【００４３】 このように、ワイヤロープの移動に伴って、ワイヤロープに張力が発生するた め、ワイヤロープは、ガイドシーブに押えつけられることになり、ワイヤロープ とガイドシーブとの間に摩擦力が生じ、ガイドシーブはワイヤロープの移動に伴 ってスリップを起こすことなく回転する。

【００４４】 したがって、ガイドシーブの回転に同期して回転するワイヤロープ速度測定手 段を用いることにより、ワイヤロープの移動速度を高精度に測定することができ る。

【００４５】 その結果、ワイヤロープ速度測定手段から得られる情報に基づいて、モータを 制御することによりワイヤロープの移動速度を正確に制御したり、またワイヤロ ープの移動速度を表示することが可能となる。

【００４６】 次に、この考案に基づいた請求項２および請求項４に記載のウインチによれば 、ワイヤロープ速度測定手段にガイドシーブの外周に設けられたギアと、このギ アに噛合うピニオンと、このピニオンの回転からワイヤロープの速度を測定する 速度検出器として、回転式エンコーダまたはジェネレータが用いられている。

【００４７】 このように、ギアおよびピニオンを用いることにより、スリップによる測定誤 差の発生を防止し、ガイドシーブの回転を確実に速度検出器に伝達することがで きる。また、ギアの歯数比を変えることにより、あらゆる速度検出器に対して速 度変換を容易に行なうことができる。

【００４８】 その結果、取扱いが容易で高精度のワイヤロープ速度測定手段を備えたウイン チを提供することが可能となる。

【００４９】 次に、この考案に基づいた請求項３に記載のウインチによれば、ワイヤロープ がガイドシーブに案内された状態において、ガイドシーブの中心からワイヤロー プの中心までの距離と、ギアのピッチ円の半径とが同一になるように設けられて いる。これにより、ピニオンの周速とワイヤロープの移動速度とが同一となり、 測定誤差が極めて少なくなり、ワイヤロープ速度測定手段の精度を高めることが 可能となる。

【００５０】 その結果、高精度のワイヤロープ速度測定手段を備えたウインチを提供するこ とが可能となる。

【００５１】 次に、この考案に基づいた請求項５に記載のウインチによれば、ピニオンには 、ピニオンを常にギア側に押付けるための付勢手段が設けられている。

【００５２】 これにより、ピニオンは常にギアに押付けられる状態となり、ギアの変動に対 しても正確に追従するため、バックラッシを最小限に抑制することができる。

【００５３】 その結果、精度が高く、応答性の良いワイヤロープ速度測定手段を備えたウイ ンチを提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に基づいたウインチの構造を示す平面
図である。

【図２】図１中Ｘ−Ｘ線矢視部分断面図である。

【図３】この考案に基づいたワイヤロープ速度測定手段
の構造を示す平面図である。

【図４】図３中Ｙ−Ｙ線矢視図である。

【図５】図３中Ａ−Ａ線矢視断面図である。

【図６】この考案に基づくウインチのブロック図であ
る。

【図７】従来技術におけるウインチの平面構造図であ
る。

【符号の説明】

１ ウインチ ３ ワイヤロープ ５ ガイドシーブ ２０ ワイヤロープ速度測定手段 ２１ ギア ２２ ピニオン ２４ 軸 ２５ 押えばね ２６ ケース ２７ ベースプレート ２８ プレート ２９ リード線 なお、各図中同一符号は、同一または相当部分を示す。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケース（２）と、 前記ケース（２）内に収納され、かつ所定形状の溝が形
   成された周面に巻掛けられたワイヤロープ（３）を牽引
   するために駆動される巻ドラム（４）と、 前記ワイヤロープ（３）の移動とともに回転し、前記巻
   ドラム（４）の周面のロープ巻込み側へ前記ワイヤロー
   プ（３）を案内するガイドシーブ（５）と、 前記ガイドシーブ（５）の回転に同期して回転すること
   により、前記ワイヤロープ（３）の移動速度を測定する
   ワイヤロープ速度測定手段（２０）と、を備えたウイン
   チ。
2. 【請求項２】 前記ワイヤロープ速度測定手段（２０）
   は、 前記ガイドシーブ（５）の側面外周に設けられたギア
   （２１）と、 前記ギア（２１）に噛合うように設けられたピニオン
   （２２）と、 前記ピニオン（２２）の回転から前記ワイヤロープ
   （３）の速度を測定する速度検出器（２３）と、を有す
   る、請求項１に記載のウインチ。
3. 【請求項３】 前記ワイヤロープ（３）が、前記ガイド
   シーブ（５）に案内された状態において、前記ガイドシ
   ーブ（５）の中心から前記ワイヤロープ（３）の中心ま
   での距離と前記ギア（２１）のピッチ円の半径とが同一
   である、 請求項２に記載のウインチ。
4. 【請求項４】 前記速度検出器は、 回転式エンコーダまたはジェネレータである、請求項２
   に記載のウインチ。
5. 【請求項５】 前記ピニオン（２２）は、 前記ピニオン（２２）を常に前記ギア（２１）側に押付
   けるための付勢手段（２５）を有する、請求項２に記載
   のウインチ。