JP3013617U - 生ごみの発酵処理容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 容器内で生成された分解液を容器外に確実に
排出でき、かつ構造が簡単で清掃しやすい発酵処理容器
を提供する。 【構成】 容器本体(１)と、容器本体(１)の上面開口部
(２)を気密閉塞可能な蓋体(３)と、容器本体(１)の底部
に嵌着固定されるかさ上げ支持具(４)とで処理容器を構
成する。蓋体(３)を容器本体(１)の上端部に揺動開閉可
能に枢着する。容器本体(１)の底壁(８)を一方向に向か
う傾斜面に形成し、その傾斜最下端側での容器本体(１)
の周側壁をその下端部分から一定高さにわたって内方へ
凹陥形成して凹陥部(９)を形成する。凹陥部(９)での周
側壁下端から透明可撓管で形成した排水パイプ(13)を導
出し、その導出先端部を凹陥部(９)での天井壁部分(14)
に形成した排水パイプ保持具(15)に着脱可能な状態で密
に挿嵌固定する。排水パイプ保持具(15)が位置する凹陥
部(９)の天井壁部分(14)に空気連通孔(16)を透設した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、生ごみの処理容器に関し、とくに、容器内に生ごみと堆肥化促進材 とを投入し、容器内で発酵処理する生ごみ処理容器に関する。

【０００２】

【従来技術】

近年、家庭やレストランから出される生ごみ量が増大し、焼却処理が追いつか ずに埋め立て処理するようにしているが、生ごみの埋め立てにより悪臭や蝿(う じ虫)が発生して社会問題化している。そこで家庭等から排出される生ごみを手 軽に処理できるものとして、生ごみに乳酸菌、放線菌及び光合成菌を有機固体培 地で培養した堆肥化促進材を作用させて生ごみを発酵処理するものが提案されて いる(特開平５−１４６７６９号)。 この従来の生ごみ処理容器は、合成樹脂製気密容器の周側壁の下部に分解液の 排出用コックを配置するとともに、気密容器の上部に微小通気孔を形成した構成 になっていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、前記従来の発酵処理容器では、排出コックは周側壁の容器の下部に 設けてあるが、その開口部が内底面よりもわずかに高く位置しているため、内底 面との間に液溜まりが生じ、分解液の排出を確実に行えないうえ、排出コックの の弁機構部の清掃が困難であるという問題があった。 本考案は、このような点に着目してなされたもので、発酵処理容器内で生成さ れた分解液を容器外に確実に排出でき、かつ構造が簡単で清掃しやすい発酵処理 容器を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するために本考案は、生ゴミを収容する容器本体と、容器本 体の上面開口部を気密閉塞可能な蓋体と、容器本体の底部に嵌着固定されるかさ 上げ支持具とで発酵処理容器を構成し、蓋体を容器本体の上端部に揺動開閉可能 に構成し、容器本体の底壁を一方向に向かう傾斜面に形成し、傾斜最下端側に位 置する部分での容器本体の周側壁をその下端部分から一定高さにわたって内方へ 凹陥形成して凹陥部を形成し、この凹陥部での周側壁下端から透明可撓管で形成 した排水パイプを導出し、この排水パイプの導出先端部を凹陥部での天井壁部分 に形成した排水パイプ保持具に着脱可能な状態で密に挿嵌し、この排水パイプ保 持具内部に位置する凹陥部の天井壁部分に容器本体の内部と外部とを連通させる 空気連通孔を透設したことを特徴としている。

【０００５】

【作用】

本考案は、生ゴミを収容する容器本体と、容器本体の上面開口部を気密閉塞可 能な蓋体と、容器本体の底部に嵌着固定されるかさ上げ支持具とで発酵処理容器 を構成し、蓋体を容器本体の上端部に揺動開閉可能に構成し、容器本体の底壁を 一方向に向かう傾斜面に形成し、傾斜最下端側に位置する部分から透明可撓管で 形成した排水パイプを導出しているので、容器内で生じた分解液を容器の最も低 い位置から排出できることになり、容器内からの分解液の排出を確実に行うこと ができる。

【０００６】 また、この排水パイプの導出部は、容器本体の周側壁をその下端部分から一定 高さにわたって内方へ凹陥形成して凹陥部を形成し、この凹陥部での周側壁下端 から透明可撓管で形成した排水パイプを導出し、排水パイプの導出先端部を凹陥 部での天井壁部分に形成した排水パイプ保持具に着脱可能な状態で密に挿嵌し、 この排水パイプ保持具内部に位置する凹陥部の天井壁部分に容器本体の内部と外 部とを連通させる空気連通孔が透設してあるので、排水パイプを先端保持具にセ ットした状態では、排水パイプが凹陥部内に収まって、他物との接触により不測 に外れ出すことなくなるうえ、その姿勢では排水パイプが液面計として作用する ことになるから、容器内での分解液の溜まり具合を外部から容易に視認すること ができ、分解液の排出タイミングを簡単に知ることができる。

【０００７】

【実施例】

図面は本考案の実施例を示し、図１は中央縦断側面図、図２は図１のII部拡大 図である。 この生ごみ発酵処理容器は、ポリプロピレン等の合成樹脂製容器本体(１)と、 この容器本体(１)の上面開口部(２)を気密閉塞可能な蓋体(３)と、容器本体(１) の底部を嵌着固定される被せ蓋型のかさ上げ支持具(４)とで構成してある。

【０００８】 蓋体(３)は有底角筒で構成した容器本体(１)の一側面上部にヒンジ(５)で俯仰 揺動可能に連結固定してあり、閉蓋状態では、ヒンジ配設面(背面)を除く他の三 面の各上端部に配置した尾錠型の締め金具(６)で容器本体(１)の上面を気密に閉 塞するように構成してある。

【０００９】 容器本体(１)の正面側に位置する側壁(前面壁)(７)の下端寄り部分を上下方向 の溝状に内側に凹陥形成するとともに、この凹陥部分につながる状態で底壁(８) の前寄り部分を内側に凹入させて断面Ｌ字状の凹陥溝(９)が側壁(７)から底壁( ８)にかけて形成してある。また、かさ上げ支持具(４)の前側壁(10)にも前記凹 陥溝(９)に連続する凹陥部(11)が上下方向に形成してある。

【００１０】 また容器本体(１)の底壁(８)は、前下がりの傾斜状に形成してあり、Ｌ字状凹 陥溝(９)での容器本体底壁から立ち上がっている側壁の下端部分に排液口(12)が 開口させてあり、この排液口(12)に透明合成樹脂製の可撓排水パイプ(13)が嵌着 固定してある。この可撓排水パイプ(13)の先端部分はＬ字状凹陥溝(９)の天井壁 部分(14)に形成した筒状排水パイプ保持具(15)に着脱可能な状態で気密挿嵌して あり、先端部を排水パイプ保持具(15)に挿嵌固定した状態で可撓排水パイプ(13) をＬ字状凹陥溝(９)内に収まるようにしてある。

【００１１】 排水パイプ支持具(15)の筒内に位置するＬ字状凹陥溝(９)の天井壁部分(14)に 容器本体(１)の内部と外部とを連通させる空気連通孔(16)が透設してある。した がって、可撓排水パイプ(13)の先端部分を排水パイプ保持具(15)に挿嵌固定した 状態では、可撓排水パイプ(13)は上端部と下端部とで容器本体(１)内に連通する ことになるから、可撓排水パイプ(13)は容器内の水位を表示する液位ゲージとし て作用する。

【００１２】 図中符号(17)は容器本体(１)内の底部に装着した簀の子、(18)は容器本体(１) 内の空間を縦方向に並ぶ複数の空間に分割するために装着した区画板である。

【００１３】 容器本体(１)とかさ上げ具(４)とは嵌め込み式の連結機構で分離可能な状態に 組みつけてある。この嵌め込み式の連結機構は、容器本体(１)の底壁下面から筒 状突起(19)を下向きに複数個突設するとともに、かさ上げ具(４)の天井壁上面に 突起挿入筒(20)を下向きに突設して、容器本体(１)の筒状突起(19)を突起挿入筒 (20)に圧入装着するようにしてある。そして、この場合、突起挿入筒(20)の周壁 の少なくとも対向する部分に縦割りのスリットを刻設して、内部に挿入した筒状 突起(19)をしっかりと抱き込むようにしてある。

【００１４】 このように構成した処理容器は、密閉容器の底壁一方向へ流れる傾斜面に形成 し、この傾斜最下部から分解液の排出パイプを導出した構造になっていることか ら、容器内で生じた分解液を、確実に排出することができる。しかも、分解液の 排出部にはコック等の可動部材がないことから、処理容器内の清掃を簡単に行う ことができる。

【００１５】 次に、上述の処理容器を用いた生ごみの処理手順を説明する。 まず、容器本体(１)に生ごみ及び生ごみを分解する堆肥化促進材を投入して蓋 体(３)を容器本体(１)に被せて、容器本体(１)を密閉する。生ごみは処理容器投 入前に外に放置しておくと、蝿が飛来し、容器内でウジ虫が発生する原因となり やすいので、できるだけ早く処理容器に投入することが好ましい。

【００１６】 生ごみとともに投入する堆肥化促進材は、乳酸菌、放線菌、光合成菌等の微生 物を、米ぬか等の有機固体培地で培養したのち、これを乾燥して得られるもので ある。これらの微生物のうち乳酸菌は生ごみの発酵的分解を促進し、放線菌は悪 臭の基になる腐敗菌の増殖を抑制しつつ、生ごみの分解を行なう。また、光合成 菌は有害ガスの分解を行ない悪臭を緩和する効果がある。なお、これらの菌の内 、放線菌は好気性菌、乳酸菌及び光合成菌は嫌気性菌である。

【００１７】 密閉した状態の処理容器を気温２０℃以上の雰囲気で静置しておくことにより 、処理容器内で生ごみの発酵を進行させる。なお、雰囲気温度が２０℃よりも低 い場合には、堆肥化促進材の活動が低下することから、冬季等で気温が２０℃以 下になる場合には、屋内に設置する。

【００１８】 生ごみの分解・発酵処理中に微生物によって分解されて容器本体(１)の底部に 貯まる生ごみ分解液(廃液)の滞留量は、可撓排水パイプ(13)が液位ゲージとして 作用することから、外部から容易に視認することができ、その滞留量が所定量に なると、可撓排水パイプ(13)の先端部を排水パイプ保持具(15)から離脱させて倒 し、別に用意した密閉取出容器に抜き出す。ここで分解液を抜き取るのは、分解 液の液位が上昇して底部の生ごみが分解液に浸漬すると、処理後の生ごみがベト 付いて堆肥として有効利用しにくくなるためである。

【００１９】 密閉取出容器に抜き出した分解液に液状の微生物資材(堆肥促進材と同成分)を 添加して分解液の発酵分解処理を行なう。この発酵分解した分解液は希釈して有 機液肥として利用する。また、処理容器内で分解処理した生ごみは有機肥料とし て利用することができるだけでなく、処理前に比べて容量及び重量ともに減少し 、悪臭を発生させることがないので、普通ゴミとしての処理が容易になる。

【００２０】

【考案の効果】

以上述べたように本考案では、生ゴミを収容する容器本体と、容器本体の上面 開口部を気密閉塞可能な蓋体と、容器本体の底部に嵌着固定されるかさ上げ支持 具とで発酵処理容器を構成し、蓋体を容器本体の上端部に揺動開閉可能に構成し 、容器本体の底壁を一方向に向かう傾斜面に形成し、傾斜最下端側に位置する部 分から透明可撓管で形成した排水パイプを導出しているので、容器内で生じた分 解液を容器の最も低い位置から排出することができ、分解液の排出を確実に行う ことができる。

【００２１】 また、この排水パイプの導出部は、容器本体の周側壁をその下端部分から一定 高さにわたって内方へ凹陥形成して凹陥部を形成し、この凹陥部での周側壁下端 から透明可撓管で形成した排水パイプを導出し、排水パイプの導出先端部を凹陥 部での天井壁部分に形成した排水パイプ保持具に着脱可能な状態で密に挿嵌し、 この排水パイプ保持具内部に位置する凹陥部の天井壁部分に容器本体の内部と外 部とを連通させる空気連通孔が透設してあるので、排水パイプを先端保持具にセ ットした状態では、排水パイプが凹陥部内に収まって、他物との接触により不足 に外れ出すことなくなるうえ、その姿勢では排水パイプが液面計として作用する ことになるから、容器内での分解液の溜まり具合を外部から容易に視認すること ができ、分解液の排出タイミングを簡単に知ることができる。

【００２２】 しかも、容器本体の底部から透明樹脂製の排水パイプを導出しているだけで、 排出路にバルブ等の可動部材が配設されていないことから、容器内の清掃を簡単 確実に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の中央縦断側面図である。

【図２】図１のII部拡大図である。

【符号の説明】

１…容器本体、２…容器本体の上面開口部、３…蓋体、
４…かさ上げ支持具、８…容器本体の底壁、９…凹陥
部、13…排水パイプ、14…凹陥部での天井壁部分、15…
排水パイプ保持具、16…空気連通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器内に生ごみと堆肥化促進材とを
   投入して生ごみを発酵処理する容器であって、 生ゴミを収容する容器本体(１)と、容器本体(１)の上面
   開口部(２)を気密閉塞可能な蓋体(３)と、容器本体(１)
   の底部に嵌着固定されるかさ上げ支持具(４)とからな
   り、蓋体(３)を容器本体(１)の上端部に揺動開閉可能に
   構成し、容器本体(１)の底壁(８)を一方向に向かう傾斜
   面に形成し、傾斜最下端側に位置する部分での容器本体
   (１)の周側壁をその下端部分から一定高さにわたって内
   方へ凹陥形成して凹陥部(９)を形成し、この凹陥部(９)
   での周側壁下端から透明可撓管で形成した排水パイプ(1
   3)を導出し、この排水パイプ(13)の導出先端部を凹陥部
   (９)での天井壁部分(14)に形成した排水パイプ保持具(1
   5)に着脱可能な状態で密に挿嵌し、この排水パイプ保持
   具(15)の内部に位置する凹陥部(９)の天井壁部分(14)に
   容器本体(１)の内部と外部とを連通させる空気連通孔(1
   6)を透設したことを特徴とする生ごみの発酵処理容器。