JP3011480B2 - 1,3−ベンゾジオキソール類 - Google Patents
1,3−ベンゾジオキソール類Info
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- JP3011480B2 JP3011480B2 JP3121471A JP12147191A JP3011480B2 JP 3011480 B2 JP3011480 B2 JP 3011480B2 JP 3121471 A JP3121471 A JP 3121471A JP 12147191 A JP12147191 A JP 12147191A JP 3011480 B2 JP3011480 B2 JP 3011480B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規な1,3−ベン
ゾジオキソール類に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、アルコール類やアミン類等の光学分割
試薬として有用な新規な1,3−ベンゾジオキソール類
に関するものである。
ゾジオキソール類に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、アルコール類やアミン類等の光学分割
試薬として有用な新規な1,3−ベンゾジオキソール類
に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】化学工業、医薬品工業、醗酵
工業、食品工業等の分野において、有用物質の探求やそ
の合成に際して化学物質の立体配置と光学純度の決定が
重要となっている。従来より、アルコール類、アミン類
等の化合物の立体配置や光学純度を決定し、その構造を
解析するにあたっては、液体クロマトグラフィー(L
C)、ガスクロマトグラフ(GC)、核磁気共嗚スペク
トル(NMR)、円二色性スペクトル(CD)、質量分
析スペクトル(MS)等の機器分析的手法が使用されて
おり、その解析に際しては予め試料を適当な光学分割試
薬によって光学分割可能な誘導体に導いておくことが一
般的に行われている。
工業、食品工業等の分野において、有用物質の探求やそ
の合成に際して化学物質の立体配置と光学純度の決定が
重要となっている。従来より、アルコール類、アミン類
等の化合物の立体配置や光学純度を決定し、その構造を
解析するにあたっては、液体クロマトグラフィー(L
C)、ガスクロマトグラフ(GC)、核磁気共嗚スペク
トル(NMR)、円二色性スペクトル(CD)、質量分
析スペクトル(MS)等の機器分析的手法が使用されて
おり、その解析に際しては予め試料を適当な光学分割試
薬によって光学分割可能な誘導体に導いておくことが一
般的に行われている。
【0003】この場合、使用される光学分割試薬として
は、不斉構造とともに種々の機器的分析手法に応じた所
定の性質を有していることが必要とされている。たとえ
ば、LC分析においては、微量分析を可能とするために
光学分割試薬が螢光性または強い紫外線吸収性を有する
ことが必要である。GC分析においては、光学分割試薬
ならびにその試薬による試料の誘導体が熱に対して安定
で、かつ低沸点(高蒸気圧)であることが必要である。
NMR分析においては、解析の目安となるように、光学
分割試薬中に強い1本のシグナルを与える孤立メチル基
が存在することが望まれる。また、CD分析において
は、光学分割試薬が強いπ−π* 遷移を持ち、しかもそ
の遷移モーメントの方向が試料であるアルコールまたは
アミン類等の化合物のC−O、C−N結合等と平行とな
ることが望まれる。
は、不斉構造とともに種々の機器的分析手法に応じた所
定の性質を有していることが必要とされている。たとえ
ば、LC分析においては、微量分析を可能とするために
光学分割試薬が螢光性または強い紫外線吸収性を有する
ことが必要である。GC分析においては、光学分割試薬
ならびにその試薬による試料の誘導体が熱に対して安定
で、かつ低沸点(高蒸気圧)であることが必要である。
NMR分析においては、解析の目安となるように、光学
分割試薬中に強い1本のシグナルを与える孤立メチル基
が存在することが望まれる。また、CD分析において
は、光学分割試薬が強いπ−π* 遷移を持ち、しかもそ
の遷移モーメントの方向が試料であるアルコールまたは
アミン類等の化合物のC−O、C−N結合等と平行とな
ることが望まれる。
【0004】さらに、これらの機器分析手法は、近年L
C−MS、GS−MS、LC−CDといったように2種
以上を組み合わせたシステムで利用されるようになって
きているので、光学分割試薬としては種々の分析的手法
の全てに適した性質を兼ね備えていることが望まれてき
ている。しかしながら、これまでに知られている光学分
割試薬の場合には個々の分析的手法に適したものが個別
にデザインされているに過ぎず、汎用性に欠けているの
が実情であった。
C−MS、GS−MS、LC−CDといったように2種
以上を組み合わせたシステムで利用されるようになって
きているので、光学分割試薬としては種々の分析的手法
の全てに適した性質を兼ね備えていることが望まれてき
ている。しかしながら、これまでに知られている光学分
割試薬の場合には個々の分析的手法に適したものが個別
にデザインされているに過ぎず、汎用性に欠けているの
が実情であった。
【0005】たとえば、LC分析を目的としたアルコー
ル類およびアミン類の光学分割試薬としては、下記式
(2a)のFLEC(S.Einnarsson and B.Josefsson,
Anal.Chem., 59, 1191 (1987))、
ル類およびアミン類の光学分割試薬としては、下記式
(2a)のFLEC(S.Einnarsson and B.Josefsson,
Anal.Chem., 59, 1191 (1987))、
【0006】
【化4】
【0007】下記式(2b)のGITC(N.Nimura, H.
Ogura and T.Kinoshita, J.Chromatogr., 202, 375 (19
80) )、
Ogura and T.Kinoshita, J.Chromatogr., 202, 375 (19
80) )、
【0008】
【化5】
【0009】下記式(2C)のビナフチル型試薬(J.Go
to, N.Goto and T.Nakamura, Chem.Pharm. Bull.,0, 45
97,(1982))
to, N.Goto and T.Nakamura, Chem.Pharm. Bull.,0, 45
97,(1982))
【0010】
【化6】
【0011】が知られている。しかしながら、これの試
薬はNMR分析やCD分析には適しておらず、その利用
はLC分析に限られている。一方、NMR分析用の光学
活性補助試薬として、MTPA試薬(J.A.dale, D.L.Du
ll and H.S.Mosher, J.Org. Chem.,21, 2543,(1969))
が広く用いられているが、このMTPA試薬は螢光およ
び強いUV吸収を示さないので、LC分析における微量
分析やCD分析に適したものとはなっていない。また、
CD分析の補助試薬として、安息香酸誘導体が広く用い
られているが、この試薬はそれ自体不斉構造を持たない
ため光学分割能がなく、LC分析やNMR分析における
解析には利用できないという欠点がある。
薬はNMR分析やCD分析には適しておらず、その利用
はLC分析に限られている。一方、NMR分析用の光学
活性補助試薬として、MTPA試薬(J.A.dale, D.L.Du
ll and H.S.Mosher, J.Org. Chem.,21, 2543,(1969))
が広く用いられているが、このMTPA試薬は螢光およ
び強いUV吸収を示さないので、LC分析における微量
分析やCD分析に適したものとはなっていない。また、
CD分析の補助試薬として、安息香酸誘導体が広く用い
られているが、この試薬はそれ自体不斉構造を持たない
ため光学分割能がなく、LC分析やNMR分析における
解析には利用できないという欠点がある。
【0012】このように、これまでの光学分割試薬は個
々の分析的手法に個別に対応するものでしかなかったた
めに、試料の構造解析に複数の分析的手法を採用する場
合には、その手法ごとに光学分割試薬を選定・使用する
ことが必要とされ、多くの労力と時間も費やさなくては
ならないという問題があった。そこで、これらの問題を
解決することのできる試薬として、この発明の発明者に
よって、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−ベンゾ
ジオキソール−4−カルボン酸誘導体(TBMBカルボ
ン酸)を提供してもいる(特願平1−162402
号)。
々の分析的手法に個別に対応するものでしかなかったた
めに、試料の構造解析に複数の分析的手法を採用する場
合には、その手法ごとに光学分割試薬を選定・使用する
ことが必要とされ、多くの労力と時間も費やさなくては
ならないという問題があった。そこで、これらの問題を
解決することのできる試薬として、この発明の発明者に
よって、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−ベンゾ
ジオキソール−4−カルボン酸誘導体(TBMBカルボ
ン酸)を提供してもいる(特願平1−162402
号)。
【0013】このTBMBカルボン酸は発螢光性である
ことから、極微量に存在するアルコール、アミンの光学
純度と絶対配置を決定できる特徴を有し、また、CD分
析において安息香酸型の発色団としても機能するため、
CDを用いた絶対構造の解明に利用可能である。しか
し、ある種のアルコールやアミンでは、液体クロマトグ
ラフィーにおける光学異性体の分離が不十分であること
もあり、更に高い分離能を有する試薬の開発が望まれて
いた。
ことから、極微量に存在するアルコール、アミンの光学
純度と絶対配置を決定できる特徴を有し、また、CD分
析において安息香酸型の発色団としても機能するため、
CDを用いた絶対構造の解明に利用可能である。しか
し、ある種のアルコールやアミンでは、液体クロマトグ
ラフィーにおける光学異性体の分離が不十分であること
もあり、更に高い分離能を有する試薬の開発が望まれて
いた。
【0014】この発明は、以上の通りの事情を踏まえて
なされたものであり、アルコール類およびアミン類等の
化合物の立体配置や光学純度をLC分析、GC分析、N
MR分析、CD分析、またはMS分析等を利用して決定
するにあたり、これらの分析的手法の全てに共通して利
用することのできる、より高い分離能を有する光学分割
試薬用物質を提供することを目的としている。
なされたものであり、アルコール類およびアミン類等の
化合物の立体配置や光学純度をLC分析、GC分析、N
MR分析、CD分析、またはMS分析等を利用して決定
するにあたり、これらの分析的手法の全てに共通して利
用することのできる、より高い分離能を有する光学分割
試薬用物質を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、次の式(1)を有する1,3−
ベンゾジオキソール類、
を解決するものとして、次の式(1)を有する1,3−
ベンゾジオキソール類、
【0016】
【化7】
【0017】を提供し、また、式(1a)有する(+)
1,3−ベンゾジオキソール類、
1,3−ベンゾジオキソール類、
【0018】
【化8】
【0019】および、式(1b)を有する(−)1,3
−ベンゾジオキソール類をも提供する。
−ベンゾジオキソール類をも提供する。
【0020】
【化9】
【0021】さらにこの発明は、これらの1,3−ベン
ゾジオキソール類からなる光学分割試薬を提供するもの
でもある。この発明の1,3−ベンゾジオキソール類
(以下TBB試薬という)は、上記式(1)〜(1b)
に示したように、これまでの光学分割試薬とは全く異な
った基本構造を有する新しいタイプの試薬であり、ま
た、すでに提案したTBMBカルボン酸誘導体とは基本
骨格を同一として、かつ、2位のメチル基がH原子によ
って置換されているという特徴を有し、このTBMBカ
ルボン酸誘導体に比べてCG(クロマトグラフィー)に
よる光学異性体の分離においては、より高い分離能を有
している。特にアルコール類やアミン類に対して高い光
学分割能を有している。
ゾジオキソール類からなる光学分割試薬を提供するもの
でもある。この発明の1,3−ベンゾジオキソール類
(以下TBB試薬という)は、上記式(1)〜(1b)
に示したように、これまでの光学分割試薬とは全く異な
った基本構造を有する新しいタイプの試薬であり、ま
た、すでに提案したTBMBカルボン酸誘導体とは基本
骨格を同一として、かつ、2位のメチル基がH原子によ
って置換されているという特徴を有し、このTBMBカ
ルボン酸誘導体に比べてCG(クロマトグラフィー)に
よる光学異性体の分離においては、より高い分離能を有
している。特にアルコール類やアミン類に対して高い光
学分割能を有している。
【0022】光学分割に際しては、通常の光学分割試薬
と同様に、予め試料とする化合物とこのTBB試薬とを
反応させ、試料をTBB試薬誘導体とする。このTBB
試薬は光学純度の決定や立体配置の解析に有用な種々の
特性を有している。たとえば、このTBM試薬は強い螢
光を発するので、これによりLC分析における微量分析
が可能となる。
と同様に、予め試料とする化合物とこのTBB試薬とを
反応させ、試料をTBB試薬誘導体とする。このTBB
試薬は光学純度の決定や立体配置の解析に有用な種々の
特性を有している。たとえば、このTBM試薬は強い螢
光を発するので、これによりLC分析における微量分析
が可能となる。
【0023】また、このTBM試薬は低分子量で比較的
低沸点であり、熱に対しても安定なので、GC分析やM
S分析にも適している。さらに、このTBB試薬は孤立
メチル基をとH原子を有しているので、このTBB試薬
誘導体をNMR分析に利用する場合には、そのメチル基
のシフト位置と強度とにより試料の光学純度や立体配置
の決定が容易となる。またMS分析に利用する場合に
は、試料のTBB試薬誘導体の分子量MからTBB試薬
のtert−ブチル基がはずれたことによる(M−5
7)+ イオンの強い開裂イオンシグナルが特徴的に現れ
るので、極微量の試料の分子量の決定ないし分子構造の
決定に適している。
低沸点であり、熱に対しても安定なので、GC分析やM
S分析にも適している。さらに、このTBB試薬は孤立
メチル基をとH原子を有しているので、このTBB試薬
誘導体をNMR分析に利用する場合には、そのメチル基
のシフト位置と強度とにより試料の光学純度や立体配置
の決定が容易となる。またMS分析に利用する場合に
は、試料のTBB試薬誘導体の分子量MからTBB試薬
のtert−ブチル基がはずれたことによる(M−5
7)+ イオンの強い開裂イオンシグナルが特徴的に現れ
るので、極微量の試料の分子量の決定ないし分子構造の
決定に適している。
【0024】また、このTBB試薬は、そのベンゾエー
ト骨格がCD分析における強い励起子発色団として機能
し、立体配置の決定に有用となる。このようにこの発明
のTBB試薬は種々の分析的手法に適しており、しかも
次の反応式(A)に従って市販の原料から短い行程で容
易に製造することができるという特徴を有している。
ト骨格がCD分析における強い励起子発色団として機能
し、立体配置の決定に有用となる。このようにこの発明
のTBB試薬は種々の分析的手法に適しており、しかも
次の反応式(A)に従って市販の原料から短い行程で容
易に製造することができるという特徴を有している。
【0025】
【化10】
【0026】すなわち、カテコール(1)とピパルアル
デヒド(2)をトリメチルクロロシラン等の存在下で反
応させて2−tert−ブチル−1,3−ベンゾジオキ
ソ−ル(3)を生成させ、これをブチルリチウム、N−
テトラメチルメチレンジアミン等と反応させることによ
り容易にこの発明のTBB試薬のカルボン酸ラセミ体
(4)を得ることができる。また、このラセミ体をシン
コニジン等の適当な光学分割試薬と反応させて再結晶等
で光学分割することによりTBB試薬の(+)体または
(−)体を容易に得ることができる。さらに必要により
得られたTBB試薬のカルボン酸を酸クロリドとしても
よい。
デヒド(2)をトリメチルクロロシラン等の存在下で反
応させて2−tert−ブチル−1,3−ベンゾジオキ
ソ−ル(3)を生成させ、これをブチルリチウム、N−
テトラメチルメチレンジアミン等と反応させることによ
り容易にこの発明のTBB試薬のカルボン酸ラセミ体
(4)を得ることができる。また、このラセミ体をシン
コニジン等の適当な光学分割試薬と反応させて再結晶等
で光学分割することによりTBB試薬の(+)体または
(−)体を容易に得ることができる。さらに必要により
得られたTBB試薬のカルボン酸を酸クロリドとしても
よい。
【0027】このようにして得られたTBB試薬は室温
で安定であり、分解やセラミ化することなく長期間保存
することができる。以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。実施例1 TBB試薬の合成 1)ラセミ型TBBカルボン酸の合成(反応式(A)参
照)三つ口フラスコに、カテコール(1)(36g,0.
33 mole )ビバルアルデヒド(2)(13g,0.15 mo
le)とを加え、ジクロロメタン500mLに溶した。その
中に、トリメチルクロロシラン84mLとモレキュラーシ
ーブス4A6gを加え、窒素ガス気流下30−40℃で
攪拌を続けた。2日間攪拌後、ベンゼンとともに減圧濃
縮を行ない、残査をベンゼン−ヘキサンの1:1の混合
溶液400mLに懸濁し、飽和炭酸水素ナロリウム水溶
液、続いて水で洗浄を3回おこなった。無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥後、減圧濃縮を行ない、残査をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=1:2
0)で精製を行ない、2−tert−ブチル−1,3−
ベンゾジオキソール(3)を得た。
で安定であり、分解やセラミ化することなく長期間保存
することができる。以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。実施例1 TBB試薬の合成 1)ラセミ型TBBカルボン酸の合成(反応式(A)参
照)三つ口フラスコに、カテコール(1)(36g,0.
33 mole )ビバルアルデヒド(2)(13g,0.15 mo
le)とを加え、ジクロロメタン500mLに溶した。その
中に、トリメチルクロロシラン84mLとモレキュラーシ
ーブス4A6gを加え、窒素ガス気流下30−40℃で
攪拌を続けた。2日間攪拌後、ベンゼンとともに減圧濃
縮を行ない、残査をベンゼン−ヘキサンの1:1の混合
溶液400mLに懸濁し、飽和炭酸水素ナロリウム水溶
液、続いて水で洗浄を3回おこなった。無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥後、減圧濃縮を行ない、残査をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=1:2
0)で精製を行ない、2−tert−ブチル−1,3−
ベンゾジオキソール(3)を得た。
【0028】 *H2 Oを1.5 %含む値として計算した。
【0029】良く乾燥させた三つ口フラスコに窒素気流
下にn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(21mL,3.38
×10-2mole) とN−テトラメチルメチレンジアミン
(3.3g,2.82×10-2mole)を加えた。この溶液を0
℃に保ちながら、先に合成した化合物(3)(5g,2.
8 ×10-2mole) を加えた。0℃で6時間攪拌を続けた
のち、ドライアイス(1g)を溶液中に加えた。2N塩
酸水溶液でpHを6−7にしたのち、エーテルで抽出を行
なった。エーテル相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗
い、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮を行なった。得ら
れた、結晶をn−ヘキサンから再結晶を行ない、ラセミ
体のTBBカルボン酸(4)を得た。
下にn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(21mL,3.38
×10-2mole) とN−テトラメチルメチレンジアミン
(3.3g,2.82×10-2mole)を加えた。この溶液を0
℃に保ちながら、先に合成した化合物(3)(5g,2.
8 ×10-2mole) を加えた。0℃で6時間攪拌を続けた
のち、ドライアイス(1g)を溶液中に加えた。2N塩
酸水溶液でpHを6−7にしたのち、エーテルで抽出を行
なった。エーテル相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗
い、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮を行なった。得ら
れた、結晶をn−ヘキサンから再結晶を行ない、ラセミ
体のTBBカルボン酸(4)を得た。
【0030】収量 2.3g (収率36%) 2)(+)−TBBカルボン酸の合成(反応式(A)参
照)シンコニジン(2.65g,9×10-3mole)とアセト
ン(150mL)をナスフラスコに入れ、還流を行ないな
がら、そこに、ラセミ体のTBBカルボン酸(4)(2
g,9×10-2mole)を加えて、15分間加熱を続け
た。室温に放置後、得られた結晶をろ集した。更に、結
晶をアセトン:水:エタノール=10:10:1の混合
液から3回再結晶を繰り返した。結晶を水酸化ナトリウ
ム水溶液中で懸濁し、遊離したシンコンニジンをろ別し
た。ろ液を更に、2N塩酸水溶液で中和し、エーテル抽
出を行なった。エーテル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後濃縮し(+)−TBBカルボン酸を得た。
照)シンコニジン(2.65g,9×10-3mole)とアセト
ン(150mL)をナスフラスコに入れ、還流を行ないな
がら、そこに、ラセミ体のTBBカルボン酸(4)(2
g,9×10-2mole)を加えて、15分間加熱を続け
た。室温に放置後、得られた結晶をろ集した。更に、結
晶をアセトン:水:エタノール=10:10:1の混合
液から3回再結晶を繰り返した。結晶を水酸化ナトリウ
ム水溶液中で懸濁し、遊離したシンコンニジンをろ別し
た。ろ液を更に、2N塩酸水溶液で中和し、エーテル抽
出を行なった。エーテル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後濃縮し(+)−TBBカルボン酸を得た。
【0031】 実施例2 TBBカルボン酸とアミンとの反応 (反応式(B)参
照)TBBカルボン酸(4)(100mg,4.5×10-4mo
le)を反応式(B)に沿って1mLのジクロロメンタンに
溶かし、そこに、ヘキサフルオロプロペン−ジエチルア
ミン(100mg,4.61×10-4mole)を加え10分
間放置して、TBBカルボニルフルオライド(5)を得
た。これを単離精製する事無く、反応溶液のまま分析対
象とするアミンと反応させた。たとえば、反応(B)に
例示した各種のアミンをエタノールに溶かし、そこに、
過剰のTBBフルオライド(5)−ジクロロメタン溶液
を加え、室温で30分間反応させる。反応溶液を減圧濃
縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製して、TBB化された各種のアミン(6)(7)
(8)(9)を得た(収率80−90%)。
照)TBBカルボン酸(4)(100mg,4.5×10-4mo
le)を反応式(B)に沿って1mLのジクロロメンタンに
溶かし、そこに、ヘキサフルオロプロペン−ジエチルア
ミン(100mg,4.61×10-4mole)を加え10分
間放置して、TBBカルボニルフルオライド(5)を得
た。これを単離精製する事無く、反応溶液のまま分析対
象とするアミンと反応させた。たとえば、反応(B)に
例示した各種のアミンをエタノールに溶かし、そこに、
過剰のTBBフルオライド(5)−ジクロロメタン溶液
を加え、室温で30分間反応させる。反応溶液を減圧濃
縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製して、TBB化された各種のアミン(6)(7)
(8)(9)を得た(収率80−90%)。
【0032】
【化11】
【0033】実施例3 光学異性体の分離 TBBカルボン酸の光学異性体の分離能をTBMBカル
ボン酸と比較した。その結果を図1、図2、図3、図4
および図5に示した。分析対象として、3種類のアミノ
酸(Ala,Iso、Phe)とフェニルエチルアミン
を用いた。
ボン酸と比較した。その結果を図1、図2、図3、図4
および図5に示した。分析対象として、3種類のアミノ
酸(Ala,Iso、Phe)とフェニルエチルアミン
を用いた。
【0034】図1は、薄層クロマトグラフィー(TL
C)による、TBB−カルボン酸とTBMB−カルボン
酸の光学異性体分離能の比較、結果を示している。ヘキ
サン:酢酸エチル=3:1を溶媒とし、キセロゲル60
F254を使用している。スポットは、TBMB、TB
Bのいずれの場合も、左より、Ala、Iso、Ph
e、フェニルエチルアミンの結果を示している。
C)による、TBB−カルボン酸とTBMB−カルボン
酸の光学異性体分離能の比較、結果を示している。ヘキ
サン:酢酸エチル=3:1を溶媒とし、キセロゲル60
F254を使用している。スポットは、TBMB、TB
Bのいずれの場合も、左より、Ala、Iso、Ph
e、フェニルエチルアミンの結果を示している。
【0035】なお、Ala、Iso、Phe、フェニル
エチルアミンとしては、ラセミ体を用いた結果であっ
て、TLC上の2つのスポットは光学異性体であるD体
とL体が分離していることを表している。この発明のT
BB誘導体の方が、はっきりとした分離を示しており、
より高い光学異性体分離機能を持つことがわかる。
エチルアミンとしては、ラセミ体を用いた結果であっ
て、TLC上の2つのスポットは光学異性体であるD体
とL体が分離していることを表している。この発明のT
BB誘導体の方が、はっきりとした分離を示しており、
より高い光学異性体分離機能を持つことがわかる。
【0036】また、図2〜図5は、異なった展開溶媒に
よる、光学異性体分離率(α値)の変化を示している。
すなわち、TBBとTBMBの光学異性体機能がシリカ
ゲルTLCの展開溶媒によってどう変化するかを調べ
た。前記と同様の4種類のアミンについて、ヘキサン−
酢酸エチル(3:1)溶媒(図2)、トルエン酢酸エチ
ル(10:1)溶媒(図3)、ヘキサン−イソプロパノ
ール(100:1)溶媒(図4)、およびイソオクタン
−酢酸エチル(3:1)溶媒(図5)の各種の展開溶媒
を用いて分離率を調べた。なお、α値は、分離した2つ
の異性体のRf値の比を示し、数値が大きい程高い分離
能を示している。トルエン−酢酸エチル溶媒(図3)を
用いた場合に、TBMBの方が高い分離を示す傾向にあ
ったが、その他はいずれも、TBBの方が高い分離を示
した。イソオクタン−酢酸エチル溶媒を用いた場合に高
い光学異性体の分離が起きることが明らかとなった。
よる、光学異性体分離率(α値)の変化を示している。
すなわち、TBBとTBMBの光学異性体機能がシリカ
ゲルTLCの展開溶媒によってどう変化するかを調べ
た。前記と同様の4種類のアミンについて、ヘキサン−
酢酸エチル(3:1)溶媒(図2)、トルエン酢酸エチ
ル(10:1)溶媒(図3)、ヘキサン−イソプロパノ
ール(100:1)溶媒(図4)、およびイソオクタン
−酢酸エチル(3:1)溶媒(図5)の各種の展開溶媒
を用いて分離率を調べた。なお、α値は、分離した2つ
の異性体のRf値の比を示し、数値が大きい程高い分離
能を示している。トルエン−酢酸エチル溶媒(図3)を
用いた場合に、TBMBの方が高い分離を示す傾向にあ
ったが、その他はいずれも、TBBの方が高い分離を示
した。イソオクタン−酢酸エチル溶媒を用いた場合に高
い光学異性体の分離が起きることが明らかとなった。
【0037】
【発明の効果】この発明により、LC分析、GC分析、
NMR分析、CD分析、またはMS分析の全てに共通し
て利用することができ、しかも容易に合成することので
きる新たな光学分割試薬用物資とその試薬が提供され
る。しかも、この発明のTBB試薬は、すでに発明者が
提案したTBMB試薬よりも高い分離能を有してもい
る。
NMR分析、CD分析、またはMS分析の全てに共通し
て利用することができ、しかも容易に合成することので
きる新たな光学分割試薬用物資とその試薬が提供され
る。しかも、この発明のTBB試薬は、すでに発明者が
提案したTBMB試薬よりも高い分離能を有してもい
る。
【図1】薄層クロマトグラフィー(TLC)による光学
異性体分離能を示したTLCスポット図である。
異性体分離能を示したTLCスポット図である。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】図2〜5は、各々、異った展開溶媒を用いた場
合のTLCによる分離能を示したアミンとα値の相関図
である。
合のTLCによる分離能を示したアミンとα値の相関図
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−27376(JP,A) Tetrahedron Lette rs(1989),Vol.30,No.39, pages5277−5280 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 317/46 - 317/68 C07B 57/00 C07M 7:00 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (4)
- 【請求項1】 次の式(1)で表わされる1,3−ベン
ゾジオキソール類。 【化1】 - 【請求項2】 次式(1a)で表わされる請求項1の
1,3−ベンゾジオキソール類。 【化2】 - 【請求項3】 次式(1b)で表わされる請求項1の
1,3−ベンゾジオキソール類。 【化3】 - 【請求項4】 請求項1,2または3の1,3−ベンゾ
ジオキソール類からなる光学分割試薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3121471A JP3011480B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 1,3−ベンゾジオキソール類 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3121471A JP3011480B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 1,3−ベンゾジオキソール類 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04346982A JPH04346982A (ja) | 1992-12-02 |
JP3011480B2 true JP3011480B2 (ja) | 2000-02-21 |
Family
ID=14811974
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3121471A Expired - Fee Related JP3011480B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 1,3−ベンゾジオキソール類 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3011480B2 (ja) |
-
1991
- 1991-05-27 JP JP3121471A patent/JP3011480B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Tetrahedron Letters(1989),Vol.30,No.39,pages5277−5280 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04346982A (ja) | 1992-12-02 |
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