JP3009100B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はフロッピーディスク
ドライブに備える磁気ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ノート型パソコン等に対応するた
め、フロッピーディスクドライブ（以下ドライブと呼
ぶ）は薄型化が要請されており、例えば１１ｍｍの空間
内に取り付けできるように求められている。当然、ドラ
イブに備える磁気ヘッドの薄型化も要請される。そし
て、ドライブには磁気ヘッドを可動式にして備え付け、
フレキシブルディスク（以下ディスクと呼ぶ）をケース
内に収納したフロッピーディスクカートリッジ（以下カ
ートリッジと呼ぶ）を装着脱して使用している。

【０００３】通常、このようなドライブに磁気ヘッドを
２個、ディスクの上下に対称となるように備え付ける
が、カートリッジの装着時にはリフト機構により持ち上
げ或いは下げて、装着する磁気ヘッドがカートリッジに
当たらないようになっている。そして、装着時にカート
リッジがドライブの所定位置に入り、図４に示すように
カートリッジ１のケース２に備えたシャッター３がＡ方
向に移動し終わると、上面側ではケース２の開孔４がシ
ャッター３の窓枠５の内側になり、上側の磁気ヘッドが
下がって、その磁気ヘッド本体が開孔４内にのぞくディ
スクの信号記録面６に接触する。又、下面側も信号記録
面側と同様の動きによってディスクの下面に下側の磁気
ヘッドが接触する。

【０００４】しかも、両磁気ヘッド本体はディスクの信
号記録面６との接触時に最初開孔４の一番外側にある直
線部７の直近内側にあるディスク面の箇所、つまりディ
スクの信号記録可能な最外周側（Ｔｒ００）にそれぞれ
接触する。すると、その後ステッピングモータから駆動
力を受けることにより、各磁気ヘッド本体をディスクの
中心に向けて半径方向の内側のトラック（Ｔｒｘｘ）位
置に順次移動して行き、開孔４の一番内側にある直線部
８の直近外側にあるディスク面の箇所（Ｔｒ７９）まで
移動させて、ディスクに対し信号の記録や再生等を行な
うことができる。なお、９はドライブの駆動軸との着脱
用ハブである。

【０００５】このような磁気ヘッドはスライダーに記録
再生用磁気コアと消去用磁気コアを固着し、それ等の各
磁気コアにコイルを巻装したコイルボビンをそれぞれ装
着する等して磁気ヘッドの本体を組み立て、その磁気ヘ
ッド本体をフレキシブルプリント基板（以下ＦＰＣと呼
ぶ）を固着したジンバル支持構造を有するヘッド支持板
に取り付けたものである。そして、そのヘッド支持板と
ＦＰＣの接地用ランド部との接続を行なう。

【０００６】その際、接続方法として、図５に示すよう
にヘッド支持板１１６のそこに固着するＦＰＣ１１８の
接地用ランド部１２９に当たる箇所に開孔１１９を設
け、そのヘッド支持板１１６の一方の主面に当たる表面
に磁気ヘッド本体１１７を取り付け、ＦＰＣ１１８を固
着した後、そのヘッド支持板１１６の開孔１１９内を導
電性接着剤１２３で埋め、その導電性接着剤１２３を介
してヘッド支持板１１６をＦＰＣ１１８の接地用ランド
部１２９に接続する方法が提示されている。

【０００７】このようにヘッド支持板１１６に設けた開
孔１１９内を導電性接着剤１２３で埋めて接続を行なう
のは、ヘッド支持板１１６とＦＰＣ１１８の厚みの中で
接続処理を行って、導電性接着剤１２３を突出させるこ
となく、ヘッド支持板１１６を磁気ヘッド本体１１７の
取り付け面と反対側の面でキャリッジ（図示せず）に接
続するためである。又、接続材料として導電性接着剤１
２３を用いるのは、ヘッド支持板１１６には通常錆び難
いステンレスを用いるが、ステンレスは半田接続し難い
からである。なお、導電性接着剤１２３は液状で塗布し
易く塗布後に固化し、半田のようにフラックスを必要と
しないため取り扱い易い。

【０００８】又、この時の磁気ヘッドとカートリッジと
の厚み方向の関係は、ヘッド支持板１１６の厚みａが約
０．０５ｍｍ、ＦＰＣ１１８の厚みｂが約０．１ｍｍ、
ヘッド支持板１１６の磁気ヘッド本体１１７取付面から
カートリッジのシャッター２４の上面までの距離ｄが約
０．６ｍｍ、従ってＦＰＣ１１８とシャッター２４との
距離ｃは約０．５ｍｍとなる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヘッド
支持板の表面に磁気ヘッド本体を取り付け、そのヘッド
支持板の表面に更にＦＰＣを固着して磁気ヘッドを形成
すると、ＦＰＣがヘッド支持板に対して磁気ヘッド本体
と同じ側なので磁気ヘッド本体の摺動面とＦＰＣの表面
との間隔が上記のように約０．５ｍｍと狭くなり、しか
も直接対向している。それ故、磁気ヘッドのディスクの
半径方向への移動時に振動によってＦＰＣが撓み、ＦＰ
Ｃのカートリッジとの対向面がカートリッジのシャッタ
ー等に接触し易くなり、磁気ヘッドの移動の障害となっ
たり、磁気ヘッドをディスクの回転方向の動きに追従さ
せようとする時の磁気ヘッドのディスクへの追従障害と
なる。

【００１０】又、ヘッド支持板の開孔内を導電性接着剤
で埋めて、ヘッド支持板とＦＰＣの厚みの中で接続処理
を行なうと、ヘッド支持板の厚みが上記のように約０．
０５ｍｍと薄く、そのヘッド支持板の開孔の壁面のみで
の接続であるため、接続面積が小さくなり充分な接続を
行なえない。それ故、電気的接続が不充分で接続箇所の
機械的強度も劣る。

【００１１】本発明はこのような従来の問題点に着目し
てなされたものであり、磁気ヘッドのディスクの半径方
向への移動時にＦＰＣがカートリッジのシャッター等に
接触して発生する移動障害や追従障害を防止し、ヘッド
支持板とＦＰＣとの電気的及び機械的接続状態の良好な
磁気ヘッドを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による磁気ヘッドではヘッド支持板の表面に
磁気ヘッド本体を取り付け、裏面にＦＰＣを固着し、そ
のヘッド支持板に設ける接続用開孔をヘッド支持板の磁
気ヘッド本体取り付け位置よりディスクの外周側に配置
し、更にドライブに装着したカートリッジの窓枠内に当
たる位置に配置して、その接続用開孔内の一部又は全部
を埋める導電性接着剤を接続用開孔付近のヘッド支持板
の表面まで覆うように盛る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、添付の図１〜３を参照し
て、本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明を適
用した上側磁気ヘッドのシャッターの開放直後のカート
リッジの窓枠との位置関係を示す平面図である。この磁
気ヘッド１５はヘッド支持板１６の表面（一方の主面）
に磁気ヘッド本体１７を取り付け、裏面（他方の主面）
にＦＰＣ１８を固着して構成する。そして、ヘッド支持
板１６にはそこに固着するＦＰＣ１８の接地用ランド部
２９に当たる箇所に例えば円形の接続用開孔１９を設け
たものを用いる。しかも、接続用開孔１９はヘッド支持
板１６の磁気ヘッド本体１７の取り付け位置よりディス
クの外周側０に設けて、ドライブに装着したカートリッ
ジの点線で示す窓枠２８の内部に当たる位置に配置す
る。

【００１４】その際、磁気ヘッド１５の撓み、バックラ
ッシュ等を考慮して、磁気ヘッド本体１７のセンターが
Ｔｒ００の位置を超えて一点鎖線Ｌで示す磁気ヘッドの
可動最外周（Ｔｒ−１）の位置まで来ても、接続用開孔
１９が窓枠２８の内部にあるように磁気ヘッド移動量の
マージンを設定する。なお、２１が磁気ヘッド本体１７
の記録再生用ギャップ、消去用ギャップ等を有する摺動
面である。又、２２がその摺動面２１と対となる補助摺
動面である。

【００１５】又、ヘッド支持板１６にアース回路を形成
するため、図２に示すように導電性接着剤２３を塗布し
て接続用開孔１９の内部の一部又は全部を導電性接着剤
２３で埋め、更に接続用開孔１９の付近にあるヘッド支
持板１６の表面まで導電性接着剤２３が覆うように盛
る。すると、導電性接着剤２３の塗布量を多くし、ヘッ
ド支持板１６とＦＰＣ１８の接地用ランド部２９との接
続面積を大きくし導電性を高めて、電気的接続が良好な
アース回路を形成し、更に接続箇所の機械的強度を大き
くすることができる。しかも、ヘッド支持板１６の厚み
範囲を超えて導電性接着剤２３を塗布するため、塗布作
業が容易になって作業能率が向上する。

【００１６】このような磁気ヘッド１５を備えたドライ
ブにカートリッジを装着すると、図３に示すように磁気
ヘッド本体１７がＢ方向に移動して、シャッター２４の
窓枠２０の内側で、ケース２５の開孔２６に入って、そ
の両摺動面２１、２２がディスク２７の上面に接触す
る。すると、磁気ヘッド１５をディスク２７の半径方向
に移動し、その磁気ヘッド本体１７の摺動面２１をディ
スク２７のＴｒ００の位置からＴｒ７９の位置まで接触
させて、ディスク２７に対し信号の記録や再生等を行な
える。

【００１７】その際、ヘッド支持板１６の接続用開孔１
９内の一部又は全部を埋める導電性接着剤２３をその接
続用開孔１９付近のヘッド支持板１６の表面を覆うよう
に盛って突出させておいても、その接続用開孔１９の位
置がカートリッジの窓枠２８内にあるため、その接着剤
突出部が磁気ヘッド１５の移動の妨げとならない。しか
も、ヘッド支持板１６の表面に磁気ヘッド本体１７を取
り付け、その裏面にＦＰＣ１８を固着することにより、
そのＦＰＣ１８とカートリッジのケース２５との間隔、
特にはそこに装着したシャッター２４との間隔を広くし
てあるため、ＦＰＣ１８がシャッター２４等に当たら
ず、磁気ヘッド１５の移動を妨げることがない。

【００１８】なお、上記の実施の形態ではドライブに装
着したカートリッジに内蔵するディスク２７の上側に備
える磁気ヘッド１５について説明したが、ドライブには
通常上側磁気ヘッド１５と上下対称の位置に配置して、
ディスク２７の下側にも同様の磁気ヘッドを備え付けて
使用する。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、ヘッド支
持板の表面に磁気ヘッド本体を取り付け、裏面にＦＰＣ
を固着して磁気ヘッドを構成するため、磁気ヘッドを備
えたドライブにカートリッジを装着した時、磁気ヘッド
のＦＰＣとカートリッジのシャッター等との間隔を広く
することができる。それ故、磁気ヘッドをディスクの半
径方向に移動させる時、ＦＰＣがシャッター等に当たら
ず、磁気ヘッドの移動やディスクへの追従の妨げとなら
ないため、ディスクに対し信号の記録や再生等を良好に
行なえる。

【００２０】又、接続用開孔を磁気ヘッド本体取り付け
位置よりディスクの外周側に配置し、更にカートリッジ
の窓枠内に当たる位置に配置して、導電性接着剤を接続
用開孔付近のヘッド支持板の表面まで覆うように盛るた
め、ヘッド支持板とＦＰＣの接地用ランド部との接続面
積を大きくして導電性を高めることができる。それ故、
ヘッド支持板に電気的接続が良好なアース回路を形成
し、接続箇所の機械的強度を大きくすることができる。

【００２１】又、ヘッド支持板の厚み範囲を超えて導電
性接着剤を塗布できるため、塗布作業を容易に行なえて
作業能率も向上する。しかも、導電性接着剤を接続用開
孔付近のヘッド支持板の表面まで覆うように盛って突出
させておいても、その接着剤突出部がカートリッジの窓
枠内にあるため、当然磁気ヘッド移動の妨げとならな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した上側磁気ヘッドとカートリッ
ジのシャッター開放直後のカートリッジの窓枠との位置
関係を示す平面図である。

【図２】同上側磁気ヘッドのヘッド支持板に設けた接続
用開孔付近の導電性接着剤の塗布状態を示す部分縦断面
図である。

【図３】同上側磁気ヘッドを備えたドライブに対するカ
ートリッジ装着時の状態を示す要部の部分縦断面図であ
る。

【図４】ドライブに装着したカートリッジの上面から見
たシャッター開放時の状態を示す平面図である。

【図５】従来の磁気ヘッドを備えたドライブに対するカ
ートリッジ装着時の状態を示す要部の部分縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１５…磁気ヘッド １６…ヘッド支持板 １７…磁気ヘ
ッド本体 １８…ＦＰＣ １９…接続用開孔 ２１、２
２…摺動面 ２３…導電性接着剤 ２８…窓枠０…ディ
スクの外周側

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−244419（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−267039（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−210846（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−244826（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−303731（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−105811（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−28517（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−89519（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−35320（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 5/49 G11B 5/60

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ヘッド本体と、フレキシブルプリン
   ト基板とをヘッド支持板に取り付け、そのヘッド支持板
   に設けた開孔を利用して導電性接着剤を介して、ヘッド
   支持板をフレキシブルプリント基板の接地用ランド部に
   接続してなる磁気ヘッドにおいて、上記ヘッド支持板の
   表面に磁気ヘッド本体を取り付け、裏面にフレキシブル
   プリント基板を固着し、そのヘッド支持板に設ける接続
   用開孔をヘッド支持板の磁気ヘッド本体取り付け位置よ
   りフレキシブルディスクの外周側に配置し、更にフロッ
   ピーディスクドライブに装着したフロッピーディスクカ
   ートリッジの窓枠内に当たる位置に配置して、その接続
   用開孔内の一部又は全部を埋める導電性接着剤を接続用
   開孔付近のヘッド支持板の表面まで覆うように盛ること
   を特徴とする磁気ヘッド。